JP2014029364A - ロール状積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】延伸フィルムと、保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体であって、ロール状積層体の巻きシワを抑制でき、かつロール状積層体から積層フィルムを繰り出したときに、積層フィルムのカールを抑制できるロール状積層体を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である延伸フィルムと、ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、延伸フィルムと、保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体であって、ロール状積層体の巻きシワを抑制でき、かつロール状積層体から積層フィルムを繰り出したときに、積層フィルムのカールを抑制できるロール状積層体、およびその製造方法に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂からなる延伸フィルムは、液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いられている。例えば、特許文献1には、光学フィルム(A)と保護フィルム(B)との界面に粘着剤層が実質的に存在せず、かつ前記光学フィルム(A)の幅方向に渡って測定した厚みむらが5%以下である保護フィルム付き光学フィルムが記載され、特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂からなる二軸延伸フィルムを、ポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムと重ねて巻き取って得られる保護フィルム付き二軸延伸フィルムが記載されている。
特開2010−38924号公報 特開2009−73982号公報
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂からなる延伸フィルムはやわらかく、位相差フィルムには、薄い延伸フィルムが好適であるため、延伸フィルムにシワが発生しやすくなり、上記特許文献1、2に記載の保護フィルム付き延伸フィルムでは、延伸フィルムの収縮によって、厚みの薄い延伸フィルムに保護フィルムを積層させて積層フィルムのロール状積層体としたときに、巻きシワが発生したり、ロール状積層体から積層フィルムを繰り出したときにカールが発生したりすることがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、延伸フィルムと、保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体であって、ロール状積層体の巻きシワを抑制でき、かつロール状積層体から積層フィルムを繰り出したときに、積層フィルムのカールを抑制できるロール状積層体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である延伸フィルムと、ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体に係るものである。
本発明によれば、延伸フィルムと、保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体であって、ロール状積層体の巻きシワを抑制でき、かつロール状積層体から積層フィルムを繰り出したときに、積層フィルムのカールを抑制できるロール状積層体をえることができる。
本発明のロール状積層体を構成する積層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である延伸フィルムと、ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である保護フィルムとを含む。
本発明に用いる延伸フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である。前記延伸フィルムの製造方法は、不活性ガス雰囲気中でポリプロピレン系樹脂を加熱・乾燥する熱処理工程<S1>、熱処理工程後のポリプロピレン系樹脂を溶融及び混練(以下、溶融混練と記す。)した後、フィルム状に押出成形し、原反フィルムを得る押出成形工程<S2>、原反フィルムを延伸して延伸フィルムを形成する工程<S3>を有する。以下、各工程について説明する。
<S1:熱処理工程>
原料のポリプロピレン系樹脂を、加熱機(不活性ガス還流型乾燥機)内に導入する。この加熱機内を不活性ガスで満たした後、加熱された不活性ガス雰囲気下で、ポリプロピレン系樹脂を加熱、乾燥する。不活性ガス雰囲気下でポリプロピレン系樹脂を加熱することにより、ポリプロピレン系樹脂の劣化の原因となる酸素を、ポリプロピレン系樹脂から除去できる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等の希ガス、又は二酸化炭素等を用いることができる。
加熱、乾燥後、ポリプロピレン系樹脂を、加熱機内から押出機内へ通じる輸送管を通じて、加熱機内から押出機内へ輸送する。輸送中のポリプロピレン系樹脂が酸素に曝されることなく、ポリプロピレン系樹脂内への酸素の吸収(溶存酸素)を抑制するためには、輸送中のポリプロピレン系樹脂は、不活性ガス雰囲気下に保持することが好ましく、さらに、この輸送管内もなるべく乾燥時に近い温度に保持することが好ましい。
