JP2017002307A - ポリエステルフィルム、および偏光板保護フィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム、および偏光板保護フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】液晶ディスプレイ向け偏光板あるいはITO基材フィルムとして好適に用いられ、製造工程や熱処理などの後加工した際にカールやシワの発生がないポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】長手方向の85℃、6時間の熱収縮率が0.5%以下であり、入射角0°での位相差(Re)が400nm以下、長手方向および幅方向のヤング率がともに2GPa以上、長手方向および幅方向の破断伸度がともに50%以上、長手方向のTMA測定時の収縮応力の立ち上がり温度が90℃以上であるポリエステルフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板保護フィルムとして好適に用いることができるポリエステルフィルムに関する。また、そのポリエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いてなる偏光板に関する。さらに、ITO(Indium Tin Oxide)基材フィルムに好適に用いることができるポリエステルフィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において基材フィルムとして広く使用されている。特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において、偏光板保護フィルムや透明導電フィルムなど、各種光学用フィルムの需要が高まっており、その中でも、偏光板保護フィルム用途では、低コスト化を目的として、従来のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムからポリエステルフィルムへの置き換えが盛んに検討されている。
特開2013−254186号公報 特開2013−200435号公報 特開2013−109285号公報 特開2013−194107号公報 しかし、従来検討されている二軸延伸ポリエステルフィルムでは、TACフィルムとは異なり延伸時のポリマー配向に起因して残留応力が発生し、熱処理時に収縮やカール、シワが生じてしまう課題があった。偏光板保護フィルムにおいて本課題を解決するために、熱収縮率を低減させる方法が提案されているものの、二軸延伸ポリエステルフィルムでは薄膜、低位相差で且つカールを十分に抑制し得る発明は存在しなかった(たとえば特許文献1、2、3、4)。また、二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した後に、たとえばオフラインアニールを実施することで熱による寸法変化を抑制できたとしても製品収率の低下や加工工程の増加により高コストになるという問題が残されている。更に液晶パネルの上偏光板の最外層に用いられる偏光板保護フィルムは高いUVカット性が求められており、紫外線吸収材を多量に添加することによるコストアップや工程汚染、色味変化などが問題となっていた。
本発明の課題は、上記した課題を解決することにある。すなわち、低コスト、且つ薄膜化が可能な二軸延伸ポリエステルフィルムでありながら高いUVカット性と低位相差性を有し、更に偏光板保護フィルムとして偏光板化、あるいはITO基材フィルムとして後加工した際に熱処理によるカールやシワの発生の少ないポリエステルフィルムを提供することにある。
上記した課題は、長手方向の85℃、6時間の熱収縮率が0.5%以下であり、入射角0°での位相差(Re)が400nm以下、長手方向および幅方向のヤング率がともに2GPa以上、長手方向および幅方向の破断伸度がともに50%以上、TMA測定時の収縮応力の立ち上がり温度が90℃以上であるポリエステルフィルムによって達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、偏光板保護フィルムとして偏光子と貼り合わせて偏光板とした場合、あるいはITO基材フィルムとして後加工した場合、長期保管や熱処理によるカールやシワの発生を抑制することができ、且つ、ハンドリング性が良好であり工程通過性に優れる効果を奏する。
以下、本発明のポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリエステルであることが必要である。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向の85℃、6時間での熱収縮率が0.5%以下である。フィルムの長手方向の85℃、6時間での熱収縮率は0.4%以下であれば好ましく、0.3%以下であればより好ましく、0.2%以下であれば更に好ましく、0.1%以下であれば特に好ましい。フィルムの長手方向の85℃、6時間での熱収縮率が0.5%を超える場合、後述するようにPVAと貼り合わせて偏光板とした際にもう片側の偏光板保護フィルムとの熱収縮率差によりカールが生じ、更にはシワが発生することにより品位を大幅に悪化させ得る可能性がある。長手方向の85℃、6時間での熱収縮率を上記の通り制御する方法としては、後述する原料組成、及び製膜条件によりフィルムの長手方向配向を制御することによって達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、入射角0°での位相差(Re)が400nm以下であることが必要である。ここでの位相差(Re)とは、面内方向の位相差を意味し、その値が0〜400nmである。また、入射角度0°とは、面直方位からの光入射のことである。Reは、一般にクロスニコルおよびパラレルニコル観察による干渉色、およびポリエステルフィルムのような複屈折体起因で液晶ディスプレイ上に裸眼で観察される虹ムラの観点から0〜200nmであれば好ましく、0〜150nmであればより好ましく、0〜100nmであれば更に好ましく、0〜50nmであれば特に好ましい。一般的にReは、フィルムの面内における直交する2方向の屈折率差の最大値とフィルム厚みの積から算出されるものであるが、本発明のようなポリエステルフィルムにおいては容易にフィルムとしての屈折率を測定できないため、間接的な手法で算出された値をもってRe値とする。具体的には、王子計測機器株式会社製位相差測定装置KOBRAシリーズにて計測された値を用いるものとする。Reが400nmを超える場合、偏光板保護フィルムとして液晶ディスプレイに実装した際に干渉色が生じる場合がある。Reが200nm以下であれば、干渉色はなくなり最も好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、厚み方向位相差(Rth)が0〜1500nmであることが好ましい。Rthは0〜1000nmであれば虹ムラ無く干渉色が無色に近いため、より好ましく、0〜700nmであれば更に好ましい。完全に干渉色が無色となるため、0〜500nmであれば特に好ましい。Rthが1500nmを超える場合、偏光板保護フィルムとして液晶ディスプレイに実装した際に角度を付けて観察すると干渉色が見えやすくなり、ディスプレイの品位を低下させる場合がある。
