JP2022172667A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Shunsuke Koido
大樹 鶴岡
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Abstract

【課題】耐熱性、押出成形性及び透明性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート樹脂(B)を含むポリエステル樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリエステルは、耐熱性、耐候性、機械的強度、透明性、耐薬品性、ガスバリア性などの性質に優れており、かつ、価格的にも入手し易いことから、汎用性が高く、現在、飲料・食品用容器や包装材、成形品、フィルムなどに広く利用されている樹脂である。
中でも、酸成分としてナフタレンジカルボン酸を用いたものとしては、ナフタレンジカルボン酸と1,4-ブタンジオールを重合させたポリブチレンナフタレート(以下、「PBN」とも称する)が知られている。PBNは、アルキル鎖部分のコンホメーションによって結晶転移を起こすため、力学特性や耐衝撃性に優れている。そのため、それらの特性を生かして、フレキシブル基板、ディスプレイの各種保護フィルム等といった光学用途での使用が期待される。
しかしながら、PBNは、ガラス転移温度が75℃程度、融点が240℃程度と低く、耐熱性に問題がある。
また、結晶化速度が速すぎるため、押出成形によるフィルム製膜に不向きな点がある。
例えば、特許文献1には、酸成分に2,6-ナフタレンジカルボン酸、グリコール成分に1,4-ブタンジオールと1,4-シクロヘキサンジメタノールを配合した、耐熱性及び射出成形性に優れたポリエステル共重合体が提案されている。
特開平5-209044号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリエステル共重合体は、射出成形性に優れてはいるが、結晶化速度が速すぎるため、フィルムの製膜性、延伸性が悪化し、押出成形に不向きであった。
本発明で解決しようとする課題は、上記の問題点を解決し、耐熱性、押出成形性及び透明性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、PBN樹脂(A)にPAR樹脂(B)を混合することで、PBN樹脂(A)単体よりもガラス転移温度(Tg)の高い樹脂組成物が得られ、優れた耐熱性を有することを見出した。
また、PAR樹脂(B)を混合することにより、PBN樹脂(A)の結晶化速度をコントロールすることができるため、優れた押出成形性や延伸加工性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、その一態様において以下の[1]~[13]を要旨とする。
[1]ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート樹脂(B)を含むポリエステル樹脂組成物。
[2]前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を50モル%以上含む、上記[1]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[3]前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上含む、上記[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[4]前記ポリアリレート樹脂(B)のガラス転移温度が、前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)のガラス転移温度よりも高い、上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[5]前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリアリレート樹脂(B)を1質量部以上100質量部以下の割合で含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[6]ガラス転移温度が、80℃以上150℃以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[7]結晶融解温度が、200℃以上300℃以下である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[8]融解エンタルピーが、5J/g以上55J/g以下である、上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物から得られる未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸したポリエステルフィルム。
[10]ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート樹脂(B)を含み、溶融混錬してなるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
[11]前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を50モル%以上含む、上記[10]に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
[12]前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上含む、上記[10]又は[11]に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
