JP2009294522A - 傾斜位相差フィルム、傾斜位相差フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

傾斜位相差フィルム、傾斜位相差フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】位相差フィルムを低コストで作製することができ、しかも、このような位相差フィルムの3次元屈折率分布を精度よく制御でき、また延伸に際してもクラック等の不具合が生じることがない位相差フィルムを得る
【解決手段】液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を延伸して得られる傾斜位相差フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、傾斜位相差フィルム、傾斜位相差フィルムの製造方法および該位相差フィルムを備えた偏光板ならびに液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は透過モードで画像の表示が可能な透過型、反射モードで画像の表示が可能な反射型、透過モード、反射モードの双方で画像の表示が可能な半透過反射型の3種に大別され、その薄型軽量などの特徴からノートパソコン、テレビなどの表示装置として広く普及している。特に半透過反射型液晶表示装置は反射型と透過型を兼ね備えた表示方式が採用され、周囲の明るさに応じて、いずれかの表示方式に切り替えることにより、消費電力を低減しつつ、明所でも、暗所でも明瞭な表示を行うことができるので、種々の携帯電子機器などに多用されている。
ところで、透過型、反射型および半透過反射型液晶表示装置は特に透過モードにおいて、液晶分子の持つ屈折率異方性のために斜めから見た時に表示コントラストが低下する、表示色が変化する、あるいは階調が反転するなどの視野角の問題が避けられずその改善が望まれている。
この問題を解決させる方法として、従来、TNモード(液晶のねじれ角90度)を用いた透過型液晶表示装置では、光学補償フィルムを液晶セルと上下偏光板の間に配置する提案がなされ、実用化されている。
例えば、ディスコチック液晶をハイブリッド配向させた光学補償フィルムを液晶セルと上下偏光板の間に配置した構成、また液晶性高分子をハイブリッドネマチック配向させた光学補償フィルムを液晶セルと上下偏光板の間に配置した構成などが挙げられる(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
また半透過反射型液晶表示装置においては、透過モードにおいて、表示原理的に1枚または複数枚の一軸性位相差フィルムと偏光板からなる円偏光板を、液晶セルの上下に配置させる必要がある。
この半透過反射型液晶表示装置の透過モードの視野角拡大には液晶セルとバックライトの間に配置された円偏光板にネマチックハイブリッド配向させた光学補償フィルムを用いる方法(特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に挙げられるディスコチックハイブリッド液晶フィルムや特許文献4に挙げられるネマチック液晶フィルムは、いずれも負の一軸性あるいは正の一軸性液晶材料をハイブリッド配向させたフィルムであり、液晶セルの視野角を光学補償するには必ずしも十分とは言えない。ここで、二軸性を有する液晶材料をハイブリッド配向できれば、二軸性というパラメータを増やすことができるため、更に光学補償が可能となるが、現状では、二軸性液晶材料は、ほとんど知られておらず、特殊な材料を使用して二軸性液晶材料を製造できたとしても、さらにハイブリッド配向したような傾斜配向フィルムを二軸性液晶材料で実現したという例はない。
特許第2640083号明細書 特開平11−194325号公報 特開平11−194371号公報 特開2002−31717号公報
本発明は、従来技術の問題点に鑑み、ハイブリッドネマチック配向を固定化した液晶層を延伸することにより、傾斜位相差フィルムを低コストで作製することができ、しかも、このような位相差フィルムの3次元屈折率分布を精度よく制御でき、また延伸に際してもクラック等の不具合が生じることがない位相差フィルムとその製造方法、及びそれを用いた偏光板並びに液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の配向を固定化した液晶層を延伸することにより前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を延伸して得られる傾斜位相差フィルム。
[2] 液晶性組成物が、正の一軸性の棒状液晶性組成物から形成されていることを特徴とする前記[1]に記載の傾斜位相差フィルム。
[3] 液晶性組成物が、負の一軸性の円盤状液晶性組成物から形成されていることを特徴とする前記[1]に記載の傾斜位相差フィルム。
[4] 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、オキセタニル基を有する側鎖型の液晶性高分子から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルム。
[5] 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、反応性官能基を有する低分子液晶物質から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルム。
[6] 液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層が、熱可塑性高分子フィルムの上に配向膜あるいは接着剤を介して積層一体化された積層体を、延伸して得られる傾斜位相差フィルム
[7] 前記熱可塑性高分子フィルムが、シクロオレフィン系樹脂であることを特徴とする前記[6]に記載の傾斜位相差フィルム。
[8] 前記熱可塑性高分子フィルムが、セルロース系樹脂であることを特徴とする前記[6]に記載の傾斜位相差フィルム。
[9] (1)熱可塑性高分子フィルムの上に、液晶性組成物がハイブリッドネマチック配向を形成するための配向層を形成する第1工程、
(2)配向層上に、液晶性組成物の層を塗布し、該層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体を得る第2工程、
(3)前記の熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体を延伸して、位相差フィルムを得る第3工程、
の各工程から少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
[10] (1)配向基板上に、液晶性組成物の層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る第1工程、
(2)前記積層体(A)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと接着せしめた後、配向基板を剥離して、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(B)を得る第2工程、
(3)前記の熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(B)を延伸して、位相差フィルムを得る第3工程、
の各工程から少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法
[11] (1)配向基板上に、液晶性組成物の層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る第1工程、
(2)前記の配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を延伸して、積層体(E)を得る第2工程、
(3)前記積層体(E)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと接着せしめた後、配向基板を剥離して、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる位相差フィルムを得る第3工程、
の各工程からから少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
[12] 前記熱可塑性高分子フィルムが表面処理されていることを特徴とする前記[9]〜[11]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
[13] 表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする前記[12]に記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
[14] 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、オキセタニル基を有する側鎖型の液晶性高分子から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする前記[9]〜[13]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
[15] 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、反応性官能基を有する低分子液晶物質から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする前記[9]〜[14]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
[16] 前記熱可塑性高分子フィルムが、シクロオレフィン系樹脂であることを特徴とする前記[9]〜[15]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
[17] 前記熱可塑性高分子フィルムが、セルロース系樹脂であることを特徴とする前記[9]〜[15]のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
[18] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載の位相差フィルムと偏光素子とが積層されていることを特徴とする偏光板。
[19] 前記[18]に記載の偏光板が、液晶セルの少なくとも片側に配されてなることを特徴とする液晶表示装置。
なお、上記の層構成の記載において、「/」は各層の界面を表すものであり、以下同様に表記する。
本発明により、傾斜位相差フィルムを低コストで作製することができ、しかも、このような位相差フィルムの3次元屈折率分布を精度よく制御でき、また延伸に際してもクラック等の不具合が生じることがない位相差フィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の傾斜位相差フィルムは、フィルム面の法線を0°、前記法線から傾斜して位相差を測定した場合に、測定軸方向から測定したリターデーション(Δnd)が、前記0°における位相差値を中心として、測定角度が+側と−側とで、その位相差値の変化が非対称となることが好ましい。
前記測定軸は、法線および法線から傾斜した軸を含み、その傾斜方向は特に制限されず、例えば、前記法線から傾斜した軸が、前記傾斜位相差フィルムの遅相軸方向に傾斜してもよいし、前記傾斜位相差フィルムの進相軸方向に傾斜してもよい。
「測定軸方向から測定した位相差値が、前記0°における位相差値を中心として、測定角度が+側と−側とで、その位相差値の変化が非対称となっている」とは、例えば、各測定角度における位相差値を横軸とし、前記測定角度を縦軸としてプロットした際に得られるグラフが、測定角度0°(法線)における縦軸を中心として非対称となるような状態をいう。
前記測定角度は、特に制限されないが、例えば、−50°〜+50°であることが好ましい。これは、実際に傾斜位相差フィルムのサンプルを測定する場合、前記範囲であれば、より一層精度良く位相差を測定できるからである。なお、この測定角度は、位相差を測定する場合の条件であって、なんら本発明を限定するものではない。
具体的には、前記傾斜位相差フィルムの面内リタデーション(Δnd)は、例えば、0〜500nmであり、好ましくは、0〜300nm、さらに好ましくは0nm〜200nmの範囲である。その膜厚は、例えば、0.1〜200μm、好ましくは、0.5〜150μm、さらに好ましくは1〜100μmである。このような位相差および膜厚を有すれば、TNモード、ECBモード、VAモード、IPSモードといったLCDに適しており、上記範囲を外れた場合には、十分な視野角改良効果が得られないかあるいは、斜めから見たときに不必要な色付きが生じる恐れがある。
前記傾斜位相差フィルムの平均チルト角を以下の通り定義する。
前記傾斜位相差フィルムを、前記法線から傾斜して位相差を測定する場合、遅相軸方向に傾斜した時に、位相差が非対称になる場合は、進相軸方向では逆にほぼ対照な位相差値が得られる。逆に、進相軸方向に傾斜した時に、位相差が非対称になる場合は、遅相軸方向では逆にほぼ対照な位相差値が得られる。
従って、進相軸あるいは遅相軸方向のいずれか一方の方向で位相差が非対称なグラフが得られる場合の、位相差値の極大値あるいは極小値を平均チルト角と定義すると、平均チルト角は、通常5〜80゜であり、好ましくは、10〜70゜、さらに好ましくは20〜60°である。このような位相差および膜厚を有すれば、特に、TNモード、ECBモードといったLCDに適しており、上記範囲を外れた場合には、十分な視野角改良効果が得られないかあるいは、斜めから見たときに不必要な色付きが生じる恐れがある。