Re、及びRthを上記の通り制御する方法としては、後述する製膜条件により各層の複屈折を制御することによって達成することができる。詳しくは、例えば、面内方向の位相差Reは、一般に複屈折Δnとフィルム厚みの積で表現できるため、その値を小さくするためには、Δnを0に近づけることである。達成手段として、逐次二軸延伸フィルムであれば、縦横配向により付与される屈折率が等しくなるように製膜条件を調整する。もしくは、配向結晶化を誘発する延伸を付与せずに、完全に無配向とすることである。熱可塑性樹脂Bをフィルムの製造工程において、一旦溶融し、無配向化することで熱可塑性樹脂BからなるB層での屈折率の異方性を表す複屈折をほぼゼロとすることができるため、この場合、Reは結晶性ポリエステルからなるA層の屈折率の異方性とA層の総厚みの積のみに依存することとなり、同一厚みの結晶性ポリエステルのみからなるフィルムと比較するとReを抑制できるものである。一方、厚み方向の位相差Rthについては、分子鎖ができるだけ面配向し難いポリマー材料を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂Bとして、スピログリコール、ナフタレンジカルボン酸、ポリエーテルイミド、ビスフェノールA、フルオレン、イソソルビドなどを5〜60モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートあるいは共重合ポリエチレンナフタレートである。5モル%未満であると配向結晶化しやすく、厚み方向位相差が上昇する。一方、60モル%を超えるとポリマーとして非晶性を示すため、配向結晶化は起こり難いが、寸法安定性や製膜性、さらには熱が加わる後工程に影響を与えるため好ましくない。より好ましくは、10〜40モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート、あるいは共重合ポリエチレンナフタレートである。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向および幅方向のヤング率が2GPa以上である。より好ましくは2.5GPa以上、さらに好ましくは3GPa以上である。耐熱および後加工の観点から、長手方向および幅方向のヤング率は3.2GPa以上であれば好ましく、3.5GPa以上であればより好ましく、3.8GPa以上であれば更に好ましく、4GPa以上であれば特に好ましい。長手方向および幅方向のいずれかのヤング率が2GPa未満の場合、フィルムにコシがなくハンドリング性に問題がある可能性がある。長手方向および幅方向のヤング率を上記の通り制御する方法としては、後述する結晶性ポリエステルを用いて、逐次二軸延伸法による製膜条件を適宜調整することにより達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向および幅方向の破断伸度が50%以上である。長手方向および幅方向の破断伸度は100%以上であれば好ましく、110%以上であればより好ましく、120%以上であれば更に好ましく、130%以上であれば特に好ましい。長手方向および幅方向のいずれかの破断伸度が50%未満の場合、フィルムが脆くなってしまい加工工程中に張力が掛かった際にフィルムが破断してしまう可能性がある。長手方向および幅方向の破断伸度を上記の通り制御する方法としては、上記した結晶性ポリエステルを使用し、後述する製膜条件を採ることにより達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向のTMA(Thermal Mechanical Analysis)測定時の収縮応力の立ち上がりが90℃以上である。長手方向のTMA測定時の収縮応力の立ち上がりは95℃以上であれば好ましく、100℃以上であればより好ましく、105℃以上であれば更に好ましく、110℃以上であれば特に好ましい。長手方向のTMA測定時の収縮応力の立ち上がりが90℃未満の場合、ハードコート加工や偏光板化する際の熱処理によるカールやシワが発生する可能性がある。長手方向のTMA測定時の収縮応力の立ち上がりを上記の通り制御することは、後述する製膜条件、特に縦延伸区間の長区間化、および横延伸後の長手方向弛緩処理を同時に実施して初めて達成することができる。偏光板の製造工程で加わる温度以上となる100℃以上で縦延伸を行うことにより、高い熱寸法安定性が付与される。また、B層となる熱可塑性樹脂Bの主成分のガラス転移点は、88℃以上であれば、残存歪みによる収縮応力が発現しないため高い熱寸法安定性を保持できる。より好ましくは、93℃以上である。
本発明のポリエステルフィルムは、厚み方向に3層以上積層されたポリエステルフィルムであることが好ましい。フィルムの積層数は、干渉反射を用いたUVカット性、非晶性樹脂を利用した低位相差性、フィルム総厚みの観点から51〜601層が好ましい。より好ましく、151〜351層、更に201〜301層であれば特に好ましい。フィルムの積層数が3層未満の場合、後述するとおり熱可塑性樹脂Bとして非晶樹脂を用いた際に、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、積層フィルム表面の平面性悪化などの問題が生じる場合がある。フィルムの積層数が1層、即ち単膜の場合、位相差を制御するために厚みを薄くする必要がありハンドリング性が悪化する場合がある。また、積層フィルムの積層数が51層未満の場合、UVカット性が不十分である可能性がある。UVカット性と厚み方向の積層数の関係については後述する。一方、積層フィルムの積層数が601層を越える場合、フィルム総厚みが厚くなりすぎる可能性がある。なお、UV領域である波長400nm未満の光の波長において、干渉反射現象を発現させる観点から、層の厚みは、60nm以下が好ましい。より好ましくは、50〜30nmである。
本発明のポリエステルフィルムは、結晶性ポリエステルを主成分とするA層と該結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層が交互に積層されてなることが好ましい。結晶性とは、ガラス転移温度Tgと融点Tmを有する樹脂であり、融解エンタルピ−変化ΔHm>0となる樹脂である。より好ましくは15(J/g)以上である。なお、「主成分」とは、特定の成分が全成分中に占める割合が50質量%以上であることを意味し、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることを意味する。A層に用いられる結晶性ポリエステルAとは異なる熱可塑性樹脂Bとは、A層に用いられる結晶性ポリエステルAとは異なる熱特性を示すものをさし、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において異なる融点やガラス転移点を示すものをさす。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる熱可塑性樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる屈折率を有する2つの熱可塑性樹脂A及びBからなる場合、各々の層をA層、B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)の規則的な配列で積層されたものである。このように熱特性の異なる樹脂が交互に積層されることにより、二軸延伸フィルムを製造する際に各々の層の配向状態を高度に制御する事が可能となり、ひいては位相差やUVカット性を制御できるものである。
本発明のポリエステルフィルムは、結晶性ポリエステルからなるA層が最外層である事が好ましい。この場合、結晶性ポリエステルが最外層となるため、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムのような結晶性ポリエステルフィルムと同様に二軸延伸フィルムを得ることが可能となる。熱可塑性樹脂Aがたとえば非結晶性の樹脂からなる場合、後述の一般的な逐次二軸延伸フィルムと同様に二軸延伸フィルムを得る場合、ロールやクリップなどの製造設備への粘着による製膜不良や、積層フィルム表面の平面性悪化などの問題が生じる場合がある。本発明に用いる結晶性ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールとを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよいが、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよいが、2種以上併用してもよい。
