JP2017177350A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの層と他の樹脂からなる層の積層フィルムの剥離を抑制し、それによって反射率や透明性を損なわない積層フィルムを提供することを課題とする。【解決手段】 ガラス転移温度が30℃以上異なるポリエステル樹脂aおよびポリエステル樹脂bをそれぞれ主たる構成成分とするA層とB層を51層以上交互に積層した積層フィルムであって、少なくとも一方のガラス転移温度が50℃以下であり、ポリエステル樹脂aまたはポリエステル樹脂bを構成する全ジカルボン酸成分100mol%の内、脂肪族ジカルボン酸成分が40mol%以上100mol%以下である積層フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、積層フィルムに関する。
従来、屈折率が異なる2種以上の材料を光の波長レベルの層厚みで交互に積層することにより発現する光の干渉現象を利用して、特定の波長の光を選択的に反射させる光干渉多層膜が知られている。このような多層膜は、用いる材料の屈折率、層数、各層厚みを所望の光学的な設計とすることで、種々の性能を具備せしめることが可能であるため様々な光学用途向けに市販されている。例えば、コールドミラー、ハーフミラー、レーザーミラー、ダイクロイックフィルタ、熱線反射フィルム、近赤外カットフィルタ、単色フィルター、偏光反射フィルム等があげられる。
このような多層膜を溶融押出法にて得る場合、透明性・耐熱性・耐候性・耐薬品性・強度・寸法安定性などの理由から、一方の樹脂にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを使用し、もう一方の樹脂に、低屈折率の共重合ポリエステルを使用した多層フィルムが知られている(特許文献1、2)。特にポリエチレンナフタレートを用いた場合、低屈折率の共重合ポリエステルとの屈折率差を大きく出来るため、高い反射率を有する光干渉多層膜を得る場合に有用である。
しかしながら、溶融押出し法にてポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートと低屈折率の共重合ポリエステルの多層膜を得た場合、これらの層の界面で剥離が起こりやすく、例えば2枚のガラスに粘着層を介して挟みこんだ場合に多層膜界面で剥離してしまうなど、最終製品として適用できないことがあった。
本発明は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの層と他の樹脂からなる層の積層フィルムの剥離を抑制し、それによって反射率や透明性を損なわない積層フィルムを提供することを課題とする。
係る課題を解決するため、本発明は、ガラス転移温度が30℃以上異なるポリエステル樹脂aおよびポリエステル樹脂bをそれぞれ主たる構成成分とするA層とB層を51層以上交互に積層した積層フィルムであって、少なくとも一方のガラス転移温度が50℃以下であり、ポリエステル樹脂aまたはポリエステル樹脂bを構成する全ジカルボン酸成分100mol%の内、脂肪族ジカルボン酸成分が40mol%以上100mol%以下である積層フィルム、であることを本旨とする。
本発明によって、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの層と他の樹脂からなる層の積層フィルムの剥離を抑制し、それによって反射率や透明性を損なわず、光干渉多層膜として多岐に渡る用途で適用可能な積層フィルムを得ることが出来る。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、説明を簡略化する目的で一部の説明は異なる光学的性質の異なる2種のポリエステル樹脂が交互に積層された多層積層フィルムを例にとり説明するが、3種以上のポリエステル樹脂を用いた場合においても同様に理解されるべきものである。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂からなる必要がある。ポリエステル樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができることから、低コストで積層フィルムを得ることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムにおいては、異なる光学的性質を有する2種以上のポリエステル樹脂が51層以上積層されてなる必要がある。ここでいう異なる光学的性質とは、面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる光学的性質を有する2つのポリエステル樹脂a、ポリエステル樹脂bからなる場合、各々の層をA層,B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層されたものである。このように光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係よって特定される特定の波長の光を反射させることが可能となる。また、積層する層数が多いほど広い帯域に渡り高い反射率を得ることが出来る。好ましくは101層以上であり、より好ましくは201層以上である。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い光線カット性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じるために、現実的にはそれぞれ1000層以内が実用範囲となる。
本発明の積層フィルムにおいては、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有することが好ましい。より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。例えば、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を反射することにより、透明でしかも高い熱線カット性能を持つ積層フィルムとすることができる。あるいは可視光領域(380〜800nm程度)の光を50%反射させるフィルムを得ればハーフミラーとして適用できるなど、様々な用途に応用可能である。このようなフィルムは、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性であるポリエステル樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される低屈折率の共重合ポリエステルからなる層が交互に積層された多層積層フィルムとすることが好ましい。またより好ましくは、900〜1200nmの波長範囲において相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有することが好ましい。太陽光は可視光領域に主に強度分布を備えており、波長が大きくなるにつれてその強度分布は小さくなる傾向にある。しかし、高い透明性が求められる用途で使用するために、可視光領域よりもやや大きな波長900〜1200nm(全太陽光の強度の約18%)の光を効率的に反射することにより、高い熱線カット性能を付与することができる。好ましくは、波長900〜1200nmでの平均反射率が70%以上であり、より好ましくは波長900〜1200nmでの平均反射率が80%以上である。波長900〜1200nmでの平均反射率が大きくなるに従い、高い熱線カット性能を付与することが可能となる。また400〜800nmの平均反射率を20%以下、より好ましくは15%以下とすることで可視領域での反射を抑え、色付きやぎらつきのない熱線カット性能のあるフィルムとすることができる。このようなフィルムは、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性である熱可塑性樹脂からなる樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂からなる層が交互に積層された多層積層フィルムとすればよい。