JPWO2016017423A1 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016017423A1
JPWO2016017423A1 JP2015538204A JP2015538204A JPWO2016017423A1 JP WO2016017423 A1 JPWO2016017423 A1 JP WO2016017423A1 JP 2015538204 A JP2015538204 A JP 2015538204A JP 2015538204 A JP2015538204 A JP 2015538204A JP WO2016017423 A1 JPWO2016017423 A1 JP WO2016017423A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyester
layer
polyester film
biaxially oriented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015538204A
Other languages
English (en)
Inventor
健太 ▲高▼橋
健太 ▲高▼橋
堀江 将人
将人 堀江
東大路 卓司
卓司 東大路
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JPWO2016017423A1 publication Critical patent/JPWO2016017423A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C55/00Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor
    • B29C55/02Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets
    • B29C55/10Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets multiaxial
    • B29C55/12Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets multiaxial biaxial
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/36Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyesters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

本発明は、液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に、高品位な表示が出来る効果を奏する二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。下記(1)、(2)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。(1)、(2)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。(1)ポリエステルフィルムを、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)透過法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過2とし、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)ATR法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR2としたとき、下記式(i)を満たすこと。(i)1.00<R≦2.50ここでR=(rATR1/rATR2)/(r透過1/r透過2)(2)フィルムの長手方向に対する主配向軸の傾きが30°以上60°以下であること。

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において偏光板保護フィルム(偏光子保護部材)や円偏光板位相差フィルム(円偏光板部材)、透明導電フィルムなど各種光学用フィルムの需要が高まっている。その中でも、偏光板保護フィルム用途では、低コスト化を目的として従来のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムから二軸配向ポリエステルフィルムへの置き換えが盛んに検討されている(例えば、特許文献1)。
液晶ディスプレイは光が偏光板を透過して出てくるため、直線偏光である。そのため、偏光サングラスを装着して液晶ディスプレイ見た場合、角度によって表示画面が暗くなるブラックアウトが起こる場合がある。上記問題を解決するために偏光板の外側に円偏光を目的とした位相差フィルム(円偏光板位相差フィルム)としてポリエステルフィルムを設ける方法が知られている(特許文献2、3)。
特開2012−032819号公報 特開2013−200435号公報 特開2013−194107号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、延伸時のポリエステルの配向に起因して液晶ディスプレイとして組み立てた際に発生する干渉色を十分に制御できておらず、画面表示をした際の品位が低下するという課題があった。また、特許文献2、3に記載の方法では、偏光板の厚みが厚くなってしまうという課題があった。また、位相差フィルムとしてポリエステルフィルムを用いているため、ポリエステルの分子構造から複屈折が大きくなり、干渉色の発生を十分に抑制できないという課題を有していた。
そこで、本発明では上記の欠点を解消し、二軸配向ポリエステルフィルムでありながら液晶ディスプレイなどの表示装置に偏光子保護フィルムや円偏光板位相差フィルムとして搭載した際にブラックアウトを抑制することが可能なポリエステルフィルムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
I.(1)、(2)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)ポリエステルフィルムを、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)透過法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過2とし、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)ATR法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR2としたとき、下記式(i)を満たすこと。
(i)1.00<R≦2.50
ここでR=(rATR1/rATR2)/(r透過1/r透過2)
(2)フィルムの長手方向に対する主配向軸の傾きが30〜60度であること。
II.面内のリタデーションの最大値が400nm以下であることを特徴とするIに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
III.前記ポリエステルフィルムが、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルムであって、
ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃以上であるポリエステル樹脂から構成されるポリエステル層(ポリエステルA層)を少なくとも一方の表層に有しており、
A層のフィルムの表層となる側とは反対側に、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃未満であるポリエステル樹脂か、非晶性ポリエステル樹脂から構成される層(ポリエステルB層)を有しており、かつ、該ポリエステルB層の厚みが、ポリエステルフィルムの総厚みに対して30%以上90%以下であることを特徴とするIまたはIIに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
