JP4378023B2 - 円偏光板および反射型液晶表示装置 - Google Patents
円偏光板および反射型液晶表示装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ディスプレー、光ディスク用ピックアップに利用される位相差板、円偏光板およびOA機器、携帯端末に利用される反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の光学異方性層から円偏光板を形成する従来技術が、いくつか知られている。
特開平10−68816号および同10−90521号公報に、光学異方性を有する二枚のポリマーフイルムを積層することにより得られる位相差板が開示されている。特開平10−68816号公報記載の位相差板は、複屈折光の位相差が1/4波長である1/4波長板と、複屈折光の位相差が1/2波長である1/2波長板とを、それらの光軸が交差した状態で貼り合わせている。特開平10−90521号公報記載の位相差板は、レターデーション値が160〜320nmである位相差板を少なくとも2枚、その遅相軸が互いに平行でも直交でもない角度になるように積層している。いずれの公報に記載の位相差板も、ある程度広い波長領域でλ/4を達成している。
また、1/4波長板を利用した反射型液晶表示装置も知られている。
【0003】
図1は、従来の液晶表示装置の断面模式図である。
透明な材料(例、ガラス)からなる表側基板(51)および裏側基板(52)の内側には、それぞれ透明導電膜による透明電極(53)が設けられ、その上に、ポリイミドからなる配向膜(54)が形成される。さらに、表側基板(51)および裏側基板(52)との間に、ネマティック型の液晶層(55)が充填されて、液晶パネル(56)が構成されている。
表側基板(51)および裏側基板(52)のそれぞれの配向膜(54)は、90゜、すなわち直交する方向にラビング処理を行う。液晶パネル(56)は、両面に偏光板(57)を配置し、基本的には透過型として使用する。反射型として使用する場合は、さらに背面側に反射板(58)を配置して、反射型の液晶表示装置を構成する。
【0004】
図2は、従来の(図1に示す)液晶表示装置の液晶配向方向と、偏光板の偏光軸方向を示す図である。Y軸方向が、表示画面の垂直軸方向に相当する。
ラビング処理によって、表側基板(51)の近傍における液晶配向方法(60)と裏側基板(52)の近傍における液晶配向方向(61)とは直交し、液晶層(55)は、90゜ツイストする。表側基板(51)側に配置した偏光板(57)の偏光軸方向(62)は、表側基板(51)の近傍における液晶配向方向(60)に対して90゜で直交する角度となるように配置する。裏側基板(52)側に配置した偏光板(57)の偏光軸方向(63)は、裏側基板(52)の近傍における液晶配向方向(61)に対して90゜で直交する角度となるように配置する。
【0005】
画像表示のための電気的駆動では、表側基板(51)および裏側基板(52)の内側の透明電極(53)間に電圧を印加して光学制御を行う。電圧無印加時には、光の入射側である表側の偏光板(57)で形成された直線偏光面が、液晶層(55)の旋光性によって90゜ねじれて、透過型としての出射側である裏側の偏光板(57)を透過し、白表示が得られる。電圧印加時には、液晶層(55)の液晶分子が表側基板(51)および裏側基板(52)の基板面に垂直となるように配向するため、光の入射側の偏光板(57)で形成された直線偏光面がそのまま出射側の偏光板(57)に到達する。入射側と出射側とで偏光板(57)の偏光軸方向(62、63)は直交しているので、到達した光が遮断され、黒表示が得られる。このとき電圧値によっては、白から黒までの中間調表示を行うこともできる。
【0006】
以上述べた液晶表示装置は、コントラストが高く中間調表示も可能であることから、反射板(58)のかわりにバックライトを配置した透過型として普及している。しかし、透過型では、バックライトによる消費電力増大、コストアップおよび外形の拡大が、携帯機器への採用において大きな制約となっている。これらの制約を解消できる反射型の液晶表示装置が望まれている。
【0007】
しかし、以上述べた液晶表示装置を反射型で使用する場合には、入射光が液晶層(55)を透過して反射板(58)に到達するまでに2回、反射板(58)で反射されて液晶層(55)を再び透過して出射するまでに2回、すなわち液晶パネル(56)で光学変調されて反射されるまでに偏光板(57)を4回も透過させるため、光の減衰が大きくなる。そのため、日常的な周辺光のもとで明るい表示画面を得ることは困難である。
【0008】
また、光学変調させる液晶層(55)と反射板(58)との間には、液晶パネル(56)の裏側基板(52)の厚みが存在し、通常の使用状況では、入射光方向と液晶パネル(56)の観察方向とが液晶パネル(56)の表側に値する垂直方向からずれるため、上記の厚みによって、画像に二重像が生じ、明るさが低下する。このような視差の問題は、画像の表示品位を低下させる。
【0009】
