JP2010139735A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造後の位相差変動のない、ポリプロピレン樹脂からなる位相差フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂からなる長尺状の未延伸フィルムを、温度110〜160℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で予熱する工程と、(B)予熱された未延伸フィルムを3〜10倍の延伸倍率で横一軸延伸する工程と、(C)得られた延伸フィルムを温度90〜150℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で熱固定する工程と、(D)7日以上の間、温度20〜25℃、相対湿度50〜60%の環境下に養生する工程と、を備える位相差フィルムの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂からなる位相差フィルムの製造方法に関する。
近年、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶表示装置が、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、およびテレビ等の情報用表示デバイスとして急速に普及している。このような液晶表示技術の発展に伴い、さまざまなモードの液晶表示装置やそれに用いる光学部材が提案され、応答速度、コントラスト、視野角、および色再現性等の諸特性が改良されている。
たとえば、携帯電話等などに代表される反射型、または半透過反射型液晶表示装置を構成する光学部材では、1/4波長板として機能する位相差フィルムや、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせて広帯域で1/4波長板として機能する位相差フィルムを直線偏光板に所定の角度で貼り合わせた楕円偏光板が使用されている。このような位相差フィルムとしては、たとえば、特開平5−100114号公報(特許文献1)に開示されるようなポリカーボネート系樹脂の延伸フィルム、また、特開平11−149015号公報(特許文献2)に開示されるような環状ポリオレフィン系樹脂の延伸フィルムが用いられている。
最近では液晶表示装置の薄型化への要求が高まるに伴い、偏光板に代表される光学部材にも、これを構成する光学フィルムの薄膜化が強く求められている。その要求に適する薄膜の位相差フィルムを得る方法としては、横一軸延伸を採用することができる。しかし、ポリカーボネート系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂では、薄膜で、かつ光学的に完全一軸性を実現するのに必要な高倍率の延伸を行なうと、フィルムがその高倍率延伸に耐えられずに破断するため、前記の薄膜完全一軸品が得られないという問題があった。
そこで、薄膜で、かつ光学的に完全一軸性の位相差フィルムを得る方法として、縦一軸延伸を採用すると、高倍率延伸を避けるために、原料である未延伸フィルムも薄膜品を用いる必要があり、さらに、縦一軸延伸では避けられないネックインにより、得られる位相差フィルムの幅が減少する等、いずれもコストアップ要因となり現実には用いられていない。
一方、ポリプロピレン系樹脂を用いると、高倍率で横一軸延伸することが可能であり、薄膜で、かつ光学的に完全一軸性の位相差フィルムを得ることができる。しかし、ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムは、製造後の位相差値が変動し実用に適用しがたい場合があった。
特開平5−100114号公報 特開平11−149015号公報
本発明の目的は、製造後の位相差変動のない、ポリプロピレン樹脂からなる位相差フィルムを製造する方法を提供することにある。
本発明は(A)プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂からなる長尺状の未延伸フィルムを、温度110〜160℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で予熱する工程と、(B)予熱された未延伸フィルムを3〜10倍の延伸倍率で横一軸延伸する工程と、(C)得られた延伸フィルムを温度90〜150℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で熱固定する工程と、(D)7日以上の間、温度20〜25℃、相対湿度50〜60%の環境下に養生する工程と、を備える位相差フィルムの製造方法を提供する。
上記ポリプロピレン樹脂は造核剤を含有するものであることが好ましい。また、上記ポリプロピレン樹脂からなる長尺状未延伸フィルムの幅方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差は、1μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、製造後における面内位相差値の経時変化が十分に抑制されたポリプロピレン樹脂からなる位相差フィルムを製造することができる。このような面内位相差値変動が小さい位相差フィルムを用いることにより、液晶表示装置の表示性能の安定性を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[工程(A)]
本発明の位相差フィルムの製造方法においては、まず、ポリプロピレン樹脂からなる長尺状の未延伸フィルムを、温度110〜160℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で予熱する(工程(A))。
(ポリプロピレン樹脂)
本工程で用いられる長尺状の未延伸フィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、プロピレンの単独重合体からなるもの、すなわち、実質的にプロピレンのみのモノマーを重合して得られるポリプロピレン樹脂である。
