JP5109365B2 - 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途 - Google Patents

環状オレフィン系開環共重合体およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP5109365B2
JP5109365B2 JP2006353087A JP2006353087A JP5109365B2 JP 5109365 B2 JP5109365 B2 JP 5109365B2 JP 2006353087 A JP2006353087 A JP 2006353087A JP 2006353087 A JP2006353087 A JP 2006353087A JP 5109365 B2 JP5109365 B2 JP 5109365B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
cyclic olefin
group
copolymer
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006353087A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008163146A (ja
Inventor
求樹 岡庭
充孝 海津
敏 江幡
一郎 梶原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2006353087A priority Critical patent/JP5109365B2/ja
Publication of JP2008163146A publication Critical patent/JP2008163146A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5109365B2 publication Critical patent/JP5109365B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

本発明は、環状オレフィン系開環共重合体およびその用途に関する。詳しくは、本発明は、成形性に優れ、白濁などの問題を生じずに、比較的低温で延伸加工できる環状オレフィン系開環共重合体、および該環状オレフィン系開環共重合体を含む射出成形品、フィルム、シートおよび位相差板に関する。
環状オレフィン系開環(共)重合体は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するために非晶性で光線透過率が高く、しかも屈折の異方性が小さいことにより低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている。係る環状オレフィン系開環(共)重合体としては、例えば特許文献1〜6に記載のものなどが挙げられる。
近年、上記の特徴を利用して、例えば光ディスク、光学レンズ、光ファイバーなどの光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状オレフィン系開環(共)重合体を応用することが検討されている。また、フィルムまたはシート(以下、シートも含めてフィルムという。)に応用し、従来の光学用フィルムの問題点を改良する試みもなされている。
すなわち、従来から光学用フィルムとして使用されているポリカーボネート、ポリエステルあるいはトリアセチルアセテート等のフィルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力変化により位相差が発現したり変化したりする問題や、耐熱性や吸水変形等の問題があるため、これらの問題を解決するものとして、環状オレフィン系開環(共)重合体からなるフィルムが光学用の各種フィルムとして提案されている。例えば、特許文献7〜10には、環状オレフィン系開環(共)重合体のフィルムからなる位相差板(透過光に位相差を与える機能を有する光学フィルム。位相差フィルムともいう。)が記載されている。また、特許文献11〜13には、環状オレフィン系開環(共)重合体のフィルムを偏光板の保護フィルムに使用することが記載されている。さらに、特許文献14には、環状オレフィン系開環(共)重合体のフィルムからなる液晶表示素子用基板が記載されている。
ところで、近年、液晶表示素子(LCD)の大型化や高機能化等に伴い、LCDに用いる位相差板に対する要求特性も一段と厳しくなっており、例えば、大型基板の全面において外観上傷等の欠陥のない位相差板が求められている。このような位相差板を得るためには、位相差板表面にハードコート処理を施したり、成形前の樹脂に潤滑剤を添加して摺動性を改良したりする手法が採られている。しかしながら、ハードコート処理を行うと工程が増加するため高コストになるばかりか、長期間の使用によりハードコートの剥離が起こる等、耐久性の問題がある。また、潤滑剤添加系についても、潤滑剤の位相差板表面への分離等により長期間の摺動性の維持が困難であるという問題や、射出成形の際に潤滑剤由来のガスが発生して金型を汚染し、成形品外観を悪化させるという問題がある。
本発明者はこのような状況に鑑みて鋭意研究した結果、極性基および炭化水素基を有する環状オレフィンと、アルキル基を置換基として有する環状オレフィンとから得られる環状オレフィン系開環共重合体が、優れた摺動性を有し、耐擦傷性に優れており、フィルムまたはシート、および位相差板などの用途に好適であることを見出して本発明の完成に至った。
特開平1−132625号公報 特開平1−132626号公報 特開昭63−218726号公報 特開平2−133413号公報 特開昭61−120816号公報 特開昭61−115912号公報 特開平4−245202号公報 特開平4−36120号公報 特開平5−2108号公報 特開平5−64865号公報 特開平5−212828号公報 特開平6−51117号公報 特開平7−77608号公報 特開平5−61026号公報
本発明は、摺動性に優れるために高い耐擦傷性を有し、フィルム、シートまたは射出成型品の用途に好適で、長期間に亘って耐擦傷性を有する位相差板や成型品を容易に得ることができる、環状オレフィン系開環共重合体を提供することを課題とする。本発明はさらに、前記環状オレフィン系開環共重合体を含む射出成形品、フィルム、シートおよび位相差板を提供することを課題とする。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、下記式(1)で表される構造単位、および、下記式(2)で表される構造単位を有することを特徴としている。
Figure 0005109365
(式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜Rはそれぞれ独立に水素原子;
ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R
の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜Rの少なくとも1つが炭素原
子数1〜10の炭化水素基である。)
Figure 0005109365
(式(2)中、nは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基を表し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。)
このような本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)および(2)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことが好ましい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)で表される構造単位中の極性基が、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
−(CH2COOR’ …(3)
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
本発明の射出成形品は、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴としている。
本発明のフィルムまたはシートは、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴としている。
本発明の位相差板は、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴としている。本発明の位相差板は、前記環状オレフィン系開環共重合体を、フィルム状に成形し、延伸配向して得られることが好ましく、延伸配向が、環状オレフィン系共重合体のTg〜(Tg+10)℃の温度条件で行われたものであることがより好ましい。
本発明によれば、耐熱性および耐擦傷性、光学特性に優れ、フィルム、シート、位相差版や成型品を好適に形成できる、環状オレフィン系共重合体を提供することができる。また、本発明によれば、このような環状オレフィン系共重合体を含む、耐擦傷性、光学特性および耐熱性に優れた射出成形品、フィルム、シート、成型品および位相差板を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<環状オレフィン系共重合体>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、上記式(1)で表される構造単位および上記式(2)で表される構造単位を有する。
上記式(1)で表される構造単位は、開環共重合により、下記式(1’)で表される環状オレフィン系単量体(1)から誘導される。
Figure 0005109365
