JP6915411B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は紫外線吸収性、及び、透明性に優れたポリエステル樹脂組成物、並びに、紫外線吸収性、透明性、機械特性、及び、生産性に優れた成形体に関する。
一般的にポリエステル樹脂は、耐熱性、機械的強度、透明性、耐薬品性、ガスバリアー性などの性質に優れており、かつ価格的にも入手し易い事から、汎用性が高く、現在、飲料・食品用容器や包装材、成形品、フィルムなどに広く利用されている樹脂である。しかしながら、ポリエステル樹脂は構造中にエステル結合を含むため紫外線照射によって劣化しやすく、野外や電気・電子部材等、紫外線に曝されやすい用途においては長期使用が困難であるという課題を有していた。
この課題を解決するための手段として例えば以下のものがある。
特許文献1には、熱可塑性樹脂に可溶な紫外線吸収剤を含むフィルムが開示されており、このフィルムは優れた紫外線吸収性や光学的性質、機械特性を有することが開示されている。
一方、特許文献2にはフィルムの少なくとも片面に紫外線吸収剤を含む重合体をコーティングしたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが開示されており、このフィルムは優れた機械特性および耐候性(紫外線吸収性)を有することが開示されている。
特表2003−529461号公報 特開2003−180171号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているフィルムに含まれる紫外線吸収剤はいずれも低分子量化合物であるため、長期使用をするとフィルム表面に紫外線吸収剤がブリードアウトする懸念があった。また紫外線吸収能を高めるために添加量を増やすと光学的性質、機械特性、及び、耐熱性が悪化する懸念があった。
また、特許文献2に開示されているフィルムはコーティング工程を要し、コーティング用の大型設備が必要であり、フィルム製造の面で課題を有していた。さらに、コーティング層として使用する重合体は熱硬化性でありPET樹脂と非相溶であるので、製造工程で再生原料として使用をした際にフィルムの機械特性、光学特性の低下の懸念があった。
本発明で解決しようとする課題は、上記の問題点を解決し、紫外線吸収性、及び、透明性に優れたポリエステル樹脂組成物、並びに、紫外線吸収性、透明性、機械特性、及び、生産性に優れたフィルムを提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 少なくとも2種類のポリエステル樹脂を含有し、ガラス転移温度が単一であり、YI値が20以下であるポリエステル樹脂組成物であって、下記一般式(1)のジオール成分を1〜20質量%有するポリエステル樹脂組成物。
Figure 0006915411
[2] 前記ポリエステル樹脂のうち1種類が、前記一般式(1)のジオールを全ジオール成分に対して5〜20モル%、1,4−ブタンジオールを全ジオール成分に対して50モル%〜95モル%含み、ジカルボン酸成分の主成分としてテレフタル酸を含む、紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)である[1]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[3] 前記ポリエステル樹脂のうち前記ポリエステル(A)以外の1種類が、ジカルボン酸成分の主成分として芳香族ジカルボン酸を含み、ジオール成分として前記一般式(1)のジオールを含まないポリエステル(B)である[2]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[4] ガラス転移温度が65℃以上160℃以下である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなるフィルム。
[7] [1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる層を最外層に少なくとも一層有する多層体。
本発明が提案する樹脂組成物は、紫外線吸収性、及び、透明性に優れており、この樹脂組成物から得られる成形体は添加剤のブリードアウトによる透明性の低下を起こすこともなく、紫外線吸収性、機械特性にも優れるので、光学特性が必要な用途にも長期使用が可能である。また、フィルム製造時にコーティング工程を要しないため、生産性からも優れている。
結晶性樹脂材料における動的粘弾性の温度分散測定の結果概略を示したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<ポリエステル樹脂組成物>
本発明の実施形態の一例に係るポリエステル樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」と称することがある)は、少なくとも2種類のポリエステル樹脂を含有し、ガラス転移温度が単一であり、YI値が20以下であるポリエステル樹脂組成物であって、下記一般式(1)のジオール成分を1〜20質量%有するポリエステル樹脂組成物である。
Figure 0006915411
PETをはじめとするポリエステル樹脂に対して、紫外線吸収性を付与する方法としては、紫外線吸収剤を添加する方法が知られている。しかしながら、この方法では紫外線吸収剤がブリードアウトするため、透明性や紫外線吸収性が悪化するという問題があった。