ポリプロピレン樹脂の立体規則性は、実質的にアイソタクチックまたはシンジオタクチックであることが好ましい。実質的にアイソタクチックまたはシンジオタクチックの立体規則性を有するプロピレン樹脂からなるフィルムは、その取り扱い性が比較的良好であるとともに、高温環境下における機械的に強度に優れている。
本工程で用いる長尺状の未延伸フィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法によって製造することができる。公知の重合用触媒としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン、およびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒等。
上記(1)の固体触媒成分としては、たとえば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられる。また、上記(2)の触媒系における有機アルミニウム化合物の好ましい例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物の好ましい例としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
また、上記(3)のメタロセン系触媒としては、たとえば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂は、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。
本発明に用いられるポリプロピレン樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分の範囲内であることが好ましく、0.5〜50g/10分の範囲内であることがより好ましく、0.5〜15g/10分の範囲内であることがさらに好ましい。MFRがこの範囲内にあるポリプロピレン樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく、均一なポリプロピレン樹脂フィルムを得ることができる。
本発明に用いられるポリプロピレン樹脂は、造核剤を含有することが好ましい。造核剤としては、無機系造核剤または有機系造核剤のいずれも用いることができる。無機系造核剤としては、たとえば、タルク、クレイ、および炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系造核剤としては、たとえば、芳香族カルボン酸の金属塩類および芳香族リン酸の金属塩類等の金属塩類、ならびに高密度ポリエチレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリシクロペンテン、およびポリビニルシクロヘキサン等の高分子化合物が挙げられる。これらの中でも有機系造核剤が好ましく、さらに好ましくは上記の金属塩類および高密度ポリエチレンである。また、ポリプロピレン樹脂中における造核剤の含有量は、0.01〜3重量%が好ましく、0.05〜1.5重量%がより好ましい。このような造核剤は、1種のみを用いてもよいし、複数種を併用して用いてもよい。
ポリプロピレン樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤としては、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその塩などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。
本工程で用いられる長尺状の未延伸フィルムは、上記ポリプロピレン樹脂を製膜することにより得ることができる。このポリプロピレン樹脂からなる未延伸フィルムは、透明性に優れていることが好ましく、具体的には、JIS K 7105 に従って測定される全ヘイズ値が10%以下、好ましくは7%以下である。
ポリプロピレン樹脂からなる未延伸フィルムの厚さは、5〜200μm程度が好ましく、30〜150μmがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂の製膜方法としては、特に限定されるものではないが、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法等が採用される。これらの製膜方法によれば、面内位相差が実質的にないポリプロピレン樹脂からなる未延伸フィルムを得ることができる。
押出成形によりポリプロピレン樹脂からなる未延伸フィルムを製造する方法について詳しく説明する。押出成形においては、ポリプロピレン樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる場合がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりする場合がある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。たとえば、単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、さらにマドック型の混練部分を有するタイプ等のスクリューを用いることができる。ポリプロピレン樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気、または真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下程度のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの設置により押出機先端部分の樹脂圧力を高めることは、その先端部分での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっき、またはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっき等が挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる未延伸フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