(式(1’)中、mおよびR1〜Rは、前記式(1)と同様であって、mは0、1また
は2であり、R1〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜Rの少なくとも1つが極性基であり
、かつその他のR1〜Rの少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。

式(1)あるいは式(1’)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜
10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−N
HCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エ
チルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
環状オレフィン系単量体(1)としては、具体的には、例えば、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
ドデカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
本発明では、前記式(1)で表される構造単位における極性基が、下記式(3)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(1)で表される構造単位あるいは前記式(1’)で表される環状オレフィン系単量体(1)は、R1〜Rの少なくとも一つが
、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
−(CH2COOR’ …(3)
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(3)において、nの値が小さいものほど、また、R’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、nは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R’は通常炭素原子数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
さらに、上記式(1)あるいは(1’)において、上記一般式(3)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合には、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
前記式(2)で表される構造単位は、開環共重合により、下記式(2’)で表される環状オレフィン系単量体(2)から誘導される。
Figure 0005109365
(式(2’)中、nおよびRは前記式(2)と同様であって、nは0、1または2であり、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。)
式2中のRは、炭素原子数1〜20のアルキル基であるが、該アルキル基は直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
このような環状オレフィン系単量体(2)としては、具体的には、たとえば、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ウンデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ドデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−テトラデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキサデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプタデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクタデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノナデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イコセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
などが挙げられ、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明では、このうち、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましく用いられる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、それぞれ1種以上の、環状オレフィン系単量体(1)および環状オレフィン系単量体(2)を開環共重合することにより製造することができる。本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンと5−n−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンからなる共重合体であることが、特に好ましい。
本発明において、環状オレフィン系単量体(1)および環状オレフィン系単量体(2)の共重合比率は、これらの合計を100重量部とした場合に、通常、環状オレフィン系単量体(2)が3〜50重量部、好ましくは、5〜20重量部の範囲であるのが望ましい。環状オレフィン系単量体(2)の共重合割合が50重量部を超えると、ガラス転移温度を低下させる場合がある。また、3重量未満では得られる成形体、フィルムまたはシートの摺動性が低下する場合がある。
本発明においては、これらの環状オレフィン系単量体(1)および(2)の他に、本発明の目的を損なわない範囲でその他の環状オレフィン系単量体あるいは共重合可能なその他のモノマーを共重合原料モノマーとして少量用いることもでき、本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)および(2)で表される構造単位以外の構造単位を含有することができる。係る構造単位は、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン系単量体を、上記環状オレフィン系単量体(1)および(2)とともに開環共重合することにより形成することができる。また、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に上記環状オレフィン系単量体(1)および(2)を開環共重合することによっても形成することができ、このような構造単位を有する場合には、本発明の共重合体の耐衝撃性が改善される傾向にある。
しかしながら、本発明においては、環状オレフィン系単量体(1)および(2)のみを用いて共重合を行うのが好ましい。すなわち、本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)および(2)で表される構造単位の他に本発明の目的を損なわない範囲でその他の構造単位を有していてもよいが、前記式(1)および(2)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことが好ましい。
各環状オレフィン系単量体を開環共重合しただけの開環共重合体は、その分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題を有しているため、係るオレフィン性不飽和結合は水素添加されることが好ましいが、係る水素添加反応も公知の方法を適用できる。
例えば、特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された触媒や溶媒および温度条件などを適用することで、開環重合反応および水素添加反応を実施することができる。
オレフィン性不飽和結合の水素添加率としては、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であることが望ましい。なお、本発明における水素添加反応とは、上記の通り、分子内のオレフィン性不飽和結合に対するものであり、本発明の環状オレフィン系開環共重合体が芳香族基を有する場合、係る芳香族基は屈折率など光学的な特性や耐熱性において有利に作用することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常8000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜100,000であり、また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常10,000〜3,000,000、好ましくは20,000〜1,000,000、さらに好ましくは30,000〜500,000の範囲であるのが望ましい。
分子量が過小である場合には、得られるフィルムの強度が低いものとなることがある。一方、分子量が過大である場合には、溶液粘度が高くなりすぎて本発明の共重合体の生産性や加工性が悪化することがある。
また、本発明の共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2.2〜5であるのが望ましい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、23℃における飽和吸水率が、通常0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であるのが望ましい。本発明の共重合体の飽和吸水率が上記の範囲内にあれは、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および位相差の均一性、あるいは寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、他の材料との密着性・接着性に優れるため、使用中に剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
