JP4080200B2 - 位相差フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表示装置特に液晶表示装置,有機エレクトロルミネセンス素子等や光記録装置における光ピックアップ、光学部品等に用いられる位相差フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
位相差フィルムは液晶表示装置のSTN(スーパーツイステッドネマチック)方式等に用いられ、色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用いられている。一般に、色補償用の位相差フィルムの材料としてはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン等が用いられ、視野角拡大用の位相差フィルム材料としては前記した材料に加えて高分子液晶、デイスコチック液晶等が用いられている。
【0003】
薄膜トランジスタ(TFT)を利用した液晶表示装置は先述のSTNに比較して格段に画質が良いとは言え、CRTに比べて、当初は斜めから見た画質が正面から見た画質と異なるといったいわゆる視野角問題があった。この問題に対し、上記位相差フィルムを最適化したもの等が用いられ、液晶表示装置の視野角はかなり改善されるに至った。
【0004】
しかし、確かに従来の液晶表示装置に比べて視野角特性が良くなったとは言えるが、視野角に伴う色調の微妙な変化等の問題や更なるコントラスト最適化の問題等についてはCRTに比べてまだ十分とは言えない。
【0005】
通常の液晶表示装置では偏光を用いているので、これらの視野角の問題は液晶表示装置を通過する偏光変化の度合いが、正面に入射した光と斜めに入射した光で異なっていることに起因する。視野角問題がある程度改善されたとされる現存する液晶表示装置においてもこのような問題がある。この問題に対して光学設計により最適化すると、位相差フィルムを用いてわずかな位相差を与えることによって解決することが可能であるといった解が得られるケースがある。例えば、垂直配向液晶モードでの正面コントラストを上げる為に、数〜数10nm程度の微小な位相差を持つ位相差フィルムを用いたりする場合がある。
【0006】
また、液晶表示装置において、近年、ガラス基板の代わりに高分子基板を用いたものが市場に出回り始めているが、表示品位が向上するにつれて高分子基板の光学異方性も無視出来なくなるとともに、それを積極的に利用しようとする動きもある。
【0007】
上記したような液晶表示装置の微妙な偏光状態を制御するには、位相差の波長分散も従来の位相差波長分散と異なるものが必要とされている。例えば、従来の位相差フィルムとしては、ビスフェノールA骨格を有するポリカーボネートが広く使用されている。この材料で作られた位相差フィルムは短波長ほど位相差値が単調増加するという特性を有しているが、例えば、それとは異なる波長分散を得ようとした場合には、複数枚使用する必要があるといった問題がある。どのような位相差の波長分散であればよいかは、液晶表示装置の設計によるので、一概には言えないが、少なくとも従来には無いような位相差波長分散を有する位相差フィルムが、液晶表示装置の光学設計の自由度を向上させ、また位相差フィルムの必要枚数を低減できるといった点で有用であることは間違いない。通常の位相差フィルムの位相差値は、可視光において単調増加か単調減少であるので、波長400nm〜800nmの範囲において少なくとも1つの位相差値の極大値または極小値を有する位相差フィルムは存在しなかったため、このような特性が望まれている場合には、複数枚のフィルムを適当に積層させる等して使用するしかなかったのが現状であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、上記のような実状を鑑みてなされたものであって、液晶表示装置の光学補償の自由度を上げ、また位相差フィルムの必要枚数を減らし得る効果を有する従来には無かった新規な位相差波長分散を有する位相差フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の液晶表示装置の光学補償の自由度を上げる等といった課題を解決する為に、位相差フィルムの特性について鋭意検討したところ、波長400nmから800nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値及び/または極小値を有する位相差フィルムが有効であることを見出し、かつ該特性を有することを特徴とする位相差フィルムを均一に生産性よく得ることに成功した。
【0010】
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
1.下記式[III]で示される繰り返し単位が全体の45〜53モル%と、下記式[IV]で示される繰り返し単位が全体の55〜47モル%を占めるポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体を含む単層有機配向フィルムからなる位相差フィルムであって、波長400nmから550nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値を有することを特徴とする位相差フィルム。
【化26】
(上記式[III]において、R 24 およびR 25 はそれぞれ独立に水素原子およびメチル基から選ばれる。)
【化27】
(上記式[IV]においてR 26 およびR 27 はそれぞれ独立に水素原子およびメチル基から選ばれる。)
【0016】
7. 有機配向フィルムの吸水率が1重量%以下である上記1の位相差フィルム。
【0034】
13. 上記1または2の位相差フィルムを用いた液晶表示装置。
【0040】
【発明の実態の形態】