(1)Tダイのリップ幅が1500mm未満:Tダイの厚み方向長さ>180mm
(2)Tダイのリップ幅が1500mm以上:Tダイの厚み方向長さ>220mm
(3)Tダイのリップ幅が1500mm未満:Tダイの高さ方向長さ>250mm
(4)Tダイのリップ幅が1500mm以上:Tダイの高さ方向長さ>280mm
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも膜厚のバラツキを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一なポリプロピレン樹脂フィルムからなる未延伸フィルムを得ることができる。
なお、ポリプロピレン樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロールまたはキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間で挟圧し、冷却固化させることにより所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は、通常、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に、ポリプロピレン樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン樹脂の溶融状シートとタッチロールとの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン樹脂の溶融状シートを、上記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールおよびタッチロールの表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させることが好ましい。たとえば、両ロールの表面温度は0℃以上30℃以下の範囲に調整されることが好ましく、25℃未満がより好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる場合がある。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、未延伸フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくることがある。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン樹脂フィルム(未延伸フィルム)の表面に転写されるため、その表面に凹凸があると、得られるポリプロピレン樹脂フィルムの厚み精度を低下させる場合がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.3S以下であることが好ましく、さらには0.1S〜0.2Sであることがより好ましい。
また、金属冷却ロールの回転速度のバラツキに由来する未延伸フィルムの膜厚のバラツキ範囲を低減するため、精密減速機を備えたモーターを設置するのが好ましい。精密減速機を設置することで、冷却ロールの回転速度のバラツキを±0.5%以内に調整することが可能となり、長尺方向の膜厚のバラツキ範囲を低減することができる。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。また、このゴムロールの硬度は、その幅方向および周回方向に沿って均一であることが好ましい。そのようなゴムロールを用いることにより、フィルムの幅方向および長尺方向の厚みのバラツキが抑制される。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧としては、50〜300N/cmが好ましく、100〜250N/cmがより好ましい。線圧を上記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン樹脂フィルムを製造することが容易となる。また、この線圧は、タッチロールの幅方向に均一であることが好ましい。具体的には、タッチロールの冷却ロールに対する左右の圧力を等しく制御することが好ましい。そのようなタッチロールの圧力制御により、フィルムの幅方向の厚みのバラツキが抑制される。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で、ポリプロピレン樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常、5〜50μm程度であり、10〜30μmが好ましい。
この方法においては、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを上記のように短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、および使用するリップの先端形状により決定され、通常、50mm以上である。
この方法でポリプロピレン樹脂フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻き取り機に巻き取られてロール状の未延伸フィルムとなる。この際、未延伸フィルムを使用するまでの間、その表面を保護するために、その片面または両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