この飽和吸水率が0.01重量%未満である場合には、得られるフィルムは、他材料との密着性や接着性が低いものとなり、使用中に剥離を生じやすくなり、また、酸化防止剤等の添加剤の添加量が制約されることがある。一方、この飽和吸水率が1重量%を超える場合には、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなる。
ここで、飽和吸水率は、ASTM D570に準拠し、23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常110〜250℃であり、好ましくは110〜200℃、さらに好ましくは110〜160℃である。Tgが110℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが110℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが250℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化する場合がある。
また、本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、DSCの微分示差走査熱量曲線が単ピークを示し、かつ、該ピークの立ち上がり温度幅であるTg分布が40℃以下、好ましくは35℃以下という狭い分布を有していることが好ましい。なお、本発明において用いられるDSCの微分示差走査熱量曲線は、昇温速度20℃/分、窒素雰囲気にて測定したに際得られるものである。また、ピークの立ち上がり温度幅とは、ベースラインからピークが立ち上がる変曲点間の幅である。さらに、環状オレフィン系開環共重合体のTgとは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求められる。
<添加剤>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、耐熱劣化性や耐光性の改良のために公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加することができる。例えば、下記フェノール系化合物、チオール系化合物、スルフィド系化合物、ジスルフィド系化合物、リン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、本発明の共重合体100重量部に対して0.01〜10重量部添加することで、耐熱劣化性を向上させることができる。
・フェノール系化合物
フェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ―t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)―6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕―1,1−ジメチルエチル]―2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、などを挙げることができる。好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられ、特に好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを挙げることができる。
・チオール系化合物
チオール系化合物としては、t−ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−4−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1,3−ジメチルベンズイミダゾール、メルカプト酢酸などを挙げることができる。
・スルフィド系化合物
スルフィド系化合物としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテ
トラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3'−チオジプロピオ
ネートなどを挙げることができる。
・ジスルフィド系化合物
ジスルフィド系化合物としては、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド 、ビス(
2−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド
、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド 、2,2'−ジチオジ安息香酸エチル、ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド 、ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド、1,1'−ジナフチルジスルフィド 、2,2'−ジナフチルジスルフィド 、1,2'−ジナフチルジスルフィド 、
2,2'−ビス(1 −クロロジナフチル)ジスルフィド 、1,1'−ビス(2 −クロロ
ナフチル)ジスルフィド 、2,2'−ビス(1 −シアノナフチル)ジスルフィド、2,2'−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステルなどを挙げることができる。
・リン系化合物
リン系化合物としては、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどを挙げることができる。
さらに、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどベンゾフェノン系化合物、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、あるいは2−エチルオキサニリド、2−エチル−2’−エトキシオキサニリドなどのオキサニリド系化合物を、本発明の共重合体100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部添加することにより、耐候性を向上させることができる。
また、本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、溶融押出しによりフィルムなどに成形する場合や、射出成形により成形品を得る場合には、溶融押出時や射出成形時の熱履歴により開環共重合体が熱劣化するのを防止するために添加される酸化防止剤を選択することが重要な技術的要素となる。たとえば、溶融押出により得られたフィルムを延伸加工する場合に、位相差の発現性を低下させない、あるいは低下の度合いを極力小さくするために、成形する環状オレフィン系開環共重合体のガラス転移温度(Tg)よりも+20℃〜Tg+130℃、好ましくはTg+30℃〜Tg+130℃の温度範囲に融点を有するヒンダードフェノール系化合物を酸化防止剤として用いることが好ましい。
溶融押出によりフィルムを成形し、延伸して位相差を発現させる場合、ヒンダードフェノール系化合物を酸化防止剤として用いても、その融点が溶融押出する環状オレフィン系開環共重合体のTg+20℃よりも低い場合には、添加量が増えた場合、位相差の発現性が大きく低下することがある。一方、酸化防止剤の融点が溶融押出する環状オレフィン系開環共重合体のTg+130℃よりも高いと、加工時に酸化防止剤が溶解せずにフィッシュアイなどのフィルム欠陥や異物の原因となることがある。また、融点が環状オレフィン系開環共重合体のTg+20℃〜Tg+130℃にあったとしても、ヒンダードフェノール系化合物以外の化合物を酸化防止剤として用いると、位相差の発現性に低下が認められる場合がある。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体を溶融押出しあるいは射出成形により成形する場合に好ましく用いられる上記酸化防止剤の具体例としては、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナミド)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどが挙げられるが、本発明
はこれらに限定されるものではなく、また、これらについても、成形する環状オレフィン系開環共重合体のTgによっては不適な場合がある。なお、本発明の効果を損なわない限り、これらは組み合わせで使用しても良いし、単独で使用しても良い。
これらの酸化防止剤の添加量は、環状オレフィン系開環共重合体100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部、さらに好ましくは、0.1〜1.5重量部である。酸化防止剤の添加量が0.01重量部に満たない場合には、押出加工時に樹脂にゲルが発生しやすくなり、これに起因して、得られたフィルム上に欠陥として認識されることがあり好ましくない。一方、添加剤量が、5重量部を超えると、加工時に目やにの発生などを招くことがあり、この目やにがダイライン、フィルム上のフィ
ッシュアイ、焼けなどの原因となるため好ましくない。
係る酸化防止剤は、環状オレフィン系開環共重合体を製造する際に添加してもよいし、溶融押出する際に環状オレフィン系開環共重合体のペレットとともに配合してもよい。
