JP5333898B2 - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの製造方法に関する。
近年、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶表示装置が、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、およびテレビ等の情報用表示デバイスとして急速に普及している。このような液晶表示技術の発展に伴い、さまざまなモードの液晶表示装置やそれに用いる光学部材が提案され、応答速度、コントラスト、視野角、および色再現性等の諸特性が改良されている。
たとえば、携帯電話などに代表される反射型、または半透過反射型液晶表示装置を構成する光学部材では、1/4波長板として機能する位相差フィルムや、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせて広帯域で1/4波長板として機能する位相差フィルムを直線偏光板に所定の角度で貼り合わせた楕円偏光板が使用されている。このような位相差フィルムとしては、たとえば特開平5−100114号公報(特許文献1)に開示されたようなポリカーボネート樹脂の延伸フィルム、また、特開平11−149015号公報(特許文献2)に開示されたような環状ポリオレフィン樹脂の延伸フィルムが用いられている。
また、最近では液晶表示装置の薄型化への要求が高まるに伴い、偏光板に代表される光学部材にも、その構成する光学フィルムの薄膜化が強く求められている。その要求に適する薄膜の位相差フィルムを得るため、実質的に固定端延伸となる横延伸を利用することができる。しかしながら、ポリカーボネート樹脂や環状ポリオレフィン樹脂では、横延伸で一軸性を実現するのに必要な高倍率で延伸するとフィルムが破断してしまうという問題点があった。また、縦一軸延伸で薄膜化を達成しようとすると、未延伸フィルムの膜厚をも薄膜化する必要があるため作業性が低下する。さらには、ネックインにより延伸後の位相差フィルムの幅が減少するため製品の面取り効率が低下するため現実的ではなかった。
一方、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムは、高倍率で横延伸することが可能であり、一軸性の薄膜位相差フィルムとすることができる。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂では、単位膜厚あたりの位相差値の発現率が高いため、効率的に薄膜化が可能である反面、位相差フィルムに横ダンと呼ばれる位相差値の帯状のバラツキ(以下、横ダンと呼ぶことがある)が発生しやすいという問題があった。
特開平5−100114号公報 特開平11−149015号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ポリプロピレン系樹脂からなる横ダンのない位相差フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムの横ダンの原因は未延伸原反の膜厚のバラツキに起因していることを突き止めた。さらに本発明者らは、横ダンは未延伸フィルムの膜厚分布を特定の範囲内とし、特定の条件で横延伸することで低減できることを突き止め、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、以下の(A)および(B)、または、(A)および(C)の条件を満たすポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムを、予熱温度が110〜140℃、予熱工程の滞留時間が10〜120秒、延伸倍率が3〜10倍の条件で横一軸にのみ延伸し、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn x 、面内進相軸方向の屈折率をn y 、厚み方向の屈折率をn z としたときに、N z =(n x −n z )/(n x −n y )で定義されるN z 係数が0.9〜1.1の範囲にある位相差フィルムを得ることを特徴とする。
(A)未延伸フィルムの任意の一点より長尺方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が0.1μm以下である、
(B)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、かつ、その隣り合う凸部の頂点間の距離が30mm以上である、
(C)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れない。
本発明の位相差フィルムの製造方法において、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなるポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムを用いることが、好ましい。
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂からなる横ダンのない位相差フィルムを製造することができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法に用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、たとえば20重量%以下、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。共重合体とする場合、コモノマーの量は、好ましくは1重量%以上である。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、たとえば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4);1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8);1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、および1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテン、および1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、たとえば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
