JP2011128592A - 偏光板、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モアレ等の表示不良が低減され、画質の優れた液晶表示装置を構成することができる偏光板、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の偏光板1は、偏光フィルム2と、偏光フィルム2の表面に接着剤層
4を介して積層されたプリズムシート3と、を備え、プリズムシート3は、偏光フィルム2側の面とは反対側にプリズム成形面3aを有し、プリズム成形面3aは、第1の方向に延在する凸条のプリズム部32が第1の方向に直交する第2の方向に複数並設され、各々の前記プリズム部32は、第2の方向の断面において、互いに相似形状であるが、大きさが異なる少なくとも2種類の形状を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板に関し、より詳しくは液晶表示装置の液晶セルとバックライトとの間に配置される背面側偏光板として好適に用いられる偏光板に関する。また、本発明は、当該偏光板を用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶テレビ、液晶モニタ、パーソナルコンピュータなどに用いられる薄型の表示装置として用途が急拡大している。特に、液晶テレビの市場拡大は著しく、また、低コスト化の要求も非常に高い。
通常の液晶表示装置は、冷陰極管やLEDからなるバックライト、光拡散板、1つまたは複数の拡散シート、集光シート、および、偏光板が貼合された液晶パネルから構成されている。近年、壁掛け可能な大画面液晶テレビ用途などにおいて、液晶表示装置の薄型化の要求が顕在化しているが、この場合、液晶表示装置の薄型化に対応して、これに使用する部材の薄肉化、部材点数削減が必要となる。
このような要請に対し、液晶セルとバックライトとの間に配置される偏光板の片面に集光性を有するプリズムシートを直接接着する方法(たとえば特許文献1および2)や、液晶パネルのバックライト側に配置される偏光板の保護フィルムとして、集光性プリズムシートを用いる方法(たとえば特許文献2および3)により、1つまたは複数の部材を除き、部品点数を削減する技術が知られている。
特開平11−295714号公報 特開2008−262133号公報 特開2005−17355号公報
上記特許文献1〜3に記載されるような、プリズムシートを備える偏光板を用いた液晶表示装置においては、その表示上にしばしばモアレを生じる場合があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モアレ等の表示不良が低減され、画質に優れた液晶表示装置を得ることができる偏光板、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置を提供することにある。
本発明は、偏光フィルムと、当該偏光フィルムの表面に接着剤層を挟んで積層されたプリズムシートとを備え、プリズムシートは、偏光フィルム側の面とは反対側にプリズム成形面を有し、当該プリズム成形面は、第1の方向に延在する凸条のプリズム部が第1の方向に直交する第2の方向に複数並設され、各々のプリズム部は、第2の方向の断面において、互いに相似形状であるが、大きさが異なる少なくとも2種類の形状を有する、偏光板である。
本発明の上記偏光板において、複数の上記プリズム部の形状は、例えば次の条件を満たすものである。第2の方向に連続するN個のプリズム部が一つのプリズム群を構成し、異なる100組のプリズム群について、底部の第2の方向の長さの出現頻度分布での最大出現頻度が50回以下であり、Nは8から14の整数であり、上記出現頻度分布は、上記長さの最小値の1/100を集計単位とする。
本発明の上記偏光板は、上記プリズムシートのプリズム成形面において、一つのプリズム部の斜面の終点から隣り合う次のプリズム部の斜面の始点までの距離が、前記プリズム部の稜線の間隔(上記の一つのプリズム部と隣り合う次のプリズム部の稜線の間隔)に対して好ましくは30%以下である。
本発明の上記偏光板において、好ましくは、上記プリズムシートは、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体およびアクリロニトリル−スチレン系共重合体からなる群より選ばれる熱可塑性樹脂を含む樹脂材料からなる。
本発明の上記偏光板において、上記偏光フィルムの、上記プリズムシート側の面とは反対側の面に、好ましくは光学補償フィルムまたは保護フィルムが積層されている。
本発明の上記偏光板は、液晶表示装置の液晶セルとバックライトとの間に配置されて好適に用いられる。
また本発明は、液晶セルと、本発明の上記偏光板とが積層された液晶パネルであって、当該液晶セルと、上記偏光フィルムと、上記プリズムシートとがこの順で積層されている、液晶パネルである。
また本発明は、バックライトと、本発明の上記液晶パネルとを備え、上記液晶パネルは、上記プリズムシートのプリズム成形面が上記バックライトに対向するように配置されている、液晶表示装置である。
本発明の偏光板または液晶パネルを用いた液晶表示装置は、モアレ等の表示不良が抑制されており、表示品位に優れる。また、本発明によれば、偏光板、ならびにこれを適用した液晶パネルおよび液晶表示装置の薄肉化を達成することができる。本発明の偏光板または液晶パネルを用いた本発明の液晶表示装置は、大画面液晶テレビ用液晶表示装置、とりわけ壁掛け可能な液晶テレビ用液晶表示装置に好適に適用することができる。
本発明の偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。 プリズムシートのプリズム成形面の好ましい一例を示す概略斜視図である。 プリズムシートのプリズム部のランダム性の評価方法を説明する概略断面図である。 プリズムシートの製造方法を示すフローチャートである。 複数のプリズム部が表面に配列されたプリズムシートにつき、(A)はそのプリズム部が隙間なく形成されている形態、(B)はそのプリズム部間の谷部に平坦部を有する形態をそれぞれ示す概略拡大断面図である。 本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して本発明の偏光板、液晶パネル、および液晶表示装置について説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光フィルムと、該偏光フィルムの表面に接着剤層を挟んで積層されたプリズムシートとを備え、該プリズムシートは、該偏光フィルム側の面とは反対側にプリズム成形面を有し、該プリズム成形面は、第1の方向に延在する凸条のプリズム部が第1の方向に直交する第2の方向に複数並設されてなり、各々のプリズム部は、第2の方向の断面において、互いに相似形状であるが、大きさが異なる少なくとも2種類の形状を有する。
図1は、本発明の偏光板の好ましい一実施形態を示す概略断面図である。本実施形態の偏光板1は、偏光フィルム2と、偏光フィルム2の一方の面に接着剤層4を挟んで積層されたプリズムシート3とを備える。プリズムシート3は、偏光フィルム2側の面とは反対側にプリズム成形面3aを有する。偏光板1は、偏光フィルム2におけるプリズムシート3側の面とは反対側の面に、接着剤層6を挟んで積層された樹脂フィルム5をさらに備える。樹脂フィルム5は、光学補償フィルム、保護フィルム、または両方の機能を併せ持つフィルムである。
<偏光フィルム>
図1に示す偏光フィルム2は、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、上記したエチレンをはじめとするオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100モル%程度であり、98モル%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラール等も用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1000〜10000程度であり、好ましくは1500〜5000程度である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の適宜の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されるものではないが、たとえば10〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、上記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程(染色処理工程)、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程(ホウ酸処理工程)、および、このホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程(水洗処理工程)を経て、製造される。