また、本発明の環状オレフィン系開環共重合体を溶融押出しや射出成形により成形する場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、滑剤、紫外線吸収剤、染料あるいは顔料などの上記酸化防止剤以外の添加剤を用いることができる。もちろんこの場合でも、融点を有する添加剤の場合、その融点が本発明の必須酸化防止剤の融点の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、特にフィルムやシートの製造、位相差板の製造、光学部品などの射出成形品の製造などに用いる場合には、共重合体中に含まれる異物・ゲル量が可能な限り少ないことが好ましい。異物やゲルが多い場合には、溶融成形して押出フィルムを製造する場合では、フィッシュアイ状の欠陥やダイラインが発生して、特に光学用途に用いるには表面精度が不十分な品質のフィルムとなってしまうことがある。
本発明において、表面性が良好なフィルムを得るには、用いる共重合体1g中に含まれるゲル含有量が30個以下であることが好ましく、さらに20個以下であることが好ましく、特に10個以下であることが好ましい。
ここで、共重合体1g中に含まれるゲル含有量は、たとえば次のようにして測定することができる。すなわち;
精秤した共重合体を0.1μmのメンブランフィルターでろ過して異物を完全に除去したテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、この樹脂溶液を0.5μmのメンブランフィルターを用いて吸引ろ過を実施する。
ろ過後のメンブランフィルターをマッフル炉中、260℃で約30分間加熱する。
メンブランフィルター上のゲル(茶色などに変色した「ブツ」として観察される)を20倍の実体顕微鏡で観察、個数をカウントする。
また、本発明において、表面性が良好なフィルムを得るには、用いる環状オレフィン系開環共重合体中に含まれる50μm以上の異物が全くないことが好ましく、さらに20μ
m以上の異物が全くないことが好ましく、特に10μm以上の異物が全くないことが好ましい。なお、共重合体中の異物は、例えば次のようにして測定することができる。すなわち;
共重合体10gを0.1μmのメンブランフィルターでろ過して異物を完全に除去したテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、パーティクルカウンター(光散乱法)によって、10μm、20μm、50μmの異物個数をカウントする。この方法によって観測されなければ、該当する大きさの異物は共重合体中に存在しないものと定義する。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、動摩擦係数が0.01〜0.35という優れた摺動性を有し、低分子添加剤を用いなくても、長期に渡って摺動性に優れる成形体、フィルムまたはシートを成形することができる。動摩擦係数は好ましくは0.05〜0.20である。
<成形体およびその製造方法>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、射出成形によって成形し、本発明の成形体を得ることができる。射出成形を行う際、重合体のペレットは予め真空乾燥機にて、温度20〜120℃、好ましくは80〜100℃で、0.5〜20時間、好ましくは1〜4時間乾燥処理を行うことが好ましい。射出成形は、ホッパーとシリンダーを窒素で充満した
条件下で行うことが好ましい。樹脂温度は180〜300℃、好ましくは250〜300℃、金型温度20〜130℃、好ましくは60〜100℃、射出速度10〜1000mm/sec、好ましくは100〜300mm/secである。得られた成形体は、例えば、各種レンズ部品、位相差板、導光体、導光板、光ディスク、樹脂スタンパー、回折格子など各種光学材料として有用である。
<フィルムまたはシート>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、公知の溶液流延法(溶剤キャスト法あるいは溶融成形法などによりフィルム状に成形することができ、このようにして本発明に係るフィルムまたはシート(以下、シートも含めてフィルムという)を得ることができる。
・溶剤キャスト法
溶剤キャスト法としては、例えば、本発明の共重合体を溶媒に溶解または分散させることにより、本発明の共重合体が適度の濃度で含有されてなるフィルム形成液を調製し、このフィルム形成液を適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布することによって流延し、これによりキャリヤー上にフィルム形成液の液相を形成した後、当該液層に対して乾燥等による溶媒の除去処理を行い、得られる膜をキャリヤーから剥離させる方法を好ましい方法として挙げることができる。
溶剤キャスト法でのフィルム形成液の調製において、本発明の共重合体の濃度は、通常0.1〜70重量%であり、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。この濃度が過小である場合には、所要の厚みを有するフィルムを得ることが困難となる他、乾燥により溶媒を除去する際に当該溶媒の蒸発に伴って発泡等が生じやすく、表面平滑性が良好なフィルムを得ることが困難となることがある。一方、この濃度が過大である場合には、フィルム形成液の粘度が高くなりすぎるため、厚みや表面状態が均一なフィルムを得ることが困難となることがある。
また、フィルム形成液の粘度は、室温で、通常1〜1,000,000(mPa・s)、好ましくは10〜100,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜80,000(mPa・s)、特に好ましくは1000〜60,000(mPa・s)である。
フィルム形成液の調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記の溶媒以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が、通常10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用することにより、表面状態の均一性および光学特性の良好なフィルムを得ることができる。
上記の溶媒は単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒を2種以上組み合わせて用いる場合には、得られる混合溶媒のSP値が上記の範囲内であることが好ましい。ここで、混合溶媒のSP値の値は、各溶媒のSP値およびそれらの重量比から求めることができ、例えば2種の溶媒から得られる混合溶媒においては、各溶媒の重量分率をW1およびW2とし、SP値をSP1およびSP2としたとき、混合溶媒のSP値は、式:SP値=W1・SP1+W2・SP2により算出することができる。
本発明の共重合体を溶媒に溶解または分散させる際の温度は、室温でも高温でもよく、十分に撹拌することにより、本発明の共重合体が均一に溶解または分散したフィルム形成液が得られる。
また、必要に応じてフィルム形成液に染料、顔料等の着色剤を適宜添加することができ、これにより、着色されたフィルムを得ることができる。
また、得られるフィルムの表面平滑性を向上させることを目的として、フィルム形成液にレベリング剤を添加してもよい。かかるレベリング剤としては、一般的なものであれは種々のものを用いることができ、その具体例としては、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
フィルム形成液の液層を形成するためのキャリヤーとしては、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等よりなるポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどを用いることができる。
フィルム形成液を塗布する方法としては、ダイスやコーターを使用する方法、スプレー法、刷毛塗り法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法などを利用することができる。
また、フィルム形成液を繰り返し塗布することにより、得られるフィルムの厚みや表面平滑性を制御することもできる。
また、キャリヤーとしてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。ここで、表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーティングまたはラミネートすることにより、これらの樹脂よりなる層を形成する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
また、キャリヤーとして、例えば金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム等の表面にサンドマット処理やエンボス処理を施して凹凸を形成したものを用いることにより、得られるフィルムの表面には、キャリヤーの表面の凹凸が転写され、これにより、光拡散機能を有するフィルムを製造することができる。もちろん、フィルムに直接サンドマット処理を施すことにより、当該フィルムに光拡散機能を付与することも可能である。
溶剤キャスト法において、液層中の溶媒を除去するための具体的な方法は、特に限定されず、一般的に用いられる乾燥処理法、例えば多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法を利用することができるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、得られるフィルムの特性を著しく低下させるので、これを回避するために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程における温度あるいは風量を制御することが好ましい。
