JP2020056016A - ディスプレイ用フィルム、フォルダブルディスプレイ - Google Patents

ディスプレイ用フィルム、フォルダブルディスプレイ Download PDF

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Shunsuke Koido
俊介 小井土
友幸 根本
Tomoyuki Nemoto
友幸 根本
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Abstract

【課題】 耐折性、耐熱性に優れたディスプレイ用フィルムを提供すること。【解決手段】 ポリエステル系樹脂(A)を主成分とし、ガラス転移温度が85℃以上150℃以下であり、23℃における引張試験を行った際に少なくとも一方向における降伏点ひずみが8.0%以上であることを特徴とするディスプレイ用フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は耐熱性、耐折性に優れたディスプレイ用フィルム、及び該フィルムを備えるフォルダブルディスプレイに関する。
ポリエステルは、耐熱性、耐候性、機械的強度、透明性、耐薬品性、ガスバリア性などの性質に優れており、かつ価格的にも入手し易いことから、汎用性が高く、現在、飲料・食品用容器や包装材、成形品、フィルムなどに広く利用されている樹脂である。
一方、近年、フレキシブルなディスプレイに対するニーズが高まってきている中で、耐熱性が高く繰り返しの折り曲げ耐性に優れるフィルムが強く求められている。
例えば、特許文献1には、環状オレフィン樹脂からなるフィルムによる、繰り返しの折り曲げ耐性のフィルムが検討されている。
また、特許文献2,3には耐熱性や耐屈曲性の優れたフィルムとして、ポリイミドからなるフィルムが提案されている。
特開2014−104687号公報 国際公開第2017/150377号パンフレット 国際公開第2016/060213号パンフレット
しかしながら、特許文献1に開示されているフィルムは、繰り返しの折り曲げ耐性のレベルとしては低く、市場の要求を満たすものではなかった。
また、環状オレフィン系樹脂は塗工性、接着性に乏しいため、フレキシブルディスプレイ用部材として他部材との積層が困難であると考えられる。
また、特許文献2に記載されているポリイミドフィルムは耐熱性が高い反面、成型温度は350℃であり、その成形時間も長いため、生産性に難がある。
特許文献3に記載のポリイミドフィルムは耐屈曲性を有するものの、その製造プロセスにおいて、溶剤を使用した塗布による成形方法であるため、生産性が悪く、コストもかかる。
本発明で解決しようとする課題は、上記の問題点を解決し、耐折性、耐熱性に優れたディスプレイ用フィルム、及び該フィルムを備えるフォルダブルディスプレイを提供することにある。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] ポリエステル系樹脂(A)を主成分とし、ガラス転移温度が85℃以上150℃以下であり、23℃における引張試験を行った際に少なくとも一方向における降伏点ひずみが8.0%以上であることを特徴とするディスプレイ用フィルム。
[2] 前記ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、該ポリエステル系樹脂(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含む[1]に記載のディスプレイ用フィルム。
[3] 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートである[1]又は[2]に記載のディスプレイ用フィルム。
[4] 結晶融解温度が255℃以上300℃以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルム。
[5] 厚みが1〜250μmである[1]〜[4]のいずれか1項に記載のディスプレイフィルム。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルムと、該ディスプレイ用フィルムの少なくとも片面に設けられた粘着層とを備えたディスプレイ用フィルム積層体。
[7] [6]に記載のディスプレイ用フィルム積層体の粘着層を介して他の部材を貼り合せて成る構成を備えたフィルダブルディスプレイ。
[8] [1]〜[5]のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルムを備えたフォルダブルディスプレイ。
本発明が提案するディスプレイ用フィルムは、耐折性、耐熱性に優れており、このフィルムを他部材と積層することによって耐折性、耐熱性に優れたフォルダブルディスプレイを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<ディスプレイ用フィルム>
本発明の実施形態の一例に係るディスプレイ用フィルム(以下、「本フィルム」と称することがある)は、ポリエステル系樹脂(A)を主成分とし、ガラス転移温度が85℃以上150℃以下であり、23℃における引張試験を行った際に少なくとも一方向における降伏点ひずみが8.0%以上であることを特徴とするディスプレイ用フィルムである。
なお、23℃における引張試験を行った際の少なくとも一方向における降伏点ひずみのことを、単に降伏点ひずみともいう。
本発明においては「主成分」とは、最も多い質量比率を占める成分であることをいい、具体的には50質量%以上であり、55質量%以上であるのがより好ましく、60質量%以上であるのがさらに好ましい。
本発明者は、ガラス転移温度が85℃以上150℃以下であり、降伏点ひずみが特定の値以上であるポリエステル系樹脂系フィルムが、ディスプレイ用フィルムとして優れた耐折性、耐熱性を有し、特にフォルダブル用途に適することを見出し、本発明を完成した。
本発明者は、本フィルムは、塑性変形が始まるまでのひずみ量が比較的大きいため耐折性が発現しているものと考えている。