また、偏光フィルムの製造に際し、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは一軸延伸されるが、この一軸延伸は、染色処理工程の前に行なってもよいし、染色処理工程中に行なってもよいし、染色処理工程の後に行なってもよい。一軸延伸を染色処理工程の後に行なう場合において、この一軸延伸は、ホウ酸処理工程の前に行なってもよいし、ホウ酸処理工程中に行なってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸は、周速の異なるロール間で一軸に延伸するようにしてもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸するようにしてもよい。また、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
染色処理工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行なわれる。二色性色素としては、たとえばヨウ素、二色性染料などが用いられる。二色性染料には、たとえば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾ化合物などからなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部であり、特に好ましくは1×10-3〜1×10-2重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
ホウ酸処理工程は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸処理工程に用いるホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。この場合、ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
続く水洗処理工程では、上述したホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、たとえば水に浸漬することによって水洗処理する。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗処理後は、通常、乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、たとえば熱風乾燥機、遠赤外線ヒータなどを用いて行なうことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
こうして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理および水洗処理を施して、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μmの範囲内である。本実施形態の偏光板1は、このような偏光フィルム2の表面に接着剤層4を挟んでプリズムシート3が積層された構造を備える。
<プリズムシート>
図2は、図1に示すプリズムシート3の概略斜視図である。図2においては、プリズム成形面3aの形状が確認しやすいように、プリズム成形面3aが上面となるように図示する。すなわち、図1に示す上下と反転して示す。プリズムシート3は、二つの平行な平面に挟まれた領域を構成するベース部31と、ベース部31の表面に並設されている複数のプリズム部32とからなる。
各プリズム部32は、y方向(第1の方向)に延在する凸条である。各プリズム部32は、x方向(第2の方向)の任意の断面が全て三角形の同一形状である。すなわち、各プリズム部32は、ある断面をy方向に移動させた軌跡と同一形状を有する。プリズム成形面3aにおいては、複数のプリズム部32がx方向に隙間なく並設されている。複数のプリズム部32同士は、x方向の断面の形が互いに相似形状であるが、大きさが異なる少なくとも2種類の形状を有し、大きさの異なるプリズム部の配置順序はランダムである。x方向とy方向とは互いに直交する。
図2に示されるプリズムシート3の凸条の各プリズム部32において、頂点の角度(頂角)は、10°以上120°以下の範囲にあるのが好ましく、さらに好ましくは30°以上100°以下の範囲である。底部のx方向の長さは、5μm以上300μm以下の範囲にあるのが好ましく、さらに好ましくは10μm以上100μm以下の範囲である。底部から頂点までの距離(高さ)は、10μm以上200μm以下の範囲にあるのが好ましく、さらに好ましくは15μm以上100μm以下の範囲である。プリズム部32は、x方向にプリズムシート3の大きさに応じて適宜の本数配列される。
プリズム部32の断面三角形形状における頂角を形成する二辺は、同じ長さであってもよいし、異なる長さを有していてもよい。また、プリズム部32の断面形状は、三角形形状のほか、一部に曲線を含む略三角形状、鋸歯形状などであってもよい。また、隣り合うプリズム部32の境界により形成される溝(隣り合うプリズム部32間に形成される谷部の底辺または平坦部(底面)を意味する)は、直線状であっても曲線状であってもよい。
次に、x方向の任意の断面における、複数のプリズム部32の断面の大きさのランダム性について、本実施形態の評価方法を説明する。
図3は、本実施形態のプリズムシート3の図2におけるx方向の任意の断面を示す概略図である。任意の断面において、連続したN個(Nは8以上の整数)のプリズム部32からなる群(プリズム群)をランダムに選び、その底部の長さL(図3の場合、プリズム群に属するプリズム部32の底部の長さの合計と同一である)を測定する。この操作を100回繰り返し、長さの出現頻度を求める。ただし、100回繰り返す際には、それぞれ異なるN個のプリズム部32の組み合わせからなるプリズム群を選ぶ。また、100回の測定結果のうち、最も小さい値の1/100を集計単位として、その集計単位の長さ毎に出現頻度を求める。すなわち、たとえば最小の長さが100μmであれば、各プリズム群の底部の長さLを、100μmの1/100である1μmを集計単位とし、1μm未満は四捨五入して、長さ100μm(100μm±0.5μm)のプリズム群の出現頻度、長さ101μm(101±0.5μm)のプリズム群の出現頻度、・・・の順に、最大長さのプリズム群の出現頻度まで順次算出する。
集計単位とする長さは、有効数字1桁でよい。たとえば、N個のプリズム部からなるプリズム群の底部の長さLの測定を、互いに異なる100個のプリズム群について繰り返したときに、最小の長さが380μmであれば、その1/100である4μm(有効数字1桁)を集計単位として、長さ380μm±2μmのプリズム群の出現頻度、長さ384μm±2μmのプリズム群の出現頻度、・・・の順に、最大長さのプリズム群の出現頻度まで順次算出すればよい。上述の出現頻度を求める操作を、Nが8以上14以下、すなわち、N=8〜14の各Nに対して実行する。
図3において、実線で表した矢印群は、N=8のプリズム群の底部の長さLの計測例の一部を示しており、一点鎖線で表した矢印群は、N=14のプリズム群の底部の長さLの計測例の一部を示している。実線及び一点鎖線の矢印で示しているように、各プリズム群の底部の長さLを測定する際に、たとえば最初に任意のN個(図3では、N=8または14)のプリズム部32を選び、その底部の長さLを測定し、1個ずつずらしながら100回計測を続ければ、互いに異なる、N個のプリズム部32からなる100組の群について計測ができる。ここでは、各測定に対してN個のプリズム部32からなる群を選択するように説明したが、予め、100組のプリズム群を選択しておき、その後各プリズム群に対して計測を実施する方法であってもよい。
こうして、図2に示すx方向(第2の方向)に連続するN個のプリズム部が一つのプリズム群を構成するように、異なる100個のプリズム群のそれぞれについて、底部のx方向(第2の方向)の長さを求め、その長さの最小値の1/100を集計単位として、長さの出現頻度分布を求めたときに、最大出現頻度が50回以下である。Nが8から14までの任意の整数である場合に、この条件を満たせばよいが、N=8〜14の全ての場合について、この条件を満たすのがより好ましい。
