JP3808929B2 - プロピレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観が良好で、手切れ性に優れたプロピレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法に関する。詳しくは、従来セロファンが使用されていたセロファンテープ、薬包装などの用途、二軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムが使用されていた食品包装や繊維包装などの用途に使用が可能な、外観が良好で、かつ手切れ性および易開封性などに優れたプロピレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、手切れ性に優れたポリオレフィンフィルムとしては、二軸配向フィルム(BOフィルム)の上に幅方向一軸配向フィルム(UOフィルム)を積層する方法(例えば、実公昭50−44519、特公昭51−41154各号公報)や、二軸配向フィルムに電子線などの放射線を照射する方法(例えば、特開昭53−106779、特開平6−67599各号公報など)や3層構成の中間層に比較的分子量の低い(比較的低強度の)重合体を用いる方法(特開昭57−96858、同58−18261各号公報など)が知られている。
【0003】
しかしながら、従来の技術ではそれぞれ次のような問題が存在していた。すなわち二軸配向フィルムの上に横一軸配向フィルムを積層する方法では手切れ性が不十分であったり、フィルムがカールする問題があり、電子線照射法の場合、新たに装置が必要であったり、手切れ性が不十分である問題があった。さらに3層構成の中間層に比較的分子量の低い重合体を用いる方法では、中間層の粘度が低すぎてシートの成形性、延伸適性が劣り、安定的に満足なフィルムを生産することが難しい問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、外観が良好で手切れ性の優れた延伸フィルムを開発するために鋭意検討した結果、ある特定のフィルム構成からなり、特定のフィルム物性を有するプロピレン系樹脂積層フィルムが、外観が良好で、かつ手切れ性に優れることを、また、工業的に安定して該積層フィルムを製造できる方法を見いだし、本発明に至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は第1に、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層(I)およびプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Bからなる層(II)とが、(I)/(II)/(I)の順序に積層され、かつ、2軸延伸工程に付して得られた積層フィルムであって、該プロピレン系樹脂Bの135℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]が1.5を越え3.5以下であり、プロピレン系樹脂Aの融解温度TmAとプロピレン系樹脂Bの融解温度TmBが、ΔTm =TmA−TmB≧5℃の関係にあり、該積層フィルムの長手方向と幅方向の複屈折率が10×10-3以下であり、長手方向の引張破断点強度が100kg/cm2 以上1000kg/cm2 以下であり、かつ該積層フィルムの厚みムラが8%以下であるプロピレン系樹脂積層フィルムにある。
【0006】
また、本発明は第2に、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層(I)および該樹脂Aより低い融解温度を有しかつ135℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]が1.5を越え3.5以下のプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Bからなる層(II)とを、(I)/(II)/(I)の順序に積層したシートを2軸延伸工程に付してプロピレン系樹脂積層フィルムを製造する方法において、該シートを長手方向の延伸工程に付したのち、幅方向の延伸工程に付す際に、該幅方向の延伸工程をプロピレン系樹脂Aの融解温度以上の雰囲気の温度で実施することを特徴とするプロピレン系樹脂積層フィルムの製造方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本発明で用いられるプロピレン系樹脂Aは、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂であって、プロピレン単独重合体の他、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、等のC4-10のα−オレフィンとのランダム共重合体、またはブロック共重合体、およびそれらの混合物、更には、これらとフィルム成形の際のリサイクル樹脂(再使用樹脂)との混合物、等があげられるが、耐熱性、フィルムの腰の観点からプロピレン系樹脂Aの融解温度が154℃以上、特には156℃以上のものが好ましい。
【0008】