位相差フィルムとしての透明度や加工性を上げる観点からは、プロピレンを主体とし、任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体にするのが好ましい。中でもエチレンとの共重合体が好ましい。共重合体とする場合、プロピレン以外の不飽和炭化水素類は、その共重合割合を1〜10重量%程度にするのが有利であり、より好ましい共重合割合は3〜7重量%である。プロピレン以外の不飽和炭化水素類のユニットを1重量%以上とすることで、加工性や透明性を上げる効果が出てくる傾向にある。一方、その割合が10重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、耐熱性が悪くなる傾向にあるので好ましくない。本発明の位相差フィルムの製造方法においては、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなるポリプロピレン系樹脂が好適に用いられる。なお、2種類以上のコモノマーとポリプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含量が、前記範囲であることが好ましい。
本発明の位相差フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって製造することができる。公知の重合用触媒としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、本発明の位相差フィルムに用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、たとえば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、またメタロセン系触媒としては、たとえば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、たとえばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって、製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチックのいずれであってもよい。本発明においては、耐熱性の点から、シンジオタクチックまたはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明の位相差フィルムに用いるポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜200g/10分、特に0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
このポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、たとえばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、たとえば2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系のような紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドのような高級脂肪酸アミド、ステアリン酸のような高級脂肪酸、およびその塩などが挙げられる。造核剤としては、たとえばソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンのような高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状、またはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
本発明の位相差フィルムの製造方法に用いるポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を、任意の方法で製膜して長尺状の未延伸フィルムとしたものである。たとえば溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などによって、面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂の長尺状の原反フィルムを得ることができる。この中では、溶融樹脂からの押出成形法によるものが、生産性の観点から好ましく用いられる。
本発明の位相差フィルムの製造方法においては、以下の(A)および(B)、または、(A)および(C)の条件を満たすポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムを用いることを特徴の1つとする。
(A)未延伸フィルムの任意の一点より長尺方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が0.1μm以下である、
(B)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、かつ、その隣り合う凸部の頂点間の距離が30mm以上である、
(C)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れない。
なお、本発明でいう「長尺方向」とは、未延伸フィルムが押出成形法によって製膜される場合はそのフィルムが押し出される方向、またキャスト法によって製膜される場合はそのフィルムが流延される方向、すなわち機械方向(Machine Direction)を意味する。また、上記膜厚プロファイルは、通常、静電容量厚み計を用いて測定することができ、そのような静電容量厚み計の例として、後述する実施例で用いたPROFILER 140E(MOCON社製)を挙げることができる。本明細書でいう膜厚プロファイルは、かかる静電容量厚み計を用いて、未延伸フィルムの任意の一点より長尺方向に沿って300mmの範囲の距離で連続的に測定されたものである。また「凸部膜厚」とは、膜厚プロファイルに現れる膜厚の凸と凹の繰り返しのうち、各凸部における最大膜厚(各凸部の頂点における膜厚)を指し、「凹部膜厚」とは、膜厚プロファイルに現れる膜厚の凸と凹の繰り返しのうち、各凹部における最小膜厚(各凹部の最底点における膜厚)を指す。さらに、「周期的」とは、膜厚プロファイルにおいて、概ね似たような間隔で、凸部膜厚と凹部膜厚とが規則的に繰り返し現れることを指す。