JP6033269B2 - 偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光フィルムと保護フィルムとが積層されてなる偏光板に関し、より詳細には液晶表示装置に用いられる偏光板に関する。さらに、この偏光板を用いた偏光板のセット、液晶パネル、および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力が少なく、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シート等、多くの材料から構成されている。そのため、構成フィルムの枚数を減らしたり、フィルムまたはシートの厚さを薄くしたりすることで、生産性や軽量化、明度の向上等を目指した改良が盛んに行われている。
一方、液晶表示装置は、用途によっては厳しい耐久条件に耐えうる製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が高くなることがあり、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用のモニターと比べると、温度及び湿度条件が厳しい。そのような用途には、偏光板も高い耐久性を示すものが求められる。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面または片面に、透明な保護フィルムが積層された構造を有する。偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに縦一軸延伸と二色性色素による染色とを行なった後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造されている。
二色性色素としては、ヨウ素又は二色性有機染料が用いられる。このようにして得られる偏光フィルムの両面又は片面に保護フィルムを積層して偏光板が形成され、液晶表示装置に組み込まれて使用される。
上記保護フィルムには、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚みは通例30〜120μm程度の範囲内である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。
しかしながら、二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの両面又は片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムとが剥離し易くなったりするという問題がある。
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する方法が提案されている。
例えば、偏光フィルムの両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、同時に位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ヨウ素又は二色性有機染料が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの一方の面に非晶性ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層され、他方の面には、セルロースアセテート系樹脂等、非晶性ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂からなる保護フィルムが積層された偏光板が知られている(例えば、特許文献2参照)。
更には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、ウレタン系樹脂とポリビニルアルコール系樹脂とを含有する接着剤を介して、シクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムを積層することも知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、特定の位相差特性を有するシクロオレフィン系樹脂フィルムを積層して偏光板とすることも知られている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、ノルボルネン系樹脂などの非晶性ポリオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系樹脂)は、最近実用化された樹脂であって、トリアセチルセルロースよりも高価であり、そのため、単なる保護フィルムとしてよりは、位相差フィルムとして用いられることが多かった。
そこで、安価な樹脂材料を偏光板の保護フィルムに使用することも提案されており、例えば、結晶性ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂を保護フィルムとすることが知られている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂を偏光板の保護フィルムとした場合、特にそのポリプロピレン系樹脂フィルムを液晶セル側の面に配置した構成では、トリアセチルセルロースや非晶性ポリオレフィン系樹脂のフィルムを液晶セル側保護フィルムとする構成に比べ、正面コントラストが低下しやすいという問題があった。
また、ラクトン環を含有するアクリル系樹脂からなる保護フィルムを偏光フィルムの両面に積層した偏光板が知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、ラクトン環を含有するアクリル系樹脂からなる保護フィルムは割れやすいという問題がある。
特開平8−43812号公報 特開2002−174729号公報 特開2004−334168号公報 特開2007−65452号公報 特開2009−75471号公報 特開2009−122663号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、偏光フィルムと保護フィルムとが積層された偏光板であって、保護フィルムのハンドリング性が良好で、コントラスト低下の抑制を実現できる偏光板を提供することにある。
本発明の偏光板は、第1の内側保護フィルムと、第1の偏光フィルムと、透明樹脂からなる第1の外側保護フィルムとがこの順で積層されてなる。第1の内側保護フィルムは、
透明なアクリル系樹脂に、数平均粒子径が10〜300nmのゴム弾性体粒子が25〜45重量%配合されたアクリル系樹脂組成物からなり、内部ヘイズ値が0.5%以下でかつ外部ヘイズ値が5%以下であり、波長590nmにおける面内の位相差値(R)が10nm以下であり、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が10nm以下である。本発明の偏光板は、液晶セルに貼合して用いられ、上記液晶セルに近い側から順に、第1の内側保護フィルム、第1の偏光フィルム、第1の外側保護フィルムが位置するように配置される。
上記偏光板においては、第1の偏光フィルムと第1の内側保護フィルム、第1の偏光フィルムと第1の外側保護フィルムがそれぞれ、活性エネルギー線により硬化するエポキシ化合物を含有する樹脂組成物硬化物からなる接着剤層を介して接着されている。
上記偏光板の第1の内側保護フィルムに用いられる上記ゴム弾性体粒子は、好ましくは、アクリル系弾性重合体を含む。
本発明の偏光板のセットは、液晶セルの一方の面側に配置される第1の偏光板と、他方の面側に配置される第2の偏光板とからなる液晶表示用の偏光板のセットであって、第1の偏光板は上記偏光板であり、第2の偏光板は、第2の内側保護フィルムと、第2の偏光フィルムと、透明樹脂からなる第2の外側保護フィルムとがこの順で積層されてなり、前記液晶セルに近い側から順に、第2の内側保護フィルム、第2の偏光フィルム、第2の外側保護フィルムが位置するように配置される。第2の内側保護フィルムは、波長590nmにおける面内の位相差値(R)が40〜500nmの範囲にあり、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が20〜500nmの範囲にあり、二軸性オレフィン系樹脂フィルムからなる。
上記二軸性オレフィン系樹脂フィルムは、好ましくはポリプロピレン系樹脂を含む。
本発明の液晶パネルは、液晶セルと、その両面に配置された一対の偏光板とからなり、上記一対の偏光板は、上記偏光板のセットであり、第1の外側保護フィルム、第1の偏光フィルム、第1の内側保護フィルム、上記液晶セル、第2の内側保護フィルム、第2の偏光フィルム、第2の外側保護フィルムがこの順で積層されている。
本発明の液晶表示装置は、バックライト、光拡散板、および上記液晶パネルとを備え、上記バックライト、蒸気光拡散板、第2の偏光板、上記液晶セル、第1の偏光板がこの順で配置されている。
本発明の偏光板によると、作製時のハンドリング性が良好で、かつ液晶表示装置に配置して用いられた場合に、コントラストの低下を抑制することができる。
本発明に係る偏光板の基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る液晶パネルの基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す概略断面図である。
[第1の偏光板]
図1は、本発明に係る偏光板の基本的な層構成の一例を示す概略断面図であり、液晶セルに対向させて配置した状態を示す。第1の偏光板20は、第1の内側保護フィルム23と、第1の偏光フィルム21と、透明樹脂からなる第1の外側保護フィルム25とがこの順で積層されてなる。
第1の内側保護フィルム23は、透明なアクリル系樹脂に、数平均粒子径が10〜300nmのゴム弾性体粒子が25〜45重量%配合されたアクリル系樹脂組成物からなり、内部ヘイズ値が0.5%以下でかつ外部ヘイズ値が5%以下であり、波長590nmにおける面内の位相差値(R)が10nm以下であり、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が10nm以下である。上記にて示したゴム弾性体粒子の配合割合は、ゴム弾性体粒子を含むアクリル系樹脂組成物全体の重量に対するゴム弾性体粒子の重量割合である。
第1の偏光板20は、液晶セル40に貼合して用いられ、液晶セル40に近い側から順に、第1の内側保護フィルム23、第1の偏光フィルム21、第1の外側保護フィルム25が位置するように配置される。第1の外側保護フィルム25の外側にはハードコート層26が設けられてもよい。さらに、第1の外側保護フィルム25とハードコート層26とからなる積層フィルム24が防眩性フィルム24を構成してもよい。
以下、各構成要素について、好ましい例を挙げて詳細に説明する。
(第1の偏光フィルム)
第1の偏光フィルム21は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて、所定の偏光特性が得られるようにしたものである。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。第1の偏光フィルム21として具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料を吸着配向させた染料系偏光フィルム等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルや、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用することができる。
第1の偏光板20は通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液を洗い落とす洗浄工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに保護フィルムを貼合する工程を経て製造される。
一軸延伸は、染色の前に行なってもよいし、染色中に行なってもよいし、染色後のホウ酸処理中に行なってもよい。これら複数の段階で一軸延伸してもよい。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は通常4〜8倍程度である。延伸と染色が施されたポリビニルアルコール系フィルムからなる第1の偏光フィルム21の厚みは、例えば、1〜50μmとすることができる。
(第1の内側保護フィルム)
本発明において、第1の内側保護フィルム23は、透明なアクリル系樹脂に、数平均粒