<S2:押出成形工程>
次に、押出機内のポリプロピレン系樹脂を溶融混練する。溶融混練中のポリプロピレン系樹脂の劣化(酸化分解)を抑制し、ポリプロピレン系樹脂中での炭化物の生成が抑制され、得られるフィルムにおける色調変動や焦げの発生を抑制するためには、押出機内を不活性ガスで満たした状態で、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練することが好ましい。
押出機内で溶融混練されたポリプロピレン系樹脂は、ギアポンプによってリーフディスクフィルターへ送り出された後、Tダイからフィルム状に押し出される。Tダイから押し出されたポリプロピレン系樹脂を、成形用ロールを用いて、冷却固化しながら更に薄く成形して原反フィルムを成形する。得られた原反フィルムの厚み及び欠点の有無を、インライン厚み計及び欠点検査機で検査する。なお、インライン厚み計としては、X線厚み計、β線厚み計、赤外線厚み計、超音波厚み計等を用いることができる。欠点検査機としては、光学カメラを用いた検査機等を用いることができる。
原反フィルムの厚みは、30〜200μmであることが好ましい。原反フィルムが30μmより薄い場合、フィルム剛性が低く、フィルムのハンドリングが困難となる傾向があり、また原反フィルムが200μmより厚い場合、延伸フィルムの厚みが増す傾向にあり、液晶表示装置に組み込むのに適切な厚みの延伸フィルムの製造が困難になることがある。そこで、原反フィルムの厚みを上記の好適範囲内とすることによって、これらの傾向を抑制できる。さらに、原反フィルムは厚み斑が小さいことが好ましく、原反フィルムの厚みの最大値と最小値との差は10μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。原反フィルムの厚み斑が小さいほど、光学的な均一性に優れる位相差フィルムを得易くなる。また、液晶表示装置の明るさを維持するために、原反フィルムの透明性を示すHAZEは2%以下であることが好ましい。ここで、HAZEとは、JIS K−7136に従い測定される樹脂フィルムの透明性を評価する指標であり、その値が小さいほど樹脂フィルムが透明であることを示す指標である。また、原反フィルムは、光学的に均質な無配向あるいは無配向に近いフィルムであることが好ましく、原反フィルムの面内位相差Rが50nm以下であることが好ましい。ここで、面内位相差R(nm)とは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をn、フィルムの厚さをd(μm)としたとき、次式(1)で定義される値である。
=(n―n)×d・・・式(1)
さらに、原反フィルムの厚み方向の位相差Rthも50nm以下であることが好ましい。ここで厚み方向の位相差Rth(nm)とは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をn、nとn面に垂直方向(厚み方向)の屈折率をnz、フィルムの厚さをd(μm)としたとき、次式(2)で定義される値である。
Rth=((n+n)/2−nz)×d・・・式(2)
上述のような押出成形工程によって原反フィルムを製造する場合、Tダイより押し出されたポリプロピレン系樹脂の溶融体を成形用ロールで冷却し固化させつつ成形する具体的な方法としては、キャスティングロールとエアーチャンバーを用いて冷却する方法、キャスティングロールとタッチロールにより挟圧する方法、キャスティングロールと、該キャスティングロールにその周方向に沿って圧接するよう設けられた金属製の無端ベルトとの間で挟圧する方法などが挙げられる。冷却にキャスティングロールを用いる場合には、透明性に優れる位相差フィルムを得るために、使用するキャスティングロールの表面温度は、0〜30℃であることが好ましい。また、Tダイより押し出されたポリプロピレン系樹脂の溶融体はできるだけ急速に冷却するのが好ましく、Tダイのリップとロールとの距離をできるだけ短くすることが好ましい。また、Tダイのリップ周辺の環境を一定にするために、囲いを設置することも好ましい。フィルム厚み精度や光学特性を良くするために、溶融樹脂が外気の影響を受けにくくし、溶融樹脂から出る熱の影響でフィルムが揺れるのを防ぐことが好ましい。
キャスティングロールとタッチロールにより挟圧する方法で原反フィルムを製造する場合、ほぼ無配向の原反フィルムを得るために、タッチロールとしては、ゴムロール、または弾性変形可能な金属製無端ベルトからなる外筒と、該外筒の内部に弾性変形可能な弾性体からなるロールとを有し、かつ前記外筒と弾性体ロールとの間が温度調節用媒体により満たされてなる構造のロールを用いることが好ましい。
タッチロールとしてゴムロールを使用する場合は、鏡面状の表面を有する位相差フィルムを得るために、Tダイより押し出されたポリプロピレン系樹脂の溶融体を、キャスティングロールとゴムロールとの間で支持体とともに挟圧することが好ましい。支持体としては、厚みが5〜50μmの熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムが好ましい。
