JP4595780B2 - 延伸複層フィルム - Google Patents

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本発明は、透明性と表面の滑り性に優れた脂環式ポリオレフィン樹脂からなる延伸複層フィルム、さらに、これを有する視認性及び耐久性に優れる偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置には、その表示画面の着色防止、視野角拡大などの光学補償などのために、位相差フィルムが広く用いられている。これまで、製造効率に優れる観点から、透明樹脂フィルムを延伸により配向させて得られる延伸フィルムが広く利用されてきた。この延伸フィルムとしては、耐熱性等に優れるポリカーボネート樹脂からなるフィルムが多用されてきたが、近年になって、耐熱性に優れ、吸湿性が低く、光弾性定数が小さい脂環式ポリオレフィン樹脂からなるフィルムが注目を浴びている。
ところで、脂環式ポリオレフィン樹脂からなるフィルムは、表面の滑り性が十分でないために、ハンドリングに支障をきたす場合があった。例えば、フィルムを連続的に製造するにあたっては、一般に、巻き取り機でフィルムをロールに巻き取って、フィルムのロール状体が作られることが多いが、フィルム表面と巻き取りロール表面との滑り性又はフィルム表面同士の滑り性が十分でない場合は、巻き取り時にフィルムに皺や折れが発生して、巻き取ったフィルムの品質が大幅に低下することがあった。そのため、脂環式ポリオレフィンフィルム上に、滑り性に優れる特性を有する、別のフィルム(一般に、光学用マスキングフィルムと呼ばれるもの)をさらに積層した後に、巻き取り作業を行っていた。しかしながら、この手法では、製造工程が複雑になり、製造効率に劣っていた。
この問題を解決するため、特許文献1では、脂環式ポリオレフィンに架橋ポリマー粒子を配合させた組成物からなる、滑り性を向上させた透明フィルムが開示されている。この透明フィルムは、巻き取りを行っても皺や折れが発生しにくい。ところが、この透明フィルムでは、それを延伸すると、フィルム中の粒子の周りに空隙が発生してしまい、このことに起因して、透明性が低下してしまう欠点があった。したがって、この透明フィルムを延伸した延伸フィルムは、位相差フィルムとして用いても光学補償効果が不十分であった。
また、特許文献2では、フィルム上に粒子を含有する塗布液を塗布して、フィルム上に粒子を含有する層を形成させた後に、これを延伸してなる、ハンドリング性を高めた延伸フィルムが開示されている。しかしながら、ここでの延伸フィルムは、塗布液の塗布時に塗布スジが発生したり、塗布層の層剥離により光学欠陥が発生したりするため、光学補償効果が不十分であった。
特開平7−196885号公報 特開平6−258522号公報
本発明の目的は、透明性に優れ、巻き取りを施しても皺や折れが発生せず、傷がつきにくく、表面の滑り性に優れた脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物からなる延伸複層フィルム、さらに、これを有する視認性及び耐久性に優れる偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Pからなる少なくとも1枚のフィルム(A)と、
特定範囲の細孔容積を有する多孔質シリカ粒子の、凝集体を特定量含有する脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Qからなる少なくとも1枚のフィルム(B)とを、
少なくとも1枚の前記フィルム(B)が最外層に位置するように、積層させてなり、
さらに、フィルムの形成に用いる樹脂の特性に合わせて、前記シリカ粒子の細孔容積、並びに、前記多孔質シリカ粒子の凝集体の、一次粒径及び二次粒径を、それぞれ特定範囲とした、
複層フィルムを、
延伸してなり、
100μm厚でのヘーズが特定範囲である延伸複層フィルムは、上記の課題を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明は、
(1)脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Pからなるフィルム(A)と、
多孔質シリカ粒子(C)の凝集体(D)を0.005〜0.1重量%含有する、脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Qからなるフィルム(B)とを、
少なくとも1枚ずつ積層してなり、
a)前記多孔質シリカ粒子(C)の細孔容積が0.5〜2.0ml/gで、且つ、シリカ粒子(C)の平均粒径(一次粒子の平均粒径)が0.01〜0.1μmであり、
b)前記凝集体(D)の平均粒径(二次粒子の平均粒径)が0.1〜2.0μmであり、
c)少なくとも一方の表面が前記フィルム(B)である、
複層フィルムを、
延伸してなり、
ヘーズが0.3以下である、ことを特徴とする延伸複層フィルム、
(2)フィルム(B)−フィルム(A)−フィルム(B)の順番に積層してなる複層フィルムを、延伸してなることを特徴とする(1)記載の延伸複層フィルム、
