JP6476844B2 - 二軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム Download PDF

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Description

本発明は、平滑性かつ剥離性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムに関するものである。特に、電子回路基板の製造工程や繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程に好適な平滑性かつ剥離性に優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムに関するものである。
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、適度な機械特性と優れた透明性、軽量といった特徴をもち、各種包装用を始めとしてラベル用途や離型用途など幅広く用いられている。特に近年は、ポリプロピレンフィルムの表面エネルギーが低いことを利用して、シリコーン架橋体シート類、エポキシ樹脂基板、不飽和ポリエステルからなる部材、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程、電子回路基盤の製造工程等に適する離型フィルムとして広く使用されるようになってきた。
その中でも特に電子回路基盤などの電子部品の製造工程に使用される離型フィルムとしては、貼り合せた際にフィルムの表面凹凸の転写、エアーボイドの発生が少ないことも必要であるため、フィルム表面の平滑性が非常に重要となる。特開2002−40667号公報(特許文献1)、特許第402357号公報(特許文献2)および特開2014−1265号公報(特許文献3)では、特定の表面を有する保護フィルム、離型フィルムが開示されている。
これらの技術によるフィルムの表面平滑性は、従来レベルよりも平滑になっており保護フィルムとしては利用可能である。しかしながら近年の電子部品等の市場においては、より一層フィルム表面の凹凸の転写抑制が求められており、市場の要求を満足にしているとは言えない状況にある。さらなるフィルム表面の凹凸の転写抑制として、部材との貼り合せ面とその逆面の平滑性を高め、フィルム両面を平滑にすることが重要であるが、一般的な逐次二軸延伸法でポリプロピレンフィルムを製造した場合、Tダイから溶融押し出しし金属ロールへ密着させ冷却させても、非金属ロール面は冷却が不足するため結晶化し、非金属ロール面側のフィルム表面は、粗面化することが一般的である。そのため、フィルム両面が平滑性に優れている二軸配向ポリプロピレンフィルムは未だ得られていない。
特開2002−40667号公報 特許第402357号公報 特開2014−1265号公報
本発明の目的はフィルム両面が平滑性に優れる二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)フィルムの両方の表面の中心線平均粗さ(SRa)がともに5〜20nmであり、かつ、十点平均粗さ(SRz)がともに10〜200nmであり、
フィルム厚みが12〜30μmである、二軸配向ポリプロピレンフィルム。
(2)フィルムの両方の表面の中心線平均粗さ(SRa)がともに5〜20nmであり、かつ、十点平均粗さ(SRz)がともに10〜200nmであり、
厚みが10〜26μmであるB層の両面に、厚みが0.5〜2.0μmであるA層が積層された三層構成を有する、二軸配向ポリプロピレンフィルム。
(3)A層が、粒径0.1〜1.0μmのシリカ粒子が0.01〜1.0質量%含有する、(2)に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム(以下本発明フィルムということもある)は、平滑性かつ離型性に優れ、特に電子回路基盤などの電子部品の製造工程に使用される離型フィルムなどとして好適である。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの両方の表面の中心線平均粗さ(SRa)がともに5〜20nm、好ましくは10〜20nmであり、かつ、十点平均粗さ(SRz)がともに10〜200nm、好ましくは80〜200nmである。
フィルム表面のどちらか片方の面のSRaが20nmを超えていたり、SRzが200nmを超えていたりする場合、保護フィルムや離型フィルムとして貼り合せた場合、貼り合わせ面にフィルム表面の凹凸が転写したり、気泡が発生するなどして、欠陥の原因となる場合がある。また、フィルム表面のどちらか一方のSRaが5nm未満であったり、SRzが10nm未満であったりすると、フィルムが滑りにくく、貼り合わせの際や、巻取り加工の際にシワの発生、フィルム層間でブロッキングが発生しやすくなる。
なお、SRa、SRzなどの値は、JIS B−0601(1982)に基づき、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET−30HK)」及び「三次元粗さ分析装置(MODEL SPA−11)」を用いて測定することができる。測定条件等の詳細は後述する。
また、フィルム厚み(全体の厚み)は12〜30μmが好ましく、より好ましくは18〜30μmである。フィルム厚みが12μm未満であると、シワが発生しやすくなったり、フィルムの加工性が低下したりしやすい。一方、フィルム厚みが30μmを超えると、非キャスティングドラム面のβ晶生成を抑制しにくく、フィルム両面を平滑化することが困難となることがある。
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、厚みが10〜26μmであるB層の両面に、厚みが0.5〜2.0μmであるA層が積層された三層構成を有していることが好ましい。
さらに、上記A層には、平均粒径0.1〜1.0μmのシリカ粒子が0.01〜1.0質量%含有していることが好ましい。このようなシリカ粒子をA層に含有せしめることで、フィルム表面の平滑性は変化させずに、フィルム表面の滑り性が高めることができる。フィルム表面の滑り性を高めることで、フィルム走行時のシワの抑制や、フィルム巻き取り時の巻き姿の改善をすることができる。
上記した本発明のフィルムの表面形態を形成する方法として、結晶変態を利用する手法を用いることができる。この手法は、ポリプロピレンに相溶しない樹脂や無機及び/または有機粒子等を添加する方法に比べて、表面の平滑性を低下させる不純物を添加する必要がなく、離型フィルムとして貼り合せた際に欠陥発生させる可能性が低くなるため好ましく採用される。以下、結晶変態により得られる表面形態について説明する。
