JP2011145644A - 偏光板、ならびにそれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モアレ等の表示不良のない、表示品位に優れた液晶表示装置を得ることができる偏光板、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置を提供する。
【解決手段】ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系偏光フィルム101に接着剤層103を介して、プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材102をその平坦面側で積層し、偏光板100とする。シート部材102は、熱可塑性樹脂から溶融押出しされた溶融状シートを、表面に転写型を備えたロールと表面が平坦なロールとで挟圧することによって製造され、プリズム形状またはレンズ形状の稜線のピッチ間隔が1μm以上70μm以下である。転写型を備えたロールに接した面がプリズム形状またはレンズ形状となり、表面が平坦なロールに接した面が平坦面となる。この偏光板を用いた液晶パネルおよび液晶表示装置も提供される。
【選択図】図1
【解決手段】ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系偏光フィルム101に接着剤層103を介して、プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材102をその平坦面側で積層し、偏光板100とする。シート部材102は、熱可塑性樹脂から溶融押出しされた溶融状シートを、表面に転写型を備えたロールと表面が平坦なロールとで挟圧することによって製造され、プリズム形状またはレンズ形状の稜線のピッチ間隔が1μm以上70μm以下である。転写型を備えたロールに接した面がプリズム形状またはレンズ形状となり、表面が平坦なロールに接した面が平坦面となる。この偏光板を用いた液晶パネルおよび液晶表示装置も提供される。
【選択図】図1
Description
本発明は、偏光フィルムの片面または両面に積層されたプリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材を備える偏光板、ならびにそれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶テレビ、液晶モニタ、パーソナルコンピュータなどに用いられる薄型の表示装置として用途が急拡大している。特に、液晶テレビの市場拡大は著しく、また、低コスト化の要求も非常に高い。
通常の液晶表示装置は、冷陰極管やLEDを用いた面光源素子、光拡散板、1つまたは複数の拡散シート、集光シート、および、偏光板が貼合された液晶パネルから構成されている。近年、壁掛け可能な大画面液晶テレビ用途などにおいて、液晶表示装置の薄型化の要求が顕在化しているが、この場合、液晶表示装置の薄型化に対応して、これに使用する部材の薄肉化、部材点数削減が必要となる。
このような要請に対し、液晶パネルを構成する液晶セルと面光源素子との間に配置される偏光板の片面に集光性を有するプリズムシートを直接接着する方法(たとえば特許文献1)や、液晶パネルの面光源素子側に配置される偏光板の保護フィルムとして、集光性プリズムシートを用いる方法(たとえば特許文献2)により、1つまたは複数の部材を除き、部品点数を削減する技術が知られている。
上記特許文献1および2に記載されるような、プリズムシート等のシート部材を備える偏光板を用いた液晶表示装置においては、プリズム等の規則的な凹凸形状と液晶セルのカラーフィルターが有する規則的なマトリックス構造との干渉によるものと考えられるモアレが生じ、表示品位が低下する場合があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、モアレ等の表示不良のない、表示品位に優れた液晶表示装置を得ることができる偏光板、ならびにこれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置を提供することにある。
本発明は、ヨウ素または二色性染料が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、熱可塑性樹脂からなり、プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材とを備え、該シート部材は、熱可塑性樹脂から溶融押出しされた溶融状シートを、表面に転写型を備えたロールと表面が平坦なロールとで挟圧することによって製造され、その片面は、該転写型を備えたロールに接触することによってプリズム形状またはレンズ形状となっており、他面は、該表面が平坦なロールに接触することによって平坦面となっており、その平坦面で、接着剤層を介して該偏光フィルムの表面に積層されており、該シート部材が有するプリズム形状またはレンズ形状は、その稜線のピッチ間隔が1μm以上70μm以下である偏光板を提供する。
この偏光板において、シート部材の片面に存在するプリズム形状またはレンズ形状は、一つのプリズムまたはレンズの斜面の終点から隣り合う次のプリズムまたはレンズの斜面の始点までの距離が、プリズム形状またはレンズ形状の稜線のピッチ間隔に対して30%以下となるように形成することができる。
本発明の偏光板は、偏光フィルムにおける上記シート部材が積層される面とは反対側の面に、光学補償フィルムまたは保護フィルムを備えていてもよい。本発明の偏光板は、液晶表示装置が備える液晶セルと面光源素子との間に配置される背面側偏光板として好適に用いることができる。
また本発明は、液晶セルと、該液晶セル上に積層される上記本発明の偏光板とを備え、該偏光板が、偏光フィルムにおける上記シート部材が積層される面とは反対側の面が、液晶セルに対向するように配置される液晶パネルを提供する。
また本発明は、液晶セルと、該液晶セル上に積層される上記本発明の偏光板とを備える液晶パネルであって、該液晶セルは、規則的なマトリックス構造を有するカラーフィルターを備え、該液晶セルと該偏光板とは、上記シート部材が有するプリズム形状またはレンズ形状の稜線が、カラーフィルターが有するマトリックス構造のいずれかの辺に略平行となるように配置される液晶パネルを提供する。
さらに本発明は、面光源素子および上記本発明の液晶パネルを備え、該液晶パネルは、その偏光板の上記シート部材が面光源素子と対向するように配置される液晶表示装置を提供する。
本発明の偏光板または液晶パネルを用いた液晶表示装置は、モアレ等の表示不良が抑制されており、表示品位に優れる。また、本発明によれば、偏光板、ならびにこれを適用した液晶パネルおよび液晶表示装置の薄肉化を達成することができる。本発明の偏光板または液晶パネルを用いた本発明の液晶表示装置は、大画面液晶テレビ用液晶表示装置、とりわけ壁掛け可能な液晶テレビ用液晶表示装置に好適に適用することができる。
<偏光板>
図1は、本発明の偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。本発明の偏光板は、図1に示される偏光板100のように、偏光フィルム101と、その表面に接着剤層103を介して積層される、熱可塑性樹脂からなり、プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材102とを備える。偏光フィルム101の他方の面には、接着剤層105を介して光学補償フィルムまたは保護フィルム等の樹脂フィルム104が積層されてもよい。
図1は、本発明の偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。本発明の偏光板は、図1に示される偏光板100のように、偏光フィルム101と、その表面に接着剤層103を介して積層される、熱可塑性樹脂からなり、プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材102とを備える。偏光フィルム101の他方の面には、接着剤層105を介して光学補償フィルムまたは保護フィルム等の樹脂フィルム104が積層されてもよい。
(偏光フィルム)
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルム(図1における偏光フィルム101)は、具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、上記したエチレンをはじめとするオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルム(図1における偏光フィルム101)は、具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、上記したエチレンをはじめとするオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラールなども用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1000〜10000程度であり、好ましくは1500〜5000程度である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の適宜の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されるものではないが、たとえば10〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、上記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程(染色処理工程)、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程(ホウ酸処理工程)、および、このホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程(水洗処理工程)を経て、製造される。
偏光フィルムの製造に際し、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは一軸延伸されるが、この一軸延伸は、染色処理工程の前に行なってもよいし、染色処理工程中に行なってもよいし、染色処理工程の後に行なってもよい。一軸延伸を染色処理工程の後に行なう場合において、この一軸延伸は、ホウ酸処理工程の前に行なってもよいし、ホウ酸処理工程中に行なってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸は、周速の異なるロール間で一軸に延伸するようにしてもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸するようにしてもよい。また、大気中で延伸を行なう乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
染色処理工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行なわれる。二色性色素としては、たとえばヨウ素、二色性染料などが用いられる。二色性染料には、たとえば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾ化合物などからなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部であり、特に好ましくは1×10-3〜1×10-2重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
ホウ酸処理工程は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸処理工程に用いるホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。この場合、ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
続く水洗処理工程では、上述したホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、たとえば水に浸漬することによって水洗処理する。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗処理後は、通常、乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、たとえば熱風乾燥機、遠赤外線ヒータなどを用いて行なうことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
こうして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理および水洗処理を施して、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μmの範囲内である。本発明の偏光板は、このような偏光フィルムの表面に接着剤層を介してプリズム形状またはレンズ形状を有するシート部材が積層された構造を備える。
(シート部材)
本発明の偏光板に用いられるシート部材(図1におけるシート部材102)は、その一方の面の表面形状がプリズム形状またはレンズ形状であるシート状の部材である。このシート部材は、プリズム形状またはレンズ形状を有する面とは反対側の平坦面が偏光フィルムに対向するように、偏光フィルム上に積層される。本発明において、「プリズム形状」とは、三角形形状(ただし、一部に曲線を含んでいてもよい)を平行移動させた軌跡で示されるライン状の突起の複数を、その三角形断面が隣り合うように略平行に配置した形状を意味する。また、「レンズ形状」とは、たとえば半円弧形状などの曲面から形成される凸形状(ただし、一部に直線を含んでいてもよい)を平行移動させた軌跡で示されるライン状の突起の複数を、その凸形状断面が隣り合うように略平行に配置した形状を意味する。ここでいう「略平行」とは、一般には平行であるが、それを中心に±10度程度までのズレは許容されることを意味する。