一方、紫外線吸収化合物を共重合したポリエステルは着色しており、このポリエステル単体の成形体は用途に制限があった。
本発明においては、少なくとも2種類のポリエステル樹脂を含有し、ガラス転移温度が単一であり、YI値が20以下であるポリエステル樹脂組成物であって、特定のベンゾトリアゾール基を有する樹脂組成物が、優れた紫外線吸収性、透明性を発現することを見出したものである。本発明の樹脂組成物から得られる成形体は、添加剤のブリードアウトによる透明性や紫外線吸収性の低下を起こすことがなく、機械特性にも優れるので、光学特性が必要な用途にも長期使用が可能である。また少なくとも2種類以上の組成物とすることで、紫外線吸収剤含有ポリエステルの着色の懸念も解決される。
本樹脂組成物は一般式(1)で表されるジオール成分を、1〜20質量%有することが好ましく、5〜18質量%有することがより好ましく、7〜15質量%有することが特に好ましい。1質量%以上であることで、樹脂組成物の紫外線吸収性が優れたものとなる。一方、20質量%以下であることにより、着色の少ない成形体を得る事が出来る。また、本樹脂組成物が本質的に結晶性を示す場合には、前記ジオール成分がかかる範囲にある事で、結晶性を維持し、ひいては機械特性や耐熱性が良好となる。
本樹脂組成物は、ガラス転移温度が単一である。
ガラス転移温度が単一であるとは、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件にて動的粘弾性の温度分散測定(JIS K7244法の動的粘弾性測定)を行った際、本樹脂組成物は損失正接(tanδ)の主分散のピークが1つだけ存在することを意味する。樹脂組成物のガラス転移温度が単一であれば、樹脂組成物に含まれる樹脂は相溶しており、透明性を有するポリエステル樹脂組成物となる。
ここで、主分散についてさらに説明する。図1で示すように、一般に、樹脂の温度を低温から徐々に上げていくと、側鎖全体の熱運動(γ分散)、主鎖の局所的運動(β分散)、非晶領域における主鎖のミクロブラウン運動(αa分散)、結晶内分子鎖の運動(αc分散)、融解、流動といった緩和機構にそれぞれ対応したピークが観察される。これらの中でも、非晶領域における主鎖のミクロブラウン運動(αa分散)は、他の緩和機構に比べて活性化エネルギーが高く、それに対応するピークも大きくなる事から、主分散と呼ばれる(それより低温の緩和機構は副分散と呼ばれる)。ガラス転移温度は、非晶領域における主鎖のミクロブラウン運動が生じる際の温度であるので、動的粘弾性の温度分散測定における主分散のピークは、ガラス転移温度を示しているということができる。
続いて、ポリマーブレンド系の動的粘弾性挙動について説明する。ポリマーブレンド系は、相溶系の組み合わせと非相溶系の組み合わせとに分けられる。
相溶系とは、混合する2種類以上の樹脂が分子レベルで完全に混ざり合う系を意味する。この際、分子レベルで混ざり合っている非晶領域は単一の相と見なす事ができ、ミクロブラウン運動も単一の温度で生じる。従って、相溶系の場合、ガラス転移温度が単一であり、主分散のピークも単一となる。また、その温度は、ブレンド比率に応じて、ブレンドするそれぞれの樹脂の間の範囲に値をとる。
一方、非相溶系の場合、混合する2種類以上の樹脂が混ざり合っておらず、二相系(あるいはそれ以上)として存在する。従って、ガラス転移温度を示す主分散のピークは、ブレンドするそれぞれの樹脂と同じ位置に2つ以上存在する事になる。非相溶の場合、それぞれの樹脂の屈折率が極めて近い値になければマトリックスとドメインの界面で光が散乱し、樹脂組成物の透明性が損なわれる。また、引張や曲げ等の外力を加えた際に界面で剥離が生じ、機械物性の低下や白化を招く。さらに、延伸フィルムの製造の際、延伸時に界面剥離が生じ、破断や白化の原因となる。
本発明においては、本樹脂組成物を構成する樹脂が相溶しているため、本樹脂組成物及び該組成物を用いて得られる成形体は優れた透明性を有する。
本樹脂組成物のガラス転移温度は単一であり、その温度の下限については65℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上である。一方、上限は160℃以下、好ましくは155℃以下である。本樹脂組成物のガラス転移温度がかかる範囲にあれば、本樹脂組成物は耐熱性と延伸成型性のバランスに優れる。
ガラス転移温度は、JIS K7198Aに準じて、動的粘弾性の温度分散測定を用いて歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて測定される損失正接(tanδ)の主分散のピークで評価されるものである。
本樹脂組成物のYI値は20以下である。好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下である。
YI値が20以下であることにより、樹脂組成物の着色の懸念がなくなる。
なお本発明におけるYI値は、JIS K7373に準拠し、樹脂組成物から得られる厚み100μmのフィルムについて測定するものである。
本発明の樹脂組成物のヘーズの値は、5%以下である事が好ましく、4%以下ある事がより好ましく、3%以下である事が更に好ましく、2%以下である事が特に好ましく、1.5%以下である事がとりわけ好ましい。本発明の樹脂組成物のヘーズの値がかかる範囲にあれば十分な透明性を有する。