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂からなる未延伸フィルムは、(A)未延伸フィルムの任意の一点より長尺方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が0.1μm以下、好ましくは0.06μm以下である。当該凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が0.1μmを超える未延伸フィルムを用いた場合、長尺方向に横ダンが発生し、この位相差フィルムを用いた楕円偏光板を液晶表示装置に貼合すると色ムラが観察されるため好ましくない。なお、本発明の位相差フィルムの製造方法に用いられるポリプロピレン系樹脂からなる未延伸フィルムは、この条件(A)を満たしているのであれば、膜厚プロファイルにおける凸部膜厚と凹部膜厚との差が0.1μmを超える部分を含んでいてもよい。
また本発明に用いるポリプロピレン系樹脂からなる未延伸フィルムは、(B)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れる場合には、その隣り合う凸部の頂点間の距離が30mm以上のものとする。膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れる場合、その隣り合う凸部の頂点間の距離が30mm以上であることで、このような未延伸フィルムを用いて製造された位相差フィルムにおいて位相差ムラの周期が広がるため、当該位相差フィルムを用いた液晶表示装置の表示面内には色ムラが観察されなくなる。一方、上記頂点間の距離が30mmを下回る部分があると、このような未延伸フィルムを用いて製造された位相差フィルムにおいて位相差ムラの周期が狭まることから、当該位相差フィルムを用いた液晶表示装置の表示面内に明確な色ムラが観察される。このように凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れる場合、その周期、すなわち隣り合う凸部の頂点間の距離が大きければ大きいほど、それを延伸して得られる位相差フィルムの位相差ムラの周期が大きくなるので、その位相差フィルムを用いた液晶表示装置における色ムラを解消できる。したがって、ここでいう隣り合う凸部の頂点間の距離は大きいほど好ましいが、上述したような押出成形法やキャスト法によって原反フィルムを製膜する場合、凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れるとすれば、その周期の最大値は100mm程度までである。逆に、その周期が100mmを超える場合は、以下に述べるところの「膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れない」フィルムとみなすこともできる。
また、本発明に用いるポリプロピレン系樹脂からなる未延伸フィルムは、(C)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れないものであってもよい。このように凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れない未延伸フィルムを用いても、上述した条件(A)を満たしているものであれば、液晶表示装置に用いた際に表示面内に色ムラが観察されにくくなり、実質的に問題のないレベルの位相差フィルムを製造することができる。ここで、「膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れない」状態には、膜厚プロファイルがほぼフラットである状態のほか、膜厚プロファイルにおいて凹凸は観察されるが、その分布がランダムである状態も包含される。
続いて未延伸フィルムを製造する方法の例として、押出成型による製膜法について説明する。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は180〜300℃の範囲内とすることが好ましく、230〜270℃の範囲内とすることがより好ましい。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られる未延伸フィルムの厚みが不均一になり、これを用いると位相差ムラのある位相差フィルムが製造される場合がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりする場合がある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。たとえば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、さらにマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気、または真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1〜5mmφのオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2〜4mmφである。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっき、またはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
(1)Tダイのリップ幅が1500mm未満:Tダイの厚み方向長さ>180mm
(2)Tダイのリップ幅が1500mm以上:Tダイの厚み方向長さ>220mm
(3)Tダイのリップ幅が1500mm未満:Tダイの高さ方向長さ>250mm
(4)Tダイのリップ幅が1500mm以上:Tダイの高さ方向長さ>280mm
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な原反フィルムを得ることができる。
