JP5287166B2 - 光学補償膜 - Google Patents

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Description

本発明は、側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子であって、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい高分子の塗工膜からなり、未延伸の状態でも光学補償機能を有し膜の厚み方向の屈折率が高い光学補償膜に関するものである。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。特に位相差フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償など大きな役割を果たしている。従来の位相差フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィン、セルロース系樹脂の延伸フィルムが用いられているが、これらの高分子はいずれも正の複屈折を有する高分子である。ここで、複屈折の正負は下記に示すように定義される。
フィルムを延伸した場合のフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、進相軸と直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzと示す。なお、進相軸とはフィルム面内における屈折率の低い軸方向である。
そして、正の複屈折率とは延伸方向と垂直方向が進相軸方向となるものであり、負の複屈折率とは延伸方向が進相軸方向となるものである。
つまり、正の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸方向と直交する軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向と垂直方向)、負の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸方向の屈折率が小さい(進相軸:延伸方向)。
また、面内位相差量(Re)は、進相軸と直交する方向の屈折率(ny)−フィルム面内の進相軸方向の屈折率(nx)にフィルム厚みを掛けた値として表される。
多くの高分子は正の複屈折性を有する。負の複屈折を有する高分子としてはアクリル樹脂やポリスチレンがあるが、アクリル樹脂は位相差の発現性が小さく、光学補償としての特性は十分でない。ポリスチレンは、室温領域での光弾性係数が大きくわずかな応力で位相差が変化するなど位相差の安定性の課題、位相差の波長依存性が大きいといった光学特性上の課題、更に耐熱性が低いといった実用上の課題があり現状用いられていない。
負の複屈折を示す高分子の延伸フィルムはフィルムの厚み方向の屈折率が高く、従来にない光学補償膜となるため、例えばスーパーツイストネマチック型液晶(STN−LCD)や垂直配向型液晶(VA−LCD)、面内配向型液晶(IPS−LCD)、反射型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイなどのディスプレイの視角特性の補償用の光学補償フィルムや偏光板の視角を補償するための光学補償フィルムとして有用であり、負の複屈折を有する光学補償フィルムに対して市場の要求が強い。
一方正の複屈折を有する高分子を用いてフィルムの厚み方向の屈折率を高めたフィルムの製造方法が提案されている。ひとつは高分子フィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、高分子フィルムの厚み方向に収縮力をかける処理方法(例えば特許文献1〜3参照。)である。また、高分子フィルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する方法が提案されている(例えば特許文献4参照。)。また、負の光学異方性を有する微粒子と透明性高分子からなる位相差フィルムが提案されている(例えば特許文献5参照。)。また、液晶性高分子フィルムを塗工し、ホメオトロピック配向させた光学補償フィルムあるいは光学補償層が提案されている(例えば特許文献6参照)。さらに、ポリビニルナフタレン、ポリビニルビフェニル、ポリビニルカルバゾールなどの芳香族ポリマーを塗工した光学補償フィルムが提案されている(例えば特許文献7、8参照)。
特許2818983号公報 特開平05−297223号公報 特開平05−323120号公報 特開平06−088909号公報 特開2005−156862号公報 特開2002−333524号公報 特開2001−91746号公報 特開2006−221116号公報
しかし、特許文献1〜4において提案された方法は、製造工程が非常に複雑になるため生産性に劣るといった課題がある。また位相差の均一性などの制御も従来の延伸による制御に比べると著しく難しくなる。またベースフィルムとしてポリカーボネートを使用した場合には室温での光弾性定数が大きく、わずかな応力により位相差が変化するなど位相差の安定性にも課題がある。更に位相差の波長依存性が大きいなどの課題を抱えている。
また、特許文献5で得られる位相差フィルムは、負の光学異方性を有する微粒子を添加することにより負の複屈折を有する位相差フィルムであり、製造方法の簡便化及び経済性の観点から、微粒子を添加する必要のない位相差フィルムが求められている。特許文献6に記載の方法では液晶性高分子を均一にホメオトロピック配向させることが難しいという課題がある。また、特許文献7、8に記載の方法では、得られる膜が割れやすいことや芳香族化合物であるため、位相差の波長分散性が大きくディスプレイに組み込んだ際に色ずれが大きくなるといった課題がある。