このようにして得られるフィルム中の残留溶媒量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、フィルム中の残留溶媒量が10重量%を超える場合には、当該フィルムを実際に使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりガラス転移温度が低くなり、耐熱性も低下することため好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、フィルム中の残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節することが必要となる場合がある。具体的には、延伸配向処理によってフィルムに位相差を安定して均一に発現させるために、フィルム中の残留溶媒量を通常10〜0
.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。フィルム中に微量の溶媒を残留させることにより、延伸配向処理が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
溶剤キャスト法で得た本発明のフィルムの厚みは、通常0.1〜3,000μm、好ましくは0.1〜1,000μm、さらに好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜300μmである。この厚みが過小である場合には、当該フィルムを実際上取り扱うことが困難となる。一方、この厚みが過大である場合には、ロール状に巻き取ることが困難になる。
また、溶剤キャスト法で得た本発明のフィルムの厚み分布は、平均値に対して通常±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動率は、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。フィルムの厚み分布を上記の範囲内に制御することにより、当該フィルムに対して延伸配向処理を行う際に、位相差ムラの発生を防止することができる。
・押出成形法(溶融押出法)
本発明のフィルムは、本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体を溶融押出成形することによっても得ることができる。
以下、本発明で用いられる押出機などの設備について具体例を挙げて説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
本発明における溶融押出法においては、通常、押出機に環状オレフィン系開環共重合体を投入する前に、環状オレフィン系開環共重合体中に含まれている水分、気体(酸素など)、残溶剤などを予め除去することを目的としてTg以下の適切な温度で樹脂の乾燥を行う。
乾燥に用いる乾燥機は特に限定されるものではないが、通常、熱風循環乾燥機、除湿式乾燥機、真空乾燥機、窒素などの不活性ガス循環式乾燥機が用いられ、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の揮発成分あるいは溶存酸素を効率よく取り省ける点で、特に不活性ガス循環式乾燥機あるいは真空乾燥機を用いることが好ましい。また、ホッパー中での吸湿や酸素の吸収を抑えるため、ホッパーを窒素やアルゴンなどの不活性ガスでシールしたり、減圧状態に保持できる真空ホッパーを使用したりすることも好ましいものである。さらに、押出機シリンダーには、溶融押出し中に発生する揮発成分を取り除くためにベント機能や酸素混入によるポリマーの劣化を押させるために窒素やアルゴンなどの不活性ガスによりシールする機能を設けることが好ましい。
押出成形法としては、押出機により、樹脂を溶融し、ギアポンプにより定量供給し、これを金属フィルターでろ過により不純物を除去して、ダイにてフィルム形状に賦型し、引き取り機を用いてフィルムを冷却し、巻き取り機を用いて巻き取る方法が一般的に使用される。
押出成形に使用される押出機としては、単軸、二軸、遊星式、コニーダー、バンバリーミキサータイプなど、いずれを用いても良いが、好ましくは単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュウ形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、ダブルフライト型、フルフライト型などがあり、圧縮タイプとしては、緩圧縮タイプ、急圧縮タイプなどがあるが、フルフライト型緩圧縮タイプが好ましい。
計量に使用するギアポンプに関しては、ギアの間で下流側より戻される樹脂が、系内に入る内部潤滑方式と、外部に排出される外部潤滑方式があるが、熱安定性が良好でない熱
可塑性ノルボルネン系樹脂の場合には、外部潤滑方式が好ましい。ギアポンプのギア歯の切り方は、軸に対して、平行な方向よりも、ヘリカルタイプの方が、計量の安定化の点から好ましい。
異物のろ過に使用するフィルターに関しては、リーフディスクタイプ、キャンドルフィルタータイプ、リーフタイプ、スクリーンメッシュなどが挙げられるが、比較的滞留時間分布が小さく、ろ過面積を大きくすることが可能な、リーフディスクタイプのものが好ましい。フィルターエレメントとしては、金属繊維焼結タイプ、金属粉末焼結タイプ、金属繊維/粉末積層タイプなどが挙げられる。
フィルターのセンターポールの形状には、外流タイプ、六角柱内部流動タイプ、円柱内部流動タイプなどが挙げられるが、滞留部が小さい形状であれば、いずれの形状を選択することも可能であるが、好ましくは、外流タイプである。
溶融された環状オレフィン系開環共重合体は、ダイから吐出され、冷却ドラムに密着固化されて目的とするフィルムに成形される。ダイ形状に関しては、ダイ内部の樹脂流動を均一にすることが必須であり、フィルムの厚みの均一性を保つためには、ダイ出口近傍でのダイ内部の圧力分布が幅方向で一定であることが必須である。また、幅方向での樹脂の流量がほぼ一定であり、ダイの出口での流量の微調整をリップ開度により調整可能な範囲で一定であることが厚みの均一性を得るために必須用件である。上記、条件を満たすためにはマニホールド形状は、コートハンガータイプが好ましく、ストレートマニホールド、フィッシュテールタイプなどは、幅方向での流量分布などが発生しやすくなるために好ましくない。
また、上記のフィルムの厚み分布を均一にするためには、ダイ出口での温度分布を幅方向において一定にすることが重要であり、温度分布は好ましくは±1℃以下であり、さらに好ましくは±0.5℃以下である。±1℃を超えて幅方向に温度ムラが生じていると、樹脂の溶融粘度差が生じ、厚みムラ、応力分布ムラなどが生じるため、延伸操作を実施する過程において、位相差ムラが発生しやすくなり好ましくない。
さらに、ダイ出口のリップ開き量(以下、「リップギャップ」という。)は、通常、0.05〜1mmであり、好ましくは0.3〜0.8mmであり、さらに好ましくは0.35〜0.7mmである。リップギャップが0.05mm未満であると、ダイ内部の樹脂圧力が高くなり過ぎて、樹脂がダイのリップ以外の場所から樹脂漏れを起こしやすくなるため好ましくない。一方、リップギャップが1mmを超えると、ダイの樹脂圧力が上がりにくくなるため、フィルムの幅方向の厚みの均一性が悪くなり好ましくない。
ダイから押出されたフィルムを密着固化させる方法としては、ニップロール方式、静電印加方式、エアーナイフ方式、バキュームチャンバー方式、カレンダー方式などが挙げられ、フィルムの厚さ、用途に従って、適切な方式が選択される。
ダイから押出されたフィルムを固化するための冷却ロール表面についても、押出機シリンダー、ダイスの内面などと同様に、各種の表面処理が行われることが好ましい。これらの表面処理は、押出フィルムのロール表面への密着を防いでフィルムの厚み斑発生を防ぐとともに、冷却ロール表面精度を高くし、表面硬度が高いために傷などがつきにくく、連続してフィルムの製造を行っても安定してフィルム表面精度を保ち、かつ厚み斑がないフィルムを製造できる点で好ましい。
押出機(シリンダー・スクリューなど)、ダイスの材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、
押出機シリンダー、ダイスの内面ならびに押出機スクリュー表面には、クロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Physical Vapor Deposition)法などに
より、TiN、TiAlN、TiCN、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、WCなどのタングステン系物質、サーメットなどのセラミックが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このような表面処理は、樹脂との摩擦係数が小さいため、均一な樹脂の溶融状態が得られる点で好ましい。
本発明において、溶融押出フィルムを製造する際の樹脂温度(押出機シリンダー温度)としては、通常、200〜350℃、好ましくは220〜320℃である。樹脂温度が200℃未満では、樹脂を均一に溶融させることができず、一方、350℃を超えると、溶融時に樹脂が熱劣化して表面性に優れた高品質なフィルムの製造が困難になる。さらに、上記温度範囲内であって、樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+120℃〜Tg+160℃の範囲内の温度であることが特に好ましい。例えば、樹脂のTgが130℃であれば、フィルム製造にとって特に好ましい温度範囲は250℃〜290℃である。
また、溶融押出時のせん断速度としては、通常、1〜500(1/sec)、好ましくは2〜350(1/sec)、より好ましくは5〜200(1/sec)である。押出時のせん断速度が1(1/sec)未満では、樹脂を均一に溶融させることができないため厚み斑が小さい押出フィルムを得ることができず、一方、500(1/sec)を超えると、せん断力が大きすぎて樹脂および添加物が分解・劣化し、押出フィルムの表面に発泡、ダイライン、付着物などの欠陥が生じてしまうことがある。