キャスティングロールと、該キャスティングロールにその周方向に沿って圧接するよう設けられた金属製の無端ベルトとの間で挟圧する方法により原反フィルムを成形する場合、前記無端ベルトは、キャスティングロールの周方向に該キャスティングロールと平行に配置された複数のロールによって保持されていることが好ましい。より好ましくは、無端ベルトが、直径100〜300mmの二本のロールで保持されてなり、無端ベルトの厚みが100〜500μmである。
<S3:延伸工程>
ポリプロピレン系樹脂を押出成形して得られた原反フィルムに対して、縦延伸と横延伸の両方、またはいずれか一方を行うことにより、位相差フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる延伸フィルム)を得る。なお原反フィルムの延伸方法としては、縦延伸または横延伸を行う一軸延伸、縦延伸と横延伸とを個別に行う逐次二軸延伸、及び縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸が挙げられる。逐次二軸延伸の場合、原反フィルムの縦延伸を行った後で横延伸を行ってもよく、横延伸を行った後で縦延伸を行ってもよい。
原反フィルムを縦延伸する方法としては、二つ以上のロールの回転速度差により原反フィルムを延伸する方法や、ロングスパン延伸する方法が挙げられる。ロングスパン延伸する方法とは、二対のニップロールとその間にオーブンを有する縦延伸機を用い、該オーブン中で原反フィルムを加熱しながら二対のニップロールの回転速度差により延伸する方法である。キズなどがなく、光学的な均一性が高い位相差フィルムを得るためには、ロングスパン縦延伸する方法を用いることが好ましく、特にエアーフローティング方式のオーブンを用いることが好ましい。エアーフローティング方式のオーブンとは、オーブン中に原反フィルムを導入した際に、原反フィルム両面に上部ノズルと下部ノズルから熱風を吹き付けることが可能な構造である。複数の上部ノズルと下部ノズルがフィルムの流れ方向に交互に設置されている。オーブン中、原反フィルムが上部ノズルと下部ノズルのいずれにも接触しないようにしながら、原反フィルムを延伸する。この場合の延伸温度(すなわち、オーブン中の雰囲気の温度)は、60℃以上、ポリプロピレン系樹脂の融点T+15℃以下であることが好ましい。オーブンが2ゾーン以上に分かれている場合、それぞれのゾーンの温度設定は同じでもよいし、異なってもよい。オーブン内に補助ヒーターを設置してもよい。例えばプレートヒーター、IRヒーターやレーザー加熱装置などをオーブン内のフィルムの幅方向に並べることで、光学的なムラや厚みムラを修整するのに用いたりする。オーブン出口のニップロールをアイロニングロールとして温調してもよい。フィルムの走行安定性を増すために用いたり、光学的なムラや厚みムラを修整するのに用いたりする。
縦延伸倍率は、光学的な均一性により優れる位相差フィルムを得るために、1.1〜5.0倍であることが好ましい。
なお、横一軸延伸フィルムを縦延伸する方法については、上述した原反フィルムを縦延伸する方法と同様である。
横延伸する方法としては、テンター法が挙げられる。テンター法は、チャックでフィルム幅方向の両端を固定した原反フィルムを、オーブン中でチャック間隔を広げて延伸する方法である。テンター法においては、予熱工程を行うゾーン、延伸工程を行うゾーン、及び熱固定工程を行うゾーンにおける各オーブン温度を独立に調節をすることができる装置を使用する。横延伸倍率は、通常、2.0〜10.0倍であり、得られる位相差フィルムの光学的な均一性が高いという観点から、3.0〜7.0倍であることが好ましい。
横延伸の予熱工程は、原反フィルムを幅方向に延伸する工程の前に設置される工程であり、原反フィルムを延伸するのに十分な高さの温度まで原反フィルムを加熱する工程である。ここで予熱工程での予熱温度は、オーブンの予熱工程を行うゾーン内の雰囲気の温度を意味する。通常、得られる位相差フィルムの位相差の均一性を良好にするために、予熱温度を、(ポリプロピレン系樹脂の融点T−20)℃〜(ポリプロピレン系樹脂の融点T+20)℃の範囲内で設定することが好ましく、(ポリプロピレン系樹脂の融点T−10)℃〜(ポリプロピレン系樹脂の融点T+10)℃の範囲内で設定することがより好ましい。
横延伸の延伸工程は、原反フィルムを幅方向に延伸する工程である。この延伸工程での延伸温度(オーブンの延伸工程を行うゾーン内の雰囲気の温度)は、予熱温度より低い温度としても良いし、予熱温度より高い温度としても良いし、予熱温度と同じ温度としてもよい。通常、予熱された原反フィルムを予熱工程よりも低い温度で延伸することにより、原反フィルムを均一に延伸できるようになり、その結果、位相差の均一性が優れた位相差フィルムが得られるため、延伸温度は、予熱工程における予熱温度より1〜20℃低いことが好ましく、3〜15℃低いことがより好ましい。
横延伸の熱固定工程とは、延伸工程終了時におけるフィルム幅を保った状態で原反フィルムをオーブン内の所定温度の雰囲気内を通過させる工程である。熱固定温度は、延伸工程における延伸温度より低い温度としても良いし、延伸温度より高い温度としても良いし、延伸温度と同じ温度としてもよい。通常、原反フィルムの位相差や光軸など光学的特性の安定性を効果的に向上させるために、熱固定温度は、延伸工程における延伸温度よりも30℃低い温度から延伸温度よりも10℃高い温度までの範囲内であることが好ましい。