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂aまたはポリエステル樹脂bの一方がジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸残基および/またはテレフタル酸残基を90モル%以上、ジオール成分としてエチレングリコール残基を90モル%以上含むことが好ましい。このような構成とすることで、A層とB層との屈折率差を設けることができ、より反射性能に優れた光干渉多層膜を得ることができる。本発明の一方のポリエステル樹脂はジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸および/またはテレフタル酸を90モル%以上、ジオール成分としてエチレングリコールを90モル%以上重合または共重合することで得られる。用いられるジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸)、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ネオペンチルグリコールおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。この中でもジカルボン酸成分としてテレフタル酸やナフタレンジカルボン酸、ジオール成分としてエチレングリコールを由来として重合されることが好ましい。
本発明に用いられるもう一方のポリエステル樹脂としては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールあるいはそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルや、これらポリエステルを混合させて用いることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。また、脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上を共重合してもよい。特に好ましくは、脂肪族ジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸であり、かつ全ジカルボン酸成分に対して80mol%以上であることや、脂肪族ジオール成分が脂環式ジオールであり、かつ全ジオール成分に対して80mol%以上であることが好ましい。このような構成とすることで、樹脂の耐熱性を向上させることが可能となり、溶融押出し時の樹脂安定性だけでなく、積層フィルムとしての熱による劣化を抑制することが出来る。ここで、ポリエステル樹脂aまたはbを構成する全ジカルボン酸成分100mol%の内、脂肪族ジカルボン酸成分が40mol%以上100mol%以下であることが必要である。また、前記ポリエステル樹脂aまたはbを構成する全ジオール成分100mol%の内、脂肪族ジオール成分の割合が50mol%以上100mol%以下であることも好ましい。このような構成とすることで、A層とB層の屈折率差を大きくすることができ、より反射性能に優れた光干渉多層膜を得ることができる。A層とB層の屈折率差を大きくするために、一方のポリエステル樹脂は非晶性樹脂であることが好ましい。なお、ポリエステル樹脂aを主成分とする層をA層とし、ここでいう主成分とはA層を構成する成分の内、95wt%以上をポリエステル樹脂aが占めることを表す。同様にポリエステル樹脂bを主成分とする層をB層とし、ここでいう主成分とはB層を構成する成分の内、95wt%以上をポリエステル樹脂bが占めることを表す。
本発明の多層積層フィルムにおいては、隣接する異なる光学的性質を有する熱可塑性樹脂によって構成される層の面内平均屈折率の差が0.05以上であることが好ましい。より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.15以上0.35以下である。面内平均屈折率の差が0.05より小さい場合には、相対反射率が30%以上となる反射帯域を有することが困難となることがある。この達成方法としては、ポリエステル樹脂aが結晶性であり、かつポリエステル樹脂bが非晶性もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂の混合物であることである。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。
また、本発明の積層フィルムはポリエステル樹脂aとポリエステル樹脂bの少なくとも一方のガラス転移点(以下Tgとも記す)が50℃以下であることが必要である。このような構成とすることで、樹脂が柔軟化するため層の界面での剥離が起こり難くなる。より好ましくは25℃以下、更に好ましくは10℃以下である。ガラス転移点を50℃以下とするためには、ガラス転移点が50℃以下の樹脂を用いるか、樹脂に結晶性の低い成分を共重合することで達成でき、具体的には脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルを共重合することで達成できる。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(トリメチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールなどが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物を用いることが好ましい。必要なガラス転移点に下限はないものの、耐熱性の観点から−50℃以上が実用範囲となる。ここで、ポリエステル樹脂aおよびポリエステル樹脂bのガラス転移点は30℃以上異なる必要がある。このような構成とすることで、一方の樹脂がガラス転移点以上の温度で延伸される際には、もう一方の樹脂がガラス転移点よりも30℃以上高い温度で延伸されることになり、層の界面での剥離を抑制しつつA層とB層の屈折率差をより高くすることが出来る。
本発明の積層フィルムは内部ヘイズが3.0%以下であることが好ましい。このようにすることで、透明でしかも特定の波長の光を反射する積層フィルムとすることが出来、ハーフミラーや熱線反射フィルムなど透明性が求められる用途にも広く適用できる。より好ましくは内部ヘイズが2.0%以下である。内部ヘイズを3.0%以下とするためには、A層中にポリエステル樹脂a以外の成分の種類や量を調整することや、B層中にポリエステル樹脂b以外の成分の種類や量を調整することで達成される。このような構成とすることで、樹脂aとの相溶性に優れる為に内部ヘイズを小さくすることができ、かつ層間密着性にも優れた積層フィルムとすることが出来る。
上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、本発明の積層フィルムでは、ポリエステル樹脂aがポリエチレンテレタレートからなり、ポリエステル樹脂bがジカルボン酸成分としてシクロヘキサンジカルボン酸、ジオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールからの重合により得られるポリエステルを含んでなることが挙げられる。通常、結晶性ポリエステル樹脂aからなるA層と、非晶性ポリエステル樹脂bからなるB層との積層体は、A層とB層との密着性が十分でなく、例えばJIS K5400に基づく付着性試験を行った場合においても剥離が起こりやすい。A層とB層のような樹脂の剥離は、これまで結晶性ポリエステル樹脂aの高い屈折率やヤング率、Tg、表面エネルギー、SP値が非晶性ポリエステル樹脂bと乖離しているためであると考えられていたが、本発明者らはポリエステル樹脂bについて調査を重ね、ポリエステル樹脂Bとしてガラス転移温度が低い樹脂を用い柔軟性を向上させることで積層フィルムの密着性を大きく向上できることを発見した。更にポリエステル樹脂bの成分を脂肪族に限定することで、樹脂aとの屈折率差を大きくしつつ密着性を維持出来ることを見出した。これまで積層フィルムの密着性を向上する為の手法としては、A層にB層の成分を含有させたり、B層にA層の成分を含有させたり、架橋剤を含有させるといった方法等があったが、これらによるとA層とB層の屈折率差が小さくなり反射率が低下することや、積層フィルムの内部ヘイズが増加し白い面状となってしまうという問題があった。これに対して、上記の手法によれば、反射率を高くさせ、内部へイズの増加も抑えることが可能となる。
