JP2008247934A - 光学用フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、位相差フィルム用途に好適な光学用フィルムに関する。さらに詳しくは、可視光領域において波長に対して逆分散性を示す位相差を与えることができ、かつ低光弾性である光学用フィルムに関する。
液晶ディスプレイ分野においてモバイル用液晶セルには高機能かつ低消費電力を達成するために、反射機能と透過機能を持たせた半透過型表示方式が注目されている。この半透過型表示方式には円偏光板が用いられているが、広い可視光波長域において円偏光を得るために、長波長になるにしたがって位相差(nm)が大きくなる波長分散(逆分散性)の位相差フィルムが求められてきた。しかしながら、従来から光学用フィルムとして使用されているポリカーボネートや環状ポリオレフィン等の樹脂からなる位相差フィルムの多くは波長に対する位相差値が長波長になるにしたがって小さくなる傾向があり、液晶ディスプレイとしたとき、正面からみた色目、およびコントラストが悪くなる問題があった。そのため、通常位相差フィルムを2枚積層して目的の光学特性を得る方法(例えば、特許文献1参照)がとられている。しかし、この方法では精密な角度で2枚のフィルムを貼り合わせる必要があるため、生産性が非常に悪く、円偏光板としたときの厚みが厚くなり、さらに広視野角でのコントラストが悪くなるという問題があった。
また、液晶テレビなどの透過型液晶ディスプレイにおいて、これらの位相差フィルムを用いると視野角によってカラーシフトが生じるという問題があった。
さらに、逆分散性の位相差フィルム(例えば、特許文献2〜4参照)として特定のポリカーボネート系からなる位相差フィルムやセルロース系樹脂からなる位相差フィルムが知られているが、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルムでは、ガラス転移温度が高く、高温での延伸加工が必要になるだけでなく、フィルムの光弾性が大きく偏光板に貼合する際の張力によって位相差が変化する問題があり、またセルロース系樹脂からなる位相差フィルムでは、吸水による特性変化や耐熱性の点において問題があった。
特開平10−68816号公報
特開2006−131660号公報
特開2006−104324号公報
特開2000−137116号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、可視光域の広帯域において逆分散性であり、かつ低吸水性で低光弾性であり、耐熱性に優れた光学用フィルム、特に位相差フィルムに好適な光学用フィルムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は以下を特徴とする。
(1)下記式(I)に示す構造単位(I)を有する熱可塑性樹脂を含む光学用フィルム。
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)
(2)熱可塑性樹脂が、下記式(II)に示す構造単位(II)および下記式(III)に示す構造単位(III)をさらに有する共重合体である、上記(1)に記載の光学用フィルム。
(2)熱可塑性樹脂が、下記式(II)に示す構造単位(II)および下記式(III)に示す構造単位(III)をさらに有する共重合体である、上記(1)に記載の光学用フィルム。
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)
(3)熱可塑性樹脂が、構造単位(I)を全構造単位中5モル%以上80モル%以下含有する、上記(1)または(2)に記載の光学用フィルム。
(4)波長550nmにおける位相差Re(550)と波長480nmにおける位相差Re(480)の比Re(480)/Re(550)が0.5以上1.0未満である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学用フィルム。
(5)遅相軸を傾斜軸として入射角40°で測定した波長550nmにおける位相差Re40(550)と波長480nmにおける位相差Re40(480)の比Re40(480)/Re40(550)が0.5以上1.0未満である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学用フィルム。
本発明によれば、従来のノルボルネン系樹脂やセルロース系樹脂ならびにポリカーボネート系樹脂からなるフィルムでは得られなかった優れた波長分散性を示す光学用フィルムを提供することができる。
また、本発明の光学用フィルムを位相差フィルムとして使用すると、広範囲の可視光波長域で光を円偏光に変換することができ、反射型および半透過型液晶ディスプレイ(表示装置)に組み込んだ際に、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下やカラーシフトを少なくすることができる。
さらに、本発明によれば、光弾性係数が小さく、耐湿性に優れる光学用フィルム、特に位相差フィルムに好適な光学用フィルムを提供することができる。本発明の光学用フィルムを用いた円偏光板においては、使用環境の湿熱条件や発生する応力によるフィルムの寸法変化や位相差変化を小さくすることができ、光の額縁漏れや色ムラをなくすことができる。
また、本発明の光学用フィルムは、光学用フィルム1枚と偏光板のみで良好な円偏光板を作製できるので、2枚以上積層したフィルムと比較して、構成部材のコスト、貼合コストを小さくすることができる。
このように、位相差フィルムとして好適な光学用フィルムを提供することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の光学用フィルムは下記化学式(I)で表される構造単位(I)を有する熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする。構造単位(I)を含有することによって、光学フィルムとしたときの波長分散性を制御することができる。
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)
ここでハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
ここでハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
また炭素数1〜30の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基や、ビニル基、アリル基等のアルケニル基や、エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基や、フェニル基等の芳香族基や、これらの基の水素原子の一部もしくは全部が、ハロゲン原子、フェニルスルホニル基、ヒドロキシ基などによって置換されたもの等が挙げられる。
これらの炭化水素基は、芳香環の炭素原子に直接結合していてもよく、あるいはヘテロ原子を含む官能基を介して結合していてもよい。ここでヘテロ原子を含む官能基の具体例としては、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、アミノ基(−NR−:但しRは水素原子またはアルキル基)、アミド結合(−NHCO−)、シロキサン結合(−Si(R2)O−:但しRはメチル基、エチル基等のアルキル基)、あるいはこれらの2種以上が組合さって連なったものなどが挙げられる。
これらヘテロ原子を含む官能基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基の具体例としては、カルボニルオキシ基を有するエステル基としては、例えば酢酸エステル基、プロピオン酸エステル基等の脂肪酸エステル基、および安息香酸エステル基等の芳香族エステル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ、シロキサン結合を有するトリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ、トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ、アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられる。
これらヘテロ原子を含む官能基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基の具体例としては、カルボニルオキシ基を有するエステル基としては、例えば酢酸エステル基、プロピオン酸エステル基等の脂肪酸エステル基、および安息香酸エステル基等の芳香族エステル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ、シロキサン結合を有するトリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ、トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ、アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられる。
このような構造単位(I)は、下記一般式(Ia)で表されるノルボルネン系単量体(Ia)を付加重合することによって得られる。
(上記式(Ia)中、R1、R2は上記式(I)における定義と同じである。)
具体的には、上記一般式(Ia)で表されるノルボルネン系単量体としては、例えば、スピロ[フルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジフルオロフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジクロロフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジブロモフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2−メトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2−エトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2−フェノキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジメトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジエトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジフェノキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[3,6−ジメトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]等が挙げられる。
具体的には、上記一般式(Ia)で表されるノルボルネン系単量体としては、例えば、スピロ[フルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジフルオロフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジクロロフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジブロモフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2−メトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2−エトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2−フェノキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジメトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジエトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[2,7−ジフェノキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]、スピロ[3,6−ジメトキシフルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]等が挙げられる。