さらには、ポリプロピレン系樹脂の吐出量を一定に制御することで、未延伸フィルムの膜厚のバラツキ範囲を低減する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプやリーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。これにより、長尺方向の未延伸フィルムの膜厚のバラツキ範囲を低減させることができる。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロール、またはキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は、通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを、前記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させる必要がある。たとえば、両ロールの表面温度は0〜30℃の範囲に調整されることが好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなることがある。ロールの表面温度は、好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくることがある。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸があると、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる場合がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.3S以下であることが好ましく、さらには0.1〜0.2Sであることがより好ましい。
また、金属冷却ロールの回転ムラに由来する未延伸フィルムの膜厚のバラツキ範囲を低減するため、精密減速機を備えたモーターを設置するのが好ましい。精密減速機を設置することで、冷却ロール回転ムラを回転速度の±0.5%以内に調整することが可能となり、長尺方向の膜厚のバラツキ範囲を低減することができる。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50〜300N/cmとするのが好ましく、さらには100〜250N/cmとするのがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚みは、通常、5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを前記のように短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、および使用するリップの先端形状により決定され、通常、50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻き取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間、その表面を保護するために、その片面、または両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、上述した(A)および(B)、または、(A)および(C)の条件を満たすポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムを、横延伸機を用いて横一軸延伸することで一軸性の位相差フィルムとする。ここで「横延伸」とは、ロールから巻き出される長尺状の未延伸フィルムを幅方向(横方向)に延伸することをいい、通常、以下の工程を有する。
(a)原反フィルムを、ポリプロピレン系樹脂の融点付近の予熱温度で予熱する予熱工程;
(b)予熱されたフィルムを、前記予熱温度よりも低い延伸温度で横方向に延伸する延伸工程;および
(c)横方向に延伸されたフィルムを熱固定する熱固定工程。
代表的な横延伸の方法としては、テンター法が挙げられる。テンター法は、チャックでフィルム幅方向の両端を固定した原反フィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げて延伸する方法である。テンター法に用いる延伸機(テンター延伸機)は、通常、予熱工程を行うゾーン、延伸工程を行うゾーン、および熱固定工程を行うゾーンにおいて、それぞれの温度を独立に調節できる機構を備えている。このようなテンター延伸機を用いて横延伸を行うことにより、軸精度に優れ、かつ均一な位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、この横一軸延伸を、予熱温度が110〜140℃、予熱工程の滞留時間が10〜120秒、延伸倍率が3〜10倍の条件で行うことを特徴の1つとする。
横延伸の予熱工程は、フィルムを幅方向に延伸する工程の前に設置される工程であり、フィルムを延伸するのに十分な温度までフィルムを加熱する工程である。予熱工程での予熱温度とは、テンター延伸機の予熱工程を行うゾーンにおける雰囲気温度を意味し、その温度は110〜140℃、好ましくは120〜135℃である。この予熱温度が110℃に満たないと、フィルムに熱が十分に与えられず、続く延伸工程でフィルムが横延伸されるときに応力が不均一にかかり、位相差フィルムとしての軸精度や位相差の均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、予熱温度が140℃を超えると、必要以上に熱がフィルムに与えられるために部分的に溶融し、ドローダウンする(下に垂れる)場合がある。
この予熱工程での滞留時間は10〜120秒であり、好ましくは30〜90秒、さらに好ましくは30〜60秒である。この予熱工程での滞留時間が10秒に満たないと、フィルムに熱が十分に与えられず、続く延伸工程でフィルムが横延伸されるときに応力が不均一にかかり、位相差フィルムとしての軸精度や位相差の均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、その滞留時間が120秒を超えると、必要以上に熱がフィルムに与えられるために部分的に溶融し、ドローダウンする(下に垂れる)場合がある。
延伸工程は、フィルムを幅方向に延伸する工程である。この延伸工程での延伸温度は、通常、予熱温度より低い温度とされる。延伸工程での延伸温度は、オーブンの延伸工程を行うゾーンにおける雰囲気温度を意味する。予熱されたフィルムを予熱工程よりも低い温度で延伸することにより、フィルムを均一に延伸できるようになり、その結果、光軸、および位相差の均一性に優れた位相差フィルムを得ることができる。延伸温度は、予熱工程における予熱温度より5〜20℃低いことが好ましく、7〜15℃低いことがより好ましい。また、延伸倍率は、光軸を発現させる方向(遅相軸となる方向)で3〜10倍程度の範囲から、必要とする位相差値に合わせて適宜選択すればよく、好ましくは3〜7倍の範囲である。このときの延伸倍率を3倍以上とすることにより、前記のNz係数を0.9〜1.1の範囲とすることができる。一方、延伸倍率が10倍を越えると、位相差値の均一性が損なわれる場合がある。