以上の問題を解決するため、特開平10−186357号公報は、表側偏光部材と裏側反射部材の内側に位相差部材を設置することによって、コントラストが良く、明るく、中間調表示が可能な反射型液晶表示装置を提案している。しかし、同公報記載の反射型液晶表示装置では、正面からは白地が達成されるが、斜めから見ると黄色みが目立つとの問題がある。さらに、位相差部材を装着することにより、厚みが増加するとの問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−68816号および同10−90521号公報記載の位相差板の製造では、二枚のポリマーフイルムの光学的向き(光軸や遅相軸)を調節することが難しい。ポリマーフイルムの光学的向きは、一般にシート状あるいはロール状フイルムの縦方向または横方向に相当するものであり、シートあるいはロールの斜め方向に光軸や遅相軸を有するポリマーフイルムは、製造が非常に困難である。そして、特開平10−68816号および同10−90521号公報記載の発明では、二つのポリマーフイルムの光学的向きを平行でも直交でもない角度に設定する。しかし、これらの方法では、RGBの偏光方位角がばらつき、RGB共に円偏光に近づけることが難しい。
また、ポリマーフイルムでは、レターデーション値を精密に制御することも難しい。
本発明の目的は、円偏光板としての性能を向上できる広帯域円偏光板、またそれを利用した反射型液晶表示装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(5)の円偏光板および(6)〜(8)の反射型液晶表示装置により達成された。
(1)直線偏光膜、光学異方性層A、光学異方性層C、そして光学異方性層Bが、この順序で積層されており、光学異方性層Aが実質的に1/2波長のレターデーションを有し、光学異方性層Bが実質的に1/4波長のレターデーションを有し、波長400nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸と、波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸とが実質的に直交しており、光学異方性層Cのいずれの遅相軸も、直線偏光膜の偏光透過軸とは異なる方向に向いており、光学異方性層Aの遅相軸と波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸との同一面内での角度が10乃至20°であり、そして光学異方性層Aの遅相軸と光学異方性層Bの遅相軸との同一面内での角度が50乃至70°であることを特徴とする円偏光板。
(2)光学異方性層Aの遅相軸と直線偏光膜の偏光透過軸との角度が10乃至20°である(1)に記載の円偏光板。
(3)光学異方性層AおよびBの一方が、液晶性分子から形成された層であり、他方がポリマーフイルムからなる層である(1)または(2)に記載の円偏光板。
(4)光学異方性層AおよびBが、いずれも液晶性分子から形成された層である(1)または(2)に記載の円偏光板。
(5)液晶性分子が、ディスコティック液晶性分子である(3)または(4)に記載の円偏光板。
【0013】
(6)一対の透明性基板の内面にそれぞれ電極が形成され、該一対の透明性基板が液晶層を挟んで貼り合わされ、表側の透明性基板外側からの入射光を裏側の透明性基板の反射部材で反射し、表側の透明性基板外側に返す機構を有し、表側の透明性基板に配置される直線偏光膜と、裏側の透明性基板側で反射部材よりも内側に配置される光学異方性層とからなる偏光板を含む反射型液晶表示装置において、該偏光板が、(1)乃至(5)記載の円偏光板であることを特徴とする反射型液晶表示装置。
(7)前記電極は透明電極であり、光学異方性層A、CおよびBは直線偏光膜の内側及び反射部材の内側に配置されている(6)に記載の反射型液晶表示装置。
(8)前記液晶層がツイストネマティック型である(6)または(7)に記載の反射型液晶表示装置。
【0014】
【発明の効果】
本発明で使用する液晶性分子を含む光学異方性層は、ポリマーフイルムよりも光学的性質の調節が容易である。液晶性分子を含む光学異方性層の光学的向きは、液晶性分子のラビング方向によって容易に調節できる。
また、液晶性分子の種類と量および液晶性分子の配向状態を調整することで、必要とされるレターデーション値を厳密に調節することもできる。
さらに、波長400nmと波長700nmで遅相軸が90゜異なる光学異方性層を使うことで、円偏光特性が広帯域で確保される。
さらにまた、反射型液晶表示装置に使用することによって、斜めからの黄色味をなくし、表面の明るさが上昇し、表示品位に優れた反射型液晶表示装置が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[位相差板の光学的性質]
光学異方性層Aは、波長550nmにおけるレターデーション値を、1/2波長に設定する。具体的なレターデーション値は、200乃至300nmである。レターデーション値は、230乃至280nmであることが好ましく、240乃至270nmであることがより好ましい。