VI.前記ポリエステルA層の厚みが、3μm以下であることを特徴とするIIIに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
V.前記ポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、フィルムの両表層がポリエステルA層で構成されており、表層の厚みが各々3μm以下であることを特徴とするIIIまたはVIに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
VI.フィルムの総厚みが3μm以上35μm以下であるI〜Vのいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
VII.偏光子保護部材として用いられるI〜VIのいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
VIII.円偏光板部材として用いられるI〜VIのいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、液晶ディスプレイなどの表示装置に偏光子保護フィルムや円偏光板位相差フィルムとして搭載した際に、高品位な表示が出来る効果を奏する。
以下に具体例を挙げつつ、本発明について詳細に説明する。
本発明は二軸配向ポリエステルフィルムに係るものである。
ここでいうポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものなどが例としてあげられるがこれらに限定されない。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、上述したポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを主成分とするポリエステルが好ましい。本発明において、主成分とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂組成物中80質量%以上であることをいう。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの共重合体や編生体、他のポリマとのブレンドであっても良い。特に、ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと記載することがある)を主成分とするポリエステルであると、機械強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性などの観点から好ましい。このポリエステル中には各種添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、無機粒子及び有機粒子などを添加含有させてもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、下記(1)を満たすことが必要である。
(1)ポリエステルフィルムを、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)透過法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過2とし、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)ATR法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR2としたとき、下記式(i)を満たすこと。
(i)1.00<R≦2.50
ここでR=(rATR1/rATR2)/(r透過1/r透過2)
フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)において、透過法とは、フィルム試料に対し、赤外光を照射し、透過する光を検出する方法である。透過法では、フィルムを透過して測定するため、フィルム厚み方向の全ての構造を反映することができる。
一方、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)において、ATR(Attenuated Total Reflectance)法とは、フィルム試料をATR結晶に密着させ全反射が生じる入射角で赤外光を照射する際に、界面でわずかに染み出す赤外光(エバネッセント波)を検出する方法である。この染み出し深さはフィルム試料のごく表層であるため、ATR法では、フィルム試料の表層の構造を反映することができる。
一般的にポリエステルは、メチレン基部分の立体配座において、ゴーシュ型構造、トランス型構造の2種類をとることが知られている。これら2種類の内、分子鎖が規則正しく配列する上では、ゴーシュ型構造に比べ、トランス型構造が有利である。そのため、ゴーシュ型構造はポリエステルの分子鎖が規則正しく配列していない部分(以後非晶部分という)を反映し、トランス型構造はポリエステルの分子鎖が配向して規則正しく配列し、結晶化した構造(以後結晶部分という)を反映している。これまで、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)を用いて様々なポリエステルの解析が行われており、分子配向や結晶化などを始めさまざまな解析が行われている。Koening等によるJ.Polym.Sci.,polm.phy.Ed. VOL.20 2277(1982)によれば、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)において、973cm−1に観察されるスペクトルは、トランス型構造に由来する吸収であり、793cm−1に観察されるスペクトルは、内部厚みに起因する吸収であると報告されている。したがって、793cm−1と973cm−1に観察されるこれらのスペクトル強度の比は、結晶部分の構造並びに密度と相関するものとなる。すなわち、ポリエステルフィルムの表面付近の配向結晶性が、ポリエステルフィルム厚み方向全体の配向結晶性に比べて高くなっている場合は、Rの値は、大きくなる。一方、ポリエステルフィルムの表面付近の配向結晶性が、ポリエステルフィルムの厚み方向全体の配向結晶性と同程度である場合は、Rの値は1に近づくこととなる。また、ポリエステルフィルムの表面付近の配向結晶性が、ポリエステルフィルムの厚み方向全体の配向結晶性よりも低い場合は、Rの値は1より小さくなる。
すなわち、本発明において(i)式のRが上記範囲となることは、ポリエステルフィルムの表面近くを構成するポリエステル樹脂の配向結晶性が高まっていることを示す。また、(i)式のRが上記範囲となることは、ポリエステルフィルム全体として配向結晶性が抑えられていることを示す。ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えることで、リタデーションを低くすることが可能となる。さらにポリエステルフィルムの表面近くを構成するポリエステル樹脂の配向結晶性を高くすることで、製膜性やハンドリング性を維持することが可能となる。R値は、より好ましくは1.00より大きく2.20以下であり、さらに好ましくは1.05以上2.00以下である。また、本発明において、ポリエステルフィルムの少なくとも片側から測定した値が、(i)式のRが上記範囲となることが必要である。もちろん、両側から測定した値が、両方とも(i)式のRが上記範囲となっても良い。
Rを上記範囲とするには、ポリエステルフィルムの表面近くを構成するポリエステル樹脂の配向結晶性が高くし、かつ、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えることにより達成することができる。
ポリエステルフィルムの表面近くを構成するポリエステル樹脂の配向結晶性が高くし、かつ、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑える方法としては、
1)ポリエステルフィルムを、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムとし、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃以上であるポリエステル樹脂から構成されるポリエステル層(該層を以降ポリエステルA層と称する)を少なくとも一方の表層に有し、A層のフィルムの表層となる側とは反対側に、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃未満であるポリエステル樹脂か、非晶性ポリエステル樹脂から構成される層(該層を以降ポリエステルB層と称する)を有しており、かつ、該ポリエステルB層の厚みを、ポリエステルフィルムの総厚みに対して30%以上90%以下とする方法