熱固定工程は、延伸後の位相差フィルムの位相差値や光軸など光学的特性の安定性を効果的に確保するために実施する。この工程では、延伸工程におけるフィルムの幅をそのまま保持した状態で、所定の熱固定温度のゾーンに通過させる工程である。熱固定温度は、通常、延伸温度よりも40℃低い温度から10℃高い温度までの範囲内に設定される。
上述したような本発明の位相差フィルムの製造方法によって製造された位相差フィルムは、その膜厚については特に制限されないが、5〜25μmの範囲が好ましく、8〜20μmの範囲がより好ましい。膜厚が25μmを超えると、薄膜化のメリットが十分に発揮されず、膜厚が5μmを下回ると、位相差フィルムにシワなどが発生しやすくなり、巻き取りや貼合時のハンドリング性が低下する。
この位相差フィルムにおいて、面内の位相差値Roは、70〜400nmの範囲であり、とりわけ80〜330nmの範囲にあることがより好ましい。厚み方向の位相差値Rthは、28〜240nmの範囲にあるのが好ましい。またNz係数は、0.9〜1.1の範囲であり、とりわけ0.95〜1.05の範囲にあることがより好ましい。これらの範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。ここで、Nz係数がほぼ1であれば、下記式(III)において、nyとnzがほぼ等しいことを意味し、そのような位相差フィルムは、ほぼ完全な一軸性のものとなる。
なお、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして厚みをdとしたときに、面内の位相差値Ro、厚み方向の位相差値Rth、およびNz係数は、それぞれ下式(I)、(II)、および(III)で定義される。
o=(nx−ny)×d (I)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)
z=(nx−nz)/(nx−ny) (III)
また、これらの式(I)、(II)および(III)から、Nz係数と面内の位相差値Roおよび厚み方向の位相差値Rthとの関係は、次の式(IV)で表すことができる。
z=Rth/Ro+0.5 (IV)
また、本発明の方法で製造された位相差フィルムは、任意の一点より、長尺方向に連続的に測定した位相差値プロファイルにおいて、周期的に現れる凸部位相差値の平均値と凹部位相差値の平均値との差が、好ましくは1.5nm以下、より好ましくは1.0nm以下、特に好ましくは0.8nm以下である。上記凸部位相差値の平均値と、凹部位相差値の平均値との差が1.5nmを超える位相差フィルムには横ダンが発生し、このような位相差フィルムを用いた楕円偏光板を液晶表示装置に貼合すると色ムラが観察されるため好ましくない。なお、上記位相差値プロファイルは、通常、位相差分布測定装置を用いて測定することができ、そのような位相差分布測定装置の例として、後述する実施例で用いたKOBRA‐CCD(王子計測機器社製)を挙げることができる。本明細書でいう位相差値プロファイルは、かかる位相差分布測定装置を用いて、位相差フィルムの任意の一点より、長尺方向に沿って300mmの範囲の距離で連続的に測定されたものである。また「凸部位相差値」とは、位相差値プロファイルに現れる位相差値の凸と凹の繰り返しのうち、各凸部における最大位相差値(各凸部の頂点における位相差値)を指し、「凹部位相差値」とは、位相差値プロファイルに現れる位相差値の凸と凹の繰り返しのうち、各凹部における最小位相差値(各凹部の最底点における位相差値)を指す。さらに「周期的」とは、本発明に用いる未延伸フィルムについて上述したのと同様に、位相差値プロファイルにおいて、概ね似たような間隔で、凸部位相差値と凹部位相差値とが規則的に繰り返し現れることを指す。
このような本発明の方法で製造された位相差フィルムを1/4波長板として用いる場合、その面内位相差値Roは、70〜160nmの範囲にあることが好ましく、さらには80〜150nmの範囲にあることがより好ましい。1/4波長板は、直線偏光で入射する光を、円偏光をはじめとする楕円偏光に、また円偏光をはじめとする楕円偏光で入射する光を直線偏光に、それぞれ変換して出射する機能を有する。一方、本発明の位相差フィルムを1/2波長板として用いる場合、その面内位相差値Roは、240〜400nmの範囲にあることが好ましく、さらには260〜330nmの範囲にあることがより好ましい。1/2波長板は、直線偏光の向きを回転させる機能を有する。
上述した本発明の方法で製造された位相差フィルムは、1/4波長板として、所定の軸角度で直線偏光板と積層することにより、あるいは1/2波長板とともに所定の軸角度で直線偏光板と積層することにより、楕円偏光板とすることができる。ここで、図1(a)は、本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた好ましい一例の楕円偏光板1を模式的に示す断面図であり、図1(b)は図1(a)に示す楕円偏光板1の軸角度の関係を説明するための図である。
本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた好ましい一例の楕円偏光板1では、図1(a)に示すように、上述した位相差フィルムからなる1/4波長板2を直線偏光板3に積層した構造を備える。この場合、図1(b)に示すように、直線偏光板3の吸収軸7を基準に、反時計回り方向を正として、1/4波長板2の面内遅相軸6に至る角度θが、40〜50°(好ましくはほぼ45°)となるように配置することで、ほぼ円偏光板として機能するようになる。あるいは、直線偏光板3の吸収軸7を基準に、反時計回り方向を正として、1/4波長板2の面内遅相軸6に至る角度θが、130〜140°(好ましくはほぼ135°)となるように配置することでも、やはりほぼ円偏光板として機能するようになる。以下、角度を表すときは、ここでの説明と同様、基準軸に対して反時計回りを正とする。