本発明に用いる結晶性ポリエステル中に添加することができる樹脂や、熱可塑性樹脂Bとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合、付加重合、他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bは、強度・耐熱性・透明性・汎用性に加え、結晶性ポリエステルとの密着性・積層性という観点からポリエステルからなることが好ましい。これらは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
本発明に好ましく用いる結晶性ポリエステルと前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bは、例えば、上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。更に、偏光板の熱処理によるカールやシワを抑制する観点で、スピログリコール、ナフタレンジカルボン酸、ポリエーテルイミド、ビスフェノールA、フルオレン成分を含むことは特に好ましいことである。なお、上記好ましい成分は熱可塑性樹脂Bとしてポリマー中に共重合しても、熱可塑性樹脂Bと他ポリマーとしてブレンドしてもどちらでも構わない。
本発明のポリエステルフィルムに好ましく用いる結晶性ポリエステルと前記結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが特に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、結晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂Bは同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、たとえば、一方の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造を実現しやすい観点から、ポリエチレンテレフタレートと同一の基本骨格であるエチレンテレフタレートをもう一方の熱可塑性樹脂に含むことが好ましい。結晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂Bとが同一の基本骨格を含む樹脂であると、積層精度が高く、さらに積層界面での層間剥離が生じにくい積層構造とすることができる。
また、本発明のポリエステルフィルムに用いる結晶性ポリエステルと該結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、結晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度差が30℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が30℃より大きい場合には積層フィルムを製造する際の厚み均一性が不良となり、位相差にばらつきが生じる原因となることがある。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすい。より好ましくは、20℃以下である。また、結晶性ポリエステルに配向結晶化が付与される延伸前の熱可塑性樹脂Aと比べて、熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度の方が低い方が高い寸法安定性を付与する観点から好ましい。
本発明のポリエステルフィルムのB層は、A層に用いられる結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bが非晶性樹脂からなることが好ましい。結晶性樹脂と比較して非晶性樹脂は二軸延伸フィルムを製造する際に配向が生じにくいため、熱可塑性樹脂BからなるB層の位相差の増加を抑制でき、ひいてはフィルムの位相差の不均一さを抑制することが容易となる。特に、二軸延伸フィルムを製造する際に熱処理工程を設けた場合にこの効果は顕著となる。具体的には、フィルム長手方向及び幅方向への延伸工程で非晶性樹脂からなる層に生じた配向を熱処理工程で完全に緩和させることができ、実質的に結晶性ポリエステルからなるA層に起因する位相差のみが積層フィルムとしての位相差に影響を与えるようになるためである。ここでいう非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定において融点に相当するピークを示さない、または、融解エンタルピーが10(J/g)以下の樹脂をさす。
上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、本発明のポリエステルフィルムでは、結晶性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、且つ層間剥離もし難いために好ましい。より好ましくは、結晶性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、結晶性を低下させることができるために容易に位相差を抑制することができるようになる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、且つ層間剥離もし難い。
また、本発明のポリエステルフィルムは、結晶性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、該結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルであることも好ましい。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、結晶性を低下させることができるために容易に位相差を抑制することができ、また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になり難く、かつ層間剥離もし難いために好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、ほぼ非晶状態とできるために位相差を抑制できることに加えて、特に加熱や経時による位相差の変化が小さく、層間での剥離も生じ難くなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくいために、製造時のやぶれも生じ難い。
更に、本発明のポリエステルフィルムは、結晶性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、該結晶性ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂Bがイソフタル酸を含んでなるポリエステルであることも好ましい。イソフタル酸を含んでなるポリエステルとは、イソフタル酸を共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。イソフタル酸を含んでなるポリエステルは、結晶性を低下させることができるために容易に位相差を抑制することができ、また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になり難く、かつ層間剥離もし難いために好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂Bがイソフタル酸の共重合量が10mol%以上25mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。