本発明の偏光板に用いられるシート部材(図1におけるシート部材102)は、その一方の面の表面形状がプリズム形状またはレンズ形状であるシート状の部材である。このシート部材は、プリズム形状またはレンズ形状を有する面とは反対側の平坦面が偏光フィルムに対向するように、偏光フィルム上に積層される。本発明において、「プリズム形状」とは、三角形形状(ただし、一部に曲線を含んでいてもよい)を平行移動させた軌跡で示されるライン状の突起の複数を、その三角形断面が隣り合うように略平行に配置した形状を意味する。また、「レンズ形状」とは、たとえば半円弧形状などの曲面から形成される凸形状(ただし、一部に直線を含んでいてもよい)を平行移動させた軌跡で示されるライン状の突起の複数を、その凸形状断面が隣り合うように略平行に配置した形状を意味する。ここでいう「略平行」とは、一般には平行であるが、それを中心に±10度程度までのズレは許容されることを意味する。
図2は、プリズム形状を表面に有するシート部材(以下、プリズムシートともいう)の一例を示す概略斜視図である。本発明において、プリズム形状の稜線のピッチ間隔(隣り合うライン状突起の稜線間の最短距離)は、1μm以上70μm以下とされ、好ましくは10μm以上50μm以下とされる。ピッチ間隔が70μmを超えると、液晶セルのカラーフィルターが有する規則的なマトリックス構造との干渉により強いモアレが発生し、視認性が悪化する。また、ピッチ間隔が70μmを超える場合、相対的にライン状突起の高さが高くなるため、シート部材の厚みが増し、偏光板薄型化の観点から好ましくない。一方、ピッチ間隔が1μm未満であると、光の回折が生じ、液晶表示装置の視認性に悪影響を与える可能性がある。また、ピッチ間隔が1μm未満であるプリズムシートは、プリズム形状の成形が困難であり、製造上の観点から好ましくない。
プリズムシートが有するライン状突起において、断面三角形形状における頂点の角度(頂角)は、たとえば、10度以上120度以下の範囲とすることができるが、好ましくは30〜100度の範囲である。断面三角形形状の突起の高さは、たとえば、10μm以上200μm以下の範囲とすることができるが、好ましくは15〜100μmの範囲である。断面三角形形状における二辺は、同じ長さであってもよいし、異なる長さを有していてもよい。また、プリズムシートが有するライン状突起の高さは、すべて同じであってもよいし、異なる複数の高さを有するものであってもよい。さらに、プリズムシートが有する複数のライン状突起は、連続して配置されていてもよく、一定の間隔を設けて配置されてもよい。複数のライン状突起は、同じピッチ間隔で配置されてもよいし、本発明で規定する1μm以上70μm以下の範囲において異なるピッチ間隔で配置されてもよいが、一般には同じピッチ間隔で配置されることが好ましい。
図3は、レンズ形状を表面に有するシート部材(以下、レンズシートともいう)の一例を示す概略斜視図である。図3に示されるレンズシートを有するレンズ形状は、レンチキュラーレンズと呼ばれているものである。このようなレンズシートにおいても、上記と同様の理由から、レンズ形状の稜線のピッチ間隔(隣り合うライン状突起の稜線間の最短距離)は、1μm以上70μm以下とされ、好ましくは10μm以上50μm以下とされる。レンズシートが有するライン状突起の高さは、たとえば、5μm以上100μm以下の範囲とすることができる。ライン状突起の高さは、すべて同じであってもよいし、異なる複数の高さを有するものであってもよい。さらに、レンズシートが有する複数のライン状突起は、連続して配置されていてもよく、一定の間隔を設けて配置されてもよい。複数のライン状突起は、同じピッチ間隔で配置されてもよいし、本発明で規定する1μm以上70μm以下の範囲において異なるピッチ間隔で配置されてもよいが、一般には同じピッチ間隔で配置されることが好ましい。
シート部材の厚みは、特に制限されないが、たとえば20μm以上200μm以下程度とすることができ、好ましくは30μm以上100μm以下である。ここでいうシート部材の厚みとは、そのシート部材の一方の面を構成する平坦面(突起形成面とは反対側の面)から、プリズム形状やレンズ形状における頂部までの最短距離を意味する。
シート部材が有するプリズム形状またはレンズ形状は、上記したとおり、稜線に直交する方向に隙間なく連続して形成されてもよいし、一定の間隔を置いて形成されてもよい。図4は、プリズム形状を表面に有するシート部材を例に、稜線に直交する方向の断面が取りうる二つの形態を拡大して示す概略図である。図4の(A)に示す形態は、シート部材102の稜線に直交する断面において、プリズム形状が隙間なく連続して形成されているものである。図4の(B)に示す形態は、シート部材102の稜線に直交する断面において、隣り合うプリズム形状の間に形成される谷部56に平坦部57を有するものである。
図4においては、プリズム形状を構成する断面三角形が同じ形状であるとして、一つのプリズム50の頂部(三次元形状で表すと図2に示される稜線となる部分)51から、隣り合う次のプリズム53の頂部54までの間隔、すなわち稜線のピッチ間隔を符号Pで表している。その他、先に説明した頂角は符号θで、ライン状突起(プリズム)の高さは符号hで、そしてシート部材102の一方の面を構成する平坦面59からプリズムの頂部51,54までの距離を意味する厚みは符号Tでそれぞれ表している。
図4の(B)に示すような、隣り合うプリズム形状の間に形成される谷部56に平坦部57を有する場合は、その平坦部57を挟んで、一つのプリズム50の頂部51から隣り合う次のプリズム53の頂部54までの距離が、稜線のピッチ間隔Pとなる。このように谷部56に平坦部57を有する場合でも、一つのプリズム50の斜面50aの終点52(斜面50aと平坦部57との接点に相当する)から隣り合う次のプリズム53の斜面53aの立ち上がり位置に相当する斜面の始点55(斜面53aと平坦部57との接点に相当する)までの距離d(平坦部57の幅に相当する)は、プリズム形状の稜線のピッチ間隔Pに対して30%以下となるようにするのが好ましく、さらには10%となるようにするのがより好ましい。これは、たとえばプリズム形状の稜線のピッチ間隔Pが50μmであれば、平坦部57の幅dが、15μm以下、さらには5μm以下であるのが好ましいことを意味する。一つのプリズム50の斜面の終点52から隣り合う次のプリズム53の斜面の始点55までの距離d(平坦部57の幅)が、プリズム形状の稜線のピッチ間隔Pに対して30%以下であれば、良好な離型性を維持しながらシート部材102を製造することができ、得られるシート部材の光学特性にも大きな影響を与えない。一方、この距離(幅)dがプリズム形状の稜線のピッチ間隔Pに対して30%を超えると、得られるシート部材を偏光フィルムに貼り合わせて偏光板とし、それを液晶表示装置に適用したとき、輝度などの光学特性に悪影響を与えることがある。
ここでは図4を参照し、シート部材102がプリズム形状を有する場合を例にして説明したが、図3に示すようなレンズ形状を有する場合も同様であり、そのレンズ形状は谷部に平坦部を有していてもよいが、一つのレンズの斜面の終点から、隣り合う次のレンズの斜面の始点までの距離(平坦部の幅)が、レンズ形状の稜線のピッチ間隔に対して30%以下、さらには10%となるようにするのが好ましい。レンズ形状が谷部に平坦部を有する形態は、図4の(B)を参照して、そのプリズム形状をレンズ形状に変えるだけで、容易に理解できるであろう。
プリズム形状またはレンズ形状におけるこのような平坦部は、それらの形状を付与するために用いる転写ロールに設けておき、それを後述するような装置から押出されるシート状に成形された溶融熱可塑性樹脂(本明細書では、「溶融状シート」とも称する)に転写することによって形成することができるほか、転写ロールに格段平坦部が設けられていない場合であっても、溶融押出しされた溶融状シートの転写ロールと表面が平坦なロールとによる挟圧およびそれに続く冷却という流れの中で、不可避的に形成されることもある。
(シート部材の製造方法)
プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材は、熱可塑性樹脂からなり、その熱可塑性樹脂の溶融押出によって製造される。具体的には、熱可塑性樹脂を溶融混練し、Tダイから押出される溶融状シートを、表面に転写型を備えたロール(以下、転写ロールとも称する)と、表面が平坦なロールとで挟圧し、冷却固化する方法によって製造される。そして、上記の転写ロールに接触した面がプリズム形状またはレンズ形状となり、他方の平坦なロールと接触した面が平坦面となる。このような製造方法によれば、プリズム形状またはレンズ形状の稜線のピッチ間隔など、突起形状が精密に制御されたシート部材を生産性良く製造することができる。
プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材は、熱可塑性樹脂からなり、その熱可塑性樹脂の溶融押出によって製造される。具体的には、熱可塑性樹脂を溶融混練し、Tダイから押出される溶融状シートを、表面に転写型を備えたロール(以下、転写ロールとも称する)と、表面が平坦なロールとで挟圧し、冷却固化する方法によって製造される。そして、上記の転写ロールに接触した面がプリズム形状またはレンズ形状となり、他方の平坦なロールと接触した面が平坦面となる。このような製造方法によれば、プリズム形状またはレンズ形状の稜線のピッチ間隔など、突起形状が精密に制御されたシート部材を生産性良く製造することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、透明性や透湿性、および生産性の観点から、ポリプロピレン系樹脂や環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体またはアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂は、必要に応じて、紫外線吸収剤や酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を含有することができる。
図5〜7は、上記シート部材の製造に好適に用いることができるフィルム製造装置の例を示す概略図である。以下、図5〜7を参照しながら、シート部材の製造に好適に用いることができるフィルム製造装置の構成およびこれを用いたシート部材の製造方法について説明する。
〔押出機〕
図5に示されるフィルム製造装置500(図6および7に示されるフィルム製造装置600、700についても同様)を用いたシート部材の製造においては、まず、ホッパー(図示せず)から押出機1に熱可塑性樹脂を投入し、溶融混練しつつ、溶融熱可塑性樹脂をTダイ2へと搬送する。このとき、混練中の熱可塑性樹脂の劣化や分解などを抑制するため、押出機1に熱可塑性樹脂を供給する前に、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス中で熱可塑性樹脂を予備乾燥することが好ましい。また、押出機1内も不活性ガスで置換することが好ましい。
図5に示されるフィルム製造装置500(図6および7に示されるフィルム製造装置600、700についても同様)を用いたシート部材の製造においては、まず、ホッパー(図示せず)から押出機1に熱可塑性樹脂を投入し、溶融混練しつつ、溶融熱可塑性樹脂をTダイ2へと搬送する。このとき、混練中の熱可塑性樹脂の劣化や分解などを抑制するため、押出機1に熱可塑性樹脂を供給する前に、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス中で熱可塑性樹脂を予備乾燥することが好ましい。また、押出機1内も不活性ガスで置換することが好ましい。
熱可塑性樹脂を押出機1中で溶融混練する際には、スクリューを用いるが、該スクリューとしては、押出機1が単軸押出機の場合、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36で、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4の、フルフライトタイプ、バリアタイプまたはマドック型の混練部分を有するタイプのものを用いることができる。熱可塑性樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5のバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂が劣化または分解した場合に発生する揮発ガスを取り除くため、押出機1の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機1の先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。押出機1の先端部分の樹脂圧力を高めることは、先端での背圧を高めることを意味し、これにより押出の安定性を向上させることができる。使用するオリフィスは、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。なお、熱可塑性樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機1とTダイ2との間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、熱可塑性樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルター(図示せず)を取り付けることが好ましい。