そこで、本発明は、塗工膜からなり、未延伸の状態でも光学特性に優れた光学補償膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特定の分極率を有する脂肪族高分子の塗工膜からなることを特徴とする光学補償膜が、上記課題を満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子であって、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きく、エネルギー障壁(ΔE)値が100kcal以上である高分子の塗工膜からなることを特徴とする光学補償膜に関するものである。
以下、本発明の光学補償膜について詳細に説明する。
塗工膜の分極率は、分子軌道法により計算することができる。計算はフリーソフトのWinmostar及びMopac(いずれもテンキューブ研究所)を使用し、任意の分子の最安定状態を計算し、この状態でモノマー単位の分極率テンソルを計算する。
高分子が完全に面内方向に配向していると仮定し、求めた分極テンソルよりフィルム面内方向及びフィルム厚み方向それぞれの分極率を算出する。すなわち、主鎖方向をz1方向、主鎖と直行する方向(側鎖方向)をx1方向とy1方向とそれぞれおいた場合、主鎖方向の分極率はαz1、側鎖方向の分極率は、主鎖方向と主鎖方向と直交する方向の分極率の平均で表され(αx1+αy1)/2となる。これが完全に面内方向に配向した場合、フィルム厚み方向の分極率(αとおく)、フィルム面内方向の分極率(αとおく)はそれぞれ
Figure 0005287166
と表すことができる。つまり、フィルム厚み方向の分極率は側鎖方向の分極率となり、フィルム面内方向の分極率は、主鎖方向の分極率と側鎖方向の分極率の平均となる。
一方屈折率は、以下に示すLorentz−Lorenzの式によって、分極率と体積から求めることができる。
Figure 0005287166
ここでnは屈折率、Nはアボガドロ数、Vは単位あたりの体積、αは分極率をそれぞれ表す。
α、αからフィルム厚み方向の屈折率n、フィルム面内方向の屈折率nを求め、それらの差であるΔn(Δn=n−n)を算出することができる。
また同ソフトを利用して、高分子中の任意の側鎖を選択して運動可能な領域における最安定構造、および不安定構造を計算し、それぞれの状態において分子の持つ熱量を計算することができる。
最安定構造における分子の熱量をEmin、分子鎖を運動させて求めた不安定構造における分子の熱量をEmaxとおき、それらの差(エネルギー障壁)ΔE=Emax−Eminを算出することができる。
本発明の光学補償膜に用いる、側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子は、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい高分子である。特に脂肪族高分子が完全に面内方向に配向したフィルムと想定した際に、フィルム厚み方向の屈折率とフィルム面内方向の屈折率の差(Δn)は0.004以上の高分子が好ましく、さらに0.01以上、特に0.02以上である高分子が好ましい。
また、脂肪族高分子は、エネルギー障壁(ΔE)が100kcal以上の高分子であり、好ましくは200kcal以上が好ましく、特に300kcal以上の高分子が好ましい。
さらに脂肪族高分子における側鎖分極単位としては、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基より選ばれる一種類以上の単位であることが好ましく、特にカルボニル基が好ましい。
脂肪族系高分子は、良好な光学特性を持つ光学補償膜となることから、ガラス転移温度は100℃以上が好ましく、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは135℃以上である。
本発明の光学補償膜は側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子であって、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい高分子の塗工膜であって、塗工膜内の進相軸方向の屈折率をnx、進軸相と直交する方向の屈折率をny(ここでnxとnyが等しい場合は直交する任意の二軸の屈折率)、膜の厚み方向の屈折率をnzとした場合の塗工膜の3次元屈折率の関係が、nz>ny≧nxである。これらnx、ny及びnzは、例えば試料傾斜型自動複屈折計を用いることにより求めることができる。
該光学補償膜は、測定波長589nmの光で測定した際の下記式(1)で示される塗工膜の面外位相差量(Rth)が−30〜−2000nmが好ましく、さらに好ましくは−50〜−1000nm、特に好ましくは−60〜−500nmである。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (1)
(ここで、dは塗工膜の膜厚(nm)を示す)。
本発明の光学補償膜は、塗工膜を40度傾斜させ、測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が、1.1以下が好ましく、さらに好ましくは1.08以下、特に好ましくは1.05以下である。
なお、一般的にフィルムの3次元屈折率の制御はフィルムの延伸などにより行われるため製造工程や品質の管理が複雑になったりするが、本発明の塗工膜からなる光学補償膜は未延伸でフィルム厚み方向の屈折率が高くなるという特異な挙動を示すものである。