また、熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
本発明のポリエステルフィルムに好ましく添加する紫外線吸収材(UVA)の濃度は0.5〜2質量%であることが好ましく、0.7〜1.8質量%であればより好ましく、0.8〜1.5質量%であれば更に好ましく、1.0〜1.5質量%であれば特に好ましい。UVAの濃度が0.5質量%未満の場合、UVカット性に劣る可能性がある。一方、UVAの濃度が2質量%を超える場合、工程汚染や色味変化、機械強度の低下などが生じる可能性がある。また、UVAとしては、波長300〜400nmの領域でのUV吸収能の観点で、2,2’−メチレンビス[6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサゾジン−4−オン)、2−(4,6−(4−ビフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノールや、これらの混合物を好ましく用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、好ましい態様としてA層とB層とを有する場合、A層とB層の積層比(A層の総厚み/B層の総厚み)が0.5〜1.5の範囲であることが好ましい。A層とB層の積層比は0.6〜1.4であるとより好ましく、0.7〜1.3であると更に好ましく、0.8〜1.2であると特に好ましい。積層比が0.5未満の場合、特にB層に非晶性樹脂を用いた場合において、耐熱性が悪化する可能性がある。積層比が1.5を超える場合、特にB層に非晶性樹脂を用いた場合において、位相差が増加しすぎる可能性がある。
本発明のポリエステルフィルムは、Reのバラツキが幅方向において18%以下であることが好ましい。Reのバラツキは、15%以下であればより好ましく、12%以下であれば更に好ましく、10%以下であれば特に好ましい。この際のReのバラツキとは、ポリエステルフィルムのフィルム幅が400mm以上の場合において、フィルムの幅方向全体に50mm間隔にサンプリングした後、それぞれのサンプルの中央のReを測定し、Reの最大値と最小値の差を平均値で割って、%表示した値のことをさす。ロール状のフィルムであれば、ロールの巻き方向をフィルム長手方向とし、それに直行する方向が幅方向に相当する。一方、カットされたシート状である場合には、フィルムの長辺方向と長辺方向に直交する方向の両末端(両端部よりそれぞれ25mm離れた箇所)においてReを計測し、フィルム中央との差が大きい方向を本発明でいうフィルムの幅方向とする。Reのバラツキが幅方向において18%を超える場合、偏光板保護フィルムとして特に大型の液晶ディスプレイに実装した際に色ムラが生じ、品位が低下する可能性がある。Reの幅方向のバラツキを上記の通り制御する方法としては、後述する製膜条件を取ることにより達成することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム厚みが40μm以下であることが好ましい。位相差は、厚みと複屈折Δnの積で表されるためでる。フィルム厚みは5〜30μmであればより好ましく、7〜25μmであれば更に好ましく、10〜20μmであれば特に好ましい。フィルム厚みが40μmを超える場合、位相差が高くなったり、偏光板保護フィルムとして用いた場合、偏光板が厚くなるために液晶ディスプレイに実装する際に重量増加、大型化したりする場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの幅が400mm以上であることが好ましい。フィルムの幅は600mm以上であればより好ましく、1300mm以上であれば更に好ましく、1500mm以上であれば特に好ましい。フィルムの幅が400mm未満の場合、大型の液晶ディスプレイとして実装することが出来ない場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、ガラス転移点が90℃以上であることが好ましい。フィルムのガラス転移点は92℃以上であればより好ましく、94℃以上であれば更に好ましく、96℃以上であれば特に好ましい。フィルムのガラス転移点が90℃未満の場合、偏光板の製造工程、長期保管等の耐久性試験において偏光板がカールしたりフィルムと偏光子の界面でシワが発生したりしてしまう可能性がある。フィルムのガラス転移点を上記の通り制御する方法としては、上記したように熱可塑性樹脂Bにスピログリコール、ナフタレンジカルボン酸、ポリエーテルイミド、ビスフェノールA、フルオレン、イソソルビド成分のいずれかを含むことで達成することができる。これらの共重合量は、5モル%以上60モル%以下が好ましい。5モル%以下であるとガラス転移点が90℃以上とならない。また、60モル%以上と大きすぎるとガラス転移点が120℃を超えるため、熱可塑性樹脂Aからなる結晶性ポリエステルを主成分とするA層との共延伸が困難となり、厚み斑等が生じ、逐次二軸延伸されたフィルムが得られなくなる。より好ましくは、10モル%以上45モル%以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、25℃から85℃の長手方向の線膨張係数が5.0×10−5/℃以下であることが好ましい。フィルムの線膨張係数は4.5×10−5/℃以下であればより好ましく、4.2×10−5/℃以下であれば更に好ましく、4.0×10−5/℃以下であれば特に好ましい。フィルムの線膨張係数が5.0×10−5/℃を超える場合、偏光板の耐久性試験において偏光板がカールしたりフィルムと偏光子の界面でシワが発生したりしてしまう可能性がある。フィルムの線膨張係数を上記の通り制御する方法としては、上記したように熱可塑性樹脂Bにスピログリコール、ナフタレンジカルボン酸、ポリエーテルイミド、ビスフェノールA、フルオレン、イソソルビド成分のいずれかを含み、且つ後述する製膜条件をとることにより達成することが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、UVカット性の観点で波長380nmでの光線透過率が0〜30%であることが好ましい。より好ましくは25%以下であり、更に好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。波長380nmでの光線透過率が30%を超える場合、偏光板保護フィルムとして液晶ディスプレイに実装した際に紫外線により偏光子や液晶が劣化してしまう可能性がある。波長380nmでの光線透過率を好ましい範囲に制御するには、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性であるポリエステルを主成分とする層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂を主成分とする層が交互に積層された積層フィルムとすればよい。具体的には、上記したようなポリエステル、および熱可塑性樹脂Bを所望の積層数に積層することで達成し得る。さらに、前記するように紫外線吸収剤(UVA)を好ましい範囲で含有させることはより好ましいことである。