本発明において、溶融押出フィルムの厚みは、通常、10〜800μm、好ましくは、20〜500μm、より好ましくは40〜500μmである。10μm未満の厚みの場合、機械的強度不足などにより延伸加工などの後加工する場合に難があることがあり、一方、800μmを超える厚みの場合、厚みや表面性などが均一なフィルムを製造することが難しいばかりか、得られたフィルムを巻き取ることが困難になることがある。
溶融押出し法で得られた本発明の原反フィルムの厚み分布は、通常、平均値に対して±5%以内、好ましくは±3%以内、より好ましくは±1%以内である。厚み分布が±5%を超えると、延伸処理を行って位相差フィルムとした場合に位相差ムラが発生しやすくなることがある。
<位相差板およびその製造方法>
本発明のフィルムは、延伸加工(延伸配向処理)を施すことにより、フィルムを形成する本発明の共重合体の分子鎖が一定の方向に規則的に配向し、透過光に位相差を与える機能を有する光学フィルム(位相差フィルム)とすることができ、これにより本発明に係る位相差板が得られる。
ここで、「規則的に配向」とは、通常の高分子化合物(ポリマー)を溶融押し出し法やキャスト法等によりフィルム状に成形した場合には、工程中で発生するフィルムの歪みの大小にもよるが、当該高分子化合物の分子鎖は特定な方向を向かずにランダムな状態であるのに対し、高分子化合物の分子鎖がフィルムの平面の一軸方向または二軸方向あるいは厚み方向に規則的に配向していることを意味する。高分子化合物の配向の規則性の程度はさまざまであり、延伸条件により制御することができる。
延伸加工法としては、具体的には、公知の一軸延伸法または二軸延伸法を挙げることができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の異なる二組のロールを利用する縦一軸延伸法、あるいは横一軸と縦一軸を組合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
一軸延伸法を利用する場合には、延伸速度は通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法としては、同時に互いに交わる2方向に延伸を行う方法や一軸延伸した後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸を行う方法を利用することができる。これらの方法において、2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性に応じて決定されるため特に限定はされないが、通常120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであっても、異なっていてもよく、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工における加工温度は、特に限定されるものではないが、用いられる共重合体のガラス転移温度をTgとしたとき、通常Tg−5℃〜Tg+20℃、好ましくはTg〜Tg+10℃の範囲であるのが望ましい。処理温度を上記の範囲内とすることにより、高い位相差と位相差ムラの発生を抑制することが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
なお、係る温度範囲で延伸加工しても、本発明の環状オレフィン系開環共重合体を用いる限り、得られる位相差板に白濁等の問題は生じない。これは、本発明の共重合体はそのTg分布が比較的小さいため、Tg近傍に加熱することで実質的に均一に可塑化するためと考えられる。逆に、Tg分布が大きな環状オレフィン系開環共重合体の場合、Tg近傍に加熱するだけでは均一に可塑化せず部分的に未可塑状態の部分が存在するために係る部分が延伸加工時に白濁等の原因となると考えられる。
延伸倍率は、所望する位相差などの特性に応じて決定されるため特に限定はされないが、通常1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体の場合、Tg近傍で延伸加工できるため低倍率の延伸でもフィルムに高い応力をかけることが可能であり、したがって高い位相差を得ることができる。また、上記のように比較的低い延伸倍率であると、透明性、光軸のずれのない位相差板を容易に製造することができる。なお、延伸倍率が過大である場合には、位相差や光軸の制御が困難となることがある。
延伸したフィルムは、そのまま室温で冷却してもよいが、Tg−100℃〜Tg程度の温度雰囲気下に少なくとも10秒間以上、好ましくは30秒間〜60分間、さらに好ましくは1分間〜60分間保持してヒートセットし、その後、室温まで冷却することも好ましく、これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差特性を有する位相差板が得られる。
上記のようにして得られる位相差板は、延伸により分子が配向していることにより、透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率あるいは延伸前のフィルムの厚み等を調整することにより制御することができる。例えば、延伸倍率については、延伸前の厚みが同じフィルムであっても、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与えるフィルムを得ることができる。また、延伸前のフィルムの厚みについては、延伸倍率が同じであっても、延伸前のフィルムの厚みが大きいほど透過光に与える位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚みを変更することによって
所望の位相差を透過光に与える位相差板を得ることができる。
上記のようにして得られる位相差板において、透過光に与える位相差の値は、その用途により決定されるものであり一義的に決定されるものではないが、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはレーザー光学系の波長板に使用する場合には、通常1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nm、さらに好ましくは15〜1,000nmであることが望ましい。
また、フィルムを透過した光の位相差は、その均一性が高いことが好ましく、具体的には、光線波長550nmにおけるバラツキが通常±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下であるのが望ましい。位相差のバラツキが±20%の範囲を超える場合には、液晶表示素子等に使用したときに、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が低下するという問題が生じることがある。同様に、光軸のバラツキは、通常±2.0度以下であり、好ましくは±1.0度以下、さらに好ましくは±0.5度以下であるのが望ましい。
本発明の位相差板は、単独でまたは2枚以上を積層して或いは透明基板等に貼り合わせて用いることができる。また、その他のフィルム、シート、基板に積層して使用することもできる。
フィルム等を積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。かかる粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものを用いることが好ましく、その具体例としては、天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等の粘着剤や、水酸基、アミノ基等の官能基を有する前記樹脂等にイソシアナト基含有化合物などの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系のドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
また、上記の位相差板には、その他のフィルム、シート、基板などとの積層の作業性を向上させるために、予め、粘着剤層または接着剤層を積層することができる。粘着剤層または接着剤層を積層する場合において、粘着剤や接着剤としては、前述のような粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下において、特に断りがない限り、部または%は重量基準である。
なお、各種物性は、次のようにして測定あるいは評価した。
ガラス転移温度(Tg
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
水素添加率
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムでH−NMRを測定した。3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
重量平均分子量
東ソー株式会社製HLC―8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。Mnは数平均分子量を表す。
残留溶媒量
サンプルをトルエンに溶解し、島津製作所製GC−14Bガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
位相差むら、光軸むら
縦20cm、横20cm、厚み130μmのフィルムを、延伸温度:共重合体のTg+5
℃、自由端一軸延伸法にて縦方向に300%/分の条件で1.5倍延伸を行なった。延伸後のフィルム中心部より縦26cm、横12cmの312cmに切り取り、縦2cm間隔、横2cm間隔で位相差、光軸を王子計器株式会社製、OPTICAL BIREFRINGENCE ANALYZER KOBRA−21ADHを用いて測定した。