(3)(1)または(2)記載の延伸複層フィルムと偏光子とを積層してなる偏光板、
(4)(1)または(2)記載の延伸複層フィルムを備えてなる液晶表示装置、
(5)(3)記載の偏光板を備えてなる液晶表示装置、
(6)VAモードの液晶パネルを備えることを特徴とする(4)または(5)記載の液晶表示装置、
を提供するものである。
本発明の延伸複層フィルムは、表面の滑り性が良く、透明性や耐久性に優れるため、フィルムの巻き取り時や表示装置等への組み込み時などのハンドリング性に優れ、長期に渡って光学特性が良好に保たれる位相差フィルムとして、液晶表示装置、有機EL装置等に広く適用可能である。
本発明の延伸複層フィルムは、脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Pからなるフィルム(A)と、多孔質シリカ粒子(C)の凝集体(D)を含有する、脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Qからなるフィルム(B)とを、少なくとも1枚ずつ積層してなる複層フィルムを、延伸してなる。
本発明において、前記組成物P及び前記組成物Qに用いる脂環式ポリオレフィン樹脂とは、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するポリオレフィン樹脂である。特に、機械強度、耐熱性が向上する観点から、主鎖に脂環式構造を含有するポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
脂環式構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、フィルムの、機械強度、耐熱性、及び成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、本発明の延伸複層フィルムの透明性および耐熱性が向上する。
脂環式ポリオレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、本発明の延伸複層フィルムの、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性が向上する観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体;などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ〔3.3.0〕オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる延伸複層フィルムを得ることができる。
本発明に用いる脂環式ポリオレフィン樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(脂環式ポリオレフィン樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは15,000〜80,000、より好ましくは20,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、本発明の延伸複層フィルムの機械的強度や延伸時の成型加工性などが高度にバランスされる。
脂環式ポリオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。Tgがこのような範囲にある延伸複層フィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
脂環式ポリオレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
本発明に用いる脂環式ポリオレフィン樹脂は、光弾性係数の絶対値が10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、
C=Δn/σ
で表される値である。脂環式ポリオレフィン樹脂の光弾性係数がこのような範囲にあると、本発明の延伸複層フィルムの面内方向のレターデーション(Re)のばらつきを小さくすることができる。
本発明において、前記フィルム(A)の形成に用いる組成物Pは、前記脂環式ポリオレフィン樹脂を含有してなり、且つ、後述する凝集体(D)を含有しない。
また、該組成物Pは、フィルムの製造工程内での貼り付きや静電気により火花発生を防ぐ観点から、帯電防止剤を含有することが好ましい。組成物Pが、帯電防止剤を含有することにより、本発明の延伸複層フィルムの表面抵抗値を低くすることができ、延伸複層フィルムのハンドリング性がより向上する。
該帯電防止剤としては、特に制限はなく、ノニオン性、アニオン性、カチオン性および両性のいずれのタイプの帯電防止剤を用いてもよいし、これらを併用してもよい。また、低分子量のものであっても高分子量のものであってもかまわないが、好適なものの一例としてアルキルスルホン酸ナトリウム系の帯電防止剤を挙げることができる。