2)ポリエステルフィルムを、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムとし、少なくとも一方の表層を構成するポリエステル樹脂に結晶性を高める添加剤(結晶核剤)を添加、含有せしめ、かつ、後述する条件にて延伸を行い二軸配向せしめる手法
3) 1)2)の方法を組合せる方法
などが挙げられる。
まず1)の手法について、説明する。
本発明においては、ポリエステルフィルムが、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃以上であるポリエステル樹脂から構成されるポリエステル層(該層を以降ポリエステルA層と称する)を少なくとも一方の表層に有し、A層のフィルムの表層となる側とは反対側に、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃未満であるポリエステル樹脂か、非晶性ポリエステル樹脂から構成されるポリエステルB層を有しており、該層の厚みがポリエステルフィルムの総厚みに対して30%以上90%以下であることが好ましい。
ポリエステルフィルムを少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃以上であるポリエステルA層と、A層のフィルムの表層となる側とは反対側に、融点(Tm)が240℃未満であるか、非晶性ポリエステル樹脂から構成されるポリエステルB層から構成されると、延伸時において、ポリエステル表層の配向結晶性を高めつつ、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えることができる。なお、本発明でいう非晶性ポリエステル樹脂とは、JIS K7121(1999)に準じ、20℃/分の昇温速度で25℃から300℃まで昇温を行って、示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得た場合に、10J/gを超える融点に相当する吸熱ピークを持たないポリエステル樹脂をあらわす。
また、上記ポリエステルB層を、ポリエステルフィルムの総厚みに対して30%以上90%以下とすることで、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えつつ、ポリエステルの表層の配向結晶性を高めることが可能となる。ポリエステルB層の厚みは、50%以上90%以下であると、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えつつ、製膜性や加工性を良好にできるためより好ましく、60%以上80%以下であることが特に好ましい。
ポリエステルB層を構成するポリエステル樹脂の融点を240℃未満、または、非晶性ポリエステル樹脂にする具体的な方法としては、ポリエステルB層を構成するジオール由来の構造単位であるジオール成分、およびB層を構成するジカルボン酸由来の構造単位であるジカルボン酸成分のうちそれぞれ最も多い成分に対し、それ以外の成分を増やしていく方法が挙げられる。
例えば、B層を構成するジオール由来の構造単位としてエチレングリコール由来の構造単位を最も多く含み、ジカルボン酸由来の構造単位としてテレフタル酸を最も多く含む場合、エチレングリコール以外のジオール成分の割合、およびテレフタル酸以外のジカルボン酸成分の割合を増やしていくことで、ポリエステルB層の融点を下げることができる。
ここで、エチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でも、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソソルベート、スピログリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分はエチレングリコール以外に1種類のみでもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、および、各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸とのエステル誘導体などが挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表層を構成するポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃以上であるポリエステルA層とすることが好ましい。少なくとも一方の表層を構成するポリエステル樹脂の融点を上記の範囲とすることで、ポリエステルフィルムの表面近くを構成するポリエステル樹脂の配向結晶性が高くすることが可能となる。また、ポリエステルB層を構成する樹脂が融点を有する場合、ポリエステルA層を構成する樹脂の融点(Tm−A)はポリエステルB層を構成する樹脂の融点(Tm−B)より20℃以上高い融点をもつ樹脂とする事が好ましい。この場合、後述の熱処理工程において、Tm−B℃以上Tm−A℃以下の温度で熱処理を実施する事により、ポリエステルB層のみ配向を緩和させる事ができ、リタデーションを抑制する事が容易となる。より好ましくは、Tm−AとTm−Bの差が30℃以上であり、この場合、熱処理工程での温度の選択幅が広くなるためにポリエステルB層の配向緩和の促進やポリエステルA層の配向の制御が容易にできるようになり、i式におけるR値を範囲内にしやすい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、ポリエステルB層を構成する樹脂は非晶性ポリエステル樹脂からなる事がより好ましい。結晶性樹脂と比較して非晶性樹脂は二軸延伸フィルムを製造する際に配向が生じにくいため、ポリエステルB層のリタデーションの増加を抑制でき、ひいては二軸配向ポリエステルフィルムのリタデーションの不均一を抑制する事が容易となる。特に、二軸延伸フィルムを製造する際に熱処理工程を設けた場合にこの効果は顕著となり、フィルム長手方向及び幅方向への延伸工程で非晶性ポリエステル樹脂からなるポリエステルB層に生じた配向を熱処理工程で完全に緩和させることができ、実質的に結晶性ポリエステルからなるポリエステルA層に起因するリタデーションのみが積層フィルムとしてのリタデーションに影響を与えるようになるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層の厚みが3μm以下であることが好ましい。3μmを超えると、ポリエステルA層による複屈折の寄与が大きくなるため、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えることが困難な場合となり、複屈折にムラが生じ、液晶ディスプレイに搭載した際に干渉色がでる場合がある。また、ポリエステルA層の厚みが3μmを超えるフィルムにおいて、ポリエステルA層による複屈折の寄与を小さくするには、フィルムの総厚みを大きくする必要があるが、そのようなフィルムは偏光板部材として用いた場合、偏光板の厚みが厚くなってしまう場合があり、好ましくない場合がある。一方、ポリエステルA層の厚みが薄すぎると、フィルム全体に占める配向結晶性が高い樹脂の割合が低くなり、結晶性が極度に落ちるため、各種工程の熱などによりフィルム寸法変化が大きく歩留まりが悪化する場合がある。そのため、ポリエステルA層の厚みは、0.5μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上2.5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上2.5μm以下である。
次に、2)の方法について説明する。
本発明においては、ポリエステルフィルムが、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも一方の表層を構成するポリエステル樹脂に結晶性を高める添加剤(結晶核剤)を添加、含有せしめることが好ましい。結晶性を高める添加剤(結晶核剤)を含有せしめたポリエステル樹脂層(該層をポリエステルA’層と称する)を構成するポリエステル樹脂の結晶化指数(以降ΔTcgと称する場合がある)は、10℃以上60℃以下であることが好ましい。ΔTcgが上記範囲とすることで、延伸過程においてポリエステルA’層から選択的に配向結晶化が進み、かつ、後述する延伸条件を行うことでポリエステルA’層の配向を制御することができ、i式におけるR値を範囲内にしやすい。
