JP4917508B2 - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位相差フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置の表示部には、視野角を向上させるために、位相差フィルムが用いられている。位相差フィルムは、屈折率の差によって位相差をつくる機能を有し、これによって視野角の向上が図られている。
このような位相差フィルムは、原反フィルムを二軸延伸して得ることができる。延伸方法としては、原反フィルムを縦方向に延伸した後に横方向に延伸する方法(逐次延伸)、原反フィルムを縦方向と横方向とに同時に延伸する同時二軸延伸する方法などがある(例えば、特許文献1及び2)。
ところで、近年、液晶表示装置には、一層高精度でありかつ視野角を広くすることが求められており、かかる要求を満たすために、十分に均一な位相差と十分に高い軸精度とを有する位相差フィルムが求められている。このため、原反フィルムの延伸方法を 位相差フィルムの面内位相差Rのバラつきを小さくする方法として、原反フィルムの長手方向(縦方向)の移動速度を調整することが提案されている。(例えば、特許文献2)。
特開2002−196134号公報 特開2006−327112号公報
しかしながら、特許文献2のような方法では、延伸されたフィルムの面内位相差(R)の分布を逐一測定して原反フィルムの長手方向の移動速度を調整する必要があるため、工程が複雑になってしまう。また、このような調整方法によっても、位相差フィルムの面内位相差Rのバラつきを十分に小さくすることができなかった。このため、面内位相差Rのバラつきが十分に抑制された位相差フィルムを容易に製造できる方法が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、面内位相差Rのバラつきが十分に小さい位相差フィルムを容易に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、オーブン内を移動する熱可塑性樹脂フィルムを、前記熱可塑性樹脂フィルムの流れ方向の上流側から開始ゾーン、中間ゾーン及び縦延伸ゾーンを有する二軸延伸ゾーンにおいて、その移動方向に延伸する縦延伸と、熱可塑性樹脂フィルムを移動方向に垂直な方向に延伸する横延伸とを行う二軸延伸工程を有する位相差フィルムの製造方法であって、二軸延伸工程では、開始ゾーン及び中間ゾーンにおいて、縦延伸及び横延伸を同時に開始して縦延伸及び横延伸を並行して行うか、又は、横延伸のみを開始した後に縦延伸を開始して縦延伸及び横延伸を並行して行い、その後、縦延伸よりも横延伸を先に終了して、縦延伸ゾーンにおいて縦延伸のみを行縦延伸ゾーンの長さの比率は、二軸延伸ゾーンを基準(100)として5〜40である、位相差フィルムの製造方法を提供する。
この製造方法によれば、横方向及び縦方向の面内位相差Rのバラつきを抑制することができる。これによって、面内位相差Rのバラつきが十分に小さく位相差ムラの抑制された位相差フィルムを容易に製造することができる。この製造方法によって得られる位相差フィルムは、位相差が十分に均一であることから、光学的な均一性に十分に優れている。したがって、この位相差フィルムは液晶表示装置に特に好適に用いることができる。
本発明の二軸延伸工程では、縦延伸及び横延伸を同時に開始して縦延伸及び横延伸を並行して行うことが好ましい。
かかる製造方法によれば、特に縦方向の面内位相差Rのバラつきを一層抑制することができる。これによって、面内位相差Rのバラつきがより十分に小さく位相差ムラの一層抑制された位相差フィルムを容易に製造することができる。また、フィルムの縦方向の面内位相差Rのバラつきが小さいことから、歩留まりの向上によって位相差フィルムを効率的に製造することができる。この製造方法によって得られる位相差フィルムは、位相差がより十分に均一であることから、光学的な均一性により十分に優れている。したがって、この位相差フィルムは液晶表示装置に特に好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法は、二軸延伸工程の前に熱可塑性樹脂フィルムをオーブン内で予熱する予熱工程と、二軸延伸工程で得られた延伸フィルムをオーブン内で加熱する熱固定工程と、をさらに有することが好ましい。
これによって、横方向及び縦方向の面内位相差のバラつきをより一層抑制することができる。したがって、面内位相差Rのバラつきがより一層小さく位相差ムラが十分に抑制された位相差フィルムを容易に製造することができる。
また、本発明では、熱可塑性樹脂が結晶性ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂を用いることによって、リサイクル性、耐溶剤性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
また、本発明では、結晶性ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂からなる位相差フィルムを組み込んだ液晶パネルは、耐久性に優れ、長期にわたって使用することができる。
また、本発明では、熱可塑性樹脂が環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムを組み込んだ液晶パネルは、耐久性に優れ、長期にわたって使用することができる。
本発明の位相差フィルムは面内位相差のバラつきに由来する位相差や光軸のムラが殆どなく、光学的な均一性に十分に優れている。したがって、このような位相差フィルムを液晶表示装置に用いることによって、視野角特性を十分向上することできる。
本発明によれば、面内位相差Rのバラつきが十分に小さい位相差フィルムを容易に製造できる製造方法を提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
本実施形態の位相差フィルムの製造方法は、オーブン内を移動する熱可塑性樹脂フィルムをその移動方向(フィルムの長手方向)に延伸する縦延伸と、熱可塑性樹脂フィルムを移動方向に垂直な方向(フィルムの幅方向)に延伸する横延伸とを行う二軸延伸工程を有する位相差フィルムの製造方法である。この二軸延伸工程では、縦延伸と横延伸とを同時に開始し、縦延伸と横延伸とを並行して行った後、縦延伸よりも横延伸を先に終了させ、縦延伸のみを行う。これによって熱可塑性樹脂フィルムを二軸延伸することができる。
熱可塑性樹脂フィルムの横延伸は、熱可塑性樹脂フィルムの幅方向において、対向するように設けられた複数のチャックで熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の両端を固定し、オーブン中で対向するチャック間の距離を連続的に徐々に広げて行うことができる。
また、熱可塑性樹脂フィルムの縦延伸は、熱可塑性樹脂フィルムの長手方向において、対向するように設けられた複数のチャックで熱可塑性樹脂フィルムの幅方向の両端を固定し、隣り合うチャック間の距離を連続的に徐々に広げて行うことができる。
