JP5644241B2 - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
(A)縦延伸する工程と、
(B)0〜40℃の間の温度T℃の環境下で養生する工程と、
(C)横延伸する工程と
をこの順に行い、かつ、
上記の養生する工程(B)は、養生期間をD日として、下式(1):
D≧−0.4T+20 (1)
を満たすように行う、ポリプロピレン系樹脂位相差フィルムの製造方法を提供するものである。
D≧−0.4T+22 (2)
を満たすように行うことが好ましい。
(A)縦延伸する工程と、
(B)温度20〜30℃の環境下で10日以上養生する工程と、
(C)横延伸する工程と
をこの順に行う、ポリプロピレン系樹脂位相差フィルムの製造方法をも提供する。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主なモノマーとし、他の共重合性モノマーとのランダム共重合体、又はプロピレンを主なモノマーとし、他の共重合性モノマーとのブロック共重合体であることができる。
ポリプロピレン系樹脂を熱プレス成形して厚さ0.1mm のフィルムを作製する。この熱プレス成形では、樹脂を230℃で5分間予熱した後、3分間かけて100kgf/cm2まで昇圧し、その圧力で2分間保持し、その後、温度を30℃に下げて30kgf/cm2の圧力で5分間冷却する。得られるフィルムに対し、 JIS K 7113 に準じて恒温槽が設置された引張試験装置を用い、引張速度100mm/分でひずみ200%における応力が10±1kg/cm2 となる温度で引張試験(延伸)を行ったときの応力−ひずみ曲線(S−Sカーブ)を求める。その応力−ひずみ曲線において、ひずみ600%における応力をB600 、ひずみ200%における応力をB200 としたときに、下式で定義される傾きAを求める。この傾きAは、上記条件で引張試験(延伸)を行ったときのひずみ200%とひずみ600%の間の平均引張弾性率とみることができる値である。
まず、位相差フィルム用原反フィルムとなる未延伸のポリプロピレン系樹脂フィルムを製膜する。原反フィルムは、光学的に均質な無配向であるか、又は無配向に近いものであることが好ましい。かかる原反フィルムは、溶剤キャスト法や押出成形法などによって製造することができる。前者の方法は、有機溶剤に熱可塑性樹脂を溶解した溶液を、離形性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムや金属ベルト等の基材上に、ダイコーターによりキャスティングした後、乾燥して有機溶剤を除去し、基材上に原反フィルムを形成する方法である。得られる原反フィルムは、基材から剥離して使用される。後者の方法は、熱可塑性樹脂を押出機内で溶融混練した後、Tダイから押出し、ロールに接触させて冷却固化させながら引き取り、原反フィルムを得る方法である。原反フィルムを安価に製造できるという観点から、押出成形法が好ましい。
以上のようにして製造される原反フィルム50に、縦延伸及び横延伸を逐次で施すことにより、ポリプロピレン系樹脂位相差フィルムが製造される。
本発明では、以上のようにして縦延伸されたフィルム52を巻き取った状態で、養生を施す。養生を施すことによって、縦延伸されたフィルム52の結晶化度のバラツキを少なくし、その後に行われる横延伸によって、位相差ムラや光軸ムラが少なく、均一な位相差フィルムを製造することができる。養生の温度Tは、0〜40℃の範囲とする。この温度が0℃を下回ると、ポリプロピレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)より低くなるため、縦延伸されたフィルム52の結晶化が十分に進行せず、結晶化度のバラツキが大きいまま次の横延伸が施されることになるので、得られる位相差フィルムの位相差ムラ及び光軸ムラの原因となりやすい。一方、この温度が40℃を上回ると、ポリプロピレン系樹脂フィルム中のスメチカ晶がα晶へと相転移を起こすため、やはり位相差ムラ及び光軸ムラの原因となる。
D≧−0.4T+20 (1)
を満たせば、概ね結晶化度が均一化され、続く横延伸によって均一な位相差フィルムが得られることが見出された。養生温度T(℃)と養生期間D(日)とは、前記式(2)の関係、すなわち、
D≧−0.4T+22 (2)
を満たすことが、より好ましい。
以上のようにして、縦延伸後に養生が施されたフィルムは、その後横延伸することによって、適度の位相差が付与され、位相差フィルムとなる。横延伸は典型的には、チャックなどでフィルム幅方向の両端を固定したフィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げながら延伸するテンター法によって行われる。テンター横延伸機においては通常、加熱用のオーブンが、予熱ゾーン、延伸ゾーン及び熱固定ゾーンに分かれており、各々独立に温度調節ができるようになっている。
位相差フィルムに求められる位相差値は、その位相差フィルムが適用される液晶表示装置の種類により異なるが、通常、面内位相差Ro は、30〜300nmの範囲にある。後述する垂直配向(VA)モードの液晶セルを備えた液晶表示装置に適用する場合には、表示の視角依存性を改良する観点から、面内位相差Ro が40〜70nmの範囲にあり、厚み方向位相差Rthが90〜230nmの範囲にあることが好ましい。位相差フィルムの厚みは、通常10〜100μm であり、好ましくは10〜60μm である。位相差フィルムを製造する際の延伸倍率と、製造される位相差フィルムの厚みを制御することによって、所望の位相差値を有する位相差フィルムを得ることができる。
Ro =(nx−ny)×d (3)
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d (4)