ΔTcgを上記範囲にするためには、ポリエステルに少なくとも1種類以上の結晶核剤を含有させ、結晶核剤効果により結晶化速度が速くなるように調整したポリエステルを用いることが好ましい。結晶核剤は、エステル交換触媒や重合触媒としても用いられる化合物を用いても良い。例えば、エステル交換、重合時に酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸あるいはそれらの誘導体、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウムを存在させる方法が有効である。特に好ましい望ましい組み合わせは、酢酸マグネシウムとホスホン酸(またはその誘導体)および酸化アンチモンであり、ホスホン酸(またはその誘導体)としては、フェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネートなどが挙げられる。
また、上記化合物以外の結晶核剤をポリエステルに添加することで結晶化速度を向上させる方法も有効である。結晶核剤としては、タルク、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族/芳香族カルボン酸ヒドラジド、ソルビトール系化合物、有機リン酸化合物といった群から好ましく選ぶことができる。中でも本発明のポリエステルは、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩およびソルビトール系化合物から選ばれる少なくとも1種類以上の結晶核剤を含有することが特に望ましい。ここで、結晶核剤の好ましい含有量としては、ポリエステルA’層を構成するポリエステル樹脂組成物を100質量部として、結晶核剤を0.1質量部以上2質量部以下である。結晶核剤の含有量が0.1質量部未満では効果が十分に現れない場合があり、また結晶核剤を2質量部を超えて含有していると、透明性が損なわれる場合がある。なお、以降においては、A層、A’層あわせて、A層と記載する。
本発明においては、上記1)、2)の方法のいずれか、または1)、2)の方法を組合せた方法のいずれを用いても良いが、1)の方法を用いると透明性が良好となるため、偏光子保護部材や円偏光板部材として好ましく用いることができる。
本発明のフィルムの総厚みは3μm以上35μm以下であることが好ましい。総厚みが3μm未満であるとハンドリング性が悪くなり、偏光子に張り合わせる際に歩留まりが生じる場合がある。また、35μmを超えると、偏光板部材として用いた場合、偏光板の厚みが厚くなってしまう場合がある。また、35μmを超えると、ポリエステルフィルムが、積層フィルムである場合に、ポリエステルA層の張力がポリエステルB層を支えることが出来ず製膜破れや厚みムラによる歩留まりが発生する場合がある。フィルムの総厚みは、より好ましくは3μm以上25μm以下、更に好ましくは5μm以上10μm以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの製膜性および偏光子部材として用いた際の干渉色抑制を両立する観点からは、少なくとも3層であり、かつ、A層/B層/A層、A層/B層/A層/B層/A層、といったように、フィルムが厚み方向に対して対称であり、かつ両表層が結晶性の高いポリエステルA層である構成が好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、主配向軸がフィルムの長手方向に対して30°以上60°以下の範囲であることが必要である。フィルムの長手方向に対する主配向軸の傾きが上記の範囲内であると、円偏光板部材や偏光子保護部材として液晶ディスプレイに実装した際に、偏光サングラスによるブラックアウトを抑制することが可能となり視認性が向上する。ここでいう主配向軸は、フィルム上の屈折率が最も大きくなる方向をさし、光学的手法にて計測されるものである。具体的には、王子計測機器株式会社から販売されている位相差測定装置KOBRAシリーズにて計測された値を用いるものとする。本発明においてフィルム長手方向とは、ロール上の二軸配向ポリエステルフィルムであれば、ロールの巻き方向をフィルム長手方向とし、ロールの幅方向がフィルム幅方向に相当する。一方、カットされたシート状である場合には、フィルムの長辺方向をフィルム長手方向とみなし算出する。フィルムの形状が略正方形である場合は、各辺に平行な方向のいずれかを長手方向、幅方向とみなし算出する。
主配向軸の傾きが上記の範囲内の二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば
I)二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて主配向軸が斜めになるようにカットする方法、II)二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、製膜時の幅方向中央部から離れた端部のフィルムを用いる方法、
III)斜め延伸法を用いてフィルムを方法(例えば、国際公開第2007/111313号に記載の方法など)、
により得ることができる。
I)の方法で、主配向軸が30〜60°傾いたカットフィルムを得る場合、製膜幅を対角線としたカットフィルムしか得ることができず、大型のフィルムを得ることができない。また、カットフィルムを張り合わせるためロールトゥーロールプロセスができずコスト高や廃材が多くなるという課題を有している。
II)の方法は、一般的な二軸延伸ポリエステルフィルムの製造に用いられる逐次二軸延伸において、フィルム幅方向への延伸時にクリップ式テンターが用いた場合、フィルムの両端をクリップにて把持した状態でレールに沿って延伸していく過程でフィルムの中央部分とクリップ近傍の部分でのフィルム流れ方向にかかる応力が異なるために、結果として製膜時のフィルムの幅方向中央部から離れたフィルム端部では、主配向軸が傾き、主配向軸が30°〜60°の範囲の二軸配向ポリエステルフィルムが得られるものである。しかしながら、当該方法では、主配向軸の傾きが30°〜60°の範囲となる範囲は、製膜時のフィルムの幅方向中央部から離れた限られた部分しかないため、実用に供することができる範囲が少ない。また、一般的な二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、製膜時のフィルム中央部から離れる(端部に近づく)に従い、リタデーションやリタデーションのばらつきが大きくなる。リタデーションやリタデーションのばらつきが大きいと、円偏光板部材や偏光子保護部材として貼りあわせて用いた際に、干渉色を生じるようになり、好ましくないという課題を有している。
III)の方法では、薄膜化が困難であったり、一般的な二軸延伸ポリエステルフィルムの製膜装置とは別の特別な製膜装置が必要となるという課題を有する。
本発明のフィルムでは、R値を上述した範囲とすることによりポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑えることでリタデーションを低くすることができるため、I)、II)の方法で主配向軸が30〜60°傾いたフィルムを得た場合に、製膜時のフィルム中央部から離れた位置においても、リタデーションやリタデーションのばらつきを小さくすることができる。そのため、当該フィルムを円偏光板部材や偏光子保護部材として貼りあわせて用いた際の干渉色の発生を抑制することができる。
本発明のフィルムは、特にII)の方法で得られるフィルムにおいて、リタデーションやリタデーションのばらつきを抑制するという効果が顕著に得られる。ただし、R値を上述の範囲として、ポリエステルフィルム全体としての配向結晶性を抑え、かつ、ポリエステルフィルムの表面近くを構成するポリエステル樹脂の配向結晶性を高くすることで、リタデーションの抑制、製膜性やハンドリング性を向上させるという本発明の効果は、III)の方法で得られるフィルムにおいても当然に得ることができる。