以下に本発明に使用される各種材料等について説明する。
まず液晶性組成物について説明する。
本発明に用いられる液晶性組成物は、具体的には、光学的に正の一軸性を示す棒状液晶性組成物、あるいは光学的に負の一軸性を示す円盤状液晶性組成物からなり、該液晶性組成物が液晶状態において形成した平均チルト角が通常5゜〜45゜のハイブリッドネマチック配向構造を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を少なくとも含む層である。
ここで、本発明で言うハイブリッドネマチック配向とは、液晶分子がハイブリッドネマチック配向しており、棒状液晶分子の場合は、図1で示すとおり、このときの棒状液晶分子1のダイレクター4と液晶層平面のなす角が該層上面と下面とで異なった配向形態を言う。したがって、上面界面近傍と下面界面近傍とで該ダイレクターと該層平面との成す角度が異なっていることから、該層の上面と下面との間では該角度が連続的に変化しているものといえる。
円盤状液晶分子(ディスコチック液晶分子)の場合は、図2で示すとおり、このときの円盤状液晶分子2のダイレクター5と直交する方向6(円盤状液晶分子の円盤面)と液晶層平面のなす角が該層上面と下面とで異なった配向形態を言う。したがって、上面界面近傍と下面界面近傍とで該円盤面と該層平面との成す角度が異なっていることから、該層の上面と下面との間では該角度が連続的に変化しているものといえる。
またハイブリッドネマチック配向状態を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層は、液晶分子のダイレクターが当該層の膜厚方向のすべての場所において異なる角度を向いている。したがって当該層は、層という構造体として見た場合、もはや光軸は存在しない。
また本発明でいう平均チルト角とは、棒状液晶分子の場合は、ハイブリッドネマチック配向液晶層の膜厚方向における液晶分子のダイレクターとハイブリッドネマチック配向液晶層平面との成す角度の平均値を意味するものである。
円盤状液晶分子の場合は、円盤状分子のダイレクターと円盤面は直交しており、ハイブリッドネマチック配向液晶層の膜厚方向における円盤状液晶分子の円盤面とハイブリッドネマチック配向液晶層平面との成す角度の平均値を意味するものである。
本発明に供されるハイブリッドネマチック配向液晶層は、棒状液晶分子の場合は、該層の一方の界面付近ではダイレクターと層平面との成す角度が、絶対値として通常25゜〜90゜、好ましくは35゜〜85゜、さらに好ましくは45゜〜80゜の角度をなしており、当該面の反対においては、絶対値として通常0゜〜20゜、好ましくは0゜〜10゜の角度を成しており、その平均チルト角は、絶対値として通常5゜〜45゜、好ましくは15°〜43°、さらに好ましくは25゜〜40゜である。平均チルト角が上記範囲から外れた場合、斜め方向から見た場合のコントラストの低下等の恐れがあり望ましくない。
円盤状液晶分子の場合は、該層の一方の界面付近では円盤面と層平面との成す角度が、絶対値として通常25゜〜90゜、好ましくは35゜〜85゜、さらに好ましくは45゜〜80゜の角度をなしており、当該面の反対においては、絶対値として通常0゜〜20゜、好ましくは0゜〜10゜の角度を成しており、その平均チルト角は、絶対値として通常5゜〜45゜、好ましくは15°〜43°、さらに好ましくは25゜〜40゜である。平均チルト角が上記範囲から外れた場合、斜め方向から見た場合のコントラストの低下等の恐れがあり望ましくない。なお、これら平均チルト角は、クリスタルローテーション法を応用して求めることができる。
またハイブリッドネマチック配向液晶層が、延伸後、液晶表示装置に対してより好適な視野角改良効果を発現するための該液晶層の膜厚は、対象とする液晶表示素子の方式や種々の光学パラメーターに依存するので一概には言えないが、通常0.1μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜5μm、特に好ましくは0.4μm〜4μmの範囲である。膜厚が0.1μm未満の時は、十分な補償効果が得られない恐れがある。また膜厚が10μmを越えると液晶表示装置の表示が不必要に色づく恐れがある。
またハイブリッドネマチック配向液晶層の法線方向から見た場合の面内の見かけの位相差値としては、当該液晶層が、正の一軸性の棒状液晶分子の場合では、ダイレクターに平行な方向の屈折率(以下neと呼ぶ)と垂直な方向の屈折率(以下noと呼ぶ)が異なっているおり、neからnoを引いた値を見かけ上の複屈折率(Δn=ne−no)とした場合、見かけ上の位相差値は見かけ上の複屈折率と絶対膜厚との積(Δn・d)で与えられるとする。
当該液晶層が、負の一軸性の円盤状液晶分子(ディスコチック液晶分子)の場合では、ダイレクターに平行な方向の屈折率(以下noと呼ぶ)と垂直な方向の屈折率(以下neと呼ぶ)が異なっているおり、neからnoを引いた値を見かけ上の複屈折率(Δn=ne−no)とした場合、見かけ上の位相差値は見かけ上の複屈折率と絶対膜厚との積(Δn・d)で与えられるとする。Δn・dは、エリプソメトリー等の偏光光学測定により容易に求めることができる。ハイブリッドネマチック配向液晶層のΔn・dは、波長550nmの単色光に対して、通常10nm〜400nm、好ましくは30nm〜200nm、特に好ましくは50nm〜150nmの範囲である。Δn・dが10nm未満の時は、十分な視野角拡大効果が得られない恐れがある。また、400nmより大きい場合は、斜めから見たときに液晶表示装置に不必要な色付きが生じる恐れがある。
配向状態にある液晶性組成物を固定化する手段としては、高分子液晶物質主体の組成物の場合は配向状態から急冷してガラス化状態にして固定する方法、反応性官能基を有する低分子液晶物質または高分子液晶物質を配向させた後、前記官能基を反応せしめ(硬化・架橋等)固定化する方法などが挙げられる。
前記の液晶材料としては、ネマチック液晶性を示す液晶材料であれば特に制限されず、各種の低分子液晶物質、高分子液晶物質、またはこれらの混合物を当該材料とすることができる。液晶物質の分子形状は、棒状であるか円盤状であるかを問わず、例えば、ディスコチックネマチック液晶性を示すディスコチック液晶も使用することができる。さらにこれらの混合物を液晶材料として使用する際には、当該材料で最終的に所望するネマチックハイブリッド配向構造を形成することができ、しかも、その配向構造を固定化できるものであれば、当該材料の組成や組成比等に何ら制限はない。例えば、単独もしくは複数種の低分子および/または高分子液晶物質と、単独もしくは複数種の低分子および/または高分子の非液晶性物質や各種添加剤とからなる混合物を液晶材料として使用することもできる。
前記低分子液晶物質としては、飽和ベンゼンカルボン酸類、不飽和ベンゼンカルボン酸類、ビフェニルカルボン酸類、芳香族オキシカルボン酸類、シッフ塩基型類、ビスアゾメチン化合物類、アゾ化合物類、アゾキシ化合物類、シクロヘキサンエステル化合物類、ステロール化合物類などのメソゲン基となりうる基の末端に前記反応性官能基を導入した液晶性を示す化合物や前記化合物類のなかで液晶性を示す化合物に架橋性化合物を添加した組成物などが挙げられる。
低分子液晶物質をより具体的に説明すると、MGで表されるメソゲン基を有する下記式(I)で表わされる化合物が好ましい:
P−(Sp−X)−MG−R (I)
式(I)中、Pは、前記の反応性官能基であり、Pが複数個結合されている場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。Spは、炭素原子1〜20個を有するスペーサー基であり、Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−または単結合であり、nは、0、1、2のいずれかの整数であり、MGは、メソゲン基またはメソゲン支持基であり、この基は好ましくは、下記式(II)に従い選択され:
−(A−Z−A−Z−A− (II)
(式(II)中、A、AおよびAは相互に独立して、1,4−フェニレン基であり、この基中に存在する1個または2個以上のCH基はまた、Nにより置き換えられていてもよく、あるいは1,4−シクロヘキシレン基であり、この基中に存在する1個のCH基または隣接していない2個のCH基はまた、Oおよび(または)Sにより置き換えられていてもよく、あるいは1,4−シクロヘキセニレン基またはナフタレン−2,6−ジイル基であり、これらの基は全部が未置換であるか、あるいは1個または2個以上のハロゲン、シアノ基またはニトロ基により、あるいは炭素原子1〜7個を有するアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基により置換されていてもよく、これらの基中の1個または2個以上のH原子はFまたはClにより置換されていてもよく、ZおよびZはそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−または単結合であり、そしてmは、0、1または2である)、そしてRは、25個までの炭素原子を有するアルキル基であり、この基は未置換であるか、あるいは1個または2個以上のハロゲンまたはシアノ基により置換されており、この基中に存在する1個のCH基または隣接していない2個以上のCH基はまたそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない様相で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−または−C≡C−により置き換えられていてもよく、あるいはRはまた、ハロゲンまたはシアノ基であるか、あるいは独立して、P−(Sp−X)−について示されている意味の一つを有する。なお、式(I)で表される化合物が複数のPを有する場合は、同一でも異なっていてもよい。
前記のディスコチック液晶分子としては、種々のものを用いることができる。
ディスコティック液晶分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。
ディスコティック液晶分子の配向を固定するためには、ディスコティック液晶分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させることが好ましい。
高分子液晶物質としては、各種の主鎖型高分子液晶物質、側鎖型高分子液晶物質、またはこれらの混合物等を用いることができる。主鎖型高分子液晶物質としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリベンズイミダゾール系、ポリベンズオキサゾール系、ポリベンズチアゾール系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエステルカーボネート系、ポリエステルイミド系の高分子液晶、またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも液晶性を与えるメソゲン基とポリメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリシロキサン等の屈曲鎖とが交互に結合した半芳香族系ポリエステル系高分子液晶や、屈曲鎖のない全芳香族系ポリエステル系高分子液晶が本発明では望ましい。
前記の反応性官能基を有する主鎖型液晶性ポリエステルとは、芳香族ジオール単位(以下、構造単位(A)という。)、芳香族ジカルボン酸単位(以下、構造単位(B)という。)および芳香族ヒドロキシカルボン酸単位(以下、構造単位(C)という。)のうち少なくとも2種を必須単位として含み、かつ主鎖末端の少なくとも一方に反応性官能基を有する構造単位を含む主鎖型液晶性ポリエステル、である。
以下に、構造単位(A)、(B)および(C)について順次説明する。
構造単位(A)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体、4,4’―ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,6−ナフタレンジーオールなどが挙げられ、特に、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等若しくはそれらの置換体が好ましい。
Figure 2009294522
ただし、式中の−Xは、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基であり、特に下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 2009294522
構造単位(B)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体、4,4'−スチルベンジカルボン酸若しくはその置換体、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等若しくはそれらの置換体が好ましい。
Figure 2009294522
ただし、式中の−Xは、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基を表す。