子径が10〜300nmのゴム弾性体粒子が25〜45重量%配合されたアクリル系樹脂組成物からなり、内部ヘイズ値が0.5%以下でかつ外部ヘイズ値が5%以下であり、波長590nmにおいて面内位相差値が10nm以下であり、波長590nmにおいて厚み方向の位相差値の絶対値が10nm以下であることを特徴とする。
上記アクリル系樹脂の単量体組成は、全単量体の合計100重量%を基準として、メタクリル酸アルキルが、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、かつメタクリル酸アルキルが99重量%以下である、メタクリル酸アルキルを主体とする重合体である。その他に、メタクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸アルキル50重量%以上とメタクリル酸アルキル以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。メタクリル酸アルキルとしては、通常、そのアルキル基の炭素数が1〜4のものが用いられ、中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、分子内に1個の重合性炭素−炭素二重結合を有する単官能単量体であってもよいし、分子内に2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能単量体であってもよいが、ここでは単官能単量体が好ましく用いられ、その例としては、アクリル酸メチルやアクリル酸エチルのようなアクリル酸アルキル、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルが挙げられる。共重合成分としてアクリル酸アルキルを用いる場合、その炭素数は通常1〜8である。
また、本発明においてアクリル系樹脂は、グルタルイミド誘導体、グルタル酸無水物誘導体、ラクトン環構造などを有しないことが好ましい。グルタルイミド誘導体、グルタル酸無水物誘導体、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂は、保護フィルムとして十分な機械強度および耐湿熱性が得られない場合がある。
第1の内側保護フィルム23に含有されるゴム弾性体粒子は、ゴム弾性体を含有する粒子であり、ゴム弾性体のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性体の層を有する多層構造の粒子であってもよい。ゴム弾性体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体が挙げられる。中でも、保護フィルムの表面硬度や耐光性、透明性の点からアクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする重合体であるのがよく、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル50重量%以上とアクリル酸アルキル以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。アクリル酸アルキルとしては、通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。また、アクリル酸アルキル以外の単量体の例としては、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキル、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリル等の単官能単量体や、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル等の多官能単量体が挙げられる。
アクリル系弾性重合体を含有するゴム弾性体粒子は、アクリル系弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であるのが好ましく、アクリル系弾性重合体の外側にメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する2層構造のものであってもよいし、さらにアクリル系弾性重合体の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の層を有する3層構造の
ものであってもよい。なお、アクリル系弾性重合体の外側又は内側に形成される層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の単量体組成の例は、先にアクリル系樹脂の例として挙げたメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の単量体組成の例と同様である。このような多層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子は、例えば特公昭55−27576号公報に記載の方法により、製造することができる。
本発明では、ゴム弾性体粒子として、その中に含まれるゴム弾性体の数平均粒径が10〜300nmであるものを使用する。これにより、接着剤を用いて第1の偏光フィルム21に積層したとき、接着剤層から剥がれ難い第1の内側保護フィルム23を得ることができる。このゴム弾性体の数平均粒径は、好ましくは50nm以上であり、また好ましくは250nm以下である。
最外層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体であり、その中にアクリル系弾性重合体が包み込まれているゴム弾性体粒子においては、それを母体のアクリル系樹脂に混合すると、ゴム弾性体粒子の最外層が母体のアクリル系樹脂と混和するため、その断面において、酸化ルテニウムによるアクリル系弾性重合体への染色を施し、電子顕微鏡で観察した場合、そのゴム弾性体粒子が、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がアクリル系弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体である2層構造のゴム弾性体粒子を用いた場合には、内層のアクリル系弾性重合体部分が染色されて単層構造の粒子として観察される。また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体であり、中間層がアクリル系弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする重合体である3層構造のゴム弾性体粒子を用いた場合には、最内層の粒子中心部分が染色されず、中間層のアクリル系弾性重合体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。本明細書において、ゴム弾性体粒子の数平均粒径とは、このように、ゴム弾性体粒子を母体樹脂に混合して断面を酸化ルテニウムで染色したときに、染色されてほぼ円形状に観察される部分の径の数平均値である。
第1の内側保護フィルム23を形成する上記アクリル系樹脂組成物は、透明なアクリル系樹脂に、数平均粒子径が10〜300nmのゴム弾性体粒子が25〜45重量%配合されている構成である。
上記アクリル系樹脂組成物は、例えば、ゴム弾性体粒子を得た後、その存在下にアクリル系樹脂の原料となる単量体を重合させて、母体のアクリル系樹脂を生成させることにより製造してもよいし、ゴム弾性体粒子とアクリル系樹脂とを得た後、両者を溶融混練等により混合することにより製造してもよい。
上記アクリル系樹脂組成物には、必要に応じて、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤を含有させてもよい。
紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させるために添加される。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等の公知のものが使用可能である。中でも、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が好適に用いられる。これらの中でも、特に2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)フェノール)が好ましい。紫外線吸収剤の濃度は、第1の内側保護フィルム23の波長370nm以下の透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下となる範囲で選択することができる。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、紫外線吸収剤を予めアクリル系樹脂中に配合する方法;溶融押出成形時に直接供給する方法などが挙げられ、いずれの方法が採用されてもよい。
赤外線吸収剤としては、ニトロソ化合物、その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、カーボンブラック、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期表4A、5Aもしくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物、ホウ化物等の赤外線吸収剤などを挙げることができる。これらの赤外線吸収剤は、赤外線(波長約800nm〜1100nmの範囲の光)全体を吸収できるように、選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の量は、例えば、第1の内側保護フィルム23の800nm以上の波長の光線透過率が10%以下となるように適宜調整することができる。
第1の内側保護フィルム23を形成するアクリル系樹脂組成物は、そのガラス転移温度Tgが80〜120℃の範囲内のものが好ましい。さらに、上記アクリル系樹脂組成物は、フィルムに成形したときの表面の硬度が高いもの、具体的には、鉛筆硬度(荷重500gで、JIS K5600−5−4に準拠)で2Hを超えるものが好ましい。
また、上記アクリル系樹脂組成物は、第1の内側保護フィルム23の柔軟性の観点から、曲げ弾性率(JIS K7171)が1500MPa以下であるのが好ましい。この曲げ弾性率は、より好ましくは1300MPa以下であり、さらに好ましくは1200MPa以下である。この曲げ弾性率は、上記アクリル系樹脂組成物中のアクリル系樹脂やゴム弾性体粒子の種類や量などによって変動し、例えば、ゴム弾性体粒子の含有量が多いほど、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、アクリル系樹脂として、メタクリル酸アルキルの単独重合体を用いるよりも、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキル等との共重合体を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、ゴム弾性体粒子として、上記3層構造のアクリル系弾性重合体粒子を用いるよりも、上記2層構造のアクリル系弾性重合体粒子を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなり、さらに単層構造のアクリル系弾性重合体粒子を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、ゴム弾性体粒子中、ゴム弾性体の平均粒径が小さいほど、またはゴム弾性体の量が多いほど、一般に曲げ弾性率は小さくなる。そこで、アクリル系樹脂やゴム弾性体粒子の種類や量を上記所定の範囲で調整して、曲げ弾性率が1500MPa以下になるようにすることが好ましい。
第1の内側保護フィルム23を多層構成とする場合、上記アクリル系樹脂組成物の層以外に存在しうる層は、その組成に特に限定はなく、例えば、ゴム弾性体粒子を含有しないアクリル系樹脂又はその組成物の層であってもよいし、ゴム弾性体粒子の含有量やゴム弾性体粒子中のゴム弾性体の平均粒径が上記規定外であるアクリル系樹脂組成物からなる層であってもよい。典型的には2層又は3層構成であって、例えば、上記アクリル系樹脂組成物の層/ゴム弾性体粒子を含有しないアクリル系樹脂またはその組成物の層からなる2層構成であってもよいし、上記アクリル系樹脂組成物の層/ゴム弾性体粒子を含有しないアクリル系樹脂またはその組成物の層/上記アクリル系樹脂組成物の層からなる3層構成であってもよい。多層構成の第1の内側保護フィルム23は、上記アクリル系樹脂組成物の層の面を、第1の偏光フィルム21との貼合面とすればよい。