なお、本発明におけるヘーズの値は、以下の式で計算するものである。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、本樹脂組成物は、ポリエステル以外の他の樹脂を含むことを許容することができる。
他の樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、及び、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、本樹脂組成物は一般的に配合される添加剤を適宜含むことができる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性およびフィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、及び、着色剤などの添加剤が挙げられる。
以下、本樹脂組成物を構成するポリエステルについて説明する。
<紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)>
本樹脂組成物を構成する紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)は、下記一般式(1)のジオール成分を含むポリエステルである。紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)はベンゾトリアゾール基を有し、本樹脂組成物は紫外線吸収能を有する。
Figure 0006915411
前記紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)は、上記一般式(1)で表されるジオールを全ジオール成分に対して5〜20モル%含むことが好ましい。5モル%以上の場合、フィルムに十分な紫外線吸収性能を与えることができる。一方、20モル%以下ならばフィルムの機械強度を向上することができる。
またベンゾトリアゾールを有するジオールの含量が上記範囲であることにより、本樹脂組成物は相溶性を示し、透明性を有する組成物となる。
紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)を構成するその他のジカルボン酸成分及びジオール成分について詳述する。
紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)は、ジカルボン酸成分の主成分として芳香族ジカルボン酸を含み、1,4−ブタンジオールを全ジオール成分に対して50モル%〜95モル%含むことが好ましい。
前記紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸成分は、芳香族ジカルボン酸を主成分とする。
ここで主成分とは、ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸が90モル%以上であることを指し、好ましくは92モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、特に好ましくはジカルボン酸成分の全て(100モル%)が芳香族ジカルボン酸である。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などがあげられる。これら芳香族ジカルボン酸はそれぞれ単独で、あるいは必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
またこれらのうち、得られる樹脂組成物の透明性の観点からテレフタル酸をもっとも好適に使用することができる。ジカルボン酸成分のうち、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、92モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、ジカルボン酸成分の全て(100モル%)がテレフタル酸であることが特に好ましい。
芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族カルボン酸等があげられる。これらは、全ジカルボン酸成分に対して5モル%未満の範囲で用いてもよく、それぞれ単独であるいは必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
前記紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)は、既に説明した一般式(1)で示されるジオール以外のジオール成分として、紫外線吸収化合物含有ポリエステルの安定性の観点から、1,4−ブタンジオールを含むことが好ましい。1,4−ブタンジオールは、全ジオール成分に対して50モル%〜95モル%含むのが好ましく、60〜95モル%含むことがより好ましい。1,4−ブタンジオールの含量が50モル%以上の場合、紫外線吸収化合物含有ポリエステルに分解の懸念がなく保存することが可能であり、本発明の樹脂組成物が着色する懸念もなくなる。
また、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で、あるいは必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