構造単位(C)を導入するための化合物としては下記一般式で表される化合物が好ましく、具体的には、ヒドロキシ安息香酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ桂皮酸などが挙げられ、特に、ヒドロキシ安息香酸およびその置換体、4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸若しくはその置換体、4'−ヒドロキシ−4−スチルベンカルボン酸若しくはその置換体が好ましい。
Figure 2009294522
ただし、式中の−X、−X1、−X2は、それぞれ個別に、−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CNのいずれかの基を表す。
前記の主鎖型液晶性ポリエステルは、構造単位として、(A)芳香族ジオール単位、(B)芳香族ジカルボン酸単位、および(C)芳香族ヒドロキシカルボン酸単位のうちから少なくとも2種と、さらに主鎖末端の少なくとも一方に反応性官能基を有する構造単位(以下、構造単位(D)という。)を必須の構造単位として含み、かつサーモトロピック液晶性を示すものであればよく、他の構造単位はこれら条件を満足する限り特に限定されるものではない。
主鎖型液晶性ポリエステルを構成する構造単位(A)、(B)および(C)の全構造単位に占める割合は、構造単位(A)、(B)および(C)がジオールあるいはジカルボン酸あるいはヒドロキシカルボン酸として全モノマーの仕込み量に対して占める重量和の比率で表した場合、通常20〜99%、好ましくは30〜95%、特に好ましくは40〜90%の範囲である。20%より少ない場合には、液晶性を発現する温度領域が極端に狭くなるおそれがあり、また99%を越える場合には、本発明の主鎖型液晶性ポリエステルに必須な反応性官能基を有する単位が相対的に少なくなり、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、どちらの場合も好ましくない。
次に反応性官能基を有する構造単位(D)について説明する。構造単位(D)を導入するための化合物としては、下記の一般式に示すようなフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基を有する芳香族化合物に、反応性官能基が結合した化合物が挙げられる。また、芳香環と反応性官能基との間には、適当なスペーサー部分を有していても良い。前記の反応性官能基としては、オキセタニル基が好ましい。以下、主にオキセタニル基を有する化合物として説明する。
Figure 2009294522
ただし、式中の−X、−X1、−X2、−Y、−Zは、各構造単位毎にそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基を表す。
(1)−X、−X、−X:−H、−CH、−C、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、−CH(CH)CHCH、−C(CH、−OCH、−OC、−OC、−OCH、−F、−Cl、−Br、−NO、または−CN
(2)−Y:単結合、−(CH−、−O−、−O−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−(CH−、−CO−O−(CH−、−(CH−O−CO−、−(CH−CO−O−、−O−(CH−O−CO−、−O−(CH−CO−O−、−O−CO−(CH−O−、−CO−O−(CH−O−、−O−CO−(CH−O−CO−、−O−CO−(CH−CO−O−、−CO−O−(CH−O−CO−、または−CO−O−(CH−CO−O−(ただし、nは1〜12の整数を示す。)
(3)Z:
Figure 2009294522
構造単位(D)の中では、オキセタニル基を含む置換基とフェノール性水酸基あるいはカルボキシル基の結合位置は、これらの基が結合する骨格がベンゼン環の場合は1,4−の位置関係を、ナフタレン環の場合は2,6−の位置関係を、ビフェニル骨格、スチルベン骨格の場合は4,4'−の位置関係にあるものが液晶性の点から好ましい。より具体的には、4−ビニルオキシ安息香酸、4−ビニルオキシフェノール、4−ビニルオキシエトキシ安息香酸、4−ビニルオキシエトキシフェノール、4−グリシジルオキシ安息香酸、4−グリシジルオキシフェノール、4−(オキセタニルメトキシ)安息香酸、4−(オキセタニルメトキシ)フェノール、4'−ビニルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−ビニルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−グリシジルオキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−4−ヒドロキシビフェニル、4'−オキセタニルメトキシ−4−ビフェニルカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシビフェニル、6−ビニルオキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ビニルオキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−ビニルオキシエトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−ビニルオキシエトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−グリシジルオキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシナフタレン、6−オキセタニルメトキシ−2−ナフタレンカルボン酸、6−オキセタニルメトキシ−2−ヒドロキシナフタレン、4−ビニルオキシ桂皮酸、4−ビニルオキシエトキシ桂皮酸、4−グリシジルオキシ桂皮酸、4−オキセタニルメトキシ桂皮酸、4'−ビニルオキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−ビニルオキシエトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−ビニルオキシエトキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−グリシジルオキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−グリシジルオキシ−4−ヒドロキシスチルベン、4'−オキセタニルメトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−3'−メトキシ−4−スチルベンカルボン酸、4'−オキセタニルメトキシ−4−ヒドロキシスチルベンなどが好ましい。
オキセタニル基を有する構造単位(D)の主鎖型液晶性ポリエステルを構成する全構造単位に占める割合は、同様に構造単位(D)をカルボン酸あるいはフェノールとして仕込み組成中の重量割合で表した場合、通常1〜60%、好ましくは5〜50%の範囲である。1%よりも少ない場合には、配向保持能、機械的強度の向上が得られない恐れがあり、また60%を越える場合には、結晶性が上がることにより液晶温度範囲が狭まり、どちらの場合も好ましくない。
(A)〜(D)の各構造単位は、それぞれ1つまたは2つのカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基を有しているが、(A)〜(D)の有するカルボキシル基、フェノール性水酸基は、仕込みの段階においてそれぞれの官能基の当量数の総和を概ねそろえることが望ましい。すなわち、構造単位(D)が遊離のカルボキシル基を有する単位である場合には、((A)のモル数×2)=((B)のモル数×2)+((D)のモル数)、構造単位(D)が遊離のフェノール性水酸基を有する単位である場合には、((A)のモル数×2)+((D)のモル数)=((B)のモル数×2)なる関係を概ね満たすことが望ましい。この関係式から大きく外れる仕込み組成の場合には、カチオン重合に関わる単位以外のカルボン酸あるいはフェノール、もしくはそれらの誘導体が分子末端となることになり、十分なカチオン重合性が得られないばかりか、これら酸性の残基が存在することにより、プロセス上の望む段階以外で重合反応や分解反応が起きてしまうおそれがあり好ましくない。
主鎖型液晶性ポリエステルは、(A)、(B)、(C)および(D)以外の構造単位を含有することができる。含有することができる他の構造単位としては、特に限定はなく当該分野で公知の化合物(モノマー)を使用することができる。例えば、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物や、ビフェノール、ナフタレンジオール、脂肪族ジオールおよびこれら化合物にハロゲン基やアルキル基を導入した化合物等を挙げることができる。また、主鎖型液晶性ポリエステルを構成する単位の原料として光学活性な化合物を用いた場合、該主鎖型液晶性ポリエステルにカイラルな相を付与せしめることが可能となる。かかる光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(C2n+1OH、ただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(C2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニル基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸、イソソルビド、イソマンニドなどを挙げることができる。
前記の主鎖型液晶性ポリエステルの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(質量比60/40)中、30℃で測定した対数粘度ηが0.03〜0.50dl/gが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15dl/gである。ηが0.03dl/gより小さい場合には、主鎖型液晶性ポリエステルの溶液粘度が低く、フィルム化する際に均一な塗膜が得られない恐れがある。また、0.50dl/gより大きい場合には、液晶配向時に要する配向処理温度が高くなり、配向と重合が同時に起きやすく配向性を低下させる危険性がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの分子量制御は専ら仕込み組成により決定される。具体的には分子両末端を封印する形で反応する1官能性モノマー、すなわち前記した構造単位(D)を導入するための化合物の、全仕込み組成における相対的な含有量により、得られる主鎖型液晶性ポリエステルの平均的な重合度(構造単位(A)〜(D)の平均結合数)が決定される。したがって、所望の対数粘度を有する主鎖型液晶性ポリエステルを得るためには、仕込みモノマーの種類に応じて仕込み組成を調整する必要がある。
主鎖型液晶性ポリエステルの合成方法としては、通常のポリエステルを合成する際に用いられる方法を採ることができ、特に限定されるものではない。例えば、カルボン酸単位を酸クロリドやスルホン酸無水物などに活性化し、それを塩基の存在下でフェノール単位と反応させる方法(酸クロリド法)や、カルボン酸単位とフェノール単位をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)などの縮合剤を用いて直接縮合させる方法、フェノール単位をアセチル化して、これとカルボン酸単位とを溶融条件下で脱酢酸重合する方法などを用いることが出来る。ただし、溶融条件下での脱酢酸重合を用いる場合には、オキセタニル基を有するモノマー単位が反応条件下で重合や分解反応を起こすおそれがあるため、反応条件を厳密に制御する必要がある場合が多く、場合によっては適当な保護基を用いたり、あるいは一度別な官能基を有する化合物を反応させておいてから、後でオキセタニル基を導入するなどの方法を採ることが望ましい場合もある。また、重合反応により得られた粗主鎖型液晶性ポリエステルを、再結晶、再沈などの方法により精製してもよい。
このようにして得られた主鎖型液晶性ポリエステルは、NMR(核磁気共鳴法)などの分析手段により、それぞれのモノマーがどのような比率で主鎖型液晶性ポリエステル中に存在するかを同定することができる。特に、オキセタニル基の量比から、主鎖型液晶性ポリエステルの平均結合数を算出する事ができる。
また、側鎖型高分子液晶物質としては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリビニル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリマロネート系、ポリエステル系等の直鎖状又は環状構造の骨格鎖を有する物質に側鎖としてメソゲン基が結合した高分子液晶、またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、骨格鎖に屈曲鎖からなるスペーサーを介して液晶性を与えるメソゲン基が結合した側鎖型高分子液晶や、主鎖および側鎖の両方にメソゲンを有する分子構造の当該高分子液晶が本発明では望ましい。
前記反応性官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアナート基、酸無水物基等が挙げられ、それぞれの基に適した方法で反応が行われる。
より具体的には、式(1)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル部位を単独重合もしくは、他の(メタ)アクリル化合物と共重合して得られる側鎖型液晶性高分子物質を好ましく用いる。
Figure 2009294522
