JP2004082714A - ポリカーボネート系二軸配向フィルムおよび位相差フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、垂直配向方式等の高品位の液晶表示装置に使用でき、かつ額縁問題をほぼ解決した位相差フィルムを提供することにある。
【解決手段】フルオレン環を有し、ガラス転移点温度が200℃以上である特定のポリカーボネートからなるフィルムであって、90℃500時間熱処理した後の熱収縮率が0.1%以下である二軸配向位相差フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】フルオレン環を有し、ガラス転移点温度が200℃以上である特定のポリカーボネートからなるフィルムであって、90℃500時間熱処理した後の熱収縮率が0.1%以下である二軸配向位相差フィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート系二軸配向フィルムおよび位相差フィルムに関する。さらに詳しくは、液晶表示装置等の位相差フィルムとして好適に用いられるポリカーボネート系二軸配向フィルムおよびその用途としての位相差フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
位相差フィルムは液晶表示装置のSTN(スーパーツイステッドネマチック)方式等に用いられ、色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用いられている。従来、色補償用の位相差フィルムの材料としてはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン等が用いられている。特に、視野角拡大用の位相差フィルム材料としては前記した材料に加えて高分子液晶、デイスコチック液晶等も用いられている。
【0003】
電圧オフの状態で基板に対してほぼ垂直に液晶が配向する垂直配向方式の液晶表示装置は、その高いコントラスト、広い視野角からすでにモニターやテレビ等での利用が開始されている。特に広い視野角を得るために位相差フィルムを用いることが重要であることは、非特許文献1に記載されている。
【0004】
ビスフェノールAを出発原料として作られるポリカーボネートホモ重合体からなる位相差フィルムは、すでに先述のSTN方式において広く利用されてきた。
【0005】
しかし、特に垂直配向方式の液晶表示装置は、STN方式よりもより高品位であることから、従来のSTN方式で用いられていたポリカーボネート材料を用いた位相差フィルムでは十分な表示品位が得られないといった問題があることが分かった。すなわち、ポリカーボネートホモ重合体を用いた位相差フィルムを偏光フィルムと貼り合わせる工程での応力、この工程で得られた積層偏光フィルムと液晶表示装置を貼り合わせる工程での応力あるいは高温下や高温多湿下の耐久試験時に発生する偏光フィルムの収縮応力等によって、該位相差フィルムの位相差値や光学軸の変化が発生し、その結果、液晶表示装置の画面、特に全面黒表示時の画面に輝度むらを引き起こし表示品位を劣化させてしまうといった問題点があることが分かった。この輝度むらの出現する場所は液晶表示装置のモードにも依存するが、特に液晶表示装置の画面の4辺の縁周辺で顕著に表れることが多い。それ故、以下、本特許明細書においてはこのような現象を額縁現象といい、この問題を額縁問題と称することにする。
【0006】
一方、位相差フィルムの材料としては、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリカーボネート等が知られている。
【0007】
しかしながら、セルロースアセテートを用いた位相差フィルムは、セルロースアセテートが吸水率が高い等の理由から分子配向の安定性に乏しいため、特に面内において高配向度を必要とする場合には使用することが困難であり、さらに同様の理由から面内において異方性のばらつきも抑えることも困難である。また、ノルボルネン骨格等の環状骨格を有するポリオレフィンでは、一般に光弾性定数は低いものの、固有複屈折も小さいことから、位相差フィルムとして必要な位相差を得るためには高倍率の延伸を必要とする。また、高いガラス転移点を得るためにノルボルネン骨格等のかさ高い分子構造を採用した結果、耐衝撃性、ハンドリング性、延伸性に乏しく、フィルムが割れやすくかつ破断が多いといった位相差フィルムとして使用する場合や生産性には多くの問題点がある。
【0008】
一方、芳香族系ポリカーボネートのうち、芳香環2つがある種の結合基を介して結合した芳香族ジヒドロキシ化合物(ビスフェノール)を用いたポリカーボネートは、適度な柔軟性が付与されかつ高いガラス転移点を有するといった利点がある。しかし、先述したようにSTNモードに広く用いられているビスフェノールA骨格を有するホモ重合体では、ハンドリング性や延伸性に問題はないものの、先述の額縁問題があり、高品位が要求される垂直配向方式の液晶表示装置に用いることは困難である。
【0009】
ポリカーボネートには多くの種類があり、またそれを位相差フィルムに適用した例も数多い。特許文献1および特許文献2には、ビスフェノールA骨格以外のジヒドロキシ成分を用いたポリカーボネートからなる位相差フィルムが提案されている。
【0010】
ポリカーボネートは脂肪族系と芳香族系の2つに分けられる。一般に脂肪族系ポリカーボネートは、光弾性定数が低いものの、ガラス転移点温度が低く、また生産性が悪いといった理由で位相差フィルム用の材料としては使用されていない。額縁現象の原因の一因は、偏光板の収縮により発生した応力が、位相差フィルムに粘着層を介して伝播し、位相差フィルムの位相差が変化することにより起きる。従って、光弾性定数のより低い位相差フィルムの方が、応力に対する位相差変化が小さくなるので、必要十分条件ではないが、好ましいと考えられる。他方、芳香族系ポリカーボネートは生産性もよく、また芳香環があることによりガラス転移点温度を高くすることが容易であり、先述したように実際に位相差フィルムとして用いられているが、光弾性定数が比較的大きいといった問題がある。芳香族ポリカーボネートフィルムの光弾性定数を下げる試みもすでに行なわれており、いくつかのホモ重合体、共重合体の提案がある。
【0011】
しかしながら、これら芳香族ポリカーボネートの場合には、理由は明確ではないが、おそらく芳香環の存在により、先述のノルボルネン骨格等のかさ高い官能基を有するポリオレフィンからなる市販の光学フィルム程度に光弾性定数を小さくすることは困難である。すなわち、ポリカーボネートはハンドリングの良さや、成形性の点で前記ポリオレフィンよりも優れるものの、特に高いガラス転移点温度を実現したままで光弾性定数を下げることが困難であると言う問題点を持っている。
【0012】
特許文献3には、下記式(a)
【化3】
【0013】
(ここで、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基である、)
で表わされる構成単位および下記式(b)
【0014】
【化4】
【0015】
(ここで、Wは単結合、アルキリデン基、シクロアルキリデン基、フェニル置換アルキリデン基、スルホン基、スルフィド基またはオキシド基であり、R5とR6は水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基でありそしてmとnは1〜4の整数である、)
で表わされる構成単位からなり、構成単位(b)の含有量が41〜95モル%である、高屈折率、低複屈折性ポリカーボネート樹脂が開示されている。また、同公報の実施例には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとビスフェノールAとを、前者:後者のモル比85/15(実施例1)、75/25(実施例2)および50/50(実施例3)で用いて、溶液重合法で製造したポリカーボネート(パウダー)を、塩化メチレンに溶解してフィルムを得たことが開示されている。しかしながら、同公報には、上記ポリカーボネートからの一軸または二軸配向フィルムについては何ら記載されていず、従ってまたこれらのフィルムからなる位相差フィルムについても何ら記載されていない。
【0016】
また、特許文献4には、下記式(c)
【化5】
【0017】
で表わされる繰返し単位を1モル%以上含有し、ガラス転移温度が160℃以上であるポリカーボネートからなり、80℃で500時間熱処理した後の熱収縮率が0.07%以下であり、超微小硬度計で測定した硬さが16kg/mm2以上であり、厚さが10〜200μmでありそして波長550nmにおける位相差(R(550))が式|R(550)|≦20nmを満足する、光学フィルムが開示されている。その実施例7には、下記式
【0018】
【化6】
【0019】
で表わされるビスフェノール化合物30モル%とビスフェノールA70モル%を用いて溶液重合法で製造したポリカーボネート共重合体をメチレンクロライドに溶解し、キャストフィルムを得、これを196℃で1.5倍に一軸延伸してR(550)が5.0nmの光学フィルムを得たことが開示されている。しかしながらその発明は面内位相差Rが小さい光学フィルムに関するものであり、本発明のようなRが20nm以上と大きな位相差値を有する二軸配向フィルムについては記載がない。ところで、面内の異方性R値や膜厚方向の異方性を表すK値が大きい場合には、分子配向度が高いことを示している。特に非結晶性高分子材料から成るフィルムにおいては、一般に結晶性高分子のように結晶化による寸法安定効果が働かないため、分子配向度が高いほど熱に対する寸法安定性が悪くなる、すなわち小さい熱収縮率を達成することは困難になる。つまり、仮に同じ高分子材料を用いても小さいR,K値を有するフィルムと大きなR,K値を有するフィルムでは熱収縮率は一般に異なる。
【0020】
【非特許文献1】
「1997 ソサイエティ フォー インフォメーション ディスプレイ インターナショナル シンポジウム ダイジェスト オブ テクニカル ペイパー(1997 Society for information display international symposium digestof technical papers)の1997年、845〜848頁」
【0021】
【特許文献1】
特開平7−246661号公報
【0022】
【特許文献2】
特開平6−82624号公報
【0023】
【特許文献3】
特開平6−25398号公報
【0024】
【特許文献4】
特開2001−318232号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶表示装置の位相差フィルムとして好適に用いられるポリカーボネート系二軸配向フィルムを提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、特に垂直配向方式の液晶表示装置において求められる、様々な光学的異方性を有する位相差フィルムに好適に用いられるポリカーボネート系二軸配向フィルムを提供することにある。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、偏光フィルムの面積が大きいので前記額縁問題の解決が一層困難となる、表示面積が15インチ以上の大型液晶表示装置、特に垂直配向方式の大型液晶表示装置に用いて、額縁問題をほぼ解決することができ且つ優れた視野角特性をもたらすことができる位相差フィルムを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかとなろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(A)下記式(I)
【0029】
【化7】
【0030】
(ここで、R1〜R8は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜6の炭化水素−O−基よりなる群から選ばれる基であり、そしてXは下記式(1)−1
【0031】
【化8】
【0032】
で表わされる基であり、R30およびR31は、互いに独立に、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、そしてnおよびmは互いに独立に、0〜4の整数である、で表わされる基である、)
で表わされる繰返し単位を含有するポリマーまたはポリマー混合物からなり、ここで該ポリマーおよびポリマー混合物は上記式(I)で表される繰返し単位をそれぞれポリマーまたはポリマー混合物の全繰返し単位の30〜60モル%含有しそして165℃以上のガラス転移点温度を有し、
(B)90℃で500時間無荷重下で熱処理したときの熱収縮率が0.1%以下でありそして
(C)下記式(1)、(2)および(3)を同時に満足する
1≦R(450)/R(550)≦1.06 ・・・(1)
R(550) ≦ K(550) ・・・(2)
R(550)>20nm ・・・(3)
(ここで、R(450)およびR(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおけるこのフィルム面内位相差であり、そしてK(550)は波長550nmにおける下記式(4)
K= ((nx+ny)/2−nz)×d ・・・(4)
(ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれフィルムのx軸、y軸およびz軸方向の屈折率でありそしてdはフィルムの厚み(nm)である、)
で定義される値(nm)である、)
を満足することを特徴とする二軸配向フィルムによって達成される。
【0033】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の上記二軸配向フィルムからなる位相差フィルム(二軸性位相差フィルムということがある)によって達成される。
【0034】
