JP4973264B2 - 位相差フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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前記フィルムを、前記ポリプロピレン系樹脂の融点以上の予熱温度で予熱する工程;
予熱された前記フィルムを、前記予熱温度よりも低い延伸温度で横方向に延伸する工程;
横方向に延伸された前記フィルムを熱固定する工程。
また本発明は、前記方法により得られるポリプロピレン系樹脂製位相差フィルムである。
前記α−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−メチル−3−エチル−1−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタダセン、1−オクタテセン、1−ノナデセンなどが挙げられ、前記したα−オレフィンのうち、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが好ましい。
特に共重合性の観点から、より好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、さらに好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンである。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン・エチレン共重合体またはプロピレン・1−ブテン共重合体であることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂が、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体である場合、該共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
<樹脂選定試験>
ポリプロピレン系樹脂を熱プレス成形して厚さ0.1mmのフィルムを作製する。前記熱プレス成形では、樹脂を230℃で5分間予熱後、3分間かけて100kgf/cm2まで昇圧し、100kgf/cm2で2分間保圧し、その後、30℃で30kgf/cm2の圧力で5分間冷却する。該フィルムをJIS K−7113に準じ、恒温槽を設置した引張試験装置を用い、引張試験速度が100mm/min、ひずみ200%における応力が10±1 kg/cm2となる温度に設定した恒温槽中で延伸したときに観測される応力−ひずみ曲線(S−Sカーブ)において式(3)でパラメータ(A)を求める。
パラメータ(A)(%・kg/cm2)={B600(ひずみ600%における応力)− B200(ひずみ200%における応力)}/400・・・式(3)
ポリプロピレン系樹脂の分子量分布は、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比で定義され、通常1〜20である。MnおよびMwは、溶媒に140℃のo−ジクロロベンゼンを用い、標準サンプルにポリスチレンを用いるGPCによって測定される。
公知の重合触媒としては、例えば、
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒等が挙げられる。
プロピレン系重合体の製造に用いる触媒系としては、これらの中で、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子性供与性化合物とを組み合わせた触媒系が最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物としては、好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサンが挙げられ、電子供与性化合物としては、好ましくはシクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランが挙げられる。マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系が挙げられる。メタロセン触媒としては例えば、特許第2587251号、特許第2627669号、特許第2668732号に記載された触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのどの形式であってもよい。ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性の点からシンジオタクチック、あるいはアイソタクチックのプロピレン系重合体であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、分子量やプロピレン由来の構成単位の割合、タクチシティーなどが異なる2種類以上のポリプロピレン系ポリマーのブレンドでもよいし、ポリプロピレン系ポリマー以外のポリマーや添加剤を適宜含有してもよい。
前記フィルムを、前記ポリプロピレン系樹脂の融点以上の予熱温度で予熱する工程;
予熱された前記フィルムを、前記予熱温度よりも低い延伸温度で横方向に延伸する工程;
横方向に延伸された前記フィルムを熱固定する工程。