そこで、好適なプリズムシート3は、N=8〜14に対して計測したプリズム群の底部の長さLの出現頻度分布において、各Nについて最大出現頻度が好ましくは50回以下であり、さらに好ましくは30回以下である。当然ながら、複数のプリズム部32の断面の形及び大きさが全て同じ場合は、各Nについて最大出現頻度が100回になる。N=8〜14のいずれかの場合について、さらにはN=8〜14の全ての場合について、最大出現頻度が50回以下であると、プリズム成形面3aの形状のランダム性により、プリズムシートの周期性に起因するモアレ効果が十分に低減し得るので好ましい。なお、本発明に係るプリズムシート3においては、プリズム成形面3aの形状がランダム性を有する一方で、複数のプリズム部32の断面形状が互いに相似であるので、入射光が所望の方向に変わる(偏向される)ようにプリズムシート3を設計しやすい。
次に、プリズムシート3の製造方法の一例について説明する。図4は、プリズムシート3の製造方法のフローチャートを示す図面である。プリズムシート3の製造方法は、プリズム部32の配列パターンを生成する配列パターン生成工程S10と、配列パターン生成工程S10で生成した配列パターンに基づいてプリズムシート3を製造するプリズムシート製造工程S20とを有する。各工程S10、S20について説明する。
配列パターン生成工程S10では、x方向の断面における底部の長さの異なる複数のプリズム部32の断面形状の輪郭線に対応する、複数の基底パターンを用意する(準備工程S11)。各基底パターンは、プリズムシート3を構成した際に集光作用といった所望の光学特性を有するように設計してあればよい。なお、各基底パターンは互いに相似形状である。
次に、底部の長さの異なる複数の基底パターンのうちからランダムに一つの基底パターンを選択し、1〜n個(nは2以上の整数)からランダムに選択した個数だけ連続して第2の方向に配列する(配列工程S12)。
そして、配列工程S12の操作を順次繰り返す(繰り返し工程S13)。配列工程S12の繰り返しにおいては、繰り返された各配列工程12で複数の基底パターンからランダムに一つの基底パターンを選択する場合、一つ前に選択された基底パターン以外の基底パターンを選択する。
以上の配列工程S12の繰り返しにより、繰り返された配列工程S12毎にランダムに選択された基底パターンを、配列工程S12毎に選択された個数分、ランダムに並べることによって、底部の長さが異なる基底パターンの配列状態が決定される。底部の長さが異なる基底パターンは、プリズム部32の形状に対応していることから、配列工程S12の繰り返しによりプリズム部32の配列パターンが生成されることになる。
繰り返し工程S13は、並べられた基底パターンの底部の長さの合計が、所定の長さになったときに終了することができる。所定の長さとしては、作製すべきプリズムシート3の第2の方向の長さが例示される。また、配列工程S12における基底パターン及びその並置数のランダムな選択は、例えば乱数を用いて実行することができる。配列パターン生成工程S10は、コンピュータを利用して実行してもよいし、プリズムシート3の設計者が手作業で実行してもよい。プリズムシート3は、全体として所望の集光作用を有するように設計される。
次に、プリズムシート製造工程S20について説明する。上記のようなランダム性を有するプリズムシート3のプリズム部32は、相当する構造を有する金型を用い、1種または2種以上の樹脂材料を原料として射出成形、プレス成形、押出成形などの方法で形成することができる。また、1種または2種以上の樹脂材料からなる平坦なベース部31の片面に熱または光硬化性の樹脂材料を塗工し、相当する構造の金型を押し当てて硬化させる方法により得ることもできる。相当する構造の金型は、ホトリソグラフィー、グレースケールリソグラフィー、マイクロリソグラフィー、放電加工、及び硬質工具を用いるミクロ機械加工技術などの公知の方法、例えば、特開2005−234538号公報に記載の方法で製造することができる。
以上のように、ベース部31とプリズム部32とは一体的に成形することも可能であるし、別々に成形してから一体化させる処理を行うことにより成形することも可能である。また、ベース部31とプリズム部32とは、単一の材料で構成することもできるし、別々の材料で構成することもできる。ベース部31およびプリズム部32の原料となる1種または2種以上の樹脂材料としては、公知の各種材料を用いることができる。たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−スチレン系共重合体などの合成高分子、二酢酸セルロース樹脂、三酢酸セルロース樹脂などの天然高分子が使用できる。中でも、透明性、透湿性および生産性の観点から、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−スチレン系共重合体のいずれかの熱可塑性樹脂が好適である。またこれらの高分子材料には、必要に応じて、紫外線吸収剤や酸化防止剤、可塑剤などの添加剤を添加することができる。
ベース部31の厚みと、プリズム部32の高さとの合計であるプリズムシート3の厚みは特に限定されないが、偏光板の薄肉化の観点から、20μm以上200μm以下程度であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましい。
本発明で規定するプリズムシートが有する複数の凸条のプリズム部の断面の形は、互いに相似形状であるが、大きさが異なる少なくとも2種類の形状を有し、ランダム性を有する。プリズム部の大きさのランダム性のため、プリズムシートの周期性に原因するモアレ効果は低減し得る。モアレ効果は、光学構造物の様々な層での規則性が引き起こす干渉に由来して起こることが多い。本発明で規定するプリズムシートを光学構造物中に組み込んだ場合、プリズムシートはランダムな構造を有するため、光学構造物の他の構造中での干渉モアレ効果を低減させるために役立つ。このようなランダム性を有するプリズムシートを偏光フィルムに積層することにより、液晶表示装置に適用した際のモアレの発生を効果的に抑制する偏光板を得ることができる。
プリズムシートは、上述の通り、プリズム部が複数配列されたプリズム成形面を有する。これらのプリズム部は、そのx方向に隙間なく連続して形成されてもよいし、間隔を置いて形成されてもよい。図5は、プリズムシート3について、プリズム部のx方向の断面が取りうる二つの形態を拡大して示す概略図である。図5において、プリズムシートには、これまでの図1、図2および図3において付したのと同じ参照符号「3」を付しているが、その他の部分には、説明を分かりやすくするため、50台の他の参照符号を付している。たとえば、図5における参照符号50,53は、図1、図2および図3におけるプリズム部32に対応する。図5の(A)に示す形態は、プリズムシート3のプリズム部のx方向の断面において、プリズム部が隙間なく連続して形成されているものである。図5の(B)に示す形態は、プリズムシート3のプリズム部のx方向の断面において、隣り合うプリズム部の間に形成される谷部56に平坦部57を有するものである。
図5においては、一つのプリズム部50の頂部(三次元形状で表すと稜線となる部分)51から、隣り合う次のプリズム部53の頂部54までの間隔、すなわち稜線の間隔を符号Pで表している。その他、先に説明した頂角は符号θで、プリズム部の高さは符号hで、そしてプリズムシート3の一方の面を構成する平坦面59からプリズム部の頂部51,54までの距離を意味する厚みは符号Tでそれぞれ表している。稜線間の間隔P、プリズム部の高さhは、注目するプリズム部または注目する一対の隣り合うプリズム部毎に異なる値となるが、プリズム部は互いに相似形状なので、頂角θは一定である。また厚みTも、厳密には注目するプリズム部毎に異なる値となるが、本明細書において特に断らずにプリズムシートの厚みというときは、プリズムシート3の一方の面を構成する平坦面59と、そこから最も遠い位置にある(すなわち一番高い)プリズム部の頂部との間の距離とする。
図5の(B)に示すような、隣り合うプリズム部の間に形成される谷部56に平坦部57を有する場合は、その平坦部57を挟んで、一つのプリズム部50の頂部51から隣り合う次のプリズム部53の頂部54までの距離が、稜線の間隔Pとなる。このように谷部56に平坦部57を有する場合でも、一つのプリズム部50の斜面50aの終点52(斜面50aと平坦部57との接点に相当する)から隣り合う次のプリズム部53の斜面53aの立ち上がり位置に相当する斜面の始点55(斜面53aと平坦部57との接点に相当する)までの距離d(平坦部57の幅に相当する)は、プリズム部の稜線の間隔Pに対して30%以下となるようにするのが好ましく、さらには10%以下となるようにするのがより好ましい。これは、たとえばプリズム部の稜線の間隔Pが50μmであれば、平坦部57の幅dが、15μm以下、さらには5μm以下であるのが好ましいことを意味する。一つのプリズム部50の斜面の終点52から隣り合う次のプリズム部53の斜面の始点55までの距離d(平坦部57の幅)が、プリズム部の稜線の間隔Pに対して30%以下であれば、良好な離型性を維持しながらプリズムシート3を製造することができ、得られるプリズムシートの光学特性にも大きな影響を与えない。一方、この距離(幅)dがプリズム部の稜線の間隔Pに対して30%を超えると、得られるプリズムシートを偏光フィルムに貼り合わせて偏光板とし、それを液晶表示装置に適用したときに、輝度などの光学特性に悪影響を与えることがある。なお、一つのプリズム部の斜面の終点から隣り合う次のプリズム部の斜面の立ち上がり位置に相当する斜面の始点までの距離dは一定であっても、ランダムであってもよい。また、本発明においては先述のとおり、稜線の間隔Pは、注目する一対の隣り合うプリズム部毎に異なる値をとるが、この間隔Pとその間にある平坦部57の幅dは、注目する一対の隣り合うプリズム部毎に、上述した関係を満足することが好ましい。