すなわち、本発明者らは、ハンドリングや延伸成形性の点で、前記ノルボルネン骨格等のかさ高い官能基を有するシクロポリオレフィンよりも優れた特性を有するポリカーボネートを、垂直配向方式の如き液晶表示装置の位相差フィルムとして適用することをめざして、ポリカーボネート材料の分子構造および位相差フィルムの物性に着目し鋭意検討した結果、前記額縁問題を引き起こす原因の1つとして位相差フィルムの光弾性定数以外の制御因子が重要であることを見出しそしてさらに研究を進めた結果、ある程度光弾性定数が高くとも幾つかの他の因子、例えば使用するポリカーボネートの分子構造、ガラス転移温度、熱収縮率等を制御することにより、額縁現象を低減することができ、垂直配向方式の如き液晶表示装置の位相差フィルムとして充分に使用できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる位相差フィルムの材料である高分子は、フルオレン環を有する特定のポリカーボネートである。すなわち、下記式(I)
【0036】
【化9】
【0037】
で表される繰返し単位を、ポリカーボネートを構成する繰返し単位全体の30〜60モル%、好ましくは30モル%を超え60モル%以下を占めるポリカーボネートである。
【0038】
ここで上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜6の炭化水素−O−基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基である。該炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基の如きアルキル基、フェニル基の如きアリール基が挙げられる。この中で、R1とR3の一方が水素原子であり、他方がメチル基でありそしてR6とR8の一方が水素原子であり、他方がメチル基であるものが取り扱い性等に優れている。
【0039】
Xは下記式
【化10】
【0040】
で表される基(フルオレン成分)である。R30、R31は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはメチル基の如き炭素数1〜3のアルキル基である。nおよびmは0〜4の整数である。
【0041】
より好ましいポリカーボネート材料としては、上記式(I)で示される繰返し単位および下記式(II)
【0042】
【化11】
【0043】
で示される繰返し単位からなり、かつ上記式(I)および(II)の合計に基づき上記式(I)で表される繰返し単位は35〜60モル%を占める。
【0044】
上記式(II)において、R9〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜22の炭化水素基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、Yは下記式のそれぞれで表わされる基:
【0045】
【化12】
【0046】
よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基である。ここで、Y中のR17〜R19、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基、アリール基の如き炭素数1〜22の炭化水素基であり、R20およびR23はアルキル基、アリール基の如き炭素数1〜20の炭化水素基であり、また、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、フェニル基の如き炭素数6〜10のアリール基である。
【0047】
さらに好ましくは、上記ポリカーボネートは下記式(III)
【化13】
で示される繰返し単位が全繰返し単位の45〜55モル%と、下記式(IV)
【化14】
で示される繰返し単位が全繰返し単位の55〜45モル%を占めるポリカーボネートである。
【0048】
上記式(III)において、R24およびR25は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。好ましくは、R24とR25の両方がメチル基である。
【0049】
上記式(IV)においてR26とR27は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。好ましくは水素原子である。
【0050】
上記ポリカーボネートは、共重合体であっても、ポリマー混合物(ブレンド体、ブレンドポリマー)であってもよい。2種類以上の共重合体の組み合わせでもよく、2種類以上のホモポリマー同士あるいはホモポリマーと共重合体が混合されていてもよい。
【0051】
上記式(I)の繰返し単位が60モル%を超えた場合には、上記位相差波長分散特性を示す下記式(1)を満足することが困難となる場合がある。また、30モル%未満では、下記式(1)を満足することが困難であるばかりか、ガラス転移点温度も165℃以上のものを得ることも困難となる。本発明における額縁問題を解決するためにはガラス転移点温度が165℃以上であることが必要であり、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上である。なお、光学弾性定数は低いことが額縁問題を解決する上で好ましいが、ガラス転移点温度が低い場合には、やはり額縁現象が発生する場合がある。例えば、室温での光学弾性定数が約10×10−8cm2/N以下と低い値であっても、額縁現象が発生する場合がある。一方、本発明におけるフィルムは、同じ室温での光学弾性定数が約30×10−8cm2/N以上のものもあるが、それでも額縁現象を抑制することが可能である。上記式(I)の繰返し単位を有していても、ガラス転移点温度が165℃以上なければ額縁現象が問題となることがある。
【0052】
ここで上記モル比は共重合体、ブレンドポリマーに関わらず、高分子を構成するポリカーボネートバルク全体で、例えば核磁気共鳴(NMR)装置により求めることができる。
【0053】
上記した共重合体および/またはブレンドポリマーは公知の方法によって製造し得る。ポリカーボネートはジヒドロキシ化合物とホスゲンとの重縮合による方法、溶融重縮合法、固相重合法等により好適に製造される。ブレンドの場合は、相溶性ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくても成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、透明性を向上させることが可能である。
【0054】
ガラス転移点温度が165℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上という特性が、本発明の目的、すなわち額縁現象を抑えることのできる1つの重要な因子である理由は十分には分かっていない。また、額縁現象の原因も十分には分かっていない点が多いが、少なくとも応力による位相差フィルムの光学異方性の発現が一因であると考えられ、位相差フィルムを形成する高分子材料の分子鎖の運動に関連するものと考えられる。一般に液晶表示装置が使用される温度および製造工程で液晶表示装置上の位相差フィルムにかかる温度は、室温を中心に±50℃程度であるため、この装置使用および工程温度とガラス転移点温度が離れているほど、室温付近での分子運動性が低くなり、額縁現象が低減できるものと考えられる。ここでいう分子運動性とは高分子のクリープ現象等の巨視的な分子運動も含まれる。
【0055】
また、先述したように額縁現象の原因の一つは、位相差フィルムを形成する上記ポリカーボネート材料の分子運動に関連していると思われるので、その材料の分子量もある範囲内にあることが好ましい。分子量を表す極限粘度は、好ましくは0.4〜1.1dl/gであり、より好ましくは、0.5〜1.0dl/gである。額縁現象を引き起こすような高分子の分子運動性の観点からは極限粘度は高いほうが好ましいが、高すぎるとフィルムの成形性等に問題を生じたり、高分子重合工程での粘度上昇による量産性低下の問題を生じるので、上記範囲内に極限粘度を保つことが好ましい。
【0056】
本発明の配向フィルムは、例えばそれを与える未延伸フィルムを延伸により製造することができる。かかる未延伸フィルムの製造方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法等が用いられるが、膜厚むら、外観等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられる。溶液キャスト法における溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0057】
延伸方法としては、一軸延伸、二軸延伸等が挙げられる。
一軸延伸は縦、横延伸のいずれでもよく、また幅自由一軸延伸、幅固定一軸延伸のいずれでもよい。二軸延伸は逐次二軸、同時二軸延伸法のいずれでもよい。逐次二軸延伸は、縦延伸後横延伸を行なっても、また、横延伸後縦延伸を行なってもよい。
【0058】
フィルム中には延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のりん酸エステル、脂肪族二塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等を含有してもよい。延伸時には、先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留させ延伸してもよい。この有機溶剤の量としては配向フィルム構成材料に対し1〜20重量%であることが好ましい。
【0059】
本発明の配向フィルムは、90℃で500時間熱処理した後の熱収縮率が0.1%以下であることが必要である。その理由としては以下のように考えている。熱収縮は先述したように長時間における分子運動の結果であると考えられるから、熱収縮率が大きいフィルムの場合、フィルム単体であっても位相差が長期的に大きく変化する場合が想定される。また、フィルム自身の寸法変化は、粘着層を介して接しているガラスや他の光学フィルムとの間での応力を生じ、その結果、位相差変化を誘起し、額縁現象の発現に繋がると考えられる。本発明者らが鋭意検討した結果、先述した他の額縁現象を抑える因子に加えて90℃500時間熱処理した後の熱収縮率が0.1%以下であれば、額縁現象はさらに抑えられることが分かった。位相差フィルムに加わる実際の使用環境での温度は、特に液晶テレビや液晶モニターのような液晶表示装置においては、バックライトからの熱を考慮しても最大で80℃程度を考慮しておけば問題ないと推定される。すなわち90℃での定義は実使用環境での最高温度と推定される80℃に対して、10℃のマージンを考えて設定したものである。位相差フィルムにおいては、フィルム面内で熱収縮率を測定する方向によって値が異なる。具体的な測定方法は実施例に記載するが、フィルム面内で最も屈折率の大きい遅相軸方向の熱収縮率で規定するものとする。熱収縮率は好ましくは0.08%以下である。
【0060】
なお、例えばポリカーボネートのような非晶性高分子からなるフィルムは、一般に無配向の場合よりも配向させたフィルムの方が、熱収縮が大きい傾向がある。熱収縮を抑えるには、例えば材料や製法を工夫することが必要である。前記した特定のポリカーボネートは、配向させた後熱処理することにより、熱収縮が小さく寸法安定性に優れた材料であることは特筆すべき点である。
【0061】
また、本発明の配向フィルムは、さらに、下記式(1)
1≦R(450)/R(550)≦1.06 ・・・(1)
ここで、R(450)およびR(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおけるこのフィルム面内位相差である、
を満足する必要がある。例えば、R(550)≦K(550)である二軸配向フィルムを垂直配向モード液晶表示装置の位相差フィルムとして使用する場合、(1)の範囲を外れた場合には、視野角のカラーシフト特性が悪化するといった問題が生じる場合がある。
【0062】
垂直配向モードの液晶表示装置においては、電圧オフ時である黒表示時において液晶が略垂直に配向するため、これを光学的に補償し良好な視野角を得るために、本発明の二軸配向フィルムは、下記式(2)および(3):
R(550)≦K(550) ・・・(2)
R(550)>20nm ・・・(3)
ここで、R(550)の定義は上記式(1)に同じでありそしてK(550)は波長550nmにおける下記式(4)
K= ((nx+ny)/2−nz)×d ・・・(4)
ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれフィルムのx軸、y軸およびz軸方向の屈折率でありそしてdはフィルムの厚み(nm)である、
で定義される値(nm)である
を満足するのが好ましい。
【0063】
上記特性を満足する本発明配向フィルムは、位相差フィルムとして、垂直配向モードにおける液晶セル層および偏光板の光学補償を主として行うことができる。
【0064】
また、波長分散特性も垂直配向モードの液晶表示装置の光学補償の観点から重要な項目であるが、本発明の配向フィルムは、液晶の波長分散とのマッチングおよび偏光フィルムの視野角補償の観点から、上記式(1)を満たすものであることが必要であり、より好ましくは、下記式(1’)
1≦R(450)/R(550)≦1.05 ・・・(1’)
を満足する。
【0065】
特に、円偏光を発生する円偏光フィルムを用いた垂直配向モードの液晶表示装置においては上記式(1)を、好ましくは上記式(1’)を満足することが好ましい。円偏光を発生する円偏光フィルムとは、偏光フィルムの偏光軸と、位相差フィルムの遅相軸を45°または135°付近に設定し、位相差フィルムの面内位相差をおよそ4分の1波長にしたものを言う。一般に、STN方式に用いられる位相差フィルムにおいては、R(450)/R(550)が上記式(1)で規定されるものよりも大きいもの(1.06より大きい)が好ましいことが知られている。これはSTN方式の場合の位相差フィルムは液晶セルの色補償だけを主として考えているため、液晶セル中の液晶の波長分散に等しいことが求められることに対応する。一方、垂直配向方式では、液晶セルの視野角補償と偏光板の視野角補償を同時に行う場合が多いが、特にその場合においては上記式(1)を満たすことが好ましい。
【0066】
