JP2010174089A - 光学用ポリエステル樹脂 - Google Patents

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浩一 旦
Jun Sakamoto
純 坂本
Shigetoshi Maekawa
茂俊 前川
Kazunao Matsui
一直 松井
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Abstract

【課題】光弾性係数が小さく、耐熱性に優れ、成形時の副反応が抑制され、配向により付与しうる複屈折が位相差フィルム用途に好適に制御された光学用ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が125℃以上、光弾性係数が−25×10−12/Pa以上25×10−12/Pa以下であり、延伸配向により付与しうる複屈折を共重合組成により制御したフルオレン、エステル基以外の多重結合を含まないフルオレンポリエステル樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は光弾性係数が小さく、耐熱性に優れ、配向により付与しうる複屈折が位相差フィルム用途に好適に制御された光学用ポリエステル樹脂に関し、さらに成型時における架橋等の副反応が抑制されたポリエステル樹脂に関する。
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル等薄型ディスプレイ分野において位相差フィルムが用いられている。
位相差フィルムは視野角補償、外光の反射防止、色補償、直線偏光の円偏光への変換などの役割を担っている。
位相差フィルムに用いられる樹脂としては、環状ポリオレフィン、ポリカーボネートやセルロースエステル、ポリエステルといった樹脂が提案されている。
ここで環状ポリオレフィンが高耐熱性で光弾性係数が低いという特徴を生かし広く用いられているが高コストでありフィルム成形性も容易でない。
最近では位相差フィルムの性能をさらに向上させたものとして透過する光の波長が短くなるほど位相差が小さい特徴をもつ逆分散フィルムの提案がされている。
例えばセルロース系樹脂からなる位相差フィルムとして、逆分散フィルムが開示されている(特許文献1,2)。しかし、セルロース系樹脂は吸水率が高いため、湿熱環境下で寸法変化や位相差変化が生じやすいことや、位相差調整剤を含有させているためブリードアウトが生じることがあり、実用には適さないという問題がある。
また、ポリカーボネートやポリエステルにフルオレン化合物を共重合することにより逆分散性を付与したものも開示されている。ポリカーボネートにフルオレン化合物を共重合したものとして(特許文献3,4)が開示されているが、ポリカーボネートは光弾性係数が大きいために表示装置に組み込む際に発生する応力や、バックライトや使用環境においてフィルムにかかる熱の為に位相差が変化し額縁漏れが生じやすいという問題がある。
ポリエステルにおいてもフルオレン共重合体が開示されている(特許文献5,6,7)。しかし特許文献5記載のポリエステルはテレフタル酸比率も大きいため光弾性係数も大きく光学異方性も残存しやすい。また、特許文献6記載の脂環族ジカルボン酸とフルオレン化合物からなるポリエステルは構造中に脂環族を使用しており光弾性係数は低いが複屈折が小さいレンズ用途であり、位相差フィルムには向かない。位相差フィルム用フルオレンポリエステルとして特許文献7が挙げられフルオレン共重合ポリカーボネートよりも光弾性係数を低く制御している。しかし実用にはさらに低光弾性と高耐熱性との両立をはかる必要がある。
特開2002−90544号公報 特開2004−51563号公報 特開2001−253960号公報 特開2003−167121号公報 特開平3−168211号公報 特開平9−302077号公報 特開2007−213043号公報
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決した、光弾性係数が小さく、耐熱性に優れ、配向により付与しうる複屈折が位相差フィルム用途に好適に制御された光学用ポリエステル樹脂を提供する。さらに成型時における架橋等の副反応が抑制されたポリエステル樹脂を提供する。

上記課題を解決するため、本発明は、次の特徴を有するものである。
(1) ジオール成分として化学式(1)で表せる環式ジオールのジオール残基とジカルボン酸成分とを有するポリエステルであって、ポリマー骨格中に化学式(1)残基以外の芳香環、多重結合環、エーテル環および、エステル基以外の多重結合を含有せず、ガラス転移温度が125℃以上、光弾性係数が−25×10−12/Pa以上25×10−12/Pa以下であり、樹脂をフィルム化後延伸して測定した波長550nmにおける複屈折をΔNとした時、ΔNが下記式(A)を満たす光学用ポリエステル樹脂。
1.8×10−3≦ΔN=Re(550)(nm)/厚み(nm)≦4.0×10−3 ・・・(A)
Figure 2010174089
は同一、または異なる炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜3の整数を示す。
は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
(2)ジカルボン酸成分がデカヒドロナフタレンジカルボン酸残基からなることを特徴とする(1)記載の光学用ポリエステル樹脂。
(3)ジオール成分が9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンおよびエチレングリコールのジオール残基からなる(1)または(2)記載の光学用ポリエステル樹脂
(4)ジオール成分中の9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンのモル比が58mol%以上68mol%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
(5)リン化合物および、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、Zn、CoおよびMn金属元素を含む化合物の一種以上を含有し、かつ下記式(B)を満足する(1)〜(4)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
1.0≦(Ma/2+Mb+Mc)/P≦5.0 ・・・(B)
(Maはポリエステル樹脂1ton中に含有されるアルカリ金属元素のモル数、Mbはポリエステル樹脂1ton中に含有されるアルカリ土類金属元素のモル数、Mcはポリエステル樹脂1ton中に含有されるZn、Co、Mn金属元素のそれぞれのモル数の和、Pはポリエステル樹脂1ton中に含有されるリン元素のモル数)
(6)290℃における溶融比抵抗が5×10〜2×10Ω・cmの範囲である(1)〜(5)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