本発明で用いる側鎖に分極単位をもつ脂肪族高分子であって、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい脂肪族高分子としては、例えばノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
脂肪族高分子として好ましく用いられるノルボルネン系樹脂としては、一般式(a)により示されるノルボルネン残基単位50モル%以上から成るノルボルネン系樹脂が好ましく、特に耐熱性及び機械特性に優れた光学補償膜となることからノルボルネン残基単位が80モル%以上、特に90モル%以上から成るノルボルネン系樹脂であることが好ましい。
Figure 0005287166
(R、Rはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基を示す)
一般式(a)におけるR、Rはそれぞれ独立にカルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基であり、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基である。ここで、R、Rにおける炭素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられる。
ここで、一般式(a)により示されるノルボルネン残基単位としては、具体的には例えばノルボルネンジメチルエステル残基単位、ノルボルネンジエチルエステル残基単位、ノルボルネンジプロピル残基単位、ノルボルネンジイソプロピル残基単位、ノルボルネンジ−n−ブチルエステル残基単位、ノルボルネンジ−t−ブチルエステル残基単位、5−シアノ−6−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン残基単位、8、9−ジメトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン残基単位、8、9−ジエトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン残基単位、8、9−ジ−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン残基単位、8、9−ジイソプロポキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン残基単位、8、9−ジ−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン残基単位、8−シアノ−9−メトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン残基単位などが挙げられ、これらは1種以上用いることができる。
そして、具体的なノルボルネン系樹脂としては、具体的には例えばノルボルネンジメチルエステル、ノルボルネンジエチルエステル、ノルボルネンジプロピル、ノルボルネンジイソプロピル、ノルボルネンジ−n−ブチルエステル、ノルボルネンジ−t−ブチルエステル、5−シアノ−6−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、8、9−ジメトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジエトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジ−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジイソプロポキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジ−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8−シアノ−9−メトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセンなどが挙げられ、これらは1種以上用いることができる。
本発明の光学補償膜に好ましく用いられるノルボルネン系樹脂としては、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10以上のものであることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れた光学補償膜となることから2×10以上2×10以下であることが好ましい。
本発明で用いるノルボルネン系樹脂の製造方法としては、該ノルボルネン系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えばノルボルネン類、場合によってはノルボルネン類と他の共重合可能な単量体を併用し開環メタセシス重合あるいは配位重合を行うことにより製造することができる。
ここでノルボルネン類としては、例えばノルボルネンジメチルエステル、ノルボルネンジエチルエステル、ノルボルネンジプロピル、ノルボルネンジイソプロピル、ノルボルネンジ−n−ブチルエステル、ノルボルネンジ−t−ブチルエステル、5−シアノ−6−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、8、9−ジメトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジエトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジ−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジイソプロポキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8、9−ジ−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセン、8−シアノ−9−メトキシカルボニル−テトラシクロ−3−ドデセンなどが挙げられる。