結晶変態による面形成法とは文献(M.Fujiyama, Journal of Applied Polymer Science 36,et.al., P.985-1048(1988)等に記載のポリプロピレンが有する2つの結晶系を利用して表面形成を行うものであり、α晶(単斜晶系、結晶密度0.936g/cm)系の球晶とβ晶(六方晶系、結晶密度0.922g/cm)系の球晶を未延伸シートに生成させておき、延伸工程で、熱的に不安定なβ晶をα晶に結晶変態させることで、フィルム表面に凹凸を形成するものである。本手法により得られる表面凹凸の基本単位は球晶の変形に起因するものであることから該形状は円弧状に形成されたクレータ形状を呈することが多い。この場合、凸部が円形や楕円形の形状に並んだ形態が観察される。当該結晶変態により得られる典型的な表面形状は、楕円状に形成されたクレータ形状が多数存在することで形成され、フィルム表面から突起した部分(凸部)は円弧状に連なることでクレータ形状を有するものである。
さらに、本技術によればβ晶系球晶が存在しないところでは凹凸が形成されず平滑性が高まることが特徴である。
β晶系球晶の発生率を下げフィルム表面の凹凸を少なくする方法としては、二軸延伸する前の未延伸シートを生成する際に、β晶化温度領域に留まることなく未延伸シートを急冷させることが挙げられる。また、未延伸シートにおけるβ晶系球晶の発生率を下げる方法として、非晶系プロピレン系ポリマーを添加することで結晶化速度を低下させることが挙げられ、結果的にフィルム表面の凹凸を少なくすることができる。その他にも、核剤効果のある原料を添加して核形成能力を高め、核個数を増やしかつ小さな微細突起を多数存在させ、比較的平坦な箇所が均一に形成された表面を形成させ、結果的にフィルム表面の平滑性を高めることができる。
上記成形法等を採用することにより、両面の中心線平均粗さ(SRa)がともに5〜20nmであり、かつ、十点平均粗さ(SRz)がともに10〜200nmである二軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることが可能となる。
本発明においては、通常用いられるポリプロピレンである直鎖状ポリプロピレンを用いることが好ましい。
以下、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに用いられる直鎖状ポリプロピレンについて説明する。直鎖状ポリプロピレンは、通常、包装材やコンデンサ用に使用されるものであるが、好ましくは冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下であり、かつメソペンタッド分率が0.93以上であるポリプロピレンであることが好ましい。これらを満たさないと製膜安定性に劣る場合や、二軸配向したフィルムを製造する際にフィルム中にボイドを形成する場合があり、寸法安定性の低下が大きくなる場合がある。
ここで冷キシレン可溶部(CXS)について説明する。冷キシレン可溶部(CXS)とはフィルムをキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性が低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当していると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれているとフィルムの熱寸法安定性が劣ったり、フィルム表面の平滑性に問題が生じることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましいが、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。このようなCXSを有する直鎖状ポリプロピレンとするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等が使用できる。
同様な観点から直鎖状ポリプロピレンのメソペンタッド分率は0.93以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.93〜0.97である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標である。メソペンタッド分率が低すぎると製膜安定性に劣る場合や、二軸延伸したフィルムを製造する際にフィルム中にボイドを形成する場合がある。一方でメソペンタッド分率が高過ぎると、未延伸シート生成の際の結晶化速度が速くなり過ぎ、結果的にフィルム表面の平滑性が損なわれることがある。
かかる直鎖状ポリプロピレンとしては、より好ましくは溶融流動指数(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性の点から好ましい。溶融流動指数(MFR)を上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
かかる直鎖状ポリプロピレンとしては、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、寸法安定性の点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
また、かかる直鎖状ポリプロピレンには、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることもできる。
これらの中で、酸化防止剤の種類および含有量の選定は長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製Irganox1010:分子量1177.7)等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン全量に対して0.03〜1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎると、これら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、実用上悪影響を及ぼす場合がある。より好ましい含有量は0.1〜0.9質量%であり、特に好ましくは0.2〜0.8質量%である。
また、フィルムのすべり性改善、巻き姿改善、シワ抑制の観点から、フィルム表面の平滑性が損なわれないサイズの粒子を含有せしめてもよい。粒子の平均粒経は、0.1〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.7μmがより好ましい。この粒子の材質としてはシリカが好ましいが、それに限定するものではない。また、このような粒子の使用は、上記した三層構成のフィルムとする場合は、両表面に位置するA層に含有せしめることが好ましい。
また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム表面の光沢度は130〜150%の範囲であることが好ましく、より好ましくは140〜150%である。すなわち、光沢度を増大せしめることはフィルム表面での光散乱の密度を低化させること、すなわちフィルム表面の凹凸を少なくすることを意味し、単位面積当たりの突起個数が低下し、粗さ密度が小さくなる。一方、光沢度が150%を超えるとフィルム層間が非常に滑りにくく、貼り合わせの際や、巻き取り加工の際にシワの発生や、フィルム層間でブロッキングが発生しやすくなる。
