JP2000162596A - 液晶ディスプレイ工程紙用ポリエステルフィルム - Google Patents

液晶ディスプレイ工程紙用ポリエステルフィルム

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JP2000162596A JP10338282A JP33828298A JP2000162596A JP 2000162596 A JP2000162596 A JP 2000162596A JP 10338282 A JP10338282 A JP 10338282A JP 33828298 A JP33828298 A JP 33828298A JP 2000162596 A JP2000162596 A JP 2000162596A
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Tsunetoshi Matsuda
常俊 松田
Eiji Fujita
英二 藤田
Munenori Yamada
宗紀 山田
Yoshihiro Umemura
吉弘 梅村
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶ディスプレイの製造工程において使用さ
れる工程紙に用いられるポリエステルフィルムであっ
て、高温で熱処理されてもオリゴマーに起因する白粉の
析出の少ない、あるいは実質的に白粉の析出しない工程
紙用ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートまたはこれ
を主体とする極限粘度0.50〜0.90のポリエステ
ル(A)10〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレ
ートまたはこれを主体とする極限粘度0.6以上のポリ
エステル(B)90〜20重量%とからなるポリエステ
ル樹脂組成物にてフィルムが形成される。このフィルム
中に含有されるポリエチレンテレフタレートの環状オリ
ゴマーの量が0.8重量%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示ディスプ
レイの製造工程において使用される工程紙として有用
な、液晶ディスプレイ工程紙用ポリエステルフィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示ディスプレイは、偏光フィルム
や位相差フィルムなどの光学機能性フィルムを積層して
製造されるが、この際、各光学機能性フィルムの搬送工
程や品質管理工程において光学機能性フィルムの表面を
傷やほこりから保護するための保護フィルムとして、あ
るいは、各光学機能性フィルムを接着する際の接着剤層
を付与するためのセパレートフィルムとして、工程紙が
用いられている。この工程紙は、最終的にディスプレイ
が完成するまでには剥離されて製品中には残らないが、
製品と直接接触し、また品質管理工程などにおいては工
程紙を貼り付けたまま検査が行われることが多く、光学
機能性フィルムと同等のクリーン性が要求されている。
工程紙の基材として最も多く用いられているのは力学的
強度と寸法安定性に優れたポリエチレンテレフタレート
(以下「PET」と称する)よりなるフィルムである
が、液晶ディスプレイの製造工程には接着など熱処理を
伴う工程が含まれ、この際にPETを主として含むポリ
エステルフィルムは、PETの環状オリゴマーを主成分
とする白粉状物がフィルム表面に析出するという問題を
生じ、品質管理に支障をきたすことが少なくない。
【0003】PETにおいて環状オリゴマーの析出を低
減させようとする試みは従来より行われており、例えば
固相重合を行うことで原料樹脂中のPET環状オリゴマ
ーを低減可能であることは一般に知られている。しか
し、固相重合工程を行うことでコストアップとなり、ま
たそうしてオリゴマーを低減しても、フィルムを製造す
る際に樹脂を溶融すると速やかに熱力学的平衡量に近づ
くため、オリゴマー低減の効果は薄い。
【0004】また特開平3−72523号公報には、P
ET樹脂原料を一定時間だけ水と接触させることによ
り、溶融時のオリゴマー発生を抑制する方法が記載され
ている。しかしながらこの方法は、固相重合によりオリ
ゴマーの含有量を低減させたPETをさらに水処理、乾
燥することが必要であり、いっそうコスト高となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、液晶ディス
プレイの製造工程において使用される工程紙に用いられ
るポリエステルフィルムであって、高温で熱処理されて
もオリゴマーに起因する白粉の析出の少ない、あるいは
実質的に白粉の析出しない安価な工程紙用ポリエステル
フィルムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、PETに対する相
溶性を有しかつ適正な製膜性と耐熱性とを持つポリエス
テル、すなわちPETとポリブチレンテレフタレートと
を配合した樹脂組成物よりなるフィルムは、工程紙とし
ての性能と熱処理時に白粉を生じないという好ましい性
質とを示し、しかも安価であることを見出し、本発明に
到達した。
【0007】すなわち本発明の要旨は、ポリエチレンテ
レフタレートまたはこれを主体とするポリエステル
(A)10〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレー
トまたはこれを主体とするポリエステル(B)90〜2
0重量%とからなるポリエステル樹脂組成物にてフィル
ムが形成され、このフィルム中に含有されるポリエチレ
ンテレフタレートの環状オリゴマーの量が0.8重量%
以下であることを特徴とする液晶ディスプレイ工程紙用
ポリエステルフィルムにある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0009】(ポリエステル樹脂組成物)本発明におけ
るポリエステル(A)は、テレフタル酸成分とエチレン
グリコール成分とを主成分として溶融重縮合反応、ある
いはは引き続いて固相重合されたものである。このポリ
エステル(A)は、極限粘度が0.50〜0.90であ
ることが好ましく、0.55〜0.80、さらには0.
