JP6848561B2 - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP6848561B2
JP6848561B2 JP2017050943A JP2017050943A JP6848561B2 JP 6848561 B2 JP6848561 B2 JP 6848561B2 JP 2017050943 A JP2017050943 A JP 2017050943A JP 2017050943 A JP2017050943 A JP 2017050943A JP 6848561 B2 JP6848561 B2 JP 6848561B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laminated film
layer
resin
film
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017050943A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017177810A (ja
Inventor
隆文 有家
隆文 有家
青山 滋
滋 青山
嘉丈 増田
嘉丈 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2017177810A publication Critical patent/JP2017177810A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6848561B2 publication Critical patent/JP6848561B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、積層フィルムに関する。
従来、屈折率が異なる2種以上の材料を光の波長レベルの層厚みで交互に積層することにより発現する光の干渉現象を利用して、特定の波長の光を選択的に反射させる光干渉多層膜が知られている。このような多層膜は、用いる材料の屈折率、層数、各層厚みを所望の光学的な設計とすることで、種々の性能を具備せしめることが可能であるため様々な光学用途向けに市販されている。例えば、コールドミラー、ハーフミラー、レーザーミラー、ダイクロイックフィルタ、熱線反射フィルム、近赤外カットフィルタ、単色フィルター、偏光反射フィルム等があげられる。
このような多層膜を溶融押出法にて得る場合、透明性・耐熱性・耐候性・耐薬品性・強度・寸法安定性などの理由から、一方の樹脂にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)やポリエチレンナフタレート(以下、PEN)を使用し、もう一方の樹脂に、低屈折率の共重合ポリエステルを使用した多層フィルムが知られている(特許文献1、2)。特にポリエチレンナフタレート系樹脂(以下、PEN系樹脂)を高屈折率樹脂として用いた場合、低屈折率の共重合ポリエステルとの屈折率差を大きく出来るため、高い反射率を有する光干渉多層膜を得る場合に有用である。
一般的に、積層装置を用いて多層膜を得る場合、積層させる樹脂同士の樹脂温度と樹脂粘度を一致させなければ、積層精度が悪く、所望の反射帯域を得られない、もしくはフローマークが発生し、長尺において反射性能が安定しないという課題がある。この課題を解決するために、装置自体を修正していく方法が知られているが、装置コストは高く、樹脂の組み合わせが限定されてしまう課題がある(特許文献3)。
特開2010−17854号公報 特許第3901911号公報 特許2008−68521号公報
PEN系樹脂を高屈樹脂として使用する場合、PEN系樹脂は粘度が高く、低屈折率の共重合ポリエステルと粘度を一致させることが難しいため、フローマークが発生しやすいという課題があった。その解決法として、PEN系樹脂の樹脂温度を上げることで粘度を下げる方法があるが、その方法では積層装置内で共重合ポリエステルと合流した際、局所的な温度ムラが発生し、積層装置内で樹脂粘度が変わるため、積層精度が悪くなるという課題があった。また別の解決策として、PEN系樹脂の固有粘度(IV)を低下する方法もあるが、その場合積層フィルムが脆くなってしまい、製膜することが困難になるという課題があった。そのため、樹脂の組み合わせが限定されてしまい、反射性能が良い樹脂の組み合わせでも、フローマークにより、製品化できないという問題があった。
そこで本発明は、主としてPEN系樹脂に良流動化剤を添加することで、PEN系樹脂のIVを損なうことなく、PEN系樹脂の粘度を調整し、その樹脂と他の樹脂を温度/粘度を一致させた条件で積層することによって、フローマークの抑制、及び積層精度の向上を図り、さらにその良流動化剤の添加によって反射率や透明性を損なわない積層フィルムを提供することを課題とする。
係る課題を解決するため、本発明は、以下の構成をとる。すなわち、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を50mol%以上100mol%以下含むポリエステル樹脂aを含むA層とポリエステル樹脂bを含むB層を3層以上交互に積層した積層フィルムであって、積層フィルムの冷結晶化温度Tcが200℃未満であり、積層フィルムの少なくとも片側表層が前記A層であり、かつ該表層の屈折率が1.70以上であり、前記A層がブチレンテレフタレート成分を含む重量平均分子量10,000以下の化合物cを含み、その含有量が前記A層に対して0.1wt%以上10wt%以下である積層フィルム、であることを本旨とする。
本発明によって、主としてPEN系樹脂を高屈折率樹脂として用いた場合に、層厚みムラ、及びフローマークを抑制し、光干渉多層膜として多岐に渡る用途で適用可能な積層フィルムを得ることが出来る。