フィルム長手方向に対する主配向軸の傾きは、より好ましくは35°以上55°以下、さらに好ましくは40°以上50°以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅方向200mmに渡ってリタデーションを測定したとき、面内のリタデーションの最大値が400nm以下であることが好ましい。一般的に、リタデーションとは、フィルムの面内における直交する2方向の屈折率差の最大値とフィルム厚みの積から算出されるものであり、実際は、主配向軸と同様に光学的手法もちいて計測されるものである。本発明において、面内のリタデーションとは、後述する測定方法において、位相差測定装置KOBRAシリーズにて計測される。リタデーションの値が高くなると、円偏光板部材や偏光子保護部材として貼りあわせて用いた際に液晶ディスプレイに実装した際に干渉色を生じるようになり、品位が低下するため問題となる。面内のリタデーションの最大値は、より好ましくは300nm以下であり、更に好ましくは200nm以下である。また、面内のリタデーションの最小値は、好ましくは100nm以上である。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅方向200mmに渡ってリタデーションを測定したとき、リタデーションの最大値と最小値の差(ばらつき)は0nm以上150nm以下が好ましい。フィルム幅方向におけるリタデーションの最大値と最小値に差が生じると、液晶ディスプレイとして用いた際に、干渉色がでる場合がある。より好ましくは0nm以上100nm以下、さらに好ましくは0nm以上50nm以下である。リタデーションの値は後述する製膜条件の中でも延伸倍率と厚みを制御することで上記範囲とすることができる。なお、本発明でいう、フィルムの幅方向とは、ロールの巻き方向をフィルム長手方向とし、ロールの幅方向がフィルム幅方向に相当する。一方、カットされたシート状である場合には、フィルムの長辺方向を長手方向とし、その垂直方向を幅方向とする。フィルムの形状が略正方形である場合は、各辺に平行な方向のいずれかを長手方向、幅方向とみなす。
本発明のポリエステルフィルムは、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加してもよい。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
フィルムを溶融キャスト法により製造する場合、ポリエステルA層に用いるポリエステルAと、ポリエステルA層より融点の低いポリエステルB層に用いるポリエステルBをそれぞれ別々の押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、主配向軸を特定の範囲とするために長手方向に、好ましくは、2.8倍以上4.0倍以下、さらに好ましくは3倍以上3.8倍以下、より好ましくは3.3倍以上3.8倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。延伸温度としてはフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、主配向軸を特定の範囲に制御させるために、長手方向の延伸倍率に対して80%以上120%以下であり、90%以上110%以下であることが好ましく、長手方向の延伸倍率にそろえることが最も好ましい。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。延伸温度としてはフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、主配向軸を制御するために横延伸速度に差を設ける事が好ましく、具体的には、横延伸区間を2分割した場合、横延伸区間中間点におけるフィルムの延伸量(計測地点でのフィルム幅−延伸前フィルム幅)が、横延伸区間終了時の延伸量の60%以上である事が好ましい。さらに好ましくは70%以上である。このように横延伸区間での延伸比率を変える事により、フィルム幅方向でのリタデーションのばらつきを抑制することができ、また、主配向軸の傾きを30°〜60°とすることができる範囲を広くすることが可能となる。その結果、液晶ディスプレイに実装した際の色づきや輝度の低下のない高品位な液晶ディスプレイとすることが可能となる。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、横延伸時の温度を段階的に変化させることも好ましく用いられる。具体的には、横延伸区間を2分割した場合、横延伸区間中間点より前を前半区間、横延伸区間中間点より後を後半区間としたとき、後半区間の雰囲気温度を前半区間の雰囲気温度よりも20℃以上高くすることが好ましい。ここでいう雰囲気温度とは、横延伸区間の前半部分の一部ならびに後半部分の一部の温度にて上記を満たす部分があればよいものである。このように横延伸区間での延伸温度を段階的に変える事により、フィルム幅方向でのリタデーションのばらつきを抑制することができ、また、主配向軸の傾きを30°〜60°とすることができる範囲を広くすることが可能となる。その結果、液晶ディスプレイに実装した際の色づきや輝度の低下のない高品位な液晶ディスプレイとすることが可能となる。
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は延伸温度以上ポリエステルA層の融点以下の温度で行われるが、好ましくはポリエステルB層の融点―10℃以上融点+30℃以下である。ここで好ましい熱処理温度とは、二軸延伸後に行う熱処理温度の中で、最も高温となる温度を示す。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。
さらに、偏光子との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。さらに、140〜200℃条件下でオフアニールすることも好ましく用いられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、大画面の液晶ディスプレイなどの表示装置に搭載した際に、ディスプレイの変形によっても干渉色を呈することがないため、PVA中にヨウ素を含有させて配向させて作成されたPVAシート(偏光子)と貼り合せて偏光子保護部材や円偏光板部材として好ましく用いられる。
[特性の評価方法]
A.フィルムの総厚み、各層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルムの総厚みおよびポリエステル各層の厚みを求めた。
B.フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)スペクトル強度
(ATR法)
(株)パーキンエルマー製のFrontier FT−IRを用い、UATR IRユニットを使用して、媒質結晶をダイヤモンド/ZnSeとして、減衰全反射法(ATR法)によってスペクトル強度を測定する。分光器の分解能は1cm−1、スペクトルの積算回数は16回として測定する。スペクトル強度は、各波長での吸光度(arb.unit)とする。フィルムの表層のスペクトルを測定する場合は、フィルムの表層を媒質結晶に密着させ、測定を実施する。媒質結晶とサンプルとの密着は、装置付随の冶具を用いて圧力をかけることによって行う。サンプルのスペクトルを観測しながら圧力を高めていき、圧力によってスペクトル形状が変化しない時点で測定を実行する。スペクトル強度は、各波長での吸光度(arb.unit)として求める。
(透過法)
ATR法の測定と同じ機器を用い、透過法によってスペクトル強度を測定する。分光器の分解能は1cm−1、スペクトルの積算回数は8回として測定する。スペクトル強度は、各波長での吸光度(arb.unit)として求める。
C.リタデーション・主配向軸の傾き
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。フィルム幅方向にサンプルの中心点が5cm間隔となるようにサンプルを3.5cm×3.5cmで4枚切り出し、フィルム長手方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置し、入射角0°における波長590nmのリタデーションとその配向角を測定した。4枚の測定サンプルのリタデーションの測定結果から、面内のリタデーションの最大値と最小値を求めた。また、面内のリタデーションの最大値と最小値から、フィルム幅方向200mmにわたるリタデーションの差(ばらつき)を求めた。主配向軸の傾きは、測定試料のフィルム長手方向を本測定装置の角度0°方向にセットし、測定により得られる遅相軸の値として求めた。測定サンプル4枚の平均値を主配向軸の傾きとした。ここで遅相軸とは、複屈折を起こす結晶内を光が伝播するとき、位相が遅れ光の進行速度が最も遅くなる軸である。