[13]前記溶融混錬の温度が、250℃以上330℃以下である、前記[10]~[12]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、優れた耐熱性、押出成形性及び透明性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<ポリエステル樹脂組成物>>
本発明の実施形態の一例に係るポリエステル樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも称する)は、ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート(以下、「PAR」とも称する)樹脂(B)を含む。
前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)とは、好ましくはジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を含み、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を含むポリエステルである。
一般に、樹脂組成物の耐熱性の向上は、ガラス転移温度(Tg)を向上させることで達成できる。本発明のポリエステル樹脂組成物は、PBN樹脂(A)にPAR樹脂(B)を混合することで、PBN樹脂(A)単体よりもガラス転移温度(Tg)の高い樹脂組成物が得られ、優れた耐熱性を示す。
また、PAR樹脂(B)を混合することにより、PBN樹脂(A)の結晶化速度をコントロールすることができるため、優れた押出成形性や延伸加工性を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐熱性、押出成形性及び透明性に優れるため、本樹脂組成物から得られるポリエステルフィルムも耐熱性及び透明性に優れたものとなる。
また、PBNは、一般的に力学特性や耐衝撃性に優れているため、フレキシブル基板、ディスプレイの各種保護フィルム等といった光学用途に好適に使用できる。
本樹脂組成物は、PBN樹脂(A)100質量部に対して、PAR樹脂(B)を1質量部以上100質量部以下の割合で含むことが好ましい。
本樹脂組成物中のPAR樹脂(B)の含有割合が1質量部以上であれば、結晶化速度を遅くすることができるため、本樹脂組成物の押出成形性や延伸加工性が向上する。
また、1質量部以上であれば、本樹脂組成物の耐熱性が向上する。
一方、PAR樹脂(B)の含有割合が100質量部以下であれば、樹脂組成物の結晶性が維持され、ひいては得られるポリエステルフィルムの耐熱性が十分なものとなる。
前記PAR樹脂(B)の含有割合は、耐熱性及び押出成形性の両立の観点から、PBN樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以上70質量部以下であることが特に好ましい。
本樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、80℃以上150℃以下であることが好ましく、82℃以上140℃以下であることがより好ましく、84℃以上130℃以下がさらに好ましい。本樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が80℃以上であれば、優れた耐熱性を有するといえる。一方、ガラス転移温度(Tg)が150℃以下であれば、押出成形性や延伸加工性にも適したものとなる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、実施例に記載の方法で測定できる。
本樹脂組成物の結晶融解温度(Tm)は、200℃以上300℃以下であることが好ましく、210℃以上290℃以下であることがより好ましく、220℃以上280℃以下であることがさらに好ましい。本樹脂組成物の結晶融解温度(Tm)がかかる範囲であれば、本樹脂組成物は耐熱性と押出成形性のバランスに優れる。
なお、結晶融解温度(Tm)は、実施例に記載の方法で測定できる。
本樹脂組成物の融解エンタルピー(ΔHm)は、5J/g以上55J/g以下であることが好ましく、7J/g以上52J/g以下であることがより好ましく、10J/g以上48J/g以下であることがさらに好ましい。本樹脂組成物の融解エンタルピー(ΔHm)がかかる範囲であれば、本樹脂組成物は耐熱性、押出成形性及び延伸加工性のバランスに優れる。
なお、融解エンタルピー(ΔHm)は、実施例に記載の方法で測定できる。
本樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、PBN樹脂(A)及びPAR樹脂(B)以外の他の樹脂を含むことを許容することができる。
他の樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、上記(A)及び(B)以外のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、及び、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、本樹脂組成物は一般的に配合される添加剤を適宜含むことができる。前記添加剤としては、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤及び着色剤等が挙げられる。
以下、本樹脂組成物を構成するPBN樹脂(A)及びPAR樹脂(B)についてそれぞれ説明する。
<ポリブチレンナフタレート樹脂(A)>
PBN樹脂(A)は、2,6-ナフタレンジカルボン酸と1,4-ブタンジオールを主成分とする、すなわち、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を50モル%以上含むことが好ましい。