本発明の積層フィルムの601層の積層装置を用いた時の層厚み分布の設計値。 本発明の積層フィルムの201層の積層装置を用いた時の層厚み分布の設計値。 本発明の積層フィルムの51層の積層装置を用いた時の層厚み分布の設計値。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は異なる2種のポリエステル樹脂が交互に積層された多層積層フィルムを例にとり説明するが、3種以上のポリエステル樹脂を用いた場合においても同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする層からなる必要がある。ポリエステル樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができる。そのため、低コストで生産性良く、積層フィルムを得ることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、異なる光学的性質を有する2種以上のポリエステル樹脂が3層以上交互に積層されてなることが好ましい。ここでいう異なる光学的性質とは、面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる光学的性質を有する2つのポリエステル樹脂a(樹脂aともいう)、ポリエステル樹脂b(樹脂bともいう)からなる場合、各々の層をA層、B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係によって特定の波長の光を反射させることが可能となる。また、積層する層数が多いほど広い帯域に渡り高い反射率を得ることが出来る。好ましくは51層以上であり、より好ましくは201層以上である。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い光線カット性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的にはそれぞれ1000層以内が実用範囲となる。
本発明の積層フィルムにおいては、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有することが好ましい。より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。ここでいう反射帯域とは、上記を満足する相対反射率を連続で50nm以上有することを表す。相対反射率が30%以上となる帯域は、より好ましくは100nm以上であり、更に好ましくは200nm以上である。例えば、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光のうち、波長900〜1200nmに占める強度の割合は約18%)の光を反射することにより、透明でしかも高い熱線カット性能を持つ積層フィルムとすることができる。あるいは可視光領域(380〜800nm程度)の光を約50%反射させるフィルムを得ればハーフミラーとして適用できるなど、様々な用途に応用可能である。このようなフィルムは、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性であるポリエステル樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される低屈折率の共重合ポリエステルからなる層が交互に積層された多層積層フィルムとすることが好ましい。またより好ましくは、900〜1200nmの波長範囲において相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有することが好ましい。太陽光は可視光領域に主に強度分布を備えており、波長が大きくなるにつれてその強度分布は小さくなる傾向にある。しかし、高い透明性が求められる用途で使用するために、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を効率的に反射することにより、高い熱線カット性能を付与することができる。好ましくは、波長900〜1200nmでの平均反射率が80%以上であり、より好ましくは波長900〜1200nmでの平均反射率が90%以上である。波長900〜1200nmでの平均反射率が大きくなるに従い、高い熱線カット性能を付与することが可能となる。このようなフィルムは、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性である熱可塑性樹脂からなる樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂からなる層が交互に積層された多層積層フィルムとすればよい。
また、本発明の積層フィルムの少なくとも片側はA層である必要がある。上記より、ポリエステル樹脂bは非結晶樹脂である可能性が高く、ポリエステル樹脂bを含むB層を両面表層に配置した場合、非結晶樹脂で且つガラス転位点が低いため、キャストロールや延伸ロールに粘着し、製膜が困難となってしまう。一方で、A層を少なくとも片面表層に配置することで、キャストロールや延伸ロールに粘着することなく、製膜することが可能となる。
本発明の積層フィルムは、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を50mol%以上100mol%以下含むポリエステル樹脂aを含む層(A層)があることが必要である。このような構成とすることで、PETをA層として用いた場合よりもB層との屈折率差を大きくすることができ、より反射性能に優れた光干渉多層膜を得ることができる。ナフタレンジカルボン酸成分は多いほど、屈折率が高くなるため、より好ましくは80mol%以上100mol%以下である。このような範囲とすることで、フィルムの表層の屈折率を1.70以上とすることができる。より好ましくはフィルムの表層の屈折率が1.72以上である。ジカルボン酸成分の副成分として用いられるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸)、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、デカリン酸、アダマンタン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールおよびそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上を共重合してもよい。この中でもジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール60mol%以上100mol%以下、更に好ましくは80mol%以上100mol%以下、ジオール成分のエチレングリコール以外の共重合成分としてネオペンチルグリコールを用いた樹脂は、高屈折率を維持したまま、樹脂の融点を低下し、粘度を下げることができるため、最も好ましい樹脂の形態である。なお、上記樹脂には、易滑性を付与するためにシリカやチタニア、アルミナ、等の各種添加剤を入れることができる。