本発明における位相差フィルムは、後記するポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体を含む単層すなわち1枚の有機配向フィルムからなる位相差フィルムであって、波長400nmから550nmの範囲において、極大となる位相差値を有する位相差フィルムである。このような極大値はかかる波長範囲において1つまたは2つ以上有してもよい。位相差値はフィルム表面に対して、垂直方向からの入射光で測定した場合の位相差値が上記関係を満たすことが好ましいが、斜め入射光で上記関係を満たしているものでもよい。
【0041】
このような特性を有する位相差フィルムが、液晶表示装置の光学補償の自由度を上げ、そして、位相差フィルムの使用枚数を削減することが可能である。先述したように液晶表示装置の光学設計は多岐に渡っており、位相差フィルムのある特性がすべての装置に対して良いとは言い難い。しかし、例えば、光学補償を行なう位相差フィルムに対して、ある特定の波長近辺で比較的大きな位相差が必要で、それ以外の波長では比較的小さな位相差があると最適であると言った液晶セルの場合、可視光の範囲である波長領域で極大値を有するような位相差フィルムが存在するならば、そのフィルム一枚で光学補償を行なうことが可能となる。しかし、可視光において単調増加または単調減少するような従来の位相差フィルムでは、少なくとも2枚使用して適当にそれぞれの位相差を加減するように位相差値や貼り合わせ角度を最適化することが必要となる。
【0042】
本発明の位相差フィルムにおいては、極大値は1つだけ存在し、かつその極大値は400nm〜550nmの波長範囲内に存在するものであり、より好ましくは450nm〜550nmの波長範囲である。また、波長450nm、550nmで測定される位相差値をそれぞれR(450),R(550)とした場合には、|R(450)|≧|R(550)|であることが好ましい。最も好ましくは、極大値が400nm〜550nmの波長範囲に1つだけ存在し、かつ|R(450)|≧|R(550)|であることである。液晶表示装置の光学設計上そのような特性が特に好ましい場合がある。
【0043】
次に、本発明の位相差フィルムの具体的な材料について説明する。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも1重量%以上の後記するポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体を含む配向フィルムからなり、該共重合体および/またはブレンド体以外に有機物を含有することができるものである。このような配向フィルムは、ポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体の含有量として重量比で70%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上であり、さらにより好ましくは実質的にポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体からなる。ポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体の量が多い方が好ましいが、これは、ポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体は形状保持性、成形性、耐久性等に優れているからである。
【0044】
また、かかる配向フィルム中に含有してもよい有機物としては、高分子以外に、低分子液晶、重合性液晶や芳香環を有する低分子化合物、オリゴマー等の有機物が挙げられる。これら高分子以外の有機物は、位相差フィルムの中で均一に混合されて実質的配向することによって、位相差の波長依存性に影響を与えることが出来る。
【0045】
かかる有機配向フィルムは、実質的にポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体からなる場合、該共重合体および/またはブレンド体が少なくとも一方向に配向している。ポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体以外の有機物が配合されている場合は、ポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体、または有機物の一方または両方が一方向に配向していることが好ましい。
【0046】
最も好ましくはポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体だけからなる有機配向フィルムを用いることである。この場合は特に耐久性や加工性に優れている。
【0047】
有機配向フィルムのガラス転移点温度は、120℃以上であることが好ましい。これ未満では、位相差フィルムの使用条件にもよるが配向緩和等の問題が発生する場合がある。より好ましくは、130℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。
【0048】
また、有機配向フィルムの吸水率は1重量%以下であることが好ましい。有機配向フィルムの吸水率が1重量%を越えると位相差フィルムとして実用する上で問題がある場合があり、フィルム材料はフィルムの吸水率が1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下の条件を満たすように選択することが良い。
【0051】
本発明に用いられるポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体は、正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位と負の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位とから構成されている。これは正の成分と負の成分が含有されていることにより、両者の成分の量を調整することにより、位相差の加減を自由に行なうことが可能となり、その結果、波長400nmから800nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値を有する位相差フィルムを設計し易くなるのである。この場合、モノマー単位は正と負がそれぞれ一成分ずつである必要は無く、それぞれが一成分以上であれば良い。