〔Tダイ〕
Tダイ2は、押出機1と接続されており、押出機1から搬送された溶融熱可塑性樹脂を横方向に広げるためのマニホールド2bをその内部に有している。また、Tダイ2には、マニホールド2bによって横方向に広げられた溶融熱可塑性樹脂を押出す吐出口2aがその下部に設けられている。そのため、Tダイ2の吐出口2aから押出された溶融熱可塑性樹脂は、溶融状シートに成形されることとなる。
Tダイ2は、押出機1と接続されており、押出機1から搬送された溶融熱可塑性樹脂を横方向に広げるためのマニホールド2bをその内部に有している。また、Tダイ2には、マニホールド2bによって横方向に広げられた溶融熱可塑性樹脂を押出す吐出口2aがその下部に設けられている。そのため、Tダイ2の吐出口2aから押出された溶融熱可塑性樹脂は、溶融状シートに成形されることとなる。
押出される溶融状シートの温度は、180℃以上300℃以下であることが好ましい。この溶融樹脂の温度は、Tダイ2の吐出口2a部分において樹脂温度計を用いて測定される。溶融状シートの温度が180℃未満の場合には、延展性に劣るため、エアギャップ内での伸びの不均一により厚みムラが発生してしまう傾向にある。一方、溶融状シートの温度が300℃を超えると、樹脂が劣化し、分解ガスを生じるなどの理由で吐出口2a部分が汚れてしまい、ダイライン等の不具合が発生し、シート部材の外観不良が生じてしまう傾向にある。
Tダイ2は、溶融熱可塑性樹脂の流路の壁面に微小な段差や傷のないものが好ましい。Tダイ2の吐出口2a部分は、溶融熱可塑性樹脂との摩擦係数が小さい材料であり、かつ、硬い材料でめっきまたはコーティング等(たとえば、タングステンカーバイド系、フッ素系の特殊めっき)がされていると、均一性が高く、外観の良いシート部材を成形できるため好ましい。
Tダイ2の吐出口2aから押出された溶融状シートは、その下部に設置された転写ロールと、表面が平坦なロールとによって挟圧し、冷却固化される。Tダイ2の吐出口2aから、転写ロールと、表面が平坦なロールとによって溶融状シートが挟圧されるまでの間の長さ(エアギャップの長さ)Hは、50mm〜250mm程度であることが好ましく、50mm〜180mm程度であることがより好ましい。エアギャップの長さHが250mmを超えると、エアギャップにおいて配向が発生し、製造されるシート部材に大きな位相差が生じる傾向にある。
〔転写ロール〕
転写ロールは、溶融状シートの表面に押し当てることにより、その転写型を逆型として溶融状シートに転写するものである。転写型は、転写ロール表面に設けられた複数の凹部からなり、当該凹部の形状、溝深さ、ピッチ間隔等は、所望するシート部材の表面凹凸形状に応じて決定される。
転写ロールは、溶融状シートの表面に押し当てることにより、その転写型を逆型として溶融状シートに転写するものである。転写型は、転写ロール表面に設けられた複数の凹部からなり、当該凹部の形状、溝深さ、ピッチ間隔等は、所望するシート部材の表面凹凸形状に応じて決定される。
図5に示されるフィルム製造装置500(図6および7に示されるフィルム製造装置600、700についても同様)は、転写ロールである金属ロール4を備えている。金属ロール4は、高剛性の金属外筒4aと、金属外筒4aの内側に配置された流体軸筒4bと、金属外筒4aと流体軸筒4bとの間の空間および流体軸筒4b内を満たす液体Lと、液体Lの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する。流体軸筒4bには、その周方向に沿って複数の貫通孔4cが設けられている。液体Lとしては、たとえば、水、エチレングリコール、油などを用いることができる。金属ロール4の直径は、200mm〜600mm程度とすることができる。金属ロール4においては、図示しない温度調節手段によって液体Lの温度を調節することにより、間接的に金属外筒4aの表面温度が調節され、対向する表面が平坦なロールとともにTダイ2の吐出口2aから押出された溶融状シートを冷却して固化させる。
上記転写型の作製方法としては、公知の方法を採用することができ、ステンレス鋼、鉄鋼などからなる金属ロールの表面に、たとえばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキなどのメッキ処理を施した後に、そのメッキ面に対してダイヤモンドバイトや金属砥石などを用いた除去加工、レーザーを用いた除去加工、またはケミカルエッチングを行ない、形状を加工する方法が例示される。
転写ロールの表面には、上記転写型を形成した後に、たとえば表面形状の精度を損なわないレベルで、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキなどのメッキ処理を施してもよい。また、同じく表面形状の精度を損なわないレベルで、樹脂層をコートするなどの表面処理を施してもよい。
〔表面が平坦なロール〕
溶融状シートを転写ロールとともに挟圧し、冷却固化するための表面が平坦なロールとしては、弾性ロールを用いることができる。本発明において弾性ロールとは、弾性変形可能な金属ロールまたはゴムロールを意味する。弾性変形可能な金属ロールとしては、図5に示される構成の弾性ロール3を好適に用いることができる。図5に示されるフィルム製造装置500が備える弾性ロール3は、特許第3422798号公報に記載されている成形ロールと同等のものであり、具体的には、筒状とされた金属製の帯状体(無端ベルトともいう)3aと、帯状体3aの内部に配置されたゴム製ロール3b(図5の例においては1本)と、帯状体3aとゴム製ロール3bとの間の空間を満たす液体Lと、液体Lの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する弾性変形可能な金属ロールである。
溶融状シートを転写ロールとともに挟圧し、冷却固化するための表面が平坦なロールとしては、弾性ロールを用いることができる。本発明において弾性ロールとは、弾性変形可能な金属ロールまたはゴムロールを意味する。弾性変形可能な金属ロールとしては、図5に示される構成の弾性ロール3を好適に用いることができる。図5に示されるフィルム製造装置500が備える弾性ロール3は、特許第3422798号公報に記載されている成形ロールと同等のものであり、具体的には、筒状とされた金属製の帯状体(無端ベルトともいう)3aと、帯状体3aの内部に配置されたゴム製ロール3b(図5の例においては1本)と、帯状体3aとゴム製ロール3bとの間の空間を満たす液体Lと、液体Lの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する弾性変形可能な金属ロールである。
帯状体3aは、ばね鋼、ステンレス鋼、ニッケル鋼等の弾性変形が可能な金属シートによって筒状に形成されており、その表面に継ぎ目が存在していない。帯状体3aの両側は、図示しない閉塞部材によって閉塞されている。帯状体3aとしては、その厚みが100μm〜1500μm程度で、その直径が200mm〜600mm程度で、表面粗度が0.5S以下のものを用いることができ、好ましくは表面粗度が0.2S以下である。
ゴム製ロール3bは、円柱形状を有しており、帯状体3aの内部において弾性変形および回転可能とされている。ゴム製ロール3bは、硬度が30〜90程度のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ネオプレンまたはシリコーンによって形成することができる。ゴム製ロール3bの直径は、100mm〜250mm程度とすることができる。
液体Lとしては、たとえば、水、エチレングリコール、油などを用いることができる。図示しない温度調節手段によって液体Lの温度を調節することにより、間接的に帯状体3aの表面温度が調節される。
弾性ロール3において、帯状体3aは、その厚さが350μm〜500μm程度であり、ゴム製ロール3bは、その硬度が60〜75程度であることが好ましい。帯状体3aの厚さが350μm未満であり、ゴム製ロール3bの硬度が60未満であると、弾性ロール3としての弾性が低くなりすぎ、弾性ロール3の幅方向において均一に挟圧することが困難となる傾向にある。また、帯状体3aの厚さが500μmを超え、ゴム製ロール3bの硬度が75を超えると、弾性ロール3としての剛性が高くなりすぎ、柔らかく挟圧する効果が弱くなる傾向にある。
また、弾性ロールとして、図6に示される構成の弾性ロール6を用いることもできる。図6に示されるフィルム製造装置600が備える弾性ロール6は、特開平7−040370号公報に記載されている成形ベルト手段と同等のものであり、具体的には、筒状とされた金属製の帯状体(無端ベルトともいう)6aと、帯状体6aの内部において、金属ロール4の外周面に沿って並ぶと共に長手方向が平行となるように配置された2本のロール6b,6cと、帯状体6aの表面温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する弾性変形可能な金属ロールである。ロール6bはゴム製ロールであり、ロール6cは金属製ロールである。ロール6cの表面温度を温度調節手段で調節することにより帯状体6aの表面温度が調節される。
帯状体6aは、ばね鋼、ステンレス鋼、ニッケル鋼等の弾性変形が可能な金属シートによって筒状に形成されており、その表面に継ぎ目が存在していない。帯状体6aは、ゴム製のロール6bおよび金属製のロール6cに掛け渡されており、ロール6b,6cの距離を近接または離間することにより帯状体6aの張力(テンション)を調節することができるようになっている。帯状体6aとしては、その厚みが300μm〜800μm程度で、円筒状としたときの直径が200mm〜600mm程度のものを用いることができ、好ましくは表面粗度が0.2S以下である。
ロール6b,6cは、円柱形状を有しており、帯状体6aの内部において回転可能とされている。ゴム製のロール6bは、硬度が30〜90程度のEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ネオプレンまたはシリコーンによって形成することができる。また、ロール6b,6cとしては、その直径が80mm〜200mm程度のものを用いることができる。
弾性ロール6において、帯状体6aは、その厚さが350μm〜600μm程度であり、ゴム製のロール6bは、その硬度が60〜80程度であることが好ましい。帯状体6aの厚さが350μm未満であり、ゴム製のロール6bの硬度が60未満であると、弾性ロール6としての弾性が低くなりすぎ、弾性ロール6の幅方向において均一に挟圧することが困難となる傾向にある。また、帯状体6aの厚さが600μmを超え、ゴム製のロール6bの硬度が80を超えると、弾性ロール6としての剛性が高くなりすぎ、ともすればバンク成形(溶融樹脂が金属ロール4と弾性ロール6で挟まれる部分にたまりを生じながら成形される状態)となって、得られるシート部材に位相差が発生してしまう可能性が高くなる傾向にある。
さらに、弾性ロールとして、図7に示される構成の弾性ロール7を用いることもできる。図7に示されるフィルム製造装置700が備える弾性ロール7は、特開平11−235747号公報に記載されている押さえロールと同等のものであり、具体的には、高剛性の金属内筒7aと、金属内筒7aの外側に配置された薄肉金属外筒7bと、金属内筒7aの内側に配置された流体軸筒7cと、金属内筒7aと薄肉金属外筒7bとの間の空間および流体軸筒7c内を満たす液体Lと、液体Lの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する弾性変形可能な金属ロールである。
金属内筒7a、薄肉金属外筒7bおよび流体軸筒7cは、同軸となるように配設されている。金属内筒7aには、その周方向に沿って複数の貫通孔7dが設けられている。また図示は省略するが、流体軸筒7cの軸方向長さ(図7において紙面を突き抜ける方向の長さ)は、他の金属内筒7aおよび薄肉金属外筒7bより少し短くなっており、その両端部には、流体軸筒7cの外面から金属内筒7aの内面に向かって内筒支持フランジが取り付けられている。流体軸筒7c内を満たす液体Lは、流体軸筒7cの一方の端部に設けられた上記内筒支持フランジの外側を通って、金属内筒7aに設けられた貫通孔7dから、金属内筒7aと薄肉金属外筒7bとの間の空間に流れ込み、金属内筒7aに設けられた別の貫通孔7dから、流体軸筒7cの他方の端部に設けられた上記内筒支持フランジの外側へ流れ込むようになっている。そのため、液体Lは、流体軸筒7c、貫通孔7d、金属内筒7aと薄肉金属外筒7bとの間の空間の順に弾性ロール7の内部を循環するようになっている。
薄肉金属外筒7bは、ステンレス鋼などによって形成されており、その表面に継ぎ目が存在しておらず、可撓性を有している。薄肉金属外筒7bは、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性、復元性をもたせるために、弾性力学の薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図られている。薄肉金属外筒7bとしては、その厚みが2000μm〜5000μm程度で、その直径が200mm〜500mm程度で、表面粗度が0.5S以下のものを用いることができ、好ましくは表面粗度が0.2S以下である。
液体Lは、たとえば、水、エチレングリコール、油などを用いることができる。図示しない温度調節手段によって液体Lの温度を調節することにより、間接的に薄肉金属外筒7bの表面温度が調節される。
また、上述のように、弾性ロールとしてゴムロールを使用することもできる。弾性ロールとしてゴムロールを使用する場合、その表面硬度は65〜80の範囲にあることが好ましく、70〜80の範囲にあることがより好ましい。
