JP2008106236A - 光学用ポリエステル樹脂 - Google Patents

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浩一 旦
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Abstract

【課題】優れた成形加工性と、低光弾性係数、高耐熱性を両立した光学用ポリエステル樹脂を提供する。すなわちたとえば液晶ディスプレイ用位相差フィルムなどに適用した場合には優れた延伸性、位相差発現性と低光弾性係数、高耐熱性を両立することができる。
【解決手段】環状エーテル構造、ジオール成分としてフルオレン誘導体を有するポリエステルであって、核磁気共鳴(NMR)における芳香族炭素の緩和時間CT1ρが50msec以下の光学用ポリエステル樹脂とする。
【選択図】なし

Description

本発明は位相差フィルム等の光学基材に好適な成形加工性と耐熱性、光弾性係数等の物性を兼ね備えた光学用ポリエステル樹脂に関する。
光学用素子は古くから透明性に優れ複屈折が小さいガラスが多く用いられてきた。しかし成形性に劣り軽量化が困難なため、最近では成形性、軽量性に優れ特性制御も容易な高分子材料がディスク基板、レンズ、ケーブル、各種ディスプレイ用フィルム等に特性に応じて使用されている。
そのなかで位相差フィルムやプリズムシートなどの機能光学フィルムは、ポリメチルメタクリレート(以下PMMA)やポリカーボネート(以下PC)、環状ポリオレフィン(COC)から構成され液晶ディスプレイなどに利用されている。
しかしながら、PMMAは吸湿による寸法変化等が大きく、PCは溶融粘度が非常に大きいため成形加工が困難であり、COCは高コストでありフィルム成形も容易でない。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)に代表されるポリエステルからなるフィルムは透明性が高く、成形性も良好であり、各種光学用フィルムとして使用されている。しかしながら、これらのポリエステルフィルムは複屈折や光弾性係数が非常に大きく、また2軸延伸フィルムは成形性も不足しているため位相差フィルムやプリズムシートには不向きである。
そこでこれらのポリエステルを共重合によって改質する方法が検討されており、例えば
特許文献1ではフルオレン化合物を導入したPETが、特許文献2では脂肪族ジカルボン酸とフルオレン化合物からなるポリエステルが、特許文献3では脂環族ジカルボン酸とフルオレン化合物からなるポリエステルが提案されている。
しかし特許文献1記載のポリエステルはテレフタル酸比率も大きいため光弾性係数も大きく光学異方性も残存しやすい。また、特許文献2記載の脂肪族ジカルボン酸とフルオレン化合物からなるポリエステルはガラス転移温度が低いために耐熱性が低く、樹脂としても着色しやすいために光学用樹脂としては不適である。
また、特許文献3−4記載の脂環族ジカルボン酸とフルオレン化合物からなるポリエステルは等方性に優れるがこれだけでは光弾性係数の小さい樹脂は得られない。
特開平3−168211号公報 特開平7−188401号公報 特開2004−315676号公報 特開2006−215064号公報
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決した、光弾性係数が小さく耐熱性と成形加工性に優れた光学用ポリエステル樹脂、特に位相差フィルムに好適な光学用ポリエステル樹脂を提供することにある。

上記課題を解決するため、本発明は、次の特徴を有するものである。
(1)環状エーテル構造と、ジオール成分として化学式(1)で表せる環式ジオールのジオール残基を有するポリエステルであって、核磁気共鳴(NMR)における芳香族炭素の緩和時間CT1ρが50msec以下であることを特徴とする光学用ポリエステル樹脂。
Figure 2008106236
、R は同一、または異なりアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エーテル基の単一、またはこれら複数の組み合わせからなり、炭素数1〜14,酸素数0〜2である。
(2) ガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする(1)記載のポリエステル樹脂。
(3) 光弾性係数が−30×10−12〜30×10−12Pa−1であることを特徴とする(1)または(2)記載の光学用ポリエステル樹脂。
(4) 固有粘度が0.6以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
(5) 環状エーテルがスピログリコールのジオール残基である(1)〜(4)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
(6) 樹脂のb値が12以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
(7) ジカルボン酸成分としてデカリンジカルボン酸を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
(8) アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として2ppm以上1000ppm以下含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
本発明により、優れた成形加工性と、低光弾性係数、高耐熱性を両立した光学用ポリエステル樹脂を提供することができる。すなわちたとえば液晶ディスプレイ用位相差フィルムなどに適用した場合には優れた延伸性、位相差発現性と低光弾性係数、高耐熱性を両立することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂はジオール成分として化学式(1)で表せるジオールのジオール残基を含有し、同時にポリエステル中の2重結合量、エステル基量がある濃度以下であることを特徴とする。
Figure 2008106236
、R は同一、または異なりアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エーテル基の単一、またはこれら複数の組み合わせからなり、炭素数1〜14,酸素数0〜2である。
ここで(1)はポリエステルの波長分散性を向上させる効果がある。まず、化学式(1)で表せるジオール残基を含有することで位相差フィルムとして用いたときに波長分散性に優れたポリエステルを得ることができる。