本発明の積層フィルムにおいては、積層フィルムを構成するポリエステル樹脂aが結晶性ポリエステル樹脂であり、かつポリエステル樹脂bが非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移点温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も完全に緩和でき、非晶状態の低い屈折率を維持できるものである。このように、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との間に容易に屈折率差を設けることができるため、前述のとおり相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有することが可能となる。また、より好ましくは、結晶性ポリエステルの示差走査熱量測定(DSC)における融解熱量が10J/g以上であることが好ましい。この場合、延伸・熱処理工程においてより強く配向結晶化させることができるため、容易に非晶性ポリエステル樹脂との屈折率差を設けることができるものである。
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を結晶性ポリエステル樹脂a、非晶性ポリエステル樹脂bの二種のポリエステル樹脂を用いた例にとって以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段の記載を参考とすれば実現できるものである。
ポリエステル樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、複数のポリエステル樹脂からなる積層フィルムを作製する場合には、複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸されることが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンナフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃の範囲が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンナフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後の熱処理温度をポリエステル樹脂aの融点以下、かつポリエステル樹脂bの融点以上とすることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂aは高い配向状態を保持する一方、ポリエステル樹脂bの配向は緩和されるために、容易にこれらの樹脂の屈折率差を設けることができる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃の範囲が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。
以下、本発明の積層フィルムの実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いた。
(2)反射率・透過率
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率・透過率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の後ろに設置した。透過率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の前に設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における反射率を得た。
5cm×5cmで切り出したサンプルを日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で反射率・透過率測定を行った。反射率測定では、装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準として測定した。反射率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の後ろに設置した。透過率測定では、サンプルの長手方向を上下方向にして、積分球の前に設置した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分で測定し、方位角0度における反射率を得た。
(3)屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
(4)融解熱量、融点、ガラス転移点
ポリエステル樹脂a、Bからサンプル質量5gを採取し、示差走査熱量分析計(DSC) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC−RDC220を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定、算出した。測定は25℃から290℃まで5℃/分で昇温し、このときの融点±20℃の範囲におけるベースラインからの積分値を融解熱量とした。また、ここでの融点とは、DSCのベースラインからの差異が最大となる点とした。ここで、融解熱量が10J/g以上の樹脂を結晶性樹脂、5J/g以下である樹脂を非晶性樹脂とした。
ポリエステル樹脂a、Bからサンプル質量5gを採取し、示差走査熱量分析計(DSC) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC−RDC220を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定、算出した。測定は25℃から290℃まで5℃/分で昇温し、このときの融点±20℃の範囲におけるベースラインからの積分値を融解熱量とした。また、ここでの融点とは、DSCのベースラインからの差異が最大となる点とした。ここで、融解熱量が10J/g以上の樹脂を結晶性樹脂、5J/g以下である樹脂を非晶性樹脂とした。
(5)多層積層フィルムを構成する材料の構造解析
多層積層フィルムを構成する材料の構造解析方法は、特に手法は限定されないが、以下のような方法が例示できる。例えば、まずガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により重量ピークを確認する。次に、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)にて、推定される構造が有する各原子間の結合に由来するピークの有無を確認する。さらに、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)にて、構造式上の水素原子の位置に由来する化学シフトの位置と水素原子の個数に由来するプロトン吸収線面積を確認する。これらの結果を合わせて総合的に判断することが好ましい。
多層積層フィルムを構成する材料の構造解析方法は、特に手法は限定されないが、以下のような方法が例示できる。例えば、まずガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により重量ピークを確認する。次に、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)にて、推定される構造が有する各原子間の結合に由来するピークの有無を確認する。さらに、プロトン核磁気共鳴分光(1H−NMR)にて、構造式上の水素原子の位置に由来する化学シフトの位置と水素原子の個数に由来するプロトン吸収線面積を確認する。これらの結果を合わせて総合的に判断することが好ましい。