開環メタセシス重合に用いる触媒は、ノルボルネン系樹脂を開環メタセシス重合可能なものであれば、特に限定はなく、例えば遷移金属ハロゲン化物と有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物などの助触媒の組み合わせからなる触媒;遷移金属カルベン錯体触媒等を挙げることができる。
遷移金属ハロゲン化物の具体例としては、例えばTiCl、TiBr等のチタンハロゲン化物;VCl、V(O)Cl等のバナジウムハロゲン化物;MoCl、MoBr、MoCl、MoCl(O)等のモリブデンハロゲン化物;WCl、WCl、WCl、WCl(O)等のタングステンハロゲン化物を挙げることができる。
有機リチウム化合物の具体例としては、例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム等を挙げることができる。有機アルミニウム化合物の具体例としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミノキサン等が挙げられる。有機スズ化合物の具体例としては、例えばテトラメチルスズ、テトラエチルスズ、テトラブチルスズ、ジブチルジクロロスズを挙げることができる。
遷移金属カルベン錯体触媒としては、例えばモリブデンアルキリデン錯体、タングステンアルキリデン錯体、ルテニウムカルベン錯体、ルテニウムビニリデン錯体等を挙げることができる。モリブデンアルキリデン錯体の具体例としては、例えばMo(N−2,6−iPr)(CH(tBu)(OtBu)、Mo(N−2,6−iPr)(CH(tBu)(OMe(CF等を挙げることをできる。タングステンアルキリデン錯体の具体例としては、例えばW(CPh)(CO)、W(N−2,6−iPr)(CH(tBu)(OtBu)、W(N−2,6−iPr)(CH(tBu)(OMe(CF等を挙げることができる。ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、例えばベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド等を挙げることができる。ルテニウムビニリデン錯体の具体例としては、例えば(フェニルビニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(イソプロピルビニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムジクロリド等を挙げることができる。
これらの中でも開環メタセシス重合に用いる触媒としては、好ましくは遷移金属カルベン錯体触媒であり、より好ましくはルテニウムカルベン錯体である。
また、開環メタセシス重合に用いる触媒としてはAngew. Chem., Int. Ed. 2000, 39, 2903−2906に記載されている触媒も用いることができる。
開環メタセシス重合における触媒対ノルボルネン系樹脂の比は、モル比で、1:20〜1:100,000が好ましく、特に好ましくは1:100〜1:50,000である。
開環メタセシス重合反応に用いる溶媒としては、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル類またはそれらの混合物を挙げることができ、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素である。
開環メタセシス重合の反応温度は−78〜200℃が好ましく、特に好ましくは0〜150℃であり、反応時間は0.5〜100時間が好ましく、特に好ましくは1〜50時間である。
本発明の光学補償膜は、側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子であって、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい高分子の塗工膜からなることを特徴とする光学補償膜であり、その際の塗工膜の製造方法としては、特に制限はなく、例えば溶液キャスト法の方法により製造することができる。
溶液キャスト法は、樹脂を溶媒に溶解した溶液(以下、ドープと称する。)を支持基板上に塗工した後、加熱等により溶媒を除去しフィルムを得る方法である。その際ドープを支持基板上に塗工する方法としては、例えばTダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法等が用いられる。用いられる支持基板としては、例えばガラス基板;ステンレスやフェロタイプ等の金属基板;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等のプラスチック基板などが挙げられる。
溶液キャスト法において、高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れたフィルムを製膜する際には、ドープの溶液粘度は極めて重要な因子であり、700〜30000cpsが好ましく、特に好ましくは1000〜10000cpsである。
このようにして得られた塗工膜は、支持基板から剥離して使用することもできるし、また、支持基板としてガラス基板、プラスチック基板を用いた場合は、剥離しないで積層体としてそのまま使用することもできる。