本工程で用いるポリプロピレン樹脂からなる長尺状の未延伸フィルムは、その幅方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差(膜厚分布)が、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。ここで、「幅方向」とは、フィルム面内において長尺方向に対して垂直な方向を意味する。「長尺方向」とは、未延伸フィルムが押出成形法によって製膜される場合はそのフィルムが押し出される方向、またキャスト法によって製膜される場合はそのフィルムが流延される方向、すなわち機械方向(Machine Direction)を意味する。また、「凸部膜厚」とは、膜厚プロファイルに現れる膜厚の凸と凹の繰り返しのうち、各凸部における最大膜厚(各凸部の頂点における膜厚)を指し、「凹部膜厚」とは、膜厚プロファイルに現れる膜厚の凸と凹の繰り返しのうち、各凹部における最小膜厚(各凹部の最底点における膜厚)を指す。本明細書でいう膜厚プロファイルは、未延伸フィルムの任意の一点より幅方向に沿って1300mmの範囲の距離で連続的に測定されたものである。
膜厚プロファイルの測定方法としては、フィルムの膜厚を連続的に測定できる手段であれば特に限定されるものではないが、通常、接触式連続厚み計を用いて行なわれ、接触式連続厚み計としては、たとえば、後述する実施例で用いた厚み計KG601B(アンリツ社製)を用いることができる。
上記膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が1μmを超える未延伸フィルムを用いると、延伸フィルムの膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が大きくなり、得られる位相差フィルムの最大位相差値と最小位相差値の平均値との差も大きくなる。
本工程で用いるポリプロピレン樹脂からなる長尺状未延伸フィルムの膜厚は特に制限されるものではないが、10〜130μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。膜厚が130μmを超えると、延伸しても所望の位相差が得られない場合がある。また、膜厚が10μmを下回ると、延伸後に位相差フィルムのシワ等が発生しやすくなり、その巻き取り、裁断および貼合等の取り扱い性に劣る場合がある。
本工程においては、上記のポリプロピレン樹脂からなる長尺状未延伸フィルムを、温度110〜160℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で予熱する(工程(A))。なお、当該工程(A)ならびに後述する工程(B)および(C)からなる一連の処理を、本明細書においては「横一軸延伸」と呼ぶ。横一軸延伸とは、ロールから巻き出される長尺状の未延伸フィルムを幅方向(横方向)に延伸することをいう。代表的な横一軸延伸の方法としては、テンター法が挙げられる。テンター法は、チャックでフィルム幅方向の両端を固定した原反フィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げて延伸する方法である。テンター法に用いる延伸機(テンター延伸機)は、通常、予熱工程(工程(A))を行なうゾーン、延伸工程(工程(B))を行なうゾーン、および熱固定工程(工程(C))を行なうゾーンにおいて、それぞれの温度を独立に調節できる機構を備えている。このようなテンター延伸機を用いて横一軸延伸を行なうことにより、軸精度に優れ、かつ均一な位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
本工程(予熱工程)は、ポリプロピレン樹脂からなる長尺状未延伸フィルムを幅方向に一軸延伸する工程(後述する工程(B))の前に設置される工程であり、未延伸フィルムを延伸するのに十分な温度までフィルムを加熱する工程である。予熱工程での予熱温度は、未延伸フィルムの融点付近の温度、具体的には110〜160℃であり、好ましくは130〜150℃である。予熱温度とは、テンター延伸機の予熱工程を行なうゾーンにおける雰囲気温度を意味する。この予熱温度が110℃に満たないと、未延伸フィルムに熱が十分に与えられず、続く延伸工程(工程(B))でフィルムが横延伸されるときに応力が不均一にかかり、位相差フィルムとしての軸精度や位相差の均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、予熱温度が160℃を超えると、必要以上に熱がフィルムに与えられるために部分的に溶融し、ドローダウンする(下に垂れる)場合がある。
この予熱工程での滞留時間は10〜120秒であり、好ましくは30〜90秒、さらに好ましくは30〜60秒である。滞留時間とは、未延伸フィルムがテンター延伸機の予熱工程を行なうゾーン内に存在する時間を意味する。この予熱工程での滞留時間が10秒に満たないと、未延伸フィルムに熱が十分に与えられず、続く延伸工程(工程(B))でフィルムが横延伸されるときに応力が不均一にかかり、位相差フィルムとしての軸精度や位相差の均一性に不利な影響を及ぼす場合がある。また、その滞留時間が120秒を超えると、必要以上に熱がフィルムに与えられるために部分的に溶融し、ドローダウンする(下に垂れる)場合がある。
[工程(B)]
本発明の位相差フィルムの製造方法においては、次に、予熱された未延伸フィルムを3〜10倍の延伸倍率で横一軸延伸する(工程(B))。横一軸延伸は、テンター延伸機の予熱工程を行なうゾーンを通過した未延伸フィルムを引き続き、延伸工程を行なうゾーンを通過させることにより行なうことができる。延伸工程での延伸温度は、テンター延伸機の延伸工程を行なうゾーンにおける雰囲気温度を意味する。延伸温度は、上記工程(A)における予熱温度より高いことが好ましい。予熱された未延伸フィルムを予熱工程よりも高い温度で延伸することにより、フィルムを均一に延伸できるようになり、その結果、光軸、および位相差の均一性に優れた位相差フィルムを得ることができる。延伸温度は、予熱工程(工程(A))における予熱温度より5〜30℃高いことが好ましく、10〜20℃高いことがより好ましい。また、延伸倍率は、光軸を発現させる方向(遅相軸となる方向)で3〜10倍程度の範囲から、必要とする位相差値に合わせて適宜選択すればよく、好ましくは3〜7倍の範囲である。このときの延伸倍率を3倍以上とすることにより、後述するNz係数を0.9〜1.1の範囲とすることができる。一方、延伸倍率が10倍を超えると、位相差値の均一性が損なわれる場合がある。