60〜0.77であることが特に好ましい。極限粘度が
0.50未満では、実用に供することのできる機械的強
度を有したフィルムとしにくくなる。一方、これが0.
90を越えると溶融粘度が高くなりすぎてフィルム成形
性が劣りやすくなる。
【0010】またポリエステル(A)は、本発明の効果
が損なわれない範囲で適宜他の成分を共重合したもので
もよい。共重合成分としての酸性分としては、イソフタ
ル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジ
カルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、(無水)
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メ
サコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒド
ロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカ
ルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、p−ヒドロ
キシ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロ
ラクトン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメ
リット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸など
の多官能カルボン酸を挙げることができる。
【0011】また、共重合成分としてのアルコール成分
としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、分子量が200〜2,000のポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノ
ール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェ
ノールSのエチレンオキシド或はプロピレンオキシド付
加物等の芳香族ジオール、(無水)トリメリット酸、ト
リメシン酸、(無水)ピロメリット酸、トリメチロール
プロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官
能アルコールなどを挙げることができる。
【0012】ポリエステル(A)を製造するためには、
従来公知の方法が適用できる。例えば、ビス(β−ヒド
ロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体の存在
するエステル化反応槽に、テレフタル酸とエチレングリ
コール及び必要に応じて共重合成分とのスラリーを連続
的に供給し、250℃の温度で3〜8時間程度反応させ
て、エステル化反応率95%付近のエステル化物を連続
的に得る。次いで、これを重合缶に移送し、二酸化ゲル
マニウム、三酸化アンチモン等の触媒の存在下に、1.
3hPa以下の減圧下、250〜280℃の温度で所望
の極限粘度のポリエステルが得られるまで溶融重縮合反
応を行えばよい。
【0013】また、この方法により得られたポリエステ
ルをさらに固相重合してもよい。
【0014】本発明におけるポリエステル(B)は、テ
レフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分とを主成
分として溶融重縮合反応、あるいは引き続いて固相重合
されたものである。その極限粘度は0.60以上である
ことが好ましく、0.80以上であることが特に好まし
い。極限粘度が0.60未満では、実用に供することの
できる機械的強度を有したフィルムとしにくくなる。一
方、極限粘度の上限は、特に限定されないが、樹脂及び
フィルムの生産性の面で2.0以下であることが好まし
い。
【0015】またポリエステル(B)は、本発明の効果
が損なわれない範囲で、ポリエステル(A)と同様の他
の成分を適宜に共重合したものでもよい。
【0016】ポリエステル(B)を製造するときにも、
従来公知の方法が適用できる。例えば、ジメチルテレフ
タレートと1,4−ブタンジオール及び必要に応じて共
重合成分とをエステル交換反応槽に仕込み、230℃の
温度で5時間程度反応させて、エステル交換反応率95
%付近のエステル化物を得る。次いで、これを重合缶に
移送し、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプ
ロピルチタネート等の触媒の存在下に、1.3hPa以