本発明のポリエステルフィルムは、UVカット性の観点で波長240〜360nmでの平均透過率が5%以下であることが好ましい。より好ましくは4%以下であり、更に好ましくは3%以下であり、特に好ましくは2%以下である。波長240〜360nmでの平均透過率が5%を超える場合、偏光板保護フィルムとして液晶ディスプレイに実装した際に紫外線により偏光子や液晶が劣化してしまう可能性がある。波長240〜360nmでの平均透過率を好ましい範囲に制御するには、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現できるので、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性であるポリエステルを主成分とする層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂を主成分とする層が交互に積層された積層フィルムとすればよい。具体的には、上記したようなポリエステル、および熱可塑性樹脂Bを所望の積層数に積層することで達成し得る。
次に、本発明のポリエステルフィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。また、本発明に用いるポリエステルフィルムの積層構造は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現できるものである。なお、本発明では層数を少なくすることによりスリット板を1枚で用いて多層化することができ、スリット板を3枚使用することに比べて幅方向の積層精度の観点から好ましいことである。幅方向の積層精度が悪いということはフィルムの位置によってUVカット性が異なるということを意味している。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギアポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
また、A層の主成分となる結晶性ポリエステルとそれとは異なる熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、3個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述の通りキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が好ましく用いられ、より好ましくは3〜5倍、更に好ましくは3〜4倍、幅方向のReのバラツキ抑制の観点で3〜3.5倍が特に好ましい。また、延伸温度としてはフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましく、具体的には80〜120℃がより好ましく、90〜115℃が更に好ましく、幅方向のReのバラツキ抑制の観点で95〜110℃が特に好ましい。延伸区間(LMD)とキャスティングフィルムのフィルム幅(LAF)の関係は、偏光板とした後の耐久性試験において、熱処理によるカールやシワの発生を抑制できる観点からLAF/LMDが0.1〜2.0の範囲であることが好ましく、0.5〜2.0の範囲だとより好ましく、0.7〜2.0の範囲だと更に好ましく、0.7〜1.8の範囲だと特に好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
続いて幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜6倍が好ましく用いられ、より好ましくは3〜6倍、更に好ましくは3〜5.5倍、ReやRthの絶対値、Reのバラツキ抑制の観点で3.5〜5倍が特に好ましく、縦延伸倍率よりも高い倍率で延伸することは尚好ましいことである。また、延伸温度としてはフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましく、幅方向のReのバラツキ抑制の観点で温度に傾斜を持たせることが好ましく、上流から下流に行くに従って温度が高くなっていくことが好ましく、具体的には、横延伸区間を2分割した場合、上流の温度と下流の温度の差が20℃以上であることが好ましい。より好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上、特に好ましくは40℃以上である。1段目の延伸温度は80〜120℃がより好ましく、90〜110℃が更に好ましく、95〜105℃が特に好ましい。
更に、本発明のポリエステルフィルムにおいては、幅方向のReのバラツキ抑制の観点で横延伸速度に差を設ける事が好ましく、具体的には、横延伸区間を2分割した場合、横延伸区間中間点におけるフィルムの延伸量(計測地点でのフィルム幅−延伸前フィルム幅)が、横延伸区間終了時の延伸量の60%以上である事が好ましく、より好ましくは70%以上、更に好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
こうして二軸延伸されたポリエステルフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。具体的には、160〜250℃が好ましく、160〜240℃がより好ましく、180〜240℃が更に好ましい。熱処理温度が230℃を超えるとテンター内でフィルム幅方向の物性ムラで知られるボーイング現象が発生し易くなり、また複屈折が大きくなるため、ReやRthの絶対値、幅方向のReのバラツキが大きくなる。故に、これらの抑制の観点で190〜210℃が特に好ましい。熱処理を行うことにより、フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。なお、偏光板化の工程熱処理によるカールやシワの発生を抑制できる観点から熱処理や徐冷の際に弛緩処理などを併用してすることが好ましい。弛緩処理の方法としては、幅方向の弛緩方法はテンター幅を狭めることにより可能であり、長手方向は長手方向にクリップが縮まる機構が具備されたテンターを使用したり、ロール間の周速差を利用して実施することが可能である。弛緩処理の順序としては、幅方向の弛緩の後に長手方向の弛緩を実施しても、長手方向の弛緩の後に幅方向の弛緩を実施しても、幅方向、長手方向、幅方向のように段階的に実施してもかまわないが、工程がシンプルになる観点で幅方向の弛緩の後に長手方向の弛緩を実施することが好ましい。熱処理時の幅方向弛緩率は0.5〜5%が好ましく、0.5〜3%がより好ましく、0.8〜2.5%が更に好ましく、寸法安定性と幅方向のReのバラツキ抑制の両立の観点で1〜2%が特に好ましい。また、徐冷時の幅方向弛緩率は0.5〜3%が好ましく、0.5〜2%がより好ましく、0.5〜1.5%が更に好ましく、寸法安定性と幅方向のReのバラツキ抑制の両立の観点で0.5〜1%が特に好ましい。徐冷時の温度は90〜180℃が好ましく、90〜170℃がより好ましく、100〜160℃が更に好ましく、寸法安定性とフィルム平面性の観点で100〜150℃が特に好ましい。長手方向弛緩時の温度は90〜180℃が好ましく、90〜170℃がより好ましく、100〜160℃が更に好ましく、寸法安定性とフィルム平面性の観点で100〜150℃が特に好ましい。長手方向弛緩率は0.5〜5%が好ましく、1〜4%がより好ましく、1.5〜3.5%が更に好ましく、寸法安定性と幅方向のReのバラツキ抑制の両立の観点で2〜3.5%が特に好ましい。フィルム温度85℃近傍で長手方向の弛緩処理をすることで、85℃熱収が大きく低減する効果がある。
以上のようにして得られた本発明のポリエステルフィルムは、寸法安定性が高く、偏光板化工程の熱処理によるカールやシワの発生が出来るため、偏光板保護フィルムとして好適に用いることができる。また、上記偏光板保護フィルムは、市販のPVA中にヨウ素を含有、配向させて作成されたPVAシートと貼り合わされて、偏光板としても好適に用いることができる。さらに、ITOのフィルム基板用途に用いた場合、その加工工程においても耐熱性、およびハンドリング性に優れる。
本発明のポリエステルフィルムは、ReおよびRthともに低位相差であるため、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムに見られる虹ムラ、及び偏光サングラスをかけたときに干渉色が視認されないため、タッチパネル用ITO基材フィルムとしても好適である。