プロピレン系樹脂Bは、プロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂であって、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、等のC4-10のα−オレフィンとのランダム共重合体およびそれらの混合物があげられるが、プロピレンとエチレンおよび/またはブテン−1とのランダム共重合体が好ましい。また、上記プロピレン系樹脂Bは、フィルム成形の際のリサイクル樹脂がブレンドされていてもよく、または50wt%までの範囲でプロピレン単独重合体がブレンドされていてもよい。
【0009】
プロピレン系樹脂Aは、JIS K6758(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたメルトフローレート(MFR)が、各々、0.5〜30g/10分であるのが好ましく、0.8〜20g/10分がさらに好ましい。MFRが上記範囲を上回るとシート成形性、延伸性に劣り、MFRが上記範囲を下回ると押出成形時に押し出し負荷が高くなり、流動不良を招きやすくなり好ましくない。
また、プロピレン系樹脂Bは、135℃テロラリン溶媒での極限粘度[η]が1.5を越え3.5以下、好ましくは1.6以上3.0以下、特に好ましくは1.6以上2.8以下であることが好ましい。極限粘度が上記範囲を低く外れると安定生産が困難となり、高く外れると押出成形時の押し出し負荷が高くなり、流動不良を招き易くなり、また得られる積層フィルムの外観が悪化するので好ましくない。
【0010】
本発明においては、プロピレン系樹脂Aの融解温度TmA(詳細後記)とプロピレン系樹脂Bの融解温度TmB(詳細後記)が、ΔTm =TmA−TmB≧5℃の関係にあることが必要で、ΔTm が5〜40℃の範囲が好ましく、10〜30℃の範囲がさらに好ましい。ΔTm が40℃を越えると延伸成形性に劣り、5℃未満では手切れ性が不十分となる。
【0011】
プロピレン系樹脂Aからなる層(I)の合計厚みは15μ以下がカット性の観点から好ましい。層(I)の合計厚みが上記を越える場合、カット性が不十分となる。
本発明の積層フィルムの全層厚みに対する層(I)の合計厚みの比率は、特に制限はないが、全層厚みの50%以下、更に好ましくは30%以下、であることが、カット性の観点から好ましい。また、プロピレン系樹脂Bからなる層(II)の厚みは5〜100μ、好ましくは10〜80μ、特に好ましくは10〜60μである。
【0012】
層(I)の一層あたりの厚みは、必ずしもそれぞれ同じ厚みである必要はないが、積層フィルムのカールなどを考慮するとほぼ等しいことが好ましい。
本発明の積層フィルムは、プロピレン系樹脂Aからなる層(I)、およびプロピレン系樹脂Bからなる層(II)とが、(I)/(II)/(I)の順序に積層されている。
【0013】
また、(I)/(II)/(I)の3層フィルム以外に、(I)/(II)/(I)/(II)/(I)の5層フィルムおよび、(I)/(II)/(I)/(II)/(I)/(II)/(I)/・・・・・(II)/(I)の多層フィルムであってもよい。この場合、最終の多層フィルムの層(II)の合計厚みは、5〜100μ、好ましくは10〜80μ、であり、また層の(I)の合計厚みは15μ以下である。そして、最終の多層フィルムの厚みは、10〜115μ、好ましくは15〜80μである。
【0014】
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で(I)/(II)/(I)の各層の間に厚みが10μ以下、好ましくは5μ以下の、接着剤層、接着用樹脂層、リサイクル樹脂層(X)や、融点やMFRが(I)層の樹脂と(II)層の樹脂の中間的な樹脂層(Y)や、全く異なる樹脂の層(Z)を積層してあっても良い。
【0015】
更に、本発明においては、使用目的に応じて、上記3層フィルム、5層フィルム、又は多層フィルムの表面層に、厚み10μ以下、好ましくは5μ以下のヒートシール層を最外層として積層してあってもよい。該ヒートシール層を形成する樹脂としては、プロピレン系樹脂Aの融点より10℃以上、好ましくは15℃以上低い融点を有するプロピレンとエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、等のC4-10のα−オレフィンとのランダム共重合体、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、等のC3-10のα−オレフィンとのランダム共重合体、等が使用できる。
【0016】
もちろん(I)/(II)/(I)の各々の層(I)のプロピレン系樹脂Aは必ずしも同一樹脂である必要はなく、片一方の層(I)の樹脂をプロピレン系樹脂Aとした場合、もう一方の層(I)としてプロピレン系樹脂Aの記載範囲に含まれるプロピレン系樹脂A’を使用してもよい。この場合、上述の融解温度差ΔTmは、プロピレン系樹脂Aの融解温度TmA及びプロピレン系樹脂A’の融解温度TmA'について、それぞれΔTm =TmA−TmB≧5℃又はΔTm =TmA' −TmB≧5℃の関係にあることが必要である。
【0017】