なお、図5(B)に示すように、隣り合うプリズム部の間に平坦部を有する場合、図3を用いて説明した評価方法において、連続したN個のプリズム部からなるプリズム群の底部の長さLは、プリズム群のx方向の長さを示し、すなわちプリズム群に属するプリズム部の底部の長さと、平坦部の幅の合計と同一となる。
<樹脂フィルム>
図1の偏光板1において、偏光フィルム2のプリズムシート3が積層される側の面とは反対側の面には、接着剤層6を挟んで樹脂フィルム5が貼合されている。樹脂フィルム5は、光学補償フィルム、保護フィルム、または両方の機能を併せ持つフィルムである。樹脂フィルム5は一層からなるものであってもよいし、接着剤層もしくは粘着剤層を挟んで、または何も挟まずに複数の層からなるものであってもよい。例えば、保護フィルムと光学補償フィルムとを積層してなる構成も可能である。
樹脂フィルム5は、偏光板の分野で保護フィルムまたは光学補償フィルムとして知られている各種の樹脂で構成することができる。そのような樹脂の例として、メタクリル酸メチル系樹脂等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリブチレンテレフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、透明性や偏光フィルムとの接着性を阻害しない範囲で、添加物を含有することができる。
これらの樹脂をフィルム状に製膜して保護フィルムとすることができるほか、製膜された熱可塑性樹脂フィルムにさらに延伸処理を施すこともできる。延伸処理が施されたフィルムは、樹脂の種類に応じて、光学補償を目的としない保護フィルムとして用いられることもあるし、所定の位相差が付与され、光学補償フィルムとして用いられることもある。延伸は、MD(流れ方向)またはTD(流れ方向に直交する方向)に延伸する一軸延伸、MDおよびTDの双方に延伸する二軸延伸、MDでもTDでもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行なってもよい。光学補償フィルムは、このような熱可塑性樹脂フィルムの延伸によって形成することができるほか、基材フィルムに位相差調整機能を有する化合物(たとえば液晶性化合物)を塗布することによって形成することもできる。
樹脂フィルム5をアクリル系樹脂で構成する場合、このアクリル系樹脂は、一般にメタクリル酸メチルを主な構成モノマーとする樹脂であるが、必要に応じてゴム粒子が配合されたものであってもよい。ゴム粒子が配合されたアクリル系樹脂は、靭性が高くなり、フィルムの薄肉化を可能にする。
樹脂フィルム5をポリエチレンテレフタレート系樹脂で構成する場合、このポリエチレンテレフタレート系樹脂は、繰返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂であり、他の共重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等のジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、上記カルボン酸成分やジオール成分とともに、p−ヒドロキシ安息香酸やp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することも可能である。他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム化した後、延伸処理を施したものを保護フィルムとして用いることにより、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなどに優れるとともに、厚みが低減された偏光板を得ることができる。
樹脂フィルム5をセルロース系樹脂で構成する場合、このセルロース系樹脂は、セルロースの部分エステル化物または完全エステル化物であることができ、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステルなどを挙げることができる。より具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。このようなセルロース系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。セルロースエステル系樹脂フィルムの市販品としては、たとえば、富士フイルム(株)から販売されている「フジタックTD80」、「フジタックTD80UF」および「フジタックTD80UZ」、コニカミノルタオプト(株)から販売されている「KC8UX2M」および「KC8UY」などがある。
また、セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、たとえば、上記セルロース系樹脂フィルムに位相差調整機能を有する化合物を含有させたフィルム;セルロース系樹脂フィルム表面に位相差調整機能を有する化合物を塗布したフィルム;セルロース系樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸して得られるフィルムなどが挙げられる。市販のセルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、たとえば、富士フイルム(株)から販売されている「WV BZ 438」および「WV EA」、新日本石油(株)から販売されている「NHフィルム」および「LCフィルム」、コニカミノルタオプト(株)から販売されている「KC4FR−1」および「KC4HR−1」などがある。
セルロース系樹脂フィルムからなる保護フィルムまたは光学補償フィルムの厚みは特に制限されないが、20〜90μmの範囲内であることが好ましく、30〜90μmの範囲内であることがより好ましい。厚みが20μm未満である場合には、フィルムの取扱いが難しく、一方、厚みが90μmを超える場合には、加工性に劣るものとなり、また、得られる偏光板の薄肉化および軽量化において不利である。
樹脂フィルム5をポリオレフィン系樹脂で構成する場合、このポリオレフィン系樹脂は、ノルボルネンや他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーの重合によって得られる環状オレフィン系樹脂、またはエチレンやプロピレン等の鎖状オレフィンモノマーの重合によって得られる鎖状オレフィン系樹脂であることができる。
ここでいう環状オレフィン系樹脂には、たとえば、シクロペンタジエンとオレフィン類からディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンとオレフィン類または(メタ)アクリル酸エステル類からディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;前記のノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはそれらの誘導体に、ビニル基を有する芳香族化合物および/または脂肪族不飽和化合物を付加共重合させて得られる樹脂などが包含される。
市販の熱可塑性環状オレフィン系樹脂としては、ドイツのTOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH社から販売されている「Topas」、JSR(株)から販売されている「アートン」、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノア(ZEONOR)」および「ゼオネックス(ZEONEX)」、三井化学(株)から販売されている「アペル」(いずれも商品名)などがあり、これらを好適に用いることができる。このような環状オレフィン系樹脂を製膜して、フィルムを得ることができる。製膜方法としては、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。また、たとえば、積水化学工業(株)から販売されている「エスシーナ」および「SCA40」、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノアフィルム」、JSR(株)から販売されている「アートンフィルム」(いずれも商品名)などの製膜された環状オレフィン系樹脂フィルムも市販されており、これらも好適に使用することができる。