【0055】
なお、モノマー単位が正と負の屈折率異方性を有するとの意味は、それぞれのモノマーを単独で重合して得られる高分子からなるフィルムを一軸に延伸し、後述するnx>nzのときを異方性が正、nx<nzのときを異方性が負であるとここでは呼ぶ。また、この正負の判定においては、ガラス転移点温度Tg近傍(Tg-5からTg+20℃の範囲)の条件で一軸延伸した場合に得られる屈折率異方性で判断するものとする。
【0056】
さらにモノマー単位は2成分だけには限定されず、3成分以上であっても良い。例えば、正のモノマー単位が2成分、負のモノマー単位が3成分あった場合には、それぞれ、正のモノマー単位だけからなる高分子、負のモノマー単位だけからなる高分子を作製し、上記条件でフィルムを作製し屈折率異方性やその波長分散を判断するものとする。
【0073】
本発明に用いられるポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体は、下記式[III]
【0074】
【化21】
【0075】
(上記式[III]において、R24 およびR25はそれぞれ独立に水素原子およびメチル基から選ばれる。)
で示される繰り返し単位が全体の45〜53モル%と、下記式[IV]
【0076】
【化22】
【0077】
で示される繰り返し単位
(上記式[IV]においてR26およびR27はそれぞれ独立に水素原子、メチル基から選ばれる。)
で示される繰り返し単位が全体の55〜47モル%を占める。かかるポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体は、フィルムの製造条件等にもよるが、波長400〜550nmの範囲内で、位相差が極大値を1つ有する。この波長範囲において所望の光学補償を行うことができる。
【0078】
上記式[III]において、R24およびR25はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基から選ばれる。量産性や対環境性の観点で、より好ましくはメチル基である。
【0079】
上記式[IV]においてR26およびR27はそれぞれ独立に水素原子、メチル基から選ばれる。量産性の観点から、より好ましくは水素原子である。
【0080】
ここで上記モル比は、共重合体、ブレンド体に関わらず、構成するポリカーボネートバルク全体で、例えば核磁気共鳴(NMR)装置により求めることができる。
【0081】
上記した共重合体および/またはブレンド体は公知の方法によって製造し得る。ポリカーボネートはジヒドロキシ化合物とホスゲンとの重縮合による方法、溶融重縮合法等が好適に用いられる。ブレンドの場合は、相溶性ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくても成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、透明性を向上させることが可能である。
【0082】
本発明の位相差フィルムを構成する高分子の極限粘度は0.3〜2.0dl/gであることが好ましい。これ未満では脆くなり機械的強度が保てないといった問題があり、2.0を越えると溶液粘度が上がりすぎるため溶液製膜においてダイラインの発生等の問題や、重合終了時の精製が困難になるといった問題がある。
【0083】
位相差フィルムは透明性が高いことが好ましく、ヘーズ値は3%以下、全光線透過率は85%以上であることが好ましい。
【0084】
さらに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0085】
本発明の位相差フィルムは、上記ポリカーボネート共重合体および/またはブレンド体を含む高分子からなるフィルムを、延伸等により通常一方向に配向させたフィルムであることが好ましい。かかるフィルムの製造方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法等が用いられるが、膜厚むら、外観等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられる。溶液キャスト法における溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0086】
また、延伸方法も公知の延伸方法を使用し得るが、好ましくは縦一軸延伸である。フィルム中には延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のりん酸エステル、脂肪族二塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等が含有してもよい。延伸時には、先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留させ延伸しても良い。この有機溶剤の量としては位相差フィルム構成材料対比1〜20重量%であることが好ましい。
【0087】
位相差フィルムの膜厚としては限定するわけではないが、1μm〜400μmであることが好ましい。なお、本発明では位相差フィルムと表現しているが、共通して「フィルム」といい、あるいは「シート」といわれるいずれのものも含む意味である。
【0088】
位相差フィルムには一般に斜めからの入射光に対しては、正面入射光と比較して異なる位相差値を与えることが知られている。本発明の位相差フィルムにおいて、ここで高分子材料の三次元屈折率とは、nx,ny,nzで表され、それぞれの定義は、
nx:位相差フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:位相差フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:位相差フィルム表面の法線方向の屈折率