本フィルムは薄膜、耐折性付与の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
(1)ガラス転移温度
本フィルムのガラス転移温度(Tg)は、85℃以上150℃以下であり、86℃以上140℃以下がより好ましく、87℃以上130℃以下が更に好ましい。
本フィルムのTgが85℃以上であれば、ディスプレイ用途に本フィルムを用いた際にも変形することがないため、耐熱性に優れる。
一方、本フィルムのTgが150℃以下であれば、加工性にも適したものとなる。
本フィルムのガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121(2012年)に準じて示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定するものである。
なお、DSC測定において複数のガラス転移温度が確認される場合は、本発明におけるガラス転移温度(Tg)は、高温側のガラス転移温度を指すものとする。
(2)降伏点ひずみ
本フィルムの23℃における引張試験を行った際に少なくとも一方向における降伏点ひずみが、8.0%以上である。
本フィルムの降伏点ひずみは、好ましくは8.5%以上、より好ましくは9.0%以上である。降伏点ひずみの上限は特に限定されるものではないが、50%以下である。少なくとも一方向における降伏点ひずみが8.0%以上であることでフィルムの折り曲げ耐性が実用範囲内に保たれる。降伏点ひずみは、本フィルムを製造する際の延伸条件などによって調整することができる。
本フィルムは、一方向における降伏点ひずみが上記範囲であると共に、一方向に直交する方向における降伏点ひずみが、8.0%以上であることが好ましく、8.5%以上であることがより好ましく、9.0%以上であることがさらに好ましく、そして50%以下であることが好ましい。
なお、上記「一方向」とは、特に限定されないが、例えば本フィルムのMD(又はTD)を意味し、「一方向と直交する方向」とは、例えば本フィルムのTD(又はMD)を意味する。ここで、MDは「Machine Direction」を意味し、TDは「Transverse Direction」を意味する。
本フィルムの降伏点ひずみは、引張試験において得られる応力−ひずみ曲線の降伏点におけるひずみ(%)を意味し、JIS K 7127:1999に準じた方法により測定することができる。
(3)降伏応力
23℃における引張試験を行った際の本フィルムの降伏応力は、50MPa以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60MPa以上である。
上限は特に限定されるものではないが、ポリエステル系樹脂からなるフィルムの場合、通常は300MPa以下である。
本フィルムの降伏応力を50MPa以上とすることでフィルム強度が実用範囲内に保たれ、フィルムの折り曲げ耐性が実用範囲内に保たれる。降伏応力は延伸条件によって調整することができる。
本フィルムの降伏応力は、JIS K 7127:1999に準じた方法により測定することができる。
(4)結晶融解温度
本フィルムの結晶融解温度(Tm)は255℃以上300℃以下であることが好ましい。
特に256℃以上295℃以下であることがより好ましく、257℃以上290℃以下であることがさらに好ましく、258℃以上285℃以下であることがとりわけ好ましい。本フィルムの結晶融解温度(Tm)がかかる範囲であれば、本フィルムは耐熱性と溶融成形性のバランスに優れる。
ここで、結晶融解温度(Tm)は、JIS K7121(2012年)に準じて、本フィルムについて示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定するものである。
なお、結晶融解温度(Tm)とは、結晶融解ピーク温度を意味する。DSC測定において、複数の結晶融解温度が確認される場合は、本発明における結晶融解温度(Tm)は、最も高い温度の結晶融解温度を指すものとする。
本フィルムの結晶融解温度(Tm)は、本フィルムを構成する樹脂材料を選択したり、結晶核剤を添加したり、本フィルムの製造において、溶融状態からの冷却温度、延伸倍率、延伸温度、延伸後の熱処理条件を調整したりすることで最適化することができる。
(5)厚み
本フィルムの厚みは、1〜250μmであることが好ましく、5〜200μmであるのがより好ましい。1μm以上とすることでフィルム強度が実用範囲内に保たれる。250μm以下であることで、耐折性が発現しやすくなる。厚みは延伸条件によって調整することができる。
(6)耐折性
本フィルムは、YUASA製折り曲げ試験装置(DLDMLH−FS−C)を用いて23℃における1000回の折り曲げ試験を屈曲半径(R)=1.5mmの条件で行った際、外観変化がないものであることが好ましい。これを満たすことにより本フィルムは耐折性に優れているものということができる。
本発明は、一般的にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂よりも比較的高い降伏応力を示すポリエステル系樹脂を主成分としたフィルムが耐折り曲げ性に優れることを、本発明者が見出し、成されたものである。
降伏応力が高いポリエステル系樹脂であっても、変形によって加えられた応力が大きい場合、変形が起こり、材料に解消されないひずみが残ってしまうという問題があった。
しかし、本発明者は、本発明において、降伏点ひずみが特定の数値以上であればひずみが発生しにくくなることを見出した。
弾性変形領域(降伏点)を越えてひずんでしまった場合に、折れ跡やシワなどの変形跡が残ってしまい、外観不良や、材料特性そのものに影響が出てしまうと考えている。
つまり、降伏点ひずみ量が大きければ大きいほど塑性変形が始まるまでのひずみ量が大きいため、大きなひずみが印加された場合でも、変形跡が付きにくく、変形耐性に優れていると考えている。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、本フィルムはポリエステル系樹脂(A)以外の他の樹脂を含むことができる。