(6)密着性
JIS K5400に基づき試験を行った。以下の基準に基づき評価を行った。○以上を良好な結果とした。
◎:全ての格子の目にはがれがない。
JIS K5400に基づき試験を行った。以下の基準に基づき評価を行った。○以上を良好な結果とした。
◎:全ての格子の目にはがれがない。
○:格子のはがれ発生が5%未満である。
△:格子のはがれ発生が5%以上90%未満である。
×:格子のはがれ発生が90%以上である。
(7)内部ヘイズ
一辺が5cmの正方形状の積層フィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを常態(23℃、相対湿度50%)において、40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて測定を行い、全光線透過率の測定はJIS「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(K7361−1、1997年版)にて行い、ヘイズの測定はJIS「透明材料のヘーズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施した。内部ヘイズの測定はJIS−K−7105に準じて測定するが、フィルム表面の凹凸による光散乱を除去するために、流動パラフィンで満たされた石英セルにサンプルを浸した状態で測定した。それぞれ3点(3個)の値を平均して、積層フィルムの内部ヘイズの値とした。
一辺が5cmの正方形状の積層フィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを常態(23℃、相対湿度50%)において、40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて測定を行い、全光線透過率の測定はJIS「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(K7361−1、1997年版)にて行い、ヘイズの測定はJIS「透明材料のヘーズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施した。内部ヘイズの測定はJIS−K−7105に準じて測定するが、フィルム表面の凹凸による光散乱を除去するために、流動パラフィンで満たされた石英セルにサンプルを浸した状態で測定した。それぞれ3点(3個)の値を平均して、積層フィルムの内部ヘイズの値とした。
(実施例1)
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.60、融点266℃のポリエチレンナフタレート(表中でPEN(1)と示す)を用い、ポリエステル樹脂bとして1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%、ポリテトラメチレンエーテルグリコール10モル%を共重合した融点202℃の樹脂(表中で樹脂(1)と示す)を用いた。
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.60、融点266℃のポリエチレンナフタレート(表中でPEN(1)と示す)を用い、ポリエステル樹脂bとして1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%、ポリテトラメチレンエーテルグリコール10モル%を共重合した融点202℃の樹脂(表中で樹脂(1)と示す)を用いた。
準備したポリエステル樹脂aおよびポリエステル樹脂bは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて290℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、201層のフィードブロックにて合流させた。なお、積層フィルムの両表層部分はポリエステル樹脂aとなるようにし、かつポリエステル樹脂aからなるA層と隣接するポリエステル樹脂bからなるB層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。201層フィードブロックにて合流させ後、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。なお、ポリエステル樹脂aとポリエステル樹脂bの重量比が約1:1になるように吐出量を調整し、隣接する層の厚み比が約1となるにようにした。
得られたキャストフィルムを、130℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に4.5倍延伸し、その後一旦冷却した。延伸時のフィルム温度は135℃であった。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、115℃の熱風で予熱後、135℃の温度で横方向に均一な延伸速度で4.2倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に3%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた積層フィルムの厚みは40μmであった。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性にも優れわずかな剥離に留まった。結果を表1に示す。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性にも優れわずかな剥離に留まった。結果を表1に示す。
(実施例2)
51層のフィードブロックを用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。
51層のフィードブロックを用いた以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低くなっているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性にも優れわずかな剥離に留まった。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[東レ製](表中でPET(1)と示す)を用い、ポリエステル樹脂bとして1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%、ポリテトラメチレンエーテルグリコール10モル%を共重合した融点202℃の樹脂(表中で樹脂(1)と示す)を用いた。
ポリエステル樹脂aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[東レ製](表中でPET(1)と示す)を用い、ポリエステル樹脂bとして1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%、ポリテトラメチレンエーテルグリコール10モル%を共重合した融点202℃の樹脂(表中で樹脂(1)と示す)を用いた。