また図2(a)は、本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた好ましい他の例の楕円偏光板11を模式的に示す断面図であり、図2(b)は図2(a)に示す楕円偏光板11の軸角度の関係を説明するための図である。本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた好ましい他の例の楕円偏光板11は、図2(a)に示すように、1/2波長板12を介して、上述した1/4波長板2を直線偏光板3に積層した構造を備える。このような構造の場合、位相差フィルムは、可視光領域の広い波長範囲、すなわち広帯域で1/4波長板として機能するようになり、その1/2波長板12側に直線偏光板3を積層してなる図2(a)に示す楕円偏光板11は、広帯域で、直線偏光を円偏光に、また円偏光を直線偏光に変換できるようになる。さらにこのように構成することで、反射防止効果の角度依存性をも低減できるようになる。
この場合、図2(b)に示すように、直線偏光板3の吸収軸7を基準に、1/2波長板12の面内遅相軸13に至る角度φが10〜20°(好ましくはほぼ15°)となり、1/2波長板12の面内遅相軸13から1/4波長板2の面内遅相軸6に至る角度ψが55〜65°(好ましくはほぼ60°)となるように配置することで、ほぼ円偏光板として機能するようになる。あるいは、直線偏光板3の吸収軸7を基準に、1/2波長板12の面内遅相軸13に至る角度φが100〜110°(好ましくはほぼ105°)となり、1/2波長板12の面内遅相軸13から1/4波長板2の面内遅相軸6に至る角度ψが55〜65°(好ましくはほぼ60°)となるように配置することでも、やはりほぼ円偏光板として機能するようになる。後者の関係(直線偏光板の吸収軸から1/2波長板の面内遅相軸に至る角度が100〜110°)は、図2(b)における参照符号7を「直線偏光板の透過軸」と読み替えた状態に相当する。直線偏光板において、吸収軸と透過軸は面内で直交する関係にある。
特に、図2に示したように、1/4波長板2と1/2波長板12とを積層したものは、可視光領域の広い波長範囲、すなわち広帯域で1/4波長板として機能するようになり、その1/2波長板12側に直線偏光板3を積層した楕円偏光板11は、広帯域で、直線偏光を円偏光に、また円偏光を直線偏光に変換できるようになる。さらにこのように構成することで、反射防止効果の角度依存性をも低減できるようになる。
直線偏光板3は、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する機能が付与された光学素子であって、この分野で一般に用いられているものであることができる。具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも一方の面に、透明保護層を形成したポリビニルアルコール系の直線偏光板が一般的である。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させることにより、上述したような、ある方向の振動面を有する直線偏光を吸収し、それと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する機能を付与することができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、および染色後のホウ酸処理を施すことにより、この偏光フィルムを得ることができる。
直線偏光板3の透明保護層は、たとえば、従来から偏光フィルムの保護層として一般的に用いられているトリアセチルセルロース(TAC)やジアセチルセルロースに代表されるアセチルセルロース系樹脂のフィルムで構成することができるが、その他、ノルボルネン系樹脂に代表される環状ポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリプロピレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂のフィルム、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのフィルムなどで構成してもよい。
楕円偏光板の作製にあたり、波長板と偏光板との貼合、また波長板同士(1/4波長板と1/2波長板)の貼合には、たとえば、感圧接着剤(粘着剤)を用いることができる。感圧接着剤としては、透明性および耐久性に優れたアクリル系ポリマーを主体とするものが特に好ましく用いられる。感圧接着剤層の厚みは、通常、5〜50μmの範囲である。
以上のように構成される楕円偏光板1,11は、その1/4波長板2の面側に、感圧接着剤(粘着剤)を配置して、液晶セルへの貼り合わせが可能となるようにすることができる。この楕円偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の側に積層して、液晶表示装置が構成される。液晶セルの両面にこの楕円偏光板を配置することもできるし、液晶セルの片面にこの楕円偏光板を配置し、他面には別の偏光板を配置することもできる。液晶セルへの貼合にあたっては、1/4波長板2側が液晶セルに向き合うように配置される。
本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた楕円偏光板は、液晶セルの少なくとも一方の側に積層されることで、液晶表示装置に適用される。図3は、図1(a)に示した例の楕円偏光板1を液晶セル32の両面に配置した例の液晶表示装置31を模式的に示す断面図であり、図4は、図2(a)に示した例の楕円偏光板11を液晶セル32の両面に配置した例の液晶表示装置41を模式的に示す断面図である。
図3には、図1(a)に示した1/4波長板2と直線偏光板3との積層物である楕円偏光板1を、感圧接着剤33を介して液晶セル32の下側に積層するとともに、同じく感圧接着剤33を介して液晶セル32の上側にも積層した例を示している。なお、この際、楕円偏光板1は、それぞれ1/4波長板2側が液晶セル32側となるように配置される。また、それぞれの楕円偏光板1は、その直線偏光板3の吸収軸が直交するように配置される。このような構造を備える図3に示すような液晶表示装置を透過型または半透過反射型として用いる場合には、一方の楕円偏光板の外側(図3に示す例では下側に配置された楕円偏光板の下側)に、バックライト34が配置される。
また図4には、図2(a)に示した1/4波長板2と1/2波長板12と直線偏光板3との積層物である楕円偏光板11を、感圧接着剤33を介して液晶セル32の下側に積層するとともに、同じく感圧接着剤33を介して液晶セル32の上側にも積層した例を示している。なお、この際、楕円偏光板11は、それぞれ1/4波長板2側が液晶セル32側となるように配置される。それぞれの楕円偏光板11は、その直線偏光板3の吸収軸が直交するように配置される。この液晶表示装置を透過型または半透過反射型として用いる場合には、やはり一方の楕円偏光板の外側(図では下側)に、バックライト34が配置される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量を表す%は、特記ないかぎり重量基準である。