また、本発明の積層フィルムのA層には分子量が10,000以下の化合物cが含まれているのが好ましい。化合物cとしては、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、良流動化剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などから特性を変化させない程度に、1種または複数添加することができる。特性を変化させないためには分子量ができるだけ小さく、また含有量も少量であるのが好ましい。分子量としては10,000以下が好ましく、また添加量としては、20wt%以下が好ましく、さらに好ましくは10wt%以下である。特にA層に用いるPEN系樹脂は粘度が高く、ポリエステル樹脂bとの粘度を合わせるために、良流動化剤を少量添加することが好ましく、その下限は0.1wt%以上が好ましい。また、その化合物cとしては、層間密着を上げる効果が期待されるため、ブチレンテレフタレート成分を含むことが好ましい。
本発明の積層フィルムに用いられるポリエステル樹脂bとしては、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解されるポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。このようにすることで、ポリエステル樹脂aとの屈折率差が大きくなり、高い反射率を得ることができる。非晶性を保持したポリエステル樹脂とは、示差熱分析(DSC)で分析した際に融点のない樹脂である。また、熱処理工程で融解される樹脂とは、ポリエステル樹脂aと融点が5℃以上、好ましくは10℃以上離れている樹脂である。このようにすることで、ポリエステル樹脂aの融点以下、且つポリエステル樹脂bの融点以上で熱処理をすることで、ポリエステル樹脂bの配向を緩和し、A層とB層の屈折率差を最大とすることができる。ポリエステル樹脂bのジカルボン酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、デカリン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上を共重合してもよい。またポリエステル樹脂bのジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール、ネオペンチルグリコール、などを上げることができる。ポリエステル樹脂bの好ましい形態としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、もしくはナフタレンジカルボン酸を用い、ジオール成分として、エチレングリコールを用いた樹脂に、共重合成分として1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび/またはスピログリコールを共重合させた樹脂が好適に用いられる。また、ポリエステル樹脂bには、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
本発明の積層フィルムにおいては、樹脂a、樹脂bによって構成される隣接する層(すなわちA層とB層)の面内平均屈折率の差が0.05以上であることが好ましい。ここでいう面内平均屈折率とは、面内で最大方向を与える方向の屈折率とそれに垂直方向の屈折率の平均値である。より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.15以上0.25以下である。面内平均屈折率の差が0.05より小さい場合には、相対反射率が30%以上となる反射帯域を有することが困難となる。この達成方法としては、A層に用いる樹脂が結晶性であり、かつB層に用いる樹脂が、融点以上の熱処理によって配向が緩和し、屈折率が小さくなる樹脂、または非晶性もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂の混合物であることである。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムでは、内部ヘイズが3%以下となることが好ましい。より好ましくは2%以下であり、更に好ましくは1%以下である。このようにすることで、ガラスに張り合わせた際でも、透明性の高いフィルムを得ることができる。内部ヘイズは、JIS−K−7105に準じて測定することで得られる。
本発明の積層フィルムおいて、冷結晶化温度Tcは200℃未満である必要ある。樹脂の冷結晶化温度は、後述する測定方法において求める、2ndRUNでの昇温過程(昇温速度:5℃/min)における結晶化ピークにおけるピークトップの温度でもって積層フィルムの例結晶化温度Tcとする。一般にガラス転位温度Tgと冷結晶化温度Tcの差を小さくすることで、結晶化しやすいことが知られている。結晶化しやすければ、延伸時の配向が付きやすくなるため、より屈折率が高くなる。PEN樹脂のTcは200℃以上となるため、特に良流動化剤などの各種添加剤を添加したり、別のポリマーとコンパウンドすることにより、Tcを下げることができる。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法をポリエステル樹脂a,ポリエステル樹脂bの二種のポリエステル樹脂を用いた例にとって以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段の記載を参考とすれば実現できるものである。