位相差フィルムとは、ある波長の光が通過する時に進相軸の位相と、遅相軸の位相に差を生じさせるフィルムであり、本発明において、位相差フィルムとは、例えば1/4波長の位相差を与えるλ/4位相差フィルム、1/2波長の位相差を与えるλ/2位相差フィルムや、視野角拡大フィルム、光学補償フィルムなど位相差を与える全てのフィルムをいう。
ここで進相軸とは光が最も早く通過する面内の方向であり、遅相軸とは、これと直交する面内の方向である。
例えば1/4波長フィルムは、可視波長域で位相差がそれぞれの波長の1/4であることが望ましい。ここで、波長X(nm)の位相差をR(X)(nm)と記載する。例えば簡単に可視波長域のR(450)、R(550)について説明すると、反射型液晶ディスプレイの位相差フィルムとして用いる場合、位相差フィルムを複数枚積層する方法ではなく1枚で全ての可視波長域の波長の位相差を理想値に近づける広帯域位相差フィルムとするためには、下式(1)を満たすことが好ましい。
R(450)/R(550)=(450/4)/(550/4)=0.818 ・・・(1)
これに対し、通常のポリカーボネート、環状ポリオレフィンなどは下式(2)である。位相差の波長分散に関して下式(2)の状態を順分散であるという。
R(450)/R(550)>1 ・・・(2)
一方、理想に近い下式(3)の状態を逆分散であるという。
R(450)/R(550)<1 ・・・(3)
構成部材の削減及び貼合コストの削減から1枚で上式(3)を満たす位相差フィルムが求められている。本出願においては逆分散を示すフィルムを波長分散性に優れたフィルムという。
逆分散を得るための分子設計としては、分子内で複数の位相差フィルムが重ね合わされた場合と同じ効果があればよい。本出願においては、カルド構造を有する化学式(1)を含有するポリマーが、主鎖方向および主鎖に直交する方向に2種類の位相差フィルムを重ねあわせたのと同じ効果を発現し、逆分散性を示すことが可能となる。
ここで化学式(1)のRは同一であってエチル基であることが好ましく、m=1であることが好ましい。アルキル基の炭素数が大きい場合はTgが下がることがあるので好ましくなく、m=0の場合は重合の反応性が低下し機械的強度が低下するので好ましくない。Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、nはn=0〜4であれば良いが好ましくはn=0である。n≧1の場合は重合の反応性が低下し機械的強度が低下するので好ましくない。
上記化学式(1)で表される構造単位の誘導体としては、
9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン、
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルシクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3、5−ジメチルシクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルシクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3、5−ジエチルシクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシメトキシ)シクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシプロポキシ)シクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシデカヒドロナフチル−6イル)フルオレン、9,9−ビス(2−(2−ヒドロキシメトキシ)デカヒドロナフチル−6イル)フルオレン、9,9−ビス(2−(2−ヒドロキシエトキシ)デカヒドロナフチル−6)フルオレン、
9H−フルオレン−9,9−ジメタノール、9H−フルオレン−9,9−ジエタノール、9H−フルオレン−9,9−ジプロパノール、9H−フルオレン−9,9−ジイソプロパノール、9H−フルオレン−9,9−ジブタノール、9H−フルオレン−9,9−ジペンタノール、9H−フルオレン−9,9−ジヘキサノール等が例示されるがこれに限定されない。これらの中でも、光弾性係数、耐熱性、重合性の観点から9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。また、これらの成分は単独でも2種類以上用いてもよい。また、これらフルオレン誘導体の仕込み組成としては特に制限されないが、ジオール成分、ジカルボン酸モノマー全体の5mol%以上40mol%以下が好ましく、さらに好ましくは10mol%以上35mol%以下である。本範囲よりも小さいと耐熱性、逆分散性を発現するのに不十分で、本範囲よりも大きいと重合反応性が低下し、光弾性係数も大きくなる。また、逆分散性発現に関しては、芳香環などの2重結合原子のないモノマーの共重合比率を大きくすることが有効である。
ジオール成分はフルオレン誘導体以外に各種ジオールを使用することができる。例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、などの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール等の飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビド等の環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンタンジオール、などの各種脂環式ジオールやビスフェノールA、ビスフェノールS、スチレングリコールなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。しかし特に例示したグリコール成分に限定しない。
これらの中で耐熱性の観点から環式ジオールが好ましく、光弾性係数低減、波長分散性向上(2重結合原子濃度低減)の観点から飽和ヘテロ環式ジオールや脂環式ジオールが好ましい。これらを両立するものとして、例えばスピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、デカリンジメタノール等が好ましい。特に低コストを両立するものとしてスピログリコールが好ましい。
また、本発明の目的を損なわない範囲において2種類以上組み合わせることができ、例えばスピログリコールとエチレングリコールの組み合わせにより耐熱性、光弾性係数と延伸性を調節することができる。