横延伸の工程は、更に熱緩和工程を有してもよい。この工程は、テンター法においては通常、延伸ゾーンと熱固定ゾーンとの間に設けられ、他のゾーンから独立して温度設定が可能な熱緩和ゾーンにおいて行われるか、熱固定工程を行うゾーンで行われる。具体的には、熱緩和は、延伸工程において原反フィルムを所定の幅に延伸した後、チャックの間隔を好ましくは0.1〜20.0%だけ狭くし、無駄な歪を取り除くことで行われる。
横延伸後のフィルムにフィルムの流れ方向に張力を与えられる装置を設置しておくことができる。例えば、横延伸後のフィルムを駆動式のニップロールで挟み、フィルムの流れ方向に張力を与える方法である。横延伸オーブンから出てきたフィルムに流れ方向に張力を自由にかけることで、光学的な均一性や厚みの均一性に優れる位相差フィルムを作成することができる。
なお、縦一軸延伸フィルムを横延伸する方法については、上述した原反フィルムを横延伸する方法と同様である。
延伸フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体、及びこれらの混合物等が挙げられる。
前記炭素数4〜20のα−オレフィンは、好ましくは、炭素数4〜12のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ブテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン、1−オクテン、5−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−メチル−3−エチル−1−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらの中でも、特に共重合性の観点から、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンが好ましく、1−ブテンまたは1−ヘキセンがより好ましい。
本発明の効果を得易いという観点では、プロピレン系樹脂として、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体またはプロピレン−1−オクテン共重合体が好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂が、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−炭素数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−炭素数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体等が例示される。具体的には、プロピレン−炭素数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体として、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。プロピレン−エチレン−炭素数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。これらの中でも、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体が好ましい。
上述したポリプロピレン系樹脂の共重合体では、コモノマーに由来する構成単位の含有量が、共重合体全体に対して、0重量%を超え、40重量%以下であることが好ましく、0重量%を超え、30重量%以下であることがより好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂が、2種類以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体である場合には、共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来する構成単位の合計含有量が、前記範囲であることが好ましい。コモノマーに由来する構成単位の含有量を上記の好適範囲内とすることによって、得られるフィルムの透明性と耐熱性とをバランスさせることができる。
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nで測定される値で、好ましくは、0.1〜200g/10分であり、より好ましくは、0.5〜50g/10分である。MFRがこのような範囲のポリプロピレン系樹脂を用いることにより、縦延伸および横延伸時の原反フィルムの垂れさがりが少なくなり、均一に延伸しやすい。
ポリプロピレン系樹脂の分子量分布は、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比で定義され、好ましくは、1〜20である。MnおよびMwは、溶媒に140℃のo−ジクロロベンゼンを用い、標準サンプルにポリスチレンを用いるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂の融点Tは、好ましくは、120〜170℃である。なお融点は、示差走査型熱量計(DSC)によって測定された融解曲線において最高強度のピークが現われている温度で定義され、ポリプロピレン系樹脂のプレスフィルム10mgを、窒素雰囲気下において230℃で5分間熱処理後、降温速度10℃/分で30℃まで冷却して30℃において5分間保温し、さらに30℃から230℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の融解ピーク温度である。
ポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、公知の重合用触媒を用いてプロピレンを単独重合する方法や、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種以上のモノマーとプロピレンとを共重合する方法が挙げられる。
公知の重合触媒としては、例えば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分とを組み合わせた触媒系、及びメタロセン系触媒等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の製造に用いる触媒系としては、これらの中で、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子性供与性化合物とを組み合わせた触媒系が最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物としては、好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサンが挙げられ、電子供与性化合物としては、好ましくはシクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランが挙げられる。マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系が挙げられる。メタロセン触媒としては例えば、特許第2587251号、特許第2627669号、特許第2668732号に記載された触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の製造に用いる重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法等が挙げられ、好ましくは塊状重合法または気相重合法である。これらの重合法は、バッチ式であってもよく、連続式であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性の点からシンジオタクチック、あるいはアイソタクチックのプロピレン系重合体であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、分子量やプロピレン由来の構成単位の割合、立体規則性などが異なる2種類以上のポリプロピレン系ポリマーのブレンドでもよいし、ポリプロピレン系ポリマー以外のポリマーや添加剤を適宜含有してもよい。
ポリプロプレン系樹脂には、必要に応じて、公知の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収材、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤(HALS)や、1分子中に例えばフェノール系とリン系の酸化防止機構と有するユニットを有する複合型の酸化防止剤などが挙げられる。紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシトリアゾール系などの紫外線吸収剤や、ベンゾエート系など紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型などが挙げられる。滑剤としては、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドや、ステアリン酸などの高級脂肪酸、及びその金属塩などが挙げられる。造核剤としては、例えばソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンなどの高分子系造核剤等が挙げられる。アンチブロッキング剤としては球状、あるいはそれに近い形状の微粒子が無機系、有機系に関わらず使用できる。これらの添加剤は、複数種を併用してもよい。
本発明に用いる延伸フィルムの厚みは、30μm未満であり、製品の性能と取り扱いやすいことから、5〜25μmであることが好ましい。
本発明に用いる保護フィルムは、ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である。ここで、「剥離力」とは、前記延伸フィルムに対する保護フィルムの剥離力のことである。
保護フィルムを構成するポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。保護フィルムとしては、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。保護フィルムとして、ポリエステル系樹脂からなる二軸延伸フィルムが、コストとフィルム表面の平滑性の点で好ましい。
保護フィルムの厚みは、50〜200μmである。50μmよりも厚みが薄い場合、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを巻き取り、ロール状積層体とした場合、ロール状積層体にシワが入ってしまうことがある。また、200μmよりも厚みが厚い場合、保護フィルムとしてのコストが高くなってしまうだけでなく、長尺のロール状積層体とした場合、巻径が大きくなってしまい、次の工程に設置できるときのロール状積層体の長さが短くなってしまう問題が発生することがある。