準備したポリエステル樹脂aおよびポリエステル樹脂bは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、201層のフィードブロックにて合流させた。なお、積層フィルムの両表層部分はポリエステル樹脂aとなるようにし、かつポリエステル樹脂aからなるA層と隣接するポリエステル樹脂bからなるB層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。201層フィードブロックにて合流させ後、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。なお、ポリエステル樹脂aとポリエステル樹脂bの重量比が約1:1になるように吐出量を調整し、隣接する層の厚み比が約1となるにようにした。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。延伸時のフィルム温度は90℃であった。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で横方向に均一な延伸速度で3.8倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に3%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。得られた積層フィルムの厚みは40μmであった。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率がやや低くなっているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
51層のフィードブロックを用いた以外は、実施例3と同様に積層フィルムを得た。
51層のフィードブロックを用いた以外は、実施例3と同様に積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低下しており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてはほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点218℃の樹脂(表中で樹脂(2)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点218℃の樹脂(表中で樹脂(2)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点218℃の樹脂(表中で樹脂(2)と示す)に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%と1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点218℃の樹脂(表中で樹脂(2)と示す)に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。やや内部ヘイズ値が高いものの透明性はあり、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例7)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸10モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸40モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点220℃の樹脂(表中で樹脂(3)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸10モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸40モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点220℃の樹脂(表中で樹脂(3)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率がやや低下するものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例8)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸20モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸30モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点224℃の樹脂(表中で樹脂(4)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸20モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸30モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点224℃の樹脂(表中で樹脂(4)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低下するものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例9)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸30モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸20モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点229℃の樹脂(表中で樹脂(5)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸30モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸20モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点229℃の樹脂(表中で樹脂(5)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低下しているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例10)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%とエチレングリコール10モル%を共重合した融点218℃の樹脂(表中で樹脂(6)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%とエチレングリコール10モル%を共重合した融点218℃の樹脂(表中で樹脂(6)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率がやや低下しているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例11)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン20モル%を共重合した融点215℃の樹脂(表中で樹脂(7)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン20モル%を共重合した融点215℃の樹脂(表中で樹脂(7)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低下するものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例12)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール20モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン30モル%を共重合した融点211℃の樹脂(表中で樹脂(8)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール20モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン30モル%を共重合した融点211℃の樹脂(表中で樹脂(8)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低下しているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例13)