(7)波長550nmにおける位相差R(550)と波長450nmにおける位相差R(450)とが、次式(C)を満たすことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂からなる位相差フィルム。
R(450)/R(550)<1・・・(C)
本発明により、光弾性係数が小さく、熱変形、熱劣化等の耐熱性に優れた光学用ポリエステル樹脂を提供することができる。また薄型ディスプレイ用位相差フィルムに適用した場合には位相差発現性に優れるため薄膜化でき低コスト性に優れ、波長分散性に優れるため低コストでコントラスト低下や色相変化を小さくすることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂はジオール成分として化学式(1)で表せるジオールのジオール残基を含有し、ポリマー骨格中に化学式(1)残基以外の芳香環、多重結合環、エーテル環および、カルボニル基以外の多重結合を含有せず、ガラス転移温度、光弾性係数、配向により付与しうる複屈折が特定の範囲にあることを特徴とする。
Figure 2010174089
は同一、または異なる炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜3の整数を示す。
は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
ここで、化学式(1)で表せるジオール残基を含有することで位相差フィルムとして用いたときに波長分散性に優れたポリエステルを得ることができる。
位相差フィルムとは、ある波長の光が通過する時に進相軸の位相と、遅相軸の位相に差を生じさせるフィルムであり、本発明において、位相差フィルムとは、例えば1/4波長の位相差を与えるλ/4位相差フィルム、1/2波長の位相差を与えるλ/2位相差フィルムや、視野角拡大フィルム、光学補償フィルムなど位相差を与える全てのフィルムをいう。
ここで進相軸とは光が最も早く通過する面内の方向であり、遅相軸とは、これと直交する面内の方向である。
例えば1/4波長フィルムは、可視波長域で位相差がそれぞれの波長の1/4であることが望ましい。ここで、波長X(nm)の位相差をR(X)(nm)と記載する。例えば簡単に可視波長域のR(450)、R(550)について説明すると、反射型液晶ディスプレイの位相差フィルムとして用いる場合、位相差フィルムを複数枚積層する方法ではなく1枚で全ての可視波長域の波長の位相差を理想値に近づける広帯域位相差フィルムとするためには、下式(1)を満たすことが好ましい。
R(450)/R(550)=(450/4)/(550/4)=0.818 ・・・(1)
これに対し、環状ポリオレフィン、通常のポリエステル、ポリカーボネートなどは下式(2)である。位相差の波長分散に関して下式(2)の状態を順分散であるという。
R(450)/R(550)>1 ・・・(2)
一方、理想に近い下式(3)の状態を逆分散であるという。
R(450)/R(550)<1 ・・・(3)
構成部材の削減及び貼合コストの削減から1枚で上式(3)を満たす位相差フィルムが求められている。本出願においては逆分散を示すフィルムを波長分散性に優れたフィルムという。
逆分散を得るための分子設計としては、分子内で複数の位相差フィルムが重ね合わされた場合と同じ効果があればよい。本出願においては、カルド構造を有する化学式(1)を含有するポリマーが、主鎖方向および主鎖に直交する方向に2種類の位相差フィルムを重ねあわせたのと同じ効果を発現し、逆分散性を示すことが可能となる。
ここで化学式(1)のRは同一であってエチル基であることが好ましく、m=1であることが好ましい。アルキル基の炭素数が大きい場合はTgが下がることがあるので好ましくなく、m=0の場合は重合の反応性が低下し機械的強度が低下するので好ましくない。Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、nはn=0〜4であれば良いが好ましくはn=0である。n≧1の場合は重合の反応性が低下し機械的強度が低下するので好ましくない。
また、本樹脂はポリマー骨格中に化学式(1)残基を構成成分とするが、これ以外は芳香環、多重結合環、エーテル環および、エステル基以外の多重結合を含有しないこと。芳香環、多重結合環、エーテル環および、エステル基を含む多重結合は光弾性係数を大きくするため逆効果となる。本発明ではエステル基以外のこれらを含有しないために、樹脂の光弾性係数を低く制御することが可能となる。また多重結合環および、エステル基以外の多重結合は高温状態において付加反応、エーテル環は開環反応などの副反応を起こしうるので、これらを含有しないことにより、成形、製膜時のゲル化等の熱劣化を抑制することが可能となる。
我々は鋭意検討の結果、上記フルオレン成分を共重合成分として含有し、ガラス転移温度、光弾性係数、配向により付与しうる複屈折を特定の範囲に制御した本発明の樹脂が位相差フィルム用途に用いられる光学用ポリエステル樹脂として特に好適であることを見出したものである。
本発明の光学用ポリエステル樹脂のガラス転移温度は125℃以上である必要がある。本樹脂を、例えば液晶ディスプレイの位相差フィルム、反射フィルム、保護フィルム、プリズムシートなど各種用途で使用する場合、バックライトなどの内部の熱や、外部環境の熱により加熱されるが、この加熱により特性が変化しない耐熱性が必要である。環境温度がTgを越えると、分子が動きやすくなるため、寸法、形状変化や、位相差フィルムの場合位相差が変化することがある。室内で使用される一般的な液晶テレビに使用する光学用フィルムとして、125℃以上のTgを有することが好ましい。Tgを高く制御するためには、樹脂に剛直な環状分子構造を多く含むことが好ましい。好ましいガラス転移温度としては130℃以上である。本温度域よりも低いと使用時に寸法、形状変化や、位相差フィルムの場合には位相差の変化がおこるため好ましくない。上限は特にないが、ガラス転移温度が180℃よりも高いと製膜などの成形が難しくなり好ましくない。
本発明の樹脂の光弾性係数は−25×10−12Pa−1以上25×10−12Pa−1以下である必要がある。例えば本樹脂を液晶フィルム用位相差フィルムに用いた場合、位相差フィルムに貼り合わされた他の部材の熱膨張、あるいは偏光フィルムの収縮、額縁による押しつけなどにより発生する残留応力がかかる。ここで光弾性係数が大きいと残留応力により、位相差の変化が生じ、位相差ムラが発生し、コントラストの低減や色相変化を起こすことがあり好ましくない。光弾性係数は小さければ小さいほど応力に対する位相差変化が小さいため好ましく、より好ましくは−24×10−12Pa−1以上24×10−12Pa−1以下である。光弾性係数を低く制御するためには樹脂中の芳香環、エステル基などπ電子リッチな官能基比率を小さく制御することが好ましい。すなわち芳香環化合物や化合物(1)の比率を小さく制御し、分子量の大きなモノマーを用いることで、単位体積あたりのエステル基濃度を小さくすることも有効である。例えば、高Tgと低光弾性係数を両立させるために、モノマーのジカルボン酸成分は脂環族ジカルボン酸であることが好ましい。