また本発明のポリエステルのジカルボン酸成分としては特に制約はなく、一般的なカルボン酸のエステル形成誘導体を用いることができる。エステル形成性誘導体としては、テレフタル酸無水物のような酸無水物、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、テレフタル酸ジメチルのような低級アルキルエステルなどを使用することができる。ここでは便宜上、特に記載がない場合、ジカルボン酸とはジカルボン酸のエステル形成誘導体を含む。具体的には、これらに限定しないが、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ベンジルマロン酸などが挙げられる。鎖状脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジオン−2,5−ジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸、1,5−デカリンジカルボン酸、1,6−デカリンジカルボン酸、2,7−デカリンジカルボン酸、2,3−デカリンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−3,4−ジカルボン酸、などの飽和脂環式ジカルボン酸や、cis−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、cis−1,2、3,6−テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸などの不飽和脂環式ジカルボン酸が例示できる。またジカルボン酸以外に多官能成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能カルボン酸成分も用いることができる。
これらの中で耐熱性の観点からは環状ジカルボン酸が好ましく、光弾性係数低減、波長分散性向上の観点から脂環族ジカルボン酸が好ましい。具体的には例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸であり、より好ましくは2,6−デカリンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、最も好ましくは2,6−デカリンジカルボン酸である。本発明の目的を損なわない範囲で、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができ、例えばテレフタル酸、2,6−デカリンジカルボン酸を併用することで光弾性係数、耐熱性、位相差を調節することができる。
ここで、本発明のポリエステルはフルオレン誘導体以外に環状エーテル構造を含有することを特徴とする。環状エーテル構造を有するモノマーとしては、具体的にはジオール成分としては2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビド等の環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、ジカルボン酸成分としてはエキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸などが例示できるがこれに限定されない。またジオール成分のみに含有していてもよく、ジカルボン成分のみでも両方でもよい。また、複数の化合物を含有していてもよい。環状エーテル構造を含有することにより特に優れた耐熱性と低光弾性係数、低コスト性、反応性を両立することができる。中でもスピログリコールが上記全ての特性、反応性の点から最も好ましく用いることができる。
環状エーテルモノマーの含有量は特に制限しないが、好ましくは5mol%以上45mol%以下、さらに好ましくは10mol%以上35mol%以下、最も好ましくは15mol%以上30mol%以下である。これよりも含有量が小さいと十分な耐熱性、低光弾性係数が得られず、これよりも大きいと成形加工性が悪化する。
また、本発明のポリエステル樹脂は核磁気共鳴(NMR)における芳香族炭素の緩和時間CT1ρが50msec以下であることを特徴とする。
ここで、本発明において緩和時間は固体13CNMRスペクトルにおける、本発明のすべての光学用ポリエステル樹脂が含有するフルオレン芳香族炭素に主に帰属される128ppmピークにおける緩和時間に関する。ここで、緩和時間は、樹脂を構成するポリマーの分子の動き易さあるいは動きにくさの度合いを示すもので、緩和時間CT1ρが長いほど分子は動きにくい。
一般的に緩和時間CT1は数十〜数百MHzのエネルギーを反映することから、主に側鎖などの比較的速い分子運動をよく反映する緩和時間であり、一方CT1ρはCT1よりも小さな数十kHzのエネルギーを反映し、主に主鎖などの緩やかな分子運動を反映する緩和時間であり、実際の延伸性、位相差発現性に対応する。
ここで、環状エーテルはしばしば重合条件によりエーテルの開環がおこることが知られている。重合中に環状エーテルの開環がおこれば、多官能アルコールのように分子鎖同士の架橋反応がおこることになり、分子鎖同士は拘束され運動性が低下する。その場合延伸時の応力が架橋部分に逃げるため主鎖が延伸されず、ポリマー配向が不十分になり、位相差発現性が低下する。また、架橋が進行したものについては製膜時のキャスト性やニップ性が不均一になったり、欠点になることがある。
このことから、樹脂の緩和時間CT1ρを50msec以下とすることにより、ポリマーの分子が有る程度以上動きやすく、延伸時の応力がポリマー主鎖に伝達しポリマーの配向が起こり、所望の位相差が発現する。この緩和時間CT1ρは好ましくは40msec以下、さらに好ましくは30msec以下である。
緩和時間CT1ρを上記範囲に制御するためには、特に限定されないが、主鎖同士の架橋を抑制することが有効である。例えば酸性状態ではエーテルの開裂が促進されるので、重合時の酸性触媒化合物の量を少なくする方法が有効である。重合反応可能な触媒量は共重合組成などにより異なるが、例えば酸化ゲルマニウムの場合、生成ポリエステルに対する酸化ゲルマニウム添加量を2.5mol/L以下にするなど重合可能な範囲でできるだけ少なくすることが有効である。
また、緩和時間CT1ρを上記範囲に制御するために、反応系の酸性度を抑制する事を目的として、重縮合反応以前の工程においてアルカリ金属化合物を添加する事も有効である。アルカリ金属化合物の添加時期は、エステル交換反応前、エステル交換反応終了後、重縮合反応前のいずれの工程において添加してもよい。特に架橋しうるモノマーはエステル交換反応前に添加すること、アルカリ金属化合物の中にはエステル交換触媒機能がある化合物もあることからアルカリ金属化合物の添加時期はエステル交換反応前が好ましい。アルカリ金属化合物を添加する場合、添加量はアルカリ金属元素として2〜1000ppm添加することが好ましい。1000ppmを超えると著しく重合反応性に劣り、ポリエステルが濁化する。一方2ppm以下ではアルカリ金属化合物を添加する効果が認められない。より好ましい添加量は5〜500ppm、さらに好ましくは10〜200ppmである。アルカリ金属元素は特に限定されないが、カリウム、ナトリウム、リチウムから選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属の水酸化物、酢酸塩およびリン酸塩が好ましい。この中で低着色性、アルカリ度からKOHが特に好ましい。