上記式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (2)
−P−L−P− (3)
−P− (4)
式(2)、(3)および(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2009294522
Figure 2009294522
式(5)において、Etはエチル基を、iPrはイソプロピル基を、nBuはノルマルブチル基を、tBuはターシャリーブチル基をそれぞれ表す。
これらオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の合成法は特に制限されるものではなく、通常の有機化学合成法で用いられる方法を適用することによって合成することができる。例えば、ウィリアムソンのエーテル合成や、縮合剤を用いたエステル合成などの手段でオキセタニル基を持つ部位と(メタ)アクリル基を持つ部位を結合することで、オキセタニル基と(メタ)アクリル基の2つの反応性官能基を持つオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物を合成することができる。ただし反応にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。
式(1)で表されるオキセタニル基を有する(メタ)アクリル化合物の(メタ)アクリル基を単独重合もしくは、他の(メタ)アクリル化合物と共重合することにより下記式(7)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子物質が得られる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合やアニオン重合の条件を採用することができる。
Figure 2009294522
ラジカル重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、60〜120℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系や2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ・フリーラジカル(TEMPO)系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は脱酸素条件下に行う必要がある。
アニオン重合の例としては、各成分に該当する(メタ)アクリル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として反応させる方法が挙げられる。また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
また、このとき共重合する(メタ)アクリル化合物は特に限定されるものではなく、合成される高分子物質が液晶性を示せば何でもよいが、合成される高分子物質の液晶性を高めるため、メソゲン基を有する(メタ)アクリル化合物が好ましい。例えば下記式で示されるような(メタ)アクリル化合物を好ましい化合物として例示することができる。
Figure 2009294522
ここでRは、H、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、またはCN基を表す。
側鎖型液晶性高分子物質は、式(7)で表されるユニットを5〜100モル%含むものが好ましく、10〜100モル%含むものが特に好ましい。また、側鎖型液晶性高分子物質は、重量平均分子量が2,000〜100,000であるものが好ましく、5,000〜50,000のものが特に好ましい。この範囲外では延伸時にクラックが発生したり、配向性が悪化したりして好ましくない。
本発明で用いる液晶性組成物においては、前記側鎖型液晶性高分子物質の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、オキセタニル基、エポキシ基、ビニルエーテル基などのカチオン重合性官能基を有する化合物、フィルム形成能を有する各種の高分子物質、液晶性を示す各種の低分子液晶性化合物や高分子液晶性化合物などが挙げられる。前記の側鎖型液晶性高分子物質を組成物として用いる場合、組成物全体に占める前記の側鎖型液晶性高分子物質の割合は、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。側鎖型液晶性高分子物質の含有量が10質量%未満では組成物中に占める重合性基濃度が低くなり、配向の固定化が不十分となりやすく好ましくない。
さらに、液晶性組成物中に熱または光架橋反応等によって反応しうる官能基または部位を有している各種化合物を液晶性の発現を妨げない範囲で配合しても良い。架橋反応しうる官能基としては、前述の各種の反応性官能基などが挙げられる。
例えば、前記式(7)で表されるポリ(メタ)アクリレートを用いた場合は下記一般式(8)で表されるジオキセタン化合物を含有させることが好ましい。
Figure 2009294522
式(8)において、Rは、それぞれ独立に、水素、メチル基またはエチル基を表し、Lは、それぞれ独立に、単結合または−(CH−(nは1〜12の整数)を表し、Xは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表し、Mは、式(9)または式(10)で表されるいずれかであり、式(9)および式(10)中のPは、それぞれ独立に式(11)から選ばれる基を表し、Pは式(12)から選ばれる基を表し、Lは、それぞれ独立に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
−P−L−P−L−P− (9)
−P−L−P− (10)
Figure 2009294522
Figure 2009294522
式(11)において、Etはエチル基を、iPrはイソプロピル基を、nBuはノルマルブチル基を、tBuはターシャリーブチル基をそれぞれ表す。
より具体的には、M基から見て左右のオキセタニル基を結合している連結基は異なっても(非対称型)同一でも(対称型)よく、特に2つのLが異なる場合や他の連結基の構造によっては液晶性を示さないこともあるが、使用には制約とならない。
一般式(8)で表される化合物は、M、LおよびXの組み合わせから多くの化合物を例示することができるが、好ましくは、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2009294522
これらの化合物は有機化学における通常の合成方法に従って合成することができ、合成方法は特に限定されるものではない。
合成にあたっては、オキセタニル基がカチオン重合性を有するため、強い酸性条件下では、重合や開環などの副反応を起こすことを考慮して、反応条件を選ぶ必要がある。なお、オキセタニル基は類似のカチオン重合性官能基であるオキシラニル基などと比べて、副反応を起こす可能性が低い。さらに、類似したアルコール、フェノール、カルボン酸などの各種化合物をつぎつぎに反応させることもあり、適宜保護基の活用を考慮してもよい。
より具体的な合成方法としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸を出発化合物として、ウィリアムソンのエーテル合成法等によりオキセタニル基を結合させ、次いで得られた化合物と本発明に適したジオールとを、酸クロリド法やカルボジイミドによる縮合法等を用いて結合させる方法や、逆に予めヒドロキシ安息香酸の水酸基を適当な保護基で保護し、本発明に適したジオールと縮合後、保護基を脱離させ、適当なオキセタニル基を有する化合物(オキセタン化合物)、例えばハロアルキルオキセタン等と水酸基とを反応させる方法などが挙げられる。
オキセタン化合物と水酸基との反応は、用いられる化合物の形態や反応性により適した反応条件を選定すればよいが、通常、反応温度は−20℃〜180℃、好ましくは10℃〜150℃が選ばれ、反応時間は10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。これらの範囲外では反応が充分に進行しなかったり、副反応が生じたりして好ましくない。また、両者の混合割合は、水酸基1当量につき、オキセタン化合物0.8〜1.2当量が好ましい。
反応は、無溶媒でも可能であるが、通常は適当な溶媒下で行われる。使用される溶媒は目的とする反応を妨害しなければ特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類やこれらの混合物が挙げられる。
本発明において用いられる液晶性組成物は前記の液晶性化合物単独であっても、種々の液晶性化合物の混合物や各種の活性化剤や添加剤を含む組成物であっても、全体が液晶性を示せばよい。これらの液晶性組成物は、前記の低分子液晶物質または高分子液晶物質を少なくとも10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上含み、液晶性を示す組成物である。低分子液晶物質または高分子液晶物質の含有量が10質量%未満では組成物中に占める前記の液晶性を示す化合物の濃度が低くなり、組成物が液晶性を示さなくなる場合があり好ましくない。
本発明における液晶性組成物では、前述のように低分子液晶物質または高分子液晶物質の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基やオキセタニル基、オキシラニル基、ビニルオキシ基などのカチオン重合性基を有する各種の重合性化合物、カルボキシル基、アミノ基、イソシアナート基などの反応性基を有する化合物、フィルム形成能を有する各種の高分子化合物などを配合することもできる。また、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを、さらに反応性の官能基を有する化合物や低分子または高分子液晶物質を用いた場合は、それぞれの官能基に適した反応開始剤や活性化剤、増感剤等を本発明の目的を逸脱しない範囲内で添加してもよい。
反応性基を有する液晶性組成物は、所望の配向を実現させた後、当該反応性基を反応させるに適した条件下で反応を行わせる。
前記の反応開始剤としては、一般のラジカル重合に使用される有機過酸化物類、アゾ化合物や各種の光重合開始剤などが例示される。
光重合開始剤には、適当な光により開裂してラジカルを発生する光ラジカル開始剤、適当な光により開裂してカチオンを発生する光カチオン発生剤を挙げることができる。また必要によっては適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる熱カチオン発生剤なども使用することができる。
光ラジカル開始剤としては、一般に公知の紫外線(UV)硬化型塗料、UV硬化型接着剤、ネガ型レジスト等に使用される市販のベンゾインエーテル類、アシルホスフィンオキシド類、トリアジン誘導体類、ビイミダゾール誘導体類等が挙げられる。
光カチオン発生剤としては、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF (ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
また、熱カチオン発生剤としては、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
これらの反応開始剤の液晶性組成物中への添加量は、用いる液晶化合物を構成するメソゲン部分やスペーサ部分の構造、分子量、液晶の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、液晶化合物に対し、通常100質量ppm〜20質量%、好ましくは1000質量ppm〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜7質量%の範囲である。100質量ppmよりも少ない場合には、反応開始剤から発生する活性種の量が十分でなく反応が進行しないおそれがあり、また20質量%よりも多い場合には、液晶性組成物中に残存する反応開始剤の分解残存物等が多くなり着色したり、耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
次に本発明で用いられる熱可塑性高分子フィルムについて説明する。
本発明で用いられる熱可塑性高分子フィルムとしては、透明性に優れるものが好ましく、たとえば、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等が挙げられる。
また、従来公知の光学フィルムを使用することもできる。具体的には、富士フイルム(株)製の商品名「フジタック」や日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア」、JSR(株)製の商品名「アートン」、積水化学(株)製の商品名「エスシーナ」などが挙げられる。また、特開2001−343529号公報に記載のポリマーフィルムが挙げられる。このポリマー材料として、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。
また、これら熱可塑性高分子フィルムの厚みは、通常12〜200μmであり、好ましくは20〜150μm、より好ましくは25〜100μmである。厚みを12μm以上とすれば、後述する塗工工程における塗工精度がより一層優れたものとなり、また厚みを200μm以下とすれば、例えば、液晶セルに実装した際の外観をより一層向上させることができる。