とする。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。nx>nzのときを光学異方性が正、nx<nzのときを光学異方性が負であるとここでは呼ぶ。また、この正負の判定においては、ガラス転移点温度Tg近傍(Tg-5からTg+20℃の範囲)の条件で一軸延伸した場合に得られる光学異方性で判断するものとする。二軸延伸の場合には配向が高くなるように延伸した方向をいう。なお、液晶等を含有することにより有機配向フィルムのガラス転移点温度が変化する場合があるが、この場合は変化したガラス転移点近傍温度(Tg-5からTg+20℃の範囲)にて一軸延伸することにより光学異方性の正負を判断するものとする。
【0089】
この三次元屈折率は、位相差板に偏光を入射して得られる出射光の偏光状態を解析する手法である偏光解析法により測定されるが、本発明では位相差板の光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折率を求めている。この三次元屈折率は使用する光源の波長依存性があるので、使用する光源波長で定義することが好ましい。この三次元屈折率を用いて光学異方性を表記する方法として下記式(8)
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (8)
があるが、これを用いて三次元屈折率を定義するならば、 Nzが0.3〜1.5の範囲にあるとき、非常に位相差値の入射角依存性が小さくなる。特にNz=0.5のときは位相差値の入射角依存性が実質的に無くなり、どの角度から光が入っても同じ位相差値を与える。
【0090】
なお、上記定義によれば、正の光学異方性を有する位相差フィルムの遅相軸はnx,進相軸はnyとなる。
【0091】
波長400nmから800nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値及び/または極小値を有することを特徴とする位相差フィルムを得るためには、特定の化学構造を有することが必須条件であり、位相差波長分散はかなりの部分がその化学構造で決まるが、添加剤、延伸条件、ブレンド状態、分子量等によっても変動することに留意されるべきである。
【0092】
本発明の位相差フィルムはそれ1枚単独で用いることができるが、用途により複数枚用いて、また別の使い方としては他の光学補償フィルムと組み合わせて、液晶表示装置の中で用いることが出来る。本発明の位相差フィルムの前記した三次元屈折率を制御してnx=ny>nz,nx=ny<nz,nx>ny>nz,nx>nz>ny等の異方性を有するフィルムを得ることが出来る。これらを偏光板と組み合わせて広視野角の偏光板を形成したり、あるいは広帯域波長板を形成したりすることが出来る。また、本発明の位相差フィルムは、光学補償フィルムで補償されたベンド配向セル、垂直配向セル、インプレインスイッチングモードセル、ツイストネマチックセル等あらゆる液晶セルに対して、光学補償を行なうことが可能である。さらに、液晶プロジェクター等の中で用いられる光学フィルムとして用いることも出来る。
【0093】
また、液晶表示装置だけでなく、有機エレクトロルミネッセンス素子、プラズマデイスプレイ、電界発光素子、CRT等の発光素子や電気泳動素子等における反射防止膜用の円偏光フィルムの中で、四分の一波長板として用いることも出来る。
【0094】
また、本発明の位相差フィルムを高分子材料からなる透明基板を用いてなる液晶表示装置または有機発光素子の透明基板の代わりに用いても良い。この場合にも光学設計することによって、むら無くコントラストの向上や視野角の向上等を期待することが出来る。
【0095】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
(評価法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
(1)位相差値(R=Δn・d(nm))、K値の測定
複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値及びNzは、分光エリプソメータである日本分光(株)製の商品名『M150』により測定した。R値は入射光線とフィルム表面が直交する状態で測定した。また、K値(nm)は入射光線とフィルム表面の角度を変えることにより、各角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッチングすることにより三次元屈折率であるnx,ny,nzを求め、下記式(7)に代入することにより求めた。
K=(nz-(nx+ny)/2)*d (7)
【0097】
(2)吸水率の測定
乾燥させたフィルムの状態で膜厚を 130±50μmとした以外は、JIS K 7209記載の『プラスチックの吸水率及び沸騰吸水率試験方法』に準拠して測定した。試験片の大きさは50mm正方形で、水温25℃、24時間サンプルを浸水させた後、重量変化を測定した。単位は%である。
【0098】
(3)高分子のガラス転移点温度(Tg)の測定
TA Instruments社製の商品名『DSC2920 Modulated DSC 』により測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレークスまたはチップの状態で測定した。
【0099】
(4)フィルム膜厚測定
アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
【0100】
(5)高分子共重合比の測定
日本電子社製の商品名『JNM-alpha600』のプロトンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出した。
また、以下の実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を以下に記す。
【0101】
【化23】
【0102】
[実施例1]
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[B]を表1のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p-tert-ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