[工程(C)]
本発明の位相差フィルムの製造方法においては、次に、得られた延伸フィルムを温度90〜150℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で熱固定する(工程(C))。延伸フィルムの熱固定は、テンター延伸機の延伸工程を行なうゾーンを通過した延伸フィルムを引き続き、熱固定工程を行なうゾーンを通過させることにより行なうことができる。熱固定工程での熱固定温度は、テンター延伸機の熱固定工程を行なうゾーンにおける雰囲気温度を意味する。また、滞留時間とは、延伸フィルムがテンター延伸機の熱固定工程を行なうゾーン内に存在する時間を意味する。
熱固定工程は、延伸フィルムの位相差値や光軸等光学的特性の安定性を効果的に確保するために実施する。この工程では、延伸工程におけるフィルムの幅をそのまま保持した状態で、所定の熱固定温度のゾーンを通過させる。
熱固定温度は、90℃〜150℃であり、100℃〜140℃が好ましい。熱固定温度が90℃に満たないと、熱安定性に劣り、たとえば、高温環境下で位相差値の変動が生じる場合がある。また、熱固定温度が150℃を超えると、必要以上の熱がフィルムに加わり、常温保管においても面内位相差値変動が生じる場合がある。
[工程(D)]
本発明の位相差フィルムの製造方法においては、次に、熱固定された延伸フィルムを、7日以上の間、温度20〜25℃、相対湿度50〜60%の環境下に養生する(工程(D))。以上のような工程(A)〜(D)を備える本発明の製造方法によれば、製造後における面内位相差値の経時変化が十分に抑制された位相差フィルムを得ることができる。養生は、典型的には、上記熱固定された延伸フィルムをロール状に巻き取った後行なう。
本発明の製造方法により得られる位相差フィルムの膜厚は、特に制限されるものではないが、5〜25μmが好ましく、8〜15μmがより好ましい。膜厚が25μmを超えると、薄膜化の効果が十分に現れない場合がある。また、膜厚が5μmを下回ると、位相差フィルムにシワ等が発生しやすくなり、巻き取りや貼合時の取り扱い性に劣る場合がある。
本発明の製造方法により得られる位相差フィルムにおいて、製造直後の面内位相差値R0は、70〜400nmが好ましく、80〜330nmがより好ましい。また、厚み方向の位相差値Rthは、28〜240nmが好ましい。また、Nz係数は、0.9〜1.1の範囲であり、0.95〜1.05がより好ましい。これらの範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。ここで、Nz係数がほぼ1であれば、次式(III)において、nyとnzがほぼ等しいことを意味し、そのような位相差フィルムは、光学的にほぼ完全な一軸性のものとなる。
なお、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして厚みをdとしたとき、面内位相差値R0、厚み方向の位相差値Rth、およびNz係数は、それぞれ下式(I)、(II)、および(III)で定義される。
0=(nx−ny)×d (I)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (III)
また、これらの式(I)、(II)および(III)から、Nz係数と面内位相差値R0および厚み方向の位相差値Rthとの関係は、次の式(IV)で表すことができる。
Nz=Rth/R0+0.5 (IV)
本発明の製造方法により得られる位相差フィルムを1/4波長板として用いる場合、その面内位相差値R0は、70〜160nmの範囲にあることが好ましく、さらには80〜150nmの範囲にあることがより好ましい。1/4波長板は、直線偏光で入射する光を、円偏光をはじめとする楕円偏光に、また円偏光をはじめとする楕円偏光で入射する光を直線偏光に、それぞれ変換して出射する機能を有する。一方、本発明の製造方法により得られる位相差フィルムを1/2波長板として用いる場合、その面内位相差値R0は、240〜400nmの範囲にあることが好ましく、さらには260〜330nmの範囲にあることがより好ましい。1/2波長板は、直線偏光の向きを回転させる機能を有する。
本発明の製造方法によれば、「製造後における面内位相差値変動」が2.0nm以下である位相差フィルムを得ることができ、1.0nm以下、さらには0.5nm以下の位相差フィルムを得ることもできる。このような製造後の面内位相差値の経時変動が十分に抑制されたポリプロピレン樹脂からなる位相差フィルムを用いることにより、液晶表示装置の表示性能の安定性を高度に向上させることができる。製造後における面内位相差値変動が2.0nmを超えると、その位相差フィルムを用いた液晶表示装置の表示性能がばらつき、その商品価値を低下させる場合がある。
なお、本発明において「製造後における面内位相差値変動」とは、位相差フィルム製造直後(上記工程(D)終了直後)における位相差フィルムの面内位相差値(nm)と、製造後50日経過した位相差フィルムの面内位相差値(nm)との差の絶対値と定義される。位相差フィルムの面内位相差値は、位相差測定装置を用いて、測定波長590nmにて測定される値である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量を表す%は、特記ないかぎり重量基準である。
また、フィルム厚みの測定、および位相差値の測定は、次に示す方法で行なった。
[未延伸フィルムの幅方向における膜厚分布の測定]
長尺状の未延伸フィルムを幅方向(長尺方向に対して垂直な方向)にカットし、測定用サンプルとした。このサンプルについて、厚み計KG601B(アンリツ社製)を用いて、幅方向全体にわたって連続的に膜厚を測定し、膜厚プロファイルを得た。この膜厚プロファイルより凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値を算出し、その差を膜厚分布とした。