これらの化合物は、1種類単独でまたは2種類以上組み合わせてノルボルネン系単量体(Ia)として用いることができる。
本発明の光学フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、上記式(I)で表される構造単位(I)と共に下記一般式(II)で表される構造単位(II)および/または下記一般式(III)で示される構造単位(III)を有する共重合体であってもよい。構造単位(II)を有することによって、光学フィルムとしたときの光弾性をさらに小さくすることができる。
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。)
R1〜R4の原子または基の具体例としては、一般式(I)におけるR1、R2として例示した置換基と同様のものが挙げられるほか、R1またはR2と、R3またはR4とは、相互に結合して、単環、多環または架橋環を有する基を形成していてもよい。ここで、単環の基の具体例としては、例えばシクロヘキシレン、シクロペンチレンが挙げられ、多環の基の具体例としては、例えばデカリニリデンが挙げられ、架橋環の基の具体例としてはノルボルニレンが挙げられる。
このような構造単位(II)としては、耐熱性および他素材との密着性・接着性が良好な共重合体が得られる観点から、一般式(II)において、R1〜R4のうち少なくとも1つが−(CH2)jCOOR5で表されるカルボン酸エステル基(ここでR5は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、jは0〜10の整数である。)であるものが好ましい。ここで、上記R5の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられ、これらの中ではメチル基、エチル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
このような構造単位(II)は、下記一般式(IIa)で表されるノルボルネン系単量体を上記のノルボルネン系単量体(Ia)とともに付加重合することによって得られる。
上記式(IIa)中、R1〜R4は上記一般式(II)における定義と同じである。
このようなノルボルネン系単量体(IIa)の具体例としては、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−イソブチル−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−エトキシカルボニルー2−ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メトキシカルボニル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エトキシカルボニル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン等が挙げられる。
これら化合物は、1種類単独または2種類以上組み合わせてノルボルネン系単量体(IIa)として用いることができる。
このようなノルボルネン系単量体(IIa)として、例えば2−メトキシカルボニル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンを用いて得た熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度を高め、吸水による特性変化が少なく、かつ他材料との密着性や接着性が良好となるため好ましい。また、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンを用いて得た熱可塑性樹脂は吸水による特性変化が少なく、他材料との密着性や接着性が良好であり、かつ適度なガラス転移温度を持つため光学用フィルムの延伸が容易となるため好ましい。
また構造単位(III)は、メチレンを上記ノルボルネン系単量体(Ia)とともに付加重合することによって得られる。
本発明の光学用フィルムに含まれる構造単位(I)の熱可塑性樹脂中での割合は、全構造単位中5モル%以上80モル%以下であることが好ましい。構造単位(I)の割合を多くすることによりより逆分散性に優れた光学フィルムを得ることができる。
また、本発明の光学フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が上記構造単位(II)を有する場合には、構造単位(I)と構造単位(II)とのモル比は80:20〜5:95が好ましく、より好ましくは70:30〜20:80である。構造単位(I)の割合が過大である場合には光弾性が大きくなることがあり、構造単位(II)の割合が過大である場合には逆分散性を有する光学フィルムを得にくくなることがある。
また、構造単位(I)および構造単位(II)の合計と構造単位(III)のモル比は100:0〜30:70が好ましく、より好ましくは100:0〜40:60である。構造単位(III)の割合が過大である場合には結晶性となる場合があり、フィルムの透明度が低下することがある。
本発明の熱可塑性樹脂は、ノルボルネン系単量体(Ia)を付加重合することにより、必要に応じてノルボルネン系単量体(IIa)および/またはエチレンを付加重合することにより製造することができる。
重合は例えば以下に示す方法によって行うことができる。
重合は、炭化水素媒体中で行われる。たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を単独で又は混合して溶媒に用いることができる。溶媒の使用量としては、溶媒と全単量体の重量比が1:5〜20:1となる量とし、好ましくは1:1〜10:1となる量であることが反応性の観点から好ましい。
重合は、反応媒体中、たとえばチタン系化合物とアルキルアルミニウム系化合物の場合前者が0.001〜10ミリモル/L、好ましくは0.01〜5ミリモル/Lの濃度になるように調整し、また後者はAl/Ti(モル比)が5以上、好ましくは1,000以下、とくに好ましくは10〜100となるように調整される。またバナジウム系化合物とアルキルアルミニウム系化合物の場合、前者が0.01〜50ミリモル/L、好ましくは0.01〜10ミリモル/Lの濃度になるように調整し、後者はAl/V(モル比)が2以上、好ましくは50以下、とくに好ましくは3〜20となるように調整される。これらの触媒系の中ではとくに後者のバナジウム系を使用するものが好適である。