光学異方性層Bは、波長550nmにおけるレターデーション値を、1/4波長に設定する。具体的なレターデーション値は、100乃至150nmである。レターデーション値は、110乃至140nmであることが好ましく、120乃至130nmであることがより好ましい。
【0016】
光学異方性層Cは、波長400nmで測定した遅相軸(屈折率が面内で最大となる方向)と、波長700nmで測定した遅相軸とが実質的に直交している。言い換えると、波長400nmから波長700nmまでの間に、レターデーション値がゼロとなる波長が存在している。また、波長400nmで測定したレターデーション値と、波長700nmで測定したレターデーション値との積が、負の値になることを意味する。波長400nmで測定したレターデーション値と、波長700nmで測定したレターデーション値との差(絶対値)は、10乃至100nmであることが好ましく、20乃至50nmであることがさらに好ましい。
光学異方性層Cは、セルローストリアセテートフイルムまたはセルロースジアセテートフイルムから形成することができる。
【0017】
二つの光学的異方性層A、Bおよび偏光膜の光学的向きは、円偏光板全体がほぼ完全な円偏光となるように設定する。このように光学的向きを設定することで、広い波長領域でλ/4を達成することができる。例えば、光学異方性層Aの遅相軸と光学異方性層Bの遅相軸との角度を60゜、光学異方性層Aの遅相軸と偏光膜の偏光軸(透過率が面内で最大となる方向)との角度を15゜、そして、光学異方性層Bの遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度を75゜に設定することで、可視領域全体でほぼ完全な円偏光、すなわち広域帯λ/4が達成できる。また、光学異方性層Aの遅相軸と光学異方性層Bの遅相軸との角度を60゜、光学異方性層Aの遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度を75゜、そして、光学異方性層Bの遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度を15゜に設定してもよい。
以上の角度の許容範囲は、±10゜以内であり、±8゜以内であることが好ましく、±6゜以内であることがより好ましく、±5゜以内であることがさらに好ましく、±4゜以内であることが最も好ましい。
広域帯λ/4とは、具体的には、波長450nm、550nmおよび650nmで測定したレターデーション値/波長の値が、いずれも0.2乃至0.3の範囲内であることを意味する。レターデーション値/波長の値は、0.21乃至0.29の範囲内であることが好ましく、0.22乃至0.28の範囲内であることがより好ましく、0.23乃至0.27の範囲内であることがさらに好ましく、0.24乃至0.26の範囲内であることが最も好ましい。
【0018】
[位相差板および円偏光板の構成]
図3は、位相差板の代表的な態様を示す断面図である。
図3に示す位相差板は、光学異方性層B(B)、光学異方性層C(C)および光学異方性層A(A)を、この順に積層した構成を有する。光学異方性層AおよびBの少なくとも一方は、ディスコティック液晶性分子から形成した層であることが好ましい。ディスコティック液晶性分子から層を形成する場合、支持体上に配向膜を塗布し、その上にディスコティック液晶性分子を垂直配向させる。
図4は、光学異方性層の遅相軸の方向を示す平面図である。
図4に示すように、光学異方性層Cの波長400nmで測定した遅相軸(c400)と波長700nmで測定した遅相軸(c700)との同一面内での角度(γ)は、90゜である。光学異方性層Aの遅相軸(a)と波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸(c700)との同一面内での角度(α)は、10乃至20゜であることが好ましい。光学異方性層Aの遅相軸(a)と光学異方性層Bの遅相軸(b)との同一面内での角度(β)は、50乃至70゜であることが好ましい。
【0019】
図5は、円偏光板の代表的な態様を示す断面模式図である。
図5に示す円偏光板は、光学異方性層B(B)、光学異方性層C(C)、光学異方性層A(A)および直線偏光膜(P)を、この順に積層した構成を有する。
図6は、光学異方性層の遅相軸の方向と直線偏光膜の偏光透過軸の方向とを示す平面図である。
図6に示すように、光学異方性層Cの波長400nmで測定した遅相軸(c400)と波長700nmで測定した遅相軸(c700)との同一面内での角度(γ)は、90゜である。光学異方性層Aの遅相軸(a)と波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸(c700)との同一面内での角度(α)は、10乃至20゜であることが好ましい。光学異方性層Aの遅相軸(a)と光学異方性層Bの遅相軸(b)との同一面内での角度(β)は、50乃至70゜であることが好ましい。光学異方性層Aの遅相軸(a)と直線偏光膜の偏光透過軸(p)との角度(δ)は、10乃至20゜であることが好ましい。
【0020】
[ポリマーフイルムからなる光学異方性層]
ポリマーフイルムは、フイルムに光学異方性を付与できるポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
フイルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸であることが好ましい。一軸延伸は、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸またはポリマーフイルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフイルムを用いて、二枚以上のフイルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。
ポリマーフイルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
ポリマーフイルムの厚さは、20乃至500nmであることが好ましく、50乃至200nmであることがさらに好ましく、50乃至100nmであることが最も好ましい。
【0021】
[液晶性分子を含む光学異方性層]
液晶性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましく、ディスコティック液晶性分子が特に好ましい。液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。
棒状液晶性分子を用いる場合は、水平なホモジニアス配向にすることが好ましい。棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
【0022】
ディスコティック液晶性分子を用いる場合は、実質的に垂直(50乃至90度の範囲の平均傾斜角)に配向させることが好ましい。ディスコティック液晶性分子を斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は50乃至90度であることが好ましい。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0023】
(I) D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
式(I)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
【0034】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
【0035】
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−CO−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
【0036】
式(I)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。
式(I)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
二種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
【0044】
光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子あるいは下記の重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、垂直配向膜の上に塗布することで形成する。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0045】
垂直配向させたディスコティック液晶性分子は、配向状態を維持して固定する。固定化は、ディスコティック液晶性分子に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0046】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、1乃至5μmであることが最も好ましい。
【0047】
[垂直配向膜]
ディスコティック液晶性分子を垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これによりディスコティック液晶性分子を立てた状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる官能基としては、フッ素原子および炭素原子数が10以上の炭化水素基が有効である。フッ素原子または炭化水素基を配向膜の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖よりも側鎖にフッ素原子または炭化水素基を導入することが好ましい。
含フッ素ポリマーは、フッ素原子を0.05乃至80重量%の割合で含むことが好ましく、0.1乃至70重量%の割合で含むことがより好ましく、0.5乃至65重量%の割合で含むことがさらに好ましく、1乃至60重量%の割合で含むことが最も好ましい。
炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基またはそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)またはアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、10乃至100であることが好ましく、10乃至60であることがさらに好ましく、10乃至40であることが最も好ましい。
ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造またはポリビニルアルコール構造を有することが好ましい。
【0048】
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸とジアミンとの縮合反応により合成する。二種類以上のテトラカルボン酸あるいは二種類以上のジアミンを用いて、コポリマーに相当するポリイミドを合成してもよい。フッ素原子または炭化水素基は、テトラカルボン酸起源の繰り返し単位に存在していても、ジアミン起源の繰り返し単位に存在していても、両方の繰り返し単位に存在していてもよい。
ポリイミドに炭化水素基を導入する場合、ポリイミドの主鎖または側鎖にステロイド構造を形成することが特に好ましい。側鎖に存在するステロイド構造は、炭素原子数が10以上の炭化水素基に相当し、ディスコティック液晶性分子を垂直に配向させる機能を有する。本明細書においてステロイド構造とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環構造またはその環の結合の一部が脂肪族環の範囲(芳香族環を形成しない範囲)で二重結合となっている環構造を意味する。
【0049】
フッ素変性ポリビニルアルコールも垂直配向膜に好ましく用いることができる。フッ素変性ポリビニルアルコールは、フッ素原子を含む繰り返し単位を5乃至80モル%の範囲で含むことが好ましく、7乃至70モル%の範囲で含むことがさらに好ましい。
好ましいフッ素変性ポリビニルアルコールを、下記式(PV)で表す。
(PV)
−(VAl)x−(FRU)y−(VAc)z−
式中、VAlは、ビニルアルコール繰り返し単位であり;FRUは、フッ素原子を含む繰り返し単位であり;VAcは酢酸ビニル繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは24乃至90モル%)であり;yは、5乃至80モル%(好ましくは7乃至70モル%)であり;そして、zは0乃至30モル%(好ましくは2乃至20モル%)である。
好ましいフッ素原子を含む繰り返し単位(FRU)を、下記式(FRU−I)および(FRU−II)で表す。
【0050】
【化16】
【0051】
式中、L1 は、−O−、−CO−、−SO2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;L2 は、単結合あるいは−O−、−CO−、−SO2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;そしてRf1 およびRf2 は、それぞれフッ素置換炭化水素基である。
アルキレン基およびアリーレン基はフッ素原子により置換されていてもよい。
上記の組み合わせにより形成される二価の連結基の例を、以下に示す。
【0052】
L1:−O−CO−
L2:−O−CO−アルキレン基−O−
L3:−O−CO−アルキレン基−CO−NH−
L4:−O−CO−アルキレン基−NH−SO2 −アリーレン基−O−
L5:−アリーレン基−NH−CO−
L6:−アリーレン基−CO−O−
L7:−アリーレン基−CO−NH−
L8:−アリーレン基−O−
L9:−O−CO−NH−アリーレン基−NH−CO−
【0053】
フッ素置換炭化水素基の炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基またはそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直線状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)またはアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。脂肪族基は、フッ素原子以外にも、他のハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、1乃至100であることが好ましく、2乃至60であることがさらに好ましく、3乃至40であることが最も好ましい。炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置換されている割合は、50乃至100モル%であることが好ましく、70乃至100モル%であることがより好ましく、80乃至100モル%であることがさらに好ましく、90乃至100モル%であることが最も好ましい。
【0054】