また、本発明の光学補償膜は、さらにフィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、進相軸と直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとした場合に、ny>nx≧nzの関係にあり、フィルムの厚みをdとした時、下記式(2)により示される波長550nmで測定した面内位相差量(Re)が50nm以上のフィルム(B)からなる光学補償フィルム(以下、光学補償フィルムCとする)とすることができる。
Re=(ny−nx)×d (2)
なお、前記フィルム(B)は、例えば正の複屈折性を有するポリマーを一軸延伸等することにより、3次元屈折率がny>nx≧nzの関係にあるフィルムを得ることができる。
またフィルム(B)のポリマーとしては、正の複屈折性を有するポリマーであれば特に制限はなく、耐熱性や透明性などの点から好ましい例としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂、N−置換マレイミド系樹脂が挙げられる。
フィルム(B)の面内位相差量(Re)は、50nm以上が好ましく、さらに好ましくは100nm以上、特に好ましくは120nm以上である。
また、フィルム(C)においては、フィルムの3次元屈折率がフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、進相軸と直交する方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをdとした場合、下記式(3)により示される配向パラメータ(Nz)が、−0.1〜0.95であることが好ましく、特にSTN−LCD、IPS−LCD、反射型LCD、半透過型LCDの視野角補償フィルムとする場合にはNzが0.40〜0.60が好ましく、特に0.45〜0.55が好ましい。また、偏光板の視野角補償フィルムとする場合には、Nzが−0.10〜0.10が好ましく、さらに−0.05〜0.05、特に0〜0.05が好ましい。
Nz=(ny−nz)/(ny−nx) (3)
さらにフィルム(C)においては、前記式(2)により示される面内位相差量(Re)は、50〜1000nmが好ましく、さらに好ましくは100〜500nmであり、特に1/4波長板では130〜140nm、1/2波長板では270〜280nmが好ましい。
本発明の光学補償フィルムに好ましく用いられる光学補償フィルム(フィルム(A))とフィルム(B)からなる光学補償フィルムの製造方法としては、特に制限はなく、例えばノルボルネン系樹脂からなる未延伸フィルムと正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムを貼合する方法(以下、製造方法1とする)、ノルボルネン系樹脂を正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムに塗工する方法(以下、製造方法2とする)等により製造することができる。
製造方法1、2における正の複屈折を有するフィルムは、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂、N−置換マレイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。この正の複屈折を有するフィルムを、一軸延伸により、例えば温度150〜200℃、延伸速度10〜30mm/min.、延伸倍率30〜70%の条件により延伸し、正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムを製造することができる。
製造方法1では、正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムを、ノルボルネン系樹脂からなる未延伸フィルムに貼合することにより光学補償フィルムを製造することができる。この際の貼合方法としては、例えばロールトゥロールの連続プロセスで製造可能であり、公知の接着剤を用いて貼合することができる。
製造方法2では、正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムに、ノルボルネン系樹脂からなる未延伸フィルムを塗工することにより光学補償フィルムを製造することができる。その結果、正の複屈折性を有するフィルムの一軸延伸フィルムとノルボルネン系樹脂からなる光学補償フィルムとなるものである。その際の塗工方法は、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解した溶液(塗工溶液)をフィルム上に塗工後、加熱等により溶媒を除去する方法である。用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン(THF);アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水;N−メチルピロリドン;ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。その際の塗工方法としては、例えばドクターブレード法、バーコーター法、グラビアコーター法、スロットダイコーター法、リップコーター法、コンマコーター法等が用いられる。工業的には薄膜塗工はグラビアコーター法、厚膜塗工はコンマコーター法が一般的である。溶液塗工において、高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れた塗工をするには、塗工溶液粘度は極めて重要な因子であり、10〜10000cpsが好ましく、特に10〜5000cpsであることが好ましい。本発明で用いるノルボルネン系樹脂の塗工厚は、フィルム厚み方向の位相差により決められ、乾燥後1〜200μmが好ましく、特に好ましくは10〜100μmである。また、フィルム(B)の表面をあらかじめ易接着処理することも可能である。