また、溶液環状エーテルの共重合比を少なくする方法もまた架橋点を少なくするという意味で有効である。好ましい環状エーテルの共重合比は、45mol%以下であり、さらに好ましくは35mol%以下、最も好ましくは30mol%以下である。
また、重合法は弱酸性であるカルボン酸を用いる直接重合法ではなくエステル交換法を用いるのが好ましい。
さらに、重合後の熱履歴を抑制することも有効である。具体的には所望の重合度に到達後は重合槽中で高温に放置することなくできるだけ速やかに水浴中などに吐出し、ポリマーの温度を下げることが好ましい。
これらの手法は単独で用いても、複数を組み合わせてもよく、共重合組成などにより実際に重合可能な下限触媒量等は変化するので、その系により複数の有効な方法を組み合わせるのが好ましい。
本発明においては、優れた耐熱性を発現させる目的で、ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは105℃以上が好ましく、さらに好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度105℃よりも低い場合は例えば位相差フィルムにした場合、フィルムの使用環境にもよるが配向緩和等の問題が発生し、長期の位相差安定性が保てないことがあり好ましくない。一方、一般的にフィルムの延伸はTg付近で行うので、Tgが高すぎるとフィルムの延伸に必要な温度が高くなる。そのため、コストが高くなり生産性が低下することがあり、上限は特にないが一般的には300℃以下であればよい。Tgを該範囲に制御するには共重合成分にデカリン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造のような剛直な構造の脂環構造、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、9,9−ビスフェニルフルオレン構造などの芳香族構造などを高mol比で共重合していることが好ましい。
また、本発明においては樹脂の光弾性係数が−30×10−12〜30×10−12Pa−1であることが好ましい。例えば本樹脂を液晶フィルム用位相差フィルムに用いた場合、位相差フィルムに貼り合わされた他の部材の熱膨張、あるいは偏光フィルムの収縮、額縁による押しつけなどにより発生する残留応力がかかる。ここで光弾性係数が大きいと残留応力により、位相差の変化が生じ、位相差ムラが発生し、コントラストの低減や色相変化を起こすことがあり好ましくない。光弾性係数は小さければ小さいほど応力に対する位相差変化が小さいため好ましくは−30×10−12Pa−1〜30×10−12Pa−1、さらに好ましくは−25×10−12Pa−1〜25×10−12Pa−1である。
また、本発明のポリエステル樹脂は固有粘度が0.55以上、さらに好ましくは0.60以上であることが好ましい。0.55よりも小さい場合、例えば位相差フィルムにした場合、フィルムの延伸性が不足し所望の位相差を発現できない。本発明において、固有粘度はオルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定したものである。
ポリエステル樹脂組成物の色調は黄味ができるだけ少ないことが好ましい。この黄味を
表す指標としてたとえばb値があるが、このb値は12以下であることが好ましい。本発
明におけるb値とは、ハンター型色差計を用いて測定したものであり、L値、a値、b値
で表示されるもののうちb値のことをいう。b値は黄味を示す指標であり、b値が大きい
場合には黄味が強く、b値が小さい場合には黄味が弱いことを示す。b値が12より大きい場合、黄味が強いために光学用フィルムとして使用することが困難となる。b値は小さいほど黄味が弱いが、さらに好ましくは10以下であり、最も好ましくは6以下である。このb値を12以下とするには触媒活性を上げる、反応性の高いモノマーを選択するなど重合所用時間を短くすることが有効である。
また、本発明の290℃におけるポリエステルの溶融時の体積比抵抗(溶融比抵抗)は5×10〜2×10Ω・cmであることも好ましい。光学ポリエステル樹脂を溶融法でフィルムに成形する場合、溶融したポリエステル樹脂を鏡面冷却体に密着させることが必要であるが、これには静電印加法が有効である。静電印加性はポリエステルの溶融比抵抗によって直接にコントロールできる。溶融比抵抗は電荷キャリア数と移動度によって規定され、電荷キャリアは主にポリエステル中の金属成分に依存し、移動度についてはポリエステルの組成によって異なり、一般的に融点が低い場合に大きな移動度を有する傾向にある。
溶融比抵抗を制御する方法としては特に限定しないが光学用ポリエステル樹脂にアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn,Co,Mnから選択される金属成分を含有させその含有量で制御する方法が簡便である。含有量が大きい程溶融比抵抗は小さく、含有量を小さい程溶融比抵抗は大きくすることができる。また、触媒失活剤に使用される各種リン化合物は含有量が大きいほど溶融比抵抗を大きくする傾向がある。
また、本発明の光学用ポリエステル樹脂は各種光学用フィルム、レンズ等に使用することができるが、その中でも光学用ポリエステル樹脂を使用し波長550nmにおける位相差R(550)と波長450nmにおける位相差R(450)とが、次式(3)を満たすことができる光学用ポリエステル樹脂もまた、本発明の好ましい形態である。
R(450)/R(550)<1・・・(3)
本発明のポリエステル樹脂を使用することにより、光弾性係数が低く、耐熱性に優れた位相差フィルムを得ることができ、上記範囲に制御することにより、波長分散性に優れた位相差フィルムを得ることができる。位相差フィルムを上記式の範囲内に制御する方法としてはフルオレン濃度を高く、フルオレン以外のポリエステル中の2重結合濃度を低く制御すればよい。ポリエステル樹脂のままでは分子鎖が配向しておらず、位相差が発現しないが、製膜時に延伸配向させることで位相差を発現し、(3)式を満たすフィルムが得られる。
以下、本発明の光学用ポリエステル樹脂及びフィルムの製造方法について具体的に記述するが、これに制限されない。