また、第1の内側保護フィルム23を多層構成とする場合、ゴム弾性体粒子や上記配合剤の各層の含有量を互いに異ならせてもよい。例えば、紫外線吸収剤および/または赤外
線吸収剤を含有する層と、この層を挟んで紫外線吸収剤および/または赤外線吸収剤を含有しない層とが積層されていてもよい。また、上記アクリル系樹脂組成物の層の紫外線吸収剤の含有量が、ゴム弾性体粒子を含有しないアクリル系樹脂またはその組成物の層の紫外線吸収剤の含有量よりも、高くなるようにしてもよく、具体的には、前者を好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%とし、後者を好ましくは0〜1重量%、より好ましくは0〜0.5重量%としてもよく、これにより、偏光板の色調を悪化させることなく、紫外線を効率的に遮断することができ、長期使用時の偏光度の低下を防ぐことができる。
本発明の偏光板20に用いられるアクリル系樹脂組成物からなる第1の内側保護フィルム23は、上記アクリル系樹脂組成物を製膜することにより得ることができる。アクリル系樹脂組成物からなる第1の内側保護フィルム23の厚さは、5〜200μmであることが好ましい。より好ましくは、10μm以上であり、また、より好ましくは150μm以下である。
以上のような第1の内側保護フィルム23を、本発明では、前記アクリル系樹脂組成物を、2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜することにより製造する。また、金属製ロールは、鏡面ロールであるのが好ましく、これにより、表面平滑性に優れる第1の内側保護フィルム23を得ることができる。なお、第1の内側保護フィルム23として多層構成のものを得る場合、上記アクリル系樹脂組成物を、他のアクリル系樹脂またはその組成物と共に、多層押出後、製膜すればよい。
第1の内側保護フィルム23のヘイズ値について説明する。ヘイズ値とは、フィルムに可視光を照射したときの全透過光に対する拡散透過光の割合であり、ヘイズ値が小さいほどフィルムが透明性に優れているものであることが認められる。また、内部ヘイズ値とは、フィルムのヘイズ値より、フィルムの表面形状に起因するヘイズ値(外部ヘイズ値)を差し引いた値を示す。
第1の内側保護フィルム23のヘイズ値は、内部ヘイズ値が0.5%以下であることが好ましく、外部ヘイズ値が5%以下であることが好ましい。内部ヘイズ値が0.5%、外部ヘイズ値が5%を超えると、フィルムを透過する光が散乱し、液晶表示装置に貼合した際に表示特性が低下してしまう場合がある。
第1の内側保護フィルム23の位相差値について説明する。フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をn、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をn、厚み方向の屈折率をn、厚みをdとしたときに、面内の位相差値(R)および厚み方向の位相差値(Rth)は、それぞれ下式(I)および(II)で定義される。
=(n−n)×d (I)
th=[(n+n)/2−n]×d (II)
第1の内側保護フィルム23は、波長590nmにおける面内の位相差値(R)が10nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは5nm以下である。また、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が10nm以下であることが好ましい。第1の内側保護フィルム23の面内の位相差値(R)が10nmより大きく、また厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が10nmより大きい場合、斜め方向の漏れ光の着色現象が起こり、表示特性が低下してしまう。
また、第1の内側保護フィルム23のMD(machine direction、長尺状で得られるフィルムの長手方向)と光軸とのなす角度は±5°以下であることが好ましく、さらに好ましくは±3°以下である。上記の角度が±5°よりも大きくなる場合、黒表示時における
光漏れが大きくなり、コントラスト比の低下が顕著となる。
さらに、上記面内の位相差値およびMDと光軸とのなす角度から計算される透過率パラメータの値が0.03以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.007以下であり、さらに好ましくは0.001以下である。この値が0.03よりも大きくなる場合、黒表示時における光漏れが顕著となり、コントラスト比の低下が顕著となる。ここでいう透過率パラメータは、下式で定義され、ここに、θは第1の内側保護フィルム23のMDと光軸とのなす角度を表し、Rは波長590nmにおける面内の位相差値を表す。
(透過率パラメータ)=sin2θ×sin(π×R/590)
本発明に係る第1の偏光板20においては、上記アクリル系樹脂からなる第1の内側保護フィルム23は、第1の偏光フィルム21の両面に積層されてもよいし、第1の偏光フィルム21の一方の面に積層されてもよい。
(第1の外側保護フィルム)
第1の偏光板20において、第1の偏光フィルム21の第1の内側保護フィルム23が積層される側の面とは反対側の面に積層される第1の外側保護フィルム25は、透明樹脂からなるフィルムであれば特に限定されない。その透明樹脂の例としては、メタクリル酸メチル系樹脂等のアクリル系樹脂(メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂を含む)、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂に代表されるポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂を挙げることができる。
上記の透明樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施して、保護フィルムとしてもよい。このとき、延伸は、MD(流れ方向)またはTD(流れ方向と垂直の方向)に延伸する一軸延伸、MDおよびTDの双方に延伸する二軸延伸、MDでもTDでもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行なってもよい。かかる延伸操作を施すことにより、機械的強度の高い保護フィルムを得ることができる。
アクリル系樹脂は、必要に応じて添加剤等を混合し、溶融混練して得られた材料であってもよい。かかるアクリル系樹脂を保護フィルムとして用いることにより、第1の偏光板20の機械的強度をより向上させることができるとともに、第1の偏光板20を薄肉化することができる。
上記のポリエチレンテレフタレート系樹脂は、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他の共重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等のジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、前記カルボン酸成分やジオール成分と共に、p−オ
キシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することも可能である。他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が用いられてもよい。
上記のポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム化後、上記の延伸処理を施し、第1の外側保護フィルム25として用いることにより、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなどに優れるとともに、厚みの低減を図ることができる。
上記のセルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基および/またはブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、およびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましい。
上記のオレフィン系樹脂は、例えば、ノルボルネンおよび他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した環状オレフィン系樹脂や、エチレンおよびプロピレン等の鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合した鎖状オレフィン系樹脂に代表される。
上記の環状オレフィン系樹脂とは、例えば、シクロペンタジエンとオレフィン類からディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、ジシクロペンタジエンとオレフィン類またはメタクリル酸エステル類からディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添よって得られる樹脂、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂、前記のノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはそれらの誘導体に、ビニル基を有する芳香族化合物等を付加共重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
鎖状オレフィン系樹脂としては、ポリエチレンまたは上記のポリプロピレン系樹脂が例示される。
第1の外側保護フィルム25の厚みは、通常、20〜200μmであり、好ましくは20〜120μmである。第1の外側保護フィルム25の厚みが20μm未満であると、ハンドリングしにくい傾向にあり、厚みが120μmを超えると、偏光板のセットが厚くなる傾向にある。
第1の外側保護フィルム25は、透明性に優れているものを用いる。具体的には、JIS K 7105に準拠して測定される全ヘイズ値が10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましい。全へイズ値が10%より大きい場合は、白輝度が低下し、画面が暗くなることがあるため好ましくない。
第1の外側保護フィルム25には、液晶モジュールの組立工程における擦り傷防止の観点から、ハードコート処理、プリズムシートとカラーフィルターの干渉によるモアレ低減の観点からアンチグレア処理を施してもよい。
(ハードコート層)
第1の外側保護フィルム25のさらに外側にハードコート層26を設けてもよい。ハードコート層26は、第1の外側保護フィルム25の表面硬度を高める機能を有する層であり、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板を用いる)で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。このようなハードコート層26が設けられた第1の外側フィルム25とハードコート層26とからなる積層フィルム24は、その鉛筆硬度が4H以上になることが好ましい。ハードコート層26を形成する材料(ハードコート材料)としては、熱や光で硬化する材料であることが好ましく、例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;二酸化ケイ素などの無機ハードコート材料;などを挙げることができる。これらの中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料が好ましい。
ハードコート層26は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、並びに耐熱性、帯電防止性、および防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有できる。また、ハードコート層26は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、および消泡剤などの添加剤を含有できる。
(防眩性フィルム)
ハードコート層26と、第1の外側保護フィルム25とからなる積層フィルム24は、防眩性フィルム24であってもよい。防眩性フィルム24は、第1の外側保護フィルム25と、その表面に積層された微細な表面凹凸形状を有するハードコート層26とからなる。