保護フィルムの両面の剥離力は、23℃、60%Rh雰囲気中にて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを、幅25mm、長さ120mmのサンプルに裁断し、嶋津製作所製のAGS−50NXにて、チャック幅60mm、上側のチャックに延伸フィルム、下側のチャックに保護フィルムを固定し、剥離速度300mm/分で剥離させたときの剥離力(N/25mm幅)として測定した値が、0.1N/25mm未満である。剥離力が0.1N/25mm以上であると、カールやシワが発生することがある。
剥離力を0.1N/25mm未満にする方法として、ポリエステル系樹脂を含むフィルムに粘着剤などを塗工もしくは貼合しないこと、ポリエステル系樹脂を含むフィルムの表面形状の凹凸を少なくし、平滑にすること、ポリエステル系樹脂を含むフィルムの表面にコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を施さないこと、ポリエステル系樹脂を含むフィルムに自己粘着を持つフィルムを貼合しないこと、などが挙げられる。
本発明においては、前記延伸フィルムと、前記保護フィルムとを含む積層フィルムを巻き取ることによってロール状積層体が形成される。巻き取る方法としては、例えば、縦延伸または横延伸を行う一軸延伸、縦延伸と横延伸とを個別に行う逐次二軸延伸、及び縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸を行った、いずれかの延伸フィルムを、一時保管または移送するためにロール状に巻き取る方法である。また、巻き取っている最中に小さな異物などが入ると、その異物が入った部分が突起となり製品の厚みムラなどの問題が発生するから、異物の混入を防止することが望ましい。
本発明に用いる延伸フィルムは、位相差フィルムであることが好ましく、該位相差フィルムのHAZEは2%以下であることが好ましい。また、位相差フィルムの位相差は、面内位相差Rは、通常30〜300nmである。厚み方向の位相差Rthは、通常50〜300nmである。後述する垂直配向モード液晶ディスプレイに使用する場合は、視野角特性に優れるという観点から、面内位相差Rが40〜70nmであり、厚み方向位相差Rthは、80〜230nmであることが好ましい。位相差フィルムを製造する際の延伸倍率と、製造する位相差フィルムの厚みを制御することにより、所望の位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。また、位相差フィルムの厚みは、基準厚さ(製品スペック)に対する公差が約±1μm以内であることが好ましい。
また、位相差フィルムは、フィルム面内(500mm幅×500mm長さの面内)の位相差の最大値と最小値との差が10nm以下であることが好ましく、フィルムの幅方向500mmの光軸を測定した場合、光軸が−1°以上+1°以下であることが好ましく、光学的な均一性が高い位相差フィルムであることが好ましい。
また、位相差フィルムは、種々の偏光板や液晶層などと積層されて、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、パソコン、大型テレビ等の液晶表示装置用として、好適に使用できる。位相差フィルムを積層して使用する液晶表示装置(LCD)としては、光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)モード、垂直配向(Vertical Alignment:VA)モード、横電界(In−Plane Switching:IPS)モード、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)モード、ねじれネマティック(Twisted Nematic:TN)モード、超ねじれネマティック(Super Twisted Nematic:STN)モードなど種々のモードの液晶表示装置が挙げられる。位相差フィルムは、VAモードの液晶表示装置に使用された場合に視野角依存性を改良する効果を奏する。
液晶表示装置は一般に、2枚の基板とそれらの間に挟持される液晶層とを有する液晶セルの両側に、それぞれ偏光板が配置されており、その一方の外側(背面側)に配置されたバックライトからの光のうち、液晶セルとバックライトの間にある偏光板の透過軸に平行な直線偏光だけが液晶セルへ入射するようになっている。位相差フィルムは、背面側偏光板と液晶セルとの間および/または表側偏光板と液晶セルとの間に、粘着剤を介して配置することができる。また、偏光板は、通常、ポリビニルアルコールからなる偏光フィルムを保護するために、2枚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどの保護フィルムで、接着剤を介して偏光フィルムを挟持した構成を有する。位相差フィルムは、表側偏光板および/または背面側偏光板の液晶セル側の保護フィルムの代わりとして、接着剤で偏光フィルムに貼合される。このように、位相差フィルムは、光学補償フィルム(位相差フィルム)と保護フィルムの両方の役割を果たすことも可能である。
また、本発明のロール状積層体の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である延伸フィルムに、ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である保護フィルムを積層して積層フィルムを得、該積層フィルムを巻き取る方法である。