ノルボルネン系単量体(Ia)および/またはノルボルネン系単量体(IIa)および/またはエチレンを共重合する場合、これらモノマー成分の仕込み比は所望するランダム多元付加共重合体の組成、反応媒体の種類、重合温度、圧力、触媒の種類によっても異なるが、一般に反応媒体中のノルボルネン系単量体(Ia)および/またはノルボルネン系単量体(IIa)の合計とエチレン(III)のモル比が100:0〜25:80になるように調整する。重合温度は−50〜300℃、好ましくは−30〜200℃、重合圧力は0〜100kg/cm2、好ましくは0〜50kg/cm2に保持される。重合体の分子量調整のため適宜、水素のような分子量調整剤を存在させることもできる。
本発明の光学用フィルムに含まれる熱可塑性樹脂のクロロホルム溶液をウッベローデ型粘度計で測定して得られる対数粘度[η]を、通常0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、さらに好ましくは0.35〜3.0とするのが製膜性および得られるフィルムの靭性の観点から望ましい。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)による分子量の測定による、数平均分子量(Mn)を、通常1,000〜100万、好ましくは2,000〜50万、さらに好ましくは5,000〜50万とし、重量平均分子量(Mw)を、通常5,000〜500万、好ましくは1万〜200万、さらに好ましくは1万〜100万とするのが製膜性および得られるフィルムの靭性の観点から望ましい。また、分子量分布を、通常Mw/Mnが1.05〜10.0、好ましくは、1.1〜7.0、さらに好ましくは、1.1〜5.0とするのが得られるフィルムの靭性の観点から望ましい。ここで、対数粘度[η]が0.2未満、Mnが1,000未満あるいは、Mwが5,000未満であると、得られた熱可塑性樹脂を用いた光学用フィルムの靭性が著しく低下する場合がある。一方、対数粘度[η]が5.0を超えたり、Mnが50万を超えたり、Mwが500万を超えたりすると、熱可塑性樹脂の溶融粘度あるいは溶液粘度が高くなりすぎて、製膜が困難になる場合がある。
また、分子量分布は、上記のMw/Mnが通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5である。Mw/Mnが上記範囲より大きい場合、低分子量の成分が多くなりすぎ、得られる光学用フィルムの靭性が低下することがある。一方、上記範囲より小さい場合、熱可塑性樹脂の溶融粘度あるいは溶液粘度が高くなりすぎて、製膜が困難になる場合がある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常は80〜250℃、好ましくは100〜180℃である。Tgが80℃未満の場合、熱変形温度が低くなり、得られるフィルムの耐熱性に問題が生じる場合がある。一方、Tgが250℃を超える場合、得られるフィルムを延伸加工等加熱して加工する場合の加工温度が高くなりすぎて、フィルムが熱劣化による強度の低下や着色する問題が生じる場合がある。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂の23℃における飽和吸水率は、好ましくは0.05〜1.5重量%、より好ましくは0.1〜0.7重量%である。飽和吸水率がこの範囲内であると、各種光学特性、例えば透明性、位相差や位相差の均一性あるいは寸法精度が、高温多湿のような条件下でも維持され、他材料との密着性や接着性に優れるため使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤等の添加物との相溶性も良好であるため、添加の自由度が大きくなる。
飽和吸水率が0.05重量%未満であると、他材料との密着性や接着性が乏しくなり使用中に剥離を生じやすくなる場合がある。また、酸化防止剤等の添加物の配合に制限が生じる。一方、1.5重量%を超えると、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなる。
なお、上記の飽和吸水率はASTM D570−98(2005)に準拠し、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められた値である。
製膜方法については例えば以下の方法によって光学用フィルムを得ることができる。
押出成形に使用される押出機としては、単軸、二軸などいずれを用いてもよいが、好ましくは単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュウ形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、ダブルフライト型、フルフライト型などがあり、圧縮タイプとしては、緩圧縮タイプ、急圧縮タイプなどがあるが、フルフライト型緩圧縮タイプが好ましい。
押出成形に使用される押出機としては、単軸、二軸などいずれを用いてもよいが、好ましくは単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュウ形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、ダブルフライト型、フルフライト型などがあり、圧縮タイプとしては、緩圧縮タイプ、急圧縮タイプなどがあるが、フルフライト型緩圧縮タイプが好ましい。
計量に使用するギアポンプに関しては、ギアの間で下流側より戻される樹脂が、系内に入る内部潤滑方式と、外部に排出される外部潤滑方式があるが、熱安定性が良好でない熱可塑性樹脂の場合には、外部潤滑方式が好ましい。ギアポンプのギア歯の切り方は、軸に対して、平行な方向よりも、ヘリカルタイプの方が、計量の安定化の点から好ましい。
異物のろ過に使用するフィルターに関しては、リーフディスクタイプ、プリーツフィルタータイプ、リーフタイプ、スクリーンメッシュなどが挙げられるが、比較的滞留時間分布が小さく、ろ過面積を大きくすることが可能な、リーフディスクタイプのものが好ましい。フィルターエレメントとしては、金属繊維焼結タイプ、金属粉末焼結タイプ、金属繊維/粉末積層タイプなどが挙げられるが、金属繊維焼結タイプが系内の濾圧が大きくならずフィルター精度も良いことから好ましい。