環状オレフィン系樹脂フィルムからなる保護フィルムまたは光学補償フィルムの厚みは、厚すぎると、加工性に劣るものとなり、また、透明性が低下したり、偏光板の薄肉化および軽量化において不利になったりすることから、10〜100μm程度の範囲にあるのが好ましく、さらには20〜80μmの範囲にあるのがより好ましい。
一方、鎖状オレフィン系樹脂を保護フィルムまたは光学補償フィルムとすることもできる。なかでもポリプロピレン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂を保護フィルムまたは光学補償フィルムとして選択すれば、以下のような優位点がある。すなわち、ポリプロピレン系樹脂は、光弾性係数が2×10-13cm2/dyne前後と小さいため、液晶表示装置としたときに、表示域の光抜けが小さく、透湿度も低い。また、ポリプロピレン系樹脂フィルムの偏光フィルムに対する接着性は、トリアセチルセルロースフィルムほどではないにしても良好であり、公知の各種接着剤を用いた場合に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが十分な強度でポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに接着する。
ポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって、製造することができる。公知の重合用触媒としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、偏光板の保護フィルムまたは光学補償フィルムとして用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、たとえば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、メタロセン系触媒としては、たとえば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって、製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。樹脂フィルムの耐熱性の観点からは、シンジオタクチックまたはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、たとえば20重量%以下、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。共重合体とする場合、コモノマーの量は、好ましくは1重量%以上である。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、たとえば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4);
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8);
1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);
1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテンおよび1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、たとえば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行ない、求めることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210 に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜200g/10分、とりわけ0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂には、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としてはたとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などがあり、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系などの化合物が挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸およびその塩などが挙げられる。造核剤としては、たとえば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
ポリプロピレン系樹脂は、任意の方法で製膜し、保護フィルムとすることができる。この保護フィルムは、透明で実質的に面内位相差のないものである。たとえば、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などによって、面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを得ることができる。
押出成形により保護フィルムを製造する方法について、詳しく説明する。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても2軸押出機であってもよい。たとえば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプまたはマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気または真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっきまたはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm
……(1)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm
……(2)
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm
……(3)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm
……(4)。
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な保護フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロールまたはキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを、前記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させることが好ましい。具体的には、両ロールの表面温度を0℃以上30℃以下の範囲に調整することが好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる。ロールの表面温度は、より好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくる。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂の保護フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.4S以下であることが好ましく、さらには0.05S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301 に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とするのが好ましく、さらには100N/cm以上250N/cm以下とするのがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを前記の如く短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、および使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間その表面を保護するために、その片面または両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼合した状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
本実施形態の偏光板1は、上記のように樹脂フィルム5を有する構成としたが、樹脂フィルム5を有さない構成であってもよい。
<接着剤層>