ポリエステル樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、複数のポリエステル樹脂からなる積層フィルムを作製する場合には、複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸されることが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸をいい、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては、本発明の積層フィルムを構成する樹脂aのガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃の範囲が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては、本発明の積層フィルムを構成する樹脂aのガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点Tm以下の温度で熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては、本発明の積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。
本発明の積層フィルムは、特に900〜1200nmの熱線を反射することができ、粘着剤等を介してガラスに貼り付けることが容易であるため、建材用、自動車用の熱線反射フィルムや、屋外用の大型ディスプレイの保護フィルムなどに好適に用いることができる。
[物性の測定方法]
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施した。
(2)層厚みの算出方法
(1)項で得られたTEM写真画像を画像処理ソフト Image-Pro Plus ver.4(販売元 プラネトロン(株))を用いて、このファイルを開き、画像解析を行った。画像解析処理は、垂直シックプロファイルモードで、厚み方向位置と幅方向の2本のライン間で挟まれた領域の平均明るさとの関係を、数値データとして読み取った。表計算ソフト(Excel 2000)を用いて、位置(nm)と明るさのデータに対してサンプリングステップ2(間引き2)でデータ採用した後に、5点移動平均の数値処理を施した。さらに、この得られた周期的に明るさが変化するデータを微分し、VBA(Visual Basic for Applications)プログラムにより、その微分曲線の極大値と極小値を読み込み、隣り合う明るさが極大の領域と極小の領域の間隔を1層の層厚みとして層厚みを算出した。この操作を写真毎に行い、全ての層の層厚みを算出した。
(3)積層精度の定義
(2)で求めた各層の層厚みをX、その層厚みの設計値をYとした時に、その誤差が10%以内である層数が全体の6割以上である場合に良好な結果とした。なお各層の設計値は図1〜3に示しており、各層の設計値は特開2007−176154[0028]〜[0031]などを参考に、設計を行ったものである。
◎;全層厚みの8割以上が誤差10%以内
○;全層厚みの6割以上8割未満が誤差10%以内
△;全層厚みの3割以上6割未満が誤差10%以内
×;全層厚みの3割未満が誤差10%以内
(4)相対反射率
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所(株)製分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率測定を行った。相対反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した後、サンプルの長手方向を上下方向にして測定した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における相対反射率を得た。
(5)屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
(6)積層フィルムの表層の屈折率
5cm×5cmで切り出したサンプルを(株)マツボー製 プリズムカプラー(SPA−3DR)を用いて、MD方向、TD方向をそれぞれTEモードで積層フィルムの表層の屈折率を測定した後、それらの平均値を表層の面内屈折率とした。
(7)積層フィルムのTg,Tc、Tm測定
測定する積層フィルムを切り出し、示差熱量分析(DSC)を用いてJIS−K−7122(1987年)に従って、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、25℃から300℃まで5℃/minで昇温(第一の昇温)しその状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷した。引き続いて、再度室温から5℃/min.の昇温速度で300℃まで昇温(第二の昇温)を行って測定を行った。得られた示差操作熱量測定チャート(第二の昇温カーブ)を用いて、ガラス転位点Tg、冷結晶化温度Tc、融点Tmを求めた。なお、複数存在する場合には、それぞれ温度が一番高い値でもって、それぞれの値とした。
(8)樹脂の融点
測定するポリエステル樹脂を、JIS−K−7122(1987年)に従って、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、25℃から300℃まで5℃/minで昇温(第一の昇温)しその状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷した。直ちに引き続いて、再度室温から5℃/min.の昇温速度で300℃まで昇温(第二の昇温)を行って測定を行った。得られた示差操作熱量測定チャート(第二の昇温カーブ)を用いて、ガラス転位点Tg、冷結晶化温度Tc、融点Tmを求めた。なお、複数存在する場合には、それぞれ温度が一番高い値でもって、それぞれの値とした。
(9)多層積層フィルムを構成する材料の構造解析