本発明の方法によって製造される位相差フィルムは、公知の偏光板や液晶セルなどと組み合わせて液晶表示装置に好適に用いられる。液晶表示装置の例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、パーソナルコンピュータのディスプレイ、大型から中・小型に至るテレビなどがある。この位相差フィルムは、光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)モード、垂直配向(Vertical Alignment:VA)モード、 横電界(In-Plane Switching:IPS)モード、ねじれネマティック(Twisted Nematic :TN)モード、超ねじれネマティック(Super Twisted Nematic :STN)モードなど、公知の各種モードの液晶セルを備えた液晶表示装置に対して、有効に適用することができる。例えば、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置に適用する場合は、先述した面内位相差Ro 及び厚み方向位相差Rthを付与することにより、視野角特性を高めることができる。
(O)押出フィルムの作製
プロピレン/エチレンランダム共重合体〔エチレン含量約 4.6%、住友化学(株)から販売されている“住友ノーブレン W151 ”〕を使用した。シリンダー温度を250℃とした75mmφの押出機にこの共重合体ペレットを投入して溶融混練し、100kg/hの押出量で、この押出機に取り付けられた1800mm幅のTダイより押出した。
得られたポリプロピレン系樹脂フィルムを、2組のニップロール対及び当該2組のニップロール対の間にエアーフローティング方式のオーブンを備えるロングスパン縦延伸機に導入し、縦延伸を行った。この縦延伸機を構成するオーブンは、フィルム入口側の第1ゾーン、中間の第2ゾーン、及び出口側の第3ゾーンに区分することができ、各ゾーンの長さはいずれも2.5mで、オーブン全長は7.5mであった。
こうして縦延伸され、ロール状に巻き取られたフィルムを、ロール状のまま、温度23℃、相対湿度50%の条件下にて14日間養生した。
次に、こうして縦延伸され、養生されたフィルムに、テンター法により横延伸を施して位相差フィルムを作製した。テンター法で用いたオーブンは、養生後のフィルムの流れ方向における上流側(オーブンの入口側)から順に、予熱ゾーン及び延伸ゾーンを備えており、その流れ方向における予熱ゾーンの長さは4m、延伸ゾーンの長さは8mであり、オーブン全長は12mであった。
以上の方法で得られた位相差フィルムにつき、大塚電子(株)製の位相差フィルム・光学材料検査装置(商品名“nRETS”)を用いて、面内位相差値及び光軸の測定を行った。これらの測定は、作製した位相差フィルムの幅方向中央を中心に幅800mmの範囲をとり、その800mm幅の範囲を20mm間隔で分割し、合計41点について行った。これら41点で測定された面内位相差値の平均値を平均位相差値とし、41点における面内位相差値の最大値と最小値の差を面内位相差値のフレとした。一方、光軸とは、配向角とも呼ばれるもので、屈折率最大の方位を意味する。そして、上記41点のうち、光軸が最も離れている2点におけるそれぞれの光軸がなす角度を光軸のフレとした。
縦延伸後の原反フィルムの養生期間を7日とする以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。評価の結果、平均位相差値は62nmであり、面内位相差値のフレは12nmであり、光軸のフレは1.1°であった。
縦延伸後の原反フィルムの養生期間を4日とする以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。評価の結果、平均位相差値は62nmであり、面内位相差値のフレは15nmであり、光軸のフレは1.3°であった。
11……押出機、
12……ホッパー、
13……Tダイ、
13a…Tダイの樹脂吐出口、
14……溶融樹脂シート、
15……キャスティングロール、
15a…キャスティングロールの金属外筒、
15b…キャスティングロールの流体軸筒、
16……タッチロール、
16a…弾性ロール、
16b…金属スリーブからなる外筒、
17……冷却ロール、
17a…冷却ロールの金属外筒、
17b…冷却ロールの流体軸筒、
20……ロングスパン縦延伸機、
21,22,23……縦延伸機を構成するオーブンの各ゾーン、
25……入口側ニップロール、
26……出口側ニップロール、
28……上部ノズル、
29……下部ノズル、
30……テンター横延伸機、
31……予熱ゾーン、
32……延伸ゾーン、
33……熱固定ゾーン、
35……チャック、
50……原反フィルム、
52……縦延伸されたフィルム、
54……養生されたフィルム、
56……横延伸されたフィルム、
G………エアーギャップ、
F………冷却用流体、
A………フィルムの進行方向。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムに対し、
(A)縦延伸する工程と、
(B)0〜40℃の間の温度T℃の環境下で養生する工程と、
(C)横延伸する工程と
をこの順に行い、かつ、
前記の養生する工程(B)は、養生期間をD日として、式:
D≧−0.4T+20
を満たすように行うことを特徴とするポリプロピレン系樹脂位相差フィルムの製造方法。 - 前記の養生する工程(B)は、式:
D≧−0.4T+22
を満たすように行う請求項1に記載の方法。 - ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムに対し、
(A)縦延伸する工程と、
(B)温度20〜30℃の環境下で10日以上養生する工程と、
(C)横延伸する工程と
をこの順に行うことを特徴とするポリプロピレン系樹脂位相差フィルムの製造方法。 - 前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主成分とし、他の共重合性モノマーとのランダム共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 縦延伸は、エアーフローティング方式のオーブン内を通過させるロングスパン延伸法にて行われる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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