本発明の積層フィルムは、長手方向と幅方向の複屈折率が10×10-3以下であることが必要で、8×10-3以下であることがカット性の観点からさらに好ましい。複屈折率が上記範囲を越えては満足な手切れ性が得られない。
本発明の積層フィルムは、長手方向の引張破断点強度が100kg/cm2 以上1000kg/cm2 以下であることが必要で、200kg/cm2 以上900kg/cm2 以下が好ましく、300kg/cm2 以上800kg/cm2 が特に好ましい。破断点強度が上記範囲を越えては、長手方向の手切れ性が不十分となり、上記範囲未満では強度が低くなり使用上問題がある。
【0018】
本発明の積層フィルムの幅方向の引張破断点強度は特に制限がないが、幅方向にも手切れ性が必要な場合、100kg/cm2 以上1200kg/cm2 以下であることが好ましく、200kg/cm2 以上1000kg/cm2 以下であることが更に好ましく、300kg/cm2 以上800kg/cm2 以下であることが特に好ましい。この場合、本発明の積層フィルムは、長手方向、幅方向、斜め方向のいずれの方向にも手切れ性があるフィルムとなる。
【0019】
本発明の積層フィルムのヤング率は特に制限がないが7000kg/cm2 以上が好ましく、長手方向のヤング率が7000kg/cm2 以上、幅方向のヤング率が10000kg/cm2 以上であることがさらに好ましい。
ヤング率が上記範囲未満では、腰が不十分でフィルムの取り扱い性が劣る。
本発明の積層フィルムは、厚みムラ(測定法の詳細は後述する)が8%以下であるが、好ましくは5%以下である。厚みムラが上記範囲にあると外観が優れたものとなり、巻き取り性、2次加工性が良好となる。
【0020】
本発明で用いられるそれぞれの樹脂には、ポリマー用の添加剤として公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、充填剤、過酸化物、造核剤などを含有させても良い。また、本発明の効果を阻害しない範囲で石油樹脂やゴムなどをブレンドしても良い。石油樹脂の例としては、石油の熱分解により得られるモノマーを触媒重合することにより得られる重合体、もしくはこの重合体の水素添加物をいい、一般にシクロペンタジエン、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ブタジエン、イソプレン、ピペリジン、ペンチレンのようなモノマーから構成される重合体が挙げられる。
【0021】
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。樹脂Aと樹脂Bとをそれぞれ2台または3台の押出機に供給し、(I)/(II)/(I)からなる3層のシートを作製する。ついで該シートを長手方向延伸機で3〜8倍長手方向の延伸工程に付したのち、例えば、好ましくはテンター方式で幅方向に5〜12倍の延伸工程に付し、本発明の積層フィルムを得る。ここで、更に熱セットの目的で熱処理を行うこともできる。
【0022】
従来、高融点の樹脂と低融点の樹脂を積層して長手方向に延伸後、テンター方式で幅方向に延伸する場合の幅方向の(テンターの)予熱・延伸温度は高融点の樹脂の融点と、低融点の樹脂の融点の中間温度で行われるのが一般的であったが、その場合、手切れ性が不十分で、良好なフィルムが得られなかった。また、予熱・延伸温度を低くして、幅方向の延伸を行った後、熱セットで中間層の配向を消す方法も知られているが外観不良を発生し易いため、良好なフィルムが得られ難い。
【0023】
本発明の積層フィルムを製造する場合の2軸延伸工程の最も好適な実施様態は、層(II)が融解した状態で幅方向に所定の延伸処理を行って、層(II)の配向を抑制する方法である。そのためには幅方向の延伸工程又は予熱・延伸工程の雰囲気の温度を高融点の樹脂の融解温度か、さらに高い温度、通常高融点樹脂の融解温度〜50℃高い温度、好ましくは、高融点樹脂の融解温度より5〜30℃高い温度の範囲に設定する必要がある。この様な幅方向の延伸処理条件を採ることにより、幅方向延伸時に中間層が融解し融解熱を奪うため、表面層は融解しない状態で延伸されることにより、外観が良好で表面層のみが配向し、中間層の配向が抑制され、手切れ性をもったフィルムが得られる。中間層の配向が抑制されていることは、逐次二軸延伸フィルムの長手方向と幅方向の複屈折率は、通常10×10-3を越える、例えば12×10-3以上であるのが一般的であるにもかかわらず、本発明の積層フィルムの複屈折率の値が10×10-3以下と小さいことから知ることができる。
【0024】
また、上記の方法で(I)/(II)/(I)からなる3層のシートを長手方向に3〜8倍の延伸工程に付したのち、得られた長手方向延伸シートの片面又は両面に、例えば、樹脂Aを10〜100μ積層したのち幅方向に5〜12倍の延伸工程に付すことで、手切れ性フィルムに方向性を付与することもできる。
更に、フィラーを含む熱可塑性樹脂を本発明の多層フィルムに積層して、筆記性を付与したり、プロピレン系ブロック共重合体を積層して不透明化したり、ヒートシール性樹脂を積層してヒートシール性を付与することも可能である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下実施例に制限されるものではない。