多層積層フィルムを構成する材料の構造解析方法は、特に手法は限定されないが、以下のような方法が例示できる。例えば、まずガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により重量ピークを確認する。次に、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)にて、推定される構造が有する各原子間の結合に由来するピークの有無を確認する。さらに、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)にて、構造式上の水素原子の位置に由来する化学シフトの位置と水素原子の個数に由来するプロトン吸収線面積を確認する。これらの結果を合わせて総合的に判断することが好ましい。
(10)密着性
JIS K5400(1999年版)に基づき試験を行った。以下の基準に基づき評価を行った。○以上を良好な結果とした。試験は10回実施し、その平均値を用いて判定した。
◎:全ての格子の目にはがれがない。
○:格子のはがれ発生が0%より大きく、50%未満である。
△:格子のはがれ発生が50%以上、95%未満である。
×:格子のはがれ発生が95%以上である。
(11)内部ヘイズ
一辺が5cmの正方形状の積層フィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを常態(23℃、相対湿度50%)において、40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて行い、全光線透過率の測定はJIS「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(K7361−1、1997年版)にて行い、ヘイズの測定はJIS「透明材料のヘーズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施した。内部ヘイズの測定はJIS−K−7105に準じて測定するが、フィルム表面の凹凸による光散乱を除去するために、流動パラフィンで満たされた石英セルにサンプルを浸した状態で測定した。それぞれ3点(3個)の値を平均して、積層フィルムの内部ヘイズの値とした。
(12)樹脂の粘度測定
ペレット状のチップをそれぞれの実験に用いた条件で乾燥させた後、島津製作所社製 フローテスター(CFT−500)を用いて粘度を測定した。ダイ径をφ=1mmに設定し、原料チップを280度℃で10分間溶融させた後、荷重を10kgかけた時の粘度を測定した。
(13)固有粘度の測定
各樹脂を溶媒としてオルトクロロフェノールを用いて、温度25℃、オストワルド粘度計を用いて測定した溶液粘度から算出した。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるべきものではない。
(参考例1)
固有粘度0.60、Tm=268℃のポリエチレンナフタレート(PEN)を用いて、化合物cとして分子量2000のポリブチレンテレフタレート(以下、PBT添加剤)の添加量を変えて粘度を測定した結果を表1に示す。
表1より、熱履歴によるIV低下はあるものの、PBT添加剤の添加によるIVの低下なく、粘度を下げられることが分かった。
(参考例2)
固有粘度0.60、Tm=248℃のネオペンチルグリコール(NPG)を10mol%共重合したポリエチレンナフタレート(ジオール成分として、エチレングリコール(EG)を90mol%、NPGを10mol%、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDC)を100mol%(以下、PEN/NPG(10)と示す))を用い、参考例1と同様に、化合物cとしてPBT添加剤の添加量を変えて、粘度を測定した結果を表1に示す。
表1より、PBT添加剤を添加することにより、PEN/NPG(10)についてもPENと同様に熱履歴によるIV低下はあるものの、PBT添加剤の添加によるIV低下なく、粘度を下げられることが分かった。
(実施例1)
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.60、Tm=268℃のPENを用い、そこに化合物cとしてPBT添加剤を3wt%添加した。以下、ポリエステル樹脂aと化合物cを混合した樹脂を熱可塑性樹脂Aと示す。また、ポリエステル樹脂bとして、シクロヘキサンジメタノールを30mol%共重合したPET樹脂とポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製)を82:18の質量比となるように混合したもの(表中でPETG系樹脂と示す)を用いた。なお、PETG系樹脂の粘度は280℃で3300poiseであった。
準備した熱可塑性樹脂Aおよびポリエステル樹脂bは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて280℃で溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、フィルムの厚膜層を除いた光学厚みの比がA層/B層=1になるように計量しながら、スリット数301個のスリットプレートを2枚用いた構成である601層積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に601層積層された積層体とした。なお、A層同士を重ね合わせて形成する層があるため、スリットプレート内の間隙数は、602個となる。また、波長1200nm以下の反射帯域をポリマー多層積層とし、かつ波長900nm〜1200nm以下の平均反射率が70%以上とするために、積層フィルムの層厚み分布が図1のごときになるように設計されたスリット設計されたものである。601層フィードブロックにて合流させた後、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを、135℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。延伸時のフィルム温度は135℃であった。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、135℃の熱風で予熱後、140℃の温度で横方向に均一な延伸速度で4.2倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に3%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた積層フィルムの厚みは100μmであった。得られた積層フィルムは、フローマークも無く、透明性に優れたフィルムであった。また、900〜1200nmの光の反射率が90%有り、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。結果を表2に示す。