また本樹脂は配向により付与しうる複屈折がある一定範囲であることが必要である。具体的には減圧乾燥した本樹脂を250℃、10kgf/cm2でホットプレスし、厚み250〜300μmのプレスシートとし、これを樹脂のガラス転移温度、200%/minの延伸速度で2.2倍に一軸延伸をおこなって、延伸フィルムを作製する。このとき、延伸方向に対して垂直方向は保持した状態で延伸を行う。この延伸フィルムの波長550nmにおける複屈折をΔNとした時、ΔNが下記式(A)を満たす樹脂であることが必要である。
1.8×10−3≦ΔN=Re(550)(nm)/厚み(nm) ≦4.0×10−3 ・・・(A)
ΔNが本範囲より小さいと樹脂の配向複屈折が小さいことを意味し、位相差フィルムとするにはフィルム膜厚を大きくする必要があり、原料必要量の増加を伴うのでコスト的に不利となる。一方、ΔNが本範囲より大きいと樹脂の配向複屈折が大きいことを意味し、製膜工程において位相差ムラが生じやすくなり好ましくない。ΔNは2.0×10−3以上3.8×10−3以下であることがより好ましく、2.2×10−3以上3.5×10−3以下であることがさらに好ましい。ΔNを大きく制御するには樹脂中の芳香環、多重結合など屈折率異方性の大きい構造の比率を大きくする他、主鎖に脂肪族など配向しやすい構造をもつものの比率を大きくすることが有効である。一方、ΔNを小さく制御するには樹脂中の脂環族、脂肪族など屈折率異方性の小さい構造の比率を大きくする他、脂肪族など配向しやすい構造の比率を小さくすることが有効である。
本発明の樹脂はフルオレン成分を含有し、架橋など副反応に活性を有する構造を含有せず、光弾性係数が小さく、ガラス転移温度が高くかつΔNが一定以上であることを特徴とする。我々が鋭意検討した結果、これらの特徴を満たす樹脂が位相差フィルム用途において特に好適であることを見出した。これらの特徴を満たすポリエステルの共重合組成としては特に制限されないが、例えばジカルボン酸成分としては分子量の大きな脂環族成分、ジオール成分としてはフルオレン化合物と脂肪族ジオールを使用し、組成比を制御することが好ましい。
本発明の光学用ポリエステル樹脂は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Co、Mnから選択される金属成分とリン元素Pを含有し、その含有量として1.0≦(Ma/2+Mb+Mc)/P≦5.0を満たしていることが好ましい。本特許においてアルカリ土類金属はベリリウム、マグネシウムを含む周期表第2元素全体を指す。ここで、Maはポリエステル1t中に含有されるアルカリ金属元素のモル数、Mbはポリエステル樹脂1t中に含有されるアルカリ土類金属元素のモル数、Mcはポリエステル1t中に含有されるZn、Co、Mn元素それぞれのモル数の和、Pはポリエステル樹脂1t中に含有されるリン元素のモル数である。
金属成分(M=Ma/2+Mb+Mc)とリン(P)の比率が1.0未満である場合、光学ポリエステルの成形性が不十分となる。光学ポリエステル樹脂をフィルムに成形する際、溶融したポリエステル樹脂を鏡面冷却体に密着させることが必要であるが、これには静電印加法が有効である。M/P比率が1.0未満の場合には静電印加性が不良となる傾向があり、溶融シートを鏡面冷却体に密着させることができにくい。溶融シートを密着できなければポリエステルの結晶化による白濁を誘発したり、シートの厚み斑が大きくなったり、不均一な冷却による光学異方性が発現したりする傾向にある。
M/P比率が5.0を超える場合、金属成分によるポリエステル樹脂の熱安定性が損なわれ、着色や分解の原因となる傾向にある。特にポリエステル樹脂をフィルム製膜する際にはフィルム屑を再度押出機に原料として投入するため、繰り返し溶融による安定性が重要である。これは通常の射出成型用樹脂と異なり、フィルムならではの必要特性である。
前記した静電印加性はポリエステルの溶融時の体積比抵抗(溶融比抵抗)によって直接的にコントロールできる。すなわち290℃における溶融比抵抗を5×10〜2×10Ω・cmの範囲とすることが好ましい。溶融比抵抗は電荷キャリア数と移動度によって決定され、前記のM/P比率は電荷キャリア数に対応する。移動度についてはポリステルの組成によって異なり、一般的に融点が低い場合には大きな移動度を有する傾向にある。しかしながら本発明の光学用ポリエステル樹脂は基本的に融点を示さないため、同じM/Pであってもポリエステルの組成によって溶融比抵抗値は異なる。
また、本発明の光学用ポリエステル樹脂は各種光学用フィルム、レンズ等に使用することができるが、その中でも光学用ポリエステル樹脂を使用して、波長550nmにおける位相差R(550)と波長450nmにおける位相差R(450)とが、次式(C)を満たすことを特徴とする位相差フィルムもまた、本発明の好ましい形態である。
R(450)/R(550)<1・・・(C)
本発明のポリエステル樹脂を使用することにより、光弾性係数が低く、耐熱性に優れた位相差フィルムを得ることができ、上記範囲に制御することにより、波長分散性に優れた位相差フィルムを得ることができる。R(450)/R(550)は1未満であることが好ましく、0.9未満であることがより好ましい。位相差フィルムを上記式の範囲内に制御する方法としてはフルオレン濃度を高く、フルオレン以外のポリエステル中の芳香族を含む2重結合濃度を低く制御すればよい。モノマー組成により異なるが、ひとつの目安としてポリエステル中の(エステル基以外、フルオレン以外の2重結合性炭素原子、2重結合性酸素原子の総和の重量)/(フルオレン中の2重結合性炭素原子の重量)を0.10以下、さらに好ましくは0.08以下に制御すると(C)式を満たすポリエステル樹脂となる傾向がある。また、R(450)/R(550)<0.9に制御するには、ポリエステル中の(エステル基以外、フルオレン以外の2重結合性炭素原子、2重結合性酸素原子の総和の重量)/(フルオレン中の2重結合性炭素原子の重量)をさらに小さくし、フルオレン化合物の比率を大きくすることにより実現する。ポリエステル樹脂のままでは分子鎖が配向しておらず、位相差が発現しないが、製膜時に延伸配向させることで位相差を発現し、(C)式を満たすフィルムが得られる。
以下、本発明の光学用ポリエステル樹脂及びフィルムの製造方法について具体的に記述するが、これに制限されない。
本発明の樹脂の重合方法に限定はなく、公知の重合法、例えば、ジカルボン酸とジオールを誘導体とするエステル化法、ジカルボン酸ジエステルとジオールを用いるエステル交換法などを用いることができる。
本発明の樹脂はジオール成分として化学式(1)のフルオレン成分を含有する。上記化学式(1)で表される構造単位の誘導体としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられ、これらの中でも、光弾性係数、耐熱性、重合性の観点から9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。また、これらのフルオレン成分は単独でも2種類以上用いてもよい。ジオール成分として9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを用いる場合、他の共重合成分によるが、ジオール成分中の58mol%以上68mol%以下が9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンであることが樹脂特性の点から好ましい。58mol%未満であるとTgを125℃以上に制御することが困難である。また、68mol%よりも大きいと光弾性係数が大きくなることから樹脂を−25×10−12/Pa以上25×10−12/Paに制御することが困難となり、フィルムのΔNもポリマーが剛直な骨格となるため、1.8×10−3に制御することが困難となる。