上記した弾性ロールのなかでも、弾性ロールに接触する面(転写型が付与される面とは反対側の面)の平滑性により優れることから、弾性変形可能な金属ロールを用いることが好ましい。弾性変形可能な金属ロールの表面は鏡面状態であることが好ましい。
〔冷却ロール〕
冷却ロールは、挟圧された溶融状シートをさらに冷却するためのロールである。図5に示されるフィルム製造装置500(図6および7に示されるフィルム製造装置600、700についても同様)が備える冷却ロール5は、上記金属ロール4と同様の構成を有しており、具体的には、高剛性の金属外筒5aと、金属外筒5aの内側に配置された流体軸筒5bと、金属外筒5aと流体軸筒5bとの間の空間および流体軸筒5b内を満たす液体Lと、液体Lの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する。流体軸筒5bには、その周方向に沿って複数の貫通孔5cが設けられている。冷却ロール5としては、その直径が200mm〜600mm程度で、表面粗度が0.2S以下の鏡面のものを用いることができる。冷却ロール5においても同様に、図示しない温度調節手段によって液体Lの温度を調節することにより、間接的に金属外筒5aの表面温度が調節される。
冷却ロールは、挟圧された溶融状シートをさらに冷却するためのロールである。図5に示されるフィルム製造装置500(図6および7に示されるフィルム製造装置600、700についても同様)が備える冷却ロール5は、上記金属ロール4と同様の構成を有しており、具体的には、高剛性の金属外筒5aと、金属外筒5aの内側に配置された流体軸筒5bと、金属外筒5aと流体軸筒5bとの間の空間および流体軸筒5b内を満たす液体Lと、液体Lの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)とを有する。流体軸筒5bには、その周方向に沿って複数の貫通孔5cが設けられている。冷却ロール5としては、その直径が200mm〜600mm程度で、表面粗度が0.2S以下の鏡面のものを用いることができる。冷却ロール5においても同様に、図示しない温度調節手段によって液体Lの温度を調節することにより、間接的に金属外筒5aの表面温度が調節される。
Tダイ2の吐出口2aから押出された溶融状シートを、上記表面が平坦なロールと上記転写ロールとによって挟圧し、冷却固化させることにより、シート部材が製造される。挟圧する圧力(線圧)は、表面が平坦なロールを転写ロールに押し付ける圧力により決まり、1〜300N/mmであるのが好ましく、より好ましくは1〜200N/mmである。線圧が1N/mm未満であると、溶融状シートに対する線圧を均一に制御することが困難となり、転写型を精度よく転写しにくくなる傾向にある。また、線圧が300N/mmを超えると、溶融状シートが強く挟圧されすぎることとなるので、溶融樹脂が、挟圧された部分にたまりながら成形されるバンク成形となり、大きな位相差が発現してしまう傾向にある。
また、表面が平坦なロールと転写ロールとによって挟圧する距離は、1〜30mmであり、好ましくは1〜15mmである。挟圧する距離がこの範囲内であると、転写型を精度よく転写することができる。
溶融状シートを挟圧する際における表面が平坦なロールおよび転写ロールの表面温度は特に制限されないが、急速に溶融状シートを冷却することができ、これにより高い透明性を有するシート部材が得られやすいことから、表面が平坦なロールまたは転写ロールの少なくとも一方のロールの表面温度が0〜60℃であることが好ましく、より好ましくは少なくとも一方のロールの表面温度が0〜40℃であり、さらに好ましくは少なくとも一方のロールの表面温度が0〜30℃である。
なお、上記では弾性ロールが、表面が平坦なロールである場合を説明したが、これに限定されるものではなく、金属ロールを表面が平坦なロールとし、弾性ロールを転写ロールとしてもよい。ただし、厚みムラなく転写型を精度よく転写することができることから、弾性ロールが、表面が平坦なロールであることが好ましい。
(樹脂フィルム)
次に、偏光板を構成するその他の任意部材について説明する。図1に示される例のように、偏光フィルム101におけるシート部材102が積層される面とは反対側の面には、接着剤層105を介して、保護フィルムや光学補償フィルムなどの樹脂フィルム104を積層してもよい。
次に、偏光板を構成するその他の任意部材について説明する。図1に示される例のように、偏光フィルム101におけるシート部材102が積層される面とは反対側の面には、接着剤層105を介して、保護フィルムや光学補償フィルムなどの樹脂フィルム104を積層してもよい。
樹脂フィルム104は、偏光板の分野で保護フィルムまたは光学補償フィルムとして知られている各種の樹脂で構成することができる。そのような樹脂の例として、メタクリル酸メチル系樹脂等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリブチレンテレフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、透明性や偏光フィルムとの接着性を阻害しない範囲で、添加物を含有することができる。
これらの樹脂をフィルム状に製膜して保護フィルムとすることができるほか、製膜された熱可塑性樹脂フィルムにさらに延伸処理を施すこともできる。延伸処理が施されたフィルムは、樹脂の種類に応じて、光学補償を目的としない保護フィルムとして用いられることもあるし、所定の位相差が付与され、光学補償フィルムとして用いられることもある。延伸は、MD(流れ方向)またはTD(流れ方向に直交する方向)に延伸する一軸延伸、MDおよびTDの双方に延伸する二軸延伸、MDでもTDでもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行なってもよい。光学補償フィルムは、このような熱可塑性樹脂フィルムの延伸によって形成することができるほか、基材フィルムに位相差調整機能を有する化合物(たとえば液晶性化合物)を塗布することによって形成することもできる。
樹脂フィルム104をアクリル系樹脂で構成する場合、このアクリル系樹脂は、一般にメタクリル酸メチルを主な構成モノマーとする樹脂であるが、必要に応じてゴム粒子が配合されたものであってもよい。ゴム粒子が配合されたアクリル系樹脂は、靭性が高くなり、フィルムの薄肉化を可能にする。
樹脂フィルム104をポリエチレンテレフタレート系樹脂で構成する場合、このポリエチレンテレフタレート系樹脂は、繰返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂であり、他の共重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等のジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、上記カルボン酸成分やジオール成分とともに、p−ヒドロキシ安息香酸やp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することも可能である。他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム化した後、延伸処理を施したものを保護フィルムとして用いることにより、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなどに優れるとともに、厚みが低減された偏光板を得ることができる。
樹脂フィルム104をセルロース系樹脂で構成する場合、このセルロース系樹脂は、セルロースの部分エステル化物または完全エステル化物であることができ、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステルなどを挙げることができる。より具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。このようなセルロース系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。セルロースエステル系樹脂フィルムの市販品としては、たとえば、富士フイルム(株)から販売されている「フジタックTD80」、「フジタックTD80UF」および「フジタックTD80UZ」、コニカミノルタオプト(株)から販売されている「KC8UX2M」および「KC8UY」などがある。
また、セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、たとえば、上記セルロース系樹脂フィルムに位相差調整機能を有する化合物を含有させたフィルム;セルロース系樹脂フィルム表面に位相差調整機能を有する化合物を塗布したフィルム;セルロース系樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸して得られるフィルムなどが挙げられる。市販のセルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、たとえば、富士フイルム(株)から販売されている「WV BZ 438」および「WV EA」、新日本石油(株)から販売されている「NHフィルム」および「LCフィルム」、コニカミノルタオプト(株)から販売されている「KC4FR−1」および「KC4HR−1」などがある。
セルロース系樹脂フィルムからなる保護フィルムまたは光学補償フィルムの厚みは特に制限されないが、20〜90μmの範囲内であることが好ましく、30〜90μmの範囲内であることがより好ましい。厚みが20μm未満である場合には、フィルムの取扱いが難しく、一方、厚みが90μmを超える場合には、加工性に劣るものとなり、また、得られる偏光板の薄肉化および軽量化において不利である。
樹脂フィルム104をポリオレフィン系樹脂で構成する場合、このポリオレフィン系樹脂は、ノルボルネンや他のシクロペンタジエン誘導体等の環状オレフィンモノマーの重合によって得られる環状オレフィン系樹脂、またはエチレンやプロピレン等の鎖状オレフィンモノマーの重合によって得られる鎖状オレフィン系樹脂であることができる。
ここでいう環状オレフィン系樹脂には、たとえば、シクロペンタジエンとオレフィン類からディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンとオレフィン類または(メタ)アクリル酸エステル類からディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセンまたはその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、またはその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行ない、それに続く水添によって得られる樹脂;前記のノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはそれらの誘導体に、ビニル基を有する芳香族化合物および/または脂肪族不飽和化合物を付加共重合させて得られる樹脂などが包含される。
市販の熱可塑性環状オレフィン系樹脂としては、ドイツのTOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH社から販売されている「Topas」、JSR(株)から販売されている「アートン」、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノア(ZEONOR)」および「ゼオネックス(ZEONEX)」、三井化学(株)から販売されている「アペル」(いずれも商品名)などがあり、これらを好適に用いることができる。このような環状オレフィン系樹脂を製膜して、フィルムを得ることができる。製膜方法としては、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。また、たとえば、積水化学工業(株)から販売されている「エスシーナ」および「SCA40」、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオノアフィルム」、JSR(株)から販売されている「アートンフィルム」(いずれも商品名)などの製膜された環状オレフィン系樹脂フィルムも市販されており、これらも好適に使用することができる。
環状オレフィン系樹脂フィルムからなる保護フィルムまたは光学補償フィルムの厚みは、厚すぎると、加工性に劣るものとなり、また、透明性が低下したり、偏光板の薄肉化および軽量化において不利になったりすることから、10〜100μm程度の範囲にあるのが好ましく、さらには20〜80μmの範囲にあるのがより好ましい。
一方、鎖状オレフィン系樹脂を保護フィルムまたは光学補償フィルムとすることもできる。なかでもポリプロピレン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂を保護フィルムまたは光学補償フィルムとして選択すれば、以下のような優位点がある。すなわち、ポリプロピレン系樹脂は、光弾性係数が2×10-13cm2/dyne前後と小さいため、液晶表示装置としたときに、表示域の光抜けが小さく、透湿度も低い。また、ポリプロピレン系樹脂フィルムの偏光フィルムに対する接着性は、トリアセチルセルロースフィルムほどではないにしても良好であり、公知の各種接着剤を用いた場合に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが十分な強度でポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに接着する。