図1を用いて説明したように、本実施形態の偏光板1において、偏光フィルム2とレンズシート3、偏光フィルム2と樹脂フィルム5は接着剤層4、6を挟んで貼合される。接着剤層4、6に用いられる接着剤は、同種の接着剤であってもよく、異種の接着剤であってもよい。これらのフィルムの貼合に用いられる接着剤としては、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解または分散させた接着剤、および光硬化性接着剤を挙げることができる。
上記水系接着剤は、接着剤層を薄くできる点において好ましく用いられる。水系接着剤としては、たとえば、接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を用いた水系接着剤が挙げられる。
接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。通常、ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする水系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製される。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分または架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応により得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン(登録商標) 650」および「スミレーズレジン(登録商標) 675」、日本PMC(株)から販売されている「WS−525」などが挙げられる。これら硬化性成分または架橋剤の添加量(共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分または架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分または架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にある。
また、接着剤成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここで、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、たとえば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また特開2005−070140号公報および特開2005−181817号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに環状オレフィン系樹脂フィルムを貼合することが示されている。
偏光フィルム2、プリズムシート3または樹脂フィルム5に接着剤を塗布する方法は、一般に知られている方法でよく、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などを挙げることができる。なお、偏光フィルム2、プリズムシート3、樹脂フィルム5の内、貼合する部材同士のいずれか一方の部材の対向面のみに接着剤を塗布すればよいが、以下に説明する流延法のように、貼合される2枚の部材の間に接着剤を供給することも可能である。以下、貼合される部材の一方の接着面に接着剤を塗布する場合、その面を接着剤塗布面という。
流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。接着剤塗布面に接着剤を塗布した後、接着層を挟んで貼合される部材を重ね合わせ、ニップロールなどにより挟んでフィルムの貼合を行なう。接着される2枚のフィルムを、初期には離間しているが、両者の接着面を対向させて同じ方向に移動させ、ある位置でニップロールにより挟まれるようにし、その挟まれる位置で2枚のフィルムの間に接着剤を供給して拡布させ、貼合を行うことも可能である。ニップロールを用いたフィルムの貼合は、たとえば、接着剤を塗布した後、ロールなどで加圧して均一に押し広げる方法、接着剤を塗布した後、ロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法などを採用することができる。前者の場合において、ロールの材質としては金属やゴムなどを用いることが可能である。また、後者の場合、複数のロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
上記貼合後、乾燥して接着剤層を硬化させることにより偏光板1を得ることができる。この乾燥処理は、たとえば熱風を吹き付けることにより行なわれ、その温度は、通常40〜100℃の範囲内であり、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、20〜1200秒である。
乾燥後の接着剤層4、6の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。乾燥後の接着剤層4、6の厚みが0.001μm未満である場合には、接着が不十分となる虞があり、また、乾燥後の接着剤層4、6の厚みが5μmを超えると、偏光板1の外観不良が生じるおそれがある。なお、乾燥、硬化前における、上記ニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層4、6の厚さは、5μm以下であることが好ましく、また0.01μm以上であることが好ましい。
乾燥処理の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は1日間以上の養生を施して十分な接着強度が得られるようにしてもよい。かかる養生は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行なわれる。好ましい養生温度は30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は、特に限定されないが、相対湿度が0%〜70%程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1日〜10日程度、好ましくは2日〜7日程度である。
一方、上記光硬化性接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物などが挙げられる。光硬化性エポキシ樹脂としては、たとえば、脂環式エポキシ樹脂、脂環式構造を有しないエポキシ樹脂、およびそれらの混合物などが挙げられる。光硬化性接着剤は、光硬化性エポキシ樹脂のほか、アクリル樹脂、オキタセン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などを含んでいてもよく、また、光カチオン重合開始剤とともに、または光カチオン重合開始剤の代わりに、光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
光硬化性接着剤を用いる場合には、偏光フィルム2、プリズムシート3、樹脂フィルム5の接着剤塗布面に光硬化性接着剤を塗布し、接着剤層を挟んで貼合される部材を貼合した後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。光硬化性接着剤の塗布方法およびフィルムの貼合方法は、水系接着剤と同様とすることができる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する紫外線を発生するものが好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。該照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じるおそれが少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に制限されないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/m2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/m2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また、10000mJ/m2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光フィルム2の偏光度、透過率および色相、ならびにプリズムシート3、樹脂フィルム5の透明性などの偏光板1の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