他の樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂(アラミド系樹脂を含む)、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、及び、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、本フィルムは、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般的に配合される添加剤を適宜含むことができる。
前記添加剤としては、成形加工性、生産性及びフィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料や染料などの着色剤、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤などが挙げられる。
また、本フィルムは、前述した添加剤のほかに、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、塗布層を有することができる。
前記塗布層の機能としては、ハードコート性、帯電防止性、剥離性、易接着性、印字適性、UVカット性、赤外線遮断性、ガスバリア性などが挙げられる。
塗布層の形成については延伸行程中にフィルム表面を処理するインラインコーティングにより設けてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。
以下、本フィルムを構成するポリエステル系樹脂(A)について説明する。
<ポリエステル系樹脂(A)>
本フィルムを構成するポリエステル系樹脂(A)は、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。
ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種又は二種以上が挙げられる。
更に共重合成分として、P−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を用いてもよい。
本発明においては、ガラス転移温度、降伏点ひずみの観点から、ポリエステル系樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm(A))は、35J/g以上70J/g以下であるのが好ましく、36J/g以上或いは65J/g以下であることがより好ましい。
ΔHm(A)がかかる範囲であれば、ポリエステル系樹脂(A)は耐熱性、耐湿熱性、溶融成形性、及び、延伸加工性にも優れる適度な結晶性を有する。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm(A))は、JIS K7122(2012年)に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定することができる。
なお、ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm(A))は、該(A)の構成単位、例えばポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートであれば、テレフタル酸以外の他の酸成分及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノール単位以外の他のジオール成分の種類や配合割合を調整することにより、上記範囲内に調整することができる。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、255℃以上310℃以下であることが好ましく、280℃以上310℃以下であることがより好ましく、260℃以上或いは340℃以下であることがさらに好ましく、270℃以上或いは330℃以下であることがよりさらに好ましく、280℃以上或いは310℃以下であることが特に好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解温度(Tm(A))がかかる範囲であれば、ポリエステル系樹脂(A)は耐熱性と溶融成形性のバランスに優れる。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、JIS K7121(2012年)に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定することができる。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、上記ΔHmと同じく、該(A)の構成単位、例えばポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートであれば、テレフタル酸以外の他の酸成分及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノール単位以外の他のジオール成分の種類や配合割合を調整することにより、上記範囲内に調整することができる。
ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg(A))は、60℃以上150℃以下であることがより好ましく、70℃以上或いは120℃以下であることが更に好ましい。前記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg(A))がかかる範囲にあれば、耐熱性と溶融成形性のバランスに優れる。
前記ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121(2012年)に準じて示差走査熱量計(DSC)を用いて加熱速度10℃/分で測定されるものである。
なお、上記のポリエステル系樹脂(A)の結晶融解熱量(ΔHm(A))、結晶融解温度(Tm(A))及びガラス転移温度(Tg(A))は何れも、本フィルムを製造するための原料の特性としてのみならず、本フィルムを構成しているポリエステル系樹脂(A)成分の特性としても適用される。