<ポリエステル(B)>
本樹脂組成物を構成するポリエステル樹脂のうち1種類が、ジオール成分として前記一般式(1)のジオールを含まないポリエステル(B)であることが好ましい。そのようなポリエステルとしては、透明性の観点から、ジカルボン酸成分の主成分として芳香族ジカルボン酸を含むポリエステル(B)が好ましい。
ここで主成分とは、ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸が90モル%以上であることを指し、好ましくは92モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、特に好ましくはジカルボン酸成分の全て(100モル%)が芳香族ジカルボン酸である。ポリエステル(B)が、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を主成分とすることにより、ポリエステル(B)は耐熱性や透明性、機械特性、前記ポリエステル(A)との相溶性に優れる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などがあげられる。これら芳香族ジカルボン酸はそれぞれ単独で、あるいは必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族カルボン酸等があげられる。これらは、全ジカルボン酸成分に対して5モル%未満の範囲で用いてもよく、それぞれ単独であるいは必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル(B)に含まれるジオール成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で、あるいは必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
好ましくは、ポリエステル(B)は、透明性の観点から、ジオール成分の主成分がエチレングリコール、ジエチレングリコール、及び/または、1,4−ブタンジオールであることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物からなるフィルムの延伸が可能である点から、ジオール成分の主成分がエチレングリコールであることが好ましい。
ここで主成分とは、ジオール成分のうち、90モル%以上であることを指し、好ましくは92モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、特に好ましくはジオール成分の全て(100モル%)であることをいう。
本発明に使用される前記紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。
<ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明するが、以下の説明は、本樹脂組成物を製造する方法の一例であり、本樹脂組成物はかかる製造方法により製造される本樹脂組成物に限定されるものではない。
上記樹脂を混練する方法は特に限定されないが、なるべく簡便に本樹脂組成物を得る為に、押出機を用いて溶融混練する事によって製造するのが好ましい。
更に、紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを均一に混合するために、同方向二軸押出機を用いて溶融混練するのが好ましい。
混練温度は、用いる全ての樹脂のガラス転移温度以上であり、かつ結晶性樹脂に対しては、その樹脂の結晶融解温度以上である事が必要である。使用する樹脂のガラス転移温度や結晶融解温度に対して、なるべく混練温度が高い方が、樹脂の一部のエステル交換反応が生じやすく、相溶性が向上しやすいものの、必要以上に混練温度が高くなると樹脂の分解が起こる為好ましくない。この事から、混練温度は260℃以上350℃以下であり、270℃以上340℃以下が好ましく、280℃以上330℃以下がより好ましく、290℃以上320℃以下が特に好ましい。混練温度がかかる範囲であれば、樹脂の分解を生じる事なく、相溶性や溶融成形性を向上させる事ができる。
得られた本樹脂組成物を、一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって成形して二軸延伸フィルムを作製する事ができる。それぞれの成形方法において、装置および加工条件は特に限定されない。
<成形体とその製造方法>
以下に、本樹脂組成物からなる成形体、フィルムについて記載する。
得られた本樹脂組成物を、以下の方法でフィルム、プレート、射出成型品等の成形体とすることができる。
フィルム及びプレートは、ロール延伸、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法のほか、フィルムやプレートの成形方法として一般的なTダイキャスト法、プレス法などにより得ることができる。
また、射出成形体は、例えば熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法及び射出圧縮成形法等の射出成形法により得ることができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法等により射出成形体が得られる。