本発明のポリエステルのフルオレン以外のジオール成分は特に制約はなく、各種ジオールを使用することができる。例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、などの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール等の飽和脂環式1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオールなどの各種脂環式ジオールが例示できる。しかし特に例示したジオール成分に限定しない。これらの中で耐熱性向上(環式原子濃度向上)の観点から各種脂環式ジオールが好ましく、光弾性係数低減(エステル基濃度減)の観点から例えばシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、デカリンジメタノール等が好ましい。また、配向復屈折向上の観点から脂肪族ジオールが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲においてフルオレン化合物以外のジオールとして2種類以上組み合わせてもよい。
また本発明のポリエステルのジカルボン酸成分としては特に制約はなく、一般的なポリエステル樹脂の原料を用いることができる。例えば脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような酸無水物、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのような低級アルキルエステルなどを使用することができる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,3−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−3,4−ジカルボン酸、などの飽和脂環式ジカルボン酸も例示できる。これらの中で耐熱性向上(環式原子濃度向上)のから好ましくは例えば2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸であり、光弾性係数低減、波長分散性向上(2重結合原子濃度低減、エステル基濃度低減)の観点から好ましくは例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸である。本発明の目的において、これらジカルボン酸成分の中では1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸がより好ましく、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸が最も好ましい。
特に共重合組成においてジカルボン成分の95mol%以上が2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸であることが好ましく、100mol%が2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸であることがより好ましい様態である。ここでシクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸等脂環族ジカルボン酸においては、トランス比率が高いものが反応性、ポリマーの耐熱性、光弾性の点から好ましい。特に制限はないが、トランス比が60%以上のものが好ましく、65%以上のものがさらに好ましい。
重合法がエステル交換法の場合、例えば2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコールを用いる場合、2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコールを所定のポリマー組成となるように反応容器へ仕込む。この際、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加することにより反応性が良好になる。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガンを添加し撹拌する。150℃で、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。ついで235℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。エステル反応終了後、トリメチルリン酸を加え、撹拌後に水を蒸発させる。さらに、二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を徐々に285℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧し、エチレングリコールを留出させる。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置から樹脂を水槽へストランド状に吐出する。吐出された樹脂は水槽で急冷し、巻き取り後カッターでチップとする。得られた樹脂は95℃の温水が満たされた水槽に投入して5時間水処理を行う。水処理後、脱水機を用いて樹脂から水分を除去し、ファインも取り除く。このようにして本発明の樹脂を得ることができるが、上記方法に限定されるわけではない。
次に本発明の位相差フィルムの製膜について述べる。
製膜方法については、公知の製膜方法を用いて製膜することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法などの製造方法が使用できるが、厚みムラ減少、異物削減の観点からT−ダイ法、流延法、ホットプレス法が好ましく使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいは二軸押出しスクリューのついたエクストルーダ溶融押出し装置が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下の二軸混練押出機が着色を防ぐため好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。特に本発明のポリエステル樹脂フィルムは非晶性であるため乾燥が難しいので、ベント式押出機は乾燥しなくても溶融押出しできるために好ましく用いられる。
積層フィルムとするには、2台以上の押出機を用い、積層口金やフィードブロック等で直接ポリエステルを積層し、押し出すことで製造することができる。