まず、本実施形態にかかる位相差フィルムの製造方法に用いられる熱可塑性樹脂フィルム、すなわち原料フィルムとしては、通常の熱可塑性樹脂からなる原反フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂について、以下に詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、環状オレフィン等のオレフィンの単独重合体又は2種類以上のオレフィンの共重合体、1種類以上のオレフィンと該オレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマーとの共重合体であるポリオレフィン系樹脂、環状オレフィンの開環重合体、環状オレフィンの開環重合体の水素添加物などの環状オレフィン系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのアクリル系樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、セルロース誘導体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、各種熱可塑性エラストマー、及びこれらの架橋物や変性物などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、2種類以上の異なる熱可塑性樹脂をブレンドして用いてもよいし、添加剤を適宜含有してもよい。
上述の熱可塑性樹脂のうち、リサイクル性、耐溶剤性に優れ、また、焼却してもダイオキシン等を発生せず環境を悪化させることがない等の理由から、ポリオレフィン系樹脂や環状オレフィンの開環重合体の水素添加物を好適に用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、炭素原子数4〜20のα−オレフィン、環状オレフィンなどが好ましい。
炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン、1−オクテン、5−メチル−1−ヘキセン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−メチル−3−エチル−1−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタダセン、1−オクタテセン、1−ノナデセンなどが挙げられる。
上記環状オレフィンとは、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0004917508

(式中、R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アミノ基、ホスフィノ基、または炭素原子数1〜20の有機基を示し、R10とR11とは環を形成していてもよい。mは0以上の整数を示す。)
具体的には、通常ノルボルネンと呼ばれているビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンや、6−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジアルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのような、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が導入されたノルボンネン誘導体、ジメタノオクタヒドロナフタレンとも呼ばれているテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンや、8−アルキルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジアルキルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンのようなジメタノオクタヒドロナフタレンの8位及び/又は9位に炭素数3以上のアルキル基が導入されたジメタノオクタヒドロナフタレン誘導体、1分子内に1個又は複数個のハロゲンが導入されたノルボルネンの誘導体、並びに8位及び/又は9位にハロゲンが導入されたジメタノオクタヒドロナフタレンの誘導体などが挙げられる。
上述の「オレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマー」としては、例えば、芳香族ビニル化合物、ビニルシクロヘキサンのような脂環式ビニル化合物、極性ビニル化合物、ポリエン化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン及びその誘導体などが挙げられる。スチレン誘導体としては、スチレンに他の置換基が結合した化合物であって、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン及びp−エチルスチレンのようなアルキルスチレン、ヒドロキシスチレン、t−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンジルアセテート、o−クロロスチレン、及びp−クロロスチレンのようなスチレンのベンゼン環に水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アシルオキシ基及びハロゲンなどが導入された置換スチレン、4−ビニルビフェニル及び4−ヒドロキシ−4’−ビニルビフェニルのようなビニルビフェニル系化合物、1−ビニルナフタレン及び2−ビニルナフタレンのようなビニルナフタレン系化合物、1−ビニルアントラセン及び2−ビニルアントラセンのようなビニルアントラセン化合物、2−ビニルピリジン及び3−ビニルピリジンのようなビニルピリジン化合物、3−ビニルカルバゾールのようなビニルカルバゾール化合物、並びにアセナフチレン化合物などが挙げられる。
極性ビニル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリルレート及びエチルアクリレートなどのアクリル系化合物、並びに酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられる。
ポリエン化合物としては、例えば、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物等が挙げられる。共役ポリエン化合物としては、例えば、脂肪族共役ポリエン化合物、脂環式共役ポリエン化合物等が挙げられる。非共役ポリエン化合物としては、例えば、脂肪族非共役ポリエン化合物、脂環式非共役ポリエン化合物、芳香族非共役ポリエン化合物等が挙げられる。これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基等の置換基によって置換されていてもよい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン・α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、エチレン・環状オレフィン共重合体、エチレン・ビニルシクロヘキサン共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