【0103】
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し延伸温度210℃で延伸倍率1.5倍にて一軸延伸し、位相差フィルムを得た。
【0104】
表1に測定結果をまとめる。また、図1に位相差の波長分散を記す。
【0105】
この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、1つの位相差値の極大値を有する位相差フィルムであることを確認した。
【0106】
[実施例2]
実施例1で作製した共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し延伸温度210℃で縦横にそれぞれ1.3倍の延伸倍率で同時二軸延伸を行ない、位相差フィルムを得た。
【0107】
表1に測定結果をまとめる。また、図2に位相差の波長分散を記す。この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、実施例1と同様に1つの位相差値の極大値を有する位相差フィルムであることを確認した。このフィルムを液晶のΔn・dが290nm(測定波長550nm)である垂直配向液晶セルの光学補償フィルムとして上下に一枚ずつ使用したところ、視野角がよく着色の少ない、液晶表示装置を得ることが出来た。
【0108】
[参考例3]
負の屈折率異方性を有する高分子としてポリスチレン(和光純薬工業(株)より入手)、正の屈折率異方性を有する高分子としてポリフェニレンオキサイド(ポリ(2,6−ジメチル 1,4−フェニレンオキサイド)和光純薬工業(株)より入手)を、それぞれ75, 25重量%の比率でクロロホルムに溶解させ、固形分濃度18重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、温度 154℃、3倍に一軸延伸した。本フィルムのガラス転移点温度は 125℃であった。
【0109】
表1に測定結果をまとめる。また、図3に位相差の波長分散を記す。この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、1つの位相差値の極小値を有する位相差フィルムであることを確認した。
【0110】
[比較例1]
市販のビスフェノールA(モノマー構造[A])とホスゲンとの重縮合からなる市販のポリカーボネート(帝人化成製 商品名『パンライトC1400』)を用いて、延伸温度を160℃とした以外は実施例1と同様に製膜、延伸し位相差板を得た。表1に測定結果をまとめる。また、図4にこの位相差フィルムの位相差波長分散を記す。この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値または極小値を有する位相差フィルムではないことを確認した。
【0111】
[比較例2]
市販のノルボルネン樹脂であるJSR製の商品名『ARTON』を用いて、延伸温度を162℃とした以外は実施例1と同様に製膜、延伸した。この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値または極小値を有する位相差フィルムではないことを確認した。
【0112】
【表1】
【0113】
[参考例1]
実施例1と表1記載のモノマーを使った以外は同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、延伸温度を200℃,倍率を1.4倍とした以外は実施例1と同様に一軸延伸し位相差フィルムを得た。延伸前のキャストフィルムの溶媒含有量は0.5%であった。結果を表1に併記した。この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、測定波長が長いほど位相差が小さいことを確認した。
【0114】
[参考例2]
実施例1と表1記載のモノマーを使った以外は同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜、延伸温度を230℃, 倍率を2.0倍とした以外は実施例1と同様に一軸延伸し位相差フィルムを得た。延伸前のキャストフィルムの溶媒含有量は 0.5%であった。結果を表1に併記した。この延伸フィルムは波長400nmから800nmの範囲において、測定波長が長いほど位相差が大きいことを確認した。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により波長400nmから550nmの範囲において、少なくとも1つの位相差値の極大値を有することを特徴とする位相差フィルムを実現できるので、これを液晶表示装置等に用いることにより画質の向上や位相差フィルム枚数の低減等に寄与することが出来るといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における本発明の位相差フィルムの位相差と測定波長の関係を示したものである。
【図2】 実施例2における本発明の位相差フィルムの位相差と測定波長の関係を示したものである。
【図3】 参考例3における本発明の位相差フィルムの位相差と測定波長の関係を示したものである。
【図4】 比較例1における位相差フィルムの位相差と測定波長の関係を示したものである。
Claims (3)
- 有機配向フィルムの吸水率が1重量%以下である請求項1に記載の位相差フィルム。
- 請求項1または2に記載の位相差フィルムを用いた液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001376926A JP4080200B2 (ja) | 2001-12-11 | 2001-12-11 | 位相差フィルムおよび液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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