キャスト方法は溶融した樹脂をギア―ポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸フィルムを得ることが好ましい。押出温度としては(Tg+40)℃〜(Tg+220)℃の範囲のいずれかの温度で行うことができる。本発明のポリエステル樹脂フィルムでは良好な平面性や均一な厚み、光学特性が要求されるため、静電印加法が特に好ましく用いられる。
また、流延法により未延伸のフィルムを製造する場合、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン等の溶剤が使用可能であり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトンあるいはN-メチルピロリドン等が使用できる。該フィルムは、本発明の光学用ポリエステル樹脂を上記の1種以上の溶剤に溶かし、その溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱フィルム、スチールベルト、金属箔などの平板または曲板(ロール)上に流延し、溶剤を蒸発除去する乾式法あるいは溶液を凝固液で固化する湿式法等を採用することにより製造できる。
上記に記載の製膜方法により製造した未延伸フィルムを、(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で一軸延伸、二軸延伸などの方法で延伸することにより、位相差を付与したフィルムを得ることができる。二軸延伸の延伸方式は特に限定はなく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法を用いることができる。延伸温度は好ましくは(Tg−30)℃〜(Tg+30)℃の範囲であり、より好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+20)℃の範囲である。延伸温度が高すぎると十分な位相差が得られないことがあり、低すぎるとフィルム破れが生じやすくなるため好ましくない。延伸倍率は、目的とした位相差に応じて決めることができる。例えば、波長550nmの光において、厚さ50μm以下および位相差137.5nm以上の樹脂フィルムを得るためには、1.5倍以上の延伸倍率であることが肝要である。延伸速度には特に限定はないが50〜10000%/分が好ましい。延伸速度が遅すぎると、十分な位相差が得られないことや生産性が低くなり、早過ぎるとフィルム破れが生じることがあるので好ましくない。
本発明のフィルムを延伸した後のフィルム厚みは5〜300μmであることが好ましい。より好ましくは7〜150μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。5μm未満の場合はフィルムのハンドリングが困難になることがあり、300μmを超える場合は光線透過率が低くなることがあり、また本発明の位相差フィルムを用いた液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
本発明の光学用ポリエステルフィルムには、表面形成剤、加工性改善剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、可塑剤、防曇剤、着色剤、分散剤、赤外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
添加剤は無色であっても有色であっても構わないが、光学フィルムの特徴を損ねない為には無色透明であることが好ましい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO2、TiO2、Al2O3、CaSO4、BaSO4、CaCO3、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆などの処理を施した無機粒子が挙げられる。
また、逆分散性を損なわない範囲において、他の透明性樹脂とのアロイであっても構わない。アロイ成分としては各種アクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、環状オレフィン等が挙げられるが、本発明の樹脂を50重量%以上含有していることが望ましい。アロイ成分がポリエステルの場合は、ポリエステル成分全体としても本発明を満たすことが望ましい。
なお、上記した本発明の光学用ポリエステルフィルムは、他の光透過性フィルムとの積層フィルムであっても構わない。また、位相差フィルムとして使用する以外にも、フィルムに2色性色素を添加し、偏光板とすることも可能である。
また本ポリエステル樹脂はプリズムシートやレンズシートに使用することも好ましいが、これらを製造する場合はホットプレス法で製造することが好ましい。製造方法としては成型させる金型を準備し、これをTg+10〜+50℃程度に加熱し、未延伸または延伸の終了したポリエステルシート、フィルムにプレスする。プレスしたら1分ほど圧力をかけ続け、そのままの状態でTg以下まで冷却する。金型がポリエステル樹脂のTg以下となったところで金型とポリエステルフィルムを剥離する。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
下記測定器を用いて測定した。
装置:示差走査熱量計 DSC−7型(Perkin Elmer社製)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
JIS−K7121(制1987)の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャーとの各ベースラインの延長した直線から縦軸補講に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。
(2)光弾性係数(Cσ)
下記測定器を用いて測定した。
装置:セルギャップ検査装置 RETS−1200(大塚電子株式会社製)
サンプルサイズ:30mm×50mm
測定スポット径:φ5mm
光源:589nm
100℃で12時間真空乾燥した樹脂サンプル4.0gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度250℃で、予熱1分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取りだし、水管冷却式プレスで圧力20MPaで3分間加圧冷却しシートを作製した。シートを測定サイズに切り出し、サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を挟み、長手方向に9.8×10Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差R(nm)を測定した。張力をかける前の位相差をR、かけた後の位相差をRとし、下記の式を用いて光弾性係数Cσ(Pa−1)を計算した。
Cσ=(R―R)/(σ×d)。
(3)R(450)/R(550)
100℃で12時間真空乾燥した本樹脂を250℃、10kgf/cm2でホットプレスし厚み250〜300μmのプレスシートとし、これを樹脂のガラス転移温度、200%/minの延伸速度で2.2倍に一軸延伸をおこなった延伸フィルムを作製する。このとき、延伸方向に対して垂直方向は保持した状態(倍率1倍)で延伸を行う。本フィルムについて下記測定器を用いて測定した。