<実施例1>
(a)1/4波長板の作製
メルトフローレートが8g/10分であり、アイソタクチックの立体規則性を有するプロピレンランダム共重合体(エチレン含有量4.6%)を用いた。押出条件は、溶融状シートの温度250℃、引取り速度10m/min、引取り速度の回転ムラを0.25%以内にして、厚さ40μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムについて、静電容量厚み計PROFILER 140E(MOCON社製)を用いて、300mmの任意の領域を抽出し、さらにこの領域内の任意の一点より長尺方向に連続的に膜厚を測定し、膜厚プロファイルを得た。こうして得られた膜厚プロファイルにおいて、凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差は0.06μm、隣り合う凸部の頂点間の距離は40〜60mm(平均距離:50mm)であった。
この未延伸フィルムを、テンター横延伸機で横一軸に延伸した。延伸は、ライン速度4m/分(予熱ゾーンが4mであるので、滞留時間は60秒)で、まず温度が130℃に調節された予熱ゾーンに通し、続いて、温度が120℃に調節された延伸ゾーンで最終の延伸倍率が4倍となるようにして行った。得られた延伸フィルム(位相差フィルム)の面内位相差値Ro、厚み方向位相差値RthおよびNz係数を位相差測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定し、また厚みをデジタルマイクロメーターMH−15M((株)ニコン製)を用いて測定した。結果を表1に示す。また、得られた位相差フィルムについて、KOBRA‐CCD(王子計測機器社製)を用いて、300mmの任意の領域を抽出し、さらにこの領域内の任意の一点より長尺方向に連続的に位相差値を測定し、位相差値プロファイルを得た。このようにして得られた位相差フィルムは、面内位相差値Roが140nm、上記位相差値プロファイルにおいて周期的に現れる凸部位相差値の平均値と凹部位相差値の平均値との差は0.5nmであり、1/4波長板として機能するものであった。
(b)楕円偏光板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムを2枚のトリアセチルセルロースフィルムにより挟んだ構造で、その片面にアクリル系感圧接着剤層が設けられている直線偏光板(SR−WO62、住友化学(株)製)を用意した。一方、上記(a)で作製した1/4波長板を、遅相軸から45°の方向にカットし、その片面に積算照射量1680Jの条件でコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理後30秒以内に、そのコロナ放電処理面を、前記直線偏光板のアクリル系感圧接着剤層側に貼り合わせた。このとき、直線偏光板の吸収軸と1/4波長板の遅相軸とが45°の角度で交わるように配置した。こうして、直線偏光板にプロピレン系樹脂からなる1/4波長板が積層された楕円偏光板を得た。
(c)ムラ評価
液晶TV(BRVIA KDL40V)から取り出した液晶セルより両面の偏光板を剥がし、(b)で作製した楕円偏向板をフロント側に偏光板の吸収軸が0°になるように貼合し、リア側に偏光板の吸収軸が90°になるように貼合した。この液晶セルを元の液晶TVへ組み直し、暗所で作動させて横ダンを評価した。その結果、色ムラは全く観察されなかった。
<実施例2>
実施例1で用いたものと同じプロピレンランダム共重合体を製膜した。押出し条件は、溶融状シートの温度250℃、引取り速度8m/min、引取り速度の回転ムラを0.30%以内にして厚さ40μmの原反フィルムを得た。この未延伸フィルムについて、実施例1と同様に膜厚プロファイルを測定したところ、凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差は0.1μm、隣り合う凸部の頂点間の距離は33〜37mm(平均距離:35mm)であった。これをテンター横延伸機で横一軸に延伸した。延伸は、ライン速度4m/分(予熱ゾーンが4mであるので、滞留時間は60秒)で、まず温度が133℃に調節された予熱ゾーンに通し、続いて、温度が123℃に調節された延伸ゾーンで最終の延伸倍率が4倍となるようにして行った。得られた延伸フィルム(位相差フィルム)について、面内位相差値Ro、厚み方向位相差値Rth、Nz係数および膜厚を測定した。結果を表1に示す。さらに、実施例1と同様に位相差値プロファイルを測定した。得られた位相差フィルムは、面内位相差値Roが128nm、上記位相差値プロファイルにおいて周期的に現れる凸部位相差値の平均値と凹部位相差値の平均値との差は0.75nmであり、1/4波長板として機能するものであった。この位相差フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製し、横ダンの評価を実施した。結果、色ムラは全く観察されなかった。
<比較例1>
実施例1で用いたものと同じプロピレンランダム共重合体を製膜した。押出し条件は、溶融状シートの温度250℃、引取り速度2m/min、引取り速度の回転ムラを0.80%以内にして、厚さ40μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムについて、実施例1と同様に膜厚プロファイルを測定したところ、凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差は0.4μm、隣り合う凸部の頂点間の距離は15〜25mm(平均距離:20mm)であった。これをテンター横延伸機で横一軸に延伸した。延伸は、ライン速度4m/分(予熱ゾーンが4mであるので、滞留時間は60秒)で、まず温度が141℃に調節された予熱ゾーンに通し、続いて、温度が131℃に調節された延伸ゾーンで最終の延伸倍率が4倍となるようにして行った。得られた延伸フィルム(位相差フィルム)について、面内位相差値Ro、厚み方向位相差値Rth、Nz係数および膜厚を測定した。結果を表1に示す。さらに、実施例1と同様に位相差値プロファイルを測定した。得られた位相差フィルムは、面内位相差値Roが80nm、上記位相差値プロファイルにおいて周期的に現れる凸部位相差値の平均値と凹部位相差値の平均値との差は4.2nmであり、1/4波長板として機能するものであった。この位相差フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製し、横ダンの評価を実施した。結果、格子状の色ムラと画面内の対角間に明らかな色見の濃淡が観察された。