特に、本発明で用いるPBN樹脂(A)は、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上含むことがより好ましい。
前記PBN樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分(a-1)は、2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を含み、ジカルボン酸成分(a-1)のうち、2,6-ナフタレンジカルボン酸単位が92モル%以上であることが好ましく、94モル%以上であることがより好ましく、96モル%以上であることがさらに好ましく、98モル%以上であることが特に好ましく、ジカルボン酸成分(a-1)の全て(100モル%)が2,6-ナフタレンジカルボン酸であることがとりわけ好ましい。ジカルボン酸成分(a-1)として、2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上とすることにより、PBN樹脂(A)のガラス転移温度、融点及び結晶性が向上し、ひいては本樹脂組成物の耐熱性が向上する。
前記PBN樹脂(A)は、成形性や耐熱性の向上を目的として、2,6-ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分を共重合してもよい。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられるが、これらの中でも成形性の観点から、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記2,6-ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分の含有量は、2,6-ナフタレンジカルボン酸を含む全酸成分中10モル%以下であることが好ましい。
前記PBN樹脂(A)を構成するジオール成分(a-2)は、1,4-ブタンジオール単位を含み、ジオール成分(a-2)のうち、1,4-ブタンジオール単位が92モル%以上であることが好ましく、94モル%以上であることがより好ましく、96モル%以上であることがさらに好ましく、98モル%以上であることが特に好ましく、ジオール成分(a-2)の全て(100モル%)が1,4-ブタンジオールであることがとりわけ好ましい。ジオール成分(a-2)として、1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上とすることにより、PAR樹脂(B)との相溶性が向上し、さらにはPBN樹脂(A)の融点及び結晶性が向上し、ひいては本樹脂組成物の耐熱性が向上する。
前記PBN樹脂(A)は、成形性や耐熱性の向上を目的として、1,4-ブタンジオール以外のジオール成分を共重合してもよい。具体的には、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、ビスフェノール、スピログリコール、2,2,4,4,-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、イソソルバイド等が挙げられるが、この中でも成形性の観点からエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。これらのジオール成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記1,4-ブタンジオール以外のジオール成分の含有量は、1,4-ブタンジオールを含む全ジオール成分中10モル%以下であることが好ましい。
PBN樹脂(A)のガラス転移温度(Tg(A))は、50℃以上130℃以下であることが好ましく、58℃以上125℃以下であることがより好ましく、65℃以上120℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg(A))がかかる範囲にあれば、耐熱性と押出成形性のバランスに優れる。
PBN樹脂(A)の結晶融解温度(Tm(A))は、200℃以上290℃以下であることが好ましく、210℃以上275℃以下であることがより好ましく、220℃以上260℃以下であることがさらに好ましい。結晶融解温度(Tm(A))がかかる範囲にあれば、耐熱性、押出成形性及び延伸加工性に優れる。
PBN樹脂(A)の融解エンタルピー(ΔHm(A))は、20J/g以上65J/g以下であることが好ましく、28J/g以上63J/g以下であることがより好ましく、35J/g以上60J/g以下であることがさらに好ましい。融解エンタルピー(ΔHm(A))がかかる範囲にあれば、耐熱性、押出成形性及び延伸加工性のバランスに優れる。
なお、測定方法としては、Tg(A)、Tm(A)についてはJIS K7121(2012年)に、ΔHm(A)についてはJIS K7122(2012年)に準拠した測定である。具体的には、実施例に記載した本樹脂組成物におけるTg、Tm、ΔHmと同様の方法で測定することができる。
<ポリアリレート樹脂(B)>
本樹脂組成物は、前記PBN樹脂(A)よりもガラス転移温度が高いPAR樹脂(B)を含有する。
PAR樹脂(B)は、芳香族ジカルボン酸成分と二価フェノール成分との重縮合物である。
前記PAR樹脂(B)を構成するジカルボン酸成分(b-1)としては、二価の芳香族カルボン酸であれば特に制限はないが、なかでもテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合物であることが好ましい。
そのテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合比(モル比)は、テレフタル酸/イソフタル酸=99/1~1/99が好ましく、90/10~10/90がより好ましく、80/20~20/80がさらに好ましく、70/30~30/70が特に好ましく、60/40~40/60がとりわけ好ましい。ジカルボン酸成分(b-1)としてテレフタル酸とイソフタル酸の混合比が上記範囲であることで、PAR樹脂(B)は耐熱性と押出成形性に優れる。
PAR樹脂(B)は、ジカルボン酸成分(b-1)としてテレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分を共重合してもよい。
具体的には、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
また、PAR樹脂(B)の耐熱性を損なわないよう、テレフタル酸とイソフタル酸以外の酸成分の共重合比率は10モル%未満であることが好ましい。
PAR樹脂(B)を構成する二価フェノール成分(b-2)としては、二価のフェノール類であれば特に制限はないが、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)成分、ビスフェノールTMC(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン)成分のいずれか、又は、ビスフェノールAとビスフェノールTMCのいずれも含むことが好ましい。
一般に、ビスフェノールA成分を含むことで押出成形性(流動性)に優れたPAR樹脂(B)となる。
一方、ビスフェノールTMC成分を含むことで、ガラス転移温度が向上し、耐熱性に優れるPAR樹脂(B)となる。
押出成形性と耐熱性のバランスを取りたい場合には、ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分のいずれも用いることが好ましい。この場合、ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分の割合(モル%)は、ビスフェノールA/ビスフェノールTMC=99/1~1/99が好ましく、90/10~10/90がより好ましく、80/20~20/80がさらに好ましく、70/30~30/70が特に好ましく、60/40~40/60がとりわけ好ましい。
ビスフェノールA成分とビスフェノールTMC成分の割合をかかる範囲にすることにより、耐熱性と溶融成形性のバランスに優れるPAR樹脂(B)となる。
PAR樹脂(B)は、二価フェノール成分(b-2)としてビスフェノールAとビスフェノールTMC以外のビスフェノール類を共重合してもよい。
具体的には、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールAF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)、ビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)、ビスフェノールBP(ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン)、ビスフェノールC(2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールE(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン)、ビスフェノールF(ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、ビスフェノールG(2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン)、ビスフェノールM(1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン)、ビスフェノールS(ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビスフェノールP(1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン)、ビスフェノールPH(5,5’-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1’-(ビスフェニル)-2-オール]プロパン)、ビスフェノールZ(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)等が挙げられる。
PAR樹脂(B)の耐熱性を損なわないよう、上記化合物の共重合比率は10モル%未満であることが好ましい。
PAR樹脂(B)は、前記PBN樹脂(A)との相溶性を高めるために、ジカルボン酸成分(b-1)としてテレフタル酸成分とイソフタル酸成分の混合物を、二価フェノール成分(b-2)としてビスフェノールA成分、ビスフェノールTMC成分のいずれか、又は、ビスフェノールAとビスフェノールTMCの混合物を選択することが好ましい。
本発明に用いるPAR樹脂(B)は、前記PBN樹脂(A)よりもガラス転移温度が高く、それらのガラス転移温度の差は60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることが特に好ましく、100℃以上であることがとりわけ好ましい。
PBN樹脂(A)とPAR樹脂(B)のガラス転移温度の差が上記範囲であることで、本樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が好適な範囲となり、耐熱性及び押出成形性に優れたポリエステル樹脂組成物が得られる。
PBN樹脂(A)とPAR樹脂(B)のガラス転移温度の差の上限値については、得に限定されないが、通常220℃以下であり、190℃以下であることが好ましい。