ポリプロピレン系樹脂は、公知の重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法や、プロピレンと他の共重合性コモノマーとを共重合する方法によって、製造することができる。公知の重合用触媒としては、たとえば、次のようなものを挙げることができる。
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と必要に応じて電子供与性化合物等の第三成分とを組み合わせた触媒系、
(3)メタロセン系触媒など。
これら触媒系の中でも、偏光板の保護フィルムまたは光学補償フィルムとして用いるポリプロピレン系樹脂の製造においては、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを組み合わせたものが、最も一般的に使用できる。より具体的には、有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物として好ましくは、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。
一方、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分としては、たとえば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられ、メタロセン系触媒としては、たとえば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって、製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれであってもよい。樹脂フィルムの耐熱性の観点からは、シンジオタクチックまたはアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体で構成することができるほか、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを少量、たとえば20重量%以下、好ましくは10重量%以下の割合で共重合させたものであってもよい。共重合体とする場合、コモノマーの量は、好ましくは1重量%以上である。
プロピレンに共重合されるコモノマーは、たとえば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。この場合のα−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4);
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8);
1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);
1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5);
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6);
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7);
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン(以上C8);
1−ノネン(C9);1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);
1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
α−オレフィンの中で好ましいものは、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、とりわけ1−ブテンおよび1−ヘキセンがより好ましい。
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含量や1−ブテンユニットの含量は、たとえば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行ない、求めることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、JIS K 7210 に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が0.1〜200g/10分、とりわけ0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRがこの範囲にあるポリプロピレン系樹脂を用いることにより、押出機に大きな負荷をかけることなく均一なフィルム状物を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂には、公知の添加物が配合されていてもよい。添加物としてはたとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤には、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などがあり、また、1分子中にたとえば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系などの化合物が挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドの如き高級脂肪酸アミド、ステアリン酸の如き高級脂肪酸およびその塩などが挙げられる。造核剤としては、たとえば、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンの如き高分子系造核剤などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
ポリプロピレン系樹脂は、任意の方法で製膜し、保護フィルムとすることができる。この保護フィルムは、透明で実質的に面内位相差のないものである。たとえば、溶融樹脂からの押出成形法、有機溶剤に溶解させた樹脂を平板上に流延し、溶剤を除去して製膜する溶剤キャスト法などによって、面内位相差が実質的にないポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを得ることができる。
押出成形により保護フィルムを製造する方法について、詳しく説明する。ポリプロピレン系樹脂は、押出機中でスクリューの回転によって溶融混練され、Tダイからシート状に押出される。押出される溶融状シートの温度は、180〜300℃程度である。このときの溶融状シートの温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
押出機は、単軸押出機であっても2軸押出機であってもよい。たとえば単軸押出機の場合は、スクリューの長さLと直径Dの比であるL/Dが24〜36程度、樹脂供給部におけるねじ溝の空間容積と樹脂計量部におけるねじ溝の空間容積との比(前者/後者)である圧縮比が1.5〜4程度であって、フルフライトタイプ、バリアタイプまたはマドック型の混練部分を有するタイプなどのスクリューを用いることができる。ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を抑制し、均一に溶融混練するという観点からは、L/Dが28〜36で、圧縮比が2.5〜3.5であるバリアタイプのスクリューを用いることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂の劣化や分解を可及的に抑制するため、押出機内は、窒素雰囲気または真空にすることが好ましい。さらに、ポリプロピレン系樹脂が劣化したり分解したりすることで生じる揮発ガスを取り除くため、押出機の先端に1mmφ以上5mmφ以下のオリフィスを設け、押出機先端部分の樹脂圧力を高めることも好ましい。オリフィスの押出機先端部分の樹脂圧力を高めるとは、先端での背圧を高めることを意味しており、これにより押出の安定性を向上させることができる。用いるオリフィスの直径は、より好ましくは2mmφ以上4mmφ以下である。
押出に使用されるTダイは、樹脂の流路表面に微小な段差や傷のないものが好ましく、また、そのリップ部分は、溶融したポリプロピレン系樹脂との摩擦係数の小さい材料でめっきまたはコーティングされ、さらにリップ先端が0.3mmφ以下に研磨されたシャープなエッジ形状のものが好ましい。摩擦係数の小さい材料としては、タングステンカーバイド系やフッ素系の特殊めっきなどが挙げられる。このようなTダイを用いることにより、目ヤニの発生を抑制でき、同時にダイラインを抑制できるので、外観の均一性に優れる樹脂フィルムが得られる。このTダイは、マニホールドがコートハンガー形状であって、かつ以下の条件(1)または(2)を満たすことが好ましく、さらには条件(3)または(4)を満たすことがより好ましい。
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの厚み方向長さ>180mm
……(1)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm
……(2)
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm
……(3)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm
……(4)。
……(1)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの厚み方向長さ>220mm
……(2)
Tダイのリップ幅が1500mm未満のとき:Tダイの高さ方向長さ>250mm
……(3)
Tダイのリップ幅が1500mm以上のとき:Tダイの高さ方向長さ>280mm
……(4)。
このような条件を満たすTダイを用いることにより、Tダイ内部での溶融状ポリプロピレン系樹脂の流れを整えることができ、かつ、リップ部分でも厚みムラを抑えながら押出すことができるため、より厚み精度に優れ、位相差のより均一な保護フィルムを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂の押出変動を抑制する観点から、押出機とTダイとの間にアダプターを介してギアポンプを取り付けることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂中にある異物を取り除くため、リーフディスクフィルターを取り付けることが好ましい。
Tダイから押出された溶融状シートは、金属製冷却ロール(チルロールまたはキャスティングロールともいう)と、その金属製冷却ロールの周方向に圧接して回転する弾性体を含むタッチロールとの間に、挟圧させて冷却固化することで、所望のフィルムを得ることができる。この際、タッチロールは、ゴムなどの弾性体がそのまま表面となっているものでもよいし、弾性体ロールの表面を金属スリーブからなる外筒で被覆したものでもよい。弾性体ロールの表面が金属スリーブからなる外筒で被覆されたタッチロールを用いる場合は通常、金属製冷却ロールとタッチロールの間に、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを直接挟んで冷却する。一方、表面が弾性体となっているタッチロールを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとタッチロールの間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させて挟圧することもできる。
ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを、前記のような冷却ロールとタッチロールとで挟んで冷却固化させるにあたり、冷却ロールとタッチロールは、いずれもその表面温度を低くしておき、溶融状シートを急冷させることが好ましい。具体的には、両ロールの表面温度を0℃以上30℃以下の範囲に調整することが好ましい。これらの表面温度が30℃を超えると、溶融状シートの冷却固化に時間がかかるため、ポリプロピレン系樹脂中の結晶成分が成長してしまい、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる。ロールの表面温度は、より好ましくは30℃未満、さらに好ましくは25℃未満である。一方、ロールの表面温度が0℃を下回ると、金属製冷却ロールの表面に結露して水滴が付着し、フィルムの外観を悪化させる傾向が出てくる。
使用する金属製冷却ロールは、その表面状態がポリプロピレン系樹脂の保護フィルムの表面に転写されるため、その表面に凹凸がある場合には、得られるポリプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度を低下させる可能性がある。そこで、金属製冷却ロールの表面は可能な限り鏡面状態であることが好ましい。具体的には、金属製冷却ロールの表面の粗度は、最大高さの標準数列で表して0.4S以下であることが好ましく、さらには0.05S〜0.2Sであることがより好ましい。
金属製冷却ロールとニップ部分を形成するタッチロールは、その弾性体における表面硬度が、JIS K 6301 に規定されるスプリング式硬さ試験(A形)で測定される値として、65〜80であることが好ましく、さらには70〜80であることがより好ましい。このような表面硬度のゴムロールを用いることにより、溶融状シートにかかる線圧を均一に維持することが容易となり、かつ、金属製冷却ロールとタッチロールとの間に溶融状シートのバンク(樹脂溜り)を作ることなくフィルムに成形することが容易となる。