<比較例2>
実施例1で用いたものと同じプロピレンランダム共重合体を製膜した。押出し条件は、溶融状シートの温度250℃、引取り速度8m/min、引取り速度の回転ムラを0.30%以内にして、厚さ40μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムについて、実施例1と同様に膜厚プロファイルを測定したところ、凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差は0.1μm、隣り合う凸部の頂点間の距離は33〜37mm(平均距離:35mm)であった。これをテンター横延伸機で横一軸に延伸した。延伸は、ライン速度4m/分(予熱ゾーンが4mであるので、滞留時間は60秒)で、まず温度が141℃に調節された予熱ゾーンに通し、続いて、温度が131℃に調節された延伸ゾーンで最終の延伸倍率が4倍となるようにして行った。得られた延伸フィルム(位相差フィルム)について、面内位相差値Ro、厚み方向位相差値Rth、Nz係数および膜厚を測定した。結果を表1に示す。さらに、実施例1と同様に位相差値プロファイルを測定した。得られた位相差フィルムは、面内位相差値Roが83nm、上記位相差値プロファイルにおいて周期的に現れる凸部位相差値の平均値と凹部位相差値の平均値との差は2.1nmであり、1/4波長板として機能するものであった。この位相差フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製し、横ダンの評価を実施した。結果、格子状の位相差ムラが観察されなかったが、画面内の対角間に明らかな色見の濃淡が観察された。
<比較例3>
実施例1で用いたものと同じプロピレンランダム共重合体を製膜した。押出し条件は、溶融状シートの温度250℃、引取り速度4m/min、引取り速度の回転ムラを0.50%以内にして厚さ40μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムについて、実施例1と同様に膜厚プロファイルを測定したところ、凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差は0.2μm、隣り合う凸部の頂点間の距離は43〜57mm(平均距離:50mm)であった。これをテンター横延伸機で横一軸に延伸した。延伸は、ライン速度4m/分(予熱ゾーンが4mであるので、滞留時間は60秒)で、まず温度が130℃に調節された予熱ゾーンに通し、続いて、温度が120℃に調節された延伸ゾーンで最終の延伸倍率が4倍となるようにして行った。得られた延伸フィルム(位相差フィルム)について、面内位相差値Ro、厚み方向位相差値Rth、Nz係数および膜厚を測定した。結果を表1に示す。さらに、実施例1と同様に位相差値プロファイルを測定した。得られた位相差フィルムは、面内位相差値Roが138nm、上記位相差値プロファイルにおいて周期的に現れる凸部位相差値の平均値と凹部位相差値の平均値との差は3.2nmであり、1/4波長板として機能するものであった。この位相差フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、楕円偏光板を作製し、横ダンの評価を実施した。結果、格子状の位相差ムラが観察された。
Figure 0005333898
図1(a)は、本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた好ましい一例の楕円偏光板1を模式的に示す断面図であり、図1(b)は図1(a)に示す楕円偏光板1の軸角度の関係を説明するための図である。 図2(a)は、本発明の方法で製造された位相差フィルムを用いた好ましい他の例の楕円偏光板11を模式的に示す断面図であり、図2(b)は図2(a)に示す楕円偏光板11の軸角度の関係を説明するための図である。 図1(a)に示した例の楕円偏光板1を液晶セル32の両面に配置した例の液晶表示装置31を模式的に示す断面図である。 図2(a)に示した例の楕円偏光板11を液晶セル32の両面に配置した例の液晶表示装置41を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1,11 楕円偏光板、2 1/4波長板、3 直線偏光板、6 1/4波長板の遅相軸、7 直線偏光板の吸収軸、12 1/2波長板、13 1/2波長板の遅相軸、31,41 液晶表示装置、32 液晶セル、33 感圧接着剤、34 バックライト。

Claims (2)

  1. 以下の(A)および(B)、または、(A)および(C)の条件を満たすポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムを、予熱温度が110〜140℃、予熱工程の滞留時間が10〜120秒、延伸倍率が3〜10倍の条件で横一軸にのみ延伸し、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn x 、面内進相軸方向の屈折率をn y 、厚み方向の屈折率をn z としたときに、N z =(n x −n z )/(n x −n y )で定義されるN z 係数が0.9〜1.1の範囲にある位相差フィルムを得る、位相差フィルムの製造方法。
    (A)未延伸フィルムの任意の一点より長尺方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が0.1μm以下である、
    (B)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れ、かつ、その隣り合う凸部の頂点間の距離が30mm以上である、
    (C)前記膜厚プロファイルにおいて凸部膜厚と凹部膜厚とが周期的に現れない。
  2. 10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなるポリプロピレン系樹脂の長尺状の未延伸フィルムを用いる、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
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