装置:自動複屈折計 KOBRA−21ADH/DSP (王子計測機器製)
測定径:φ5mm
測定波長:400〜800nm
波長x(nm)の時の位相差をR(x)(nm)と記載した。
また、R(450)(nm)、R(550)(nm)の値は、次式のコーシーの式を用いて算出した。式のa〜dの算出に用いた波長は480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nmの4つである。
R(λ)=a+b/λ+c/λ+d/λ
算出したR(450)(nm)、R(550)(nm)からR(450)(nm)/R(550)(nm)を算出した。
(4)ΔN
上記(3)に示す測定方法により求めた波長550nmにおける面内位相差Re(550)(nm)を用いて下記式によりΔNを算出した。厚みはフィルム厚みである。
ΔN=Re(550)(nm)/厚み(nm)
(5)ポリエステル樹脂に含まれる金属元素、リン元素の定量
アルカリ金属元素を除く金属元素、リン元素の含有量は、蛍光X線元素分析装置(リガク製 ZSX100e型)によって測定し、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて含有量を求めた。
(6)ポリエステル樹脂に含まれるアルカリ金属元素の定量
原子吸光光度計(島津製作所製 AAA6300型)(フレーム:アセチレン−空気)を用いて原子吸光法によって測定し、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて含有量を求めた。
(7)ポリエステル樹脂の溶融比抵抗
ポリエステル樹脂を100℃で24時間以上減圧乾燥する。その後、該ポリエステル樹脂をガラス製試験管中・窒素気流下にて290℃で溶融し、この溶融ポリエステルに一対の電極を挿入する。電極間に電圧を印加し、観察される電流値からポリエステルの溶融比抵抗を次の計算式によって求めた。
溶融比抵抗(Ω・cm)=(V×S)/(I×D)
V:印加電圧(V)、S:電極面積(cm2)、I:電流値(A)、D:電極間隔(cm)
(8)静電印加性確認
ポリエステルチップを100℃で24時間減圧乾燥した後、押出機に供給した。押出機に供給されたポリエステルは280℃で溶融されて金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。この溶融シートを、静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上に冷却固化し、未延伸シートとした。フィルム表面状態(鏡面ドラム面側)を目視にて観察した。
(9)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
(参考例)チタン触媒(乳酸チタンナトリウムキレート化合物)の調製
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3リットルのフラスコ中の温水(371g)に乳酸
(226.8g、2.52モル)を溶解させ攪拌した。この攪拌されている溶液に滴下漏
斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.0モル)をゆっくり加えた。この
混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水
混合物を減圧下にて蒸留した。その生成物を70℃以下の温度まで冷却し、その攪拌され
ている溶液に水酸化ナトリウムの32wt%水溶液(380g、3.04モル)を滴下漏
斗によってゆっくり加えた。得られた生成物を濾過し、次いでエチレングリコール(50
4g、8モル)と混合し、減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇
った淡黄色の生成物(チタン含有量5.6wt%)を得た。
実施例1
2,6−デカリンジカルボン酸メチル(トランス71%)63.1質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン43.5質量部 エチレングリコール30.8質量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガン4水塩を0.06質量部添加し撹拌した。
30分かけて205℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、触媒の失活剤としてトリエチルホスホノアセテートを0.032質量部含んだエチレングリコール溶液を加え、5分間攪拌してエステル交換反応を停止した。
二酸化ゲルマニウムを0.04質量部含んだエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から真空へ減圧しエチレングリコールを留出させる。重合反応の進行にしたがって反応物の粘度が上昇し、所定の撹拌トルクとなった時点で反応の終了とする。反応終了時は重合装置内を窒素ガスにて常温に戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリエステルを水槽へ吐出した。吐出されたポリエステル樹脂は水槽で急冷後、カッターにてカッティングしチップとした。
このようにしてポリエステルチップを得た。
得られたポリエステルチップは95℃のイオン交換水で満たされた水槽に投入し、5時間水処理した。水処理の終了したチップは脱水機によって水と分離した。この水処理によってポリエステルチップに含まれていたファインも除去した。
樹脂組成を表1、樹脂のTg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは127℃、ΔNは2.6×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例2
2,6−デカリンジカルボン酸メチルをトランス比が76%のものを用いた以外は実施例1同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は23×10−12/Pa、Tgは127℃、ΔNは2.6×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例3
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは2.6×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例4
エステル交換触媒の酢酸マンガン4水塩を酢酸マグネシウム4水塩に、触媒失活剤のトリエチルホスホノアセテートをトリメチルリン酸に変更し、残存量が表1記載量になるよう添加した以外は実施例3と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは2.6×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例5