なお、熱可塑性高分子フィルムの光学特性については特に限定されず、既に延伸および/または収縮処理を行い、光学的に異方性を有するものであっても良いし、そのような光学特性を有しないものであっても良い。また、市販のものをそのまま用いても良い。延伸する前の該熱可塑性フィルムの位相差値については、特に限定は無い。
ハイブリッドネマチック配向液晶層の形成に用いる配向基板としては、平滑な平面を有するものが好ましく、有機高分子材料からなるフィルムやシート、ガラス板、金属板などを挙げることができる。コストや連続生産性の観点からは有機高分子からなる材料を用いることが好ましい。有機高分子材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース等が例示できる。前述の液晶性組成物を用い、安定してホモジニアス配向を得るための基板を構成する材料としては、ポリビニルアルコールが最も好ましい。なお、これら有機高分子材料は単独で基板として用いても良いし、他の基板の上に薄膜として形成させていても良い。
本発明に使用される配向層について説明する。
本発明においては、液晶性組成物の配向はハイブリッドネマチック配向であるため、前記の熱可塑性高分子フィルム上や配向基板上に形成される液晶性組成物層が液晶状態でハイブリッドネマチック配向を形成できる配向層が必要である。かかる配向層の形成は、液晶性組成物がハイブリッドネマチック配向できるものであれば特に制限はない。熱可塑性高分子フィルムや配向基板の中には、改めて配向能を発現させるための処理を行わなくとも本発明に使用される液晶性組成物に対して十分なハイブリッドネマチック配向能を示すものもあるが、該配向能が不十分、または配向能を示さない等の場合には、様々な物理的処理や化学的処理あるいはこれらを組み合わせた処理を用いることができる。
物理的処理としては、適度な加熱下に延伸する、フィルム面をレーヨン布等で一方向に擦るいわゆるラビング処理を行う、ラングミュア−ブロジェット膜の形成などを挙げることができる。化学的処理としては、フィルム上に好ましくは長鎖アルキル基(通常炭素数4以上、好ましくは8以上)を結合したポリイミド、ポリビニルアルコールやシランカップリング剤などの界面活性剤等の公知の配向剤からなる配向膜を設ける、酸化珪素等の蒸着処理などを挙げることができる。あるいはこれらを適宜組み合わせるなどしてホモジニアス配向能を発現させてもよい。
液晶性組成物を前記熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に展開して液晶性組成物層を形成する方法としては、液晶性組成物を溶融状態で熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に塗布する方法や、液晶性組成物の溶液を熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明に使用される液晶性組成物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを溶液に添加してもよい。
液晶性組成物を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、各種のダイコート法、バーコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。
液晶性組成物の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
続いて、熱可塑性高分子フィルムや配向基板上に形成された液晶性組成物層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、用いた液晶性組成物に適した方法、例えば光照射および/または加熱処理で反応させ固定化する。最初の熱処理では、使用した液晶性組成物の液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶性組成物が本来有する自己配向能により液晶を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶性組成物の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶性組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶性組成物中の反応性官能基や、熱可塑性高分子フィルムや配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
該液晶性組成物層を熱処理などの方法でハイブリッドネマチック配向を形成したのち、配向状態を保ったまま液晶性組成物を組成物中の反応性官能基の反応により硬化させる。硬化工程は、完成した液晶配向を硬化(架橋)反応により液晶配向状態を固定化することを目的にしている。
本発明の液晶性組成物は、反応性官能基を有するので該反応性官能基の反応性にあわせた反応条件を設定して反応させることが必要である。
例えば、前記の式(7)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子物質を用いた液晶性組成物の場合は、重合性のオキセタニル基を持つため、その反応基の重合(架橋)には、カチオン重合開始剤(光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤)を用いるのが好ましいことは前述のとおりである。また、重合開始剤としては、熱カチオン発生剤より光カチオン発生剤の使用が好ましい。
光カチオン発生剤を用いた場合、光カチオン発生剤の添加後、液晶の配向のための熱処理までの工程を暗条件(光カチオン発生剤が解離しない程度の光遮断条件)で行えば、液晶性組成物は配向段階までは硬化することなく、充分な流動性をもって配向することができる。この後、適当な波長の光を発する光源からの光を照射することによりカチオンを発生させ、液晶性組成物層を硬化させる。
光照射の方法としては、用いる光カチオン発生剤の吸収波長領域にスペクトルを有するようなメタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射し、光カチオン発生剤を開裂させる。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光カチオン発生剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物を構成する液晶性高分子に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の光カチオン発生剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。
光照射時の温度は、該液晶性組成物が液晶相をとる温度範囲である必要がある。また、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶性組成物のTg以上の温度で光照射を行うのが好ましい。
本発明の位相差フィルムの製造方法は後述するが、上記熱可塑性高分子フィルム上にハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させ、延伸する方法の他に、別途、配向基板上にハイブリッドネマチック配向液晶層が形成された形態から、熱可塑性高分子フィルムに該液晶層を転写した形態からも製造することができる。
転写方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように、配向基板上に形成したハイブリッドネマチック配向液晶層を接着剤を介して、熱可塑性高分子フィルムと積層した後に、必要により接着剤に硬化処理を施し、該積層体から配向基板を剥離することで液晶層のみを熱可塑性高分子フィルムに転写する方法等を挙げることができる。
転写に使用する接着剤は、光学グレードのものであれば特に制限はなく、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系など一般に用いられているものを用いることができる。
次いで、本発明に使用することができる接着剤について説明する。
配向基板上のハイブリッドネマチック配向液晶層を熱可塑性高分子フィルムに転写するために使用される接着剤としては、当該液晶層および熱可塑性高分子フィルムに対して十分な接着力を有し、前記液晶層の光学的特性を損なわないものであれば、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂系、メタクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系、ポリビニルエーテル系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができる。
前記反応性のものの反応(硬化)条件は、構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよい。例えば、光硬化型の場合は、好ましくは各種の公知の光開始剤を添加し、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザー、シンクロトロン放射光源などの光源からの光を照射し、反応を行わせればよい。単位面積(1平方センチメートル)当たりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光開始剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、あるいは反応性の化合物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、あるいは吸収波長の異なる2種以上の光開始剤を混合して用いるなどの方法を採ることも出来る。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは50kV〜100kVである。
接着剤層の形成は、前記の液晶層の形成と同様に行ってもよく、またシリコーン等の易剥離層を設けた適当な基板上に前記の接着剤層を形成したいわゆるノンキャリア型接着剤を用いてもよい。ハイブリッドネマチック配向液晶層と熱可塑性高分子フィルムとの接着は強度を向上させる、接着界面に空気の残存による泡の発生を防止する、などのためにラミネーター、ロール、加圧器等を用いて加圧、加熱等を加えてもよい。
接着剤層の厚さは、構成成分や強度や使用温度などにより異なるが、通常1〜50μm、好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは3〜10μmである。この範囲外では接着強度が不足したり、端部よりの滲み出しなどがあったりして好ましくない。なお、前記接着剤に替えてその性能によっては粘着剤を用いることもできる。
また、液晶層と熱可塑性高分子フィルムの接着性を改善するために、液晶層もしくは熱可塑性高分子フィルムに表面処理を施しても良い。また、熱可塑性高分子液晶フィルム上に易接着層を設けても良い。
本発明に使用される熱可塑性高分子フィルムは、単独で、または後述する製造方法(II)における積層体(A)の形態で表面処理を施しておくのが好ましい。
表面処理は、熱可塑性高分子フィルムに適した方法を用いればよく、かかる方法としては、コロナ放電処理、火炎処理、低圧UV照射、プラズマ処理等を挙げることができ、より好ましくは、シクロオレフィン系ポリマーを用いた場合は、コロナ放電処理が好ましい。
前記のコロナ放電処理も通常の条件でよく、例えば、粘・接着剤と接する面に施す。処理条件としては、粘・接着剤と接する面の性情やコロナ処理装置等により異なるが、例えばエネルギー密度として1〜300W・min/mが好適である。コロナ放電処理を施すことによって表面張力は増大するが、40dyn/cm以上に高くしておくことが望ましい。
次に本発明の位相差フィルムの製造方法について詳細に説明する。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、以下の3通りから選ばれる。
[A]製造方法(I)
(1)熱可塑性高分子フィルムの上に、液晶性組成物がハイブリッドネマチック配向を形成するための配向層を形成する第1工程、
(2)配向層上に、液晶性組成物の層を塗布し、該層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体を得る第2工程、
(3)前記の熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体を延伸して、位相差フィルムを得る第3工程、
の各工程から少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
[B]製造方法(II)
(1)配向基板上に、液晶性組成物の層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る第1工程、
(2)前記積層体(A)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと接着せしめた後、配向基板を剥離して、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(B)を得る第2工程、
(3)前記の熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(B)を延伸して、傾斜位相差フィルムを得る第3工程、
の各工程から少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
[C]製造方法(III)