上記ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートは、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含む重合体である。
特に、本発明で用いる場合、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を90モル%以上含む重合体であることが好ましい。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分(a−1)は、テレフタル酸を90モル%以上であることが好ましい。
ジカルボン酸成分(a−1)のうち、テレフタル酸が92モル%以上であることがより好ましく、94モル%以上であることがさらに好ましく、96モル%以上であることが特に好ましく、98モル%以上であることがとりわけ好ましく、ジカルボン酸成分(a−1)の全て(100モル%)がテレフタル酸であることが最も好ましい。
ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸を90モル%以上とすることにより、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートのガラス転移温度、融点、及び、結晶性が向上し、ひいては本フィルムの耐熱性が向上する。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、成型性や耐熱性の向上を目的として、テレフタル酸以外の酸成分を10モル%未満共重合しても良い。
テレフタル酸以外の酸成分としては、具体的には、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、2,4−フランジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられるが、これらの中でも成形性の観点からイソフタル酸、2,5−フランジカルボン酸、2,4−フランジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸が好ましい。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを構成するジオール成分(a−2)は、1,4−シクロヘキサンジメタノールが90モル%以上であることが好ましい。
ジオール成分(a−2)のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノールが92モル%以上であることがより好ましく、94モル%以上であることがさらに好ましく、96モル%以上であることが特に好ましく、98モル%以上であることがとりわけ好ましく、ジオール成分(a−2)の全て(100モル%)が1,4−シクロヘキサンジメタノールであることが、最も好ましい。
ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノールを90モル%以上とすることにより、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの融点、及び、結晶性が向上し、ひいては本フィルムの耐熱性が向上する。
前記ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、成型性や耐熱性の向上を目的として、1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分を10モル%未満共重合しても良い。
1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分としては、具体的には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、ビスフェノール、スピログリコール、2,2,4,4,−テトラメチルシクロブタン−1,3−ジオール、イソソルバイド等が挙げられるが、これらの中でも成形性の観点からエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
<本フィルムの製造方法>
本発明のディスプレイ用フィルムの製造方法について説明するが、以下の説明は本フィルムを製造する方法の一例であり、本フィルムはかかる製造方法により製造されるフィルムに限定されるものではない。
本発明の実施形態の一例に係る本フィルムの製造方法は、前記ポリエステル系樹脂(A)を主成分とする樹脂組成物をフィルム状に成形し、二軸延伸する製造方法である。
ポリエステル系樹脂(A)、その他の樹脂及び添加剤を混練し、樹脂組成物を得る方法は特に限定されないが、なるべく簡便に樹脂組成物を得るために、押出機を用いて溶融混練することによって製造するのが好ましい。
樹脂組成物を構成する原料を均一に混合するために、同方向二軸押出機を用いて溶融混練するのが好ましい。
混練温度は、用いる全ての樹脂のガラス転移温度以上であり、かつ結晶性樹脂に対しては、その結晶融解温度以上であることが必要である。
使用する樹脂のガラス転移温度や結晶融解温度に対して、なるべく混練温度が高い方が、樹脂の一部のエステル交換反応が生じやすく、相溶性が向上しやすいものの、必要以上に混練温度が高くなると樹脂の分解が起こるため好ましくない。
このことから、混練温度は260℃以上350℃以下であり、270℃以上340℃以下が好ましく、280℃以上330℃以下がより好ましく、290℃以上320℃以下が特に好ましい。混練温度がかかる範囲であれば、樹脂の分解を生じることなく、相溶性や溶融成形性を向上させることができる。
樹脂組成物は、一度冷却固化してペレット状などの形状にした後、これを再び加熱溶融して成形に供してもよいし、溶融状態で得られた樹脂組成物をそのまま成形してもよい。