ポリエステル樹脂aとしてテレフタル酸45モル%に対しイソフタル酸を5モル%共重合した共重合PET(表中でPET(2)と示す)を用いた以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂aとしてテレフタル酸45モル%に対しイソフタル酸を5モル%共重合した共重合PET(表中でPET(2)と示す)を用いた以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(実施例14)
ポリエステル樹脂aとしてエチレングリコール45モル%に対しネオペンチルグリコールを5モル%共重合した共重合PEN(表中でPEN(2)と示す)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂aとしてエチレングリコール45モル%に対しネオペンチルグリコールを5モル%共重合した共重合PEN(表中でPEN(2)と示す)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性にも優れわずかな剥離に留まった。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエステル樹脂bとしてシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合したPETであるGN001[イーストマンケミカル製](表中で共重合PETと示す)を用いた以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bとしてシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合したPETであるGN001[イーストマンケミカル製](表中で共重合PETと示す)を用いた以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率がやや低下しているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く剥離が起こった。結果を表1に示す。
(比較例2)
51層のフィードブロックを用いた以外は比較例1と同様にして積層フィルムを得た。
51層のフィードブロックを用いた以外は比較例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低くなっているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く剥離が起こった。結果を表1に示す。
(比較例3)
3層のフィードブロックを用いた以外は比較例1と同様にして積層フィルムを得た。
3層のフィードブロックを用いた以外は比較例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しなくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてもほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く剥離が起こった。結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリエステル樹脂bとしてシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合したPETであるGN001[イーストマンケミカル製](表中で共重合PETと示す)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bとしてシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合したPETであるGN001[イーストマンケミカル製](表中で共重合PETと示す)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く大部分が剥離した。結果を表1に示す。
(比較例5)
51層のフィードブロックを用いた以外は比較例4と同様にして積層フィルムを得た。
51層のフィードブロックを用いた以外は比較例4と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低くなっているものの、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く大部分が剥離した。結果を表1に示す。
(比較例6)
3層のフィードブロックを用いた以外は比較例5と同様にして積層フィルムを得た。
3層のフィードブロックを用いた以外は比較例5と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しなくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてもほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く大部分が剥離した。結果を表1に示す。
(比較例7)
3層のフィードブロックを用いた以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
3層のフィードブロックを用いた以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しなくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてもほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(比較例8)
3層のフィードブロックを用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
3層のフィードブロックを用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しなくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてもほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性にも優れわずかな剥離に留まった。結果を表1に示す。
(比較例9)
ポリエステル樹脂bとして固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[東レ製](表中でPET(1)と示す)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
ポリエステル樹脂bとして固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート[東レ製](表中でPET(1)と示す)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光を反射しつつ、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れるが、密着性が悪く大部分が剥離した。結果を表1に示す。