上記の本樹脂組成物を一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって成形してフィルムを作製する事ができる。それぞれの成形方法において、装置および加工条件は特に限定されない。
上記で説明した本樹脂組成物より実質的に無定型で配向していないフィルム(以下「未延伸フィルム」と称することがある)を押出法で製造する。この未延伸フィルムの製造は、例えば、上記原料を押出機により溶融し、フラットダイ、または環状ダイから押出した後、急冷する事によりフラット状、または環状の未延伸フィルムとする押出法を採用する事ができる。
本発明のポリエステルフィルムは、縦方向と横方向のいずれか、または両方にそれぞれ1.1〜5.0倍ずつ延伸しても良い。延伸する事により、フィルムの機械特性を向上させる事ができる。
本発明から得られる未延伸フィルムを延伸する場合、紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)としては、1,4−ブタンジオールを全ジオール成分に対して50モル%〜95モル%含み、ポリエステル(B)としては、エチレングリコールを主成分として含むことが好ましい。
紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)及びポリエステル(B)をそれぞれ上記のように選択することにより、フィルム中の紫外線吸収化合物含有ポリエステルに分解の懸念がなく、かつ、ポリエステルフィルムの延伸も容易に行うことが可能となる。
二軸延伸フィルムを製造する場合、上記の未延伸フィルムをフィルムの流れ方向(縦方向)、及び、これと直角な方向(横方向)で、延伸効果、フィルム強度等の点から、少なくとも一方向に通常1.1〜5.0倍、好ましくは縦横二軸方向に各々1.1〜5.0倍の範囲で延伸する。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、本樹脂組成物のガラス転移温度をTgとして、Tg〜Tg+50℃の温度範囲で未延伸フィルムを加熱し、ロール式縦延伸機を用いて縦方向に1.1〜5.0倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機を用いてTg〜Tg+50℃の温度範囲内で横方向に1.1〜5.0倍に延伸することで二軸延伸フィルムを製造できる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、Tg〜Tg+50℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に1.1〜5.0倍に延伸することで製造できる。
ただし、積層フィルムの場合は、Tgが高い層に合わせた温度設定で延伸を行う。
本発明のフィルムの厚み100μmにおける紫外線照射前後のイエローインデックス(YI値)の変化量は20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
ここで、紫外線照射前後のイエローインデックスの変化量は、岩崎電気(株)のアイス―UVテスタ―SUV―W151を用いて、照射強度70mW/cm、照射温度63℃、照射湿度50%RHの条件で紫外線を50時間照射する前後の、JIS K7373に準拠して測定した厚み100μmにおけるイエローインデックスの変化量である。
本発明のフィルムは、120℃、50%RHの環境下で24時間熱処理を行った時、添加剤成分がフィルム表面にブリードしない。
本発明のフィルムのヘーズの値は、5%以下である事が好ましく、4%以下ある事がより好ましく、3%以下である事が更に好ましく、2%以下である事が特に好ましく、1.5%以下である事がとりわけ好ましい。本発明の二軸延伸フィルムのヘーズの値がかかる範囲にあれば、フィルムとして使用するのに十分な透明性を有する。
なお、本発明におけるヘーズの値は、以下の式で計算する事ができる。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
本発明の二軸延伸フィルムについて、引張破断強度は50MPa以上300MPa以下であることが好ましい。引張破断強度がかかる範囲であれば、フィルムとして使用するのに十分な機械強度を有し、かつ剛性が高すぎず適度なハンドリング性を有する。
ここで、引張破断強度はJIS K7127に準拠して温度23℃、試験速度200mm/分の条件で測定したものである。
本発明の二軸延伸フィルムについて、引張破断深度は20%以上であることが好ましい。引張破断深度が20%以上であればフィルムとして使用するのに十分な靱性を有する。
ここで、引張破断深度はJIS K7127に準拠して温度23℃、試験速度200mm/分の条件で測定したものである。
また、本発明の樹脂組成物からなるフィルム、プレート、射出成形体などの成形体は多層体としても広く使用することができる。本多層体の成形方法としては公知の方法、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の方法を用いることができる。この中でも、押出成形の場合には共押出法を用いることが好ましい。