本発明の樹脂の重合方法に限定はなく、公知の重合法、例えば、ジカルボン酸とグリコールを誘導体とする直重法、ジカルボン酸ジエステルとグリコールを用いるエステル交換法、酸クロライド法、脱酢酸法などを用いることができる。この中で特に、製造コスト、モノマーの入手しやすさから直重法、エステル交換法が好ましく、緩和時間CT1ρ抑制の観点からエステル交換法が好ましい。
重合法がエステル交換法の場合、例えば2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、スピログリコール、エチレングリコールを用いる場合、2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、スピログリコール、エチレングリコールを所定のポリマー組成となるように反応容器へ仕込む。この際、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加することにより反応性が良好になる。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガンを添加し撹拌する。150℃で、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。ついで235℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。エステル反応終了後、トリメチルリン酸を加え、撹拌後に水を蒸発させる。さらに、二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を徐々に285℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧し、エチレングリコールを留出させる。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置から樹脂を水槽へストランド状に吐出する。吐出された樹脂は水槽で急冷し、巻き取り後カッターでチップとする。得られた樹脂は95℃の温水が満たされた水槽に投入して5時間水処理を行う。水処理後、脱水機を用いて樹脂から水分を除去し、ファインも取り除く。
次に本発明の位相差フィルムの製膜について述べる。
製膜方法については、公知の製膜方法を用いて製膜することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法などの製造方法が使用できるが、厚みムラ減少、異物削減の観点からT−ダイ法、流延法、ホットプレス法が好ましく使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいはニ軸押出しスクリューのついたエクストルーダ溶融押出し装置が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下のニ軸混練押出機が着色を防ぐため好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。特に本発明のポリエステル樹脂フィルムは非晶性であるため乾燥が難しいので、ベント式押出機は乾燥しなくても溶融押出しできるために好ましく用いられる。
積層フィルムとするには、2台以上の押出機を用い、積層口金やフィードブロック等で直接ポリエステルを積層し、押し出すことで製造することができる。
キャスト方法は溶融した樹脂をギア―ポンプで軽量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム状に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸フィルムを得ることが好ましい。押出温度としては(Tg+40)℃〜(Tg+220)℃の範囲のいずれかの温度で行うことができる。本発明のポリエステル樹脂フィルムでは良好な平面性や均一な厚み、光学特性が要求されるため、静電印加法が特に好ましく用いられる。
また、流延法により未延伸のフィルムを製造する場合、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶剤が使用可能であり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトンあるいはN−メチルピロリドン等が使用できる。該フィルムは、本発明の光学用ポリエステル樹脂を上記の1種以上の溶剤に溶かし、その溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱フィルム、スチールベルト、金属箔などの平板または曲板(ロール)上に流延し、溶剤を蒸発除去する乾式法あるいは溶液を凝固液で固化する湿式法等を用いることにより製造できる。
上記に記載の製膜方法により製造した未延伸フィルムを、(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で一軸延伸、二軸延伸などの方法で延伸することにより、位相差を付与したフィルムを得ることができる。二軸延伸の延伸方式は特に限定はなく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法を用いることができる。延伸温度は好ましくは(Tg−30)℃〜(Tg+30)℃の範囲であり、より好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+20)℃の範囲である。延伸温度が高すぎると十分な位相差が得られないことがあり、低すぎるとフィルム破れが生じやすくなるため好ましくない。延伸倍率は、目的とした位相差に応じて決めることができる。例えば、波長550nmの光において、厚さ50μm以下および位相差137.5nm以上の樹脂フィルムを得るためには、1.5倍以上の延伸倍率であることが肝要である。延伸速度には特に限定はないが50〜10000%/分が好ましい。延伸速度が遅すぎると、十分な位相差が得られないことや生産性が低くなり、早過ぎるとフィルム破れが生じることがあるので好ましくない。
本発明のフィルムを延伸した後のフィルム厚みは5〜300μmであることが好ましい。より好ましくは7〜150μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。5μm未満の場合はフィルムのハンドリングが困難になることがあり、300μmを超える場合は光線透過率が低くなることがあり、また本発明の位相差フィルムを用いた液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