また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの灰分は50ppm以下(質量基準、以下同じ)であることが好ましく、より好ましくは30ppm以下であり、特に好ましくは20ppm以下である。かかる灰分が多すぎると、フィルム内のフィッシュアイ(微小異物)が増大し、表面の平滑性が低化しやすい。灰分をこの範囲とするためには、触媒残渣の少ない原料を用いることが重要であるが、製膜時の押し出し系からの汚染も極力低減するなどの方法、例えばブリード時間を1時間以上かけ、実際に製膜を開始する前にポリマーで経路を十分洗浄するなどの方法を採用することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上述した特性を与えうる原料を用い、二軸延伸されることによって得られる。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法、ステンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、その中でも、製膜安定性、厚み均一性、フィルムの表面形状を制御する点においてステンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの製造方法を以下に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、直鎖状ポリプロピレンを溶融押し出しし、濾過フィルターを通した後、230〜260℃の温度でスリット状口金から押し出し、キャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを得る。その際、直鎖状ポリプロピレンの結晶成長を抑える目的で、押し出し機内の空間が窒素で置換させられた状態を維持して直鎖状ポリプロピレンを溶融押し出ししてもよい。
ここで、本発明のフィルムを得るため、β晶の生成を抑える目的で、キャスティングドラムの温度制御を適切に行うことが好ましい。β晶の生成を抑えるためには、β晶の生成効率が最大となる樹脂温度に留まらせないことが好ましく、該温度は通常115〜135℃である。これらの条件を実現するためには樹脂温度や押し出し量、引き取り速度等に応じて適宜プロセスを決定することができるが、生産性の観点から、キャスティングドラムの径が保持時間に大きく影響するため、該ドラムの直径は少なくとも1m以上であることが好ましい。さらに、選定すべきキャスティングドラム温度としては、上述のような他の要素の影響を勘案し適宜設定すればよいが、20〜70℃であることが好ましく、さらに好ましくは20〜65℃、特に好ましく20〜60℃の範囲である。
キャスティングドラム温度が高すぎると、フィルムの結晶化が進行しすぎ、後の工程での延伸が困難になる場合や、フィルムの平滑性が低下する場合がある。キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。
また、キャスティングドラムへ密着させた後に、フィルムの非キャスティングドラム面をさらに強制的に冷却させることで、非キャスティングドラム面のβ晶生成を抑えることができ、フィルムの平滑性を向上させることができる。非キャスティングドラム面の冷却方法は、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、設備として簡易で、表面粗さの制御がし易く、平滑性が良好であるエアーナイフ法が好ましい。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸する。まず未延伸フィルムを120〜150℃に保たれたロールに通して予熱し、引き続き該シートを130℃〜150℃の温度に保ち、長手方向に2〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。この場合、長手方向の延伸倍率としては3〜6倍に延伸した後、室温まで冷却する延伸を採用することが好ましい。延伸方法や延伸倍率はとくに限定されず、用いるポリマー特性により適宜選択される。その後、引き続き該延伸フィルムをステンターに導いて、140〜160℃の温度で幅方向に7〜13倍に延伸し、ついで幅方向に2〜20%の弛緩を与えつつ、140〜160℃の温度で熱固定した後にフィルムを得る。
こうして得られたフィルムは、特に平滑性に優れ、かつ、密着性、離型性にも優れているので、貼り合わせ面にフィルム表面の形状が転写しにくく、保護フィルム、あるいは、離型フィルムなどとして好適である。
本発明における特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)フィルム厚み(μm)
JIS C−2330(2001)の7.4.1.1に従い、マイクロメータ法厚みを測定した。
(2)グロス(光沢度)
JIS K−7105(1981)に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件で測定した5点のデータの平均値を光沢度とした。
(3)溶融流動指数(MFR)
JIS−K7210(1999)に準じて、測定温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(4)メソペンタッド分率(mmmm)
試料を溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(参考文献:新版 高分子分析ハンドブック 社団法人日本分析化学会・高分子分析研究懇談会 編 1995年 P609〜611)。
A.測定条件
装置:Bruker社製、DRX−500
測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
測定濃度:10wt%
溶媒:ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン=質量比1:3混合溶液
測定温度:130℃
スピン回転数:12Hz
NMR試料管:5mm管
パルス幅:45°(4.5μs)
パルス繰り返し時間:10秒
データポイント:64K
換算回数:10,000回
測定モード:complete decoupling
B.解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1.0としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、さらに付属ソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmとss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)のピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とした。