以下の実施例、比較例においては、フィルムの各種物性は、以下の測定方法にしたがって測定した。
(1)延伸フィルムの厚み(単位:μm)
延伸フィルムの厚みは、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を、繰り出して、保護フィルムを取り除いた延伸フィルムのみとし、延伸フィルムの中央部分の厚みを接触式の厚み計にて測定した。
(2)保護フィルムの剥離力(単位:N/25mm幅)
延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを、幅25mm、長さ120mmのサンプルに裁断し、嶋津製作所製のAGS−50NXにて、チャック幅60mm、上側のチャックに延伸フィルム、下側のチャックに保護フィルムを固定し、剥離速度300mm/分で剥離させたときの剥離力(N/25mm幅)を測定した。測定は、23℃、60%Rh雰囲気中で実施した。
(3)ロール状積層体の巻きシワ測定
ロール状積層体の巻きシワ測定は、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を目視評価し、ロール自体にシワの有無(有り:×、無し:○)を目視評価した。
(4)カール測定
カール測定とは、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を巻き出して、広げてみたときにTD方向およびMD方向にカール(丸まる)の有無(有り:×、無し:○)を目視評価した。
(5)面内位相差R0(単位:nm)
面内位相差R0は延伸フィルムの中央部分を、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−CCD)を用いて測定した。測定条件は、KOBRA−CCDの標準条件モードにて、測定波長590nm、温度23℃、サンプルの厚みは接触式厚み計で測定した値を用いた。
(6)厚み方向位相差Rth(単位:nm)
厚み方向位相差Rthは位相差フィルムの中央部分を、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−WPR)を用いて測定した。測定条件は、KOBRA−WPRの入射角依存性モードにて、測定波長590nm、温度23℃、入射角30°、平均屈折率は1.4915(ポリプロピレンの場合)、サンプルの厚みは接触式厚み計で測定した値を用いた。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学株式会社製ポリプロピレン、W151、エチレンに由来する構成単位の含有量:5重量%、融点:136℃、メルトフローレイト(MFR):8g/10分)を用いた。このポリプロピレン系樹脂を加熱機によって加熱、乾燥した後、押出機で溶融混練した。溶融混練したポリプロピレン系樹脂をTダイより押し出した後、成形ロールで冷却し固化させつつフィルム状に成形して原反フィルムを得た。原反フィルムの巾は1250mmとし、原反フィルムの厚さは90μmとした。
次にこの原反フィルムを2組のニップロール間にエアーフローティング方式のオーブンを有するロングスパン縦延伸機に導入して縦延伸を行い縦一軸延伸フィルムを得た。縦一軸延伸フィルムの巾は820mmとし、縦一軸延伸フィルムの厚さは60μmとした。
この縦一軸延伸フィルムをテンター法で横延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。入口巾500mmから出口巾2000mmとし、厚さは13μmとした。得られた延伸フィルムのR0、Rthおよび光軸精度を測定した。R0値は60nm、Rthは90nm、であった。
次に、この二軸延伸フィルムにポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μmで、剥離力が0N/25mm幅の保護フィルム(三菱樹脂株式会社製 ダイアホイル T100-50)を積層して1000mの積層フィルムを巻き取り、ロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところシワなどの発生はなかった。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して、目視確認したところカールなどは生じてないことが確認された。結果を表1に示した。
(実施例2)
保護フィルムの厚みを75μmにしたこと以外は、実施例1と同じ延伸フィルムを用いて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところシワなどの発生はなかった。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して、目視確認したところカールなどは生じてないことが確認された。結果を表1に示した。
(実施例3)
保護フィルムの厚みを100μmにしたこと以外は、実施例1と同じ延伸フィルムを用いて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところシワなどの発生はなかった。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して、目視確認したところカールなどは生じてないことが確認された。結果を表1に示した。
(実施例4)
ポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学株式会社製ポリプロピレン、W151、エチレンに由来する構成単位の含有量:5重量%、融点:136℃、メルトフローレイト(MFR):8g/10分)を用いた。このポリプロピレン系樹脂を加熱機によって加熱、乾燥した後、押出機で溶融混練した。溶融混練したポリプロピレン系樹脂をTダイより押し出した後、成形ロールで冷却し固化させつつフィルム状に成形して原反フィルムを得た。原反フィルムの巾は1250mmとし、原反フィルムの厚さは110μmとした。
次にこの原反フィルムを2組のニップロール間にエアーフローティング方式のオーブンを有するロングスパン縦延伸機に導入して縦延伸を行い縦一軸延伸フィルムを得た。縦一軸延伸フィルムの巾は825mmとし、縦一軸延伸フィルムの厚さは73μmとした。
この縦一軸延伸フィルムをテンター法で横延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。入口巾500mmから出口巾2000mmとし、厚さは16μmとした。得られた延伸フィルムのR0、Rthおよび光軸精度を測定した。R0値は75nm、Rthは110nm、であった。
次に、この二軸延伸フィルムにポリエステル系樹脂を含み、厚みが75μmで、剥離力が0N/25mm幅の保護フィルム(三菱樹脂株式会社製 ダイアホイル T100-75)を積層して1000mの積層フィルムを巻き取り、ロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところシワなどの発生はなかった。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して、目視確認したところカールなどは生じてないことが確認された。結果を表1に示した。
(比較例1)
保護フィルム(三菱樹脂株式会社製 ダイアホイル T100-38)の厚みを38μmにしたこと以外は、実施例1と同じ延伸フィルムを用いて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところ、巻きの幅方向にシワが発生していた。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムの積層体を繰り出して、目視確認したところカールなどは生じてないことが確認された。結果を表1に示した。
(比較例2)
保護フィルム(藤森工業株式会社製 AS3-304)のポリエステル系樹脂の厚みを38μmにして、剥離力を0.18N/25mm幅にしたこと以外は、実施例1と同じ延伸フィルムを用いて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を作成した。このロール積層体を目視確認したところ、巻きにシワが発生していた。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して床に置いた状態を目視確認したところ、延伸フィルム側に大きくカールが発生していた。結果を表1に示した。
(比較例3)
保護フィルム(藤森工業株式会社 TF-75Y)のポリエステル系樹脂の厚みを75μmにして、剥離力を0.18N/25mm幅にしたこと以外は、実施例1と同じ延伸フィルムを用いて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところ、巻きにはシワは発生していなかった。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して床に置いた状態を目視確認したところ、延伸フィルム側に大きくカールが発生していた。結果を表1に示した。
(比較例4)
保護フィルム(トレデガー社製 Force Field1200)の材質をポリオレフィン系樹脂である低密度ポリエチレンからなる基材層と直鎖状低密度ポリエチレンからなる粘着層とから形成される2層フィルムで、厚みを30μmにし、剥離力を0.015N/25mm幅にしたこと以外は、実施例1と同じ延伸フィルムを用いて、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムのロール状積層体を作成した。このロール状積層体を目視確認したところ、巻きにシワが発生していた。次に、ロール状積層体から、延伸フィルムと保護フィルムとを含む積層フィルムを繰り出して床に置いた状態を目視確認したところ、延伸フィルム側に大きくカールが発生していた。結果を表1に示した。
Figure 2014029364

Claims (2)

  1. ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である延伸フィルムと、
    ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である保護フィルムとを含む
    積層フィルムのロール状積層体。
  2. ポリプロピレン系樹脂を含み、厚みが30μm未満である延伸フィルムに、
    ポリエステル系樹脂を含み、厚みが50μm〜200μmであり、両面の剥離力が0.1N/25mm未満である保護フィルムを積層して積層フィルムを得、
    該積層フィルムを巻き取るロール状積層体の製造方法。
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