JP5109365B2 - 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途 - Google Patents
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Description
ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R
4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原
子数1〜10の炭化水素基である。)
このような本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)および(2)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことが好ましい。
−(CH2)pCOOR’ …(3)
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
本発明の射出成形品は、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴としている。
本発明の位相差板は、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴としている。本発明の位相差板は、前記環状オレフィン系開環共重合体を、フィルム状に成形し、延伸配向して得られることが好ましく、延伸配向が、環状オレフィン系共重合体のTg〜(Tg+10)℃の温度条件で行われたものであることがより好ましい。
<環状オレフィン系共重合体>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、上記式(1)で表される構造単位および上記式(2)で表される構造単位を有する。
は2であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり
、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。
)
式(1)あるいは式(1’)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−N
HCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エ
チルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
ドデカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(3)において、nの値が小さいものほど、また、R’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、nは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R’は通常炭素原子数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
式2中のR5は、炭素原子数1〜20のアルキル基であるが、該アルキル基は直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ウンデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ドデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−テトラデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキサデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプタデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクタデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノナデセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イコセニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
などが挙げられ、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明では、このうち、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましく用いられる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、23℃における飽和吸水率が、通常0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であるのが望ましい。本発明の共重合体の飽和吸水率が上記の範囲内にあれは、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および位相差の均一性、あるいは寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、他の材料との密着性・接着性に優れるため、使用中に剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常110〜250℃であり、好ましくは110〜200℃、さらに好ましくは110〜160℃である。Tgが110℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが110℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが250℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化する場合がある。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、耐熱劣化性や耐光性の改良のために公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加することができる。例えば、下記フェノール系化合物、チオール系化合物、スルフィド系化合物、ジスルフィド系化合物、リン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、本発明の共重合体100重量部に対して0.01〜10重量部添加することで、耐熱劣化性を向上させることができる。
フェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ―t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)―6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕―1,1−ジメチルエチル]―2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、などを挙げることができる。好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられ、特に好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを挙げることができる。
チオール系化合物としては、t−ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−4−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1,3−ジメチルベンズイミダゾール、メルカプト酢酸などを挙げることができる。
スルフィド系化合物としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテ
トラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3'−チオジプロピオ
ネートなどを挙げることができる。
ジスルフィド系化合物としては、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド 、ビス(
2−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド
、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド 、2,2'−ジチオジ安息香酸エチル、ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド 、ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド、1,1'−ジナフチルジスルフィド 、2,2'−ジナフチルジスルフィド 、1,2'−ジナフチルジスルフィド 、
2,2'−ビス(1 −クロロジナフチル)ジスルフィド 、1,1'−ビス(2 −クロロ
ナフチル)ジスルフィド 、2,2'−ビス(1 −シアノナフチル)ジスルフィド、2,2'−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステルなどを挙げることができる。
リン系化合物としては、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどを挙げることができる。
、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナミド)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどが挙げられるが、本発明
はこれらに限定されるものではなく、また、これらについても、成形する環状オレフィン系開環共重合体のTgによっては不適な場合がある。なお、本発明の効果を損なわない限り、これらは組み合わせで使用しても良いし、単独で使用しても良い。
ッシュアイ、焼けなどの原因となるため好ましくない。