本発明のポリエステルフィルムは、タッチパネルに用いられることが好ましい。タッチセンサー部は、少なくともカバーガラスと導電層から構成されている。本発明のタッチパネルは、抵抗膜式、光学式、静電容量式のいずれでもよい。静電容量式には、投影型と表面型に大別できる。マルチタッチが可能な観点から投影型静電容量式が最も好ましい。導電層は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、スズ、などの金属およびこれらの合金や、酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、インジウムティンオキサイド(ITO)などの金属酸化物膜、ヨウ化銅などの複合膜によって形成することができる。これらの透明導電膜は真空蒸着、スパッタリング、反応性RFイオンプレーティング、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、CVD法、コーティング法あるいはこれらの組み合わせ法で薄膜を得ることができる。その他、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリフェニレン・ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−p−フェニレン、ポリへテロサイクル・ビニレン、特に好ましくは、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。その他、カーボンナノチューブやナノ銀なども高い導電性を示すため好ましい。これらは、有機溶媒に溶かすことにより、コーティング法で基材に塗布することができる。コーティング法は、ハードコート層の方法と同様に種々の方法を採用することができる。汎用性の観点から、ITOが好ましい。
アウトセルタイプのタッチセンサーとしては、大別してガラスセンサーとフィルムセンサーに分けられる。ガラスセンサータイプとしては、GG、GG2、G2、G1Mがある。GGとはカバーガラス/ITO/ガラス/ITO、GG2とはカバーガラス/ガラス/ITO/絶縁層/ITO、G2(OGS)とはカバーガラス/ITO/絶縁層/ITO、G1Mとはカバーガラス/ITOを基本構成としたものである。
一方、フィルムセンサータイプとしては、GFF、GF2、G1F、GF1、PFF、PF1があり、いずれを用いてもよい。また、GFFとはカバーガラス/ITO/フィルム/ITO/フィルム、GF2とはカバーガラス/ITO/フィルム/ITO、またはカバーガラス/ITO/絶縁層/ITO/フィルム、G1Fとはカバーガラス/ITO/ITO/フィルム、GF1とはカバーガラス/ITO/フィルム、PFFとはカバープラスチック/ITO/フィルム/ITO/フィルム、P1Mカバープラスチック/ITOを基本構成としたものである。基材としてのポリエステルフィルムの厚みは、薄膜化の観点から40μm以下が好ましく、より好ましくは、30μm以下である。薄すぎるとフィルムのハンドリング性の観点から、好ましくは、20μm以上30μm以下である。近年のディスプレイの薄膜化の流れからGF1タイプがタッチセンサーとして好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)積層数
積層フィルムの積層数は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を観察し、断面写真を撮影、積層数を測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、RuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。また、1枚の画像に取り込められるすべての層の中で最も厚みの薄い層(薄膜層)の厚みにあわせて、薄膜層厚みが50nm未満の場合は10万倍、薄膜層厚みが50nm以上500nm未満である場合は4万倍、500nm以上である場合は1万倍の拡大倍率にて観察を実施した。
(2)Re、Rth
王子計測機器(株)製 位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いた。サンプルをフィルム幅方向中央部から3.5cm×3.5cmで切り出し、フィルム幅方向が本測定装置にて定義されている角度0°となるように装置に設置し、波長590nmにおけるRe、及びRthを測定した。なお、Rthは、入射角0〜50°(10°毎)時の各位相差値の2次近似により算出した。
(3)Reの幅方向のバラツキ
フィルム幅が400mm以上の積層フィルムにおいて、フィルムの幅方向全体に50mm間隔に上記(2)項に記載の方法にてサンプリングした後、それぞれのサンプルの中央のReを測定し、Reの最大値と最小値の差を平均値で割って、%表示した値を本積層フィルムのReの幅方向のバラツキとした。ロール状の積層フィルムであれば、ロールの巻き方向をフィルム長手方向とし、それに直行する方向が幅方向に相当する。一方、カットされたシート状である場合には、フィルムの長辺方向と長辺方向に直交する方向の両末端(両端部よりそれぞれ25mm離れた箇所)においてReを計測し、フィルム中央との差が大きい方向を本発明でいう積層フィルムの幅方向とする。
(4)ヤング率、破断伸度
サンプルは、フィルムの幅方向の中央部から、長手方向に15cm、幅方向に1.5cmで切り出し長手方向のヤング率測定用サンプルとした。同様に、幅方向に15cm、長手方向に1.5cmで切り出し幅方向のヤング率測定用サンプルとした。ヤング率、破断伸度は、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、ロボットテンシロンRTA(オリエンテック製)を用いて、温度23℃、湿度65%RHにおいて測定した。なお、引っ張り速度は300mm/minとした。
(5)フィルム厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所をかえて10回行い、その平均値を積層フィルムの厚みとした。
(6)TMA測定時の収縮応力の立ち上がり温度
サンプルをフィルム幅方向中央部から長手方向50mm×幅方向4mmで切り出し、セイコーインスルメンツ(株)製 TMA/6000を用い、25℃から200℃の温度範囲、昇温速度5℃/min、ホールド5分、測長15mm、引張定長条件でTMAを測定した。なお、測長時の荷重は19.6mNに設定した。収縮応力の立ち上がり温度は、測定結果荷重から初期荷重を引いた値が10mNを初めて超えた時の温度とした。
(7)線膨張係数
サンプルをフィルム幅方向中央部から長手方向50mm×幅方向4mmで切り出し、セイコーインスルメンツ(株)製 TMA/6000を用い、25℃から150℃の温度範囲、昇温速度5℃/min、ホールド5分、荷重29.4mN、測長15mm、引張定荷重条件でTMAを測定した。なお、測長時の荷重も測定時と同様の29.4mNに設定した。測定結果より25℃から85℃の長手方向の線膨張係数を算出した。
(8)後加工時の寸法安定性試験
硬化型ウレタンアクリル樹脂(日本合成化学工業(株)製 紫光UV−1700B)を、メチルエチルケトン溶媒を用いて30%の濃度に希釈し、ポリエステルフィルムの最表面上にバーコーターを用いて均一に塗布し、120W/cm2の照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製 H04−L41)で積算照射強度が180mJ/cm2となるように紫外線を照射し、硬化させた後、90℃の熱処理を行い、厚み2μmのハードコートが付与されたポリエステルフィルムを作成し、幅方向中央部分から30mm×30mmのサイズで切り出したサンプルについて、目視による下記の判定基準により評価した。