前記組成物Pは、この他に、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を、発明の効果が損なわれない範囲で含有してもよい。
本発明において、前記フィルム(B)の形成に用いる組成物Qは、前記脂環式ポリオレフィン樹脂、及び、後述する凝集体(D)を含有してなる。
また、該組成物Qは、前記帯電防止剤を含有することが好ましい。さらに、組成物Qは、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を、発明の効果が損なわれない範囲で含有してもよい。
本発明において、前記組成物Qは、多孔質シリカ粒子(C)の凝集体(D)を含有する。本発明に用いる多孔質シリカ粒子(C)は、珪素酸化物(二酸化珪素)からなり、具体的には、細孔と呼ばれるナノメーターサイズの穴を有する粒子である。
前記多孔質シリカ粒子(C)は、組成物Qにおいて、前記脂環式ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.005〜0.1重量部、好ましくは0.007〜0.06重量部含有される。粒子(C)の含有量が、このような範囲にあると、本発明の延伸複層フィルムの透明性を維持することができ、且つ、フィルムをロール状に巻き取る際に、フィルム同士の滑り性が向上し、かつフィルム間の空気が抜け易くなり、フィルム間に空気を巻き込むことなく、フィルムに皺を発生させずに巻き取ることができる。粒子(C)の含有量が、前期範囲を上回ると、本発明の延伸複層フィルムの透明性が低下するおそれがある。粒子(C)の含有量が、前記範囲を下回ると、本発明の延伸複層フィルムの滑り性が低下したり、フィルム間の空気が抜け難くなったりして、フィルムを巻き取る際に皺や傷が発生するおそれがある。
a−1)前記多孔質シリカ粒子(C)の細孔容積(シリカ粒子の細孔の全容積)は、0.5〜2.0ml/g、好ましくは0.6〜1.8ml/gである。この範囲に細孔容積があると、延伸フィルムの透明性と滑り性の両立が可能になる。粒子(C)の細孔容積が、前記範囲を上回ると、粒子が砕け易くなる結果、粒子の解砕によって極微小な粒子ができ、それらが凝集して100μm程度の粗大な粒子の凝集体を形成するおそれがある。粒子(C)の細孔容積が、前記範囲を下回ると、前記複層フィルムを延伸する際に、空隙が発生しやすくなり、本発明の延伸複層フィルムの透明性が低下するおそれがある。
また、a−2)前記多孔質シリカ粒子(C)の平均粒径(一次粒子の平均粒径)は、0.01〜0.1μm、好ましくは0.01〜0.07μmである。粒子(C)の平均粒径が、このような範囲にあると、本発明の延伸複層フィルムの透明性を維持することができ、且つ、本発明の延伸複層フィルムにおいて、粒子に起因する光学欠陥の発生を防ぐことができる。粒子(C)の平均粒径が、前記範囲を上回ると、前記複層フィルムを延伸する際に、空隙が発生しやすくなり、本発明の延伸複層フィルムの透明性が低下するおそれがある。粒子(C)の平均粒径が、前記範囲を下回ると、粒子が過度に凝集しやすくなり、100μm程度の粗大な粒子の凝集体が形成され、本発明の延伸複層フィルムに光学欠陥を形成するおそれがある。
本発明に用いる凝集体(D)は、前記粒子(C)が凝集してなるものである。b)該凝集体(D)の平均粒径(二次粒子の平均粒径)Lは、0.1〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μm、より好ましくは0.8〜1.2μmである。凝集体(D)の平均粒径Lが、このような範囲にあると、本発明の延伸複層フィルムの透明性を維持することができ、且つ、フィルムをロール状に巻き取る際に、フィルム間に空気を巻き込むことなく、フィルムに皺や傷を発生させずに巻き取ることができる。凝集体(D)の平均粒径が、前記範囲を上回ると、散乱によりヘーズが低下するおそれがある。凝集体(D)の平均粒径が、前記範囲を下回ると、本発明の延伸複層フィルムの滑り性が低下し、フィルムを巻き取る際に皺や傷が発生するおそれがある。
前記多孔質シリカ粒子(C)の凝集体(D)を製造する方法としては、湿式法や乾式法などの公知の製造方法を採用することができる。
本発明において、前記組成物Pからなるフィルム(A)及び前記凝集体(D)を含有する、前記組成物Qからなるフィルム(B)を、フィルム状に成形する方法としては、公知の成形方法を採用することができる。例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも採用することができるが、シート中の揮発性成分を低減させる観点から、加熱溶融成形法を用いることが好ましい。
加熱溶融成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れるフィルムが得られ、製造効率に優れ、フィルム中の残留揮発成分量を効率良く低減させることができる観点から、溶融押出し成形法を用いることが好ましい。
本発明に用いる複層フィルムは、前記フィルム(A)と、前記フィルム(B)とを、少なくとも1枚ずつ積層してなる。