上記により得られた樹脂組成物を、一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって成形して二軸延伸フィルムを作製することができる。
それぞれの成形方法において、装置及び加工条件は特に限定されない。
本フィルムは、例えば以下の方法により製造することが好ましい。
混合して得られた樹脂組成物より、実質的に無定型で配向していないフィルム(以下「未延伸フィルム」と称することがある)を押出法で製造する。
この未延伸フィルムの製造は、例えば上記原料を押出機により溶融し、フラットダイ、又は環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状又は環状(円筒状)の未延伸フィルムとする押出法を採用することができる。
この際、場合によって、複数の押出機を使用した積層構成としてもよい。
次に、延伸効果、フィルム強度等の点から、上記の未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)及びこれと直角な方向(横方向)のうち少なくとも一方向に通常1.1〜5.0倍、好ましくは縦横二軸方向に各々1.1〜5.0倍の範囲で延伸する。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。
例えばテンター式逐次二軸延伸方法の場合には、前記樹脂組成物のガラス転移温度をTgとして、未延伸フィルムを、Tg〜Tg+50℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に1.1〜5.0倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によってTg〜Tg+50℃の温度範囲内で横方向に1.1〜5.0倍に延伸することにより製造できる。
また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えばTg〜Tg+50℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に1.1〜5.0倍に延伸することにより製造できる。
上記方法により延伸された二軸延伸フィルムは、引き続き熱固定される。
熱固定をすることにより常温における寸法安定性を付与することができる。
この場合の処理温度は、好ましくは前記樹脂組成物の結晶融解温度Tmとした場合にTm−50〜Tm−1℃の範囲を選択する。
熱固定温度が上記範囲内にあれば、熱固定が十分に行われ、延伸時の応力が緩和され、十分な耐熱性や機械特性が得られ、破断やフィルム表面の白化などのトラブルがない優れたフィルムが得られる。
本発明においては、熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させる為に、熱固定中に幅方向に0〜15%、好ましくは3〜10%の範囲で弛緩を行うことで、弛緩が十分に行われ、フィルムの幅方向に均一に弛緩され、幅方向の収縮率が均一になり常温寸法安定性に優れたフィルムが得られる。
また、フィルムの収縮に追従した弛緩が行われる為、フィルムの弛み、テンター内でのバタツキがなく、フィルムの破断もない。
<ポリアリレート(B)>
本フィルムの別の実施形態の一例は、前記ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、該ポリエステル系樹脂(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含むディスプレイ用フィルムである。
ポリエステル系樹脂(A)とポリアリレート(B)のガラス転移温度の差は60℃以上であるのが好ましく、70℃以上であるのがより好ましく、80℃以上であるのが更に好ましく、90℃以上であるのが特に好ましく、100℃以上であるのがとりわけ好ましい。
ポリアリレート(B)のガラス転移温度は150℃以上350℃以下であるのが好ましく、160℃以上或いは340℃以下であるのがより好ましく、170℃以上或いは330℃以下であるのが更に好ましく、180℃以上或いは320℃以下であるのが特に好ましく、190℃以上或いは300℃以下であるのがとりわけ好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)とポリアリレート(B)のガラス転移温度の差が上記を満たすことで、本フィルムのガラス転移温度が向上し、溶融成形性にも優れた本フィルムが得られる。
ポリアリレート(B)の含有割合はポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であり、3質量部以上或いは49質量部以下であることが好ましく、5質量部以上或いは47質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上或いは45質量部以下であることが更に好ましい。ポリアリレート(B)の割合が1質量部以上であれば、結晶化速度を遅くすることができるためフィルムを延伸する際の延伸加工性が向上することができる。一方、ポリアリレート(B)の割合が50質量部以下であれば、フィルムの結晶性を維持され、ひいては得られる本フィルムの加熱時の耐収縮性が十分なものとなる。
一般的に、樹脂組成物の耐熱性の向上は、ガラス転移温度(Tg)を向上させることで達成できる。ここで、ポリエステル系樹脂(A)よりTgの高いポリアリレート(B)を混合することで、ポリエステル系樹脂(A)単体よりもガラス転移温度の高い樹脂組成物が得られ、耐熱性、耐湿熱性に優れたフィルムを得ることができる。
一方、延伸時の結晶化が顕著に起こる場合、延伸時に結晶部分からの破断が起きやすくなるという問題を有する。
そこで後述するように、非晶性であるポリアリレート(B)を加えることにより、ポリエステル系樹脂(A)自体の結晶性を緩和し、延伸時の破断を抑え加工時のハンドリング性を向上させることができる。
先述したように、本フィルムは、前記ポリエステル系樹脂(A)よりもJIS K7198Aに準じて測定されるガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を含むことができる。