なお、プリズムシート3および樹脂フィルム5の偏光フィルム2への貼合に先立ち、偏光フィルム2、プリズムシート3、樹脂フィルム5の接着剤塗布面に、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
<その他の構成要素>
本発明の偏光板において、偏光フィルムにおけるプリズムシートが積層される側とは反対側の面には、粘着剤層を有することが好ましい。本実施形態の偏光板1のように、偏光フィルム2におけるプリズムシート3が積層されている側とは反対側の面に樹脂フィルム5が積層されている場合は、樹脂フィルム5よりさらに外側に粘着剤層を有することが好ましく、すなわち、偏光フィルム2、樹脂フィルム5、粘着剤層がこの順で積層されているのが好ましい。粘着剤層は、本発明の偏光板を他の光学要素と貼着して組み合わせる際に用いることができる。
このような粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を用いることができ、たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、このような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液とし、これを基材フィルム(たとえば偏光フィルム等)上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる。また、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を基材フィルムに転写する方法によっても設けることができる。粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、2〜40μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の偏光板は、液晶表示装置が備える液晶セルとバックライトとの間に配置される背面側偏光板として好適に用いることができる。
[液晶パネルおよび液晶表示装置]
図6は、本発明の液晶表示装置の好ましい一実施形態を示す概略断面図であり、本発明の液晶パネルを用いた液晶表示装置の一実施形態を示すものである。図6を参照して、本実施形態の液晶パネル11は、液晶セル13と液晶セル13上に積層される上記実施形態の偏光板1とを備えるものである。液晶セル13と偏光板1とは、偏光板1における樹脂フィルム5とプリズムシート3の内、樹脂フィルム5が液晶セル13側に位置するように(すなわち、プリズムシート3のプリズム成形面3aが液晶パネル11の外面を形成するように)、粘着剤層18を挟んで貼合される。
液晶パネル11は、通常、そのプリズムシート3がバックライト12側となるように、すなわち、偏光板1が液晶セル13とバックライト12との間に配置される背面側偏光板となるように、液晶表示装置10に適用される。
図6に示されるように、本実施形態の液晶パネル11において、液晶セル13の前面側(液晶表示装置10に適用した際の視認側であり、偏光板1が積層される側とは反対側)にも偏光板19を設けるが、この液晶セル13の前面側に設ける偏光板19については特に制限されず、従来公知の適宜の偏光板を用いることができる。たとえば、防眩処理、ハードコート処理、反射防止処理が施された偏光板などを用いることができる。また、偏光フィルムの片面にポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなどからなる保護フィルムまたは光学補償フィルムが積層された偏光板でもよい。
図6に示される例において、前面側の偏光板19は、偏光フィルム14と、偏光フィルム14における液晶セル13に対向する面とは反対側の面に接着剤層27を介して積層された保護フィルム25を備え、偏光フィルム14における液晶セル13と対向する面に接着剤層17を介して積層された、保護フィルムや光学補償フィルムなどの樹脂フィルム15を備える。樹脂フィルム15は、たとえば、偏光フィルム14側から、保護フィルムと光学補償フィルムがこの順に積層された形態のように、多層構造であってもよい。保護フィルムに光学補償フィルムを積層する場合は、通常、接着剤または粘着剤が用いられる。また、前面側の偏光板19は、樹脂フィルム15の表面に、液晶セルに貼合するための粘着剤層16を有することが好ましい。偏光フィルム14および樹脂フィルム15としては、それぞれ上述した偏光板1における偏光フィルム2および樹脂フィルム5について記述したものを同様に用いることができる。接着剤層17,27および粘着剤層16としては、それぞれ上述した偏光板1における接着剤層4,6および粘着剤層18について記述したものを同様に用いることができる。なお、保護フィルム25についても、上述した偏光板1における樹脂フィルム5について記述したものを同様に用いることができる。
<液晶セル>
液晶セル13のタイプは特に限定されず、垂直配向(VA)モード、ねじれ複屈折(TN)モード、超ねじれ複屈折(STN)モード、横電界(IPS)モード、ブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードなどの従来公知の液晶セルであってよい。液晶セルは、通常、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色からなる四角形状のカラー画素を規則的に配列したマトリックス構造を有するカラーフィルターを備える。本発明の液晶パネルにおいて、液晶セル13と偏光板1とは、プリズムシート3が先に説明したプリズム部を有し、そのプリズム部の稜線が、カラーフィルターが有するマトリックス構造のいずれかの辺に略平行となるように配置することができる。ここでいう「略平行」とは、平行であることが好ましいが、それを中心に±10°程度までのズレは許容されることを意味する。このような配置関係においても本発明によれば、モアレを十分に抑制することができる。プリズム部において、稜線とは、突起(凸部)の頂点によって形成される線をいう。カラーフィルターが有するマトリックス構造のいずれかの辺とは、カラー画素の縦または横の配列方向を意味する。
液晶セル13のタイプが垂直配向(VA)モードである場合、偏光フィルム2における液晶セル13に対向する面に光学補償フィルムである樹脂フィルム5を積層することが好ましい。特に液晶表示装置の背面側の偏光フィルム2および前面側の偏光フィルム14の両方に、樹脂フィルム5,15を光学補償フィルムとして積層することが好ましい。これらの樹脂フィルム5,15はそれぞれ、面内位相差値が20〜200nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が50〜200nmの範囲にあることが好ましい。樹脂フィルム5,15の面内および厚み方向の位相差値は、上記した範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。面内位相差値は、好ましくは100nm以下であり、厚み方向位相差値は、好ましくは、80nm以上、また200nm以下である。
VAモードの液晶セルを備える液晶パネルにおいて、背面側の偏光板1が樹脂フィルム5を有し、その面内位相差値が20〜200nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が50〜350nmの範囲にある場合は、前面側の偏光板19を構成する樹脂フィルム15として、面内位相差値が10nm未満のものを用いることも好ましい。樹脂フィルム5,15の面内および厚み方向の位相差値は上記した範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。この場合、背面側の偏光板1を構成する樹脂フィルム5は、面内位相差値が好ましくは100nm以下であり、厚み方向位相差値が好ましくは80nm以上、また200nm以下である。この場合の前面側の偏光板19を構成する樹脂フィルム15は、面内位相差値が好ましくは7nm以下、より好ましくは5nm以下である。この場合は、前面側の偏光板19に樹脂フィルム15を配置しない構成も有効である。
液晶セル13のタイプがねじれ複屈折(TN)モードである場合も、背面側の偏光フィルム2における液晶セル13に対向する面に樹脂フィルム5を光学補償フィルムとして積層すること、および/または、前面側の偏光フィルム14における液晶セル13に対向する面に樹脂フィルム15を光学補償フィルムとして積層することが好ましい。特に背面側の偏光フィルム2および前面側の偏光フィルム14の両方に、樹脂フィルム5,15を光学補償フィルムとして積層することが好ましい。これらの樹脂フィルム5,15はそれぞれ、面内位相差値が20〜200nmの範囲にあり、厚み方向位相差値が50〜200nmの範囲にあることが好ましい。樹脂フィルム5,15の面内および厚み方向の位相差値は、上記した範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。面内位相差値は、好ましくは100nm以下であり、厚み方向位相差値は、好ましくは80nm以上、また200nm以下である。