炭素原子数が10以上の炭化水素基を有する変性ポリビニルアルコールも垂直配向膜に好ましく用いることができる。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基またはそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)またはアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、10乃至100であることが好ましく、10乃至60であることがさらに好ましく、10乃至40であることが最も好ましい。
炭化水素基を有する変性ポリビニルアルコールは、炭素原子数が10以上の炭化水素基を有する繰り返し単位を2乃至80モル%の範囲で含むことが好ましく、3乃至70モル%含むことがさらに好ましい。
好ましい炭素原子数が10以上の炭化水素基を有する変性ポリビニルアルコールを、下記式(PV)で表す。
(PV)
−(VAl)x−(HyC)y−(VAc)z−
式中、VAlは、ビニルアルコール繰り返し単位であり;HyCは、炭素原子数が10以上の炭化水素基を有する繰り返し単位であり;VAcは酢酸ビニル繰り返し単位であり;xは、20乃至95モル%(好ましくは25乃至90モル%)であり;yは、2乃至80モル%(好ましくは3乃至70モル%)であり;そして、zは0乃至30モル%(好ましくは2乃至20モル%)である。
好ましい炭素原子数が10以上の炭化水素基を有する繰り返し単位(HyC)を、下記式(HyC−I)および(HyC−II)で表す。
【0055】
【化17】
【0056】
式中、L1 は、−O−、−CO−、−SO2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;L2 は、単結合あるいは−O−、−CO−、−SO2 −、−NH−、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり;そしてR1 およびR2 は、それぞれ炭素原子数が10以上の炭化水素基である。
上記の組み合わせにより形成される二価の連結基の例は、前記式(FRU−I)および(FRU−II)で示した例と同様である。
【0057】
垂直配向膜に用いるポリマーの重合度は、200乃至5000であることが好ましく、300乃至3000であることが好ましい。ポリマーの分子量は、9000乃至200000であることが好ましく、13000乃至130000であることがさらに好ましい。
二種類以上のポリマーを併用してもよい。
垂直配向膜の形成において、ラビング処理を実施することが好ましい。ラビング処理は、上記のポリマーを含む膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
なお、垂直配向膜を用いてディスコティック液晶性分子を垂直に配向させてから、その配向状態のままディスコティック液晶性分子を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフイルム(または透明支持体)上に転写してもよい。垂直配向状態で固定されたディスコティック液晶性分子は、垂直配向膜がなくても配向状態を維持することができる。そのため、本発明の位相差板では、垂直配向膜は(位相差板の製造において必須ではあるが)必須の要素ではない。
【0058】
[透明支持体]
透明支持体を用いてもよい。透明支持体としては、波長分散が小さいポリマーフイルムを用いることが好ましい。透明支持体は、光学異方性が小さいことも好ましい。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0059】
[光学異方性層C]
本発明に於ける光学異方性層Cは、波長400nmと波長700nmで遅相軸が直交するものであるが、具体的には、波長400nmと700nmでレターデーションが異符号となるものである。
本発明では、光学異方性層A(1/2波長板)と光学異方性層B(1/4波長板)を交差させて広帯域1/4波長板を形成しようというものであるが、光学異方性層A(1/2波長板)を通過後の偏光特性は、波長分散のために偏光方位角がRGBで異なるために、2枚目の光学異方性層B(1/4波長板)でも偏光方位角がずれた状態となりRGB共に円偏光に出来ない。ところが、光学異方性層A(1/2波長板)通過後の偏光に対して、本発明の光学異方性層Cを波長700nmにおける遅相軸が光学異方性層通過後のGの偏光方位角と略同一方向に設定することで、Gには作用を及ぼさず、Bには負のレターデーションのため、偏光方位角をUPさせてGの方位角に接近させることが出来る。また、Rに関しても、正のレターデーションでやはりGの方位角に接近させることが出来るため、RGBの光学異方性層A(1/2波長板)通過後の偏光方位角をほぼ一致させることが可能である。このため、光学異方性層B(1/4波長板)通過後はRGB共に円偏光にできる。このような特性は、三酢酸セルロースによってできるが、固有複屈折が正と負で且つ波長分散が異なる素材のポリマーブレンドなどでも製造可能である。
【0060】
[位相差板の用途]