溶融状シートを挟圧するときの圧力(線圧)は、金属製冷却ロールに対してタッチロールを押し付ける圧力により決まる。線圧は、50N/cm以上300N/cm以下とするのが好ましく、さらには100N/cm以上250N/cm以下とするのがより好ましい。線圧を前記範囲とすることにより、バンクを形成することなく、一定の線圧を維持しながらポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを製造することが容易となる。
金属製冷却ロールとタッチロールの間で、ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートとともに熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを挟圧する場合、この二軸延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と強固に熱融着しない樹脂であればよく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの中でも、湿度や熱などによる寸法変化の少ないポリエステルが最も好ましい。この場合の二軸延伸フィルムの厚さは、通常5〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μmである。
この方法において、Tダイのリップから金属製冷却ロールとタッチロールとで挟圧されるまでの距離(エアギャップ)を200mm以下とすることが好ましく、さらには160mm以下とすることがより好ましい。Tダイから押出された溶融状シートは、リップからロールまでの間引き伸ばされて、配向が生じやすくなる。エアギャップを前記の如く短くすることで、配向のより小さいフィルムを得ることができる。エアギャップの下限値は、使用する金属製冷却ロールの径とタッチロールの径、および使用するリップの先端形状により決定され、通常50mm以上である。
この方法でポリプロピレン系樹脂からなる保護フィルムを製造するときの加工速度は、溶融状シートを冷却固化するために必要な時間により決定される。使用する金属製冷却ロールの径が大きくなると、溶融状シートがその冷却ロールと接触している距離が長くなるため、より高速での製造が可能となる。具体的には、600mmφの金属製冷却ロールを用いる場合、加工速度は、最大で5〜20m/分程度となる。
金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧された溶融状シートは、ロールとの接触により冷却固化する。そして、必要に応じて端部をスリットした後、巻取り機に巻き取られてフィルムとなる。この際、フィルムを使用するまでの間その表面を保護するために、その片面または両面に別の熱可塑性樹脂からなる表面保護フィルムを貼合した状態で巻き取ってもよい。ポリプロピレン系樹脂の溶融状シートを熱可塑性樹脂からなる二軸延伸フィルムとともに金属製冷却ロールとタッチロールとの間で挟圧した場合には、その二軸延伸フィルムを一方の表面保護フィルムとすることもできる。
(接着剤層)
本発明の偏光板は、上述した偏光フィルムの一方の表面に接着剤を用いて上記シート部材を貼合することにより得ることができる。これにより、図1を参照して、偏光フィルム101の表面に接着剤層103を介してシート部材102が積層された偏光板が得られる。偏光フィルム101の他方の面に樹脂フィルム104を積層する場合、偏光フィルム101と樹脂フィルム104との貼合は、同様に接着剤を用いて行なわれる。この接着剤は、接着剤層105を形成するものである。偏光フィルム101に樹脂フィルム104が貼合される場合、シート部材102の貼合に用いられる接着剤と樹脂フィルム104の貼合に用いられる接着剤とは、同種の接着剤であってもよく、異種の接着剤であってもよい。これらのフィルムの貼合に用いられる接着剤としては、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解または分散させた接着剤、および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤を挙げることができる。
本発明の偏光板は、上述した偏光フィルムの一方の表面に接着剤を用いて上記シート部材を貼合することにより得ることができる。これにより、図1を参照して、偏光フィルム101の表面に接着剤層103を介してシート部材102が積層された偏光板が得られる。偏光フィルム101の他方の面に樹脂フィルム104を積層する場合、偏光フィルム101と樹脂フィルム104との貼合は、同様に接着剤を用いて行なわれる。この接着剤は、接着剤層105を形成するものである。偏光フィルム101に樹脂フィルム104が貼合される場合、シート部材102の貼合に用いられる接着剤と樹脂フィルム104の貼合に用いられる接着剤とは、同種の接着剤であってもよく、異種の接着剤であってもよい。これらのフィルムの貼合に用いられる接着剤としては、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解または分散させた接着剤、および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤を挙げることができる。
上記水系接着剤としては、たとえば、接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を用いた水系接着剤が挙げられる。
接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。通常、ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする水系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製される。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分または架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応により得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」および「スミレーズレジン 675」、日本PMC(株)から販売されている「WS−525」などが挙げられる。これら硬化性成分または架橋剤の添加量(共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分または架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分または架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にある。
接着剤成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここで、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、たとえば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また特開2005−070140号公報および特開2005−181817号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに環状オレフィン系樹脂フィルムを貼合することが示されている。
偏光フィルムおよび/またはこれに貼合されるフィルム(シート部材や樹脂フィルム)の表面に接着剤を塗布する方法は、一般に知られている方法でよく、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などを挙げることができる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。接着剤を塗布した後、偏光フィルムおよびこれに貼合されるフィルムを重ね合わせ、一本または複数本のニップロールなどにより挟んでフィルムの貼合を行なう。ニップロールを用いたフィルムの貼合は、たとえば、接着剤を塗布した後、ロールなどで加圧して均一に押し広げる方法、接着剤を塗布した後、ロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法などを採用することができる。前者の場合において、ニップロールの材質としては金属やゴムなどを用いることが可能である。また、後者の複数のロールを用いる場合、それらは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
上記貼合後、乾燥して接着剤層を硬化させることにより偏光板を得ることができる。この乾燥処理は、たとえば熱風を吹き付けることにより行なわれ、その温度は、通常40〜100℃の範囲内であり、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、20〜1200秒である。
乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。乾燥後の接着剤層の厚みが0.001μm未満である場合には、接着が不十分となる虞があり、また、乾燥後の接着剤層の厚みが5μmを超えると、偏光板の外観不良が生じる虞がある。なお、乾燥、硬化前における、上記ニップロール等を用いて貼り合わされた後の接着剤層の厚さは、5μm以下であることが好ましく、また0.01μm以上であることが好ましい。
乾燥処理の後、室温以上の温度で少なくとも半日、通常は1日間以上の養生を施して十分な接着強度が得られるようにしてもよい。かかる養生は、典型的には、ロール状に巻き取られた状態で行なわれる。好ましい養生温度は30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は特に限定されないが、相対湿度が0%〜70%程度の範囲となるように選択されることが好ましい。養生時間は、通常1日〜10日程度、好ましくは2日〜7日程度である。
一方、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤としては、たとえば、光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤との混合物からなる光硬化性接着剤などが挙げられる。光硬化性エポキシ樹脂としては、たとえば、脂環式エポキシ樹脂、脂環式構造を有しないエポキシ樹脂、およびそれらの混合物などが挙げられる。光硬化性接着剤は、光硬化性エポキシ樹脂のほか、アクリル樹脂、オキタセン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などを含んでいてもよく、また、光カチオン重合開始剤とともに、または光カチオン重合開始剤の代わりに、光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
光硬化性接着剤を用いる場合には、偏光フィルムおよび/またはこれに貼合されるフィルム(シート部材や樹脂フィルム)に光硬化性接着剤を塗布し、これらのフィルムを貼合した後、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。光硬化性接着剤の塗布方法およびフィルムの貼合方法は、水系接着剤と同様とすることができる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する紫外線を発生するものが好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。該照射強度が0.1mW/cm2以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下である場合、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる虞が少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させる光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に制限されないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/m2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/m2以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また、10000mJ/m2以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびにシート部材および樹脂フィルムの透明性などの偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは1〜5μmである。
なお、シート部材および樹脂フィルムの偏光フィルムへの貼合に先立ち、偏光フィルムおよび/またはこれに貼合されるフィルムの接着表面に、接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
(粘着剤層)
偏光フィルムにおけるシート部材が積層される面とは反対側の面には、液晶セルと偏光板とを貼合するための粘着剤層が形成されてもよい。偏光フィルムにおけるシート部材が積層される面とは反対側の面に、保護フィルムや光学補償フィルムなどの樹脂フィルムを積層する場合には、該樹脂フィルム上に液晶セルと偏光板とを貼合するための粘着剤層を形成することができる。