◎:カールもシワも発生しない、もしくは筒状にはならない程度に弱くカールするレベル。
○:筒状にカールしているが、シワは発生していない。
×:筒状にカールし、シワも発生している。
(9)ハンドリング性
上記(4)項で測定したヤング率、及び破断伸度を下記の判定基準によりハンドリング性として評価した。
◎:長手方向および幅方向のヤング率が3GPa以上、且つ破断伸度が50%以上
○:長手方向および幅方向のヤング率が2GPa以上3GPa未満、且つ破断伸度が50%以上
×:長手方向または幅方向のヤング率が2GPa未満、もしくは破断伸度が50%未満
(10)フイルムのガラス転移点(Tg)
フィルムの動的粘弾性測定を、以下の条件でセイコーインスツルメント社製DMS−6100を利用して測定した。
サンプル長:20mm(幅5mm)
最小荷重:50mN
周波数 :1Hz
変位 :5μm
温度プログラム:25℃start→250℃end 5min保持 (2℃/min)
次いで得られたtanδの温度依存性の図からα緩和温度を求めた。本発明のポリエステルフィルムのα緩和温度は、樹脂A層とB層のガラス転移点近傍にみられるピークの事であり、α緩和温度が2つ確認される場合は、低い方をガラス転移点として採用した。
(11)熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度(Tg)、熱可塑性樹脂Aの融点(Tm)
吐出後、すぐに10℃以下の冷水で冷却した溶融混練ポリエステルチップを、示差熱量分析(DSC)を用いて25℃から290℃まで5℃/minで昇温し、このとき現れる転移点をJIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。
装置:SIIナノテクノロジー(株)(旧セイコー電子工業(株))製
“EXTRA DSC6220”
サンプル質量:5mg。
(12)熱収縮率
フィルムロールの幅方向中央部から幅方向150mm、長手方向150mmのフィルム試料を採取した。それぞれの試料の中央部に、長手方向、幅方向それぞれについて、原長(L0)として100mmの間隔となるように一対の印をつけた。試料をオーブン中で85℃にて6時間処理をした後に室温まで冷却し、一対の印間の距離を測定し、処理後の長さ(L1)とした。それぞれの位置・方向における熱収縮率は、100×(L0−L1)/L0に従い算出した。得られた結果を長手方向・幅方向それぞれについて平均値を算出し、フィルムの熱収縮率とした。

(実施例1)
結晶性ポリエステルとして、融点が258℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール30mol%、シクロヘキサンジカルボン酸15mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を用いた。上記PE/SPG・T/CHDC98質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(A)を得た。
準備したPETと組成物Aを、それぞれ水分を含まないように十分真空高温下で乾燥した後、2台の単軸押出機に投入し280℃で溶融混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、組成物Aからなる各層と組成物Bからなる各層の積層比(Aの総厚み/Bの総厚み)が1.0となるようにギアポンプにて計量しながら、スリット数251個の積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に251層積層された積層体としてTダイから押出し、25℃に表面温度を制御したキャストドラム上にキャストしてキャスティングフィルムを得た。積層体とする方法は、特開2007−307893号公報〔0053〕〜〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、スリット長さ、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、PETが126層、組成物Aが125層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。また、口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値を2.5となるようにした。
得られたキャスティングフィルムを、105℃に設定したロール群で加熱した後、LAF/LMD0.8で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、フィルム温度を110℃としながらフィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。続いて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、そのフィルム両面の処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、95℃の熱風で予熱後、1段目105℃、2段目145℃の温度でフィルム幅方向に4.0倍延伸した。ここで、横延伸区間を2分割した場合、横延伸区間中間点におけるフィルムの延伸量(計測地点でのフィルム幅−延伸前フィルム幅)は、横延伸区間終了時の延伸量の80%となるように2段階で延伸した。横延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で190℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に1%の弛緩処理を、さらに150℃まで急冷した後に幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後、温度150℃のままロール間の周速差を長手方向に3.5%の弛緩処理を施した。最後にワインダーで巻き取り、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール20mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)を96質量%、UVAとして2,2’−メチレンビス[6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]4質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(B)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Bを用い、長手方向の弛緩率を0.5%とした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、横延伸倍率を5倍、熱処理温度を230℃とした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、長手方向弛緩処理時の温度を90℃とした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、スリット数3個の積層装置を用い、PET2層、組成物A1層とした以外は、実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、スリット数601個の積層装置を用い、PET301層、組成物A300層とした以外は、実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例7)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂である2,6−ナフタレンジカルボン酸30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/N)を用いた。