本発明の位相差板は、反射型液晶表示装置において使用されるλ/4板、光ディスクの書き込み用のピックアップ、GH−LCDやPS変換素子に使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として、特に有利に用いられる。なお、λ/4板は、一般に偏光膜と組み合わせて使用される。よって、位相差板と偏光膜とを組み合わせた円偏光板として構成しておくと、容易に反射型液晶表示装置のような用途とする装置に組み込むことができる。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。
偏光膜の偏光軸(透過軸)は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。偏光膜は、一般に保護膜を有する。ただし、本発明では、ポリマーフイルムからなる光学異方性層または透明支持体を偏光膜の保護膜として機能させることができる。それらとは別に偏光膜の保護膜を用いる場合は、保護膜として光学的等方性が高いセルロースエステルフイルム、特にトリアセチルセルロースフイルムを用いることが好ましい。
【0061】
[反射型液晶表示装置]
図7は、反射型液晶表示装置を示す断面模式図である。
図7に示す反射型液晶表示装置は、上部から、偏光板(57)、1/2波長板(A)、1/4波長板(B)、表側基板(51)、透明電極(53)、配向膜(54)、ネマティック液晶(55)、配向膜(54)、透明電極(53)、裏側基板(52)、反射板(58)の順に形成されている。1/2波長板および1/4波長板は、波長550nmでの値である。二枚の波長板の組み合わせで広帯域の1/4波長板を形成する。また、1/2波長板および1/4波長板の二つの位相子の少なくとも一方は、ディスコティック液晶の垂直配向により形成される。ただし、1/2波長板および1/4波長板は、この順序を保てば良く、偏光板と反射板の間であればどの位置に設定されてもよく、また二つの位相子は離れて配置されても良い。さらに、液晶層と偏光板の間にカラーフィルターが配置されていてもよい。
【0062】
図8は、反射型液晶表示装置の各部材の軸構成を示す図である。
光学異方性層A(1/2波長板)の遅相軸(a)と光学異方性層B(1/4波長板)の遅相軸(b)との同一面内での角度(β)は、50乃至70゜であることが好ましい。光学異方性層A(1/2波長板)の遅相軸(a)と直線偏光膜の偏光透過軸(p)との角度(δ)は、10乃至20゜であることが好ましい。
【0063】
【実施例】
[実施例1]
<光学異方性層A>
厚さ100μm、幅500mm、長さ500mの光学的に等方性のロール状トリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。
ステロイド変性ポリアミック酸の希釈液を、透明支持体の片面上に連続塗布し、厚さ0.5μmの垂直配向膜を形成した。次に、透明支持体の長手方向に対して15゜の方向に、連続的に垂直配向膜のラビング処理を実施した。
【0064】
垂直配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線を照射して、厚さ3.6μmの光学異方性層を形成し、位相差板を作成した。
また、光学異方性層Aは、光軸に直交する方向(透明支持体の長手方向に対して75゜の方向)に遅相軸を有していた。
【0065】
【表1】
第1表
────────────────────────────────────光学的異方性層塗布液組成
────────────────────────────────────下記のディスコティック液晶分子(1) 32.6重量%
セルロースアセテートブチレート 0.7重量%
下記の変性トリメチロ−ルプロパントリアクリレート 3.2重量%
下記の増感剤 0.4重量%
下記の光重合開始剤 1.1重量%
メチルエチルケトン 62.0重量%
──────────────────────────────────
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
光学的異方性層のレターデーション値を測定した。結果を図9のグラフに示す。波長550nmにおけるレターデーション値は269nmであって、波長550nmでは実質的にπの位相差(λ/2)を示した。
【0070】
<光学異方性層B>
次にノルボルネン樹脂(JSR(株)製アートン)をメチレンクロライドに溶解しバンド上に流延し170μmのフィルムを得た。該フィルムを150℃で20%延伸し、波長550nmにおけるレターデーションが135nmのλ/4板を得た。このフィルムのレターデーションの波長分散特性を図10に示す。
【0071】
<光学異方性層C>
パルプ綿とリンター綿を1:2で混合した綿を酢化処理を行い酢化度2.98(3.0で完全な三酢酸セルロース)を形成し、該三酢酸セルロース85重量部に対してトリフェニルフォスフェートを主成分とする可塑剤を15重量部加え、25重量%のメチレンクロライド溶液を作製した。これを金属バンド上に流延し、厚さ115μmの三酢酸セルロースフィルムを作製した。このフィルムを135℃で10%延伸し、光学特性を王子計測機器(株)製KOBRA21DHでレターデーションの波長分散特性を調べた結果、図11のようになった。
このフィルムは、波長400nmと波長700nmでレターデーションが異符号、即ち遅相軸が異なる性質を有していた。