本発明の光学用ポリエステルフィルムには、表面形成剤、加工性改善剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、可塑剤、防曇剤、着色剤、分散剤、赤外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
添加剤は無色であっても有色であっても構わないが、光学フィルムの特徴を損ねない為には無色透明であることが好ましい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO、TiO、Al、CaSO、BaSO、CaCO、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆などの処理を施した無機粒子が挙げられる。
なお、上記した本発明の光学用ポリエステルフィルムは、他の光透過性フィルムとの積層フィルムであっても構わない。また、位相差フィルムとして使用する以外にも、フィルムに2色性色素を添加し、偏光板とすることも可能である。
また本ポリエステル樹脂はプリズムシートやレンズシートに使用することも好ましいが、これらを製造する場合はホットプレス法で製造することが好ましい。製造方法としては成型させる金型を準備し、これをTg+10〜+50℃程度に加熱し、未延伸または延伸の終了したポリエステルシート、フィルムにプレスする。プレスしたら1分ほど圧力をかけ続け、そのままの状態でTg以下まで冷却する。金型がポリエステル樹脂のTg以下となったところで金型とポリエステルフィルムを剥離する。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)固体高分解能NMRによる芳香族炭素の緩和時間CT1ρの測定
装置:Chemagnetics社製CMX−300 Infinity
測定プローブ:直径7.5mm
測定方法:CPMAS
反転回復法、Tochia法(緩和時間測定)
測定温度:室温(約21℃)
観測核:13
観測周波数:75.1888MHz
プロトン励起パルス幅:4.5μs
コンタクトタイム:1.0msec
観測幅:30.003kHz
観測ポイント:1024
観測繰り返し時間:5.0sec
化学シフト基準:シリコンゴムのメチル基(内部基準 1.56ppm)
試料回転速度:5〜5.2kHz
得られたデータに指数関数型ウィンドウをかけてフーリエ変換を行い、スペクトルを得た。
ブロードニングファクターは30〜40Hzとした。
各試料のCT1ρは主にフルオレン由来の芳香族炭素(128ppm、122ppm)において大きな数値が得られる。そのうち128ppmピークのフルオレン炭素由来のCT1ρを算出し、比較した。緩和時間が複数観察された場合はそれぞれの成分比率との積から算出した平均値を用いた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
下記測定器を用いて測定した。
装置:示差走査熱量計 DSC−7型(Perkin Elmer社製)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
JIS−K7121(制1987)の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャーとの各ベースラインの延長した直線から縦軸補講に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。
(3)光弾性係数(Cσ)
下記測定器を用いて測定した。
装置:セルギャップ検査装置 RETS−1200(大塚電子株式会社製)
サンプルサイズ:20mm×50mm
測定スポット径:φ5mm
光源:589nm
サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を挟み、長手方向に9.8×10Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差R(nm)を測定した。張力をかける前の位相差をR、かけた後の位相差をRとし、下の式を用いて光弾性係数Cσ(Pa−1)を計算した。
Cσ=(R―R)/(σ×d)。
(4)ポリマーの固有粘度
オルトクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(5)フィルムの延伸性
ポリエステル樹脂をプレスフィルムとした後、フィルムを長方形に切り、長手方向の両端を保持して、Tg+10℃のオーブン中で、1%/秒の延伸速度、2.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行った。延伸可のものを○、不可のものを×とした。
(6)R(450)/R(550)
下記測定器を用いて測定した。
サンプル:延伸フィルム(延伸不可のものは延伸途中のものを測定した)
装置:自動複屈折計 KOBRA−21ADH/DSP (王子計測機器製)
測定径:φ5mm
測定波長:400〜800nm
波長x(nm)の時の位相差をR(x)(nm)と記載した。
また、R(450)(nm)、R(550)(nm)の値は、次式のコーシーの式を用いて算出した。式のa〜dの算出に用いた波長は480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nmの4つである。
R(λ)=a+b/λ+c/λ+d/λ
算出したR(450)(nm)、R(550)(nm)からR(450)(nm)/R(550)(nm)を算出し、下記のランク付けをおこなった。
○:R(450)(nm)/R(550)<1
×:R(450)(nm)/R(550)≧1
(参考例)チタン触媒(乳酸チタンナトリウムキレート化合物)の調整
攪拌機、凝縮器及び温度計を備えた3リットルのフラスコ中の温水(371g)に乳酸(226.8g、2.52モル)を溶解させ攪拌した。この攪拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.0モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下にて蒸留した。その生成物を70℃以下の温度まで冷却し、その攪拌されている溶液に水酸化ナトリウムの32wt%水溶液(380g、3.04モル)を滴下漏斗によってゆっくり加えた。得られた生成物を濾過し、次いでエチレングリコール(504g、8モル)と混合し、減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(チタン含有量5.6wt%)を得た。
実施例1
1,4−シクロヘキサンカルボン酸メチル(トランス98%)40.5質量部、スピログリコール37.0質量部、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン35.5質量部 エチレングリコール25.0質量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガン4水塩を0.06質量部含んだエチレングリコールを添加し撹拌した。