上記PET/N98質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(C)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Cを用いた以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例8)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂である1,4−シクロヘキサンジメタノール30mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PETG)を用いた。上記PETG93質量%、ポリエーテルイミド(PEI)5質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(D)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Dを用いた以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例9)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)を用いた。上記PETG93質量%、ポリカーボネート(PC)5質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(E)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Eを用いた以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
(実施例10)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソフタル酸20mol%、フルオレン25mol%を共重合したエチレンテレフタレート(PET/I・FO)を用いた。上記PET/I・FO98質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(F)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Fを用いた以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
(実施例11)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるイソソルビド15mol%、シクロヘキサンジメタノール20mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/ISB・CHDM)とイソフタル酸25mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート(PET/I)を用いた。上記PET/ISB・CHDM49質量%、PET/I49質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(G)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Gを用い、フィルム温度を110℃としながらフィルム長手方向に3.3倍延伸し、テンター内で215℃の熱風にて熱処理を行う以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
(実施例12)
実施例11において、スリット数601個の積層装置を用い、また、熱可塑性樹脂Aとして、PETにPET/ISB・CHDMを25質量%の割合で混合した熱可塑性樹脂組成物(I)を用い、組成物I301層、組成物G300層とした以外は、実施例11と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例2において、長手方向弛緩処理時の温度を80℃とした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、横延伸倍率を6.2倍とした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
(比較例3)
熱可塑性樹脂Bとして、融点を持たない非晶性樹脂であるPETGを用いた。上記PETG98質量%、UVAとして2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、280℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットして熱可塑性樹脂組成物(H)を得た。
実施例1において、組成物Aの変わりに組成物Gを用い、フィルム温度を90℃としながらフィルム長手方向に3.3倍延伸した以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2017002307
Figure 2017002307
本発明のポリエステルフィルムは、熱収縮率が低くカールやシワの発生を抑制することができ、且つハンドリング性に優れるため、液晶ディスプレイ等の表示装置に内蔵される偏光板の偏光板保護フィルムやタッチパネルに用いられるITO基材フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 長手方向の85℃、6時間での熱収縮率が0.5%以下であり、入射角0°での位相差(Re)が400nm以下、長手方向および幅方向のヤング率がともに2GPa以上、長手方向および幅方向の破断伸度がともに50%以上、長手方向のTMA測定時の収縮応力の立ち上がり温度が90℃以上であるポリエステルフィルム。
  2. 厚み方向に3層以上積層された請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステルフィルムが、結晶性ポリエステルを主成分とするA層と該結晶性ポリエステルと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするB層が交互に積層されてなる請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記熱可塑性樹脂Bが非晶性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 熱可塑性樹脂Bがスピログリコール、ナフタレンジカルボン酸、ポリエーテルイミド、ビスフェノールA、フルオレン、イソソルビド成分のいずれかを含む請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. フィルム幅が400mm以上であり、Reのバラツキが幅方向において18%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. ガラス転移点が90℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 25℃から85℃の長手方向の線膨張係数が5.0×10−5/℃以下である請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  9. 積層数が51〜601層である請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 偏光板保護フィルムとして用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルムを用いてなるタッチパネル用ITO基材フィルム。
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