D.融点
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mg秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷する。直ちに引き続いて、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行い、2ndRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。2ndRUNのDSC曲線より得られた吸熱ピークの頂点の温度を融点とした。なお、積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の融点を測定することができる。本発明において、ポリエステルA層とポリエステルB層とを有するポリエステルフィルムの場合は、各層の融点を測定し、融点の高い層をポリエステルA層、低い方の層をポリエステルB層とした。
E.視認性テスト
偏光板に二軸配向ポリエステルフィルムを張り合わせてテストピースとした。テストピースを別の偏光板にクロスニコルの配置にて重ね合わせLED光源(トライテック製A3−101)上においた場合の視認性を確認した。
視認性(i)
AA:ブラックアウトはほとんどみられない。
A:ブラックアウトが若干みられるものの実用に問題ない。
B:ブラックアウトがみられ、全体が若干暗くなるが、実用できる。
X:ブラックアウトがはっきりみられるため、実用には適さない。
視認性(ii)
AA:干渉色はほとんど見られない
A:干渉色が若干見られるものの実用に問題ない。
B:干渉色が見られるが、実用できる。
C:干渉色が全体に見られるが、実用できる。
X:干渉色がはっきりみられるため、実用には適さない。
F.製膜性
フィルムの製膜性について、下記の基準で評価した。
A:フィルム破れの発生がなく、安定した製膜が可能である。
B:フィルム破れが発生するが、製膜可能である。
X:フィルム破れが頻発し、連続製膜が困難である。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコールを100モル%とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を加熱し溶解させた。その後、内容物を撹拌しながら、酢酸マグネシウム四水和物および三酸化アンチモンを加え、エステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を添加した。リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を添加すると、反応内容物の温度が低下する。そこで、余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃の温度に復帰するまで撹拌を継続した。このようにして、エステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃の温度に達した後、反応内容物を重合装置へ移行し、圧力と温度を掛け重合反応を開始した。その後、反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングして、ポリエステルAを得た。
(ポリエステルB)
非晶性ポリエステル樹脂として、三菱ガス化学社製“ALTESTER(登録商標)”20をポリエステルBとして使用した。
(ポリエステルC)
1,4−シクロヘキサンジメタノールがグリコール成分に対し20モル%共重合された共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 GN001)を、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートをポリエステルCとして使用した。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が82.5モル%、イソフタル酸成分が17.5モル%とした以外はポリエステルAと同様の方法でポリエステルDを得た。
(ポリエステルE)
ポリエステルAと結晶核剤としてモンタン酸ナトリウム(日東化成株式会社製)を、質量比99.5:0.5で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、280℃で混練し、モンタン酸ナトリウム0.5質量%のポリエステルEを得た。
(実施例1)
ポリエステルA層にポリエステルAを、ポリエステルB層にポリエステルBをそれぞれ酸素濃度を0.2体積%とした別々の押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を280℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、合流装置でA層/B層/A層の3層構成になるよう合流させ、積層比がA層厚み:B層厚み:A層厚みが1:4:1となるように調整し、合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.5倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。この一軸延伸フィルムをテンターに導き、85℃の熱風で予熱後、フィルム幅方向に3.5倍延伸した。ここでの延伸は、延伸区間前半で90℃の温度で最大延伸量の70%である2.75倍まで延伸するように調整し、延伸区間後半で140℃の温度で延伸量が3.5倍になるように調整した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに230℃の温度で2%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、フィルムエッジ部を断裁後、搬送ロールにて搬送後に巻き取り1000mm幅、厚さ6μmの中間製品を得た。二軸配向ポリエステルフィルム中間製品をスリッターにて幅200mm×5本となるように切断しながらコアに巻きつけ二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。中間製品の中央部に位置していたフィルムを参考例1−0、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例1−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例1−2とし、得られたフィルムの各特性を表に示す。実施例1−1、1−2のフィルムは、視認性と製膜性がかなり優れる特性を有していた。
(実施例2)
幅方向の延伸を、延伸区間前半で90℃の温度で最大延伸量の50%である1.75倍まで延伸し延伸区間後半で100℃の温度で延伸量が3.5倍になるようにした以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。中間製品の中央部に位置していたフィルムを参考例2−0、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例2−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例2−2とし、得られたフィルムを評価したところ実施例2−1、2−2のフィルムは視認性に優れる特性を有していた。
(実施例3)
ポリエステルA層にポリエステルEを用いること以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例3−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例3−2とし、得られたフィルムを評価したところ視認性と製膜性に優れる特性を有していた。
(実施例4)