さらに、下記式(5),(6)を満足する場合には、K(550)が大きいことから一般に垂直配向モード液晶表示装置の視野角補償をフィルム1枚で行うことが可能となる場合があり、好ましい特性である。
20nm<R(550)<160nm (5)
150nm<K(550)<300nm (6)
この場合、大きなR,K値を有していることから、より一層の熱による大きな異方性変化等からの額縁問題が懸念されるが、この場合でも前記した(A),(B)そして(C)の条件を満足すれば、額縁問題の懸念無く液晶表示装置にて使用することが可能となる。
【0067】
本発明の二軸配向フィルムは、上記したとおり、二軸延伸により製造することができるが、延伸後に熱処理を行うことにより、熱収縮率を減じて効果的に熱収縮率0.1%以下を達成できることが明らかとなった。延伸後の熱処理条件としては、配向フィルムのガラス転移点温度の−50℃〜+30℃の範囲であることが好ましく、また、位相差フィルムではある程度の大きさの位相差値が必要であるが、一般に、延伸によりなされた配向構造は熱処理により通常緩和して位相差値が減少することが多い。本発明によれば、これを抑えるために、延伸倍率をそのままで、あるいはわずかに減ずるといった状態であることが好ましい。具体的にこの延伸倍率の減ずる程度は直前の延伸倍率の0〜30%、より好ましくは1〜20%である。また、熱処理時間としては、熱処理温度にも依存するが、1〜200秒の間であることが好ましい。前記延伸の熱処理には、例えば連続の横延伸であれば、延伸工程中の最後に延伸倍率を減じて熱処理することも含む。
【0068】
また、額縁現象をより効果的に抑制するためには、90℃500時間熱処理した後のR(550)の変化が±3nm以下であることが好ましい。より好ましくは±2nm以下である。この評価では配向フィルムは単体での物性変化であるが、この値が大きいとやはり額縁現象が生じる場合がある。このR(550)変化を抑制する1つの手段としては、前記の延伸後の熱処理方法がある。
【0069】
上記したように、本発明の配向フィルムのための未延伸フィルムは溶液キャスト法により作製されることが好ましいが、その場合、熱収縮を抑える観点から、配向フィルム中の残留溶媒量は0.9重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.7重量%以下である。
【0070】
配向フィルムの高分子材料の吸水率は1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以下、さらに好ましくは、0.5重量%以下である。吸水率が高い高分子を用いた場合には、湿熱試験において額縁現象が顕著に見られる場合がある。
【0071】
位相差フィルムとしての本発明の二軸配向フィルムは、生産性の観点から、フィルム幅方向に対して平行方向にフィルム面内の遅相軸が存在しているロール状の形態にできるフィルムであることが好ましい。垂直配向モードの液晶表示装置においては、偏光フィルムの透過軸と位相差フィルムの遅相軸を垂直または平行にして粘着層を介して積層して使用する場合がある。広く一般に使用されているヨウ素を用いた偏光フィルムは、連続縦一軸延伸プロセスによって作られるため、一般にロールの流れ方向と垂直方向に透過軸がある。従って、前記した垂直配向モードの液晶表示装置において、偏光フィルムの透過軸と位相差フィルムの遅相軸を平行にして使用する場合、偏光フィルムと位相差フィルムをロールツウロール方式で粘着層を介して貼合して、積層偏光フィルムを製造できれば、非常に生産性がよくなる。これを実現するためには、ロール状の位相差フィルムの遅相軸が、フィルムの幅方向にあることが必要である。
【0072】
本発明の配向フィルムは透明であることが好ましく、ヘーズ値は3%以下、好ましくは1%以下、全光線透過率は85%以上、好ましくは90%以上である。
【0073】
かかる配向フィルム中にはさらに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0074】
本発明の配向フィルムの膜厚は、1μmから400μmであることが好ましい。なお、本発明における配向フィルムおよび位相差フィルムは「シート」、「板」といわれるいずれのものも含む意味で用いられている。膜厚と額縁現象の関係についても検討した結果、膜厚の薄い方が額縁現象を抑えることに有効であることが分かった。ただし、フィルムのハンドリングを含めて考えると、膜厚は10〜70μmが好ましく、より好ましくは20〜60μm、さらに好ましくは25〜50μmである。
【0075】
位相差フィルムには一般に斜めからの入射光に対しては、正面入射光と比較して異なる位相差値を与えることが知られている。ここで高分子材料の三次元屈折率とは、nx,ny,nzで表され、それぞれの定義は、
nx:位相差フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:位相差フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:位相差フィルム表面の法線方向の屈折率
とする。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の主配向方向を指す。本発明では面内の屈折率最大方位をnx方位(遅相軸)と称する。なお、本発明では位相差値Rはnx,ny,フィルム膜厚d(nm)を用いて、R=(nx−ny)×d(nm)と表現される。本発明における二軸配向とは、この3つの三次元屈折率がすべて異なるものと定義する。
【0076】
この三次元屈折率は、位相差フィルムに偏光を入射して得られる出射光の偏光状態を解析する手法である偏光解析法により測定されるが、本発明では位相差フィルムの光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折率を求めている。この三次元屈折率は使用する光源の波長依存性があるので、使用する光源波長で定義することが好ましい。
【0077】
また、本発明の位相差フィルムは、光学補償フィルムで補償されたベンド配向セル、垂直配向セル、インプレインスイッチングモードセル、ツイストネマチックセル、コレステリックモードセル等あらゆる液晶セルに対して、光学補償を行なうことが可能である。さらに、液晶プロジェクター等の中で用いられる光学フィルムとして用いることも出来る。
【0078】
次に、添付図面を参照しつつ、本発明の配向フィルムを位相差フィルムとして使用する具体例を、垂直配向モードの液晶表示装置について説明する。
【0079】
図1は二軸配向フィルムを2枚使用する場合である。図1中、1は偏光板、2は二軸配向フィルム、3は垂直配向液晶セル、4は二軸配向フィルム、5は偏光板そして6はバックライトである。図中2、4は同じ光学特性のフィルムであることが好ましい。また、二枚の偏光板の透過軸は直交するように配置し、二軸配向フィルムの遅相軸と偏光板の透過軸は平行であることが好ましい。この場合は、液晶層、偏光板の視野角補償をこの2枚で行うことが特徴である。
【0080】
図2は二軸配向フィルムを一枚使用する場合である。図2中、13は偏光板、14は垂直配向液晶セル、15は二軸配向フィルム、16は偏光板そして17はバックライトである。また、二枚の偏光板の透過軸は直交するように配置し、二軸配向フィルムの遅相軸と偏光板の透過軸は平行であることが好ましい。液晶層と偏光板の視野角補償を1枚のフィルムで行うことが特徴である。前記二枚使用の場合の光学特性を満足することが好ましく、特に好ましくは前記式(5)、(6)を満足することである。
【0081】
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置中に、複数枚用いてもよく、さらに他の位相差フィルム、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、セルロースアセテートからなる位相差フィルムや、高分子液晶を基板に塗布したもの、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、ディスコチック液晶、ライオトロピック液晶を配向硬化させたもの等と組み合わせて用いてもよい。また、それらの組み合わせは液晶表示装置の中で、あるいは偏光フィルムと組み合わせて行なってもよい。
【0082】
これらを満足した本発明の位相差フィルムを垂直配向モードの液晶表示装置に利用することにより、視野角特性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【0083】
また、液晶表示装置だけでなく、有機エレクトロルミネッセンス素子、プラズマディスプレイ、電界発光素子、CRT等の発光素子や電気泳動素子、プロジェクターの光学エンジン、光ピックアップ、撮像素子、光演算素子、光記録再生装置、光記録再生媒体等に用いられる位相差フィルムとして好適に用いることができる。
【0084】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(評価法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
【0085】
(1)位相差値(R=Δn・d(nm))、K値の測定
複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値およびNzは、分光エリプソメータである日本分光(株)製の商品名『M150』により測定した。R値は入射光線とフィルム表面が直交する状態で測定した。また、K値(nm)は入射光線とフィルム表面の角度を変えることにより、各角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッチングすることにより三次元屈折率であるnx,ny,nzを求め、下記式(4)に代入することにより求めた。
K=((nx+ny)/2−nz)×d (4)
(nx、ny、nzおよびdの定義は前記と同じである)
【0086】
(2)吸水率の測定
乾燥させたフィルムの状態で膜厚を130±50μmとした以外は、JIS K 7209記載の『プラスチックの吸水率および沸騰吸水率試験方法』に準拠して測定した。試験片の大きさは50mm正方形で、水温25℃、24時間サンプルを浸水させた後、重量変化を測定した。単位は%である。
【0087】
(3)高分子のガラス転移点温度(Tg)の測定
TA Instruments社製の『DSC2920 ModulatedDSC』により測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレークスまたはチップの状態で測定した。
【0088】
(4)フィルム膜厚測定
アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
【0089】
(5)高分子共重合比の測定
日本電子社製の『JNM−alpha600』のプロトンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出した。
【0090】
(6)熱収縮率の測定
フィルムの遅相軸方向に平行に150mm、それに直角な方向を10mmとした短冊状サンプルを3枚切り出した。そして3つのサンプルについて150mmの長さ方向に、熱収縮率測定のための標点を、100mmの間隔でつけた。それらサンプルを90℃の高温槽にて張力がかからないように500時間熱処理し、室温に取り出し24時間冷却した後、標点間隔を測定した。寸法の測定は室温にて23℃にて読み取り顕微鏡を用いて実施した。熱収縮率は下記式(22)により求め、上述の3サンプルの平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)
=|((処理前の寸法)−(処理後の寸法))/(処理前の寸法)|×100(22)
【0091】
(7)位相差フィルム中の残留溶媒の測定
位相差フィルム約5gを採取し、230℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた前後の重量変化率から求めた。
【0092】
(8)高分子の極限粘度の測定
ウベローデ粘度管を用い、メチレンクロライド中20℃で極限粘度を求めた。
【0093】
(9)額縁現象の観察
偏光フィルムとしては市販の(株)サンリッツ製のHLC2−5618を用い、偏光フィルム(0°)/位相差フィルム(0°)/ガラス/偏光フィルム(90°)の構成を粘着層を介して貼り合わせ、テストサンプルとした。なお、()内の角度は、偏光フィルムは透過軸を、位相差フィルムは遅相軸の面内貼合角度を記す。このテストサンプルを位相差フィルム側を上側としてバックライト上に配置し、光漏れを観測することにより額縁現象を暗室にて観察した。サイズは291mm×362mmである。テストサンプルは貼合した後、50℃にて15分間加圧下で熱処理した。その後室温に戻し24時間後に温度23℃の環境下でテストサンプルを観測した。この観測を初期評価と称する。そして、さらに60℃の高温槽にテストサンプルを投入し、500時間後に取り出して、再び室温で24時間放置後室温23℃の環境下で額縁現象を観察した。この500時間後の観測を500時間後評価と称する。額縁現象の観測はこの初期と500時間後で実施するが、前記した構成から偏光フィルムが直交されているので額縁現象が出ない良好なものは全面黒表示となるが、額縁現象が強く出るものは、テストサンプルの四隅に光漏れが発生する。ミノルタ(株)製の輝度計LS110を用いて、サンプル鉛直方向から輝度を測定した。測定点は四隅から約2cmのところを測定し、この4点の平均を四隅輝度とした。また、中央を1点測定し、これを中央輝度とした。さらに、約20ルクスの照度環境下にて、目視で500時間後の額縁現象を観測し、額縁現象が見えるものをNG、観測困難なものをOKと表では記している。
【0094】
(10)R(550)変化
測定波長550nmにおける位相差値R(550)の90℃500時間後の変化を観測した。評価結果は表1で|(初期値)−(500時間後)|の値で表現している。
【0095】