また、本発明の光学補償膜同士又は他の光学補償フィルムと積層することもできる。
本発明の光学補償膜には、より伸度に優れた光学補償膜となることから可塑剤が配合されていることが好ましい。該可塑剤としては、特に制限はなく、例えばトリクレジルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシルホスフェート)、トリキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、トリフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;トリブチルトリメリテート、トリ−ノルマルヘキシルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−ノルマルオクチルトリメリテート、トリ−イソクチルトリメリテート、トリ−イソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;トリ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラブチルピロメリテート、テトラ−ノルマルヘキシルピロメリテート、テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−ノルマルオクチルピロメリテート、テトラ−イソクチルピロメリテート、テトラ−イソデシルピロメリテート等のピロメリット酸エステル系可塑剤が挙げられる。
本発明の光学補償膜には、熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていることが好ましい。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては脂肪族系高分子100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.5〜1重量部が好ましい。
さらに、紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合していてもよい。
本発明の光学補償膜には、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明の光学補償膜には、偏光板と積層して円あるいは楕円偏光板として用いることもできる。また、液晶表示素子の視野角改良フィルムや色補償フィルムなどの光学補償フィルムとして有用であり、円偏光板は反射防止フィルムとして用いることも可能である。さらに、液晶ディスプレイに用いられる輝度向上フィルムの視角特性を改良する光学補償フィルムとしても使用できる。
本発明によると、液晶ディスプレイのコントラストや視角特性の改良に有効な光学補償膜を提供することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
〜数平均分子量の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、DMFを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜ガラス転移温度の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
〜光線透過率の測定〜
JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
〜ヘーズの測定〜
JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
〜複屈折性の正負判定〜
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟屋裕著,アグネ技術センター版,第5章,pp78〜82,(2001))に記載の偏光顕微鏡を用いたλ/4板による加色判定法により複屈折性の正負判定を行った。
〜3次元屈折率の測定、面外位相差量(Rth)、面内位相差量(Re)及び配向パラメータ(Nz)の計算〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率より面外位相差量(Rth)、面内位相差量(Re)及び配向パラメータ(Nz)を計算した。
合成例1(5−endo−カルボキシ−6−endo−シアノ−2−ノルボルネン単独重合体の製造例)
5−endo−カルボキシ−6−endo−シアノ−2−ノルボルネン50mgをジクロロメタン0.75mLに溶解させた。そこにベンジリデンビス(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド2mgをジクロロメタン0.3mLに溶解させた溶液をアルゴン雰囲気下で滴下した。反応混合物を室温で6時間攪拌した後エチルビニルエーテル15μLを加えて重合を停止させ、一晩攪拌した。12時間後、激しく拡販しながらメタノール200mL中に反応混合物を滴下し、ポリマーを沈殿させた。80℃で乾燥し、得られたノルボルネン単独重合体の数平均分子量は16万であった。なお、このポリマーの分子軌道法による計算値した側鎖方向の分極率と主鎖方向の分極率の差は1.38Å、Δn=0.0243、ΔE=387kcalであった。
実施例1