30分かけて205℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.02質量部含んだ水溶液を加え、5分間攪拌し、さらに静電引加性付与用に酢酸マグネシウム4水塩を0.06質量部含んだエチレングリコールを加え、5分間攪拌してエステル交換反応を停止した。
二酸化ゲルマニウムを0.021質量部含んだエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から真空へ減圧しエチレングリコールを留出させる。重合反応の進行にしたがって反応物の粘度が上昇し、所定の撹拌トルクとなった時点で反応の終了とする。反応終了時は重合装置内を窒素ガスにて常温に戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリエステルを水槽へ吐出した。吐出されたポリエステル樹脂は水槽で急冷後、カッターにてカッティングしチップとした。
このようにしてポリエステルチップを得た。
(ポリエステルの水処理)
得られたポリエステルチップは95℃のイオン交換水で満たされた水槽に投入し、5時間水処理した。水処理の終了したチップは脱水機によって水と分離した。この水処理によってポリエステルチップに含まれていたファインも除去した。
(ポリエステルフィルムの製膜)
得られたポリエステル樹脂のチップを減圧乾燥した後、次のようなホットプレス法を用いて製膜した。金属板の上にポリイミドフィルムを重ね、そのポリイミドフィルム上に内側の枠が8cm四方である金属の枠を重ねた。金属の枠内の中央部にチップ3.5gを乗せた。さらにポリイミドフィルムと金属板を重ね、270℃で2分間予熱の後、10kgf/cmの圧力で10秒間プレスした。
プレス終了後、フィルムを挟んだ金属板を水につけてフィルムを冷却固化し、金属枠からフィルムを切り出した。
さらに切り出したフィルムを長方形に切り、長手方向の両端を保持して、Tg+10℃のオーブン中で、1%/秒の延伸速度、2.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行った。
仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。CT1ρは39.8msec(53msec 74%、2.4msec 26%)であった。
この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例2、3
触媒の二酸化ゲルマニウムの量を変更した以外は実施例1同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。
この結果、CT1ρはやや大きくなったものの、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例4
共重合組成の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル50mol%を2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル50mol%に変更した以外は実施例3同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例5
共重合組成比、酢酸マグネシウム4水塩添加時にKOHを0.010質量部含んだEG溶液を添加した以外は実施例2同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例6
2,6−デカリンジカルボン酸メチル(トランス98%)43.9質量部、トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノール7.6質量部、スピログリコール23.3質量部、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン33.6質量部 エチレングリコール23.8質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガン4水塩を0.06質量部添加し撹拌した。
30分かけて205℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1、2、3、6−テトラヒドロフタル酸を3.3質量部添加した。再び60分かけて235℃まで昇温し、所定量の水が留出したのち、触媒の失活剤としてトリエチルホスホノアセテートを0.02質量部含んだエチレングリコール溶液を加え、5分間攪拌してエステル交換反応を停止した。それ以降は重合触媒を三酸化アンチモン0.023質量部に変更した以外は実施例1同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例7
共重合組成と実施例1におけるエステル交換触媒の失活剤をトリメチルリン酸からトリエチルホスホノアセテートに、重合触媒を二酸化ゲルマニウムから乳酸チタンナトリウムキレート(参考例で調整)に変更した以外は実施例1同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例8
共重合組成のジオール成分を9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン35mol%、イソソルビド15mol%に変更した以外は実施例4同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例9
共重合組成を1,4−シクロヘキサンカルボン酸メチル50mo%、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)フルオレン20mol%、スピログリコール20mol%、エチレングリコール10mol%に、エステル交換触媒を酢酸マンガン4水塩から酢酸コバルト4水塩に変更し、酢酸コバルト4水塩添加時にKOHのEG溶液を添加することとし、各種触媒量を変更した以外は実施例1同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例10
共重合組成を2,6−デカリンジカルボン酸メチル50mol%、9H−フルオレン−9,9−ジメタノール20mol%、スピログリコール30mol%に変更し、各種触媒量を変更した以外は実施例1同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例11