偏光フィルムにおけるシート部材が積層される面とは反対側の面には、液晶セルと偏光板とを貼合するための粘着剤層が形成されてもよい。偏光フィルムにおけるシート部材が積層される面とは反対側の面に、保護フィルムや光学補償フィルムなどの樹脂フィルムを積層する場合には、該樹脂フィルム上に液晶セルと偏光板とを貼合するための粘着剤層を形成することができる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を用いることができ、たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、このような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液とし、これを基材フィルム(たとえば偏光フィルム等)上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる。また、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を基材フィルムに転写する方法によっても設けることができる。粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、2〜40μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の偏光板は、液晶表示装置が備える液晶セルと面光源素子との間に配置される背面側偏光板として好適に用いることができる。
<液晶パネルおよび液晶表示装置>
図8は、本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図であり、本発明の液晶パネルを用いた液晶表示装置の一例を示すものである。本発明に係る図8に示される液晶表示装置は、導光板32および導光板32の側方であって、導光板32の一辺に沿うように配置された光源装置31を備える面光源素子30と、面光源素子30上に配置された液晶パネル20とから構成されている。液晶パネル20は、液晶セル13と液晶セル13上に積層される本発明の偏光板である偏光板100とを備えるものである。液晶セル13と偏光板100とは、偏光フィルム101におけるシート部材102が積層される面とは反対側の面が液晶セル13に対向するように(すなわち、シート部材102が液晶パネル20の外面を形成するように)、粘着剤層106aを介して貼合される。偏光板100のプリズム形状またはレンズ形状を有する面は、面光源素子30に対向している。
図8は、本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図であり、本発明の液晶パネルを用いた液晶表示装置の一例を示すものである。本発明に係る図8に示される液晶表示装置は、導光板32および導光板32の側方であって、導光板32の一辺に沿うように配置された光源装置31を備える面光源素子30と、面光源素子30上に配置された液晶パネル20とから構成されている。液晶パネル20は、液晶セル13と液晶セル13上に積層される本発明の偏光板である偏光板100とを備えるものである。液晶セル13と偏光板100とは、偏光フィルム101におけるシート部材102が積層される面とは反対側の面が液晶セル13に対向するように(すなわち、シート部材102が液晶パネル20の外面を形成するように)、粘着剤層106aを介して貼合される。偏光板100のプリズム形状またはレンズ形状を有する面は、面光源素子30に対向している。
図8に示されるように、本発明の液晶パネルにおいて、液晶セルの前面側(液晶表示装置に適用した際の視認側であり、本発明の偏光板が積層される側とは反対側)にも粘着剤層106bを介して偏光板12を設けるが、この液晶セルの前面側に設ける偏光板については特に制限されず、従来公知の適宜の偏光板を用いることができる。たとえば、防眩処理、ハードコート処理または反射防止処理が施された偏光板などを用いることができる。また、偏光フィルムの片面にポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなどからなる保護フィルムまたは光学補償フィルムが積層された偏光板でもよい。
液晶セル13のタイプは特に限定されず、垂直配向(VA)モード、ねじれ複屈折(TN)モード、超ねじれ複屈折(STN)モード、横電界(IPS)モード、ブルー相の液晶を用いた液晶駆動モードなどの従来公知の液晶セルであってよい。
液晶セルは、通常、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色からなる四角形状のカラー画素を規則的に配列したマトリックス構造を有するカラーフィルターを備える。本発明の液晶パネルにおいて、液晶セルと本発明の偏光板とは、たとえば図9に示されるように、シート部材102が有するプリズム形状またはレンズ形状の稜線が、カラーフィルター13aが有するマトリックス構造のいずれかの辺に略平行となるように配置することができる。ここでいうカラーフィルターが有するマトリックス構造のいずれかの辺とは、カラー画素の縦または横の配列方向を意味し、「略平行」とは、平行であることが好ましいが、それを中心に±10度程度までのズレは許容されることを意味する。
本発明の液晶表示装置において、面光源素子としては、拡散板を用いた直下型光源、導光板を用いたエッジライト型光源などを用いることができるが、図8に示されるような、導光板32と導光板32の側方に配置された光源装置31とを備えるエッジライト型光源(面光源素子30)を用いた場合には特に、プリズム形状またはレンズ形状を有するシート部材を配置する効果が有効に発現される。導光板32としては、たとえば、アクリル樹脂等の透明樹脂からなる平板状またはくさび形状部材を用いることができる。導光板の裏面または両面には、インクを使用したスクリーン印刷またはエッチング、ブラストの加工により、パターンが付加される。また、導光板の裏面または両面に、反射機能を有する微小反射素子、微小屈折素子などを構成することもある。
光源装置31としては、LED等の点状光源を線状に並べた光源装置や、冷陰極管等の棒状光源からなる光源装置を用いることができる。本発明の液晶表示装置において、面光源は、導光板の一辺に配置される1つの光源装置を有していてもよいし、または導光板の向かいあう二辺に配置される2つの光源装置を有していてもよい。
本発明の液晶表示装置において、上記以外の構成については、従来公知の液晶表示装置の適宜の構成を採用することができる。たとえば、本発明の液晶表示装置は、光拡散板、光拡散シート、反射板などをさらに備えていてもよい。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板が液晶セルの背面側に貼合された液晶パネルを備えることにより、薄肉化に対応しつつ十分な機械的強度を有するとともに、モアレの発生が十分に抑制され、優れた視認性を示す。また、液晶パネルの背面側にシート部材を配置していることから、液晶パネルとバックライトシステムとの密着が防止されており、これにより、さらなる視認性の改善が達成されている。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量を表す部は、特にことわりがない限り重量基準である。なお、下記の例において作製したプリズムシートの形状転写率、ならびに、プリズムシートの作製に用いたポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)および融点は、以下の方法により測定した。
(1)プリズムシートの形状転写率
得られたプリズムシートを稜線に直交する方向で切断し、断面を鏡面仕上げしたのち、超深度形状測定顕微鏡(KEYENCE社製の「VK−8500」)で観察して、以下の式(1)および式(2)でそれぞれ定義される形状転写率T1(%)およびT2(%)を算出した。
・形状転写率T1(%)=得られたプリズムシートの断面形状の凹部溝深さ/転写ロールの断面形状の凹部溝深さ×100 (1)、
・形状転写率T2(%)=得られたプリズムシートの断面形状のピッチ間隔/転写ロールの断面形状のピッチ間隔×100 (2)。
得られたプリズムシートを稜線に直交する方向で切断し、断面を鏡面仕上げしたのち、超深度形状測定顕微鏡(KEYENCE社製の「VK−8500」)で観察して、以下の式(1)および式(2)でそれぞれ定義される形状転写率T1(%)およびT2(%)を算出した。
・形状転写率T1(%)=得られたプリズムシートの断面形状の凹部溝深さ/転写ロールの断面形状の凹部溝深さ×100 (1)、
・形状転写率T2(%)=得られたプリズムシートの断面形状のピッチ間隔/転写ロールの断面形状のピッチ間隔×100 (2)。
(2)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(3)ポリプロピレン系樹脂の融点Tm
ポリプロピレン系樹脂を熱プレス成形して、厚さ0.5mmのシートを作製した。この熱プレス成形では、熱プレス機内でポリプロピレン系樹脂を230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し、2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却するようにプレスした。作製したプレスシートの切片10mgについて、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下で、下記[1]〜[5]の熱履歴を加えた後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱して融解曲線を作成した。この融解曲線において、最高吸熱ピークを示す温度(℃)を求め、これをポリプロピレン系樹脂の融点Tmとした。
[1]220℃で5分間加熱する、
[2]降温速度300℃/分で220℃から150℃まで冷却する、
[3]150℃において1分間保温する、
[4]降温速度5℃/分で150℃から50℃まで冷却する、
[5]50℃において1分間保温する。
ポリプロピレン系樹脂を熱プレス成形して、厚さ0.5mmのシートを作製した。この熱プレス成形では、熱プレス機内でポリプロピレン系樹脂を230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し、2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却するようにプレスした。作製したプレスシートの切片10mgについて、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下で、下記[1]〜[5]の熱履歴を加えた後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱して融解曲線を作成した。この融解曲線において、最高吸熱ピークを示す温度(℃)を求め、これをポリプロピレン系樹脂の融点Tmとした。
[1]220℃で5分間加熱する、
[2]降温速度300℃/分で220℃から150℃まで冷却する、
[3]150℃において1分間保温する、
[4]降温速度5℃/分で150℃から50℃まで冷却する、
[5]50℃において1分間保温する。
(製造例1:偏光フィルムの作製)
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(製造例2:紫外線硬化型接着剤の調製)
ジャパンエポキシレジン(株)製の水素化エポキシ樹脂である商品名「エピコート YX8000」(核水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテルであって、約205g/当量のエポキシ当量を有する)10.0部、日本曹達(株)製の光カチオン重合開始剤である商品名「CI5102」4.0部、および日本曹達(株)製の光増感剤である商品名「CS7001」1.0部を混合し、脱泡することにより、紫外線硬化型接着剤を調製した。
ジャパンエポキシレジン(株)製の水素化エポキシ樹脂である商品名「エピコート YX8000」(核水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテルであって、約205g/当量のエポキシ当量を有する)10.0部、日本曹達(株)製の光カチオン重合開始剤である商品名「CI5102」4.0部、および日本曹達(株)製の光増感剤である商品名「CS7001」1.0部を混合し、脱泡することにより、紫外線硬化型接着剤を調製した。
(製造例3:プリズムシート1の作製)
図6に示されるフィルム製造装置600を用い、次の手順でプリズムシート1を作製した。まず、ポリプロピレン系樹脂A(プロピレン単独重合体、MFR=7g/10分、Tm=164℃)を、270℃に加熱した50mmφ押出機(スクリュー:L/D=32、フルフライトスクリュー)にて溶融混練し、押出機1から、押出機1に続いて設置されるギアポンプ、アダプターおよびTダイ2(すべて270℃に設定)へと、この順にフィードし、Tダイ2の吐出口2a(リップ口)から溶融状態とされたポリプロピレン系樹脂シート(溶融樹脂)を押出した。Tダイ2の吐出口部分における溶融樹脂の温度は270℃であった。そして、当該溶融樹脂を、図6に示される弾性ロール6と、成形後のプリズム(断面三角形形状の突起)の稜線のピッチ間隔が31.9μm、およびプリズム頂角が65°となるように予め設計された転写型を備えた転写ロールである金属ロール4とによってエアギャップ150mm、挟圧距離4mm、線圧150N/mmで挟圧すると共に、弾性ロール6、金属ロール4および冷却ロール5によって冷却して固化させることで、厚みが100μmのプリズムシート1を得た。得られたプリズムシート1の形状転写率はT1=96%、T2=98%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。