また、以下の実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を以下に記す。
【化15】
【0096】
[実施例1]
ポリカーボネートの重合は公知のホスゲンを用いた界面重縮合法によって行われた。攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液およびイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[D]を表1のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比は表1のモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
【0097】
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度18重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムの残留溶媒量は0.8重量%であった。さらにこのフィルムを温度212℃で縦一軸延伸機にて1.4倍に延伸した後、温度225℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を1.95倍に減じて温度225℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0098】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0099】
また、この額縁試験に際して、ロール状の偏光フィルムとロール状の該二軸配向位相差フィルムの貼合を、偏光フィルムの透過軸(長手方向と直交方位)と二軸配向位相差フィルムの遅相軸が平行になるようにロールツウロールで粘着層を介して貼合させた。この貼合品の額縁試験も実施したが、前記結果と同様に額縁現象は問題ないレベルであった。
【0100】
次にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。この市販の液晶表示装置は、位相差フィルムが液晶セルを挟んで上下に各1枚ずつ使用されている。この位相差フィルムを剥がして、先述した二軸配向位相差フィルムを偏光フィルムの透過軸と二軸配向位相差フィルムの遅相軸を平行にして貼合した。なお、偏光フィルムの貼合角度は、市販品の状態と同じにした。目視にて視野角を確認したところ、より視野角が広がり、特に視野角のカラーシフトが顕著に抑制できることが分かった。
【0101】
[実施例2]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度214℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度227℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を1.95倍に減じて温度227℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。
【0102】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0103】
[実施例3]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度233℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度240℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を減じることなく温度245℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。
【0104】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0105】
[実施例4]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込量とほぼ同等であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度169℃で縦一軸延伸機にて1.6倍に延伸した後、温度170℃で横一軸テンター延伸機にて2.2倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を2.15倍に減じて温度171℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0106】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0107】
また、この額縁試験に際して、ロール状の偏光フィルムとロール状の該二軸配向位相差フィルムの貼合を、偏光フィルムの透過軸(長手方向と直交方位)と二軸配向位相差フィルムの遅相軸が平行になる様に粘着層を介して貼合させた。この貼合品の額縁試験も実施したが、前記結果を同様に額縁現象は問題ないレベルであった。
【0108】
次にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。この市販の液晶表示装置は、位相差フィルムが液晶セルを挟んで上下に各1枚ずつ使用されている。この位相差フィルムを剥がし、先述した二軸配向位相差フィルムを偏光フィルムの透過軸と二軸配向位相差フィルムの遅相軸を平行にして観測者側の偏光板だけに貼合し、裏面側は偏光板だけの構成とした。なお、偏光フィルムの貼合角度は、市販品の状態と同じにした。目視にて視野角を確認したところ、より視野角が広がり、特に視野角のカラーシフトが顕著に抑制できることが分かった。
【0109】
[実施例5]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込量とほぼ同等であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度212℃で縦一軸延伸機にて1.9倍に延伸した後、温度225℃で横一軸テンター延伸機にて2.55倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を2.5倍に減じて温度226℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0110】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0111】
また、この額縁試験に際して、ロール状の偏光フィルムとロール状の該二軸配向位相差フィルムの貼合を、偏光フィルムの透過軸(長手方向と直交方位)と二軸配向位相差フィルムの遅相軸が平行になる様に粘着層を介して貼合させた。この貼合品の額縁試験も実施したが、前記結果を同様に額縁現象は問題ないレベルであった。
【0112】
[実施例6]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込量とほぼ同等であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度212℃で縦一軸延伸機にて1.8倍に延伸した後、温度225℃で横一軸テンター延伸機にて2.4倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を2.35倍に減じて温度226℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0113】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。なお、このフィルムは実施例5と光学的な異方性はほぼ同じであるが、延伸後の膜厚が81μmと延伸前のフィルムの膜厚を主として厚めに設定することで実施例5で得たフィルムよりも膜厚の厚いフィルムを得ている。額縁現象は問題ないレベルであるが、表3に示すように実施例5のフィルムよりもやや輝度の変化が大きい。実施例5と6の比較から、膜厚が薄い方が額縁問題解消に有利に働くことが分かった。
【0114】
[比較例1]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1とは乾燥条件を変えて製膜し、未延伸フィルムの残留溶媒量を3重量%とした。このフィルムを温度200℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度210℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表2にまとめる。
【0115】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は目視でも確認され、また、四隅での耐久試験後の輝度変化が大きいものであり、目的の二軸配向位相差フィルムは得られないことが分かった。
【0116】
[比較例2]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネートホモ重合体を得た。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度156℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度172℃で横一軸テンター延伸機にて1.7倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を1.65倍に減じて温度170℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表2にまとめる。
【0117】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は目視でも確認された。初期でも中央と四隅の輝度差が大きく、耐久試験後にはその輝度差はより大きくなってしまい、目的の二軸配向位相差フィルムは得られないことが分かった。
【0118】
[比較例3]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度166℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度172℃で横一軸テンター延伸機にて1.7倍に延伸した。位相差波長分散が前記式(1)を満足しないことが分かった。
【0119】
次に実施例4と同様にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。実施例4に比較して特に視野角のカラーシフトが大きく目的の位相差フィルムを得ることが出来なかった。
【0120】
[比較例4]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度242℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度246℃で横一軸テンター延伸機にて1.7倍に延伸した。このフィルムは光学特性が前記式(1)〜(3)を満足しないことが分かった。
【0121】
次に実施例1と同様にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。実施例1に比較して視野角が悪く目的の位相差フィルムを得ることが出来なかった。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、高分子に特定の構造を有するポリカーボネートを用い、かつ、特定の物性を付与した二軸配向フィルムとすることによって、ポリカーボネートの持つ成形性や耐衝撃性、破断の少なさ等のよさを生かしたままで、液晶表示装置、特に垂直配向モードの液晶表示装置において視角特性等が優れており、問題となる額縁現象もほとんど見られない、位相差フィルムを提供することが可能となる。本発明のこの位相差フィルムを液晶表示装置に、偏光フィルムとともに用いることにより、表示ムラの少ない、額縁問題がほぼ解消された液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の配向フィルムを位相差フィルムとして用いた垂直配向型液晶表示装置の一例の断面概略図である。
【図2】図2は、本発明の配向フィルムを位相差フィルムとして用いた垂直配向型液晶表示装置の他の例の断面概略図である。
【符号の説明】
1.偏光板
2.二軸配向フィルム
3.垂直配向液晶セル
4.二軸配向フィルム
5.偏光板
6.バックライト
13.偏光板
14.垂直配向液晶セル
15.二軸配向フィルム
16.偏光板
17.バックライト
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート系二軸配向フィルムおよび位相差フィルムに関する。さらに詳しくは、液晶表示装置等の位相差フィルムとして好適に用いられるポリカーボネート系二軸配向フィルムおよびその用途としての位相差フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
位相差フィルムは液晶表示装置のSTN(スーパーツイステッドネマチック)方式等に用いられ、色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用いられている。従来、色補償用の位相差フィルムの材料としてはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン等が用いられている。特に、視野角拡大用の位相差フィルム材料としては前記した材料に加えて高分子液晶、デイスコチック液晶等も用いられている。
【0003】
電圧オフの状態で基板に対してほぼ垂直に液晶が配向する垂直配向方式の液晶表示装置は、その高いコントラスト、広い視野角からすでにモニターやテレビ等での利用が開始されている。特に広い視野角を得るために位相差フィルムを用いることが重要であることは、非特許文献1に記載されている。
【0004】