合成例1で得られたノルボルネン単独重合体をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し18%溶液とし、さらにノルボルネン単独重合体100重量部に対し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.35重量部およびリン系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.15重量部、紫外線吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール1重量部を添加した後、Tダイ法により溶液流延装置のガラス基板に塗工し、80℃、120℃および180℃で各々15分乾燥し、支持基板上に幅200mm、厚み40μmの塗工膜を得た。
得られた塗工膜は、光線透過率91%、ヘーズ0.3であり、nx=1.4885、ny=1.4885、nz=1.4903(nz>ny=nx)であった。得られたReは0nm、Rthは−72nm、波長依存性(R450/589)は1.03であった。
これらの結果から、得られた塗工膜は、厚み方向の屈折率が大きく、波長依存性が小さいことから光学補償フィルムに適したものであった。
実施例2
実施例1と同様の方法において幅200mm、厚み54μmの塗工膜を得た。得られた塗工膜は、光線透過率92%、ヘーズ0.3であり、nx=1.4885、ny=1.4885、nz=1.4903(nz>ny=nx)であった。得られたReは0nm、Rthは−97nm、波長依存性(R450/R589)は1.02であった。
これらの結果から、得られた塗工膜は、厚み方向の屈折率が大きく、波長依存性が小さいことから光学補償フィルムに適したものであった。
比較例1
ポリカーボネート(帝人(株)製、商品名パンライトL1225)25重量%、塩化メチレンを75重量%とした塩化メチレン溶液を調整し、該塩化メチレン溶液をPETフィルム上に塗工し、溶剤を揮発させて固化、剥離させることによりフィルムを得た。得られた剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、110℃から130℃にかけて10℃間隔にてそれぞれ1時間乾燥し、その後、真空乾燥機にて120℃で4時間乾燥して約90μmの厚みを有するフィルム(以下、フィルム(1)と称す。)を得た。
得られたフィルム(1)は、ガラス転移温度(Tg)150℃であった。光線透過率90.0%、ヘーズ0.6、フィルムの3次元屈折率はnx=1.5830、ny=1.5830、nz=1.5830(nz=ny=nx)であった。得られたReおよびRthは0nmであった。
これらの結果から、得られたフィルムは、脂肪族系高分子でない芳香族高分子を用いたことから厚み方向の屈折率が大きくなく光学補償フィルムに適したものではなかった。
実施例3
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(a)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(a)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5842、nz=1.5822(ny>nx>nz)であり、Reは125nmであった。
さらに、該延伸フィルム1(a)上に実施例1で作成した塗工膜を貼合してフィルムを得た。該フィルムの3次元屈折率はnx=1.5607、ny=1.5594、nz=1.5600でReは125nm、配向パラメータは0.5であった。
これらの結果から、得られたフィルムは、光学補償フィルムに適したものであった。
実施例4
比較例1で得られたフィルムを一片50mmの正方形に裁断し、二軸延伸装置(井元製作所製)により温度170℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+33%延伸した。延伸したフィルム(フィルム1(b)と称す。)は、正の複屈折性を示した。得られたフィルム1(b)の3次元屈折率はnx=1.5826、ny=1.5839、nz=1.5825(ny>nx>nz)であり、Reは113nmであった。
さらに、該延伸フィルム1(b)上に実施例2で作成した塗工膜を貼合してフィルムを得た。該フィルムの3次元屈折率はnx=1.5504、ny=1.5494、nz=1.5502でReは112nm、配向パラメータは0.8であった。
これらの結果から、得られたフィルムは、光学補償フィルムに適したものであった。
実施例5
合成例1で得られたノルボルネン重合体をDMFに溶解し20%溶液とし、塗工溶液とした。
実施例3で得られた延伸フィルム1(a)上に塗工溶液を用いてドクターブレード法にて乾燥後の厚みが40μmとなるよう塗工しフィルムを得た(nx=1.4885、ny=1.4885、nz=1.4903)、Reは125nm、配向パラメータは0.5であり、実施例4と同様の特性のフィルムが塗工により得ることができた。
これらの結果から、得られたフィルムは、光学補償フィルムに適したものであった。
比較例2
窒素雰囲気下、小型ディスパーを用いて、塩化メチレン49.6gにポリ(2−ビニルナフタレン)(アルドリッチ製、重量平均分子量:17.5万)(側鎖方向の分極率と主鎖方向の分極率の差は12.64Å、Δn=0.1234)9.0gを加え、2500rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗工した後、窒素気流下で一晩風乾してPET基板上にポリ(2−ビニルナフタレン)のフィルムを作製した。
このポリ(2−ビニルナフタレン)フィルムの一部をPET基板から剥離し、膜厚及び光学特性を測定した。乾燥後の膜厚は、58μmであった。なお、剥離の際、フィルムが脆く一部破損した。