フィルターのセンターポールの形状には、外流タイプ、六角柱内部流動タイプ、円柱内部流動タイプなどが挙げられるが、滞留部が小さい形状であれば、いずれの形状を選択することも可能であるが、好ましくは、外流タイプである。
溶融された熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、ダイから吐出され、冷却ドラムに密着固化されて目的とするフィルムに成形される。ダイ形状に関しては、ダイ内部の樹脂流動を均一にすることが重要であり、フィルムの厚みの均一性を保つためには、ダイ出口近傍でのダイ内部の圧力分布が幅方向で一定であることが重要である。また、幅方向での樹脂の流量がほぼ一定であり、ダイの出口での流量の微調整をリップ開度により調整可能な範囲で一定であることが厚みの均一性を得るためには重要である。上記条件を満たすためにはマニホールド形状は、コートハンガータイプが好ましく、ストレートマニホールド、フィッシュテールタイプなどは、幅方向での流量分布などが発生しやすくなる。
また、上記のフィルムの厚み分布を均一にするためには、ダイ出口での温度分布を幅方向において一定にすることが重要であり、温度分布は好ましくは±1℃以下であり、さらに好ましくは±0.5℃以下である。±1℃を超えて幅方向に温度ムラが生じていると、樹脂の溶融粘度差が生じ、厚みムラ、応力分布ムラなどが生じるため、延伸操作を実施する過程において、位相差ムラが発生しやすくなる。
さらに、ダイ出口のリップ間隙は、好ましくは0.3〜1.5mmであり、より好ましくは0.5〜0.9mmである。リップギャップが0.3mm未満であると、ダイリップ部の樹脂にかかる剪断応力が大きくなり過ぎて、樹脂温度が上がり変色等の問題を起こすことがある。一方、リップギャップが1.5mmを超えると、フィルムに長手方向に配向し等方のフィルムが得られない場合がある。
ダイから押出されたフィルムを密着固化させる方法としては、ニップロール方式、静電印加方式、エアーナイフ方式、バキュームチャンバー方式、カレンダー方式などが挙げられ、フィルムの厚さ、用途に従って、適切な方式が選択される。ダイラインを低減するためにはニップロール方式が好ましい。
ダイから押出されたフィルムを固化するための冷却ロール表面についても、押出機シリンダー、ダイスの内面などと同様に、各種の表面処理が行われることが好ましい。
押出機(シリンダー・スクリューなど)、ダイスの材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、押出機シリンダー、ダイスの内面ならびに押出機スクリュー表面には、クロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Physical Vapor Deposition)法などにより、TiN、TiAlN、TiCN、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、WCなどのタングステン系物質、サーメットなどのセラミックが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このような表面処理は、樹脂との摩擦係数が小さいため、均一な樹脂の溶融状態が得られる点で好ましい。
本発明の光学フィルムを溶融押出により製造する際の樹脂温度(押出機シリンダー温度)としては、好ましくは、200〜300℃、より好ましくは220〜290℃である。樹脂温度が200℃未満では、樹脂を均一に溶融させることができず、一方、300℃を超えると、溶融時に樹脂が熱劣化して表面性に優れた高品質なフィルムの製造が困難になる。さらに、上記温度範囲内であって、樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+80℃〜Tg+150℃の範囲内の温度であることが特に好ましい。例えば、樹脂のTgが130℃であれば、フィルム製造にとって特に好ましい温度範囲は210℃〜280℃である。
また、溶融押出時のせん断速度としては、好ましくは1〜500(1/sec)、より好ましくは2〜300(1/sec)である。押出時のせん断速度が1(1/sec)未満では、樹脂を均一に溶融させることができないため厚み斑が小さい押出フィルムを得ることができず、一方、500(1/sec)を超えると、せん断力が大きすぎて樹脂および添加物が分解・劣化し、押出フィルムの表面に発泡、ダイライン、付着物などの欠陥が生じてしまうことがある。
溶融押出により得られた本発明の光学フィルムの厚みは、好ましくは10〜500μm、より好ましくは、20〜300μmである。10μm未満の厚みの場合、機械的強度不足などにより延伸加工などの後加工する場合に難があることがあり、一方、500μmを超える厚みの場合、厚みや表面性などが均一なフィルムを製造することが難しいばかりか、得られたフィルムを巻き取ることが困難になることがある。
原反フィルムの厚み分布は、通常、平均値に対して±5%以内、好ましくは±3%以内、より好ましくは±1%以内である。厚み分布が±5%を超えると、延伸処理を行って位相差フィルムとした場合に位相差ムラが発生しやすくなることがある。
本発明の光学用フィルムは、透過光に位相差を与える光学用フィルム(以下、「位相差フィルム」という)であることも好ましい。本発明に係る位相差フィルムは、上記方法によって得た本発明の光学用フィルムをさらに延伸加工することにより得ることができ、具体的には、公知の一軸延伸法、二軸延伸法、Z軸延伸法により製造することができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、周方向の速度の異なるロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
一軸延伸法の場合、延伸速度は好ましくは通常は1〜1,000%/分であり、より好ましくは50〜800%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、通常は120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、好ましくは1〜5,000%/分であり、より好ましくは50〜1,000%/分である。