PAR樹脂(B)のガラス転移温度(Tg(B))は、130℃以上280℃以下であることが好ましく、140℃以上260℃以下であることがより好ましく、150℃以上240℃以下であることがさらに好ましい。PAR樹脂(B)のガラス転移温度(Tg(B))がかかる範囲にあれば、本樹脂組成物のガラス転移温度が好適な範囲となり、耐熱性及び押出成形性に優れた樹脂組成物が得られる。
なお、ガラス転移温度(Tg(B))は、実施例に記載の方法で測定できる。
本発明に用いるPAR樹脂(B)は、押出成形性の向上を目的としてポリカーボネート樹脂を混合してもよい。PAR樹脂(B)とポリカーボネート樹脂は相溶するため、PAR樹脂(B)に対してポリカーボネート樹脂を混合することで、透明性や機械特性を維持したままPAR樹脂(B)のガラス転移温度(Tg(B))を下げることができ、結果として押出成形性を向上することができる。
<ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明するが、以下の説明は、本樹脂組成物を製造する方法の一例であり、本樹脂組成物はかかる製造方法により製造される本樹脂組成物に限定されるものではない。
本発明の実施形態の一例に係る本樹脂組成物の製造方法は、ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート樹脂(B)を含み、溶融混練してなるポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
また、前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)は、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を50モル%以上含むことが好ましく、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上含むことがより好ましい。
本樹脂組成物の製造方法においては、PBN樹脂(A)及びPAR樹脂(B)のそれぞれ一部がエステル交換反応をして、PBN樹脂(A)とPAR樹脂(B)間の界面張力が大幅に低下し相溶化して、透明性及び耐熱性に優れたポリエステル樹脂組成物が得られるものと考えられる。
上記樹脂を混練する方法は特に限定されないが、なるべく簡便に本樹脂組成物を得るためには、押出機を用いて溶融混練することによって製造することが好ましい。
さらに、PBN樹脂(A)とPAR樹脂(B)とを均一に混合するために、同方向二軸押出機を用いて溶融混練することがより好ましい。
混練温度は、用いる全ての樹脂のガラス転移温度以上であり、かつ結晶性樹脂の結晶融解温度以上であることが好ましい。使用する樹脂のガラス転移温度や結晶融解温度に対して、混練温度が高い方が、樹脂の一部のエステル交換反応が生じやすく、相溶性が向上しやすいものの、必要以上に混練温度が高くなると樹脂の分解が起こってしまう。以上の観点から、混練温度は250℃以上330℃以下であることが好ましく、より好ましくは255℃以上325℃以下、さらに好ましくは260℃以上320℃以下、特に好ましくは265℃以上315℃以下である。混練温度がかかる範囲であれば、樹脂の分解が生じることなく、相溶性や押出成形性を向上させることができる。
<<ポリエステルフィルムとその製造方法>>
以下に、本樹脂組成物から得られる未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸したポリエステルフィルム(以下、「本フィルム」とも称する)について記載する。上記の本樹脂組成物を一般の成形法、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって成形してポリエステルフィルムを製造することができる。それぞれの成形方法において、装置及び加工条件は特に限定されない。
本フィルムは、例えば以下の方法により製造することが好ましい。
本樹脂組成物により実質的に無定型で配向していないフィルム(以下、「未延伸フィルム」とも称する)を押出法で製造する。この未延伸フィルムの製造は、例えば、上記原料を押出機により溶融し、フラットダイ又は環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状又は環状の未延伸フィルムとする押出法を採用することができる。この際、場合によって、複数の押出機を使用した積層構成としてもよい。
次に、上記の未延伸フィルムを、フィルムの長手方向(MD)及びこれと直角な幅方向(TD)で、延伸効果、フィルム強度等の点から、少なくとも一方向に通常1.1~6.0倍、好ましくは縦横二軸方向に各々1.1~6.0倍の範囲で延伸する。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを、本樹脂組成物のガラス転移温度をTgとして、Tg~Tg+50℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に1.1~6.0倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によってTg~Tg+50℃の温度範囲内で横方向に1.1~6.0倍に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、Tg~Tg+50℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に1.1~6.0倍に延伸することにより製造することができる。
上記方法により延伸された二軸延伸フィルムは、引き続き熱固定される。熱固定をすることにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の処理温度は、好ましくは前記樹脂組成物の結晶融解温度Tm-1~Tm-50℃の範囲を選択する。熱固定温度が上記範囲内にあれば、熱固定が十分に行われ、延伸時の応力が緩和され、十分な耐熱性や機械特性が得られ、破断やフィルム表面の白化などのトラブルがない優れたフィルムが得られる。