変性されたポリオレフィン系樹脂としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸、メタクリル酸、テトラヒドロフタル酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の変性用化合物で変性された結晶性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
本明細書において、結晶性ポリオレフィン系樹脂とは、上述のポリオレフィン系樹脂のうち、JIS K7122に準拠した示差走査熱量測定において、−100〜300℃の範囲に観測される熱量が1J/gより大きい結晶融解ピーク、または結晶化熱量が1J/gより大きい結晶化ピークを有するポリオレフィン系樹脂をいう。
良好な外観を有する位相差フィルムを得る観点から、−100〜300℃の範囲に観測される熱量が30J/gより大きい結晶融解ピーク、または結晶化熱量が30J/gより大きい結晶化ピークを有する結晶性ポリオレフィン系樹脂からなる原料フィルムを用いることが好ましい。
結晶性ポリオレフィン系樹脂は、互いに異なる2種類以上の結晶性ポリオレフィン系樹脂をブレンドしたものでもよいし、結晶性ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂や添加剤を適宜含有してもよい。
ポリオレフィン系樹脂のうち、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂としてはプロピレンの単独重合体、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群より選択される1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体、並びに該単独重合体と該共重合体との混合物を挙げることができる。
α−オレフィンとしては、上述のオレフィン系樹脂を構成するオレフィンとして例示した炭素原子数4〜20のαオレフィンなどが挙げられる。
上述のα−オレフィンのなかでも、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが好ましく、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ブテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン、1−オクテン、5−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−メチル−3−エチル−1−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が好ましい。
上述の炭素原子数4〜12のα−オレフィンのうち、共重合性の観点から、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンがより好ましく、1−ブテン、1−ヘキセンがさらに好ましい。
本発明の効果をより一層向上させる観点から、プロピレンの単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体が特に好ましい。また、本実施形態におけるポリプロピレン系樹脂が、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群より選択される1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体である場合、該共重合体はランダム共重合体が好ましい。
本実施形態におけるポリプロピレン系樹脂が、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群より選択される1種以上のモノマー(コモノマー)とプロピレンとの共重合体である場合、該共重合体におけるコモノマー由来の構成単位の含有量は、透明性と耐熱性とのバランスの観点から、0質量%を超え40質量%以下であることが好ましく、0質量%を超え30質量%以下であることがより好ましい。なお、ポリプロピレン系樹脂が、2種類以上のコモノマーとプロピレンとの共重合体である場合には、該共重合体に含まれる全てのコモノマー由来の構成単位の合計含有量が、上述の範囲内であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の製造方法としては、公知の重合用触媒を用いてプロピレンを単独重合する方法や、エチレン及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンからなる群より選択される1種以上のモノマーとプロピレンとを共重合する方法が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の製造方法に用いられる重合触媒としては、例えば、
(1)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒、等が挙げられる。
上述の重合触媒の中で、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子性供与性化合物とを組み合わせた触媒系が最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、及びテトラエチルジアルモキサンを好ましく用いることができる。電子供与性化合物としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランを好ましく用いることができる。
マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系が挙げられる。メタロセン系触媒としては例えば、特許第2587251号、特許第2627669号、特許第2668732号に記載された触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂の重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法等が挙げられる。このうち塊状重合法または気相重合法が好ましい。これらの重合法は、バッチ式であってもよく、連続式であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのどの形式であってもよい。ポリプロピレン系樹脂は、耐熱性の点からシンジオタクチック、又はアイソタクチックのプロピレン系重合体であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、分子量、プロピレン由来の構成単位の割合、タクチシティーなどが互いに異なる2種類以上のポリプロピレン系樹脂のブレンドでもよいし、ポリプロピレン系樹脂以外のポリマーや添加剤を適宜含有してもよい。