ビスフェノールAを出発原料として作られるポリカーボネートホモ重合体からなる位相差フィルムは、すでに先述のSTN方式において広く利用されてきた。
【0005】
しかし、特に垂直配向方式の液晶表示装置は、STN方式よりもより高品位であることから、従来のSTN方式で用いられていたポリカーボネート材料を用いた位相差フィルムでは十分な表示品位が得られないといった問題があることが分かった。すなわち、ポリカーボネートホモ重合体を用いた位相差フィルムを偏光フィルムと貼り合わせる工程での応力、この工程で得られた積層偏光フィルムと液晶表示装置を貼り合わせる工程での応力あるいは高温下や高温多湿下の耐久試験時に発生する偏光フィルムの収縮応力等によって、該位相差フィルムの位相差値や光学軸の変化が発生し、その結果、液晶表示装置の画面、特に全面黒表示時の画面に輝度むらを引き起こし表示品位を劣化させてしまうといった問題点があることが分かった。この輝度むらの出現する場所は液晶表示装置のモードにも依存するが、特に液晶表示装置の画面の4辺の縁周辺で顕著に表れることが多い。それ故、以下、本特許明細書においてはこのような現象を額縁現象といい、この問題を額縁問題と称することにする。
【0006】
一方、位相差フィルムの材料としては、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリカーボネート等が知られている。
【0007】
しかしながら、セルロースアセテートを用いた位相差フィルムは、セルロースアセテートが吸水率が高い等の理由から分子配向の安定性に乏しいため、特に面内において高配向度を必要とする場合には使用することが困難であり、さらに同様の理由から面内において異方性のばらつきも抑えることも困難である。また、ノルボルネン骨格等の環状骨格を有するポリオレフィンでは、一般に光弾性定数は低いものの、固有複屈折も小さいことから、位相差フィルムとして必要な位相差を得るためには高倍率の延伸を必要とする。また、高いガラス転移点を得るためにノルボルネン骨格等のかさ高い分子構造を採用した結果、耐衝撃性、ハンドリング性、延伸性に乏しく、フィルムが割れやすくかつ破断が多いといった位相差フィルムとして使用する場合や生産性には多くの問題点がある。
【0008】
一方、芳香族系ポリカーボネートのうち、芳香環2つがある種の結合基を介して結合した芳香族ジヒドロキシ化合物(ビスフェノール)を用いたポリカーボネートは、適度な柔軟性が付与されかつ高いガラス転移点を有するといった利点がある。しかし、先述したようにSTNモードに広く用いられているビスフェノールA骨格を有するホモ重合体では、ハンドリング性や延伸性に問題はないものの、先述の額縁問題があり、高品位が要求される垂直配向方式の液晶表示装置に用いることは困難である。
【0009】
ポリカーボネートには多くの種類があり、またそれを位相差フィルムに適用した例も数多い。特許文献1および特許文献2には、ビスフェノールA骨格以外のジヒドロキシ成分を用いたポリカーボネートからなる位相差フィルムが提案されている。
【0010】
ポリカーボネートは脂肪族系と芳香族系の2つに分けられる。一般に脂肪族系ポリカーボネートは、光弾性定数が低いものの、ガラス転移点温度が低く、また生産性が悪いといった理由で位相差フィルム用の材料としては使用されていない。額縁現象の原因の一因は、偏光板の収縮により発生した応力が、位相差フィルムに粘着層を介して伝播し、位相差フィルムの位相差が変化することにより起きる。従って、光弾性定数のより低い位相差フィルムの方が、応力に対する位相差変化が小さくなるので、必要十分条件ではないが、好ましいと考えられる。他方、芳香族系ポリカーボネートは生産性もよく、また芳香環があることによりガラス転移点温度を高くすることが容易であり、先述したように実際に位相差フィルムとして用いられているが、光弾性定数が比較的大きいといった問題がある。芳香族ポリカーボネートフィルムの光弾性定数を下げる試みもすでに行なわれており、いくつかのホモ重合体、共重合体の提案がある。
【0011】
しかしながら、これら芳香族ポリカーボネートの場合には、理由は明確ではないが、おそらく芳香環の存在により、先述のノルボルネン骨格等のかさ高い官能基を有するポリオレフィンからなる市販の光学フィルム程度に光弾性定数を小さくすることは困難である。すなわち、ポリカーボネートはハンドリングの良さや、成形性の点で前記ポリオレフィンよりも優れるものの、特に高いガラス転移点温度を実現したままで光弾性定数を下げることが困難であると言う問題点を持っている。
【0012】
特許文献3には、下記式(a)
【化3】
【0013】
(ここで、R1〜R4は、水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基である、)
で表わされる構成単位および下記式(b)
【0014】
【化4】
【0015】
(ここで、Wは単結合、アルキリデン基、シクロアルキリデン基、フェニル置換アルキリデン基、スルホン基、スルフィド基またはオキシド基であり、R5とR6は水素原子、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜3のアルキル基でありそしてmとnは1〜4の整数である、)
で表わされる構成単位からなり、構成単位(b)の含有量が41〜95モル%である、高屈折率、低複屈折性ポリカーボネート樹脂が開示されている。また、同公報の実施例には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとビスフェノールAとを、前者:後者のモル比85/15(実施例1)、75/25(実施例2)および50/50(実施例3)で用いて、溶液重合法で製造したポリカーボネート(パウダー)を、塩化メチレンに溶解してフィルムを得たことが開示されている。しかしながら、同公報には、上記ポリカーボネートからの一軸または二軸配向フィルムについては何ら記載されていず、従ってまたこれらのフィルムからなる位相差フィルムについても何ら記載されていない。
【0016】
また、特許文献4には、下記式(c)
【化5】
【0017】
で表わされる繰返し単位を1モル%以上含有し、ガラス転移温度が160℃以上であるポリカーボネートからなり、80℃で500時間熱処理した後の熱収縮率が0.07%以下であり、超微小硬度計で測定した硬さが16kg/mm2以上であり、厚さが10〜200μmでありそして波長550nmにおける位相差(R(550))が式|R(550)|≦20nmを満足する、光学フィルムが開示されている。その実施例7には、下記式
【0018】
【化6】
【0019】
で表わされるビスフェノール化合物30モル%とビスフェノールA70モル%を用いて溶液重合法で製造したポリカーボネート共重合体をメチレンクロライドに溶解し、キャストフィルムを得、これを196℃で1.5倍に一軸延伸してR(550)が5.0nmの光学フィルムを得たことが開示されている。しかしながらその発明は面内位相差Rが小さい光学フィルムに関するものであり、本発明のようなRが20nm以上と大きな位相差値を有する二軸配向フィルムについては記載がない。ところで、面内の異方性R値や膜厚方向の異方性を表すK値が大きい場合には、分子配向度が高いことを示している。特に非結晶性高分子材料から成るフィルムにおいては、一般に結晶性高分子のように結晶化による寸法安定効果が働かないため、分子配向度が高いほど熱に対する寸法安定性が悪くなる、すなわち小さい熱収縮率を達成することは困難になる。つまり、仮に同じ高分子材料を用いても小さいR,K値を有するフィルムと大きなR,K値を有するフィルムでは熱収縮率は一般に異なる。
【0020】
【非特許文献1】
「1997 ソサイエティ フォー インフォメーション ディスプレイ インターナショナル シンポジウム ダイジェスト オブ テクニカル ペイパー(1997 Society for information display international symposium digestof technical papers)の1997年、845〜848頁」
【0021】
【特許文献1】
特開平7−246661号公報
【0022】
【特許文献2】
特開平6−82624号公報
【0023】
【特許文献3】
特開平6−25398号公報
【0024】
【特許文献4】
特開2001−318232号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶表示装置の位相差フィルムとして好適に用いられるポリカーボネート系二軸配向フィルムを提供することにある。
【0026】
本発明の他の目的は、特に垂直配向方式の液晶表示装置において求められる、様々な光学的異方性を有する位相差フィルムに好適に用いられるポリカーボネート系二軸配向フィルムを提供することにある。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、偏光フィルムの面積が大きいので前記額縁問題の解決が一層困難となる、表示面積が15インチ以上の大型液晶表示装置、特に垂直配向方式の大型液晶表示装置に用いて、額縁問題をほぼ解決することができ且つ優れた視野角特性をもたらすことができる位相差フィルムを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかとなろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(A)下記式(I)
【0029】
【化7】
【0030】
(ここで、R1〜R8は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜6の炭化水素−O−基よりなる群から選ばれる基であり、そしてXは下記式(1)−1
【0031】
【化8】
【0032】
で表わされる基であり、R30およびR31は、互いに独立に、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、そしてnおよびmは互いに独立に、0〜4の整数である、で表わされる基である、)
で表わされる繰返し単位を含有するポリマーまたはポリマー混合物からなり、ここで該ポリマーおよびポリマー混合物は上記式(I)で表される繰返し単位をそれぞれポリマーまたはポリマー混合物の全繰返し単位の30〜60モル%含有しそして165℃以上のガラス転移点温度を有し、
(B)90℃で500時間無荷重下で熱処理したときの熱収縮率が0.1%以下でありそして
(C)下記式(1)、(2)および(3)を同時に満足する
1≦R(450)/R(550)≦1.06 ・・・(1)
R(550) ≦ K(550) ・・・(2)
R(550)>20nm ・・・(3)
(ここで、R(450)およびR(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおけるこのフィルム面内位相差であり、そしてK(550)は波長550nmにおける下記式(4)
K= ((nx+ny)/2−nz)×d ・・・(4)
(ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれフィルムのx軸、y軸およびz軸方向の屈折率でありそしてdはフィルムの厚み(nm)である、)
で定義される値(nm)である、)
を満足することを特徴とする二軸配向フィルムによって達成される。
【0033】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の上記二軸配向フィルムからなる位相差フィルム(二軸性位相差フィルムということがある)によって達成される。
【0034】
すなわち、本発明者らは、ハンドリングや延伸成形性の点で、前記ノルボルネン骨格等のかさ高い官能基を有するシクロポリオレフィンよりも優れた特性を有するポリカーボネートを、垂直配向方式の如き液晶表示装置の位相差フィルムとして適用することをめざして、ポリカーボネート材料の分子構造および位相差フィルムの物性に着目し鋭意検討した結果、前記額縁問題を引き起こす原因の1つとして位相差フィルムの光弾性定数以外の制御因子が重要であることを見出しそしてさらに研究を進めた結果、ある程度光弾性定数が高くとも幾つかの他の因子、例えば使用するポリカーボネートの分子構造、ガラス転移温度、熱収縮率等を制御することにより、額縁現象を低減することができ、垂直配向方式の如き液晶表示装置の位相差フィルムとして充分に使用できることを見出し、本発明を完成したものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる位相差フィルムの材料である高分子は、フルオレン環を有する特定のポリカーボネートである。すなわち、下記式(I)
【0036】
【化9】
【0037】
で表される繰返し単位を、ポリカーボネートを構成する繰返し単位全体の30〜60モル%、好ましくは30モル%を超え60モル%以下を占めるポリカーボネートである。
【0038】
ここで上記式(I)において、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基および炭素数1〜6の炭化水素−O−基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基である。該炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基の如きアルキル基、フェニル基の如きアリール基が挙げられる。この中で、R1とR3の一方が水素原子であり、他方がメチル基でありそしてR6とR8の一方が水素原子であり、他方がメチル基であるものが取り扱い性等に優れている。
【0039】
Xは下記式
【化10】
【0040】
で表される基(フルオレン成分)である。R30、R31は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはメチル基の如き炭素数1〜3のアルキル基である。nおよびmは0〜4の整数である。
【0041】
より好ましいポリカーボネート材料としては、上記式(I)で示される繰返し単位および下記式(II)
【0042】
【化11】
【0043】