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更し、エステル交換触媒の酢酸マンガン4水塩を酢酸マグネシウム4水塩に、触媒失活剤のトリエチルホスホノアセテートをリン酸に変更し、残存量が表1記載量になるよう添加した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後の波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは2.3×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例6
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更し、触媒失活剤のトリエチルホスホノアセテートの添加量を変更し、残存量が表1記載量になるよう添加した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後の波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は25×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは2.1×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例7
モノマー仕込み量を2,6−デカリンジカルボン酸メチル(トランス71%)53.8質量部、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(トランス体30%)2.2質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン58.6質量部、エチレングリコール27.7質量部とし、重合触媒を二酸化ゲルマニウムから乳酸チタンナトリウムキレートに変更し、残存量が表1になるよう添加した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後の波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは126℃、ΔNは2.7×10−3であり静電印加性は良好であった。
実施例8
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更し、重合触媒組成を実施例1組成に戻した以外は実施例7と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後の波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は25×10−12/Pa、Tgは131℃、ΔNは2.4×10−3であり静電印加性は良好であった。
比較例1
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は26×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは1.6×10−3であり、エチレングリコール比率が低く、分子鎖の配向性が低下したためΔNが小さく、光弾性係数も高くなった。また静電引加性は良好であった。
比較例2
エステル交換触媒として酢酸マンガン4水塩及び酢酸カルシウム1水塩、触媒失活剤のトリエチルホスホノアセテートをトリメチルリン酸に変更し、残存量が表1記載量になるよう添加した以外は比較例1と同様にポリエステルチップを得た。得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に表す。
この結果、比較例1同様光弾性係数は26×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは1.6×10−3であり、エチレングリコール比率が低く、分子鎖の配向性が低下したためΔNが小さく、光弾性係数も高くなった。また、静電印加性については金属/リン比率が低すぎるため、フィルムキャスティング時に空気を噛み込み、フィルム表面(キャスティングドラム面側)に泡状決定が多量に発生し、不良であった。
比較例3
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は27×10−12/Pa、Tgは140℃、ΔNは1.7×10−3であり、エチレングリコール比率が低く、分子鎖の配向性が低下したためΔNが小さく、光弾性係数も高くなった。また静電引加性は良好であった。
比較例4
ジオールとして9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール、スピログリコールを共重合し、比率を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。重合終了後のポリマーを水槽に吐出し、カッティング装置に供給する工程でポリマー太さが安定せず、ミスカット等により樹脂の収率は70%未満であった。これは共重合成分としてスピログリコールを使用していることにより、重合、吐出工程で架橋したからと考えられる。得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は23×10−12/Pa、Tgは140℃、ΔNは1.7×10−3であり、エチレングリコール比率が低くなったことと部分架橋したことにより分子鎖の配向性が低下したためΔNが小さく、光弾性係数も高くなった。また静電引加性は良好であった。
比較例5
ジオールの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコール比率を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。
得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に示す。
この結果、光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは119℃、ΔNは2.9×10−3であり、エチレングリコール比率が高く、ガラス転移温度が低下した。また静電印加性は良好であった。
比較例6
ジカルボン酸成分として2,6−デカリンジカルボン酸メチル(トランス71%)、cis-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸を共重合成分として使用し、比率が表1となるよう変更した以外は実施例1と同様にポリエステルチップを得た。ここで、cis-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸の添加はエステル交換反応工程において2,6−デカリンジカルボン酸メチル由来のメタノール留出が完了後反応系を235℃に保持し添加した。その後cis-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸由来の水留出後失活剤を添加しエステル交換反応を停止し、重合触媒を添加し重合反応を行った。重合終了後のポリマーを水槽に吐出し、カッティング装置に供給する工程でポリマー太さが安定せず、ミスカット等により樹脂の収率は75%未満であった。これは共重合成分としてcis-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸を使用していることにより、重合、吐出工程で架橋したからと考えられる。