防眩性フィルム24のヘイズ値は0.1%以上45%以下であり、好ましくは5%以上40%以下である。ヘイズ値が45%より大きい場合は、外光の映り込みを低減できるものの、黒表示の画面のしまりが低下してしまう。また、ヘイズ値が0.1%より小さい場合は、十分な防眩性能が得られず外光が画面に映り込み実用に耐えない。ここで、ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠した方法により測定される。
上述の微細な表面凹凸形状を有するハードコート層26は、第1の外側保護フィルム25の表面に有機微粒子または無機微粒子を含有した塗膜を形成する方法や、有機微粒子または無機微粒子を含有する、または含有しない塗膜を形成後、凹凸形状を付与したロールに押し当てる方法(例えばエンボス法等)などで製造できるが、これらに限定されるものではない。上記塗膜を形成する方法としては、例えば第1の外側保護フィルム25の表面に、硬化性樹脂組成物からなるバインダー成分と有機微粒子または無機微粒子とを含有する塗布液を塗布する方法などを例示することができる。
無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等を代表的なものとして用いることができる。また、有機微粒子としては、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などの樹脂粒子を用いることができる。
無機微粒子または有機微粒子を分散させるためのバインダー成分は、高硬度(ハードコート)となる材料から選定されることが好ましい。バインダー成分としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬度などの観点から光硬化性樹脂が好ましく使用される。光硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができる。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレートの単独または2種以上と、「イルガキュアー 907」、「イルガキュアー 184」(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、「ルシリン(登録商標) TPO」(BASF社製)等の光重合開始剤との混合物を、光硬化性樹脂とすることができる。例えば、光硬化性樹脂を用いた場合においては、光硬化性樹脂に無機微粒子または有機微粒子を分散した後、該樹脂組成物を透明樹脂フィルム上に塗布し、光を照射することにより、バインダー樹脂からなるハードコート樹脂中に無機微粒子または有機微粒子が分散された、ハードコート層26を形成することができる。
光硬化性樹脂の例としては詳細には、例えば、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーおよび光重合開始剤からなる混合物を挙げることができる。
上記のウレタンアクリレートは、好ましくは、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ならびにジイソシアネートを用いて調製される。例えば、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルおよびポリオールから、水酸基を少なくとも1つ有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを調製し、これをジイソシアネートと反応させることによってウレタンアクリレートを製造することができる。これら(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ならびにジイソシアネートは、それぞれ1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、目的に応じて各種添加剤を加えてもよい。
上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記のポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリジメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類を挙げることができる。
上記のジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族または脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができる。具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの水添物などを挙げることができる。
上記のポリオール(メタ)アクリレートの具体例としては、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの成分は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。ポリオール(メタ)アクリレートは、好ましくはペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む。これらは共重合体であってもよく、混合物であってもよい。
上記の水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマーや、2−ヒドロキシエチル基および2,3−ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他チオキサント系化合物を挙げることができる。
上記の混合物には、必要に応じて溶媒が添加される。溶媒としては、特に制限されないが、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルおよびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、上記の混合物は、レベリング剤を含有してもよく、例えば、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を挙げることができる。シリコーン系のレベリング剤としては、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサンが挙げられる。好ましくは、反応性シリコーンおよびシロキサン系のレベリング剤である。反応性シリコーンのレベリング剤を用いることにより、ハードコート層26表面に滑り性が付与され、優れた耐擦傷性を長期間持続させることができる。また、シロキサン系のレベリング剤を用いると、膜成形性を向上させることができる。
反応性シリコーンのレベリング剤としては、例えば、シロキサン結合と、アクリレート基およびヒドロキシル基とを有するものが挙げられる。具体例としては、
(a)(ジメチルシロキサン):(3−アクリロイル−2−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン):(2−アクリロイル−3−ヒドロキシプロポキシプロピルシロキサン)=0.8:0.16:0.04(モル比)の共重合体、
(b)(ジメチルシロキサン):(ヒドロキシプロピルシロキサン):(6−イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸):(脂肪族ポリエステル)=6.3:1.0:2.2:1.0(モル比)の共重合体、
(c)(ジメチルシロキサン):(末端がアクリレートのメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン):(末端がヒドロキシル基のメチルポリエチレングリコールプロピルエーテルシロキサン)=0.88:0.07:0.05(モル比)の共重合体などが挙げられる。
以上、例示したようなアクリル系のバインダー成分(バインダー樹脂)を用いることにより、透明樹脂フィルムとの密着性が向上するとともに、機械的強度がより向上し、表面の傷付きをより効果的に防止できる防眩性フィルム24を得ることができる。
エンボス法により微細表面凹凸形状を有するハードコート層26を形成する場合には、微細凹凸形状が形成された金型を用いて、金型の形状を透明樹脂フィルム上に形成された
ハードコート層26に転写すればよい。金型形状のハードコート層26への転写は、エンボスにより行うことが好ましく、エンボスとしては、光硬化性樹脂の一種である紫外線硬化性樹脂を用いるUVエンボス法が好ましい。なお、エンボス法により微細表面凹凸形状を形成する場合には、ハードコート層26は、無機または有機微粒子を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
UVエンボス法では、透明樹脂フィルムの表面に紫外線硬化性樹脂層を形成し、その紫外線硬化性樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が紫外線硬化性樹脂層に転写される。具体的には、透明樹脂フィルム上に紫外線硬化性樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化性樹脂を金型の凹凸面に密着させた状態で、透明樹脂フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、次に、硬化後の紫外線硬化性樹脂層が形成された透明樹脂フィルムを金型から剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化性樹脂に転写する。紫外線硬化性樹脂の種類は特に制限されず、たとえば上述のものを用いることができる。また、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光開始剤を適宜選定することにより、紫外線より波長の長い可視光で硬化が可能な可視光硬化性樹脂を用いてもよい。
ハードコート層26の厚みは、特に限定されないが、2μm以上30μm以下であり、より好ましくは3μm以上30μm以下である。ハードコート層26の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、表面が傷付きやすくなる傾向にあり、また、30μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層26の硬化収縮により防眩性フィルム24がカールして生産性が低下したりする傾向がある。
防眩性フィルム24は、上述のように、ハードコート層26によりヘイズが付与されることが好ましいが、ハードコート層26の形成とともに、透明樹脂フィルム中に無機または有機微粒子を分散させることによりヘイズを付与してもよい。また、防眩性フィルム24として、ハードコート層26を有さず、第1の外側保護フィルム25内に無機または有機微粒子が分散された構成とすることも可能である。これらの場合、無機または有機微粒子としては、上述のものを用いることができる。また、無機または有機微粒子が分散された第1の外側保護フィルム25の厚みは、上述の場合と同様、20〜200μm程度とすることが好ましく、20〜120μm程度とすることがより好ましい。
防眩性フィルム24には、上述の防眩処理(ヘイズ付与処理)のほか、帯電防止処理などの表面処理が施されていてもよく、液晶性化合物やその高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。ただし、帯電防止機能は、第1の外側保護フィルム25に表面処理を施すこと以外に、接着剤層などの偏光板の他の部分に付与しても良い。
(偏光フィルムと保護フィルムの貼合)
次に、第1の偏光フィルム21と第1の内側保護フィルム23、および第1の偏光フィルム21と第1の外側保護フィルム25との貼合方法について説明する。本発明において、偏光フィルム21と保護フィルム23,25との貼合には、接着剤が好ましく用いられる。接着剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を用いることができる。本発明において好ましく用いられる接着剤の1つは、無溶剤型の接着剤である。無溶剤型の接着剤は、有意量の溶剤を含まず、加熱や活性エネルギー線(たとえば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により反応硬化する硬化性化合物(モノマーまたはオリゴマーなど)を含み、当該硬化性化合物の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、加熱や活性エネルギー線の照射により反応硬化する硬化性化合物と、重合開始剤とを含む。無溶剤型の接着剤のなかでは、反応性の観点から、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特に、エポキシ化合物を硬化性化合物とする無溶剤型のエポキシ系接着剤は、偏光フィル