[未延伸フィルムの厚みの測定]
前記の膜厚分布の測定で得られた膜厚プロファイルより、その平均値を算出し、フィルム厚みとした。
[位相差フィルムの厚みの測定]
デジタルマイクロメーターMH−15M((株)ニコン製)を用いて測定した。
[位相差フィルムの位相差値の測定]
位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、測定波長590nmで測定した。
[位相差フィルムの面内位相差値変動の測定]
上記位相差値の測定と同様にして、製造直後(養生工程終了直後)および製造後50日後の面内位相差値を測定し、その差の絶対値を面内位相差値変動とした。
[実施例1]
メルトフローレートが8g/10分であり、アイソタクチックの立体規則性を有するプロピレン単独重合体からなるポリプロピレン樹脂を、樹脂温度が250℃となるように65mmφ押出機にて溶融混練し、800mm幅のTダイリップより該プロピレン樹脂を押出し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムの厚みは50μmであり、膜厚分布は0.4μmであった。
次いで、この未延伸フィルムを横延伸機で横方向に一軸延伸した。ライン速度を4m/分とし、まず温度が130℃に調節された4mの予熱ゾーンに通し、続いて温度が150℃に調節された延伸ゾーンで延伸倍率が4倍となるように延伸し、温度が120℃に調節された4mの熱固定ゾーンを通し、得られた延伸フィルムをロール状に巻き取った。なお、予熱ゾーンおよび熱固定ゾーンの滞留時間は双方ともに60秒となった。
なお、各ゾーンを通過するフィルム温度を、各ゾーンの中央および出口にて放射温度計で測定したところ、いずれのゾーンとも設定温度と等しい値を示した。よって、今後温度制御は各温度制御ゾーンの設定温度で表す。
ついで、得られたロール状の延伸フィルムを、温度23℃、相対湿度55%の環境下に7日間養生し、位相差フィルムを得た。
こうして得られた位相差フィルムについて、厚み、面内位相差値R0、厚み方向位相差値Rth、およびNz係数を測定した。また、位相差値の安定性評価として、面内位相差値変動を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
未延伸フィルムを構成するポリプロピレン樹脂として、メルトフローレートが8g/10分であり、アイソタクチックの立体規則性を有するプロピレン単独重合体に、京葉ポリエチレン株式会社製の「高密度ポリエチレンG1900」を、その含有量が1重量%となるように添加したポリプロピレン樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。なお、上記ポリプロピレン樹脂からなる未延伸フィルムの厚みは50μmであり、膜厚分布は0.5μmであった。
こうして得られた位相差フィルムについて、厚み、面内位相差値R0、厚み方向位相差値Rth、Nz係数、および面内位相差値変動を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリプロピレン樹脂からなる未延伸フィルムとして、メルトフローレートが8g/分であり、アイソタクチックの立体規則性を有するプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含量4.6重量%)からなるポリプロピレン樹脂フィルムを用いた。この未延伸フィルムの厚みは100μmであり、膜厚分布はは0.5μmであった。
次いで、この未延伸フィルムを横延伸機で横方向に一軸延伸した。ライン速度を4m/分とし、まず温度が130℃に調節された4mの予熱ゾーンに通し、温度が120℃に調節された延伸ゾーンで延伸倍率が4倍となるように延伸し、温度が100℃に調節された4mの熱固定ゾーンを通し、得られた延伸フィルムをロール状に巻き取った。なお、予熱ゾーンおよび熱固定ゾーンの滞留時間は双方とも60秒となった。
このロール状の延伸フィルムを、温度23℃、相対湿度55%の環境下に7日養生し、位相差フィルムを得た。
こうして得られた位相差フィルムについて、厚み、面内位相差値R0、厚み方向位相差値Rth、Nz係数、および面内位相差値変動を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010139735
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (3)

  1. (A)プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂からなる長尺状の未延伸フィルムを、温度110〜160℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で予熱する工程と、
    (B)予熱された未延伸フィルムを3〜10倍の延伸倍率で横一軸延伸する工程と、
    (C)得られた延伸フィルムを温度90〜150℃および滞留時間10〜120秒の範囲内で熱固定する工程と、
    (D)7日以上の間、温度20〜25℃、相対湿度50〜60%の環境下に養生する工程と、
    を備える位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂が、造核剤を含有する請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂からなる長尺状未延伸フィルムの幅方向に連続的に測定した膜厚プロファイルにおける凸部膜厚の平均値と凹部膜厚の平均値との差が1μm以下である請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法。
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