本実施形態における熱可塑性樹脂として好適な環状オレフィン系樹脂は、上述の環状オレフィン由来の構成単位を30モル%以上含む重合体である。具体的には、エチレン及び炭素数3〜12のα−オレフィンからなる群より選択されるモノマーと上記環状オレフィンのモノマーとの付加重合体(環状オレフィン系樹脂[A])、環状オレフィンの開環単独重合体または2種以上の共重合体(環状オレフィン系樹脂[B])、あるいは環状オレフィン系樹脂[B]の水素添加物(環状オレフィン系樹脂[C])である。
すなわち、環状オレフィン系樹脂[A]とは、エチレン及び炭素数3〜12のα−オレフィンからなる群より選択される一種以上のモノマーと上記一般式(I)で表される一種以上の環状オレフィンのモノマーとの付加型共重合体であり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である重合体である。
環状オレフィン系樹脂[A]の耐熱性に影響するガラス転移温度は、エチレン又は炭素集3〜12のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合比率により調整することができる。重合体中の各モノマー由来の構成単位の含有量は、H−NMRスペクトルや13C−NMRスペクトルによって測定することができる。
また、環状オレフィン系樹脂[B]とは、上記一般式(I)で表される環状オレフィンのモノマーを1種又は2種以上用いて開環重合して得られる重合体である。また、環状オレフィン系樹脂[C]とは、環状オレフィン系樹脂[B]を水素添加して得られる重合体である。
上記の各環状オレフィン系樹脂は、公知の方法で重合することができる。環状オレフィン系樹脂[A]は、例えば特許第2693596号公報に記載されているようなバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる均一系触媒により製造することができる。環状オレフィン系樹脂[B]は、例えば特許第2940014号公報などに記載されているようなタングステン化合物とデミングの周期律表のIA,IIA,IIB族などの元素を含有する化合物で当該元素−炭素結合を有するものとを組み合わせたメタセシス重合触媒を用いて製造することができる。環状オレフィン系樹脂[C]は、環状オレフィン系樹脂[B]を3〜150気圧下で20〜150℃の反応温度で水素ガスと反応させることにより得ることができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂には、本発明の効果が得られる範囲で公知の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられ、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合は、造核剤も添加することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤(HALS)、1分子中に例えばフェノール系とリン系の酸化防止機構と有するユニットを有する複合型の酸化防止剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシトリアゾール系などの紫外線吸収剤や、ベンゾエート系など紫外線遮断剤などが挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型などが挙げられる。滑剤としては、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドや、ステアリン酸などの高級脂肪酸、及びその金属塩などが挙げられる。
造核剤としては、例えばソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンなどの高分子系造核剤等が挙げられる。アンチブロッキング剤としては、無機系、有機系に関わらず、球状、又はそれに近い形状の微粒子を使用することができる。上記の添加剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態における熱可塑性樹脂のメルトフローレート(以下、便宜上「MFR」という。)は、JIS K7210に準拠して測定することができる。測定の際、試験温度、公称荷重は、JIS K7210の附属書B表1に従って選定することができる。本実施形態における熱可塑性樹脂のMFRは、通常0.1〜50g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分である。MFRがこのような範囲の熱可塑性樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく、均一なフィルム状物を成形することができる。なお、ポリプロピレン系樹脂の場合、MFRは、試験温度230℃、荷重21.18Nで測定することができる。また、環状オレフィン系樹脂の場合、前記JIS K7210の付属書B表1で測定条件を選定できないため、該樹脂のMFRは試験温度260℃、公称荷重21.18Nで測定した値とする。
次に、本実施形態に用いられる熱可塑性樹脂フィルム、すなわち原料フィルムについて詳細に説明する。本実施形態に用いられる原料フィルムとしては、通常の熱可塑性樹脂からなる原反フィルムを用いることができる。原料フィルムとして用いられる原反フィルムは、光学的に均質で、無配向、又はほぼ無配向なフィルムであることが好ましい。具体的には、面内位相差(R)が50nm以下の原反フィルムを用いることが好ましい。このような原反フィルムは、溶剤キャスト法や押出成形法によって製造することができる。
溶剤キャスト法は、有機溶剤に熱可塑性樹脂を溶解した溶液を、離形性を有する二軸延伸ポリエステルフィルム等の基材上にダイコーターによりキャスティングした後、乾燥して有機溶剤を除去することにより、基材上にフィルムを形成する方法である。このような方法で基材上に形成されたフィルムは、基材から剥離して原反フィルムとして使用することができる。
押出成形法は、熱可塑性樹脂を押出機内で溶融混練した後、Tダイより押し出し、ロールに接触させて冷却固化しながら引き取り、フィルムを得る方法である。この方法で製造されたポリプロピレン系樹脂フィルムは、そのまま原料フィルムとして用いることができる。なお、原反フィルムの製造コストの観点から、溶剤キャスト法よりも押出成形法の方が好ましい。
原反フィルムを、上述のようなTダイを用いた押出成形法で製造するとき、Tダイより押し出された溶融体を冷却し固化させる方法としては、キャスティングロールとエアーチャンバーとを用いて冷却する方法(1)、キャスティングロールとタッチロールとにより挟圧する方法(2)、キャスティングロールと、該キャスティングロールにその周方向に沿って圧接するよう設けられた金属製の無端ベルトとの間で挟圧する方法(3)などが挙げられる。冷却にキャスティングロールを用いる場合、透明性により優れる位相差フィルムを得るために、該キャスティングロールの表面温度は−15〜30℃であることが好ましく、−15〜15℃であることがより好ましい。