図6に示されるフィルム製造装置600を用い、次の手順でプリズムシート1を作製した。まず、ポリプロピレン系樹脂A(プロピレン単独重合体、MFR=7g/10分、Tm=164℃)を、270℃に加熱した50mmφ押出機(スクリュー:L/D=32、フルフライトスクリュー)にて溶融混練し、押出機1から、押出機1に続いて設置されるギアポンプ、アダプターおよびTダイ2(すべて270℃に設定)へと、この順にフィードし、Tダイ2の吐出口2a(リップ口)から溶融状態とされたポリプロピレン系樹脂シート(溶融樹脂)を押出した。Tダイ2の吐出口部分における溶融樹脂の温度は270℃であった。そして、当該溶融樹脂を、図6に示される弾性ロール6と、成形後のプリズム(断面三角形形状の突起)の稜線のピッチ間隔が31.9μm、およびプリズム頂角が65°となるように予め設計された転写型を備えた転写ロールである金属ロール4とによってエアギャップ150mm、挟圧距離4mm、線圧150N/mmで挟圧すると共に、弾性ロール6、金属ロール4および冷却ロール5によって冷却して固化させることで、厚みが100μmのプリズムシート1を得た。得られたプリズムシート1の形状転写率はT1=96%、T2=98%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。
なお、用いた弾性ロール6、金属ロール4および冷却ロール5の構成は次のとおりである。
(弾性ロール6)
帯状体6a:金属製、円筒状としたときの直径280mm、厚さ300μm、表面粗度0.2S、表面温度20℃、
ロール6b:シリコーン製、直径160mm、硬度60、
ロール6c:金属製、直径160mm、
ロール6bおよび6cの回転速度:5m/min。
帯状体6a:金属製、円筒状としたときの直径280mm、厚さ300μm、表面粗度0.2S、表面温度20℃、
ロール6b:シリコーン製、直径160mm、硬度60、
ロール6c:金属製、直径160mm、
ロール6bおよび6cの回転速度:5m/min。
(金属ロール4)
金属外筒4a:金属製、直径300mm、表面温度20℃、転写型(プリズム形状)、
金属ロールの回転速度:5m/min。
金属外筒4a:金属製、直径300mm、表面温度20℃、転写型(プリズム形状)、
金属ロールの回転速度:5m/min。
(冷却ロール5)
金属外筒5a:金属製、直径300mm、表面粗度0.1S(鏡面)、
冷却ロールの回転速度:5m/min。
金属外筒5a:金属製、直径300mm、表面粗度0.1S(鏡面)、
冷却ロールの回転速度:5m/min。
(製造例4:プリズムシート2の作製)
成形後のプリズムの稜線のピッチ間隔が33.9μmであり、谷部に幅約2μmの平坦部が形成され、プリズム頂角が65°となるように予め設計された転写型を備えた転写ロールを用いること以外は、製造例3と同様にして、プリズムシート2を得た。転写ロールの作製時間が製造例3で用いた転写ロールより短かった。得られたプリズムシート2の形状転写率はT1=97%、T2=99%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。プリズムシート2を転写ロールから剥離する際の離形性も良好であった。
成形後のプリズムの稜線のピッチ間隔が33.9μmであり、谷部に幅約2μmの平坦部が形成され、プリズム頂角が65°となるように予め設計された転写型を備えた転写ロールを用いること以外は、製造例3と同様にして、プリズムシート2を得た。転写ロールの作製時間が製造例3で用いた転写ロールより短かった。得られたプリズムシート2の形状転写率はT1=97%、T2=99%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。プリズムシート2を転写ロールから剥離する際の離形性も良好であった。
(製造例5:プリズムシート3の作製)
成形後のプリズムの稜線のピッチ間隔が63.7μmであること以外は、製造例3と同様にして、プリズムシート3を得た。得られたプリズムシート3の形状転写率はT1=93%、T2=99%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。
成形後のプリズムの稜線のピッチ間隔が63.7μmであること以外は、製造例3と同様にして、プリズムシート3を得た。得られたプリズムシート3の形状転写率はT1=93%、T2=99%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。
(製造例6:プリズムシート4の作製)
成形後のプリズムの稜線のピッチ間隔が95.6μmであること以外は、製造例3と同様にして、プリズムシート4を得た。得られたプリズムシート4の形状転写率はT1=98%、T2=99%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。
成形後のプリズムの稜線のピッチ間隔が95.6μmであること以外は、製造例3と同様にして、プリズムシート4を得た。得られたプリズムシート4の形状転写率はT1=98%、T2=99%であり、ほぼ設計通りの形状を有していた。
<実施例1>
(1)偏光板の作製
製造例1で得た偏光フィルムの一方の面に、製造例3で得たプリズムシート1をそのプリズム面とは反対側(すなわち平坦面)で、他方の面にはトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm、コニカミノルタオプト(株)製)を、それぞれ製造例2で得た紫外線硬化型接着剤を介して貼合した。次に、日本電池(株)製の紫外線照射装置(紫外線ランプは「HAL400NL」を80Wで使用し、照射距離は50cmとした)の中にライン速度1.0m/minで1回通過させることにより上記紫外線硬化型接着剤を硬化させて、良好な外観を有する偏光板を得た。接着剤としたエポキシ樹脂組成物の硬化性は良好であった。この偏光板のトリアセチルセルロースフィルムの外面に、厚み25μmのアクリル系粘着剤の層を設けた。
(1)偏光板の作製
製造例1で得た偏光フィルムの一方の面に、製造例3で得たプリズムシート1をそのプリズム面とは反対側(すなわち平坦面)で、他方の面にはトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm、コニカミノルタオプト(株)製)を、それぞれ製造例2で得た紫外線硬化型接着剤を介して貼合した。次に、日本電池(株)製の紫外線照射装置(紫外線ランプは「HAL400NL」を80Wで使用し、照射距離は50cmとした)の中にライン速度1.0m/minで1回通過させることにより上記紫外線硬化型接着剤を硬化させて、良好な外観を有する偏光板を得た。接着剤としたエポキシ樹脂組成物の硬化性は良好であった。この偏光板のトリアセチルセルロースフィルムの外面に、厚み25μmのアクリル系粘着剤の層を設けた。
(2)液晶表示装置の作製
上記偏光板を、その粘着剤層を介して液晶セルの背面に配置し、液晶セルの前面には市販の偏光板を配置して液晶パネルを組み立て、これを市販の光拡散板、導光板方式の面光源素子と組み合わせて液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を画面より50cm離れた位置より目視にて観察したところ、正面から見て明るい画像が得られ、モアレは気にならない程度であり、視認性は良好であった。
上記偏光板を、その粘着剤層を介して液晶セルの背面に配置し、液晶セルの前面には市販の偏光板を配置して液晶パネルを組み立て、これを市販の光拡散板、導光板方式の面光源素子と組み合わせて液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を画面より50cm離れた位置より目視にて観察したところ、正面から見て明るい画像が得られ、モアレは気にならない程度であり、視認性は良好であった。
<実施例2>
製造例3で得たプリズムシート1に代えて、製造例4で得たプリズムシート2を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、プリズム面の谷部に平坦部が存在しても、正面から見て明るい画像が得られ、モアレはあまり気にならない程度であり、視認性は良好であった。
製造例3で得たプリズムシート1に代えて、製造例4で得たプリズムシート2を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、プリズム面の谷部に平坦部が存在しても、正面から見て明るい画像が得られ、モアレはあまり気にならない程度であり、視認性は良好であった。
<実施例3>
製造例3で得たプリズムシート1に代えて、製造例5で得たプリズムシート3を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、正面から見て明るい画像が得られ、モアレはあまり気にならない程度であり、視認性は良好であった。
製造例3で得たプリズムシート1に代えて、製造例5で得たプリズムシート3を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、正面から見て明るい画像が得られ、モアレはあまり気にならない程度であり、視認性は良好であった。
<比較例1>
製造例3で得たプリズムシート1に代えて、製造例6で得たプリズムシート4を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、正面から見て明るい画像が得られたが、強いモアレが観測され、視認性は不良であった。
製造例3で得たプリズムシート1に代えて、製造例6で得たプリズムシート4を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、正面から見て明るい画像が得られたが、強いモアレが観測され、視認性は不良であった。
1 押出機、2 Tダイ、2a 吐出口、2b マニホールド、3,6,7 弾性ロール、3a,6a 帯状体、3b ゴム製ロール、4 金属ロール、4a,5a 金属外筒、4b,5b,7c 流体軸筒、4c,5c,7d 貫通孔、5 冷却ロール、6b,6c ロール、7a 金属内筒、7b 薄肉金属外筒、12,100 偏光板、13 液晶セル、13a カラーフィルター、20 液晶パネル、30 面光源素子、31 光源装置、32 導光板、50 一つのプリズム、50a 一つのプリズムの斜面、53 隣り合う次のプリズム、53a 隣り合う次のプリズムの斜面、51,54 プリズムの頂部(稜線)、52 一つのプリズムの斜面の終点、55 隣り合う次のプリズムの斜面の始点、56 隣り合うプリズム形状の間に形成される谷部、57 谷部に存在する平坦部、59 シート部材の一方の面を構成する平坦面、101 偏光フィルム、102 シート部材、103,105 接着剤層、104 樹脂フィルム、106a,106b 粘着剤層、500,600,700 フィルム製造装置。
Claims (6)
- ヨウ素または二色性染料が吸着配向された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、
熱可塑性樹脂からなり、プリズム形状またはレンズ形状を表面に有するシート部材とを備え、
前記シート部材は、熱可塑性樹脂から溶融押出しされた溶融状シートを、表面に転写型を備えたロールと表面が平坦なロールとで挟圧することによって製造され、その片面は、前記転写型を備えたロールに接触することによってプリズム形状またはレンズ形状に形成されており、他面は、前記表面が平坦なロールに接触することによって平坦面となっており、その平坦面で、接着剤層を介して前記偏光フィルムの表面に積層されており、
前記シート部材が有する前記プリズム形状またはレンズ形状は、その稜線のピッチ間隔が1μm以上70μm以下である偏光板。 - 前記シート部材の片面に存在するプリズム形状またはレンズ形状は、一つのプリズムまたはレンズの斜面の終点から隣り合う次のプリズムまたはレンズの斜面の始点までの距離が、前記プリズム形状またはレンズ形状の稜線のピッチ間隔に対して30%以下となるように形成されている請求項1に記載の偏光板。
- 前記偏光フィルムにおける前記シート部材が積層される面とは反対側の面に、光学補償フィルムまたは保護フィルムを備える請求項1または2に記載の偏光板。
- 液晶セルと、前記液晶セル上に積層される請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板とを備える液晶パネルであって、
前記偏光板は、前記偏光フィルムにおける前記シート部材が積層される面とは反対側の面が、前記液晶セルに対向するように配置される液晶パネル。 - 液晶セルと、前記液晶セル上に積層される請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板とを備える液晶パネルであって、
前記液晶セルは、規則的なマトリックス構造を有するカラーフィルターを備え、
前記液晶セルと前記偏光板とは、前記シート部材が有する前記プリズム形状またはレンズ形状の稜線が、前記カラーフィルターが有するマトリックス構造のいずれかの辺に略平行となるように配置される液晶パネル。 - 面光源素子および請求項4または5に記載の液晶パネルを備える液晶表示装置であって、前記液晶パネルは、前記偏光板の前記シート部材が前記面光源素子と対向するように配置される液晶表示装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010170354A JP2011145644A (ja) | 2009-12-18 | 2010-07-29 | 偏光板、ならびにそれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置 |
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