延伸加工温度は、特に限定されるものではないが、本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、好ましくは(Tg−10℃)以上(Tg+30℃)以下、より好ましくは(Tg)以上(Tg+15℃)以下である。前記範囲内とすることで、位相差ムラの発生を抑えることが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は、所望する特性により決定されるため特に限定はされないが、好ましくは1.01〜5倍、より好ましくは1.03〜4倍である。延伸倍率が5倍以上の場合、位相差の制御が困難になる場合がある。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜10分間、さらに好ましくは1分〜5分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
延伸加工を施さない本発明の光学用フィルムの加熱による寸法収縮率は、80℃における加熱を500時間行った場合に、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。
また、本発明の延伸加工を行った位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、80℃における加熱を500時間行った場合に、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、本発明中の特定単量体の選択やその他の共重合性単量体の選択に加え、キャスト方法、延伸方法やヒートセットの条件を調整することが有力な手段である。
上記のようにして延伸したフィルムは、延伸により分子が配向し透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さ等により制御することができる。例えば、延伸前のフィルムの厚さが同じである場合、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。一方、延伸倍率が同じである場合、延伸前のフィルムの厚さが厚いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚さを変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。また、上記延伸加工温度範囲においては、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。
上記のように延伸して得た位相差フィルムが透過光に与える位相差の値は、その用途により決定されるものであり特に限定はされないが、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはレーザー光学系の波長板に使用する場合は、通常は1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nm、さらに好ましくは15〜1,000nmである。
また、位相差フィルムを透過した光の位相差は均一性が高いことが好ましく、波長550nmにおける位相差のバラツキは、好ましくは10%以下、さらに好ましくは3%以下である。位相差のバラツキが10%を超えると、液晶表示素子等に用いた場合、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が悪化する場合がある。
さらに、本発明に係る光学用フィルムは、波長550nmでの位相差Re(550)と波長480nmでの位相差Re(480)との比:Re(480)/Re(550)が好ましくは0.5以上1.0未満、より好ましくは0.8以上0.95以下であることが望ましい。このような条件を満たす光学用フィルムを用いた反射型液晶ディスプレイは正面からみたコントラストが良いため好ましい。
さらに、本発明に係る光学用フィルムは、遅相軸を傾斜軸として入射角40°で測定した波長550nmでの位相差Re40(550)と波長480nmでの位相差Re40(480)との比:Re40(480)/Re40(550)が、好ましくは0.5以上1.0未満、より好ましくは0.8以上0.95以下である。本発明でいう入射角とはフィルムの厚さ方向を0°とした時の測定光がフィルムへ入射する角度を示す。このような条件を満たす光学用フィルムを用いた液晶ディスプレイは、斜めからみたコントラストが良く、カラーシフトも少ないため非常に好ましい。
本発明の位相差フィルムは単独でまたは透明基板等に貼り合わせて、位相差フィルムまた位相差板として用いることができる。また、上記位相差フィルムまたは位相差板を他のフィルム、シート、基板に積層して使用することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。これらの粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものが好ましく、具体例としては天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系、変性ポリオレフィン系、及びこれらにイソシアナートなどの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソシアナート系樹脂溶液を混合するドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
また、上記の位相差フィルム及び位相差板は、他のフィルムシート、基板などとの積層の作業性を向上させるために、あらかじめ、粘着剤層、又は接着剤層を積層することができる。積層する場合には、粘着剤や接着剤としては前述のような粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、各種測定および評価は以下のようにして行った。
(1)波長分散(逆分散性)
下記測定器を用いて測定した。
下記測定器を用いて測定した。
装置:自動複屈折計 KOBRA−21ADH/DSP (王子計測機器製)
サンプルホルダー:ADH−05−5(0.5mm以下)、φ5mm
測定モード:波長分散特性測定