キャスティングロールとタッチロールとにより挟圧する方法(2)で原反フィルムを製造する場合、ほぼ無配向の原反フィルムを得るために、タッチロールとしては、ゴムロール、または弾性変形可能な金属製無端ベルトからなる外筒と、該外筒の内部に弾性変形可能な弾性体からなるロールとを有し、かつ該外筒と弾性体ロールとの間が温度調節用媒体により満たされてなる構造のロールを用いることが好ましい。
タッチロールとしてゴムロールを使用する場合、鏡面状の表面を有する位相差フィルムを得るために、Tダイより押し出された溶融体は、キャスティングロールとゴムロールとの間で支持体とともに挟圧することが好ましい。支持体としては、厚みが5〜50μmの熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムが好ましい。
キャスティングロールと、該キャスティングロールにその周方向に沿って圧接するよう設けられた金属製の無端ベルトとの間で挟圧する方法(3)により原反フィルムを成形する場合、該無端ベルトは、キャスティングロールの周方向に該キャスティングロールと平行に配置された複数のロールによって保持されていることが好ましい。無端ベルトは、直径100〜300mmの二本のロールで保持されていることがより好ましい。なお、無端ベルトの厚みは100〜500μmであることが好ましい。
光学的な均一性により優れる位相差フィルムを得るためには、原料フィルムとして用いられる原反フィルムの厚みムラは小さいことが好ましい。原反フィルムの厚みの最大値と最小値の差は10μm以下であることが好ましく、4μm以下であることがより好ましい。
本実施形態の位相差フィルムの製造方法では、上記の方法等により得られ、上記特性を有する原反フィルムをそのまま用いることができる。
図1は、本発明に係る位相差フィルムの製造方法の好適な実施形態を模式的に示す工程図である。本実施形態に係る位相差フィルムの二軸延伸方法は、原反フィルムの幅方向において、対向するように設けられた複数のチャックで原反フィルムの幅方向の両端を固定し、オーブン内で対向するチャック間の距離を連続的に徐々に広げて行う方法である。この位相差フィルムの製造に用いられるオーブン100としては、市販のものを用いることができる。
オーブン100は、原料フィルム20を熱風で予熱する予熱ゾーン10、予熱した原料フィルム20を熱風で加熱しながら二軸延伸して二軸延伸フィルム22を得る延伸ゾーン12、及び延伸フィルム22を熱風で加熱して安定化させる熱固定ゾーン14を有する。
本実施形態の位相差フィルムの製造方法に用いられるオーブン100は、予熱工程を行う予熱ゾーン10、二軸延伸工程を行う延伸ゾーン12、及び熱固定工程を行う熱固定ゾーン14を備える。オーブン100としては、それぞれのゾーンの温度を独立に調節できるものが好ましい。
本実施形態の位相差フィルムの製造方法に用いられるオーブン100のフィルムの移動方向の長さは、原料フィルム20の移動速度によって決定されるが、大凡1.0〜30mとすることができる。該長さが1.0mより短いと原料フィルム20の移動速度を下げる必要性が生じる。この移動速度が例えば0.5m/minに満たないほど遅くなると、生産効率が損なわれる傾向がある。一方、該長さが30mを超える場合、生産速度を早くすることができるが、装置の設置費用が上昇し、製品の製造コストが上昇する傾向がある。
オーブン100における予熱ゾーン10、延伸ゾーン12及び熱固定ゾーン14のフィルムの移動方句の長さの比率は、オーブン100全体の長さを基準(100)として、予熱ゾーン/延伸ゾーン/熱固定ゾーン=30〜70/20〜60/10〜50程度とすることが好ましい。
図2は、本発明に係る位相差フィルムの製造方法の好適な実施形態を模式的に示す工程断面図である。オーブン100内の上面100aには、複数の上側ノズル30が設けられている。オーブン100内の下面100bには、複数の下側ノズル32が設けられている。上側ノズル30と下側ノズル32とは、上下に対向するように設けられている。
予熱ゾーン10,延伸ゾーン12及び熱固定ゾーン14の上面100aに設けられた上側ノズル30は、下部に開口を有しており、下方向(矢印B方向)に熱風を吹き出すことができる。一方、予熱ゾーン10,延伸ゾーン12及び熱固定ゾーン14の下側にそれぞれ設けられた下側ノズル32は、上部に開口を有しており、上方向(矢印C方向)に熱風を吹き出すことができる。上側ノズル30及び下側ノズル32の開口部の形状は、幅1〜10mmのスリット形状でもよく、直径2〜10mm程度の円形の穴を複数有するパンチング形状でもよい。ノズルの開口部の形状に応じてノズルの形状を決定することができる。
なお、図2には示していないが、上側ノズル30及び下側ノズル32は、原料フィルム及び延伸フィルムを幅方向に均一に加熱することができるように、図2の紙面に垂直方向に所定のサイズの奥行きを有している。各ノズルの熱風吹き出し口における熱風の吹き出し速度としては、例えば2〜10m/秒とすることができる。
以下、本実施形態に係る位相差フィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
(予熱工程)
予熱工程では、熱可塑性樹脂からなる幅W1の原料フィルム20をオーブン100内の予熱ゾーン10に導入して予熱を行う(図1)。予熱工程は、原料フィルム20を幅方向と縦方向とに延伸する二軸延伸工程の前に行われる。これによって、原料フィルム20を二軸延伸するのに十分な温度にまで加熱される。
チャック18で固定された原料フィルム20は、チャック18のA方向への移動によって予熱ゾーン10に導入される。原料フィルム20は、この予熱ゾーン10で加熱されながら、チャック18の移動に伴いA方向に移動する。オーブン100入口における原料フィルム20の移動速度は、0.5〜50m/minとすることができる。
予熱工程における予熱温度は、原料フィルム20に含まれる熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合、(Tg−20)〜(Tg+30)℃とすることが好ましい。一方、原料フィルム20に含まれる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合、(Tm−40)〜(Tm+20)℃とすることが好ましい。なお、本明細書における予熱温度とは、オーブン100内の予熱工程を行う予熱ゾーン10内の雰囲気の温度をいう。
本明細書におけるTgは、JIS K7121に従って求められる中間点ガラス転移温度を意味し、具体的には、示差熱走査熱量計(DSC)などを用い、サンプルを一度融点以上に加熱したのち、所定の速度で−30℃(ポリプロピレン系樹脂の場合)程度まで冷却し、その後、所定の速度で昇温しながら測定して得られるDSC曲線の屈曲点より求められる値である。なお、冷却温度は、樹脂の種類によって適宜変更することができる。