代表的な横延伸の方法としては、テンター法が挙げられる。テンター法は、チャックでフィルム巾方向の両端を固定した原反フィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げて延伸する方法である。テンター法においては、予熱工程を行うゾーン、延伸工程を行うゾーン、熱固定工程を行うゾーンのオーブン温度は独立に温度調節をすることができる装置を使用する。前記のような条件下で横延伸を行うことにより、軸精度に優れ、かつ均一な位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂を熱プレス成形して厚さ0.1mmのフィルムを作製した。前記熱プレス成形では、樹脂を230℃で5分間予熱後、3分間かけて100kgf/cm2まで昇圧し、100kgf/cm2で2分間保圧し、その後、30℃で30kgf/cm2の圧力で5分間冷却する。該フィルムをJIS K−7113に準じ、恒温槽を設置した引張試験装置を用い、引張試験速度が100mm/min、ひずみ200%における応力が10±1 kg/cm2となる温度に設定した恒温槽中で延伸したときに観測される応力−ひずみ曲線(S−Sカーブ)において式(3)でパラメータ(A)を求めた。
パラメータ(A)(%・kg/cm2)={B600(ひずみ600%における応力)− B200(ひずみ200%における応力)}/400・・・式(3)
ポリプロピレン系樹脂を熱プレス成形して、厚さ0.5mmのシートを作成した。前記熱プレス成形では、熱プレス機内でプロピレン系重合体を230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却するようにプレスした。作製したプレスシートの切片10mgについて、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下で下記[1]〜[5]の熱履歴を加えた後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱して融解曲線を作成した。この融解曲線において、最高吸熱ピークを示す温度(℃)を求め、これを該プロピレン系樹脂の融点(Tm)とした。
[1]220℃で5分間加熱する;
[2]降温速度300℃/分で220℃から150℃まで冷却する;
[3]150℃において1分間保温する;
[4]降温速度5℃/分で150℃から50℃まで冷却する;
[5]50℃において1分間保温する。
メルトフローレートは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
プロピレン・エチレン共重合体について、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されているIRスペクトル測定を行い、該共重合体中のエチレン由来の構成単位の含量を求めた。
ポリプロピレン系樹脂の試料1gを沸騰キシレン100mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、同温度で4時間静置した。その後、濾過により析出物と濾液とに分別し、濾液からキシレンを留去して生成した固形物を減圧下70℃で乾燥した。乾燥して得られた残存物の重量の前記試料の重量(1g)に対する百分率を、該ポリプロピレン系樹脂の20℃キシレン可溶成分量(CXS)とした。
面内位相差は、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−CCD)を用いて、位相差フィルムの500mm幅×500mm長さの領域を測定した。厚み方向位相差Rthは位相差フィルムの中央部分を、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−WPR)を用いて測定した。
偏光顕微鏡を用いて位相差フィルムの500mm幅の範囲を20mm間隔で光軸の角度を測定した。
ポリプロピレン系樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体、樹脂選定試験で求められたパラメータ(A)=0.011、Tm=136℃、MFR=8g/10分、エチレン含有量=4.6重量%、CXS=4%、住友化学社製、商品名:ノーブレンW151)を、シリンダー温度を200℃とした65mmφ押出機に投入して溶融混練し、65kg/hの押出量で前記押出機に取り付けられた1200mm巾Tダイより押出した。押出された溶融ポリプロピレン系樹脂は、12℃に温調した400mmφのキャスティングロールと、12℃に温調した金属スリーブからなる外筒とその内部にある弾性体ロールから構成されるタッチロールにより挟圧して冷却され、厚さ200μmのポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。エアーギャップは115mm、キャスティングロールとタッチロールとの間で溶融ポリプロピレン系樹脂を挟圧した距離は20mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂フィルムを2組のニップロール間にエアーフローティング方式のオーブンを有するロングスパン縦延伸機に導入して縦延伸を行った。エアーフローティング方式のオーブンは2ゾーンに分かれており、各ゾーンの長さは1.5mであった。縦延伸の条件は、第1ゾーンの温度=128℃、第2ゾーンの温度=132℃、入口速度=8m/分、延伸倍率=1.5倍であった。縦延伸フィルムの厚みは170μm、面内位相差R0の平均値は1290nm、厚み方向位相差Rthは720nmであった。
さらに、この縦延伸フィルムをテンター法で横延伸を行い、位相差フィルムを得た。横延伸の条件は、予熱ゾーンの温度=141℃、延伸ゾーンの温度=131℃、熱固定ゾーンの温度=131℃、延伸倍率=3.5倍であった。