(実施例2)
化合物cとしてPBT添加剤を6wt%添加し、ポリエステル樹脂bとして、スピログリコールを21mol%、シクロヘキサンジカルボン酸を15mol%共重合したPETとポリエチレンテレフタレート(東レ(株)製)を85:15の比率で混合した樹脂(表中、SPG系樹脂と示す。)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。なお、ポリエステル樹脂bの280℃での粘度は2250poiseであった。
得られた積層フィルムは実施例1と同様に、フローマークもなく、900〜1200nmの光の反射率が高く、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も良好であった。結果を表2に示す。
(実施例3)
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.60、Tm=248℃のPEN/NPG(10)を用い、縦延伸温度の設定温度を120度(その時のフィルム温度は120℃)、熱処理温度を220℃にした以外は、実施例1と同様にして行った。
得られた積層フィルムは実施例1と同様に、フローマークもなく、900〜1200nmの光の反射率が高く、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も良好であった。結果を表2に示す。
(実施例4)
スリット数201個のスリットプレートを1枚用いた構成である201層積層装置を用いた以外は実施例1と同様にして行った。また、この時の積層フィルムの層厚み分布を図2に示す。得られたフィルムの厚みは40μmであった。
得られた積層フィルムは実施例1と同様にフローマークがなく、900〜1200nmの光の反射率601層よりは低下したものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も良好であった。結果を表2に示す。
(実施例5)
スリット数51個のスリットプレートを1枚用いた構成である51層積層装置を用いた以外は実施例1と同様にして行った。また、この時の積層フィルムの層厚み分布を図3に示す。得られたフィルムの厚みは11μmであった。
得られた積層フィルムは実施例1と同様にフローマークがなく、900〜1200nmの光の反射率201層よりも低下したものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も良好であった。結果を表2に示す。
(実施例6)
3層のフィードブロックを用いた以外は実施例1と同様にして行った。なお、3層のフィードブロックは層厚みが1:4:1となるような比で行った。
得られたフィルムは、フローマークは無いものの、可視光域及び赤外領域に反射帯域を持たないフィルムであった。結果を表2に示す。
(実施例7)
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.60、NPGを20mol%共重合したポリエチレンナフタレート(PEN/NPG(20)、Tm=228℃)を用い、熱処理温度を200℃にした以外は、実施例3と同様にして行った。
得られた積層フィルムは実施例1と同様に、フローマークもなく、900〜1200nmの光の反射率が高かったものの、実施例3よりは反射率が低かった。透明性に優れ、密着性も良好であった。結果を表2に示す。
(比較例1)
PBT添加剤を未添加とする以外は実施例1と同様にして行った。
得られた積層フィルムはフローマークが多く、製品化できないレベルのサンプルしか採取できなかった。また分光を確認したところ、900〜1200nmの光を反射するものの、層乱れ起因により、可視光反射が高いものが得られた。結果を表2に示す。
(比較例2)
PBT添加剤を未添加とする以外は実施例3と同様にして行った。
得られた積層フィルムは、実施例1よりはフローマークが少なかったが、依然としてフローマークが多く、製品化できないレベルのサンプルしか採取できなかった。また分光を確認したところ、900〜1200nmの光を反射するものの、層乱れ起因により、可視光反射が高いものが得られた。結果を表2に示す。
(比較例3)
ポリエステル樹脂aにPET(東レ製)を用い、ポリエステル樹脂bとしてPETG系樹脂を用い、それぞれの樹脂を280℃溶融混錬し、積層させた以外、実施例5と同様に行った。なお、PETの280℃での粘度は2100poiseであった。
得られた積層フィルムは両者の相溶性がよいため、フローマークも無く、透明フィルムが得られた。しかし、PETG系樹脂との屈折差がほとんど小さいため、反射率が小さかった。結果を表2に示す。
(比較例4)
フィードブロックを601層に変えた以外は、比較例3と同様にして行った。
得られた積層フィルムはフローマークも無く、透明フィルムが得られた。また層数が多いため、900〜1200nmの光の反射率が高く、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も良好であった。結果を表2に示す。
Figure 0006848561
Figure 0006848561
本発明の積層フィルムは、特に透明性、密着性に優れ、熱線反射することが可能なため、建材、自動車、液晶ディスプレイなど種々の用途に用いられ、特に特定の波長の光を反射させる光学フィルムとして利用できる。

Claims (5)

  1. ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を50mol%以上100mol%以下含むポリエステル樹脂aを含むA層とポリエステル樹脂bを含むB層を3層以上交互に積層した積層フィルムであって、積層フィルムの冷結晶化温度Tcが200℃未満であり、積層フィルムの少なくとも片側表層が前記A層であり、かつ該表層の屈折率が1.70以上であり、