本発明の多層体においては、本樹脂組成物からなる層を少なくとも1層以上有することが重要である。この層を少なくとも1層以上有することで、優れた耐紫外線変色性を付与することができる。
本樹脂組成物からなる層を最外層に少なくとも一層有する多層体であることが好ましく、耐紫外線変色性の観点から、本樹脂組成物からなる層を両最外層に有する多層体であることが特に好ましい。
本発明の多層体の層構成は、本樹脂組成物を含有する層を層(X)としたとき、(X)/(Y)のような2層構成、(X)/(Y)/(X)、(Y)/(X)/(Y)のような3層構成、(X)/(Y)/(X)/(Y)のような4層構成、(X)/(Y)/(X)/(Y)/(X)、(Y)/(X)/(Y)/(X)/(Y)のような5層構成等のいずれであってもよく、特に限定されないが、良好な紫外線吸収性を得られるという点で、本樹脂組成物からなる層を両最外層として有する積層フィルムであることが好ましい。また、層(X)、層(Y)の他に接着層を設けてもよいが、生産性の観点から、上記のように直接接着できることが好ましい。
層(Y)に用いる樹脂としては、層(X)との界面で強固に接着する樹脂、すなわち、本樹脂組成物と相溶性の高い樹脂を用いるのが好ましい。このような樹脂としては特に制限はないが、紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)との相溶性の観点から、ポリエステルを用いるのが好ましい。
前記ポリエステルフィルムに占める層(X)の厚み比は、フィルムの厚みを100とした時に1以上である事が好ましく、5以上である事がより好ましく、10以上である事が更に好ましく、20以上である事が特に好ましく、30以上である事がとりわけ好ましい。層(X)の厚み比がかかる範囲であれば、この積層フィルムは優れた紫外線吸収性を有する。
本発明の樹脂組成物からなるフィルム、プレート、または、射出成形品などの成形体は、耐紫外線変色性、二次加工性、耐熱性、透明性に優れるため、例えば、建材、内装部品、透明シート、樹脂被覆金属板用シート、成型(真空・圧空成型、熱プレス成型など)用シート、カード基材、着色プレート、透明プレート、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シュリンクチューブや、自動車内装材、ディスプレイ等の家電製品部材、OA機器部材等に使用できる。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
<評価>
(1)耐紫外線性能(YI値)
得られたフィルムについて、JIS K7373に準拠し、厚み100μmにおけるイエローインデックス(YI値)を測定した。続いて、岩崎電気(株)のアイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、照射強度70mW/cm、照射温度63℃、照射湿度50%RHの条件で紫外線を50時間照射した後、同様の方法でYI値を測定した。
紫外線の照射前後で、YI値の変化量が20以下であるものを合格(〇)、YI値が20を超えるものを不合格(×)とした。
(2)耐ブリードアウト性
得られたフィルムについて、120℃、50%RHの環境下で24時間熱処理を行い、試験後に析出した紫外線吸収剤成分の重量を測定した。析出しなかったものを合格(○)、析出したものを不合格(×)とした。
(3)ガラス転移温度
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、JIS K7244(1999年)に準じて、歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分で動的粘弾性の温度分散測定を用い、損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度を測定した。積層系の場合は、表層についてガラス転移温度の測定を行った。主分散のピークが単一であるものを合格(○)、ピークが2つ以上あるものを不合格(×)とした。
(4)透明性
得られたフィルムについて、ヘーズメーターNDH−5000(日本電色工業社製)を用いて、JIS K7136(2000年)に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を測定し、ヘーズを以下の式で算出した。混合物(X)の厚み50μmでのヘーズが5%以下であるものを合格(○)、5%を超えるものを不合格(×)とした。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
(5)引張破断強度
得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して温度23℃、試験速度200mm/分の条件で引張破断強度を測定した。続いて、岩崎電気(株)のアイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、照射強度70mW/cm、照射温度63℃、照射湿度50%RHの条件で紫外線を50時間照射した後、同様の方法で引張破断強度を測定した。紫外線の照射前後で、共に引張破断強度の値が50MPa以上、300MPa以下のものを合格(○)、この範囲から外れるものを不合格(×)とした。
(6)引張破断伸度