この結果、光弾性係数は27×10−12/Pa、Tgは116℃、ΔNは2.5×10−3であり、cis-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸を共重合することにより剛直性に優れる2,6−デカリンジカルボン酸メチルの共重合比率が低下したためガラス転移温度が低下した。
比較例7
エステル交換触媒である酢酸マンガン4水塩、触媒失活剤のトリエチルホスホノアセテートの添加量を、残存量が表1記載量になるよう変更した以外は実施例3と同様にポリエステルチップを得た。得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表2に表す。
この結果、実施例2同様光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは2.6×10−3となった。また、静電印加性については金属/リン比率が低すぎるため、フィルムキャスティング時に空気を噛み込み、フィルム表面(キャスティングドラム面側)に泡状決定が多量に発生し、不良であった。
比較例8
エステル交換触媒として酢酸マグネシウム4水塩および酢酸マンガン4水塩を添加し、これら添加量および触媒失活剤のトリエチルホスホノアセテートの添加量を、残存量が表1記載量になるよう変更した以外は実施例3と同様にポリエステルチップを得た。得られた樹脂の樹脂組成を表1、Tg、光弾性係数、溶融比抵抗、IV、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、ΔNの結果を表に表す。
この結果、実施例2同様光弾性係数は24×10−12/Pa、Tgは132℃、ΔNは2.6×10−3となった。また、静電印加性については金属/リン比率が高すぎるため、ワイヤー電極から溶融フィルムへ不均一な放電が発生し、フィルム表面(キャスティングドラム面側)に筋状の欠点が発生し不良であった。
なお、実施例、比較例で用いた原料の略号は以下の通りである。
BPEF:9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
〔化学式(1)でR1がエチル基、m=1、n=0に相当〕
CHDC:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(トランス体30%)
DDC:2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル(トランス体71%、76%)
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)
TEPA:トリエチルホスホノアセテート
THPA:cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸
TMPA:トリメチルリン酸
PA:リン酸
Figure 2010174089
Figure 2010174089

Claims (7)

  1. ジオール成分として化学式(1)で表せる環式ジオールのジオール残基とジカルボン酸成分とを有するポリエステルであって、ポリマー骨格中に化学式(1)残基以外の芳香環、多重結合環、エーテル環および、エステル基以外の多重結合を含有せず、ガラス転移温度が125℃以上、光弾性係数が−25×10−12/Pa以上25×10−12/Pa以下であり、樹脂をフィルム化後延伸して測定した波長550nmにおける複屈折をΔNとした時、ΔNが下記式(A)を満たす光学用ポリエステル樹脂。
    1.8×10−3≦ΔN=Re(550)(nm)/厚み(nm) ≦4.0×10−3 ・・・(A)
    Figure 2010174089
    は同一、または異なる炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜3の整数を示す。
    は同一、または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜4の整数を示す。
  2. ジカルボン酸成分がデカヒドロナフタレンジカルボン酸残基からなることを特徴とする請求項1記載の光学用ポリエステル樹脂。
  3. ジオール成分が9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンおよびエチレングリコールのジオール残基からなる請求項1または2記載の光学用ポリエステル樹脂。
  4. ジオール成分中の9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンのモル比が58mol%以上68mol%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
  5. リン化合物および、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、Zn、CoおよびMn金属元素を含む化合物の一種以上を含有し、かつ下記式(B)を満足する請求項1〜4のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
    1.0≦(Ma/2+Mb+Mc)/P≦5.0 ・・・(B)
    (Maはポリエステル樹脂1ton中に含有されるアルカリ金属元素のモル数、Mbはポリエステル樹脂1ton中に含有されるアルカリ土類金属元素のモル数、Mcはポリエステル樹脂1ton中に含有されるZn、Co、Mn金属元素のそれぞれのモル数の和、Pはポリエステル樹脂1ton中に含有されるリン元素のモル数)
  6. 290℃における溶融比抵抗が5×10〜2×10Ω・cmの範囲である請求項1〜5のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
  7. 波長550nmにおける位相差R(550)と波長450nmにおける位相差R(450)とが、次式(C)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂からなる位相差フィルム。
    R(450)/R(550)<1・・・(C)
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JP2018502059A (ja) * 2014-11-12 2018-01-25 ビゾリス インコーポレイテッド メバロノラクトンから調製されるポリマーおよび誘導体
CN113227200A (zh) * 2018-12-27 2021-08-06 三菱瓦斯化学株式会社 热塑性树脂组合物和使用该热塑性树脂组合物的光学部件

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