得られたフィルムの3次元屈折率はnx=1.6557、ny=1.6558、nz=1.6578であった。Rthは−120.2nm、位相差の比(R450/R589)(波長依存性)は1.12であった。
これらの結果から、脂肪族高分子でなく主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい芳香族高分子を用いたことから、波長依存性が大きく光学補償フィルムに適したものではなかった。
比較例3
小型ディスパーを用いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)にポリ(9−ビニルカルバゾール)(アルドリッチ製、重量平均分子量:約110万)(側鎖方向の分極率と主鎖方向の分極率の差は19.19Å、Δn=0.1789)13.2gを加え、6000rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗工した後、60℃で1時間、100℃で15分熱風乾燥することで、PET基板上にポリ(9−ビニルカルバゾール)フィルムを作製した。
このポリ(9−ビニルカルバゾール)フィルム一部をPET基板から剥離し、膜厚及び光学特性を測定した。乾燥後の膜厚は、33μmであった。なお、剥離の際、フィルムが脆く一部破損した。
得られたフィルムの3次元屈折率はnx=1.6819、ny=1.6820、nz=1.6926であった。Rthは−350.0nm、位相差の比(R450/R589)(波長依存性)は1.14であった。
これらの結果から、脂肪族高分子でなく主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きい芳香族高分子を用いたことから、波長依存性が大きく光学補償フィルムに適したものではなかった。
比較例4
小型ディスパーを用いて、塩化メチレン25gにポリメチルメタクリレート(和光純薬工業製、重量平均分子量:約50万)(側鎖方向の分極率と主鎖方向の分極率の差は2.00Å、Δn=0.0442、ΔE=56kcal)5.1gを加え、6000rpmで1時間、室温で溶解した。得られたポリマー溶液を25μmフィルターを用いてろ過した。次に、このポリマー溶液をバーコーター法にて、厚さ188μmのPETフィルム上に塗工した後、窒素気流下、室温で48時間乾燥することで、PET基板上にポリメチルメタクリレートフィルムを作製した。
このポリメチルメタクリレートフィルム一部をPET基板から剥離し、膜厚及び光学特性を測定した。乾燥後の膜厚は60μmであった。
得られたフィルムの3次元屈折率はnx=1.48997、ny=1.48997、nz=1.49005であった。Rthは0.9nm、位相差の比(R450/R589)(波長依存性)は1.01であった。

この結果からポリメチルメタクリレートは、分子軌道法により計算した屈折率の差(Δn)は大きいが、エネルギー障壁(ΔE)値が小さいため、光学補償フィルムに適したものではなかった。
延伸による屈折率楕円体の変化
符号の説明
nx;フィルム面内の進相軸方向の屈折率を示す。
ny;nxと直交するフィルム面内方向の屈折率を示す。
nz;フィルム面外の垂直方向の屈折率を示す。

Claims (7)

  1. 側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子であって、分子軌道法により計算した主鎖方向の分極率より側鎖方向の分極率が大きく、エネルギー障壁(ΔE)値が100kcal以上である高分子の塗工膜からなり、塗工膜の膜内の進相軸方向の屈折率をnx、進相軸と直交する方向の屈折率をny、膜の厚み方向の屈折率をnzとした場合の塗工膜の3次元屈折率の関係が、nz>ny≧nxであることを特徴とする光学補償膜。
  2. 脂肪族高分子が完全に面内方向に配向したフィルムと想定した際に、フィルム厚み方向の屈折率とフィルム面内方向の屈折率の差(Δn)が0.004以上である脂肪族系高分子であることを特徴とする請求項1に記載の光学補償膜。
  3. 側鎖分極単位がカルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、シアノ基より選ばれる一種類以上の単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償膜。
  4. 側鎖に分極単位をもつ脂肪族系高分子のガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償膜。
  5. 測定波長589nmの光で測定した際の下記式(1)で示される塗工膜の面外位相差量(Rth)が−30〜−2000nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光学補償膜。
    Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (1)
    (ここで、dは塗工膜の膜厚(nm)を示す)。
  6. 塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が、1.1以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光学補償膜。
  7. 側鎖に分極単位を持つ脂肪族系高分子がノルボルネン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の光学補償膜。
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