    前記A層がブチレンテレフタレート成分を含む重量平均分子量10,000以下の化合物cを含み、その含有量が前記A層に対して0.1wt%以上10wt%以下である積層フィルム。
  2. 前記ポリエステル樹脂aがポリエチレンナフタレート系樹脂である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 積層フィルムのガラス転移温度Tgが110℃以下である請求項1〜2のいずれかに記載の積層フィルム
  4. 相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有する請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 900〜1200nmの波長範囲において相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有する請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
JP2017050943A 2016-03-28 2017-03-16 積層フィルム Active JP6848561B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016063575 2016-03-28
JP2016063575 2016-03-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017177810A JP2017177810A (ja) 2017-10-05
JP6848561B2 true JP6848561B2 (ja) 2021-03-24

Family

ID=60008282

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017050943A Active JP6848561B2 (ja) 2016-03-28 2017-03-16 積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6848561B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0735952B1 (en) * 1993-12-21 2000-03-22 Minnesota Mining And Manufacturing Company Multilayered optical film
US7052762B2 (en) * 2001-05-24 2006-05-30 3M Innovative Properties Company Low Tg multilayer optical films
JP4167088B2 (ja) * 2003-02-20 2008-10-15 帝人株式会社 二軸延伸多層積層ポリエステルフィルム
KR101541721B1 (ko) * 2009-10-09 2015-08-05 에스케이씨 주식회사 생분해성 다층 고분자 반사체
JP5746537B2 (ja) * 2011-03-28 2015-07-08 帝人デュポンフィルム株式会社 多層積層フィルム
WO2016021345A1 (ja) * 2014-08-07 2016-02-11 東レ株式会社 多層積層フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017177810A (ja) 2017-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6973584B2 (ja) 積層フィルム
TWI602695B (zh) Laminated film
JP5807466B2 (ja) 積層フィルムおよびそれを用いた自動車用窓ガラス
JP6361400B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルム、それを用いた偏光板、液晶ディスプレイ
JP6884997B2 (ja) ポリエステルフィルム、および偏光板保護フィルム
JP2017206012A (ja) 積層フィルムおよびそれを用いた液晶投影用合わせガラス
JP5782302B2 (ja) 多層延伸フィルム
JP5782303B2 (ja) 多層延伸フィルム
JP6631509B2 (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP2015118160A (ja) 光線選択反射フィルムおよびディスプレイ用光線選択反射フィルム
JP2023052241A (ja) 多層積層フィルム
JP6848561B2 (ja) 積層フィルム
JP5706246B2 (ja) 多層延伸フィルム
JP2018127607A (ja) フィルム
JP2017177350A (ja) 積層フィルム
JP6476795B2 (ja) 積層フィルム
TWI787362B (zh) 積層薄膜
JP2017170886A (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP6543964B2 (ja) 積層フィルム及びその製造方法
JP2017087448A (ja) 積層フィルム
JP6441147B2 (ja) 延伸多層積層反射ポリエステルフィルムおよびそれからなる液晶ディスプレイ装置
JP2018104536A (ja) フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200114

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210215

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6848561

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151