ポリアリレート(B)は、ジカルボン酸成分(b−1)と二価フェノール成分(b−2)との重縮合物である。
ポリアリレート(B)のガラス転移温度は、前記ジカルボン酸成分(b−1)及び二価フェノール成分(b−2)を適宜選択することで調整することができ、とりわけ、二価フェノール成分を適宜選択することが好ましい。
前記ポリアリレート(B)を構成するジカルボン酸成分(b−1)としては、二価の芳香族カルボン酸であれば特に制限はないが、中でもテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合物であることが好ましい。
そのテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合比(モル%)は、テレフタル酸/イソフタル酸=99/1〜1/99が好ましく、90/10〜10/90がより好ましく、80/20〜20/80が更に好ましく、70/30〜30/70が特に好ましく、60/40〜40/60がとりわけ好ましい。
ジカルボン酸成分(b−1)としてテレフタル酸とイソフタル酸の混合比が上記範囲であることで、ポリアリレート(B)は耐熱性と溶融成形性に優れる。
前記ポリアリレート(B)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分を共重合しても良い。
具体的には、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。ポリアリレート樹脂(B)の耐熱性を損なわないよう、テレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分の共重合比率は10モル%未満であることが好ましい。
前記ポリアリレート(B)を構成する二価フェノール成分(b−2)としては、二価のフェノール類であれば特に制限はないが、ビスフェノールA成分、ビスフェノールTMC(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)成分のいずれか、又は、ビスフェノールAとビスフェノールTMCのいずれも含むことが好ましい。
一般に、ビスフェノールA成分を含むことで溶融成形性(流動性)に優れたポリアリレートとなる。
一方、ビスフェノールTMC成分を含むことで、ガラス転移温度が向上し耐熱性に優れるポリアリレート(B)となる。
溶融成形性と耐熱性のバランスを取りたい場合には、ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分のいずれも用いる。
この場合、ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分の割合(モル%)は、ビスフェノールA/ビスフェノールTMC=99/1〜1/99が好ましく、90/10〜10/90がより好ましく、80/20〜20/80が更に好ましく、70/30〜30/70が特に好ましく、60/40〜40/60がとりわけ好ましい。
ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分の割合をかかる範囲にすることにより、耐熱性と溶融成形性のバランスに優れるポリアリレート(B)となる。
前記ポリアリレート(B)は、二価フェノール成分(b−2)としてビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)とビスフェノールTMC(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン)以外のビスフェノール成分を共重合しても良い。具体的には、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールAF(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)、ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン)、ビスフェノールBP(ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン)、ビスフェノールC(2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールE(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、ビスフェノールG(2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン)、ビスフェノールM(1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン)、ビスフェノールS(ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビスフェノールP(1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン)、ビスフェノールPH(5,5’−(1−メチルエチリデン)−ビス[1,1’−(ビスフェニル)−2−オール]プロパン)、ビスフェノールZ(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)等が挙げられる。ポリアリレート(B)の耐熱性を損なわないよう、上記化合物の共重合比率は10モル%未満であることが好ましい。
ポリアリレート(B)は、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレートとの相溶性を高めるために、ジカルボン酸成分(b−1)としてテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合物を、二価フェノール成分(b−2)としてビスフェノールA成分、ビスフェノールTMC成分のいずれか、又は、ビスフェノールAとビスフェノールTMCの混合物を選択することが好ましい。