少なくとも1枚のフィルム(A)と、少なくとも1枚のフィルム(B)とを、積層する方法としては、公知の積層方法を採用することができるが、製造効率に優れる観点から、前記溶融押出し成形法により、フィルム(A)とフィルム(B)とを同時にフィルム状に成形しながら積層する方法(溶融共押出し成形法)を用いることが好ましい。
本発明に用いる複層フィルムは、c)少なくとも一方の表面が、前記フィルム(B)である。複層フィルムの少なくとも一方の最表面が、フィルム(B)であることにより、本発明の延伸複層フィルムの滑り性が良くなり、ハンドリング性が向上する。また、本発明に用いる複層フィルムは、前記フィルム(A)とフィルム(B)とが少なくとも1枚ずつ積層される限り、フィルム(A)やフィルム(B)が何枚積層されてもよいが、通常、フィルム(A)とフィルム(B)との合計で2〜5枚が積層される。
本発明に用いる複層フィルムにおいて、前記フィルム(A)と前記フィルム(B)とが積層される順番としては、フィルム(B)が複層フィルムの最表面になるように積層される限り特に制限はない。例えば、フィルム(A)−フィルム(B)の構成、フィルム(B)−フィルム(A)−フィルム(B)の構成が挙げられる。中でも、延伸複層フィルムの反りを防ぐ観点から、フィルム(B)−フィルム(A)−フィルム(B)の順番に積層されることが好ましい。
本発明の延伸複層フィルムは、前記複層フィルムを延伸してなる。複層フィルムを延伸する方法としては、公知の延伸方法を採用することができる。具体的には、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔が開かれて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後にその両端部がクリップ把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;が挙げられる。
縦方向に延伸する方法としては、ロール間でのIR加熱方式、フロート方式等が上げられるが、本発明のフィルムの用途に求められる光学的な均一性を得るためには後者が好適である。延伸条件に特に制限はないが、延伸温度としてはTg〜Tg+20℃の範囲で、延伸倍率としては1.1〜3.0倍の範囲にて所望の光学特性を得るために調整すればよい。
横方向に延伸する方法としては、テンター法が挙げられる。この場合も延伸条件に特に制限はないが、延伸温度としてはTg〜Tg+20℃の範囲で、延伸倍率としては1.3〜3.0倍の範囲にて所望の光学特性を得るために調整すればよい。
本発明の延伸複層フィルムの表面には、必要に応じて表面処理を行うことができる。表面処理する方法としては、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線処理、火炎処理などが挙げられる。
本発明の延伸複層フィルムは長尺状であることが好ましい。長尺状とは、フィルムの幅方向に対し少なくとも5倍程度以上の長さを有するものを言い、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するものを言う。
本発明の延伸複層フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは40〜120μm、さらに好ましくは40〜100μm、特に好ましくは40〜80μmである。
また、延伸複層フィルムの厚み変動は、フィルムの長手方向及び幅方向にわたって、前記平均厚みの±3%以内であることが好ましい。厚さ変動を上記範囲にすることにより、本発明の延伸複層フィルムのRe等の光学特性のばらつきを小さくすることができる。
本発明の延伸複層フィルムにおいて、前記複層フィルムの最表面の、前記フィルム(B)を延伸した結果のフィルムを、フィルム(B’)とすると、フィルム(B’)の厚みTsは、前記凝集体(D)の平均粒径Lよりも、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上の大きさである。フィルム(B’)の厚みTsを、このような範囲にすることによって、前記凝集体(D)が延伸複層フィルムから脱落することを防ぐことができる。
本発明の延伸複層フィルムの残留揮発性成分の含有量は、特に制約されないが、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の含有量を上記範囲にすることにより、寸法安定性が向上し、ReやRthの経時変化を小さくすることができ、さらには本発明の延伸複層フィルムを有する偏光板や液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に液晶表示装置のディスプレイの表示を安定で良好に保つことができる。残留揮発性成分の含有量が上記範囲を超えると、経時的に延伸複層フィルムの光学特性が変化するおそれがある。
残留揮発性成分は、フィルム中に微量含まれる分子量200以下の物質であり、例えば、残留単量体や溶媒などが挙げられる。残留揮発性成分の含有量は、フィルム中に含まれる分子量200以下の物質の合計として、フィルムをガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量することができる。