(1)配向基板上に、液晶性組成物の層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る第1工程、
(2)前記の配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を延伸して、積層体(E)を得る第2工程、
(3)前記積層体(E)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと接着せしめた後、配向基板を剥離して、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる位相差フィルムを得る第3工程、
の各工程からから少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
まず、製造方法(I)について説明する。
まず、第1工程について説明する。
前述した熱可塑性高分子フィルム上に、液晶性組成物がハイブリッドネマチック配向を形成する配向層を形成すればよく、かかる形成方法として前述の物理的処理や化学的処理等から用いる熱可塑性高分子フィルムに適した処理を行えばよい。
次いで、第2工程の製造方法について説明する。
第1工程で製造した配向層上に、液晶性組成物の塗膜を適切な方法で形成し、必要に応じて溶媒等を除去し、加熱等により液晶性組成物の配向を完成せしめ、用いた液晶性組成物に適した手段により液晶性組成物のハイブリッドネマチック配向を固定化する。かくして、熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体が得られる。
次いで第3工程として、前記積層体を延伸することで本発明の傾斜位相差フィルムを得ることが出来る。
得られた位相差フィルムは、表面保護のため、透光性オーバーコート層を設けたり、一時的な表面保護フィルムを貼合しても良い。ここで透光性オーバーコートとしては、前述の接着剤から適宜選定することも出来る。
延伸方法としては、例えば、前記積層体を長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸、フィルムの長手方向を固定した状態で幅方向に延伸する固定端横延伸、長手方向及び幅方向の両方向に延伸を逐次または同時に行う二軸延伸などの方法が挙げられる。延伸する方向としては、一軸延伸の場合は、ハイブリッドネマチック液晶配向層の配向方向あるいは、配向方向と垂直な方向に延伸することが好ましく、二軸延伸の場合は、ハイブリッドネマチック液晶配向層の配向方向と配向方向と垂直な方向の両方向に延伸することで、所望の光学パラメータを得ることができる。上記条件と異なる方向に延伸した場合、ハイブリッドネマチック配向液晶層自体の軸性が崩れてしまい、液晶パネルに載せたときの光学特性が悪化ししまう恐れがある。
延伸は、通常加熱しながら行われ、加熱温度は一般的に100〜250℃であるが、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜210℃である。加熱温度が100℃以下の場合は、延伸の際にフィルムにクラックが入る虞があり、また250℃以上の場合は所望の位相差が得られない虞があり好ましくない。
前記一軸あるいは二軸延伸を行う場合、延伸倍率は通常1.01倍以上3.0倍以下、好ましくは1.03倍以上2.0倍以下、さらに好ましくは1.05倍以上1.6倍以下とすることができる。延伸倍率が1.01倍未満であると延伸による効果が十分でなく、フィルム延伸前のネマチックハイブリッド配向液晶層の屈折率構造に近い構造にしかならないおそれがあるため好ましくない。延伸倍率が3.0倍より大きい時は、延伸むらのために不均一な屈折率構造となってしまうか液晶層にクラックが入るおそれがある。
次に、製造方法(II)について説明する。
まず、第1工程である積層体(A)の製造方法について説明する。
適宜な処理等によりハイブリッドネマチック配向能を有する配向基板上に、液晶性組成物の塗膜を適切な方法で形成し、必要に応じて溶媒等を除去し、液晶性組成物層をハイブリッドネマチック配向させ、用いた液晶性組成物に適した手段で該配向を固定化する。かくして配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層または配向基板/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る。
次いで、第2工程の製造方法について説明する。
前記積層体(A)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと密着した後、必要により接着剤層1を反応(硬化)させた後、配向基板を剥離してハイブリッドネマチック配向液晶層を熱可塑性高分子フィルムに転写する。かくして熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層(/配向層)からなる積層体(B)を得る。
次いで第3工程として、前記積層体(B)を延伸することで本発明の傾斜位相差フィルムを得ることが出来る。なお、延伸条件は製造方法(I)と同様でよい。
また、得られた位相差フィルムは、表面保護のため、透光性オーバーコート層を設けたり、一時的な表面保護フィルムを貼合しても良い。ここで透光性オーバーコートとしては、前述の接着剤から選定することも出来る。
なお、ネマチックハイブリッド配向した液晶層は、前述のように、配向した状態で基板側と上面側でダイレクターの方向が異なるため、本発明の位相差フィルムにおいて延伸前の液晶層表面のダイレクターの方向を考慮して前記の積層体(B)を得る場合、必要により複数回の転写を行っても良い。この場合最初に使用する熱可塑性高分子フィルムは液晶層の再剥離が可能なものが好ましい。
複数回の転写を行う場合、液晶層の再剥離が可能な基板(以下、再剥離性基板という)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、一軸延伸ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂等のフィルムが使用できる。
とりわけ、光学的欠陥の検査性に優れる透明性で光学的に等方性のフィルムが好ましく、等方性基板として例示したポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂などが好ましい。
これらのプラスチックフィルムには、適度な再剥離性を持たせるために、予めその表面にシリコーンをコートしておくことができ、あるいは有機薄膜又は無機薄膜を形成しておくことができる。また、同様な目的で、プラスチックフィルムの表面に鹸化処理などの化学処理を施すか、あるいはコロナ処理のような物理的処理を施しておくこともできる。
また、再剥離性基板の剥離性を調整するために、上記のプラスチックフィルムに滑剤や表面改質剤を含有させることもできる。前記滑剤としては、光学的欠陥の検査性や剥離性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、種類、添加量に特に制限は無い。滑剤の具体例としては、微細シリカ、微細アルミナ等が挙げられ、添加量の指標としては、再剥離性基板のヘイズ値が通常50%以下、好ましくは30%以下となるようにすればよい。添加量が少なすぎると添加効果が認められず、一方、多すぎる場合には、光学的欠陥の検査性が悪化し好ましくない。
また、必要に応じてその他の公知の各種添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。
再剥離性基板の剥離力に関しては、同一材料から製造される再剥離性基板であっても製造方法、表面状態や使用される接着剤との濡れ性などにより変化するため一概には決定できないが、接着剤との界面での剥離力(180゜剥離、剥離速度30cm/分、室温下測定)は、通常0.38〜12N/m、好ましくは0.38〜8.0N/mであることが望ましい。剥離力がこの値より低い場合には、配向基板上の液晶層を再剥離性基板と接着後、配向基板を剥離する際、剥離力が低すぎ再剥離性基板に浮きが見られたりして所望する界面での良好な剥離状態が得られず、再剥離性基板への液晶層の転写が不十分になる、また剥離力が高すぎる場合には、再剥離性基板を剥離する際、液晶層の破壊、あるいは、所望する層との界面で剥離ができないなどして好ましくない。
また、再剥離性基板の厚みも剥離性に影響する場合があり、望ましくは16〜100μm、特に望ましくは25〜50μmがよい。厚みが厚すぎると剥離ポイントが安定せず剥離性が悪化する恐れがあり、一方薄すぎるとフィルムの機械強度が保てなくなるため、製造中に引き裂かれるなどのトラブルが生じる恐れがある。
また本発明では、ハイブリッドネマチック配向液晶層を接着剤層を介して繰り返し積層することにより、ハイブリッドネマチック配向液晶層の層を複数、積層することも可能である。
次に、製造方法(III)について説明する。
まず、第1工程である積層体(A)の製造方法については、製造方法(II)と同様である。
次いで第2工程として、前記積層体(A)を延伸することで、延伸した配向基板/(配向層)/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(E)を得る。なお、延伸条件は上記の製造方法(I)と同様でよい。
次いで第3工程として、前記積層体(E)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと密着した後、必要により接着剤層1を反応(硬化)させた後、配向基板を剥離してハイブリッドネマチック配向液晶層を熱可塑性高分子フィルムに転写し、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層/(配向層)からなる位相差フィルムを得る。
なお、上記第3工程に使用される熱可塑性高分子フィルムは、延伸の有無を問わないが、好ましくは延伸されて位相差機能を有するものである。
かくして、本発明の傾斜位相差フィルムを得ることができる。
また、得られた位相差フィルムは、表面保護のため、透光性オーバーコート層を設けたり、一時的な表面保護フィルムを貼合しても良い。ここで透光性オーバーコートとしては、前述の接着剤から選定することも出来る。
本発明の傾斜位相差フィルムの構成は、上記のような傾斜位相差フィルムを備えていれば特に限定されず、各種光学用途に応じて、本発明の位相差フィルムのみからなるものを単独で使用しても良いし、他の光学部材と組み合わせた構成のものを使用しても良い。他の光学部材としては偏光子、偏光板、光学機能を有する延伸フィルムや液晶の配向層を有するフィルム等を挙げることができる。
本発明の偏光板は、前記位相差フィルムと偏光素子とが積層されたものである。位相差フィルムと偏光素子とを備えていれば、その他の構成については特に制限は無い。位相差フィルムと偏光素子とは、直接貼り合わされてもよく、他の部材を介して積層されても良い。
本発明に使用できる偏光素子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光素子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させたもの、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光素子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光素子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
偏光素子の一方の面に設けられる透光性保護フィルムとしては、光学的に等方な基板が好ましく、例えばフジタック(富士フイルム社製品)やコニカタック(コニカミノルタオプト社製品)などのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アートンフィルム(JSR社製品)やゼオノアフィルム、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)などのシクロオレフィン系ポリマー、TPXフィルム(三井化学社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)が挙げられるが、偏光板とした場合の平面性、耐熱性や耐湿性などからトリアセチルセルロース、シクロオレフィン系ポリマーが好ましい。透光性保護フィルムの厚さは、一般には200μm以下であり、1〜100μmが好ましい。特に5〜50μmとするのが好ましい。
透光性保護フィルムとしては、表面にハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、光拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を当該保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための光拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、光拡散層やアンチグレア層等は、透光性保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透光性保護フィルム層とは別体のものとして設けることもできる。
次に、本発明の位相差フィルムを適用する液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、前記位相差フィルムを少なくとも有する。本発明の位相差フィルムを液晶セルに配置する場合には、位相差フィルムを偏光素子層と液晶セルの間に配置する、または少なくとも一方の偏光板を本発明の偏光板と置換することが必要である。