ポリアリレート(B)としては、溶融成形性向上のためポリカーボネートを混合したものを用いてもよい。ポリアリレート(B)とポリカーボネートは相溶するため、ポリアリレート(B)に対してポリカーボネートを混合することで、透明性や機械特性を維持したままポリアリレート(B)のガラス転移温度を下げることができ、結果として溶融成形性を向上させることができる。
ポリアリレート(B)とポリカーボネートを混合する場合、その混合比率(質量%)は、ポリアリレート(B)/ポリカーボネート=99/1〜50/50が好ましく、98/2=60/40がより好ましく、97/3〜70/30が更に好ましく、96/5〜80/20が特に好ましい。
ポリアリレート(B)とポリカーボネートの混合比率がかかる範囲であれば、ポリアリレート(B)の耐熱性を維持したまま溶融成形性を向上することができる。
なお、ポリアリレート(B)とポリカーボネートとの混合とは、これら2成分を予め混合したものを原料として用いることが好ましいが、この方法のみには限定されず、ポリカーボネートを前記「他の樹脂」として選択し、独立した原料として用いることで上記構成としてもよい。
上述した、ポリエステル系樹脂(A)とポリアリレート(B)の組合せの中でも、相溶性の観点から、とりわけ、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートとポリアリレートの組合せが好ましい。
なお、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)を溶融混合すると、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(A)とポリアリレート(B)のそれぞれ一部がエステル交換反応をして、両重合体間の界面張力が大幅に低下するため相溶し、透明性、耐熱性に極めて優れた樹脂組成物になると考えられる。
したがって、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートは、該ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートの一部又は全部がエステル交換反応して得られるエステル交換体も包含し、ポリアリレートは、ポリアリレートの一部又は全部がエステル交換して得られるエステル交換体も包含する。
エステル交換の程度(反応率)は、混合温度、せん断速度、滞留時間等の溶融混合条件によって調整することが可能であり、それにより本フィルムの結晶融解熱量(ΔHm)を調整することもできる。
<フォルダブルディスプレイ>
本発明のディスプレイ用フィルムは、耐折性、耐熱性に優れており、かつ、透明性にも優れるため、このフィルムを備えたディスプレイは耐折性、耐熱性に優れたフォルダブルディスプレイとすることができる。
本発明における上記したディスプレイ用フィルム(本フィルム)は、ディスプレイ用構成部材、例えば前面板、タッチセンサー用基材フィルム、下部保護フィルム等の構成部材として使用され、粘着層を介して他の部材と積層されることが好ましい。
より詳細には、上記ディスプレイ用フィルムと、該ディスプレイ用フィルムの少なくとも片面に設けられた粘着層とを備えたディスプレイ用フィルム積層体とすることが好ましく、さらに、該ディスプレイ用フィルム積層体の粘着層を介して他の部材を貼り合せてなる構成を備えたフォルダブルディスプレイとすることが好ましい。
上記粘着層を形成するための粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、エポキシ粘着剤などを使用することができる。
上記粘着層を形成する粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記他の部材は、例えば、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、パソコンなどのディスプレイを有する各種電子機器が挙げられる。具体的には、上記ディスプレイ用フィルム積層体は、粘着層を介して、これら電子機器のディスプレイに貼り合わせて使用される。ディスプレイの種類は、特に制限されず、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどいずれでもよく、タッチパネル型のディスプレイであってもよい。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
(1)ガラス転移温度
得られたフィルムについて、Diamond DSC(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分にて一度融解温度まで昇温させたのちに降温速度10℃/分にて降温させ、加熱速度10℃/分の昇温過程におけるガラス転移温度を測定した。
(2)結晶融解温度
得られたフィルムについて、Diamond DSC(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分の昇温過程における結晶融解温度を測定した。
(3)成形性
キャストフィルムについて、二軸延伸を行った際、破断せずに延伸できたものを合格(○)、破断が起こったものを不合格(×)とした。
(4)降伏点ひずみ
測定装置は、引張試験機(株式会社島津製作所製 引張試験機AG‐1kNXplus)を用いた。試験片は、本フィルムから測定方向の長さ100mm、幅15mmの長方形に切り出したものを用いた。試験片の長さ方向の両端部をチャック間距離40mmでチャックし、クロスヘッドスピード200mm/分で引っ張り、降伏点におけるひずみを降伏ひずみとして3回測定し、その平均値を求めた。上記引張試験はフィルムのMDの引張試験及び、TDの引張試験の両方を実施した。
(5)耐折性
(折り曲げ評価)
得られたフィルムについて、YUASA製折り曲げ試験装置(DLDMLH−FS−C)を用いて23℃における1000回の折り曲げ試験を、屈曲半径(R)=2mm、1.5mm、1mmの条件で実施した。外観変化がないものには○、わずかな折り曲げ跡が見られたものには△、明確な折り曲げ跡が見られたものは×とした。