ムとアクリル系樹脂フィルムとの接着性、および偏光フィルムとアクリル系樹脂以外の樹脂フィルムからなる保護フィルムとの接着性に優れているためより好ましい。
上記無溶剤型のエポキシ系接着剤に含有される硬化性化合物であるエポキシ化合物としては、特に制限されないが、カチオン重合により硬化するものが好ましく、特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いることがより好ましい。このような分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。なお、硬化性化合物であるエポキシ化合物は、通常、分子内に2個以上のエポキシ基を有する。
まず、芳香族エポキシ化合物の水素化物について説明する。芳香族エポキシ化合物の水素化物は、芳香族エポキシ化合物の原料である芳香族ポリヒドロキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で、芳香環に対して選択的に水素化反応を行なって得られる核水添ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化する方法により得ることができる。芳香族エポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの原料であるビスフェノール類を代表例とする芳香族ポリヒドロキシ化合物を上記のように核水添し、その水酸基にエピクロロヒドリンを反応させれば、芳香族エポキシ化合物の水素化物が得られる。なかでも、芳香族エポキシ化合物の水素化物として、水素化されたビスフェノールAのグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
次に、脂環式エポキシ化合物について説明する。脂環式エポキシ化合物とは、脂環式環に結合したエポキシ基を1個以上有するエポキシ化合物を意味し、「脂環式環に結合したエポキシ基を1個以上有する」とは、下記式に示される構造を有することを意味する。式中、mは2〜5の整数である。
Figure 0006033269
したがって、脂環式エポキシ化合物とは、上記式に示される構造を1個以上有しており、通常、分子内に合計2個以上のエポキシ基を有する化合物である。より具体的には、上記式における(CH中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。(CH中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基などの直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。このような脂環式エポキシ化合物のなかでも、エポキシシクロペンタン環(上記式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上記式においてm=4のもの)を有するエポキシ化合物は、接着強度に優れる接着剤が得られることからより好ましく用いられる。以下に、本発明において好ましく用いられる脂環式エポキシ化合物の構造を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(この化合物は、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3’’,5’’−ジオキサンスピロ−3’’’,4’’’−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物である)、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
また、上記脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。より具体的には、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
本発明において、エポキシ化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
無溶剤型のエポキシ系接着剤に含有されるエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜3,000g/当量、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、エポキシ当量が3,000g/当量を超えると、エ
ポキシ系接着剤に含有される他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
無溶剤型のエポキシ系接着剤は、上記エポキシ化合物をカチオン重合させるために、カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射、または加熱によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるものである。本発明においては、いずれのタイプのカチオン重合開始剤が用いられてもよいが、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。なお、以下では、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を光カチオン重合開始剤とも称する。
光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での接着剤成分の硬化が可能となるため、偏光フィルムの耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、保護フィルムを、密着性良く偏光フィルム上に形成することができる。また、光カチオン重合開始剤を用いると、光で触媒的に作用するため、エポキシ系接着剤に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は、市販品として容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド(登録商標) PCI−220」、「カヤラッド(登録商標) PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカ(登録商標)オプトマー SP−150」、「アデカ(登録商標)オプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製)などを挙げることができる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。
無溶剤型のエポキシ系接着剤は、光カチオン重合開始剤とともに、さらに、必要に応じて光増感剤を含有することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、エポキシ化合物100重量部に対して、0.1〜20重量部程度である。
また、加熱によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる熱カチオン重合開始剤としては、たとえば、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、たとえば、いずれも商品名で、「アデカ(登録商標)オプトン CP77」、「アデカ(登録商標)オプトン CP66」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−2639」、「CI−2624」(以上、日本曹達(株)製)、「サンエイド(登録商標) SI−60L」、「サンエイド(登録商標) SI−80L」、「サンエイド(登録商標) SI−100L」(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。また、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤とを併用することも好ましい。
無溶剤型のエポキシ系接着剤は、オキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物をさらに含有してもよい。
無溶剤型のエポキシ系接着剤を用いる場合において、第1の偏光フィルム21と保護フィルム23,25との接着は、当該接着剤を保護フィルム23,25および/または第1
の偏光フィルム21の接着面に塗布し、両者を貼り合わせることにより行なうことができる。第1の偏光フィルム21および/または保護フィルム23,25に無溶剤型のエポキシ系接着剤を塗工する方法に特別な限定はなく、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行なってもよい。このために用いる溶剤は、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものであればよく、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。
未硬化のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を介して第1の偏光フィルム21に保護フィルム23,25を貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、または加熱することにより、当該接着剤層を硬化させ、保護フィルム23,25を第1の偏光フィルム21上に固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線、たとえば紫外線の照射強度や照射量は、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、保護フィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。また、加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、カチオン重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、保護フィルムに悪影響を与えないように適宜選択される。
以上のようにして得られる、硬化後のエポキシ系接着剤からなる接着剤層の厚さは、通常0.1〜50μmであり、好ましくは1μm以上である。また、1〜20μm、さらには2〜10μmの範囲にあることがより好ましい。
上記無溶剤型のエポキシ系接着剤は、アクリル系樹脂フィルムからなる保護フィルムと偏光フィルムとの貼合、あるいはアクリル系樹脂以外の樹脂フィルムからなる保護フィルムと偏光フィルムとの貼合、またはこれらの両者の貼合に好ましく用いることができる。
また、本発明において用いることができる別の好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、またはこれを水に分散させたものを挙げることができる。水系の接着剤を用いると、接着剤層の厚みをより低減することができる。水系の接着剤としては、接着剤成分として、たとえば、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、あるいは親水性のウレタン系樹脂を含有するものを挙げることができる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズ(登録商標)レジン650」、「スミレーズ(登録商標)レジン675」(いずれも商品名)などがある。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ樹脂を用いる場合は、さらに塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。なかでも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここで
いう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL−506」、「クラレポバール KL−318」、「クラレポバール KL−118」、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール(登録商標) T−330」、「ゴーセナール(登録商標) T−350」、電気化学工業(株)から販売されている「DR−0415」、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF−17」、「AT−17」、「AP−17」などが挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂を含む接着剤は、上記エポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解し、接着剤溶液として調製することができる。この場合、水溶性の架橋性エポキシ樹脂は、水100重量部に対して、0.2〜2重量部程度の範囲の濃度とするのが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部に対して、1〜10重量部程度、さらには1〜5重量部程度とするのが好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、たとえば、DIC(株)から販売されている「ハイドラン(登録商標) AP−20」、「ハイドラン(登録商標) APX−101H」などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、さらにイソシアネート系などの架橋剤を配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンのような多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体のようなポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用し得る市販のイソシアネート系架橋剤として、たとえば、DIC(株)から販売されている「ハイドラン(登録商標)アシスター C−1」などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70重量%程度、さらには20重量%以上、また50重量%以下となるように、水中に溶解または分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、ウレタン系樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように適宜選択される。
上記水系の接着剤を用いる場合において、第1の偏光フィルム21と保護フィルム23,25との接着は、当該接着剤を保護フィルム23,25および/または第1の偏光フィ
ルム21の接着面に塗布し、両者を貼り合わせることにより行なうことができる。より具体的には、第1の偏光フィルム21および/または保護フィルム23,25に水系の接着剤を、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなどの塗工方式で均一に塗布した後、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、たとえば、60〜100℃程度の温度で行なうことができる。接着性をより高めるために、乾燥後、室温よりやや高い温度、たとえば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが好ましい。
上記水系の接着剤は、上記無溶剤型のエポキシ系接着剤と同様に、アクリル系樹脂フィルムからなる保護フィルムと偏光フィルムとの貼合、あるいはアクリル系樹脂以外の樹脂フィルムからなる保護フィルムと偏光フィルムとの貼合、またはこれらの両者の貼合に好ましく用いることができる。第1の偏光フィルム21の両面にアクリル系樹脂フィルムからなる保護フィルムが積層される場合および、第1の偏光フィルム21の一方の面にアクリル系樹脂フィルムからなる保護フィルムを積層し、他方の面にアクリル系樹脂以外の樹脂フィルムからなる保護フィルム(波長板や視野角補償フィルム等の位相差フィルムである場合を含む。以下同様。)を積層する場合のいずれにおいても、第1の偏光フィルム21の両面に積層されるフィルムの接着に同じ接着剤が用いられてもよいし、異なる接着剤が用いられてもよいが、製造工程の簡略化および偏光板の構成部材の削減のためには、同じ接着剤を用いることが好ましい。
なお、偏光板の製造にあたっては、アクリル系樹脂からなる保護フィルム、アクリル系樹脂以外の樹脂からなる保護フィルムにおける、その第1の偏光フィルム21に貼り合わされる側の表面には、コロナ放電処理を施しておくことが好ましい。コロナ放電処理を施すことにより、これらのフィルムと第1の偏光フィルム21との接着力を高めることができる。コロナ放電処理とは、電極間に高電圧をかけて放電し、電極間に配置された樹脂フィルムを活性化する処理である。コロナ放電処理の効果は、電極の種類、電極間隔、電圧、湿度、使用する樹脂フィルムの種類などによっても異なるが、たとえば、電極間隔を1〜5mm、移動速度を3〜20m/分程度に設定するのが好ましい。コロナ放電処理後は、その処理面に、上記のような接着剤を介して第1の偏光フィルム21が貼り合わされる。
(その他の構成)
こうして得られる第1の偏光板20は、第1の内側保護フィルム23の表面に粘着剤層を形成して、粘着剤層付き偏光板とすることができる。このような粘着剤層は、第1の偏光板20を液晶表示装置に適用する場合において、たとえば液晶セル40との貼合に好適に用いることができる。第1の偏光板20は、液晶表示装置に適用される場合に、好ましくは、液晶セル40の前面側(視認側)に貼合して用いられる。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、ブチルゴム系、シリコーン系などのベースポリマーを用いたものが使用できる。特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルをベースとするポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合体をベースとするポリマーが好適に用いられる。粘着剤は通常、これらのベースポリマー中に極性モノマーが共重合されており、この極性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーを挙げることができる。粘着
剤は、通常、ベースポリマーのほか、1種または2種以上の架橋剤を含む。架橋剤としては、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価または多価金属塩、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
粘着剤層の厚みは、3〜50μm程度とすることができる。粘着剤層を偏光板に付与する場合、偏光板の保護フィルム表面にコロナ処理などの表面処理を施してもよい。また、粘着剤層を形成する場合には、粘着剤層の表面を剥離フィルムなどで覆っておくのが通常である。
[液晶パネル]
図2は、本発明に係る液晶パネルの基本的な層構成の一例を示す概略断面図である。図2に示す液晶パネルは、液晶セル40と、その両面に配置された一対の偏光板とからなる。一対の偏光板は、上述の第1の偏光板20と、第2の偏光板30とからなる。第2の偏光板30は、第2の内側保護フィルム33と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルム31と、第2の外側保護フィルム35とがこの順で積層されてなる。第1の偏光板20は、第1の内側保護フィルム23を内側にして、液晶セル40の前面側(視認側)に配置され、第2の偏光板30は、第2の内側保護フィルム33を内側にして、液晶セル40の背面側に配置されている。第1の偏光板20と第2の偏光板とで、本発明に係る液晶表示用の偏光板のセットを構成する。
[第2の偏光板]
図2に示す液晶パネルにおける第2の偏光板30は、第2の内側保護フィルム33と、ポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルム31と、第2の外側保護フィルム35とがこの順で積層されてなる。第2の内側保護フィルム33は、波長590nmにおける面内の位相差値(R)が40〜500nmの範囲にあり、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が20〜500nmの範囲にあり、二軸性オレフィン系樹脂フィルムからなる。
(第2の偏光フィルム)
第2の偏光フィルム31は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものであり、第1の偏光フィルム21について説明したものを同様に用いることができる。第1の偏光フィルム21と第2の偏光フィルム31とは、外形(厚み等)、材質および製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(第2の内側保護フィルム)
本発明に係る第2の偏光板30を構成する第2の内側保護フィルム33は、面内位相差値(R)が40〜500nmの範囲にあり、厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が20〜500nmの範囲にあり、二軸性オレフィン系樹脂フィルムからなる。第2の内側保護フィルム33は、オレフィン系樹脂フィルムを逐次二軸延伸して得られる。
二軸性のオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などが挙げられるが、大型液晶テレビ用液晶パネル、特に垂直配向(VA)モードの液晶セルを備える液晶パネルに本発明の偏光板のセットを用いる場合には、第2の内側保護フィルム33としては、二軸性のポリプロピレン系樹脂フィルムが、光学特性、耐久性の点から好適である。
ここで、第2の内側保護フィルム33としてポリプロピレン系樹脂が好ましい理由を説明する。ポリプロピレン系樹脂は、光弾性係数が2×10−13cm/dyne前後と小さ
いため、液晶表示装置に用いた際に、表示域の光抜けが小さく、透湿度も低い。また、延
伸により位相差が発現しやすく、さらには意外にも、ポリプロピレン系樹脂フィルムの偏光フィルムに対する接着性は、トリアセチルセルロースフィルムほどではないにしても良好であり、公知の各種接着剤を用いた場合に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが十分な強度でポリビニルアルコール系樹脂からなる第2の偏光フィルム31に接着することが見出された。このような理由から、第2の偏光フィルム31の一方の面に配置する第2の内側保護フィルム33として、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって、製造することができる。公知の重合用触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、本発明において第2の内側保護フィルム33として用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、またメタロセン系触媒としては、例えば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって、製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。本発明においては、耐熱性の点から、シンジオタクチックあるいはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。共重合体とする場合、コモノマーの量は、好ましくは1重量%以上である。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、例えば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次の
ようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C);1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C);1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C);1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C);1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C);1−ノネン(C);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテン及び1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、例えば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
偏光フィルムに貼り合わされる保護フィルムとしての透明度や加工性を上げる観点からは、プロピレンを主体として、任意の不飽和炭化水素とのランダム共重合体にするのが好ましい。中でもエチレンとの共重合体が好ましい。共重合体とする場合、プロピレン以外の不飽和炭化水素類は、その共重合割合を1〜10重量%程度にするのが有利であり、より好ましい共重合割合は3〜7重量%である。プロピレン以外の不飽和炭化水素類のユニットを1重量%以上とすることで、加工性や透明性を上げる効果が出てくる傾向にある。ただし、その割合が10重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、耐熱性が悪くなる傾向にあるので、好ましくない。なお、2種類以上のコモノマーとポリプロピレンとの共重合体とする場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含量が、前記範囲であることが好ましい。
本発明の第2の内側保護フィルム33として用いるポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレ
イト(MFR)が0.1〜200g/10分、とりわけ0.5〜50g/10分の範囲にあ
ることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としては例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などがあり、また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の如き紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸及びその塩などが挙げられる。造核剤としては、例えば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
ポリプロピレン系樹脂の原反フィルム
ポリプロピレン系樹脂は、任意の方法で製膜し、原反フィルムとすることができる。この原反フィルムは、透明で実質的に面内位相差のないものである。例えば、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などによって、面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを得ることができる。
押出成形により原反フィルムを製造する方法について、詳しく説明する。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。例えば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプ、さらにマドック
型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気又は真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、
また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっきまたはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャー
プなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm(1)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm(2)Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm(3)Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm(4)
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な原反フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロール又はキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを、前記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させる必要がある。具体的には、両ロールの表面温度が0℃以上30℃以下の範囲に調整される。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる。ロールの表面温度は、好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくる。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.4S以下であることが好ましく、0.05S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬
度が、JIS K 6301に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とするのが好ましく、さらには100N/cm以上250N/cm以下とするのがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを前記の如く短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、及び使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間その表面を保護するために、その片面又は両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼り合わせた状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルム
以上のようにして得られるポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを延伸して位相差を発現させ、二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムとする。特に、逐次二軸延伸により二軸方向の複屈折性を発現させたものが好ましい。このときの延伸倍率は、縦方向及び横方向のうち、光軸を発現させる方向(延伸倍率が大きい方向であって、遅相軸となる方向)で1.1〜10倍程度、それと直交する方向(延伸倍率が小さい方向であって、進相軸となる
方向)で1.1〜7倍程度の範囲から、必要とする位相差値に合わせて、適宜選択すれば
よい。フィルムの横方向に光軸を発現させてもよいし、縦方向に光軸を発現させてもよい。
二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムの面内の位相差値(R)および厚み方向の位相差値(Rth)は、それぞれ第1の内側フィルム23の位相差値で説明した定義と同様であり、上述の式(I)および(II)で定義される。
さらに、第2の内側保護フィルム33に使用する二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムの屈折率には、下式(III)の関係がある。
>n>n (III)
本発明に係る第2の偏光板30に第2の内側保護フィルム33として使用する二軸性ポリプロピレン系樹脂は、面内の位相差値(R)が40〜500nmの範囲にあり、厚み
方向の位相差値(Rth)の絶対値が20〜500nmの範囲にあるものを使用する。こ
の範囲から、適用される液晶表示装置に要求される特性に合わせて、適宜選択すればよい。面内の位相差値(R)は、より好ましくは100nm以下であり、厚み方向の位相差
値(Rth)の絶対値は、より好ましくは80nm以上、また300nm以下である。
また、面内の位相差値(R)の精度は、中心値±7nm以内、好ましくは中心値±5nm以内であり、厚み方向の位相差値(Rth)の精度は、中心値±15nm以内、好ましくは中心値±10nm以内である。これらの値の精度が前記範囲を超えると、液晶ディスプレイの視覚特性が低下するため好ましくない。
フィルム面内の遅相軸角度は、実質的に0°もしくは90°である。この角度から遅相軸がずれると、偏光板をクロスニコルの状態にしたときに光漏れが発生し、正面コントラストなどの視覚特性が大幅に低下するため好ましくない。さらに、遅相軸の精度としては、中心値±0.7°以内にあることが好ましく、中心値±0.5°以内にあることがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は前述したとおり、延伸により位相差が発現しやすく、したがって、上の式におけるnとnの差、あるいはnまたはnとnの差が大きくなりやすい。そこで、このようなポリプロピレン系樹脂フィルムを延伸したものは、厚みdを小さくしても、適度な延伸により所望の位相差値を発現することができる。そのため、本発明の偏光板に第2の内側保護フィルム33として使用する二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムは、その厚みが60μm以下でよい。ただし、あまり薄すぎると、ハンドリング性の低下などが起こり得ることから、5μm以上であるのが好ましい。この二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚みは、10μm以上、また40μm以下であるのがより好ましい。
二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルムからなる第2の内側保護フィルム33を第2の偏光フィルム31に接着するにあたり、両者の軸関係は、目的とする液晶表示装置における視野角特性や色変化特性を考慮したうえで最適なものを選べばよい。正面コントラストが重要視される大型液晶テレビ用途においては、第2の内側保護フィルム33の遅相軸と第2の偏光フィルム31の吸収軸とが、ほぼ平行またはほぼ直交の関係となるように配置することが好ましい。ここで、ほぼ平行とかほぼ直交とかいうときの「ほぼ」は、そこに記載の関係(平行又は直交)であるのが好ましいが、それを中心に±10°程度までのずれは許容されることを意味する。角度のずれは、好ましくは±5°以内、さらに好ましくは±2°以内である。
(第2の外側保護フィルム)
第2の偏光板30の第2の外側保護フィルム35は、透明な樹脂からなるフィルムであれば特に限定はなく、第1の偏光板20の第1の外側保護フィルム25について説明したものを同様に用いることができる。第1の偏光板20の第1の外側保護フィルム25と第2の偏光板30の第2の外側保護フィルム35とは、外形(厚み等)、材質および製造方法などに関し、同じであっても異なっていてもよい。
(偏光フィルムと保護フィルムの貼合)
第2の偏光板30において、第2の偏光フィルム31と第2の内側保護フィルム33または第2の外側保護フィルム35との貼合は、第1の偏光板20について説明した方法と同様の方法によることができる。
[液晶表示装置]
図3は、本発明に係る液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す概略断面図である。図3に示す液晶表示装置は、図2に示す液晶パネルの第2の偏光板30よりさらに背面側に、第2の偏光板30に近い方から順に光拡散板50、バックライト10が配置されている構成である。
(光拡散板)