得られた位相差フィルムのR0、Rthおよび光軸精度を測定した。R0の平均値は70nm、R0の最大値と最小値の差は6nm、Rthは200nm、光軸の角度は−0.5°以上+0.5°以下であり、該位相差フィルムは光学的な均一性が高かった。この位相差フィルムを、VAモード液晶セルの背面に、液晶セル基板側から順に、粘着剤、位相差フィルム、粘着剤、偏光板の順に積層し、液晶セルの前面には、粘着剤、偏光板の順に積層した。この液晶表示装置の背面にバックライトを設置し、液晶セルは電圧無印加の黒表示状態において、視野角の変化による光漏れの程度で、視野角依存性を評価した。どの方向から見ても光漏れが少ない場合、視野角依存性が小さく、位相差フィルムの視野角特性は優れていることになる。この例の液晶表示装置は、正面方向も斜め方向も光漏れは少なく、視野角特性は優れていることを確認した。
ポリプロピレン系樹脂ノーブレンW151を、シリンダー温度を250℃とした90mmφ押出機に投入して溶融混練し、100kg/hの押出量で前記押出機に取り付けられた1250mm巾Tダイより押出した。押出された溶融ポリプロピレン系樹脂は、10℃に温調したキャスティングロールとエアーチャンバーにより冷却され、厚さ160μmのポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。エアーギャップは90mmであった。得られたポリプロピレン系樹脂フィルムを2組のニップロール間にエアーフローティング方式のオーブンを有するロングスパン縦延伸機に導入して縦延伸を行った。エアーフローティング方式のオーブンは2ゾーンに分かれており、各ゾーンの長さは2mであった。縦延伸の条件は、第1ゾーンの温度=125℃、第2ゾーンの温度=129℃とし、入口速度=8m/分、延伸倍率=1.5倍であった。縦延伸フィルムの厚みは130μm、R0は910nm、Rthは510nmであった。
さらに、この縦延伸フィルムをテンター法で横延伸を行い、位相差フィルムを得た。横延伸の条件は、予熱ゾーンの温度=140℃、延伸ゾーンの温度=135℃、熱固定ゾーンの温度=130℃、延伸倍率=4.5倍であった。
得られた位相差フィルムのR0、Rthおよび光軸精度を測定した。R0の平均値は70nm、R0の最大値と最小値の差は10nm、Rthは120nm、光軸の角度は−0.5°以上+0.5°以下であり、該位相差フィルムは光学的な均一性が高かった。この位相差フィルムを、VAモード液晶セルの背面に、液晶セル基板側から順に、粘着剤、位相差フィルム、粘着剤、偏光板の順に積層し、液晶セルの前面には、粘着剤、偏光板の順に積層した。この液晶表示装置の背面にバックライトを設置し、液晶セルは電圧無印加の黒表示状態において、視野角の変化による光漏れの程度で、視野角依存性を評価した。どの方向から見ても光漏れが少ない場合、視野角依存性が小さく、位相差フィルムの視野角特性は優れていることになる。この例の液晶表示装置は、正面方向も斜め方向も光漏れは少なく、視野角特性は優れていることを確認した。
下記の横延伸条件を用いた以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。
横延伸の条件は、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンの全ての温度を136℃とし、ライン速度は1m/分、延伸倍率は3.5倍とした。得られた位相差フィルムの面内位相差は70nmであり、位相差の最大値と最小値の差は16nmであり、光軸の角度は−2°以上+2°以下であり、光学的な均一性が高いものを得ることができなかった。
Claims (6)
- ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを、縦延伸と横延伸を逐次に行うことを含むポリプロピレン系樹脂製位相差フィルムの製造方法であって、前記横延伸は、下記工程を有することを特徴とする方法。
前記フィルムを、前記ポリプロピレン系樹脂の融点以上の予熱温度で予熱する工程;
予熱された前記フィルムを、前記予熱温度よりも低い延伸温度で横方向に延伸する工程;
横方向に延伸された前記フィルムを熱固定する工程。 - 前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレン系ランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂製位相差フィルムの製造方法。
- 縦延伸を、エアーフローティング方式のオーブン内でロングスパン延伸法で行うことを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂製位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1〜3いずれかの製造方法により得られることを特徴とするポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム。
- 位相差の最大値と最小値の差が10nm以下であり、光軸が−1°以上+1°以下であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム。
- 請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂製位相差フィルムを備えることを特徴とする液晶表示装置。
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