入射角:0°または40°(遅相軸を傾斜軸とし、フィルムの厚さ方向を0°とする。)
吸収端波長:0nm
測定波長:480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nm
サンプルの厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出した。
サンプルホルダー:ADH−05−5(0.5mm以下)、φ5mm
測定モード:波長分散特性測定
入射角:0°または40°(遅相軸を傾斜軸とし、フィルムの厚さ方向を0°とする。)
吸収端波長:0nm
測定波長:480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nm
サンプルの厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出した。
波長分散:波長480.4nmおよび548.3nmの時の位相差Re(480)およびRe(550)により、Re(480)/Re(550)を算出した。
また、入射角40°においても同様にRe40(480)/Re(550)を算出した。
(2)全光線透過率、ヘイズ
JIS−K7105−1981に準拠した光学条件にて、下記測定器を用いて測定した。
JIS−K7105−1981に準拠した光学条件にて、下記測定器を用いて測定した。
装置:直読ヘーズメーターHGM−2DP(C光源用) (スガ試験機社製)
光源:ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395〜745nm
サンプル:1〜200μmのいずれかの厚みのフィルム
測定結果:5枚のフィルムを測定し、その平均値を有効数字2桁で算出した。
光源:ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395〜745nm
サンプル:1〜200μmのいずれかの厚みのフィルム
測定結果:5枚のフィルムを測定し、その平均値を有効数字2桁で算出した。
(3)光弾性係数
下記測定器および測定方法にて測定した。
下記測定器および測定方法にて測定した。
装置:セルギャップ検査装置 RETS−1200(大塚電子株式会社製)
サンプルサイズ:20mm×50mm
サンプル厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出しd(nm)とした。
サンプルサイズ:20mm×50mm
サンプル厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出しd(nm)とした。
測定スポット径:φ5mm
光源:589nm
測定方法:サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を冶具で挟み、長手方向に9.8×106Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差Re(nm)を測定した。
光源:589nm
測定方法:サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を冶具で挟み、長手方向に9.8×106Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差Re(nm)を測定した。
測定結果:張力をかける前の位相差をR1、かけた後の位相差をR2とした。
光弾性係数(Cσ):Cσ=(R2―R1)/(σ×d)より、光弾性係数(Cσ)(Pa−1)を計算した。5枚のフィルムを測定し、その平均値を有効数字2桁で算出した。
(4)ガラス転移温度
測定には、下記測定器および条件にて行った。
装置:示差走査熱量計 DSC−7型(Perkin Elmer社製)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
サンプル:チップ状の樹脂またはフィルム
サンプル量:5mg
測定結果:JIS−K7121−1987の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に準処して、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸補講に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。測定は5回行い、その平均値を有効数字3桁で算出した。
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
サンプル:チップ状の樹脂またはフィルム
サンプル量:5mg
測定結果:JIS−K7121−1987の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に準処して、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸補講に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。測定は5回行い、その平均値を有効数字3桁で算出した。
[実施例1]
充分乾燥した500mlのセパラブルフラスコに攪拌羽根、ガス吹込管、温度計及び滴下ロートを取り付け充分窒素で置換した。このフラスコにモレキュラーシーブで脱水乾燥したトルエン250mlを入れた。窒素流通下フラスコに、ノルボルネン系単量体(Ia)としてスピロ[フルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]を3.00g、ノルボルネン系単量体(IIa)として2−ノルボルネンを4.00g、エチルアルミニウムセスキクロリドを2.5ミリモル、滴下ロートにバナジウムオキシトリクロリド(VOCl3)を0.25ミリモル加えた。
充分乾燥した500mlのセパラブルフラスコに攪拌羽根、ガス吹込管、温度計及び滴下ロートを取り付け充分窒素で置換した。このフラスコにモレキュラーシーブで脱水乾燥したトルエン250mlを入れた。窒素流通下フラスコに、ノルボルネン系単量体(Ia)としてスピロ[フルオレン−9,8’−トリシクロ[4.3.0.12,5][3]デセン]を3.00g、ノルボルネン系単量体(IIa)として2−ノルボルネンを4.00g、エチルアルミニウムセスキクロリドを2.5ミリモル、滴下ロートにバナジウムオキシトリクロリド(VOCl3)を0.25ミリモル加えた。