本発明の延伸複層フィルムの飽和吸水率は、特に制約されないが、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が上記範囲であると、ReやRthの経時変化を小さくすることができ、さらには本発明の延伸複層フィルムを有する偏光板や液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に液晶表示装置のディスプレイの表示を安定で良好に保つことができる。
飽和吸水率は、フィルムの試験片を一定温度の水中に一定時間、浸漬し、増加した質量の浸漬前の試験片質量に対する百分率で表される値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。
本発明の延伸複層フィルムにおける飽和吸水率は、例えば脂環式ポリオレフィン樹脂の極性基の量を減少させることにより、前記値に調節することができるが、好ましくは、極性基を持たない樹脂であることが望まれる。
本発明の延伸複層フィルムは、100μm厚でのヘーズが0.3以下、好ましくは0.2以下である。ヘーズが、このような範囲にあると、延伸複層フィルムの透明性が向上し、位相差フィルムとして好ましく用いることができる。ヘーズが、前記範囲を上回ると、延伸複層フィルムの透明性が低下し、位相差フィルムとして使用できないおそれがある。
本発明の延伸複層フィルムは、100μm厚での全光線透過率が、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
本発明の延伸複層フィルムの面内方向のレターデーション(Re)および厚み方向レターデーション(Rth)は、液晶表示装置の設計によって異なるが、通常、Reは40〜120nm、Rthは100〜300nm程度の範囲から適宜選択される。なお、本発明におけるReは、フィルムの平均厚みTとしたときに、(n−n)×Tで定義される値であり、本発明におけるRthは、(((n+n)/2)−n)×Tで定義される値である。
本発明の延伸複層フィルムは、Reのばらつきが通常10nm以内、好ましくは5nm以内、さらに好ましくは2nm以内である。Reのばらつきを、上記範囲にすることにより、延伸複層フィルムを位相差フィルムとして液晶表示装置に用いた場合に、液晶表示装置の表示品質を良好なものにすることが可能になる。ここで、Reのばらつきは、光入射角0°(入射光線と本発明の延伸複層フィルム表面が直交する状態)の時のReを延伸複層フィルムの幅方向に測定したときの、そのReの最大値と最小値との差である。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に本発明の延伸複層フィルムを積層させてなる。本発明に用いる偏光子は、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収するものであり、例えば、ポリビニルアルコールフィルムやエチレン酢酸ビニル部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたもの、前記親水性高分子フィルムを一軸延伸して二色性物質を吸着させたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルムなどが挙げられる。偏光子の厚さは、通常5〜80μmである。
積層形態としては、本発明の延伸複層フィルムを偏光子の両面に積層させても片面に積層させてもよく、また積層する数にも特に限定はなく、2枚以上積層させてもよい。
偏光子の片面のみに、本発明の延伸複層フィルムを積層した場合は、残りの片面に偏光子の保護を目的として、適宜の接着層を介して保護フィルムを積層してもよい。
保護フィルムとしては、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れる樹脂を有するフィルム等が好ましく用いられる。その樹脂の例としては、トリアセチルセルロースの如きアセテート重合体、脂環式オレフィンポリマー、ポリオレフィン重合体、ポリカーボネート重合体、ポリエチレンテレフタレートの如きポリエステル重合体、ポリ塩化ビニル重合体、ポリスチレン重合体、ポリアクリロニトリル重合体、ポリスルフォン重合体、ポリエーテルスルフォン重合体、ポリアミド重合体、ポリイミド重合体、アクリル重合体等が挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、前記延伸複層フィルムまたは偏光板を備えるものである。本発明の液晶表示装置の一例としては、液晶の配向を電圧の調整で変化させることができる液晶パネルと、それを挟むように配置される本発明の偏光板とで構成されるものが挙げられる。また、本発明の延伸複層フィルムは、位相差フィルムとして、光学補償、偏光変換などのために液晶表示装置に用いられる。