液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、および位相差補償板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート等の部材から構成されるが、本発明においては前記位相差フィルムを使用する点を除いて特に制限は無い。また位相差フィルムの使用位置は特に制限はなく、1カ所でも複数カ所でも良い。また、他の位相差板と組み合わせて使用することも出来る。
液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。
液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶物質、高分子液晶物質およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性物質等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板および液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。
前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式,STN(Super Twisted Nematic)方式,ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式,IPS(In-Plane Switching)方式,VA(Vertical Alignment)方式,OCB(Optically Compensated Birefringence)方式,HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式,ハーフトーングレイスケール方式,ドメイン分割方式,あるいは強誘電性液晶,反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。
また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であっても良い。
前記液晶表示装置に用いる位相差補償板としては、透明性と均一性に優れたものであれば特に制限されないが、高分子延伸フィルムや、液晶からなる光学補償フィルムが好ましく使用できる。高分子延伸フィルムとしては、セルロース系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルフォン系、ポリアクリル系、ポリエーテルスルフォン系、シクロオレフィン系ポリマー等からなる一軸又は二軸位相差フィルムを例示することができる。中でもポリカーボネート系やシクロオレフィン系ポリマーがコスト面およびフィルムの均一性から好ましい。
また、ここで言う液晶からなる光学補償フィルムとは、液晶を配向させてその配向状態から生じる光学異方性を利用できるフィルムであれば特に制限されるものではない。例えばネマチック液晶やディスコチック液晶、スメクチック液晶等を利用した各種光学機能性フィルム等、公知のものを使用することができる。
ここに例示した位相差補償板は、液晶表示装置を構成するにあたり、1枚のみの使用でも良いし、複数枚使用しても良い。また、高分子延伸フィルムと、液晶からなる光学補償フィルムの両方を使用することもできる。
前記反射層としては、特に制限されず、アルミニウム、銀、金、クロム、白金等の金属やそれらを含む合金、酸化マグネシウム等の酸化物、誘電体の多層膜、選択反射を示す液晶又は、これらの組み合わせ等を例示することができる。これら反射層は平面であっても良く、また曲面であっても良い。さらに反射層は、凹凸形状など表面形状に加工を施して拡散反射性を持たせたもの、液晶セルの観察者側と反対側の前記電極基板上の電極を兼備させたもの、反射層の厚みを薄くしたり、穴をあける等の加工を施すことで光を一部透過させるようにした半透過反射層であっても良く、またそれらを組み合わせたものであっても良い。
前記光拡散層は、入射光を等方的あるいは異方的に拡散させる性質を有するものであれば、特に制限はない。例えば2種以上の領域からなり、その領域間に屈折率差をもつものや、表面形状に凹凸を付けたものが挙げられる。前記2種以上の領域からなり、その領域間に屈折率差をもつものとしては、マトリックス中にマトリックスとは異なる屈折率を有する粒子を分散させたものが例示される。前記拡散層はそれ自身が粘接着性を有するものであっても良い。
前記光拡散層の膜厚は、特に制限されるものではないが、通常10μm以上500μm以下であることが望ましい。
また光拡散層の全光線透過率は、50%以上であることが好ましく、特に70%以上であることが好ましい。さらに当該光拡散層のヘイズ値は、通常10〜95%であり、好ましくは40〜90%であり、さらに好ましくは60〜90%であることが望ましい。
前記バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシートとしては、特に制限されず公知のものを使用することができる。
本発明の液晶表示装置は、前記した構成部材以外にも他の構成部材を付設することができる。例えば、カラーフィルターを本発明の液晶表示装置に付設することにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができるカラー液晶表示装置を作製することができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。
(1)GPCの測定
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(2)顕微鏡観察
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で液晶の配向状態を観察した。
(3)光学パラメータの測定
王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA21ADHを用いた。
(4)膜厚測定法
SLOAN製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SYSTEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
以下の参考例、実施例および比較例において記載の略号はそれぞれ下記を表す。
DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DCM:ジクロロメタン
PPTS:ピリジニウム−p−トルエンスルホネート
THF:テトラヒドロフラン
DMF:ジメチルホルムアミド
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
PEN:ポリエチレンナフタレート
TAC:トリアセチルセルロース
[参考例1]
スキーム1に従い、オキセタニル基を持つ中間体化合物1を合成した。
Figure 2009294522
[参考例2]
下記スキーム2に従い、アクリル化合物2を合成した。
Figure 2009294522
[参考例3]
スキーム3に従い、アクリル化合物3を合成した。
Figure 2009294522
[参考例4]
スキーム4に従い、アクリル化合物4を合成した。
Figure 2009294522
[参考例5]
アクリル化合物2の2部(モル比)とアクリル化合物3の5部(モル比)とアクリル化合物4の2部(モル比)とブチルアクリレートの1部(モル比)から、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、側鎖型液晶性ポリアクリレート5を合成した。
GPCにより測定した側鎖型液晶性ポリアクリレート5の数平均分子量は、8,100であった。DSC測定より、ガラス転移点(Tg)は55℃であった。ホットステージ上での偏光顕微鏡観察より、Tg以上の温度でネマチック液晶相(Nm)を発現し、Nm−等方相転移温度は208℃であった。
[参考例6]
スキーム6に従い、ジオキセタン化合物6を合成した。
Figure 2009294522
<実施例1>
参考例2で合成したアクリル化合物2を0.05g、参考例5で合成した側鎖型液晶性ポリアクリレート5の0.75gと、参考例6で合成したジオキセタン化合物6の0.2gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でダウケミカル社製UVI−6992(50%プロピレンカーボネート溶液)の0.04g、および、界面活性剤を少量添加後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して液晶性組成物の溶液を調製した。
配向基板は以下のようにして調製した。厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET,東レ(株)製)を15cm角に切り出し、ポリビニルアルコール(PVA,(株)クラレ製、PVA−117H)の3質量%溶液(溶媒は、水とイソプロピルアルコールの質量比7:3の混合溶媒)をスピンコート法により塗布し、50℃のホットプレートで30分乾燥した後、120℃のオーブンで10分間加熱した。この表面をレーヨン布によりラビング処理を行った。
上記配向基板上に液晶性組成物の溶液を、スピンコート法を用いて塗布し、塗布後約60℃の温風を緩やかに吹き付けることにより溶剤を除去し、ついでオーブン中で150℃で2分加熱後、130℃でさらに3分加熱することにより、まず均一な液晶配向を形成させた。次いで、60℃に加熱したアルミ板に試料を密着させて置き、その上から、高圧水銀灯ランプにより600mJ/cmの紫外光(ただし365nmで測定した光量)を照射して、液晶性組成物を硬化させ、PETフィルム/PVA層/液晶性組成物層からなる積層体Aを得た。
配向基板として用いたPETフィルムは大きな複屈折を有するため、積層体Aの形態では液晶性組成物層(ハイブリッドネマチック配向液晶層)の光学パラメータの測定が困難なため、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に次のようにして液晶性組成物層(ハイブリッドネマチック配向液晶層)を転写した。
すなわち、PETフィルム上の液晶性組成物層(ハイブリッドネマチック配向液晶層)上に、接着剤層1として紫外線硬化型接着剤を5μm厚となるように塗布し、TACフィルム(40μm厚)でラミネートして、TACフィルム側から紫外線を照射して接着剤を硬化させた後、PVA層およびPETフィルムを剥離し、積層体B(液晶性組成物層(ハイブリッドネマチック配向液晶層)/接着剤層1/TACフィルム)を得た。
ディスクリネーションなどがないモノドメインの均一な液晶配向が観察された。
積層体Aのハイブリッドネマチック配向液晶層に市販のUV硬化型接着剤(UV−3400、東亞合成(株)製)を5μmの厚さに接着剤層2として塗布し、この上に、250W・min/mの条件でコロナ処理を施したゼオノアフィルム(膜厚100μm、日本ゼオン(株)製)を、そのコロナ処理後30秒以内にそのコロナ処理面でラミネートし、約600mJのUV照射により該接着剤層2を硬化させた。PETフィルム/PVA層/ハイブリッドネマチック配向液晶層/接着剤層2/ゼオノアフィルムが一体となった積層体からPETフィルムおよびPVA層を剥離することにより、ハイブリッドネマチック配向液晶層/接着剤層2/ゼオノアフィルムからなる積層体Cを得た。積層体Cの総厚みは、110μmであった。
積層体Cを正面から見たときのΔndは110nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは160nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは50nmと非対称であり、どの角度でもΔndが0nmになる点が存在しなかった。ゼオノアフィルム自体は、延伸前の状態では、光学的に等方性であるため、斜め方向に傾けたときのΔndは、液晶組成物層のみの光学パラメータであることから、この液晶性組成物層はネマチックハイブリッド配向構造をとっていることがわかった。平均チルト角は35度であった。
その後、積層体Cを140℃に加熱しながら、ネマチックハイブリッド配向フィルムの配向方向とは略直交する方向に20%延伸し、位相差フィルムDを得た。
位相差フィルムDの斜め方向の位相差値を自動複屈折計を用いて測定したところ、正面から見たときのΔndは30nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは70nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは10nmと非対称であり、傾斜フィルムであることがわかった。
延伸前の積層体Cと延伸後の位相差フィルムDの傾斜方向斜め位相差値を図3に示す。積層体Cを延伸して得られた位相差フィルムDは、正の一軸性フィルムがネマチックハイブリッド配向したフィルムの斜め位相差値とは、全く異なるパラメータを有することがわかった。
<実施例2>
厚さ100μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン(株)製)を15cm角に切り出し、ポリビニルアルコール(PVA,(株)クラレ製、PVA−117H)の3質量%溶液(溶媒は、水とイソプロピルアルコールの質量比7:3の混合溶媒)をスピンコート法により塗布し、50℃のホットプレートで30分乾燥した後、120℃のオーブンで10分間加熱した。この表面をレーヨン布によりラビング処理を行った。