【0025】
【実施例】
実施例で示した数値は、以下の測定法により測定した。
(1)MFR
JIS K6758(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)融解温度
示差走査熱量計(DSCセイコ−電子工業(株)製RDC220)を用い、サンプル5mgを窒素気流下、200℃で一度溶融し、10℃/minで40℃まで降温して固化させた後、10℃/minで昇温するときに得られるDSC曲線において、80〜180℃の温度範囲でベースラインを引き、これから積分して得られる融解エンタルピーΔHを求め、この融解エンタルピーが50%を示す温度(1/2・ΔH)を融解温度Tmとした。
(3)極限粘度[η]
毛管粘度計を使用し135℃、テトラリン溶媒で測定した。
【0026】
(4)複屈折率
偏光顕微鏡にてコンペンセータを用いて測定したリターデーションから、フィルムの長手方向と幅方向の屈折率をそれぞれnMDとnTDとした場合の、|nTD−nMD|であらわされる複屈折率を測定した。
(5)破断点強度
JIS K6782に準拠して、幅15mmのフィルムをつかみ間100mm、引張速度200mm/minで引張試験を行い、破断点強度を測定した。
【0027】
(6)HAZE
JIS K7105に準拠して、フィルム1枚のHAZEを測定した。
(7)引張弾性率(ヤング率)
ISO R1184に準拠して、幅15mmのフィルムをつかみ間100mm、引張速度1mm/minにて引張り、フィルムの引張弾性率(ヤング率)を測定した。
【0028】
(8)手切れ性
手切れ性の評価は、フィルムを手で切るテストを10回行い、切れた回数から以下の様に表現した。
9回以上切れる場合を ◎
7〜8回切れる場合を ○
2〜6回切れる場合を △
0〜1回きれる場合を ×
【0029】
(9)フィルムの厚みムラ
▲1▼平均厚み(La)
フィルム1m2の重さを量り、JIS K7112に準じて測定したフィルム密度で除して、平均厚み(μm)とした。
▲2▼最大厚みと最小厚みの差(ΔLa)
フィルムを10mm幅に切り取り、そのフィルム断面を10mm幅全体に渡り光学顕微鏡、又は電子顕微鏡にて観察する。400倍の倍率で幅10mm全体を分割して写真に撮影する。その中で一番厚いところと、薄いところを写真から読みとりそれぞれ最大厚み(μm)、最小厚み(μm)とし、その差をΔL(μm)とした。
同様にして、任意の部分9箇所につきそれぞれΔLを求め、その平均値をΔLaとした。
▲3▼厚みムラ(L)
厚みムラは上記▲1▼から求めたLaと▲2▼から求めたΔLaとから以下式で求めた。
厚みムラ(L)=(ΔLa/2La)×100 (%)
【0030】
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂AとしてMFRが2.2g/10分のポリプロピレンホモポリマー(融解温度157.8℃)を、ポリプロピレン系樹脂Bとして極限粘度[η]が2.38(MFRが1.9g/10分)、エチレン含量3.3重量%のプロピレンーエチレンランダム共重合体(融解温度139.0℃)を使用し、3つの押出機からなる3樹脂3層が可能なT型ダイスから押出して樹脂A/樹脂B/樹脂Aからなる3層シートを成形した。続いてロールの周速差を利用して、延伸温度130℃にて長手方向に5.5倍延伸し、さらにテンターにて延伸温度168℃にて幅方向に10倍延伸し、160℃にて熱セットして厚さ5μ/25μ/5μの3層積層フィルムを得た。各種物性を表−1に示す。
得られたフィルムは外観が良好で、手切れ性に優れたフィルムであった。
【0031】
(実施例2、比較例1)
実施例1の樹脂A/樹脂B/樹脂Aの厚み構成を表−1記載のように変更した以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1のポリプロピレン樹脂Bとして極限粘度[η]が2.43(MFRが1.7g/10分)、エチレン含有量が2.4%のプロピレン−エチレンランダム共重合体(融解温度146.3℃)を使用した以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。
【0032】
(比較例2)
実施例1のポリプロピレン樹脂Bとして極限粘度[η]が2.34(MFRが2.1g/10分)、エチレン含有量が1.0%のプロピレン−エチレン共重合体(融解温度153.5℃)を使用した以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1のポリプロピレン樹脂Bとして極限粘度[η]が2.32(MFRが2.2g/10分)、エチレン含有量が3.3%のプロピレン−エチレンランダム共重合体(融解温度139.0℃)85%と石油樹脂(アルコンP125)15%の混合物を使用した以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。
【0033】
(比較例3、4、5)
実施例2のオーブン内のヨコ延伸温度を表−2記載のように変更した以外は、実施例2と同様に積層フィルムを得た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