なお、液晶表示装置には、液晶パネルに光を送りこむために、表示面の裏側に、透過型液晶表示装置ではバックライト装置が、反射型液晶表示装置では反射板が、通常備えられている。なお、バックライト装置としては、冷陰極管、水銀平面ランプ、発光ダイオード、ELなどが挙げられる。液晶パネルはその表示モードによって特に制限されない。例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどを挙げることができる。特に、本発明の液晶表示装置は、VAモードの液晶パネルを備えることが好ましい。本発明の液晶表示装置には、その他に、プリズムアレイシート、レンズアレイシート、光拡散板、輝度向上フィルム等の適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
本発明の延伸複層フィルムは、液晶表示装置以外に、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置に適用することができる。
本発明を、実施例及び比較例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)フィルムの厚み
延伸複層フィルムをエポキシ樹脂に包埋した後、ミクロトーム(大和光機社製、RUB−2100)を用いて0.05μm厚にスライスし、顕微鏡にて断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
(2)フィルムのヘーズ
ヘーズメーター(日本電色工業社製、NDH−2000)を用いて、延伸複層フィルムの全面に渡って任意に3点測定して、その3点の平均値を測定値とした。
(3)粒子(一次粒子)および凝集体(二次粒子)の粒径
スパッタリング装置(日本電子社製、JPC−1000型)のベルジャー内に粒子を含む層が上を向くようにフィルムを設置し、そのフィルムの表面に、約1x10−3Torr、電圧0.25kv、電流12.5mAの条件下で、約10分間イオンエッチングを施した。更に同装置にて、該フィルムの表面に、金スパッターを施した。
得られたフィルムについて、走査型電子顕微鏡にて観察した。(この際、二次粒子については、1万〜3万倍の倍率で観察し、一次粒子については、それ以上の倍率で観察した。)続いて、画像解析装置(日本レギュレータ社製、ルーゼックス500)にて少なくとも100個の粒子の長径Dli、短径Dsi及び面積円相当径を求める。そしてこれらのそれぞれの数平均値をもって、粒子の長径Di、短径Ds、平均粒径Dを算出する。
(4)粒子の細孔容積
比表面積測定装置(島津製作所社製、トライスター3000)を用いて窒素吸脱着法により測定し、BET式で計算した。
(5)フィルムの表面状態
延伸複層フィルムの任意の箇所1mを観察する。
○・・・フィルム上に白紛、傷が見られない
×・・・フィルム上に白紛、傷が見られる
(6)フィルムの巻き取り性
延伸複層フィルムをロール状に巻き取って外観を観察する。
○・・・フィルムに皺や傷が入ったり、フィルム間に空気が巻き込まれたりすることなく、きれいに巻き取ることができる
×・・・フィルムに皺が入り、きれいに巻き取ることができない
製造例1
(粒子の調整)
珪酸ナトリウムと硫酸との中和反応を酸性領域で進行させ、酸性度、温度、反応時間をコントロールすることで常法により表1に示すシリカ粒子の凝集体A〜Eを得た。
製造例2
(シリカ粒子を含有する、樹脂のペレットの調整)
ノルボルネン系樹脂のペレット(日本ゼオン社製、ZEONOR1420)を100℃で5時間乾燥した後、常法によって該ペレットと、製造例1で得られたシリカ粒子とを2軸押出し機に供給し、250℃で溶融してストランドダイから押出したのち、ストランドカッターを用いて裁断し、樹脂に対する粒子の重量比が0.2wt%のマスターペレットを得た。
実施例1〜3
(フィルムの作製)
二台の押出し機を取り付けたダイスを有する、フィルム成形装置を準備した。そして、シリカ粒子の含有量が、樹脂100重量部に対して表2に示す含有量になるように、ノルボルネン系樹脂のペレット(日本ゼオン社製、ZEONOR1420)と、製造例2で得られたマスターペレットとをブレンドし、これを、100℃で5時間乾燥した後、一方の押出し機(B)に供給した。並びに、ノルボルネン系樹脂のペレット(日本ゼオン社製、ZEONOR1420)を100℃で5時間乾燥した後、これを、もう一方の押出し機(A)に供給した。その後、各押出し機内で、各ペレットを250℃で溶融させ、次いで、ポリマーパイプ内に供給し、ダイス内のフィードブロック部で各溶融樹脂を合流させ、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に共押出し、冷却し、厚み150μmの未延伸フィルムを得た。この際、この未延伸フィルムが、シリカ粒子を含む層(押出し機(B)から供給された樹脂から形成された層)/シリカ粒子を含まない層(押出し機(A)から供給された樹脂から形成された層)/シリカ粒子を含む層(押出し機(B)から供給された樹脂から形成された層)からなる3層構成のフィルムとなるように共押出し成形した。