本発明においては、熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させる為に、熱固定中に幅方向に0~15%、好ましくは3~10%の範囲で弛緩を行うことが好ましい。弛緩が十分に行われ、フィルムの幅方向に均一に弛緩されると、幅方向の収縮率が均一になり、常温寸法安定性に優れたフィルムが得られる。また、フィルムの収縮に追従した弛緩が行われる為、フィルムのタルミ、テンター内でのバタツキがなく、フィルムの破断もない。
本フィルムの厚みは、1~250μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましく、10~150μmであることがさらに好ましい。1μm以上とすることで、フィルム強度が実用範囲内に保たれる。250μm以下とすることで、光学用途に好適に用いることができる。
なお、厚みは、延伸条件等によって調整することができる。
本フィルムについて、150℃で30分間熱処理した際の熱収縮率は、長手方向(MD)、幅方向(TD)共に5.0%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましい。本フィルムの熱収縮率がかかる範囲にあれば、フィルムとして使用するのに十分な耐熱性を有する。なお、下限値は特に制限されないが、0.01%以上である。
本フィルムのヘーズの値は、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。本フィルムのヘーズの値が上記上限値以下であれば、フィルムとして使用するのに十分な透明性を有する。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
(1)本樹脂組成物のガラス転移温度
得られたフィルムについて、DSC8000(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分にて一度融解温度まで昇温させたのちに降温速度10℃/分にて降温させ、次いで、加熱速度10℃/分の昇温過程におけるガラス転移温度を測定した。
(2)本樹脂組成物の結晶融解温度
得られたフィルムについて、DSC8000(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7121(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分にて一度融解温度まで昇温させたのちに降温速度10℃/分にて降温させ、次いで加熱速度10℃/分の昇温過程における結晶融解温度を測定した。
(3)本樹脂組成物の融解エンタルピー
得られたフィルムについて、DSC8000(パーキンエルマージャパン社製)を用いて、JIS K7122(2012年)に準じて、加熱速度10℃/分にて一度融解温度まで昇温させたのちに降温速度10℃/分にて降温させ、次いで加熱速度10℃/分の昇温過程における融解エンタルピーを測定した。
(4)成形性
押出成形において、キャストロールで冷却固化して延伸前シートを得る際に、結晶化して白化せずに透明なフィルムが得られた場合には○、結晶化して白化したフィルムが得られた場合には×と評価した。
(5)本フィルムの熱収縮率
本フィルムを測定方向の長さ120mm、幅10mmの長方形に切り出し、端部から長さ100mmのところに印をつけたものを用いた。これら試験片の端部をクリップで挟んで吊り下げ、150℃で30分間加熱した。冷却後、試験片端部から印までの長さを測定して熱収縮率を求めた。
なお、測定は長手方向(MD)及び幅方向(TD)の両方行った。
(6)本フィルムのヘーズ
ヘーズメーターNDH-7000II(日本電色工業社製)を用いて、JIS K7136(2000年)に基づいて、全光線透過率及び拡散透過率を測定し、ヘーズを以下の式で算出した。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
(7)本フィルムの厚み
本フィルムの厚みについては、1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
[ポリブチレンナフタレート樹脂(A)]
PBN樹脂(A)として、ジカルボン酸成分(a-1):2,6-ナフタレンジカルボン酸=100モル%、ジオール成分(a-2):1,4-ブタンジオール=100モル%のホモPBNを用いた。当該PBN樹脂のガラス転移温度(Tg(A))は77℃、結晶融解温度(Tm(A))は243℃、融解エンタルピー(ΔHm(A))は56J/gであった。
[ポリアリレート樹脂(B)]
PAR樹脂(B)として、ジカルボン酸成分(b-1):テレフタル酸/イソフタル酸(モル比)=50/50、二価フェノール成分(b-2):ビスフェノールA100モル%のPARを用いた。当該PAR樹脂(B)のガラス転移温度(Tg(B))は193℃であった。
(実施例1)
ペレット状の(A)80質量%に対して、ペレット状の(B)20質量%の割合で添加し((A)が100質量部に対して、(B)が25質量部)、ドライブレンドした後、285℃に設定したΦ40mm二軸押出機にて溶融混練し、ギャップ1.0mmのTダイ内からフィルムとして押出し、65℃のキャストロールで引き取り、冷却固化し、厚み約450μmの膜状物(キャストフィルム)を得た。
続いて、得られたキャストフィルムを縦延伸機に通し、赤外線ヒーター(ヒーター近傍温度:133℃)で加熱して長手方向(MD)に2.8倍延伸を行った。続いて、得られた縦延伸フィルムを横延伸機(テンター)に通し、予熱温度110℃、延伸温度115℃、熱固定温度190℃で幅方向(TD)に4.3倍延伸を行い、その後テンター内にて熱固定しながら、幅方向(TD)にフィルムの弛緩処理を5%行った。