(総合評価)
折曲げ試験の結果から以下のように評価した。
○:R=2mm、1.5mmの評価で外観変化がなく、実用性あり
×:R=2mm、1.5mmの少なくとも1つの評価で外観変化あり、実用性低い
[ポリエステル系樹脂(A)]
(A)−1:SKYPURA0502HC
(SKケミカル社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸=100モル%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=100モル%、Tm=293℃、ΔHm=48J/g、Tg=110℃)
(A)−2:SKYPURA0502
(SKケミカル社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸=100モル%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=100モル%、Tm=286℃、ΔHm=42J/g、Tg=104℃)
(A)−3:SKYPURA1631
(SKケミカル社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸=91.8モル%、イソフタル酸=8.2モル%、ジオール成分:1,4−シクロヘキサンジメタノール=100モル%、Tm=274℃、ΔHm=32J/g、Tg=101℃)
[ポリアリレート(B)]
(B)−1:Uポリマー(登録商標) U−100
(ユニチカ社製、ジカルボン酸成分:テレフタル酸/イソフタル酸=50/50モル%、ビスフェノール成分:ビスフェノールA=100モル%、Tg(B)=210℃)
[二軸延伸PETフィルム(C)]
(C)−1:厚み50μmの二軸延伸PETフィルム
[PENフィルム(D)]
(D)−1:厚み50μmのPENフィルム(テオネックスQ51)
(実施例1)
ペレット状の(A)−1を70質量%に対して、ペレット状の(B)−1を30質量%の割合で添加し((A)−1が100重量部に対して、(B)−1が43質量部)、ドライブレンドした後、310℃に設定した同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製、口径40mm、スクリューの有効長Lと外径Dの比L/D=32)に投入し、得られたストランドを水槽で冷却固化し、ペレタイザーでカットし、ペレットを作製した。
作製したペレットを、単軸押出機(三菱重工業株式会社製)を用いて、310℃で溶融混練後、ギャップ1.0mm、310℃のTダイより押出した溶融樹脂シートを115℃のキャストロールで引き取り、冷却固化し、厚み約500μmの膜状物を得た。
続いて、得られたキャストフィルムを縦延伸機に通し、125℃で縦方向(MD)に3倍延伸を行った。続いて、得られた縦延伸フィルムを横延伸機(テンター)に通し、予熱温度130℃、延伸温度130℃、熱固定温度260℃で横方向(TD)に3.5倍延伸を行い、その後テンター内にてフィルムの弛緩処理を10%行った。得られたフィルムについて、上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエステル系樹脂(A)に関して、(A)−1の代わりに(A)−2を使用した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステル系樹脂(A)に関して、(A)−1の代わりに(A)−3を使用した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
二軸延伸PETフィルム(C)−1について評価を行った結果を表1に示す。
(比較例2)
PENフィルム(D)−1について評価を行った結果を表1に示す。
実施例1〜3では、成形時に特に問題なくフィルムを製造することができた。実施例1〜3のフィルムは結晶融解温度、ガラス転移温度は高く、耐熱性も優れている。実施例1〜3のフィルムはR=1、1.5における評価にて、比較例1、2との明確な優劣の差がついていた。よって、実施例1〜3のフィルムは耐折性に優れている。

Claims (8)

  1. ポリエステル系樹脂(A)を主成分とし、ガラス転移温度が85℃以上150℃以下であり、23℃における引張試験を行った際に少なくとも一方向における降伏点ひずみが8.0%以上であることを特徴とするディスプレイ用フィルム。
  2. 前記ポリエステル系樹脂(A)100質量部に対して、該ポリエステル系樹脂(A)よりもガラス転移温度が高いポリアリレート(B)を1質量部以上50質量部以下含む請求項1に記載のディスプレイ用フィルム。
  3. 前記ポリエステル系樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a−1)としてテレフタル酸単位、ジオール成分(a−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートである請求項1又は2に記載のディスプレイ用フィルム。
  4. 結晶融解温度が255℃以上300℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルム。
  5. 厚みが1〜250μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルムと、該ディスプレイ用フィルムの少なくとも片面に設けられた粘着層とを備えたディスプレイ用フィルム積層体。
  7. 請求項6に記載のディスプレイ用フィルム積層体の粘着層を介して他の部材を貼り合せて成る構成を備えたフィルダブルディスプレイ。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルムを備えたフォルダブルディスプレイ。
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