下の減圧下、220〜250℃の温度で所望の極限粘度
のポリエステルが得られるまで溶融重縮合反応を進めれ
ばよい。
【0017】また、この方法により得られたポリエステ
ルをさらに固相重合してもよい。
【0018】本発明におけるポリエステル樹脂組成物の
配合割合は、ポリエステル(A)を10〜80重量%、
ポリエステル(B)を90〜20重量%とすることが必
要である。ポリエステル(A)の配合量が10重量%よ
り小さいと、すなわちポリエステル(B)の含有量が2
0%より多いと、充分な耐熱性と寸法安定性を得ること
が難しい。またポリエステル(A)の配合量が80重量
%より大きいと、すなわちポリエステル(B)の含有量
が20%より少ないと、オリゴマーの含有量が多くなり
好ましくない。
【0019】(フィルムの製造方法)本発明の液晶ディ
スプレイ工程紙用ポリエステルフィルムは、上記のポリ
エステル樹脂組成物を用いて、フラット式もしくはチュ
ーブラー式製膜法等の従来公知の方法により製膜してフ
ィルムとする方法で製造することができる。そのうち、
好適な力学特性を有しかつ厚みムラの少ないフィルムを
経済的に製造する方法としては、フラット式が好まし
く、このフラット式の方法と同時2軸延伸法とを組合せ
て延伸フィルムを製造する方法が最も好ましい態様であ
る。
【0020】以下に、本発明のフィルムを製造するため
の方法について、フラット式−同時2軸延伸法による2
軸延伸フィルムの製造を例に挙げて説明する。しかし、
本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】まず、前述した配合割合のポリエステル
(A)及び(B)によって実質的に形成されたポリエス
テル樹脂組成物を、Tダイを備えた押出機を用いて23
0〜280℃で溶融・混合し、シート状に押出し、これ
を40℃以下に温度調節されたキャスティングロール上
に密着させて急冷し、所望の厚みの未延伸シートを得
る。
【0022】なお、樹脂組成物の混合・相溶化を促進す
る目的で、他の溶融・混練装置を用いて上記ポリエステ
ル樹脂組成物をあらかじめ溶融・混合させておいてもよ
い。押出機は、単軸スクリューであってもよいが、混合
効果を向上させるために2軸スクリューであってもよ
い。スクリュー形状は、通常の緩圧縮タイプのものでも
よいが、気泡の混入防止や水等の揮発性物質の除去を図
るためにベントタイプのものを用いてもよいし、押出量
を増加させる目的で、例えば主フライトとダムフライト
とを設けたようなバリヤタイプのスクリューを用いても
よい。さらにはタンデム押出機でもよい。
【0023】ここまでの工程で重要なのは、(1)樹脂
の溶融・混合温度、(2)押出機内で樹脂に加わる剪断
速度、(3)押出機内での滞留時間、(4)シートの冷
却速度である。しかし、このうちの(1)〜(3)につ
いては、スクリュー形状、L/D、圧縮比、回転数、ダ
イ形状、吐出量等、また(4)についてはダイ温度、キ
ャスティングロール温度、ダイ−キャスティングロール
間距離、引取り速度、密着法等の多数の複雑な因子によ
って決定されるため、一概にその最適条件を説明するこ
とはできない。むしろ、これらの複雑な因子は、後述す
るフィルム特性を満足するフィルムが製造されるように
適宜決定され、正確に制御されるべきである。
【0024】特に上記の(3)押出機内での滞留時間
は、これが長いと樹脂の熱分解、加水分解等による樹脂
粘度の低下やオリゴマー生成を招くため、滞留時間が2
0min以内、さらには15min以内であることが好
ましい。特に大型の押出機を用いて大量生産する場合に
は、滞留時間が短くても両樹脂の相溶化をある程度進め
ることが必要なことから、前述したような混合に対する
工夫が必要である。
【0025】また、ポリエステル(A)及び(B)の相
溶化を進めるために、溶融・混合の際にエステル交換触
媒を添加することも可能である。エステル交換触媒とし
ては、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、テトラ
−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネー
ト、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、酢酸マ
ンガン等を例示することができる。
【0026】上記の(4)シートの冷却速度は、後述の
延伸工程での作業性に特に影響し、冷却速度が早いほど
延伸作業性は良好となる。
【0027】次いで、未延伸シートの両端をクリップで
把持するとともに、シート上下面より40〜100℃の
熱風を吹付けて予熱し、50〜120℃の雰囲気下で縦