合流装置でA層/B層の2層になるように合流させ、A層厚みとB層厚みが1:1となるようにした以外は実施例1と同様にフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例4−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例4−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ視認性に優れる特性を有していた。
(実施例5)
A層厚みとB層厚みを表に示すようにし、フィルム層厚みが25μmとした以外は実施例1と同様にフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例5−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例5−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ視認性と製膜性にすぐれる特性を有していた。
(実施例6)
横延伸倍率を3.3倍とした以外は実施例1と同様にフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例6−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例6−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ干渉色にすぐれる特性を有していた。
(実施例7)
横延伸倍率を3.7倍とした以外は実施例1と同様にフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例7−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例7−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ干渉色にすぐれる特性を有していた。
(実施例8)
ポリエステルB層にポリエステルCを用いること以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例8−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例8−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られたフィルムを評価したところブラックアウト抑制に優れる特性を有していた。
(実施例9)
ポリエステルB層にポリエステルCを用い横延伸倍率を3.3倍とした以外は実施例1と同様にフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例9−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例9−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られたフィルムを評価したところ視認性にすぐれる特性を有していた。
(実施例10)
ポリエステルA層にポリエステルDを用いること以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例10−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例10−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られたフィルムを評価したところブラックアウト抑制に優れる特性を有していた。
(実施例11)
ポリエステルA層の厚みを4μmとし、ポリエステルB層の厚みを2μmとした以外は同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例11−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例11−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られたフィルムはブラックアウト抑制の特性を有していた。
(実施例12)
ポリエステルA層にポリエステルCを用い、熱処理温度を200℃とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例12−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例12−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られたフィルムはブラックアウト抑制に優れる特性を有していた。
(実施例13)
ポリエステルA層にポリエステルEを用い、ポリエステルB層にポリエステルAを用いること以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを実施例13−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを実施例13−2とし、得られたフィルムを評価したところ得られたフィルムを評価したところブラックアウト抑制の特性を有していた。
(比較例1)
ポリエステルAのみを用いてフィルムを作製した以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部に位置していたフィルムを比較例1−0、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを比較例1−1、中間製品の両端部に位置していたフィルムを比較例1−2とし、得られたフィルムの各特性を表に示す。中間製品の中央部に位置していたフィルムだけでなく、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムも長手方向に対する主配向軸の傾きが30°以上60°以下の範囲から外れており、ブラックアウト抑制に劣っていた。また、中間製品の端部に位置していたフィルムにおいては、干渉色がはっきりと見られ、視認性に劣る特性を有していた。
(比較例2)
横延伸倍率を4.3倍とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部に位置していたフィルムを比較例2−1、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを比較例2−2、中間製品の両端部に位置していたフィルムを比較例2−3とし、得られたフィルムの各特性を表に示す。得られたフィルムを評価したところブラックアウト抑制に劣る特性を有していた。
(比較例3) ポリエステルA層の厚みを3μmとし、フィルム総厚みを40μmとした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部に位置していたフィルムを比較例3−1、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを比較例3−2、中間製品の両端部に位置していたフィルムを比較例3−3とし、得られたフィルムの各特性を表に示す。得られたフィルムは視認性に劣る特性を有していた。
(比較例4)
横延伸倍率を2.6倍とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。中間製品の中央部に位置していたフィルムを比較例4−1、中間製品の中央部の両側に位置していたフィルムを比較例4−2、中間製品の両端部に位置していたフィルムを比較例4−3とし、得られたフィルムの各特性を表に示す。得られたフィルムを評価したところブラックアウト抑制に劣る特性を有していた。
Figure 2016017423
Figure 2016017423
Figure 2016017423

Claims (8)

  1. (1)、(2)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
    (1)ポリエステルフィルムを、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)透過法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をr透過2とし、フーリエ変換方赤外分光法(FT−IR)ATR法にて測定した際に、973cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR1、793cm−1に観察されるスペクトル強度をrATR2としたとき、下記式(i)を満たすこと。