(実施例5)
実施例1の積層フィルムの製造において、3層シートを成形した後、長手方向に5.5倍延伸した直後に、1つの押出機からなるT型ダイスから樹脂Cを押し出して、5.5倍延伸された3層シートと積層したこと以外は実施例1と同様にテンターで延伸、熱セットして、5μ/25μ/5μ/2μ(樹脂C)の4層積層フィルムを得た。この4層フィルムは実施例1と同様に外観が良好で、手切れ性に優れ、さらに片面ヒートシール性を有したフィルムであった。
ここで使用した樹脂Cは、三菱化学(株)製プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体樹脂 SPX4400(MFR6g/10分、融解温度130.8℃)である。
【0037】
(実施例6)
実施例5の樹脂Cを樹脂Dに変えた以外は実施例5と同様にして、5μ/25μ/5μ/2μ(樹脂D)の4層積層フィルムを得た。この4層フィルムは実施例1と同様な手切れ性を有し、さらに良好な艶消し表面、鉛筆描画性を有していた。
ここで使用した樹脂Dは、三菱化学(株)製プロピレン−エチレン−ブロック共重合体樹脂 BC4(MFR6.5g/10分、融解温度157.2℃)に、微細炭酸カルシウム(平均粒径1.5μ)を10wt%ブレンドしたものである。
【0038】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、従来セロファンが使用されていたセロファンテープ、薬包装などの用途に適し、従来のセロファンの問題点であった水分による寸法変化、水蒸気バリア性が低いなどの問題を解決でき、また、外観が良好で、更に従来、二軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムが使用されていた食品包装や繊維包装にも使用でき、手切れ性が良好な、即ち易開封性を付与することが可能である。
Claims (8)
- プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層(I)およびプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Bからなる層(II)とが、(I)/(II)/(I)の順序に積層され、かつ、2軸延伸工程に付して得られた積層フィルムであって、該プロピレン系樹脂Bの135℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]が1.5を越え3.5以下であり、プロピレン系樹脂Aの融解温度TmAとプロピレン系樹脂Bの融解温度TmBがΔTm =TmA−TmB≧5℃の関係にあり、該積層フィルムの長手方向と幅方向の複屈折率が10×10-3以下であり、長手方向の引張破断点強度が100kg/cm2 以上1000kg/cm2 以下であり、かつ該積層フィルムの厚みムラが8%以下である、プロピレン系樹脂積層フィルム。
- プロピレン系樹脂Aがプロピレン単独重合体または融解温度が154℃以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、プロピレン系樹脂Bがプロピレン−エチレンおよび/またはブテン−1ランダム共重合体である請求項1記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
- プロピレン系樹脂AのJIS−K6758(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定されたメルトフローレートが、0.5〜30g/10分の範囲である請求項1または2記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 積層フィルムの長手方向のヤング率が7000kg/cm2 以上、幅方向のヤング率が10000kg/cm2 以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 積層フィルムの幅方向の引張破断点強度が100kg/cm2 以上1200kg/cm2 以下である請求項1〜4のいずれか1項記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
- プロピレン系樹脂Aからなる層(I)の合計厚みが15μ以下である請求項1〜5のいずれか1項記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂積層フィルムを製造する方法において、
該2軸延伸工程は、長手方向の延伸工程とそののちの幅方向の延伸工程とからなり、
該幅方向の延伸工程をプロピレン系樹脂Aの融解温度Tm A 以上の雰囲気の温度で実施することを特徴とするプロピレン系樹脂積層フィルムの製造方法。 - 長手方向の延伸倍率が3〜8倍であり、幅方向の延伸倍率が5〜12倍である請求項7記載のプロピレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
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