TNモードの液晶セルを備える液晶パネルにおいては、背面側の偏光板1が樹脂フィルム5を有し、前面側の偏光板19も樹脂フィルム15を有する場合、それぞれの樹脂フィルム5,15の面内位相差値を10nm未満とする構成も有効である。この場合、樹脂フィルム5,15の面内位相差値は、好ましくは7nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。そこで、TNモードの液晶セルを備える液晶パネルにおいては、背面側の偏光板1に樹脂フィルム5を配置せず、前面側の偏光板19にも樹脂フィルム15を配置しない構成も有効である。
また、TNモードの液晶セルを備える液晶パネルにおいて、背面側の偏光板1を構成する樹脂フィルム5に、液晶分子の傾斜配向を利用したセルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルム(たとえば、富士フイルム(株)から販売されている「WVフィルム」や新日本石油(株)から販売されている「NHフィルム」、いずれも商品名)を用いた場合は、前面側の偏光板19を構成する樹脂フィルム15にも同様に、液晶分子の傾斜配向を利用したセルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムを用いることが好ましい。
液晶セル13のタイプが横電界(IPS)モード、またはブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードであって、背面側の偏光フィルム2における液晶セル13に対向する面に樹脂フィルム5を積層する場合、この樹脂フィルム5は、面内位相差値が10nm未満であり、厚み方向位相差値が−25〜25nmの範囲であることが好ましい。前面側の偏光フィルム14における液晶セル13に対向する面に樹脂フィルム15を積層する場合も、この樹脂フィルム15は、面内位相差値が10nm未満であり、厚み方向位相差値が−25〜25nmの範囲にあることが好ましい。樹脂フィルム5,15の面内および厚み方向の位相差値は、上記した範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。樹脂フィルム5,15の厚み方向位相差値は、−10〜10nmの範囲にあることがより好ましい。そこで、横電界(IPS)モードまたはブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードにおいては、背面側の偏光板1に樹脂フィルム5を配置しない構成、および/または、前面側の偏光板19に樹脂フィルム15を配置しない構成も有効である。
ここで、面内位相差値と厚み方向位相差値について説明する。フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、そして厚みをdとしたときに、面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthは、それぞれ下式(I)および(II)で定義される。
0=(nx−ny)×d (I)
th=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (II)。
<バックライト>
バックライト12は、光拡散板とその下(すなわち液晶セル13から遠い側)に配置された冷陰極管やLEDからなる複数の線状光源を備える直下型バックライトシステムや、導光板とサイドライトを備えるサイドライト型バックライトシステムであることができるが、本発明の偏光板は、特に後者に対して好適に適用される。なお、「バックライト」という語は、狭義には上記した冷陰極管やLEDからなる光源自体を指すこともあるが、図6を参照して説明する本発明の液晶表示装置において、「バックライト」というときは、上記の直下型バックライトシステムやサイドライト型バックライトシステムのように、液晶セル13に向けて光を出射し、面光源として作用するものを意味する。本明細書の冒頭に記載した「技術分野」の項では、このような厳密な使い分けをしていないことをここに付記する。
<液晶表示装置>
図6を参照して、本発明に係る液晶表示装置10は、バックライト12と、プリズムシート3がバックライト12側となるように配置された液晶パネル11とを備えるものである。このような本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板が液晶セルの背面側に貼合された液晶パネルを備えることにより、薄肉化に対応しつつ十分な機械的強度を有するとともに、モアレの発生が十分に抑制され、優れた視認性を示す。また、液晶パネルの背面側にプリズムシートを配置していることから、液晶パネル11とバックライト12との密着が防止されており、これにより、さらなる視認性の改善が達成されている。
本発明の液晶表示装置において、上記液晶パネル以外の構成については、従来公知の液晶表示装置の適宜の構成を採用することができる。たとえば、本発明の液晶表示装置は、光拡散板、光拡散シート、反射板などをさらに備えていてもよい。
1,19 偏光板、2,14 偏光フィルム、3 プリズムシート、3a プリズム成形面、4,6,17,27 接着剤層、5,15 樹脂フィルム、10 液晶表示装置、11 液晶パネル、12 バックライト、13 液晶セル、16,18 粘着剤層、25 保護フィルム、31 ベース部、32 プリズム部、50 一つのプリズム部、50a 一つのプリズム部の斜面、53 隣り合う次のプリズム部、53a 隣り合う次のプリズム部の斜面、51,54 プリズム部の頂部(稜線)、52 一つのプリズム部の斜面の終点、55 隣り合う次のプリズム部の斜面の始点、56 隣り合うプリズム部の間に形成される谷部、57 谷部に存在する平坦部、59 プリズムシートの一方の面を構成する平坦面。

Claims (8)

  1. 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの表面に接着剤層を挟んで積層されたプリズムシートとを備え、
    前記プリズムシートは、前記偏光フィルム側の面とは反対側にプリズム成形面を有し、
    前記プリズム成形面は、第1の方向に延在する凸条のプリズム部が第1の方向に直交する第2の方向に複数並設され、
    各々の前記プリズム部は、第2の方向の断面において、互いに相似形状であるが、大きさが異なる少なくとも2種類の形状を有する、偏光板。
  2. 第2の方向に連続するN個の前記プリズム部が一つのプリズム群を構成し、
    異なる100組のプリズム群について、底部の第2の方向の長さの出現頻度分布での最大出現頻度が50回以下であり、
    Nは8から14の整数であり、
    前記出現頻度分布は、前記長さの最小値の1/100を集計単位とする、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記プリズムシートの前記プリズム成形面において、一つのプリズム部の斜面の終点から隣り合う次のプリズム部の斜面の始点までの距離が、前記プリズム部の稜線の間隔に対して30%以下である、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記プリズムシートは、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体およびアクリロニトリル−スチレン系共重合体からなる群より選ばれる熱可塑性樹脂を含む樹脂材料からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記偏光フィルムの、前記プリズムシート側の面とは反対側の面に、光学補償フィルムまたは保護フィルムが積層されている、請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
  6. 液晶表示装置の液晶セルとバックライトとの間に配置されて用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 液晶セルと、請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板とが積層された液晶パネルであって、
    前記液晶セルと、前記偏光フィルムと、前記プリズムシートとがこの順で積層されている、液晶パネル。
  8. バックライトと、請求項7に記載の液晶パネルとを備え、
    前記液晶パネルは、前記プリズムシートのプリズム成形面が前記バックライトに対向するように配置されている、液晶表示装置。
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