及び横方向にそれぞれ2〜4倍程度に同時2軸延伸す
る。その後、縦方向及び/又は横方向の弛緩率を数%と
して、150〜210℃で数秒間熱処理してフィルムを
熱固定する。その後、室温まで冷却し、20〜300m
/minの速度で巻き取って所望の厚みのフィルムとす
る。
【0028】延伸後の熱処理方法としては、従来公知の
方法を採用することができる。例えば、延伸フィルムに
熱風を吹き付ける方法、延伸フィルムに赤外線を照射す
る方法、延伸フィルムにマイクロ波を照射する方法等が
挙げられるが、均一に精度良く加熱できる点で、延伸フ
ィルムに熱風を吹き付ける方法が好適である。
【0029】また、特公昭35−11774号公報、特
公昭43−5557号公報等に開示されるように、延伸
工程と熱固定工程との中間に熱緩衝帯を設けてもよい。
フィルム製造時の滑剤としては、シリカ、アルミナ、カ
オリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム
等の無機滑剤、もしくはシリコーン粒子等の有機滑剤か
ら選ばれた1種もしくは2種以上の平均粒径2.5μm
以下のものが使用される。この滑剤を必要量添加してフ
ィルム表面にスリップ性を付与することで、フィルム製
造時や金属板との熱圧着時の工程通過性を改善させるこ
とができる。
【0030】(フィルムの物性など)こうして得られた
フィルムは、液晶ディスプレイ用の光学機能性フィルム
の保護フィルムとするか、あるいは、表面に離型層と接
着剤層を配してセパレートフィルムとして用いることが
できる。
【0031】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム中に含有されるポリエチレンテレフタレートの環状オ
リゴマーの量が0.8重量%以下であることを必要とす
る。環状オリゴマーの含有量が0.8重量%を越える場
合には、フィルムに離型層や接着材層を付与する際に熱
処理した場合などにおいて、フィルム表面に環状オリゴ
マーの白粉が析出し、光学機能性フィルムの検査工程に
おいて不良が生じる可能性が高くなる。
【0032】本発明のフィルムは、厚みが5〜100μ
mであることが好ましく、さらに10〜60μmである
ことがより好ましい。厚みが5μm未満では加工時に破
れ等が生じ易くなり、一方100μmを越えるものは過
剰品質であって不経済である。
【0033】なお、本発明のフィルムには、着色剤、酸
化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、難燃剤等を含有させる
こともできる。PETを主成分とする従来のフィルムに
おいては、熱処理した際、表面に白粉が析出するが、こ
れは上述のようにフィルム中に含有されるPETの環状
3量体を主成分とする環状オリゴマーが、熱処理により
フィルム表面に析出するためであると考えられる。しか
しながら本発明のフィルムにおいては、ポリブチレンテ
レフタレート(以下「PBT」と称する)成分のため
に、PETの含有量が低くなっているだけでなく、一部
エステル交換が生じ、純粋なPETの連鎖が短くなるこ
とで環状3量体の平衡量自体が小さくなり、フィルム中
に含まれる環状3量体量が著しく少なく抑えられている
ため、熱処理においても環状3量体の析出が少なくなる
と考えられる。一般にPETにおいては、環状n量体の
平衡存在量は、PETの連鎖長すなわち数平均重合度の
n乗に比例するといわれている[W.S.Haetal, J. Poly
m. Sci. Polym. Chem. Ed., 17, 2103 (1979) ]。
【0034】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、各
種物性値は次のように規定した。
【0035】(1)樹脂の極限粘度[η(デシリットル
/グラム)] フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン等重
量比混合溶媒を用い、20℃で測定した。
【0036】(2)PET環状オリゴマーの含有量 フィルムをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホ
ルムの等容積比混合溶液に溶解した後、撹拌しながらア
セトニトリル中に滴下して樹脂を沈殿させた。次に、こ
れをメンブランフィルターで濾過し、得られた濾液を高
速液体クロマトグラフィー(ウォーターズ社製、600
E)を用いて分析した。
【0037】なお、あらかじめPETの環状3量体と内
部標準物質との検量曲線を作成しておき、上記分析で得
られたチャート中の全ピークについて、PETの環状3