(比較例10)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸35モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸15モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点231℃の樹脂(表中で樹脂(9)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例10)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸35モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸15モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点231℃の樹脂(表中で樹脂(9)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射が小さくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(比較例11)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸45モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸5モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点242℃の樹脂(表中で樹脂(10)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例11)
ポリエステル樹脂bをテレフタル酸45モル%と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸5モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール50モル%を共重合した融点242℃の樹脂(表中で樹脂(10)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光をほぼ反射しなくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性も剥離が全く起こらず良好であった。結果を表1に示す。
(比較例12)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン10モル%を共重合した融点228℃の樹脂(表中で樹脂(13)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例12)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール40モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン10モル%を共重合した融点228℃の樹脂(表中で樹脂(13)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射率が低下しており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性が悪く剥離が起こった。結果を表1に示す。
(比較例13)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン20モル%を共重合した融点233℃の樹脂(表中で樹脂(14)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例13)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン20モル%を共重合した融点233℃の樹脂(表中で樹脂(14)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光の反射が小さくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性が悪く剥離が起こった。結果を表1に示す。
(比較例14)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール20モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン30モル%を共重合した融点240℃の樹脂(表中で樹脂(15)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例14)
ポリエステル樹脂bを1,4-シクロヘキサンジカルボン酸50モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール20モル%と2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン30モル%を共重合した融点240℃の樹脂(表中で樹脂(15)と示す)に変更した以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは900〜1200nmの光をほぼ反射しなくなっており、可視光領域の波長400〜800nmにおいてほぼ反射のない平坦な反射率分布を備えたものであった。透明性に優れ、密着性が悪く剥離が起こった。結果を表1に示す。
本発明は、建材、自動車、液晶ディスプレイなど種々の用途に用いられ、特に特定の波長の光を反射させる光学フィルムとして利用できる。
Claims (7)
- ガラス転移温度が30℃以上異なるポリエステル樹脂aおよびポリエステル樹脂bをそれぞれ主たる構成成分とするA層とB層を51層以上交互に積層した積層フィルムであって、少なくとも一方のガラス転移温度が50℃以下であり、ポリエステル樹脂aまたはポリエステル樹脂bを構成する全ジカルボン酸成分100mol%の内、脂肪族ジカルボン酸成分が40mol%以上100mol%以下である積層フィルム。
- 前記ポリエステル樹脂bを構成する全ジオール成分100mol%の内、脂肪族ジオール成分の割合が50mol%以上100mol%以下である請求項1に記載の積層フィルム。
- ポリエステル樹脂aがポリエチレンテレフタレート系樹脂、またはポリエチレンナフタレート系樹脂である請求項1または2に記載の積層フィルム。
- ポリエステル樹脂bを構成する脂肪族ジカルボン酸成分、および脂肪族ジオール成分が以下の(1)および/または(2)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
(1)脂肪族ジカルボン酸成分が脂環式ジカルボン酸であり、かつ全ジカルボン酸成分に対して80mol%以上である。
(2)脂肪族ジオール成分が脂環式ジオールであり、かつ全ジオール成分に対して80mol%以上である。 - 積層フィルムの内部ヘイズが3%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有する請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 900〜1200nmの波長範囲において相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有する請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
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JP2016063574A JP2017177350A (ja) | 2016-03-28 | 2016-03-28 | 積層フィルム |
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JP2016063574A JP2017177350A (ja) | 2016-03-28 | 2016-03-28 | 積層フィルム |
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DE102018122338A1 (de) | 2017-09-15 | 2019-03-21 | Nidec Sankyo Corporation | Antriebsvorrichtung |
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- 2016-03-28 JP JP2016063574A patent/JP2017177350A/ja active Pending
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