得られた樹脂組成物の特性を表1に、得られた延伸フィルムの特性を表2に示す。
(実施例2)
ペレット状の(A)70質量%に対して、ペレット状の(B)30質量%の割合で添加し((A)が100質量部に対して、(B)が42.9質量部)、ドライブレンドした後、285℃に設定したΦ40mm二軸押出機にて溶融混練し、ギャップ1.0mmのTダイ内からフィルムとして押出し、90℃のキャストロールで引き取り、冷却固化し、厚み約450μmの膜状物(キャストフィルム)を得た。
続いて、得られたキャストフィルムを縦延伸機に通し、赤外線ヒーター(ヒーター近傍温度:133℃)で加熱して長手方向(MD)に2.8倍延伸を行った。続いて、得られた縦延伸フィルムを横延伸機(テンター)に通し、予熱温度110℃、延伸温度115℃、熱固定温度190℃で幅方向(TD)に4.3倍延伸を行い、その後テンター内にて熱固定しながら、幅方向(TD)にフィルムの弛緩処理を5%行った。
得られた樹脂組成物の特性を表1に、得られた延伸フィルムの特性を表2に示す。
(実施例3)
ペレット状の(A)60質量%に対して、ペレット状の(B)40質量%の割合で添加し((A)が100質量部に対して、(B)が66.7質量部)、ドライブレンドした後、285℃に設定したΦ40mm二軸押出機にて溶融混練し、ギャップ1.0mmのTダイ内からフィルムとして押出し、95℃のキャストロールで引き取り、冷却固化し、厚み約450μmの膜状物(キャストフィルム)を得た。
続いて、得られたキャストフィルムを縦延伸機に通し、赤外線ヒーター(ヒーター近傍温度:145℃)で加熱して長手方向(MD)に2.8倍延伸を行った。続いて、得られた縦延伸フィルムを横延伸機(テンター)に通し、予熱温度120℃、延伸温度125℃、熱固定温度190℃で幅方向(TD)に4.1倍延伸を行い、その後テンター内にて熱固定しながら、幅方向(TD)にフィルムの弛緩処理を5%行った。
得られた樹脂組成物の特性を表1に、得られた延伸フィルムの特性を表2に示す。
(比較例1)
ペレット状の(A)100質量%を使用し、キャストロールの温度を75℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でキャストフィルムを製膜しようとしたところ、結晶化と思われる白化が起き、キャストロールへの密着不良のため、外観が悪く、厚みの不均一なフィルムとなり、延伸可能な非晶フィルムが採取できなかった。したがって、表1の成形性を×とした。
Figure 2022172667000001
Figure 2022172667000002
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れることがわかる。
また、この樹脂組成物は、問題なく延伸フィルムを製造することができ、得られたフィルムはヘーズ及び熱収縮率が低いことから、透明性及び耐熱性に優れることがわかる。

Claims (13)

  1. ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート樹脂(B)を含むポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を50モル%以上含む、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上含む、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記ポリアリレート樹脂(B)のガラス転移温度が、前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)のガラス転移温度よりも高い、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリアリレート樹脂(B)を1質量部以上100質量部以下の割合で含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. ガラス転移温度が、80℃以上150℃以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 結晶融解温度が、200℃以上300℃以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 融解エンタルピーが、5J/g以上55J/g以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物から得られる未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸したポリエステルフィルム。
  10. ポリブチレンナフタレート樹脂(A)及びポリアリレート樹脂(B)を含み、溶融混錬してなるポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を50モル%以上含む、請求項10に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  12. 前記ポリブチレンナフタレート樹脂(A)が、ジカルボン酸成分(a-1)として2,6-ナフタレンジカルボン酸単位を90モル%以上、ジオール成分(a-2)として1,4-ブタンジオール単位を90モル%以上含む、請求項10又は11に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  13. 前記溶融混錬の温度が、250℃以上330℃以下である、請求項10~12のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。

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