本明細書における融点は、JIS K7121に従って求められる、示差走査熱量測定おける融解ピーク温度のことである。結晶性ポリオレフィン系樹脂の融点(Tm)は、通常80〜250℃である。
原料フィルム20がポリプロピレン系樹脂からなる場合、得られる位相差フィルムの位相差の均一性を良好にするために、予熱温度は、ポリプロピレン系樹脂の融点をTとした場合に、(T−10)〜(T+10)℃の範囲内とすることが好ましく、(T−5)〜(T+5)℃とすることがより好ましい。
予熱工程における原料フィルム20は、熱可塑性樹脂が非晶性樹脂の場合、次に行われる二軸延伸工程開始前までに(Tg−20)〜(Tg+30)℃の範囲に加熱されることが好ましい。一方、原料フィルム20に含まれる熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合、(Tm−40)〜(Tm+20)℃の範囲に加熱されることが好ましい。
予熱ゾーン10は、原料フィルム20の進行方向における長さが0.33〜21mであることが好ましい。予熱ゾーン10の長さが0.33m未満の場合、原料フィルムが十分に予熱されず、位相差フィルムの光学的な均一性が損なわれる傾向がある。一方、予熱ゾーン10の長さが21mを超える場合、オーブン100のサイズが大きくなって位相差フィルムの製造コストが上昇する傾向がある。
(二軸延伸工程)
二軸延伸工程は、オーブン100内の延伸ゾーン12において行われる。予熱ゾーン10における予熱工程終了後、原料フィルム20は、矢印A方向に移動して予熱ゾーン10から延伸ゾーン12に導入される。
二軸延伸工程は、予熱工程で予熱した原料フィルム20を、加熱しながら原料フィルム20の幅方向(矢印A方向に垂直な方向)と長手方向(矢印A方向に平行な方向)とに延伸する工程である。この二軸延伸工程での延伸温度(延伸ゾーン12内の雰囲気の温度)は予熱温度より低い温度としてもよいし、高い温度としてもよいし、同じ温度としてもよい。原料フィルム20がポリプロピレン系樹脂からなる場合、予熱された原料フィルム20を予熱工程よりも低い温度で延伸することにより、原料フィルム20を一層均一に延伸することができる。その結果、面内位相差Rの均一性に一層優れた位相差フィルムが得ることができる。原料フィルム20がポリプロピレン系樹脂からなる場合の延伸温度は、予熱工程における予熱温度より5〜20℃低いことが好ましく、7〜15℃低いことがより好ましい。なお、本明細書における延伸温度とは、オーブン100内の二軸延伸工程を行う延伸ゾーン12内の雰囲気の温度をいう。
二軸延伸工程における原料フィルム20の横延伸(幅方向の延伸)は、原料フィルム20を固定するチャック18を原料フィルム20の幅方向(横方向)に拡げることによって行われる。つまり、対向する一対のチャック18がA方向に移動しながら、該対向する一対のチャック18の間隔が徐々に原料フィルム20の幅方向に拡がることによって、原料フィルム20が横方向に引っ張られて横延伸される。これによって、原料フィルム20は幅W1から幅W2に横延伸される。横延伸倍率は、1.5〜10倍とすることが好ましい。得られる位相差フィルムの光学的な均一性を一層向上させる観点から、ポリプロピレン系樹脂の場合は、該横延伸倍率を3〜7倍とすることが好ましい。また、非晶性樹脂の場合は1.5〜4倍であることが好ましい。
二軸延伸工程における原料フィルム20の縦延伸(フィルム長手方向の延伸)は、原料フィルム20を固定し、互いに隣り合うチャック18の間隔を原料フィルム20の長手方向(縦方向)に拡げることによって行われる。つまり、チャック18がA方向に移動しながら、徐々に隣り合うチャック18の間隔が徐々に原料フィルム20の長手方向に拡がることによって、原料フィルム20が縦方向に引っ張られて縦延伸される。縦延伸倍率は、1.5〜5.0倍とすることが好ましい。
従来の所謂同時二軸延伸では、原料フィルム20の横延伸と縦延伸とを同時に開始して同時に終了していた。しかし、本実施形態では、縦延伸と横延伸とを同時に開始して縦延伸と横延伸とを並行して行った後、縦延伸よりも横延伸を先に終了する。これにより、縦延伸のみが継続して実施される。したがって、面内位相差Rのバラつきが十分に低減された位相差ムラの小さい位相差フィルムを製造することができる。
本実施形態では、原料フィルム20の横延伸と縦延伸とが同時に開始される。具体的には、二軸延伸ゾーン12は、フィルム25の流れ方向上流側から、開始ゾーン12a、中間ゾーン12b、縦延伸ゾーン12cの3ゾーンに区分することができる。予熱ゾーン10から移動してくる原料フィルム20が開始ゾーン12aに導入されると、縦延伸と横延伸とが同時に開始され、原料フィルム20の縦延伸と横延伸とが並行して実施される。
原料フィルム20が開始ゾーン12aの下流側の中間ゾーン12bに導入された後も、フィルム25の縦延伸と横延伸とが並行して継続的に実施される。そして、フィルム25は二軸延伸されながら、矢印A方向に移動して縦延伸ゾーン12cに入る。
フィルム25が縦延伸ゾーン12cに導入されるとともに、フィルム25の横延伸は終了する。一方、フィルム25の縦延伸は継続して実施される。すなわち、縦延伸ゾーン12cでは、フィルム25の縦延伸のみが実施され、横延伸は実施されない。その後、フィルム25はA方向に移動して熱固定ゾーン14に入ると縦延伸も終了する。これによって、二軸延伸工程が終了し、二軸延伸フィルム22を得ることができる。
二軸延伸工程が行われる延伸ゾーン12は、原料フィルム20の進行方向Aにおける長さが0.2〜18mであることが好ましい。延伸ゾーン12の長さが0.2m未満の場合、原料フィルム20が十分に延伸されず、位相差フィルムの光学的な均一性が損なわれる傾向がある。一方、延伸ゾーン12の長さが18mを超える場合、オーブン100のサイズが大きくなって位相差フィルムの製造コストが上昇する傾向がある。
開始ゾーン12a、中間ゾーン12b、縦延伸ゾーン12cの各長さは、延伸ゾーン12を基準(100)として、0〜40/20〜95/5〜40の比率で配分されることが好ましい。かかる比率にすることによって、得られる位相差フィルムの面内位相差のバラつきを一層小さくすることができる。なお、縦延伸ゾーン12cの上記比率が5未満である場合、本発明の効果が十分に得られない傾向があり、縦延伸ゾーン12cの上記比率が40を超える場合、得られる位相差フィルムの面内位相差のバラつきが十分に低減されない傾向がある。
(熱固定工程)
二軸延伸フィルム22は二軸延伸工程終了後、オーブン100内の熱固定ゾーン14に導入される。
熱固定工程は、二軸延伸工程終了時における横幅W2を保った状態で、延伸フィルム22を熱固定温度(熱固定ゾーン14内の雰囲気の温度)に保たれた熱固定ゾーン14で、加熱することにより、延伸フィルム22の光学的特性を安定化させる工程である。熱固定温度は、延伸工程における延伸温度より低い温度、高い温度又は同じ温度とすることができる。位相差フィルムの位相差や光軸などの光学的特性の安定性を一層向上させる観点から、熱固定温度は、延伸温度よりも10℃低い温度から延伸温度よりも30℃高い温度までの温度範囲内であることが好ましい。