次いで、前記未延伸フィルムを、そのまま連続して調整ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機に供給し、140℃の温度でフィルムの長手方向に1.5倍に延伸して、延伸フィルム中間体を得た。さらに、この延伸フィルム中間体を、連続してテンター法を用いた横延伸機に供給し、150℃の温度でフィルムの幅方向に1.8倍に延伸し、延伸フィルム(1)〜(3)をそれぞれ得た。
そして、さらに連続して、延伸フィルム(1)〜(3)をそれぞれ、ライン速度50m/minでロールに巻き取り、幅1350mm、長さ1500mの延伸フィルム(1)〜(3)のロール状体をそれぞれ得た。延伸フィルム(1)〜(3)のロール状体は全て、光学用マスキングフィルムを使用して巻き取った場合と同等の良好な外観を有しており、フィルムの透明性も良好であった。得られたフィルムの物性と評価結果を表2に示す。
(偏光板及び液晶表示装置の作製)
延伸フィルム(1)のロール状体から引き出したフィルムと、透過軸が幅方向に平行な長尺の偏光板(サンリッツ社製、HLC2-5618S、厚さ180μm)とを、ロールトゥーロール法により積層して、長尺の光学素子を得た。この時、延伸フィルム(1)の遅相軸と、偏光板の吸収軸とが、ほぼ垂直となるように積層した。この長尺の光学素子から切り出した偏光板(P)を、市販のバーチカルアラインメント(VA)モードの液晶表示装置のバックライト側の偏光板と置き換え、延伸フィルム(1)が液晶セル側に配置するように組み込んだ。得られた液晶表示装置の表示特性を目視により正面から確認したところ、表示は良好かつ均一であった。延伸フィルム(2)及び延伸フィルム(3)についても同様にして液晶表示装置を得、その表示特性を目視により正面から確認したところ、表示は良好かつ均一であった。
比較例1〜2
表1及び表2に示す条件に変えた他は実施例1と同様にして、延伸フィルム(4)及び延伸フィルム(5)、並びに、延伸フィルム(4)のロール状体及び延伸フィルム(5)のロール状体を得た。これらのロール状体は、光学用マスキングフィルムを使用して巻き取った場合と同等の良好な外観を有していたが、透明性が著しく悪化した。得られたフィルムの物性と評価結果を表2に示す。
さらに、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の表示特性を目視により正面から確認したところ、表示は全て不良であった。
比較例3
表1及び表2に示す条件に変えた他は実施例1と同様にして、延伸フィルム(6)を得た。さらに、実施例1と同様にして、延伸フィルム(6)をロールに巻き取ろうとしたが、フィルムに皺や折れが発生して巻き取ることができなかった。巻き取りを試みた後の延伸フィルム(6)は、透明性は良好なままであったが、フィルムの表面状態は著しく悪化した。
さらに、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の表示特性を目視により正面から確認したところ、表示は良好であった。
比較例4
表1及び表2に示す条件に変えた他は実施例1と同様にして、延伸フィルム(7)及び延伸フィルム(7)のロール状体を得た。延伸フィルム(7)のロール状体は、フィルムの透明性及びフィルムの表面状態が著しく悪化した。
さらに、実施例1と同様にして、液晶表示装置を得た。得られた液晶表示装置の表示特性を目視により正面から確認したところ、表示は不良であった。
Figure 0004595780
Figure 0004595780

Claims (6)

  1. 脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Pからなるフィルム(A)と、
    多孔質シリカ粒子(C)の凝集体(D)を0.005〜0.1重量%含有する、脂環式ポリオレフィン樹脂の組成物Qからなるフィルム(B)とを、
    少なくとも1枚ずつ積層してなり、
    a)前記多孔質シリカ粒子(C)の細孔容積が0.5〜2.0ml/gで、且つ、シリカ粒子(C)の平均粒径(一次粒子の平均粒径)が0.01〜0.1μmであり、
    b)前記凝集体(D)の平均粒径(二次粒子の平均粒径)が0.1〜2.0μmであり、
    c)少なくとも一方の表面が前記フィルム(B)である、
    複層フィルムを、
    延伸してなり、
    100μm厚でのヘーズが0.3以下である、ことを特徴とする延伸複層フィルム。
  2. フィルム(B)−フィルム(A)−フィルム(B)の順番に積層してなる複層フィルムを、延伸してなることを特徴とする請求項1記載の延伸複層フィルム。
  3. 請求項1または2記載の延伸複層フィルムと偏光子とを積層してなる偏光板。
  4. 請求項1または2記載の延伸複層フィルムを備えてなる液晶表示装置。
  5. 請求項3記載の偏光板を備えてなる液晶表示装置。
  6. VAモードの液晶パネルを備えることを特徴とする請求項4または5記載の液晶表示装置。
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