    (i)1.00<R≦2.50
    ここでR=(rATR1/rATR2)/(r透過1/r透過2)
    (2)フィルムの長手方向に対する主配向軸の傾きが30°以上60°以下であること。
  2. 面内のリタデーションの最大値が400nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステルフィルムが、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃以上であるポリエステル樹脂から構成されるポリエステル層(該層をポリエステルA層と称する)を少なくとも一方の表層に有しており、A層のフィルムの表層とは反対側に、ポリエステル樹脂の融点(Tm)が240℃未満であるポリエステル樹脂か、非晶性ポリエステル樹脂から構成される層(該層をポリエステルB層と称する)を有しており、かつ、該ポリエステルB層の厚みが、ポリエステルフィルムの総厚みに対して30%以上90%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステルA層の厚みが、3μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステルフィルムが、少なくとも3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、フィルムの両表層がポリエステルA層で構成されており、両表層の厚みが各々3μm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. フィルムの総厚みが3μm以上35μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 偏光子保護部材として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 円偏光板部材として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。

JP2015538204A 2014-07-31 2015-07-15 二軸配向ポリエステルフィルム Pending JPWO2016017423A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014155810 2014-07-31
JP2014155810 2014-07-31
PCT/JP2015/070233 WO2016017423A1 (ja) 2014-07-31 2015-07-15 二軸配向ポリエステルフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016017423A1 true JPWO2016017423A1 (ja) 2017-06-22

Family

ID=55217328

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015538204A Pending JPWO2016017423A1 (ja) 2014-07-31 2015-07-15 二軸配向ポリエステルフィルム

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2016017423A1 (ja)
TW (1) TW201612551A (ja)
WO (1) WO2016017423A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023210443A1 (ja) * 2022-04-27 2023-11-02 東洋紡株式会社 ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、これを用いた偏光板、透明導電性フィルム、タッチパネル、及び、画像表示装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002036476A (ja) * 2000-07-25 2002-02-05 Teijin Ltd 偏光板貼り合せ用保護フィルム
JP4341163B2 (ja) * 2000-10-10 2009-10-07 コニカミノルタホールディングス株式会社 偏光板保護フィルム及びそれを用いた偏光板、製造方法、液晶表示装置
WO2011043131A1 (ja) * 2009-10-09 2011-04-14 東洋紡績株式会社 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
JP2011110718A (ja) * 2009-11-24 2011-06-09 Toyobo Co Ltd 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
JP2011232660A (ja) * 2010-04-29 2011-11-17 Mitsubishi Plastics Inc 偏光板保護用ポリエステルフィルム
JP2013194107A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Mitsubishi Plastics Inc 偏光板用ポリエステルフィルム
JP2013200435A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Mitsubishi Plastics Inc 偏光板保護用ポリエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
TW201612551A (en) 2016-04-01
WO2016017423A1 (ja) 2016-02-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8859648B2 (en) Retardation film and polyester resin for optical use
JP6627218B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP6862654B2 (ja) 積層フィルム
JP6361400B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルム、それを用いた偏光板、液晶ディスプレイ
JP6365300B2 (ja) 積層フィルムおよび偏光板
TWI809081B (zh) 積層薄膜及顯示裝置
KR20090100308A (ko) 위상차판
JP2017206012A (ja) 積層フィルムおよびそれを用いた液晶投影用合わせガラス
JP2017002307A (ja) ポリエステルフィルム、および偏光板保護フィルム
TW200932802A (en) Stretched film, process for producing the same, and liquid-crystal display
JP2018059078A (ja) ポリエステルフィルムおよびそれを用いた表示装置
JP2016141058A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2016190437A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2022054571A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
TWI691405B (zh) 積層薄膜及其製造方法
JPWO2016017423A1 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2007004143A (ja) 位相差フィルム
JP2007224281A (ja) 光学用ポリエステルフィルム
JP2023001907A (ja) フィルム
JP6172027B2 (ja) ディスプレイ用フィルム
JP2016132765A (ja) ポリエステルフィルム
JP2010174089A (ja) 光学用ポリエステル樹脂
JP2013200408A (ja) 位相差板及びその製造方法
JP6848561B2 (ja) 積層フィルム
JP6291830B2 (ja) 多層積層フィルム