で示される繰返し単位からなり、かつ上記式(I)および(II)の合計に基づき上記式(I)で表される繰返し単位は35〜60モル%を占める。
【0044】
上記式(II)において、R9〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜22の炭化水素基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、Yは下記式のそれぞれで表わされる基:
【0045】
【化12】
【0046】
よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基である。ここで、Y中のR17〜R19、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基、アリール基の如き炭素数1〜22の炭化水素基であり、R20およびR23はアルキル基、アリール基の如き炭素数1〜20の炭化水素基であり、また、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、フェニル基の如き炭素数6〜10のアリール基である。
【0047】
さらに好ましくは、上記ポリカーボネートは下記式(III)
【化13】
で示される繰返し単位が全繰返し単位の45〜55モル%と、下記式(IV)
【化14】
で示される繰返し単位が全繰返し単位の55〜45モル%を占めるポリカーボネートである。
【0048】
上記式(III)において、R24およびR25は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。好ましくは、R24とR25の両方がメチル基である。
【0049】
上記式(IV)においてR26とR27は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。好ましくは水素原子である。
【0050】
上記ポリカーボネートは、共重合体であっても、ポリマー混合物(ブレンド体、ブレンドポリマー)であってもよい。2種類以上の共重合体の組み合わせでもよく、2種類以上のホモポリマー同士あるいはホモポリマーと共重合体が混合されていてもよい。
【0051】
上記式(I)の繰返し単位が60モル%を超えた場合には、上記位相差波長分散特性を示す下記式(1)を満足することが困難となる場合がある。また、30モル%未満では、下記式(1)を満足することが困難であるばかりか、ガラス転移点温度も165℃以上のものを得ることも困難となる。本発明における額縁問題を解決するためにはガラス転移点温度が165℃以上であることが必要であり、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上である。なお、光学弾性定数は低いことが額縁問題を解決する上で好ましいが、ガラス転移点温度が低い場合には、やはり額縁現象が発生する場合がある。例えば、室温での光学弾性定数が約10×10−8cm2/N以下と低い値であっても、額縁現象が発生する場合がある。一方、本発明におけるフィルムは、同じ室温での光学弾性定数が約30×10−8cm2/N以上のものもあるが、それでも額縁現象を抑制することが可能である。上記式(I)の繰返し単位を有していても、ガラス転移点温度が165℃以上なければ額縁現象が問題となることがある。
【0052】
ここで上記モル比は共重合体、ブレンドポリマーに関わらず、高分子を構成するポリカーボネートバルク全体で、例えば核磁気共鳴(NMR)装置により求めることができる。
【0053】
上記した共重合体および/またはブレンドポリマーは公知の方法によって製造し得る。ポリカーボネートはジヒドロキシ化合物とホスゲンとの重縮合による方法、溶融重縮合法、固相重合法等により好適に製造される。ブレンドの場合は、相溶性ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくても成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、透明性を向上させることが可能である。
【0054】
ガラス転移点温度が165℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上という特性が、本発明の目的、すなわち額縁現象を抑えることのできる1つの重要な因子である理由は十分には分かっていない。また、額縁現象の原因も十分には分かっていない点が多いが、少なくとも応力による位相差フィルムの光学異方性の発現が一因であると考えられ、位相差フィルムを形成する高分子材料の分子鎖の運動に関連するものと考えられる。一般に液晶表示装置が使用される温度および製造工程で液晶表示装置上の位相差フィルムにかかる温度は、室温を中心に±50℃程度であるため、この装置使用および工程温度とガラス転移点温度が離れているほど、室温付近での分子運動性が低くなり、額縁現象が低減できるものと考えられる。ここでいう分子運動性とは高分子のクリープ現象等の巨視的な分子運動も含まれる。
【0055】
また、先述したように額縁現象の原因の一つは、位相差フィルムを形成する上記ポリカーボネート材料の分子運動に関連していると思われるので、その材料の分子量もある範囲内にあることが好ましい。分子量を表す極限粘度は、好ましくは0.4〜1.1dl/gであり、より好ましくは、0.5〜1.0dl/gである。額縁現象を引き起こすような高分子の分子運動性の観点からは極限粘度は高いほうが好ましいが、高すぎるとフィルムの成形性等に問題を生じたり、高分子重合工程での粘度上昇による量産性低下の問題を生じるので、上記範囲内に極限粘度を保つことが好ましい。
【0056】
本発明の配向フィルムは、例えばそれを与える未延伸フィルムを延伸により製造することができる。かかる未延伸フィルムの製造方法としては、公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法等が用いられるが、膜厚むら、外観等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられる。溶液キャスト法における溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0057】
延伸方法としては、一軸延伸、二軸延伸等が挙げられる。
一軸延伸は縦、横延伸のいずれでもよく、また幅自由一軸延伸、幅固定一軸延伸のいずれでもよい。二軸延伸は逐次二軸、同時二軸延伸法のいずれでもよい。逐次二軸延伸は、縦延伸後横延伸を行なっても、また、横延伸後縦延伸を行なってもよい。
【0058】
フィルム中には延伸性を向上させる目的で、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のりん酸エステル、脂肪族二塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等を含有してもよい。延伸時には、先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留させ延伸してもよい。この有機溶剤の量としては配向フィルム構成材料に対し1〜20重量%であることが好ましい。
【0059】
本発明の配向フィルムは、90℃で500時間熱処理した後の熱収縮率が0.1%以下であることが必要である。その理由としては以下のように考えている。熱収縮は先述したように長時間における分子運動の結果であると考えられるから、熱収縮率が大きいフィルムの場合、フィルム単体であっても位相差が長期的に大きく変化する場合が想定される。また、フィルム自身の寸法変化は、粘着層を介して接しているガラスや他の光学フィルムとの間での応力を生じ、その結果、位相差変化を誘起し、額縁現象の発現に繋がると考えられる。本発明者らが鋭意検討した結果、先述した他の額縁現象を抑える因子に加えて90℃500時間熱処理した後の熱収縮率が0.1%以下であれば、額縁現象はさらに抑えられることが分かった。位相差フィルムに加わる実際の使用環境での温度は、特に液晶テレビや液晶モニターのような液晶表示装置においては、バックライトからの熱を考慮しても最大で80℃程度を考慮しておけば問題ないと推定される。すなわち90℃での定義は実使用環境での最高温度と推定される80℃に対して、10℃のマージンを考えて設定したものである。位相差フィルムにおいては、フィルム面内で熱収縮率を測定する方向によって値が異なる。具体的な測定方法は実施例に記載するが、フィルム面内で最も屈折率の大きい遅相軸方向の熱収縮率で規定するものとする。熱収縮率は好ましくは0.08%以下である。
【0060】
なお、例えばポリカーボネートのような非晶性高分子からなるフィルムは、一般に無配向の場合よりも配向させたフィルムの方が、熱収縮が大きい傾向がある。熱収縮を抑えるには、例えば材料や製法を工夫することが必要である。前記した特定のポリカーボネートは、配向させた後熱処理することにより、熱収縮が小さく寸法安定性に優れた材料であることは特筆すべき点である。
【0061】
また、本発明の配向フィルムは、さらに、下記式(1)
1≦R(450)/R(550)≦1.06 ・・・(1)
ここで、R(450)およびR(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおけるこのフィルム面内位相差である、
を満足する必要がある。例えば、R(550)≦K(550)である二軸配向フィルムを垂直配向モード液晶表示装置の位相差フィルムとして使用する場合、(1)の範囲を外れた場合には、視野角のカラーシフト特性が悪化するといった問題が生じる場合がある。
【0062】
垂直配向モードの液晶表示装置においては、電圧オフ時である黒表示時において液晶が略垂直に配向するため、これを光学的に補償し良好な視野角を得るために、本発明の二軸配向フィルムは、下記式(2)および(3):
R(550)≦K(550) ・・・(2)
R(550)>20nm ・・・(3)
ここで、R(550)の定義は上記式(1)に同じでありそしてK(550)は波長550nmにおける下記式(4)
K= ((nx+ny)/2−nz)×d ・・・(4)
ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれフィルムのx軸、y軸およびz軸方向の屈折率でありそしてdはフィルムの厚み(nm)である、
で定義される値(nm)である
を満足するのが好ましい。
【0063】
上記特性を満足する本発明配向フィルムは、位相差フィルムとして、垂直配向モードにおける液晶セル層および偏光板の光学補償を主として行うことができる。
【0064】
また、波長分散特性も垂直配向モードの液晶表示装置の光学補償の観点から重要な項目であるが、本発明の配向フィルムは、液晶の波長分散とのマッチングおよび偏光フィルムの視野角補償の観点から、上記式(1)を満たすものであることが必要であり、より好ましくは、下記式(1’)
1≦R(450)/R(550)≦1.05 ・・・(1’)
を満足する。
【0065】
特に、円偏光を発生する円偏光フィルムを用いた垂直配向モードの液晶表示装置においては上記式(1)を、好ましくは上記式(1’)を満足することが好ましい。円偏光を発生する円偏光フィルムとは、偏光フィルムの偏光軸と、位相差フィルムの遅相軸を45°または135°付近に設定し、位相差フィルムの面内位相差をおよそ4分の1波長にしたものを言う。一般に、STN方式に用いられる位相差フィルムにおいては、R(450)/R(550)が上記式(1)で規定されるものよりも大きいもの(1.06より大きい)が好ましいことが知られている。これはSTN方式の場合の位相差フィルムは液晶セルの色補償だけを主として考えているため、液晶セル中の液晶の波長分散に等しいことが求められることに対応する。一方、垂直配向方式では、液晶セルの視野角補償と偏光板の視野角補償を同時に行う場合が多いが、特にその場合においては上記式(1)を満たすことが好ましい。
【0066】
さらに、下記式(5),(6)を満足する場合には、K(550)が大きいことから一般に垂直配向モード液晶表示装置の視野角補償をフィルム1枚で行うことが可能となる場合があり、好ましい特性である。
20nm<R(550)<160nm (5)
150nm<K(550)<300nm (6)
この場合、大きなR,K値を有していることから、より一層の熱による大きな異方性変化等からの額縁問題が懸念されるが、この場合でも前記した(A),(B)そして(C)の条件を満足すれば、額縁問題の懸念無く液晶表示装置にて使用することが可能となる。
【0067】
本発明の二軸配向フィルムは、上記したとおり、二軸延伸により製造することができるが、延伸後に熱処理を行うことにより、熱収縮率を減じて効果的に熱収縮率0.1%以下を達成できることが明らかとなった。延伸後の熱処理条件としては、配向フィルムのガラス転移点温度の−50℃〜+30℃の範囲であることが好ましく、また、位相差フィルムではある程度の大きさの位相差値が必要であるが、一般に、延伸によりなされた配向構造は熱処理により通常緩和して位相差値が減少することが多い。本発明によれば、これを抑えるために、延伸倍率をそのままで、あるいはわずかに減ずるといった状態であることが好ましい。具体的にこの延伸倍率の減ずる程度は直前の延伸倍率の0〜30%、より好ましくは1〜20%である。また、熱処理時間としては、熱処理温度にも依存するが、1〜200秒の間であることが好ましい。前記延伸の熱処理には、例えば連続の横延伸であれば、延伸工程中の最後に延伸倍率を減じて熱処理することも含む。
【0068】
また、額縁現象をより効果的に抑制するためには、90℃500時間熱処理した後のR(550)の変化が±3nm以下であることが好ましい。より好ましくは±2nm以下である。この評価では配向フィルムは単体での物性変化であるが、この値が大きいとやはり額縁現象が生じる場合がある。このR(550)変化を抑制する1つの手段としては、前記の延伸後の熱処理方法がある。
【0069】