得られたフィルムについて、JIS K7127に準拠して温度23℃、試験速度200mm/分の条件で引張破断伸度を測定した。続いて、岩崎電気(株)のアイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、照射強度70mW/cm、照射温度63℃、照射湿度50%RHの条件で紫外線を50時間照射した後、同様の方法で引張破断伸度を測定した。紫外線の照射前後で、共に引張破断伸度の値が20%以上のものを合格(○)、20%未満のものを不合格(×)とした。
<樹脂>
[紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)]
(A−1):紫外線吸収化合物含有ポリエステル(ジオール成分:1,4−ブタンジオール/2,2−メチレンビス[4−(2−ヒドロキシエチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]=84/16モル%、酸成分:テレフタル酸=100モル%、Tg=88℃、Tm=187℃、屈折率:1.617)
(A−2):紫外線吸収化合物含有ポリエステル(ジオール成分:1,4−ブタンジオール/2,2−メチレンビス[4−(2−ヒドロキシエチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]/1,4−シクロヘキサンジメタノール=72/9/19モル%、酸成分:テレフタル酸=100モル%、Tg=74℃、Tm=181℃、屈折率:1.598)
[ポリエステル(B)]
(B−1):ノバペックス BK2180(三菱化学社製、ジオール成分:エチレングリコール/ジエチレングリコール=97.9/2.1モル%、酸成分:テレフタル酸/イソフタル酸=98.5/1.5モル%、Tg=90℃、Tm=248℃、屈折率:1.576)
(B−2):ノバデュラン 5020(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ジオール成分:1,4−ブタンジオール=100モル%、酸成分:テレフタル酸=100モル%、Tg=56℃、Tm=220℃、屈折率:1.576)
(実施例1)
ペレット状の紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A−1)とポリエステル(B−1)を、(A−1)/(B−1)=33/67質量%の割合でドライブレンドした後、270℃に設定したΦ40mm単軸押出機にて溶融混練し、Tダイ内からフィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、厚み900μmの未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを縦延伸機に通し、100℃で縦方向に3倍延伸を行った後、得られた縦延伸フィルムを横延伸機に通し、予熱温度100℃、延伸温度110℃で横方向に3倍延伸を行い、熱固定温度180℃で熱固定を行った。得られた100μmの二軸 延伸フィルムについて評価を行った結果を表1に示す。
(実施例2)
層(X)の原料としては(A−1)/(B−1)=33/67質量%の割合でブレンドしたものを、一方、層(Y)の原料としては(B−1)単体をそれぞれ使用した。これらをΦ40mm押出機2台により別々に溶融させ、(X)/(Y)/(X)の順番で共押出Tダイ内で積層させて3層構造の積層フィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、(X)/(Y)/(X)=180/540/180μm(全層厚み:900μm、積層比:(X)/(Y)/(X)=1/3/1)となるように未延伸積層フィルムを得た。この時、層(X)の押出機温度を250℃に、層(Y)の押出機温度を270℃に、フィードブロックの温度及び口金の温度は共に270℃とした。
得られた未延伸フィルムを100℃で縦方向に3倍延伸を行った後、得られた縦延伸フィルムを予熱温度100℃、延伸温度110℃で横方向に3倍延伸を行い、熱固定温度180℃で熱固定を行った。得られた100μmの二軸延伸フィルムについて評価を行った結果を表1に示す。
(実施例3)
層(X)の原料として(A−1)と(B−1)を(A−1)/(B−1)=50/50質量%の割合でブレンドして使用した以外は、実施例2と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
層(X)の原料として(A−1)と(B−1)を(A−1)/(B−1)=67/33質量%の割合でブレンドして使用した以外は、実施例2と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
層(X)の原料として(A−2)と(B−1)を、(A−2)/(B−1)=33/67質量%の割合でブレンドして使用した以外は、実施例2と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