尚、測定は5回行い、その平均値をメソペンタッド分率とした。
ピーク
(a)mrrm
(b)(c)rrrm(2つのピークとして分割)
(d)rrrr
(e)mrmm+rmrr
(f)mmrr
(g)mmmr
(h)ss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)
(i)mmmm
(j)rmmr
(5)冷キシレン可溶部(CXS)
ポリプロピレンフィルム試料0.5gを沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させた後に、ろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法にて定量する(X(g))。試料0.5gの精量値(X0(g))を用いて以下の式で求める。
CXS(質量%)=(X/X0)×100
(6)中心線平均粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)
JIS B−0601(1982)により、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET−30HK)」及び「三次元粗さ分析装置(MODEL SPA−11)」を用いて測定した。測定は長手方向に10回繰り返し、その平均値として中心線平均粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)求めた。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
(実施例1)
直鎖状ポリプロピレンとしてメソペンダット分率が0.945で、メルトマスフローレイト(MFR)が2.9g/10分である(株)プライムポリマー製ポリプロピレン樹脂を温度245℃の押し出し機に供給し、樹脂温度245℃でT型スリットダイよりシート状に溶融押し出し、該溶融シートを35℃に保持された直径1mのキャスティングドラム上で冷却固化した。次いで、該シートを徐々に140℃に予熱し、引き続き145℃の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に4.2倍に延伸した。引き続き該フィルムをテンターに導き、158℃の温度で幅方向に10倍延伸し、幅方向に7%の弛緩を与えながら150℃で熱処理をおこない、その後冷却しフィルム厚みが12μmの二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。こうして得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す通りであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例2)
キャスティングドラム温度を45℃とした以外は実施例1と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例3)
押し出し機に窒素の充填をし、キャスティングドラム温度を20℃とし、温度30℃、圧力0.3MPaの圧空エアーを非冷却ドラム面に噴射させる設備を使用した以外は実施例1と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例4)
フィルム厚みを18μmとした以外は実施例3と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例5)
フィルム厚みを25μmとした以外は実施例3と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例6)
フィルム厚みを30μmとした以外は実施例3と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例7)
A層用の原料として、直鎖状ポリプロピレン樹脂(メソペンダット分率0.945、メルトマスフローレイト(MFR)が2.9g/10分である(株)プライムポリマー製ポリプロピレン樹脂)に平均粒径が0.3μmのシリカ粒子を0.5質量%含有せしめたものを準備し、B層用原料として上記の(株)プライムポリマー製ポリプロピレン樹脂を準備し、厚みがA層|B層|A層=0.5μm|17μm|0.5μmとなるように積層した三層構成のフィルムとした以外は、実施例3と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(実施例8)
A層に含有せしめるシリカ粒子の平均粒径を0.9μmとし、含有量を0.01質量%とした以外は、実施例7と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであり、フィルム両面の粗さが平滑であった。
(比較例1)
キャスティングドラム温度を75℃とした以外は実施例1と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであった。
(比較例2)
キャスティングドラム温度を20℃とし、フィルム厚みを18μmとした以外は実施例1と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであった。
(比較例3)
キャスティングドラム温度を20℃とし、フィルム厚みを25μmとした以外は実施例1と同様に製膜を行い二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示すとおりであった。
Figure 0006476844

Claims (3)

  1. フィルムの両方の表面の中心線平均粗さ(SRa)がともに5〜20nmであり、かつ、十点平均粗さ(SRz)がともに10〜200nmであり、
    フィルム厚みが12〜30μmである、二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. フィルムの両方の表面の中心線平均粗さ(SRa)がともに5〜20nmであり、かつ、十点平均粗さ(SRz)がともに10〜200nmであり、
    厚みが10〜26μmであるB層の両面に、厚みが0.5〜2.0μmであるA層が積層された三層構成を有する、二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  3. A層が、粒径0.1〜1.0μmのシリカ粒子が0.01〜1.0質量%含有する、請求項に記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム
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