上記したように、本発明の配向フィルムのための未延伸フィルムは溶液キャスト法により作製されることが好ましいが、その場合、熱収縮を抑える観点から、配向フィルム中の残留溶媒量は0.9重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.7重量%以下である。
【0070】
配向フィルムの高分子材料の吸水率は1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以下、さらに好ましくは、0.5重量%以下である。吸水率が高い高分子を用いた場合には、湿熱試験において額縁現象が顕著に見られる場合がある。
【0071】
位相差フィルムとしての本発明の二軸配向フィルムは、生産性の観点から、フィルム幅方向に対して平行方向にフィルム面内の遅相軸が存在しているロール状の形態にできるフィルムであることが好ましい。垂直配向モードの液晶表示装置においては、偏光フィルムの透過軸と位相差フィルムの遅相軸を垂直または平行にして粘着層を介して積層して使用する場合がある。広く一般に使用されているヨウ素を用いた偏光フィルムは、連続縦一軸延伸プロセスによって作られるため、一般にロールの流れ方向と垂直方向に透過軸がある。従って、前記した垂直配向モードの液晶表示装置において、偏光フィルムの透過軸と位相差フィルムの遅相軸を平行にして使用する場合、偏光フィルムと位相差フィルムをロールツウロール方式で粘着層を介して貼合して、積層偏光フィルムを製造できれば、非常に生産性がよくなる。これを実現するためには、ロール状の位相差フィルムの遅相軸が、フィルムの幅方向にあることが必要である。
【0072】
本発明の配向フィルムは透明であることが好ましく、ヘーズ値は3%以下、好ましくは1%以下、全光線透過率は85%以上、好ましくは90%以上である。
【0073】
かかる配向フィルム中にはさらに、フェニルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0074】
本発明の配向フィルムの膜厚は、1μmから400μmであることが好ましい。なお、本発明における配向フィルムおよび位相差フィルムは「シート」、「板」といわれるいずれのものも含む意味で用いられている。膜厚と額縁現象の関係についても検討した結果、膜厚の薄い方が額縁現象を抑えることに有効であることが分かった。ただし、フィルムのハンドリングを含めて考えると、膜厚は10〜70μmが好ましく、より好ましくは20〜60μm、さらに好ましくは25〜50μmである。
【0075】
位相差フィルムには一般に斜めからの入射光に対しては、正面入射光と比較して異なる位相差値を与えることが知られている。ここで高分子材料の三次元屈折率とは、nx,ny,nzで表され、それぞれの定義は、
nx:位相差フィルム面内における主延伸方向の屈折率
ny:位相差フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率
nz:位相差フィルム表面の法線方向の屈折率
とする。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の主配向方向を指す。本発明では面内の屈折率最大方位をnx方位(遅相軸)と称する。なお、本発明では位相差値Rはnx,ny,フィルム膜厚d(nm)を用いて、R=(nx−ny)×d(nm)と表現される。本発明における二軸配向とは、この3つの三次元屈折率がすべて異なるものと定義する。
【0076】
この三次元屈折率は、位相差フィルムに偏光を入射して得られる出射光の偏光状態を解析する手法である偏光解析法により測定されるが、本発明では位相差フィルムの光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折率を求めている。この三次元屈折率は使用する光源の波長依存性があるので、使用する光源波長で定義することが好ましい。
【0077】
また、本発明の位相差フィルムは、光学補償フィルムで補償されたベンド配向セル、垂直配向セル、インプレインスイッチングモードセル、ツイストネマチックセル、コレステリックモードセル等あらゆる液晶セルに対して、光学補償を行なうことが可能である。さらに、液晶プロジェクター等の中で用いられる光学フィルムとして用いることも出来る。
【0078】
次に、添付図面を参照しつつ、本発明の配向フィルムを位相差フィルムとして使用する具体例を、垂直配向モードの液晶表示装置について説明する。
【0079】
図1は二軸配向フィルムを2枚使用する場合である。図1中、1は偏光板、2は二軸配向フィルム、3は垂直配向液晶セル、4は二軸配向フィルム、5は偏光板そして6はバックライトである。図中2、4は同じ光学特性のフィルムであることが好ましい。また、二枚の偏光板の透過軸は直交するように配置し、二軸配向フィルムの遅相軸と偏光板の透過軸は平行であることが好ましい。この場合は、液晶層、偏光板の視野角補償をこの2枚で行うことが特徴である。
【0080】
図2は二軸配向フィルムを一枚使用する場合である。図2中、13は偏光板、14は垂直配向液晶セル、15は二軸配向フィルム、16は偏光板そして17はバックライトである。また、二枚の偏光板の透過軸は直交するように配置し、二軸配向フィルムの遅相軸と偏光板の透過軸は平行であることが好ましい。液晶層と偏光板の視野角補償を1枚のフィルムで行うことが特徴である。前記二枚使用の場合の光学特性を満足することが好ましく、特に好ましくは前記式(5)、(6)を満足することである。
【0081】
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置中に、複数枚用いてもよく、さらに他の位相差フィルム、例えば、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、セルロースアセテートからなる位相差フィルムや、高分子液晶を基板に塗布したもの、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、ディスコチック液晶、ライオトロピック液晶を配向硬化させたもの等と組み合わせて用いてもよい。また、それらの組み合わせは液晶表示装置の中で、あるいは偏光フィルムと組み合わせて行なってもよい。
【0082】
これらを満足した本発明の位相差フィルムを垂直配向モードの液晶表示装置に利用することにより、視野角特性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【0083】
また、液晶表示装置だけでなく、有機エレクトロルミネッセンス素子、プラズマディスプレイ、電界発光素子、CRT等の発光素子や電気泳動素子、プロジェクターの光学エンジン、光ピックアップ、撮像素子、光演算素子、光記録再生装置、光記録再生媒体等に用いられる位相差フィルムとして好適に用いることができる。
【0084】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(評価法)
本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
【0085】
(1)位相差値(R=Δn・d(nm))、K値の測定
複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値およびNzは、分光エリプソメータである日本分光(株)製の商品名『M150』により測定した。R値は入射光線とフィルム表面が直交する状態で測定した。また、K値(nm)は入射光線とフィルム表面の角度を変えることにより、各角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッチングすることにより三次元屈折率であるnx,ny,nzを求め、下記式(4)に代入することにより求めた。
K=((nx+ny)/2−nz)×d (4)
(nx、ny、nzおよびdの定義は前記と同じである)
【0086】
(2)吸水率の測定
乾燥させたフィルムの状態で膜厚を130±50μmとした以外は、JIS K 7209記載の『プラスチックの吸水率および沸騰吸水率試験方法』に準拠して測定した。試験片の大きさは50mm正方形で、水温25℃、24時間サンプルを浸水させた後、重量変化を測定した。単位は%である。
【0087】
(3)高分子のガラス転移点温度(Tg)の測定
TA Instruments社製の『DSC2920 ModulatedDSC』により測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレークスまたはチップの状態で測定した。
【0088】
(4)フィルム膜厚測定
アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
【0089】
(5)高分子共重合比の測定
日本電子社製の『JNM−alpha600』のプロトンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出した。
【0090】
(6)熱収縮率の測定
フィルムの遅相軸方向に平行に150mm、それに直角な方向を10mmとした短冊状サンプルを3枚切り出した。そして3つのサンプルについて150mmの長さ方向に、熱収縮率測定のための標点を、100mmの間隔でつけた。それらサンプルを90℃の高温槽にて張力がかからないように500時間熱処理し、室温に取り出し24時間冷却した後、標点間隔を測定した。寸法の測定は室温にて23℃にて読み取り顕微鏡を用いて実施した。熱収縮率は下記式(22)により求め、上述の3サンプルの平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)
=|((処理前の寸法)−(処理後の寸法))/(処理前の寸法)|×100(22)
【0091】
(7)位相差フィルム中の残留溶媒の測定
位相差フィルム約5gを採取し、230℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた前後の重量変化率から求めた。
【0092】
(8)高分子の極限粘度の測定
ウベローデ粘度管を用い、メチレンクロライド中20℃で極限粘度を求めた。
【0093】
(9)額縁現象の観察
偏光フィルムとしては市販の(株)サンリッツ製のHLC2−5618を用い、偏光フィルム(0°)/位相差フィルム(0°)/ガラス/偏光フィルム(90°)の構成を粘着層を介して貼り合わせ、テストサンプルとした。なお、()内の角度は、偏光フィルムは透過軸を、位相差フィルムは遅相軸の面内貼合角度を記す。このテストサンプルを位相差フィルム側を上側としてバックライト上に配置し、光漏れを観測することにより額縁現象を暗室にて観察した。サイズは291mm×362mmである。テストサンプルは貼合した後、50℃にて15分間加圧下で熱処理した。その後室温に戻し24時間後に温度23℃の環境下でテストサンプルを観測した。この観測を初期評価と称する。そして、さらに60℃の高温槽にテストサンプルを投入し、500時間後に取り出して、再び室温で24時間放置後室温23℃の環境下で額縁現象を観察した。この500時間後の観測を500時間後評価と称する。額縁現象の観測はこの初期と500時間後で実施するが、前記した構成から偏光フィルムが直交されているので額縁現象が出ない良好なものは全面黒表示となるが、額縁現象が強く出るものは、テストサンプルの四隅に光漏れが発生する。ミノルタ(株)製の輝度計LS110を用いて、サンプル鉛直方向から輝度を測定した。測定点は四隅から約2cmのところを測定し、この4点の平均を四隅輝度とした。また、中央を1点測定し、これを中央輝度とした。さらに、約20ルクスの照度環境下にて、目視で500時間後の額縁現象を観測し、額縁現象が見えるものをNG、観測困難なものをOKと表では記している。
【0094】
(10)R(550)変化
測定波長550nmにおける位相差値R(550)の90℃500時間後の変化を観測した。評価結果は表1で|(初期値)−(500時間後)|の値で表現している。
【0095】
また、以下の実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を以下に記す。
【化15】
【0096】
[実施例1]
ポリカーボネートの重合は公知のホスゲンを用いた界面重縮合法によって行われた。攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液およびイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[D]を表1のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比は表1のモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
【0097】
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度18重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムの残留溶媒量は0.8重量%であった。さらにこのフィルムを温度212℃で縦一軸延伸機にて1.4倍に延伸した後、温度225℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を1.95倍に減じて温度225℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0098】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0099】
また、この額縁試験に際して、ロール状の偏光フィルムとロール状の該二軸配向位相差フィルムの貼合を、偏光フィルムの透過軸(長手方向と直交方位)と二軸配向位相差フィルムの遅相軸が平行になるようにロールツウロールで粘着層を介して貼合させた。この貼合品の額縁試験も実施したが、前記結果と同様に額縁現象は問題ないレベルであった。
【0100】
次にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。この市販の液晶表示装置は、位相差フィルムが液晶セルを挟んで上下に各1枚ずつ使用されている。この位相差フィルムを剥がして、先述した二軸配向位相差フィルムを偏光フィルムの透過軸と二軸配向位相差フィルムの遅相軸を平行にして貼合した。なお、偏光フィルムの貼合角度は、市販品の状態と同じにした。目視にて視野角を確認したところ、より視野角が広がり、特に視野角のカラーシフトが顕著に抑制できることが分かった。
【0101】
[実施例2]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度214℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度227℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を1.95倍に減じて温度227℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。
【0102】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0103】
[実施例3]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度233℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度240℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を減じることなく温度245℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。
【0104】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0105】
[実施例4]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込量とほぼ同等であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度169℃で縦一軸延伸機にて1.6倍に延伸した後、温度170℃で横一軸テンター延伸機にて2.2倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を2.15倍に減じて温度171℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0106】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0107】
また、この額縁試験に際して、ロール状の偏光フィルムとロール状の該二軸配向位相差フィルムの貼合を、偏光フィルムの透過軸(長手方向と直交方位)と二軸配向位相差フィルムの遅相軸が平行になる様に粘着層を介して貼合させた。この貼合品の額縁試験も実施したが、前記結果を同様に額縁現象は問題ないレベルであった。
【0108】
次にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。この市販の液晶表示装置は、位相差フィルムが液晶セルを挟んで上下に各1枚ずつ使用されている。この位相差フィルムを剥がし、先述した二軸配向位相差フィルムを偏光フィルムの透過軸と二軸配向位相差フィルムの遅相軸を平行にして観測者側の偏光板だけに貼合し、裏面側は偏光板だけの構成とした。なお、偏光フィルムの貼合角度は、市販品の状態と同じにした。目視にて視野角を確認したところ、より視野角が広がり、特に視野角のカラーシフトが顕著に抑制できることが分かった。
【0109】
[実施例5]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込量とほぼ同等であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度212℃で縦一軸延伸機にて1.9倍に延伸した後、温度225℃で横一軸テンター延伸機にて2.55倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を2.5倍に減じて温度226℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0110】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。
【0111】
また、この額縁試験に際して、ロール状の偏光フィルムとロール状の該二軸配向位相差フィルムの貼合を、偏光フィルムの透過軸(長手方向と直交方位)と二軸配向位相差フィルムの遅相軸が平行になる様に粘着層を介して貼合させた。この貼合品の額縁試験も実施したが、前記結果を同様に額縁現象は問題ないレベルであった。
【0112】
[実施例6]
表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込量とほぼ同等であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度212℃で縦一軸延伸機にて1.8倍に延伸した後、温度225℃で横一軸テンター延伸機にて2.4倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を2.35倍に減じて温度226℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表1にまとめる。この二軸配向位相差フィルムの遅相軸は、横一軸延伸機の流れ方向に対して直交方向(主延伸方向)にある。
【0113】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は問題とならないレベルであることが分かった。なお、このフィルムは実施例5と光学的な異方性はほぼ同じであるが、延伸後の膜厚が81μmと延伸前のフィルムの膜厚を主として厚めに設定することで実施例5で得たフィルムよりも膜厚の厚いフィルムを得ている。額縁現象は問題ないレベルであるが、表3に示すように実施例5のフィルムよりもやや輝度の変化が大きい。実施例5と6の比較から、膜厚が薄い方が額縁問題解消に有利に働くことが分かった。
【0114】
[比較例1]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1とは乾燥条件を変えて製膜し、未延伸フィルムの残留溶媒量を3重量%とした。このフィルムを温度200℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度210℃で横一軸テンター延伸機にて2.0倍に延伸し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表2にまとめる。
【0115】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は目視でも確認され、また、四隅での耐久試験後の輝度変化が大きいものであり、目的の二軸配向位相差フィルムは得られないことが分かった。
【0116】
[比較例2]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネートホモ重合体を得た。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度156℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度172℃で横一軸テンター延伸機にて1.7倍に延伸した。なお、横一軸延伸機の最後の部分で倍率を1.65倍に減じて温度170℃で熱処理を10秒間実施し、二軸配向位相差フィルムを得た。このフィルムの特性評価結果を表2にまとめる。
【0117】
さらに、この二軸配向位相差フィルムの額縁試験を実施した。結果を表3にまとめる。該二軸配向位相差フィルムは表3に示すように額縁現象は目視でも確認された。初期でも中央と四隅の輝度差が大きく、耐久試験後にはその輝度差はより大きくなってしまい、目的の二軸配向位相差フィルムは得られないことが分かった。
【0118】
[比較例3]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度166℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度172℃で横一軸テンター延伸機にて1.7倍に延伸した。位相差波長分散が前記式(1)を満足しないことが分かった。
【0119】
次に実施例4と同様にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。実施例4に比較して特に視野角のカラーシフトが大きく目的の位相差フィルムを得ることが出来なかった。
【0120】
[比較例4]
表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に製膜した後、このフィルムを温度242℃で縦一軸延伸機にて1.3倍に延伸した後、温度246℃で横一軸テンター延伸機にて1.7倍に延伸した。このフィルムは光学特性が前記式(1)〜(3)を満足しないことが分かった。
【0121】
次に実施例1と同様にこの二軸配向位相差フィルムを、市販の垂直配向モードを利用した液晶モニターである富士通(株)製VL−151VAを用いて評価した。実施例1に比較して視野角が悪く目的の位相差フィルムを得ることが出来なかった。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
【表3】
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、高分子に特定の構造を有するポリカーボネートを用い、かつ、特定の物性を付与した二軸配向フィルムとすることによって、ポリカーボネートの持つ成形性や耐衝撃性、破断の少なさ等のよさを生かしたままで、液晶表示装置、特に垂直配向モードの液晶表示装置において視角特性等が優れており、問題となる額縁現象もほとんど見られない、位相差フィルムを提供することが可能となる。本発明のこの位相差フィルムを液晶表示装置に、偏光フィルムとともに用いることにより、表示ムラの少ない、額縁問題がほぼ解消された液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の配向フィルムを位相差フィルムとして用いた垂直配向型液晶表示装置の一例の断面概略図である。
【図2】図2は、本発明の配向フィルムを位相差フィルムとして用いた垂直配向型液晶表示装置の他の例の断面概略図である。
【符号の説明】
1.偏光板
2.二軸配向フィルム
3.垂直配向液晶セル
4.二軸配向フィルム
5.偏光板
6.バックライト
13.偏光板
14.垂直配向液晶セル
15.二軸配向フィルム
16.偏光板
17.バックライト
Claims (13)
- (A)下記式(I)
で表わされる繰返し単位を含有するポリマーまたはポリマー混合物からなり、ここで該ポリマーおよびポリマー混合物は上記式(I)で表される繰返し単位をそれぞれポリマーまたはポリマー混合物の全繰返し単位の30〜60モル%含有しそして165℃以上のガラス転移点温度を有し、
(B)90℃で500時間無荷重下で熱処理したときの熱収縮率が0.1%以下でありそして
(C)下記式(1)、(2)および(3)を同時に満足する
1≦R(450)/R(550)≦1.06 ・・・(1)
R(550) ≦ K(550) ・・・(2)
R(550)>20nm ・・・(3)
(ここで、R(450)およびR(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおけるこのフィルム面内位相差であり、そしてK(550)は波長550nmにおける下記式(4)
K= ((nx+ny)/2−nz)×d ・・・(4)
(ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれフィルムのx軸、y軸およびz軸方向の屈折率でありそしてdはフィルムの厚み(nm)である、)
で定義される値(nm)である、)
を満足することを特徴とする二軸配向フィルム。 - 上記式(I)で表される繰返し単位が全繰返し単位の30モル%を超える請求項1に記載のフィルム。
- 下記式(1’)
1≦R(450)/R(550)≦1.05 ・・・(1’)
(ここで、R(450)およびR(550)の定義は上記式に同じである、)
を満足する請求項1または2に記載のフィルム。 - ポリマーまたはポリマー混合物のガラス転移点温度が200℃以上である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- 90℃500時間無荷重下で熱処理した後のR(550)の変化が±3nm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
- フィルムの厚みが10〜70μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
- 非結晶性高分子材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
- 溶液キャスト法により作られ、かつフィルム中の残留溶媒量が0.9重量%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の位相差フィルム。
- 位相差フィルムである請求項1〜8のいずれかにに記載のフィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のフィルムおよび偏光フィルムが積層されてなる積層偏光フィルム。
- 偏光フィルムの透過軸とフィルムの面内の遅相軸が平行となるように積層されている請求項10に記載の積層偏光フィルム。
- 請求項9に記載の位相差フィルム、または請求項10または11に記載の積層偏光フィルムを備えた液晶表示装置。
- 垂直配向モードである請求項12に記載の液晶表示装置。
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