層(X)の原料として(A−1)/(B−2)=33/67質量%の割合でブレンドしたものを、一方、層(Y)の原料として(B−2)単体をそれぞれ使用した。これらをΦ40mm押出機2台により別々に溶融させ、(X)/(Y)/(X)の順番で共押出Tダイ内で積層させて3層構造の積層フィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、(X)/(Y)/(X)=20/60/20μm(全層厚み:100μm、積層比:(X)/(Y)/(X)=1/3/1)となるように未延伸積層フィルムを得た。この時、層(X)と層(Y)の押出機温度、フィードブロックの温度及び口金の温度は共に250℃とした。ポリエステル(B−2)は結晶化速度が極めて速く、キャストロールで密着急冷したとしても結晶化が完了したフィルムしか得る事が出来ず、延伸することが困難であるため、未延伸フィルムの評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
原料としてポリエステル(B−1)を単体で使用し、熱固定温度を230℃に設定した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
ペレット状のポリエステル(B−2)を250℃に設定したΦ40mm単軸押出機にて溶融し、Tダイ内からフィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、厚み100μmの未延伸フィルムを得た。ポリエステル(B−2)は結晶化速度が極めて速く、キャストロールで密着急冷したとしても結晶化が完了したフィルムしか得る事が出来ないため、延伸することが困難であった。得られたフィルムについて評価を行った結果を表1に示す。
(比較例3)
層(X)の原料としてポリエステル(B−1)と(M−1):チヌビン1577(BASF社製、トリアジン系紫外線吸収剤、2−[4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(ヘキシルオキシ)フェノール)を、(A−1)/(B−2)=90/10質量%の割合でブレンドして使用した以外は、実施例2と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
原料としてポリエステル(A−1)を単体で使用した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006915411
実施例1の延伸フィルムは紫外線照射前後でYI値の変化は見られず、優れた紫外線吸収性を有している事が分かる。また、フィルムのヘイズも5%以下でありきわめて高い透明性を有している。
実施例2〜5の積層延伸フィルム、及び、実施例6の積層未延伸フィルムにおいても、紫外線照射前後でYI値の変化は見られず、優れた紫外線吸収性を有している事が分かる。また、フィルムのヘイズも5%以下でありきわめて高い透明性を有している。
一方、比較例1、2のフィルムは、いずれも紫外線によって劣化し、紫外線照射後の機械特性及び光学特性が大幅に低下していることがわかる。
比較例3の紫外線吸収剤を添加し延伸したフィルムでは、初期のYI値が高く、また、紫外線吸収剤成分が促進試験後にブリードアウトすることがわかる。
比較例4のフィルムは、着色しているためYI値が高く光学用途等に好ましく使用することができない。

Claims (10)

  1. 少なくとも2種類のポリエステル樹脂を含有し、ガラス転移温度が単一であり、YI値が20以下であるポリエステル樹脂組成物であり、下記一般式(1)のジオール成分を1〜20質量%有し、
    前記ポリエステル樹脂のうち1種類が、ジオール成分として前記一般式(1)のジオールと、1,4−ブタンジオールとを含み、当該1,4−ブタンジオールの含量が全ジオール成分に対して50モル%〜95モル%であり、ジカルボン酸成分の主成分として芳香族ジカルボン酸を含む、紫外線吸収化合物含有ポリエステル(A)であり、
    前記ポリエステル樹脂のうち前記ポリエステル(A)以外の1種類が、ジオール成分として前記一般式(1)のジオールを含まず、ジオール成分の主成分としてエチレングリコール及び/又はジエチレングリコールを含み、ジカルボン酸成分の主成分として芳香族ジカルボン酸を含むポリエステル(B)である、ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 0006915411
  2. 前記ポリエステル(A)が、前記一般式(1)のジオール成分を全ジオール成分に対して5〜20モル%含み、ジカルボン酸成分の主成分としてテレフタル酸を含む、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル(A)が、ジオール成分としてさらに1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル(B)のジオール成分の主成分がエチレングリコールである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 前記ポリエステル(B)が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. ガラス転移温度が65℃以上160℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなるフィルム。
  9. 延伸フィルムである、請求項8に記載のフィルム。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる層を最外層に少なくとも一層有する多層体。
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