ガス吹込管を通して乾燥したエチレン20リットル/hr、窒素40リットル/hrの混合ガスを10℃に制御したフラスコに10分間通した。滴下ロートからエチルアルミニウムセスキクロリドを滴下して共重合反応を開始し、前記の混合ガスを通しながら10℃で30分間共重合反応を行った。共重合反応中の溶液は均一透明であり、共重合体の析出は認められなかった。メタノール5mlを重合溶液に添加して共重合反応を停止した。
反応停止後の重合液を大量のメタノールおよびアセトン中に投入して共重合体を析出させ、さらにアセトンで洗浄後、60℃で一昼夜減圧乾燥し、共重合体7.5gを得た。
13C−NMR分析で測定した共重合体中のエチレン組成は55モル%、固有粘度[η]=0.65、重量平均分子量(Mw)=9×104、ガラス転移温度(Tg)=155℃であった。
また、光学特性を測定するために、250℃においてホットプレスにより0.2mm厚さのプレス成形シートを作成した。これらのシートを用いて、X線回折を行ったところ、結晶による散乱は観察されず、結晶化度(Wc)は0%であった。また、全光線透過率は90%であり、ヘイズは0.7%であった。
この未延伸フィルムをストレッチャーにおいて160℃に加熱し延伸速度200%/分で1軸に2.3倍に延伸した後、冷却して位相差フィルム1を得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
[実施例2]
実施例1において得られた未延伸フィルムをストレッチャーにおいて160℃に加熱し縦の延伸速度200%/分、横の延伸速度を100%/分で縦2.0倍、横1.5倍に同時二軸延伸した後、冷却して位相差フィルム2を得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
実施例1において得られた未延伸フィルムをストレッチャーにおいて160℃に加熱し縦の延伸速度200%/分、横の延伸速度を100%/分で縦2.0倍、横1.5倍に同時二軸延伸した後、冷却して位相差フィルム2を得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
[実施例3]
実施例1において得られた未延伸フィルムをストレッチャーにおいて160℃に加熱し延伸速度200%分で縦1.5倍、横1.5倍に同時二軸延伸した後。冷却して位相差フィルム3を得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
実施例1において得られた未延伸フィルムをストレッチャーにおいて160℃に加熱し延伸速度200%分で縦1.5倍、横1.5倍に同時二軸延伸した後。冷却して位相差フィルム3を得た。得られたフィルムの特性を表1に示した。
[比較例1]
熱可塑性樹脂として市販の樹脂(TOPAS6015(Ticona社製、2−ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、極性基を含有せず))を使用した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た後、140℃で2.3倍に延伸した。得られたフィルムの特性を表1に示した。
熱可塑性樹脂として市販の樹脂(TOPAS6015(Ticona社製、2−ノルボルネンとエチレンの付加共重合体、極性基を含有せず))を使用した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルムを得た後、140℃で2.3倍に延伸した。得られたフィルムの特性を表1に示した。
本発明の光学用フィルムは、逆分散性であり、光弾性係数が小さく、耐熱性に優れることから、位相差フィルムとして、また特に反射型および半透過型液晶ディスプレイなどの表示装置における視野角補償、色補償、直線偏光の円偏光への変換などの用途として、有効に用いることができる。
また、偏光板保護フィルム、波長板、光拡散板、プリズムシート、反射防止フィルム、液晶やエレクトロルミネッセンス用途の表示素子基板、タッチパネル、導光板など、環状オレフィン系重合体の用途として種々の用途へ好適に適用可能である。具体的には、たとえば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイ等の各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂が、構造単位(I)を全構造単位中5モル%以上80モル%以下含有する、請求項1または2に記載の光学用フィルム。
- 波長550nmにおける位相差Re(550)と波長480nmにおける位相差Re(480)の比Re(480)/Re(550)が0.5以上1.0未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学用フィルム。
- 遅相軸を傾斜軸として入射角40°で測定した波長550nmにおける位相差Re40(550)と波長480nmにおける位相差Re40(480)の比Re40(480)/Re40(550)が0.5以上1.0未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学用フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007087166A JP2008247934A (ja) | 2007-03-29 | 2007-03-29 | 光学用フィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010122415A (ja) * | 2008-11-19 | 2010-06-03 | Tosoh Corp | 光学補償膜 |
WO2019003503A1 (ja) * | 2017-06-28 | 2019-01-03 | 日東電工株式会社 | 位相差フィルム、円偏光板、および位相差フィルムの製造方法 |
-
2007
- 2007-03-29 JP JP2007087166A patent/JP2008247934A/ja active Pending
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