熱固定工程が行われる熱固定ゾーン14は、原料フィルム20の進行方向Aにおける長さが0.1〜15mであることが好ましい。熱固定ゾーン14の長さが0.1m未満の場合、延伸フィルム22が十分に安定化されず、位相差フィルムの光学的な均一性が損なわれる傾向がある。一方、熱固定ゾーン14の長さが15mを超える場合、オーブン100のサイズが大きくなって位相差フィルムの製造コストが上昇する傾向がある。
本実施形態に係る位相差フィルムの製造方法は、更に熱緩和工程を有してもよい。この熱緩和工程は、延伸工程と熱固定工程との間に行うことができる。このため、熱緩和工程は、他のゾーンから独立して温度設定が可能な熱緩和ゾーンを、延伸ゾーン12と熱固定ゾーン14との間に設けて行ってもよいし、熱固定ゾーン14内で行ってもよい。
熱緩和工程では、延伸工程においてフィルムを所定のサイズに延伸した後、隣り合うチャックの間隔を数%(好ましくは0.1〜10%)だけ狭めることによって、二軸延伸された二軸延伸フィルム22から無駄な歪を取り除くことができる。この歪を取り除くことによって、光学的な均一性により一層優れる位相差フィルムを得ることができる。
位相差フィルムに求められる位相差は、該位相差フィルムが組み込まれる液晶表示装置の種類により異なるが、通常、面内位相差Rは30〜300nmである。後述する垂直配向(VA)モード液晶ディスプレイに使用する場合、優れた視野角特性を確保する観点から、面内位相差Rは40〜70nmであることが好ましく、厚み方向位相差Rthは90〜230nmであることが好ましい。位相差フィルムの厚みは、通常10〜100μmであり、好ましくは10〜60μmである。位相差フィルムを製造する際の縦延伸倍率及び横延伸倍率と、製造する位相差フィルムの厚みとを制御することにより、所望の位相差を有する位相差フィルムを得ることができる。
本実施形態に係る位相差フィルムの製造方法により、例えば、延伸フィルム22の面内(400mm幅×400mm長さの面内)の位相差の平均値に対する標準偏差の比が±15%以下で、フィルムの幅方向400mmで光軸を測定した場合に光軸が−1〜+1°の範囲内である、光学的な均一性が高い位相差フィルムを得ることができる。
この位相差フィルムは、種々の偏光板や液晶層などと積層されて、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、パソコン、大型テレビ等の液晶表示装置として好ましく用いることができる。
本実施形態にかかる位相差フィルムを積層する液晶表示装置(LCD)としては、光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)モード、垂直配向(Vertical Alignment:VA)モード、横電界(In−Plane Switching:IPS)モード、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)モード、ねじれネマティック(Twisted Nematic:TN)モード、超ねじれネマティック(Super Twisted Nematic:STN)モードなど種々のモードの液晶表示装置が挙げられる。
本実施形態に係る製造方法によれば、面内位相差Rのバラつきが十分に抑制され、光学的均一性に優れた熱可塑性樹脂製の位相差フィルムを得ることができる。この位相差フィルムは、特に大型液晶テレビなどの大画面の液晶ディスプレイに用いられた場合でも、位相差や光軸のムラが殆どなく光学的な均一性に優れているため、視野角依存性を改善する効果を有するものである。また、軸精度が高く、均一な面内位相差Rを有する位相差フィルムを備える上述の液晶表示装置は、視野角特性及び耐久性に優れるものである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態では、二軸延伸工程で原料フィルム20の横延伸と縦延伸とを同時に開始したが、縦延伸よりも横延伸を先に開始しても面内位相差Rのバラつきが十分に抑制された位相差ムラの小さい位相差フィルムを得ることができる。具体的には、原料フィルム20は開始ゾーン12aに導入された際に、まず横延伸のみが開始される。この際、原料フィルム20の縦延伸は実施されない。そして、フィルム25が中間ゾーン12bに導入された際に、縦延伸が開始され、縦延伸と横延伸とが並行して実施される。これ以降は、上記実施形態と同様にフィルムを延伸することができる。
縦延伸よりも横延伸を先に開始する場合、延伸ゾーン12の長さ(フィルム移動方向)に対する開始ゾーン12aの長さの比率は、延伸ゾーン12の長さを基準(100)として、40以下とすることが好ましい。該比率が40を超える場合、得られる位相差フィルムの面内位相差のバラつきが十分に低減されない傾向がある。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ティコナ社製topas6013(商品名、Tg=130℃、エチレン/ノルボルネン共重合体、エチレン/ノルボルネン=50/50mol%、MFR(260℃)=13)を130℃で5時間乾燥し、スミライザーGP(住友化学株式会社製、商品名、酸化防止剤)を2000ppm添加し、原料(環状オレフィン系重合体)を得た。
50mmφ単軸押出機を用い、重合体温度が280℃となるように押出機のシリンダー温度を設定した。該押出機に装着されたホッパーに上記の環状オレフィン系重合体を投入し、14kg/hの押出し量で押出しを行なった。押出機中で溶融された溶融状環状オレフィン系重合体を450mm巾Tダイから押し出した。押し出された溶融状環状オレフィン系重合体は、キャスティングロールとタッチロールとの間で挟圧して冷却固化された。この際、120℃に温度調節した400mmφのキャスティングロールと、60℃に温度調節した金属製の弾性変形可能なタッチロールとを用いた。これによって、幅330mm、厚さ300μmの環状オレフィン系重合体フィルム(原料フィルム)を得た。
得られた原料フィルムを用いて二軸延伸を行った。オーブンの長さが1050mmの同時二軸延伸機を用い、原料フィルムの二軸延伸を行った。二軸延伸の条件は、ライン速度:1m/min、オーブン入口におけるフィルム幅:300mm、オーブン出口におけるフィルム幅:750mm(横延伸倍率:2.5倍)、縦延伸倍率:2倍、延伸温度:136℃とした。
原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で250〜700mmの間において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの縦延伸と横延伸とを同時に開始して縦延伸と横延伸とを並行して実施した後、縦延伸よりも横延伸を先に終了して縦延伸のみを行い、位相差フィルムを作製した。
得られた延伸フィルムの両端チャック部分より各々175mmの部分にカッターナイフを入れてトリミングを行い、幅400mmの位相差フィルムを得た。
自動位相差測定装置((株)王子計測機器サービス製、商品名:KOBRA−CCD)を用いて得られた位相差フィルムの面内位相差Rを測定した。測定は、幅方向に1.5mm間隔で面内位相差Rを測定し、その平均値(平均位相差値)と標準偏差とを求めた。そして、下記式(1)により位相差ムラを求めた。