量体換算でその重量を求め、その合計量をオリゴマー量
とした。
【0038】(3)粒子析出状況 得られたフィルムを160℃の熱風乾燥機中で60分間
保持したものについての顕微鏡写真を基にその数密度を
求め、数密度が50以上のものを不良すなわち×、20
以上50未満のものをやや不良すなわち△、20未満の
ものを良すなわち○と評価した。
【0039】(実施例1)滑剤としての平均粒径1.0
μmのシリカを0.05重量%含有した極限粘度0.7
1のPET40重量部と、極限粘度1.12のPBT6
0重量部とをドライブレンドし、これを、Tダイを備え
た押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単
軸スクリュー)を用いて、シリンダー部275℃、Tダ
イ部265℃の温度で、吐出量1320g/minで、
シート状に押し出した。
【0040】続いてこれを表面温度18℃に調節された
キャスティングロール上に密着させて急冷し、厚み38
0μmの未延伸シートを得た。
【0041】この未延伸シートの端部をテンター式同時
2軸延伸機のクリップで把持し、60℃の予熱ゾーンを
2sec間走行させた後、温度80℃でMD(縦方向)
に3倍、TD(横方向)に3.5倍の倍率で同時2軸延
伸した。延伸ゾーンは3secで通過させた。
【0042】次に、TDの弛緩率を5%として200℃
で4sec間熱処理した後、室温まで冷却し、50m/
minの速度で巻き取って、厚み38μmのフィルムを
得た。
【0043】得られたフィルムの環状オリゴマー含有量
を前述の方法で求めたところ0.22重量%であった。
【0044】得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】(実施例2〜5及び比較例1〜3)実施例
1に比べ原料のポリエステル樹脂組成物の配合量を変更
したうえで、実施例1と同様の条件でフィルムを製造し
た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0047】実施例1〜5のフィルムは、いずれもPE
T成分とPBT成分の配合量を本発明の範囲内としたた
め、含有オリゴマー量が少なく、したがって粒子の析出
が少ないという良好な特性を示した。これに対し、比較
例1〜3のフィルムは、いずれもPBT成分の配合量が
本発明の範囲未満であったため、すなわちPET成分の
配合量が本発明の範囲を超えていたため、含有オリゴマ
ー量が多く、したがって粒子の析出が多いものであっ
た。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によると、高温で熱
処理されてもオリゴマーに起因する白粉の析出の少な
い、あるいは実質的に白粉の析出しない安価な工程紙用
ポリエステルフィルムを得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 山田 宗紀 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 梅村 吉弘 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 2H049 AA64 BA02 BA06 BB23 BB54 BC03 BC14 2H091 FA08X FA08Z FB02 FC09 FD14 GA16 LA02 LA07 4F071 AA45 AA46 AA88 AH12 BC01 4J002 CF06W CF07X GQ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートまたはこれ
    を主体とするポリエステル(A)10〜80重量%と、
    ポリブチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポ
    リエステル(B)90〜20重量%とからなるポリエス
    テル樹脂組成物にてフィルムが形成され、このフィルム
    中に含有されるポリエチレンテレフタレートの環状オリ
    ゴマーの量が0.8重量%以下であることを特徴とする
    液晶ディスプレイ工程紙用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステル(A)の極限粘度が0.5
    0〜0.90であるとともに、ポリエステル(B)の極
    限粘度が0.6以上であることを特徴とする請求項1記
    載の液晶ディスプレイ工程紙用ポリエステルフィルム。
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