エステル交換触媒の酢酸マンガン4水塩添加時にKOHのEG溶液を添加することとし、エステル交換触媒の失活剤をトリメチルリン酸からトリエチルホスホノアセテートに、重合触媒を二酸化ゲルマニウムから乳酸チタンナトリウムキレート(参考例で調整)に変更した以外は実施例4同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表1に示す。この結果、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
実施例12
エステル交換触媒の酢酸マンガン4水塩添加時にKOHのEG溶液を添加することとし、重合触媒の二酸化ゲルマニウムの量を変更した以外は実施例1同様に重合、製膜、延伸検討をおこなった。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。
この結果、CT1ρはやや大きくなったものの、光弾性係数が低く、耐熱性、延伸性に優れたポリエステル樹脂であり、1軸延伸後のフィルムは逆分散性を示した。
比較例1
重合触媒を二酸化ゲルマニウムの添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップとフィルムを得た。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。
酸性の重合触媒添加量が多かったためCT1ρが大きく、フィルムは延伸途中に破損した。
比較例2
共重合組成と重合触媒を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップとフィルムを得た。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。酸性の重合触媒添加量が多かったためCT1ρが大きく、フィルムは延伸途中に破損した。
比較例3
共重合組成と重合触媒を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップとフィルムを得た。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。スピログリコールの共重合比率が大きかったためCT1ρが大きく、フィルムは延伸途中に破損した。またフルオレンの共重合比率が小さかったため延伸途中のフィルムは逆分散性を示さなかった。
比較例4
共重合組成を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップとフィルムを得た。仕込み組成を表1、樹脂のCT1ρ、Tg、未延伸フィルムの光弾性係数、固有粘度、b値、一軸延伸後のフィルムの波長分散性、延伸性の結果を表2に示す。スピログリコールの代わりにトリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノールを使用したが、樹脂のb値が高くやや黄色に着色していた。
なお、実施例、比較例で用いた原料の略号は以下の通りである。
TPA:テレフタル酸ジメチル
CHDA:1,4−シクロヘキサンカルボン酸ジメチル
(シス体/トランス体=70/30)
DDC:2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル(トランス体69%以上)
THPA:cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸
BPEF:9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
(化学式(2))
Figure 2008106236
BCEF:9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)フルオレン
(化学式(3))
Figure 2008106236
FDM:9H−フルオレン−9,9−ジメタノール
(化学式(4))
Figure 2008106236
TCDM:トリシクロ[5,2,1,0 2,6]デカンジメタノール
SPG:スピログリコール
TEPA:トリエチルホスホノアセテート
TMPA:トリメチルリン酸
ISBD:イソソルビド
EG:エチレングリコール
実施例仕込み組成
Figure 2008106236
実施例重合、製膜結果
Figure 2008106236

Claims (8)

  1. 環状エーテル構造と、ジオール成分として化学式(1)で表せる環式ジオールのジオール残基を有するポリエステルであって、核磁気共鳴(NMR)における芳香族炭素の緩和時間CT1ρが50msec以下であることを特徴とする光学用ポリエステル樹脂。
    Figure 2008106236
    、R は同一、または異なりアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エーテル基の単一、またはこれら複数の組み合わせからなり、炭素数1〜14,酸素数0〜2である。
  2. ガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 光弾性係数が−30×10−12〜30×10−12Pa−1であることを特徴とする請求項1または2記載の光学用ポリエステル樹脂。
  4. 固有粘度が0.6以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
  5. 環状エーテルがスピログリコールのジオール残基である請求項1〜4のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
  6. 樹脂のb値が12以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
  7. ジカルボン酸成分としてデカリンジカルボン酸を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
  8. アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として2ppm以上1000ppm以下含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の光学用ポリエステル樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115232295A (zh) * 2021-04-23 2022-10-25 新光合成纤维股份有限公司 耐弯折聚酯薄膜及其制备方法

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