位相差ムラ(%)= 0.5×(標準偏差)×100/(平均位相差値) (1)
上記式(1)によって求められる位相差ムラが15%以下の場合を「A」、15%を超える場合を「B」と判定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で300〜700mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの横延伸を縦延伸よりも先に開始し、その後縦延伸を開始して横延伸と縦延伸とを並行して行い、縦延伸よりも横延伸を先に終了して縦延伸のみを行うことにより延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表1に示すとおりであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で300〜650mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの横延伸を縦延伸よりも先に開始し、その後縦延伸を開始して横延伸と縦延伸とを並行して行った後、縦延伸と横延伸とを同時に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表1に示すとおりであった。
(比較例2)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で200〜700mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの縦延伸を横延伸よりも先に開始し、その後横延伸を開始して横延伸と縦延伸とを並行して行った後、横延伸を縦延伸よりも先に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表1に示すとおりであった。
(比較例3)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で250〜600mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの縦延伸と横延伸とを同時に開始して縦延伸と横延伸と並行して行った後、該縦延伸を該横延伸よりも先に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表2に示すとおりであった。
(比較例4)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で200〜650mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの縦延伸を横延伸よりも先に開始し、その後横延伸を開始して縦延伸と横延伸と並行して行った後、縦延伸と横延伸とを同時に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表2に示すとおりであった。
(比較例5)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの縦延伸と横延伸とを同時に開始して縦延伸と横延伸と並行して行った後、縦延伸と横延伸とを同時に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表2に示すとおりであった。
(比較例6)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で200〜600mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの縦延伸を横延伸よりも先に開始し、その後横延伸を開始して縦延伸と横延伸と並行して行った後、縦延伸を横延伸よりも先に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表2に示すとおりであった。
(比較例7)
実施例1と同様にして原料フィルムを作製した。原料フィルムの縦延伸は、オーブン入口を基準として、フィルムの流れ方向で300〜600mmの位置において実施した。原料フィルムの横延伸は、オーブン入口を基準として流れ方向で250〜650mmの位置において実施した。すなわち、原料フィルムの横延伸を縦延伸よりも先に開始し、その後縦延伸を開始して縦延伸と横延伸と並行して行った後、縦延伸を横延伸よりも先に終了して延伸フィルム(位相差フィルム)を作製した。このように延伸位置を変更したこと以外は、実施例1と同様にして位相差フィルムを作製し、評価を行った。評価結果は表2に示すとおりであった。
Figure 0004917508
Figure 0004917508
本発明に係る位相差フィルムの製造方法の好適な実施形態を模式的に示す工程図である。 本発明に係る位相差フィルムの製造方法の好適な実施形態を模式的に示す工程断面図である。
符号の説明
10…予熱ゾーン、12…延伸ゾーン、14…熱固定ゾーン、12a…開始ゾーン、12b…中間ゾーン、12c…縦延伸ゾーン、18…チャック、20…原料フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)、22…二軸延伸フィルム、25…フィルム、30…上側ノズル(ノズル)、32…下側ノズル(ノズル)、100…オーブン、100a…上面、100b…下面。

Claims (3)

  1. オーブン内を移動する熱可塑性樹脂フィルムを、前記熱可塑性樹脂フィルムの流れ方向の上流側から開始ゾーン、中間ゾーン及び縦延伸ゾーンを有する二軸延伸ゾーンにおいて、その移動方向に延伸する縦延伸と、前記熱可塑性樹脂フィルムを前記移動方向に垂直な方向に延伸する横延伸とを行う二軸延伸工程を有する位相差フィルムの製造方法であって、
    前記二軸延伸工程では、
    前記開始ゾーン及び前記中間ゾーンにおいて、前記縦延伸及び前記横延伸を同時に開始して前記縦延伸及び前記横延伸を並行して行うか、又は、前記横延伸のみを開始した後に前記縦延伸を開始して前記縦延伸及び前記横延伸を並行して行い、
    その後、前記縦延伸よりも前記横延伸を先に終了して、前記縦延伸ゾーンにおいて前記縦延伸のみを行
    前記縦延伸ゾーンの長さの比率は、前記二軸延伸ゾーンを基準(100)として5〜40である、位相差フィルムの製造方法。
  2. 前記二軸延伸工程では、前記縦延伸及び前記横延伸を同時に開始して前記縦延伸及び前記横延伸を並行して行う、請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記二軸延伸工程の前に前記熱可塑性樹脂フィルムをオーブン内で予熱する予熱工程と、
    前記二軸延伸工程で得られた延伸フィルムをオーブン内で加熱する熱固定工程と、をさらに有する請求項1又は2記載の位相差フィルムの製造方法。
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