このようにして得られた基板上に、実施例1で作製した液晶性組成物溶液をスピンコート法により塗布した。次いで60℃のホットプレートで10分乾燥し、150℃のオーブンで2分間熱処理し、液晶性組成物層を配向させた。次いで、60℃に加熱したアルミ板に試料を密着させて置き、その上から、高圧水銀灯ランプにより600mJ/cmの紫外光を照射して、液晶性組成物層を硬化させ、ゼオノアフィルム/PVA層/ネマチックハイブリッド配向液晶層からなる積層体Eを得た。
積層体Eを正面から見たときのΔndは100nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは150nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは40nmと非対称であり、どの角度でもΔndが0nmになる点が存在しなかった。ゼオノアフィルム自体は、延伸前の状態では、光学的に等方性であるため、斜め方向に傾けたときのΔndは、液晶組成物層のみの光学パラメータであることから、この液晶性組成物層はネマチックハイブリッド配向構造をとっていることがわかった。平均チルト角は40度であった。
その後、積層体Eを140℃に加熱しながら長手方向に15%延伸し、位相差フィルムFを得た。位相差フィルムFの斜め方向の位相差値を自動複屈折計を用いて測定したところ、正面から見たときのΔndは40nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは80nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは15nmと非対称であり、傾斜フィルムであることがわかった。
実施例1と同様、延伸前の積層体Eと延伸後得られた位相差フィルムFの、傾斜方向の斜め位相差値のデータを重ね合わせたところ、位相差フィルムFが、正の一軸性液晶材料が傾斜配向したものとは全く異なるパラメータを有することがわかった。
<実施例3>
実施例2にて、積層体Eを140℃に加熱しながら長手方向に15%延伸した得た位相差フィルムFのホメオトロピック配向液晶層に市販のUV硬化型接着剤(UV−3400、東亞合成(株)製)を5μmの厚さに接着剤層2として塗布し、この上に、250W・min/mの条件でコロナ処理を施したゼオノアフィルム2(膜厚100μm、日本ゼオン(株)製)を、そのコロナ処理後30秒以内にそのコロナ処理面でラミネートし、約600mJのUV照射により該接着剤層2を硬化させた。ゼオノアフィルム/PVA層/ネマチックハイブリッド配向液晶層/接着剤層2/ゼオノアフィルム2が一体となった積層体からゼオノアフィルムおよびPVA層を剥離することにより、ネマチックハイブリッド配向液晶層/接着剤層2/ゼオノアフィルム2からなる位相差フィルムGを得た。
位相差フィルムGの斜め方向の位相差値を自動複屈折計を用いて測定したところ、正面から見たときのΔndは60nmであった。また、ラビング軸に沿って鉛直から40°傾いた場所から見たときのΔndは90nm、その反対の−40°傾いた場所から見たときのΔndは25nmと非対称であり、実施例1で作製した位相差フィルムDと同様、傾斜フィルムであることがわかった。
実施例1と同様、延伸前の積層体Eと延伸後得られた位相差フィルムGの、傾斜方向の斜め位相差値のデータを重ね合わせたところ、位相差フィルムGが、正の一軸性液晶材料が傾斜配向したものとは全く異なるパラメータを有することがわかった。
<実施例4>
本実施例において用いた液晶表示装置の概念図については図4を、その軸構成については図5を用いて説明する。
基板14にITO等の透過率の高い材料で形成された透明電極13が設けられ、基板10にITO等の透過率の高い材料で形成された対向電極11が設けられ、透明電極13と対向電極11との間に正の誘電率異方性を示す液晶材料からなる液晶層12が挟持されている。基板10の対向電極11が形成された側の反対面に偏光板9が設けられており、基板14の透明電極13が形成された面の反対側に第1の光学異方性層15及び偏光板16が設けられている。偏光板16の背面側にはバックライト17が設けられている。
実施例1で作製した位相差フィルムDからなる第1の光学異方性層15を作製し、図4に示したような配置で液晶表示装置を作製した。
使用した液晶セル18は、液晶材料としてZLI−1695(Merck社製)を用い、液晶層厚は4.0μmとした。液晶層の基板両界面のプレチルト角は3度であり、液晶セルのΔndは略260nmであった。
液晶セル18の観察者側(図の上側)に偏光板9(厚み約100μm;住友化学(株)製SQW−062)を配置した。
また、観察者から見て液晶セル18の後方に、第1の光学異方性層15として、位相差フィルムDを配置し、更に背面に偏光板16を配置した。偏光板9及び16の吸収軸、液晶セル18の両界面のプレチルト方向、位相差フィルムD中の液晶層のチルト方向は図5に記載した条件で配置した。
図6は、バックライト点灯時(透過モード)での、白表示0V、黒表示5Vの透過率の比(白表示)/(黒表示)をコントラスト比として、全方位からのコントラスト比を示している。等コントラスト曲線のコントラスト値は、内側から50,20,10,5,2である。
図6から良好な視野角特性を持っていることが分かった。
<比較例1>
実施例4で作製した液晶表示装置において、第1の光学異方性層15として、実施例4で用いた位相差フィルムD(延伸後:正面Δnd30nm)の代わりに、実施例1で作製した積層体C(延伸前:正面Δnd110nm)と一軸性のゼオノアフィルム(正面Δnd80nm)を直交に貼り合わせて配置した以外は、実施例4と同様にして作製した。一軸性のゼオノアと積層体Cを直交に配置することにより、正面Δndは30nmになるよう設定している。
図7は、バックライト点灯時(透過モード)での、白表示0V、黒表示5Vの透過率の比(白表示)/(黒表示)をコントラスト比として、全方位からのコントラスト比を示している。
視野角特性について、実施例4と比較例1を比較する。
全方位の等コントラスト曲線を図6と図7で比較すると、正の一軸性液晶組成物を延伸して得られた傾斜フィルムである位相差フィルムDを配置することにより、視野角特性が改善されていることが分かる。
棒状液晶組成物からなるハイブリッドネマチック配向を示す模式図である。 円盤状液晶組成物からなるハイブリッドネマチック配向を示す模式図である。 積層体Cおよび位相差フィルムDの傾斜角度と位相差の関係を示す図である。 実施例4の液晶表示装置を模式的に表した断面図である。 実施例4における偏光板の吸収軸、液晶セルのプレチルト方向、高分子延伸フィルムの遅相軸および液晶フィルムのチルト方向の角度関係を示した平面図である。 実施例4における液晶表示装置を全方位から見た時のコントラスト比を示す図である。 比較例1における液晶表示装置を全方位から見た時のコントラスト比を示す図である。
符号の説明
1 棒状液晶分子
2 円盤状液晶分子
3、4 棒状液晶分子のダイレクタ方向
5、7 円盤状液晶分子のダイレクタ方向
6、8 円盤状液晶分子の円盤面方向(ダイレクタ方向とは直交)
9、16 偏光板
10、14 基板
11 対向電極
12 液晶層
13 透明電極
15 第1の光学異方性層
17:バックライト
18 液晶セル

Claims (19)

  1. 液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を延伸して得られる傾斜位相差フィルム。
  2. 液晶性組成物が、正の一軸性の棒状液晶性組成物から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜位相差フィルム。
  3. 液晶性組成物が、負の一軸性の円盤状液晶性組成物から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜位相差フィルム。
  4. 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、オキセタニル基を有する側鎖型の液晶性高分子から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の傾斜位相差フィルム。
  5. 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、反応性官能基を有する低分子液晶物質から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の傾斜位相差フィルム。
  6. 液晶性組成物を液晶状態においてハイブリッドネマチック配向させた後、該配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層が、熱可塑性高分子フィルムの上に配向膜あるいは接着剤を介して積層一体化された積層体を、延伸して得られる傾斜位相差フィルム。
  7. 前記熱可塑性高分子フィルムが、シクロオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の傾斜位相差フィルム。
  8. 前記熱可塑性高分子フィルムが、セルロース系樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の傾斜位相差フィルム。
  9. (1)熱可塑性高分子フィルムの上に、液晶性組成物がハイブリッドネマチック配向を形成するための配向層を形成する第1工程、
    (2)配向層上に、液晶性組成物の層を塗布し、該層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体を得る第2工程、
    (3)前記の熱可塑性高分子フィルム/配向層/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体を延伸して、位相差フィルムを得る第3工程、
    の各工程から少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
  10. (1)配向基板上に、液晶性組成物の層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る第1工程、
    (2)前記積層体(A)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと接着せしめた後、配向基板を剥離して、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(B)を得る第2工程、
    (3)前記の熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(B)を延伸して、位相差フィルムを得る第3工程、
    の各工程から少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
  11. (1)配向基板上に、液晶性組成物の層をハイブリッドネマチック配向させた後、配向を固定化したハイブリッドネマチック配向液晶層を形成させて、配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を得る第1工程、
    (2)前記の配向基板/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる積層体(A)を延伸して、積層体(E)を得る第2工程、
    (3)前記積層体(E)のハイブリッドネマチック配向液晶層側を、接着剤層1を介して、熱可塑性高分子フィルムと接着せしめた後、配向基板を剥離して、熱可塑性高分子フィルム/接着剤層1/ハイブリッドネマチック配向液晶層からなる位相差フィルムを得る第3工程、
    の各工程からから少なくともなることを特徴とする傾斜位相差フィルムの製造方法。
  12. 前記熱可塑性高分子フィルムが表面処理されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
  13. 表面処理が、コロナ放電処理であることを特徴とする請求項12に記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
  14. 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、オキセタニル基を有する側鎖型の液晶性高分子から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
  15. 前記ハイブリッドネマチック配向液晶層が、反応性官能基を有する低分子液晶物質から少なくともなる液晶性組成物からなることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
  16. 前記熱可塑性高分子フィルムが、シクロオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
  17. 前記熱可塑性高分子フィルムが、セルロース系樹脂であることを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の傾斜位相差フィルムの製造方法。
  18. 請求項1〜8のいずれかに記載の位相差フィルムと偏光素子とが積層されていることを特徴とする偏光板。
  19. 請求項18に記載の偏光板が、液晶セルの少なくとも片側に配されてなることを特徴とする液晶表示装置。
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