光拡散板50は、バックライト10からの光を拡散させる機能を有する光学部材であって、例えば、熱可塑性樹脂に光拡散剤である粒子を分散させて光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂板の表面に凹凸を形成して光拡散性を付与したもの、熱可塑性樹脂板の表面に粒子が分散された樹脂組成物の塗布層を設け、光拡散性を付与したものなどであり得る。その厚みは、0.1〜5mm程度とすることができる。また、光拡散板50と液晶パネルとの間には、プリズムシート(集光シートとも呼ばれ、例えば、3M社製の「BEF」など)、輝度向上シート(例えば、3M社製の「DBEF」など)、光拡散シートなど、他の光学機能性を示すシートを配置することもできる。他の光学機能性を示すシートは、必要に応じて1枚以上、複数種類配置することも可能である。さらに、光拡散板50として、例えば、シリンドリカルな形状を表面に有するプリズムシートと光拡散板との積層一体品(例えば、特開2006−284697号公報に記載されるもの)のような、光拡散機能に他の機能が複合化された光学シートを用いることも可能である。
<フィルムの厚みの測定>
デジタルマイクロメーターMH−15M((株)ニコン製)を用いて、フィルムの厚みdを測定した。
<フィルムの面内の位相差値の測定>
位相差測定装置KOBRA(登録商標)−WR(王子計測機器(株)製)を用いて、測定波長590nmで面内の位相差値Rおよび厚み方向の位相差値(Rth)を測定した。
<フィルムのヘイズ値の測定>
製造例4,5のフィルムのヘイズ値は、直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて測定した。また内部ヘイズ値はフタル酸ジメチルにフィルムを浸漬させて、測定を行った。また、ヘイズ値から内部ヘイズ値を差し引いた値を外部ヘイズ値とした。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。
[製造例1]偏光フィルム21,31の作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍、厚みは27μmであった。
[製造例2]防眩性フィルム24の作製
ペンタエリスリトールトリアクリレートと多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)とが重量比60/40で、酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、レベリング剤を含む光硬化性樹脂組成物を用いた。
上記の光硬化性樹脂組成物に、重量平均粒子径が2.7μmのメタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子を光硬化性樹脂組成物(バインダー成分)100部に対して、5部加えて分散させ、固形分(樹脂粒子を含む)の濃度が30%となるように酢酸エチルを添加して、塗布液を調製した。
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比98/2の共重合体にアクリル系ゴム粒子が45%配合されたペレット1と、同じくアクリル系ゴム粒子が15%配合されたペレット2の二種類を用意した。ペレット1とペレット2を0.5:0.5の比になるように押出し機に投入して混練し、Tダイから押出される溶融フィルムを45℃に設定された2本の冷却ロールに挟んで冷却しながら引き取って、厚さ80μmのアクリル系樹脂フィルムを作製した。このアクリル系樹脂フィルムを、第1の外側保護フィルム25として用いた。
このアクリル系樹脂フィルムの上に、上述の塗布液を乾燥後の塗膜厚みが3.4μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。乾燥後のフィルムの塗膜を形成した側より、強度20mW/cmの高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cmとなるように照射し、塗膜の光硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面に凹凸を有するハードコート層26(厚み3.4μm)を形成した。以上の工程により、第1の外側保護フィルム25と、ハードコート層26とからなる、防眩性フィルム24を得た。
防眩性フィルム24のヘイズ値を、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定したところ、20.1%であった。
[製造例3]二軸性ポリプロピレン系樹脂フィルム(第2の内側保護フィルム33)の作製
プロピレン/エチレンランダム共重合体からなるポリプロピレン系樹脂(MFR=約8g/10分、エチレン含量=約5%、融点=138℃)を二軸押出機を用いて溶融混練し、樹脂温度250℃で溶融押出を行ない、20℃の冷却ロールにて急冷することにより、ポリプロピレン系樹脂の原反フィルムを得た後、逐次二軸延伸を行なって、第2の内側保護フィルム33を得た。この第2の内側保護フィルム33は、R=55nm、Rth=125nmであった。
[製造例4]無配向性アクリル系樹脂フィルム(第1の内側保護フィルム23)の作製
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96%/4%の共重合体を用いた。
(アクリル系弾性重合体)
アクリル系弾性重合体粒子として、最内層が、メタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた硬質の重合体、中間層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合させた軟質のゴム弾性体、最外層が、メタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合させた硬質の重合体からなる3層構造のゴム弾性体粒子であって、ゴム弾性体の数平均粒径が240nmのものを用いた。
アクリル系樹脂のペレット70部とアクリル系弾性重合体粒子30部とを、スーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混練して、アクリル系樹脂組成物ペレットとした。このアクリル系樹脂組成物のペレットを、65mmφ一軸押出機に投入し、設定温度275℃のT型ダイを介して押し出し、45℃に温度設定した鏡面を有する二本のポリシングロールフィルムの両面を挟み込んで冷却し、厚さ80μmの第1の内側保護フィルム23を得た。この第1の内側保護フィルム12の面内の位相差値(R)は3.5nm、フィルムの厚み方向の位相差値(Rth)は−5.7nm。内部ヘイズ値は0.4%、外部ヘイズ値は1.5%であった。
[製造例5]無配向性ポリプロピレン保護フィルム(比較例の第1の内側保護フィルム)の作製
プロピレン単独重合体(融点=136℃、結晶化度=52%、マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒(チーグラー・ナッタ系触媒)を用い、気相重合法で連続的に重合したもの)をポリプロピレン系樹脂として、シリンダー温度を250℃とした90mmφ押出機に投入して溶融混練し、その押出機に取り付けられた1250mm幅のTダイより押出した。押出された溶融ポリプロピレン系樹脂は、10℃に温調したキャスティングロール(エアギャップは90mm)とエアーチャンバーとにより冷却し、厚さ50μmのポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを得た。得られたフィルムは、面内の位相差値(R)が6.6nm、内部ヘイズ値が0.3%、外部ヘイズ値が0.7%であった。
<実施例1>
(a)背面側偏光板(第2の偏光板30)の作製
製造例1で得られた偏光フィルム(第2の偏光フィルム31)の片面に厚さ40μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の外側保護フィルム35)を、その貼合面にコロナ処理を施した後、接着剤を介して貼合する。偏光フィルム(第2の偏光フィルム31)の反対面には、製造例3で得られた第2の内側保護フィルム33を、その貼合面にコロナ処理を施した後、接着剤を介して貼合し、背面側偏光板(第2の偏光板30)を得た。なお、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(第2の外側保護フィルム35)および第2の内側保護フィルム33は、それらの遅相軸が第2の偏光フィルム31の延伸軸とそれぞれ直交するように貼合した。次に、第2の内側保護フィルム33の表面に厚さ25μmの粘着剤の層を設けた。偏光板のハンドリング性は良かった。
(b)前面側偏光板(第1の偏光板20)の作製
製造例1で得られた偏光フィルム(第1の偏光フィルム21)の片面に、製造例2で得られた防眩性フィルム24を、接着剤を介して貼合し、第1の偏光フィルム21の反対面には、製造例4で得られた第1の内側保護フィルム23を、その貼合面にコロナ処理を施した後、接着剤を介して貼合し、前面側偏光板(第1の偏光板20)を得た。第1の内側
保護フィルム23の表面に厚さ25μmの粘着剤の層を設けた。偏光板のハンドリング性は良かった。
<比較例1>
(a’)背面側偏光板の作製
背面偏光板は実施例1の(a)と同様にして作製した。
(b’)前面側偏光板の作製
前面側偏光板の第1の保護フィルムとして製造例4で得られた保護フィルムに代えて製造例5で得られポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを使用したこと以外は、実施例1の(b)と同様にして前面側偏光板を作製した。
<評価試験>
ソニー(株)製の液晶表示装置「BRAVIA(登録商標) KDL−40F1」(対角寸法37インチ)の液晶セルから両面の偏光板を剥離し、液晶セルの背面(バックライト側)には、(a)または(a’)で作製した背面側偏光板を、液晶セルの前面(視認側)には、(b)または(b’)で作製した前面側偏光板を、いずれも偏光板の吸収軸が、元々液晶テレビに貼付されていた偏光板の吸収軸方向と一致するように、第1の内側保護フィルムおよび第2の内側保護フィルム上に形成した粘着剤層を介して貼り合わせて、液晶パネルを作製した。次に、この液晶パネルを、バックライト/光拡散板/プリズムシート(3M社製の「BEF」)/輝度向上シート(3M社製の「DBEF」)/液晶パネルの順に配置されるように組み立てて、液晶表示装置を作製した。そして、ディスプレイ正面から見たときの白輝度(cd/m)および黒輝度(cd/m)を、輝度計((株)トプコン製の「SR−UL1」)により測定し、コントラスト比(白輝度/黒輝度)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0006033269
表1からわかるように、実施例1で作製した前面側偏光板を用いると、液晶表示装置において正面のコントラスト比が4030という十分に高い値を示した。すなわち、実施例1で作製した前面側偏光板は、黒表示時における光散乱が少なく、黒輝度が低いために、正面コントラスト低下を抑えることができる。一方、比較例1で作製した前面側偏光板を用いると内部ヘイズ値、外部ヘイズ値共に実施例1で使用した保護フィルムよりも値が低いにもかかわらず、十分に高い値のコントラストが得られなかった。
10 バックライト、20 第1の偏光板、21 第1の偏光フィルム、23 第1の内側保護フィルム、24 防眩性フィルム、25 第1の外側保護フィルム、26 ハードコート層、30 第2の偏光板、31 第2の偏光フィルム、33 第2の内側保護フィルム、35 第2の外側保護フィルム、40 液晶セル、50 光拡散板。

Claims (2)

  1. 第1の内側保護フィルムと、第1の偏光フィルムと、透明樹脂からなる第1の外側保護フィルムとがこの順で積層されてなり、
    第1の偏光フィルムと第1の内側保護フィルム、第1の偏光フィルムと第1の外側保護フィルムがそれぞれ、活性エネルギー線により硬化するエポキシ化合物を含有する樹脂組成物硬化物からなる接着剤層を介して接着されており、
    第1の内側保護フィルムは、透明なアクリル系樹脂に、数平均粒子径が10〜300nmのゴム弾性体粒子が25〜45重量%配合されたアクリル系樹脂組成物からなり、内部ヘイズ値が0.5%以下でかつ外部ヘイズ値が5%以下であり、波長590nmにおける面内位相差値(R)が10nm以下であり、波長590nmにおける厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が10nm以下であり、
    液晶セルに貼合して用いられ、前記液晶セルに近い側から順に、第1の内側保護フィルム、第1の偏光フィルム、第1の外側保護フィルムが位置するように配置される、偏光板。
  2. 前記ゴム弾性体粒子は、アクリル系弾性重合体を含む、請求項1に記載の偏光板。
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