フィルム表面の動摩擦係数
ASTM D 1894に準拠し、10cm×13cm×85μmの延伸フィルムを表面性測定機(HEIDON−14、新東科学(株))上に治具で固定し、測定針:鉄球、荷重:20g、速度:300mm/minの条件でフィルムを擦らせて3回試験を行い、その平均値として
動摩擦係数を測定した。
フィルム表面の耐擦傷性
10cm×13cm×85μm延伸フィルムを測定装置の台に治具で固定し、セルロース製不織布(旭化成(株)製「ベンコット(登録商標) M−3」)をの表面の乗せ、500gの荷重をかけながら速度300mm/minの条件でフィルム表面上の長さ10cm間
を往復移動させた。10往復毎にフィルム表面を20倍の光学顕微鏡を使って目視観察して傷の有無を確認し、傷が認められるまでの往復回数で耐擦傷性を評価した。移動回数の上限は1000往復とした。
金型汚染性、金型離形性の評価
射出成形機によって、厚さ3mmの試験片を作製し、ASTM D523(入射角45℃)に準じて金型鏡面の表面光沢をスガ試験機製(MSC-1C)で測定し、表面光沢が95%以下になるまでの成形ショット回数で、金型汚染性を評価した。尚、成型開始前の金型鏡面の表面光沢は98%であった。また、金型離形性の評価は、成形品が金型から自動で取り出すことができなくなるまでの成形ショット回数で評価した。いずれの場合も、成形ショット回数の上限は10000回とした。
射出成形は以下の条件で行った。射出成形機「SG75M−S」(住友重機(株)製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)を用いて、樹脂温度300℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sec、ホッパーおよびシリンダーを窒素シールした条件で射出成形することにより成形した。なお、樹脂材料は予め真空乾燥機にて、100℃、4時間の条件で乾燥を行ったものを用いた。
複屈折性(射出成形品の光学歪みの測定)
上記射出成形条件によって、幅60mm、長さ80mm、厚さ1mmの短冊状試験片を成形した。成形体ゲート中央部の位相差をKOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて測定した。
[実施例1]
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(DNM)89部、下記式(b)で表される5−n−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(BNB)11部を単量体として用い、分子量調節剤の1−へキセン18部、およびトルエン 200部とともに、窒素置換
した反応容器に仕込んで80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム0.005部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=103:630
:427重量比)0.005部を加えて45分反応させることにより共重合体を得た。
得られた共重合体のH−NMRによる測定チャートを図−1に示す。3.5−3.8ppmのメトキシプロトンよりDNMユニットを算出し、0.7−3.3ppmの脂肪族プロトンからDNMユニットを差し引いた積分値よりBNBユニットを算出した結果、DNM/BNB=13.
7/86.3(重量%)であった。
Figure 0005109365
Figure 0005109365
次いで、得られた共重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C65)]3 0.06部をオートクレーブに入れ、窒素置換を3回、水素置換を3回行った後、10MPaまで水素を添加した。水素圧を10MPA一定になるように150℃まで過熱した後、3時間の反応を行った。
得られた共重合体(以下、「共重合体(1)」ともいう)は、重量平均分子量(Mw)=6.10×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.8、固有粘度(ηinh)=0.52であった。図―2に水添反応後の1H−NMR測定チャートを示す。図−1と同様の方法
により共重合比を求めたところ、DNM/BNB=13.9/86.1(重量%)であった。また、共重合体(1)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。さらに、図−3に共重合体(1)のDSCチャートを示す。ガラス転移温度(Tg)=135.2℃であり、また、Tg分布は31.2℃であった。
得られた共重合体(1)100重量部に対して、酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.3重量部添加し、塩化メチレン300重量部
に溶解しADVANTEC社製コンパクトカートリッジフィルター:MCP−HX−E10S(平均孔径2.0μm、濾過面積2000cm2)にて20℃で濾過を行い、成膜・
乾燥して130μm厚のフィルム(1)を得た。その後、共重合体(1)のTg+5℃である136℃、自由端一軸延伸法にて、延伸速度=300%/min、1.5倍の延伸を行って延伸フィルム(1)を得た。
延伸フィルム(1)は、厚み=85μm、位相差=343nm、複屈折率=0.00404、ヘイズ値=0.1であり、透明でかつ外観欠陥のないフィルムであることが確認できた。また延伸後の位相差±3nmと光軸±0.5度以下を満たす面積は64cmであった。また、延伸フィルム(1)の動摩擦係数は0.12であり、耐擦傷性評価では、延伸フィルム表面の傷つきは1000往復後も傷は認められなかった。
さらに、得られた共重合体(1)を射出成形して金型汚染性および金型離型性を評価したところ、10000ショット後も金型鏡面の光沢は98%で使用前と変化がなく、成形品も最後まで自動で取り出すことができた。
[比較例1]
実施例1において、単量体として、DNM86部とノルボルネン(NB)11部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして共重合および水素添加を行い、共重合体(2)を得た。
得られた共重合体(2)は、重量平均分子量(Mw)=10.3×104、分子量分布
(Mw/Mn)=3.5、固有粘度(ηinh)=0.64、ガラス転移温度(Tg)=1
35℃であった。また、Tg分布は45℃であった。なお、1H−NMR測定により共重
合体(2)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は、99.9%以上水素添加されていた。
次いで、得られた共重合体(2)を実施例1と同様に溶融押し出しにて成膜し、130μm厚のフィルム(2)を得た。その後、共重合体(2)のTg+5℃である136℃にて、1.5倍の延伸を行って延伸フィルム(2−1)を得た。
延伸フィルム(2−1)は、厚み=85μm、位相差=325nm、複屈折率=0.0
0387、ヘイズ値=4.3であり、透明性の悪いフィルムであった。また延伸後の位相差±3nmと光軸±0.5度以下を満たす面積は24cm2で均一な位相差と光軸ムラのない面積が非常に小さかった。
また、フィルム(2)を用い、共重合体(2)のTg+25℃である156℃にて、1.5倍の延伸を行って延伸フィルム(2−2)を得た。延伸フィルムの動摩擦係数は0.55であった。また、耐擦傷性の評価において、延伸フィルム表面の傷つきは60往復後に発生した。
また、得られた共重合体(1)は10000ショット後も金型表面光沢は98%と使用前とは変化がなく、耐金型汚染性に優れたものであったが、成形品は200ショット後に金型から自動で取り出すことができず、金型離型性に劣るものであった。
[比較例2]
比較例1において、ドデシルスルホン酸ナトリウムを共重合体(2)100重量部に対して0.5部添加した以外は、実施例1同様に評価を行った。延伸フィルムの動摩擦係数は0.50であり、延伸フィルム表面の傷つきは120往復後に発生した。
また、得られた共重合体(1)は500ショット後に金型表面光沢は95%に低下した。さらに、成形品は1000ショット後に最後まで自動で取り出すことができなかった。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、摺動性および耐熱性に優れ、光学用途全般に好適に用いることができるが、射出成形品、フィルムまたはシートに加工して好適に用
いることができ、レンズや延伸加工を必要とする用途、例えば、位相差板等の光学フィルムに最適である。本発明に係るフィルムまたはシート、および特に位相差板は、より具体的には、携帯電話、ディジタル情報端末機、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子や、エレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
図1は、実施例1で得た共重合体(水素添加前)の1H−NMR測定チャートを示す。 図2は、実施例1で得た水素添加後の共重合体である、共重合体(1)の1H−NMR測定チャートを示す。 図3は、実施例1で得た水素添加後の共重合体である、共重合体(1)のDSC測定チャートを示す。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される構造単位、および、下記式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする環状オレフィン系開環共重合体;
    Figure 0005109365
    (式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;
    ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)、
    Figure 0005109365
    (式(2)中、nは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基を表し、R5ブチル基を表す。)。
  2. 前記式(2)で表わされる構造単位が、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンから導かれる構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系開環共重合体。
  3. 前記式(1)および(2)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系開環共重合体。
  4. 前記式(1)で表される構造単位中の極性基が、下記式(3)で表される基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体;
    −(CH2pCOOR' …(3)
    (式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R'は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴とする射出成形品。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴とするフィルムまたはシート。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴とする位相差板。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を、フィルム状に成形し、延伸配向して得られることを特徴とする請求項に記載の位相差板。
  9. 延伸配向が、環状オレフィン系共重合体のTg〜(Tg+10)℃の温度条件で行われたものであることを特徴とする請求項に記載の位相差板。
JP2006353087A 2006-12-27 2006-12-27 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途 Active JP5109365B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006353087A JP5109365B2 (ja) 2006-12-27 2006-12-27 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006353087A JP5109365B2 (ja) 2006-12-27 2006-12-27 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008163146A JP2008163146A (ja) 2008-07-17
JP5109365B2 true JP5109365B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=39693054

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006353087A Active JP5109365B2 (ja) 2006-12-27 2006-12-27 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5109365B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5878339B2 (ja) * 2011-11-12 2016-03-08 三菱樹脂株式会社 深絞り包装体

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01132625A (ja) * 1987-11-17 1989-05-25 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 光学材料
JP2002179875A (ja) * 2000-12-08 2002-06-26 Jsr Corp 耐熱性樹脂組成物
JP4238501B2 (ja) * 2001-04-27 2009-03-18 Jsr株式会社 熱可塑性ノルボルネン系樹脂系光学用フィルム
JP3982306B2 (ja) * 2001-04-27 2007-09-26 Jsr株式会社 シクロオレフィン系重合体の製造方法
JP2003043252A (ja) * 2001-07-31 2003-02-13 Sekisui Chem Co Ltd 偏光子保護フィルム
JP3873934B2 (ja) * 2003-06-17 2007-01-31 Jsr株式会社 溶融押出フィルムおよび位相差フィルム
JP4872183B2 (ja) * 2004-03-19 2012-02-08 Jsr株式会社 環状オレフィン系樹脂組成物、その成形品の処理方法、およびフィルムまたはシート
JP4752211B2 (ja) * 2004-08-13 2011-08-17 Jsr株式会社 環状オレフィン系付加共重合体の製造方法、環状オレフィン系付加共重合体およびその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008163146A (ja) 2008-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5233280B2 (ja) 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途ならびに該共重合体を含む位相差板の製造方法
JP5746387B2 (ja) 光学用フィルム
JP5028901B2 (ja) 環状オレフィン系樹脂組成物、該組成物を用いた光学フィルムおよび位相差板ならびにそれらの製造方法
JP2006348115A (ja) 飽和ノルボルネン樹脂フィルムおよびその製造方法、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、並びに液晶表示装置
JP2009046614A (ja) シクロオレフィンコポリマーおよびフィルム
JP2006188671A (ja) 光学用フィルムおよびその用途
JP2010261025A (ja) 樹脂組成物及びその製造方法、成型体、フィルム、光学用フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板
KR101090535B1 (ko) 환상 올레핀계 개환 공중합체 및 그의 용도 및 이공중합체를 포함하는 위상차판의 제조 방법
JP2009046613A (ja) シクロオレフィンコポリマーおよびフィルム
JP5055176B2 (ja) シクロオレフィンコポリマーおよびフィルム
JP5109365B2 (ja) 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途
JP2012082358A (ja) 光学用フィルム
JP4797865B2 (ja) 光学フィルムの製造方法および光学フィルム
JP2009046615A (ja) ノルボルネン系開環(共)重合体、フィルム、これらの製造方法、および偏光板
JP2004346199A (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2008065061A (ja) 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板および液晶パネル
CN101578539B (zh) 相位差膜及使用该膜的偏振片和液晶面板
JP5842569B2 (ja) 成形材料用環状オレフィン系開環重合体およびその製造方法
JP2008208357A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、位相差フィルム、および偏光板
JP2008247934A (ja) 光学用フィルム
JP2007316609A (ja) 光学フィルムおよびその用途ならびに光学フィルムの製造方法
JP2019094447A (ja) 熱可塑性透明樹脂組成物延伸フィルム
JP2007296726A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルムおよび延伸フィルムの製造方法
KR20100025741A (ko) 광학 필름용 수지 조성물 및 이를 포함하는 광학 필름
JP2008058473A (ja) 光学フィルム、偏光板、液晶パネル、および光学フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090618

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120220

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120911

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120924

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151019

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5109365

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151019

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250