【0072】
<貼合せ>
上記光学異方性層A、B、Cを図3の構成で且つ軸角度を図4においてα=15度、β=60度となるように積層した。更に、偏光板を図5の様に貼合せた。このときの偏光板の透過軸Pは図6に示すδ=15℃となるように積層した。
この積層体の光学特性を王子計測機器(株)製KOBRA21DHでλ/4板としての特性を評価した。結果を図12に示す。
【0073】
[比較例1]
実施例1で光学異方性層Cを取り除いた他は、全て実施例1と同様にした。この積層体を実施例1と同様に測定した結果を図12に示す。
実施例1と比較例1から分かるように、光学異方性層Cを入れることで、広帯域λ/4板の特性が大幅に向上できた。
【0074】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶表示装置の断面模式図である。
【図2】従来の液晶表示装置の液晶配向方向と、偏光板の偏光軸方向を示す図である。
【図3】位相差板の代表的な態様を示す断面図である。
【図4】光学異方性層の遅相軸の方向を示す平面図である。
【図5】円偏光板の代表的な態様を示す断面模式図である。
【図6】光学異方性層の遅相軸の方向と直線偏光膜の偏光透過軸の方向とを示す平面図である。
【図7】反射型液晶表示装置を示す断面模式図である。
【図8】反射型液晶表示装置の各部材の軸構成を示す図である。
【図9】実施例1で作製した光学異方性層Aのレターデーション値のグラフである。
【図10】実施例1で作製した光学異方性層Bのレターデーション値のグラフである。
【図11】実施例1で作製した光学異方性層Cのレターデーション値のグラフである。
【図12】実施例1および比較例1で作製した位相差板のレターデーション/波長の値のグラフである。
【符号の説明】
51 表側基板
52 裏側基板
53 透明電極
54 配向膜
55 液晶層
56 液晶パネル
57 偏光板
58 反射板
60 表側基板の近傍における液晶配向方向
61 裏側基板の近傍における液晶配向方向
62 表側基板側に配置した偏光板の偏光軸方向
63 裏側基板側に配置した偏光板の偏光軸方向
A 光学異方性層A
a 光学異方性層Aの遅相軸
B 光学異方性層B
b 光学異方性層Bの遅相軸
C 光学異方性層C
c400 波長400nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸
c700 波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸
P 直線偏光膜
p 直線偏光膜の偏光透過軸
α aとc700との同一面内での角度
β aとbとの同一面内での角度
γ c400とc700との同一面内での角度
δ aとpとの同一面内での角度
Claims (8)
- 直線偏光膜、光学異方性層A、光学異方性層C、そして光学異方性層Bが、この順序で積層されており、光学異方性層Aが実質的に1/2波長のレターデーションを有し、光学異方性層Bが実質的に1/4波長のレターデーションを有し、波長400nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸と、波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸とが実質的に直交しており、光学異方性層Cのいずれの遅相軸も、直線偏光膜の偏光透過軸とは異なる方向に向いており、光学異方性層Aの遅相軸と波長700nmで測定した光学異方性層Cの遅相軸との同一面内での角度が10乃至20°であり、そして光学異方性層Aの遅相軸と光学異方性層Bの遅相軸との同一面内での角度が50乃至70°であることを特徴とする円偏光板。
- 光学異方性層Aの遅相軸と直線偏光膜の偏光透過軸との角度が10乃至20°である請求項1に記載の円偏光板。
- 光学異方性層AおよびBの一方が、液晶性分子から形成された層であり、他方がポリマーフイルムからなる層である請求項1または2に記載の円偏光板。
- 光学異方性層AおよびBが、いずれも液晶性分子から形成された層である請求項1または2に記載の円偏光板。
- 液晶性分子が、ディスコティック液晶性分子である請求項3または4に記載の円偏光板。
- 一対の透明性基板の内面にそれぞれ電極が形成され、該一対の透明性基板が液晶層を挟んで貼り合わされ、表側の透明性基板外側からの入射光を裏側の透明性基板の反射部材で反射し、表側の透明性基板外側に返す機構を有し、表側の透明性基板に配置される直線偏光膜と、裏側の透明性基板側で反射部材よりも内側に配置される光学異方性層とからなる偏光板を含む反射型液晶表示装置において、該偏光板が、請求項1乃至5記載の円偏光板であることを特徴とする反射型液晶表示装置。
- 前記電極は透明電極であり、光学異方性層A、CおよびBは直線偏光膜の内側及び反射部材の内側に配置されている請求項6に記載の反射型液晶表示装置。
- 前記液晶層がツイストネマティック型である請求項6または7に記載の反射型液晶表示装置。
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