また、本発明の環状オレフィン系開環共重合体を溶融押出しや射出成形により成形する場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、滑剤、紫外線吸収剤、染料あるいは顔料などの上記酸化防止剤以外の添加剤を用いることができる。もちろんこの場合でも、融点を有する添加剤の場合、その融点が本発明の必須酸化防止剤の融点の範囲にあることが好ましい。
精秤した共重合体を0.1μmのメンブランフィルターでろ過して異物を完全に除去したテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、この樹脂溶液を0.5μmのメンブランフィルターを用いて吸引ろ過を実施する。
メンブランフィルター上のゲル(茶色などに変色した「ブツ」として観察される)を20倍の実体顕微鏡で観察、個数をカウントする。
m以上の異物が全くないことが好ましく、特に10μm以上の異物が全くないことが好ましい。なお、共重合体中の異物は、例えば次のようにして測定することができる。すなわち;
共重合体10gを0.1μmのメンブランフィルターでろ過して異物を完全に除去したテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、パーティクルカウンター(光散乱法)によって、10μm、20μm、50μmの異物個数をカウントする。この方法によって観測されなければ、該当する大きさの異物は共重合体中に存在しないものと定義する。
<成形体およびその製造方法>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、射出成形によって成形し、本発明の成形体を得ることができる。射出成形を行う際、重合体のペレットは予め真空乾燥機にて、温度20〜120℃、好ましくは80〜100℃で、0.5〜20時間、好ましくは1〜4時間乾燥処理を行うことが好ましい。射出成形は、ホッパーとシリンダーを窒素で充満した
条件下で行うことが好ましい。樹脂温度は180〜300℃、好ましくは250〜300℃、金型温度20〜130℃、好ましくは60〜100℃、射出速度10〜1000mm/sec、好ましくは100〜300mm/secである。得られた成形体は、例えば、各種レンズ部品、位相差板、導光体、導光板、光ディスク、樹脂スタンパー、回折格子など各種光学材料として有用である。
<フィルムまたはシート>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、公知の溶液流延法(溶剤キャスト法あるいは溶融成形法などによりフィルム状に成形することができ、このようにして本発明に係るフィルムまたはシート(以下、シートも含めてフィルムという)を得ることができる。
・溶剤キャスト法
溶剤キャスト法としては、例えば、本発明の共重合体を溶媒に溶解または分散させることにより、本発明の共重合体が適度の濃度で含有されてなるフィルム形成液を調製し、このフィルム形成液を適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布することによって流延し、これによりキャリヤー上にフィルム形成液の液相を形成した後、当該液層に対して乾燥等による溶媒の除去処理を行い、得られる膜をキャリヤーから剥離させる方法を好ましい方法として挙げることができる。
また、得られるフィルムの表面平滑性を向上させることを目的として、フィルム形成液にレベリング剤を添加してもよい。かかるレベリング剤としては、一般的なものであれは種々のものを用いることができ、その具体例としては、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
また、キャリヤーとしてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。ここで、表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーティングまたはラミネートすることにより、これらの樹脂よりなる層を形成する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。フィルム中に微量の溶媒を残留させることにより、延伸配向処理が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
・押出成形法(溶融押出法)
本発明のフィルムは、本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体を溶融押出成形することによっても得ることができる。
本発明における溶融押出法においては、通常、押出機に環状オレフィン系開環共重合体を投入する前に、環状オレフィン系開環共重合体中に含まれている水分、気体(酸素など)、残溶剤などを予め除去することを目的としてTg以下の適切な温度で樹脂の乾燥を行う。
可塑性ノルボルネン系樹脂の場合には、外部潤滑方式が好ましい。ギアポンプのギア歯の切り方は、軸に対して、平行な方向よりも、ヘリカルタイプの方が、計量の安定化の点から好ましい。
押出機シリンダー、ダイスの内面ならびに押出機スクリュー表面には、クロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Physical Vapor Deposition)法などに
より、TiN、TiAlN、TiCN、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、WCなどのタングステン系物質、サーメットなどのセラミックが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このような表面処理は、樹脂との摩擦係数が小さいため、均一な樹脂の溶融状態が得られる点で好ましい。
<位相差板およびその製造方法>
本発明のフィルムは、延伸加工(延伸配向処理)を施すことにより、フィルムを形成する本発明の共重合体の分子鎖が一定の方向に規則的に配向し、透過光に位相差を与える機能を有する光学フィルム(位相差フィルム)とすることができ、これにより本発明に係る位相差板が得られる。
所望の位相差を透過光に与える位相差板を得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下において、特に断りがない限り、部または%は重量基準である。
ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
東ソー株式会社製HLC―8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。Mnは数平均分子量を表す。
サンプルをトルエンに溶解し、島津製作所製GC−14Bガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
縦20cm、横20cm、厚み130μmのフィルムを、延伸温度:共重合体のTg+5
℃、自由端一軸延伸法にて縦方向に300%/分の条件で1.5倍延伸を行なった。延伸後のフィルム中心部より縦26cm、横12cmの312cm2に切り取り、縦2cm間隔、横2cm間隔で位相差、光軸を王子計器株式会社製、OPTICAL BIREFRINGENCE ANALYZER KOBRA−21ADHを用いて測定した。
ASTM D 1894に準拠し、10cm×13cm×85μmの延伸フィルムを表面性測定機(HEIDON−14、新東科学(株))上に治具で固定し、測定針:鉄球、荷重:20g、速度:300mm/minの条件でフィルムを擦らせて3回試験を行い、その平均値として
動摩擦係数を測定した。
10cm×13cm×85μm延伸フィルムを測定装置の台に治具で固定し、セルロース製不織布(旭化成(株)製「ベンコット(登録商標) M−3」)をの表面の乗せ、500gの荷重をかけながら速度300mm/minの条件でフィルム表面上の長さ10cm間
を往復移動させた。10往復毎にフィルム表面を20倍の光学顕微鏡を使って目視観察して傷の有無を確認し、傷が認められるまでの往復回数で耐擦傷性を評価した。移動回数の上限は1000往復とした。
射出成形機によって、厚さ3mmの試験片を作製し、ASTM D523(入射角45℃)に準じて金型鏡面の表面光沢をスガ試験機製(MSC-1C)で測定し、表面光沢が95%以下になるまでの成形ショット回数で、金型汚染性を評価した。尚、成型開始前の金型鏡面の表面光沢は98%であった。また、金型離形性の評価は、成形品が金型から自動で取り出すことができなくなるまでの成形ショット回数で評価した。いずれの場合も、成形ショット回数の上限は10000回とした。
上記射出成形条件によって、幅60mm、長さ80mm、厚さ1mmの短冊状試験片を成形した。成形体ゲート中央部の位相差をKOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて測定した。
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(DNM)89部、下記式(b)で表される5−n−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(BNB)11部を単量体として用い、分子量調節剤の1−へキセン18部、およびトルエン 200部とともに、窒素置換
した反応容器に仕込んで80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム0.005部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=103:630
:427重量比)0.005部を加えて45分反応させることにより共重合体を得た。
7/86.3(重量%)であった。
により共重合比を求めたところ、DNM/BNB=13.9/86.1(重量%)であった。また、共重合体(1)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。さらに、図−3に共重合体(1)のDSCチャートを示す。ガラス転移温度(Tg)=135.2℃であり、また、Tg分布は31.2℃であった。
に溶解しADVANTEC社製コンパクトカートリッジフィルター:MCP−HX−E10S(平均孔径2.0μm、濾過面積2000cm2)にて20℃で濾過を行い、成膜・
乾燥して130μm厚のフィルム(1)を得た。その後、共重合体(1)のTg+5℃である136℃、自由端一軸延伸法にて、延伸速度=300%/min、1.5倍の延伸を行って延伸フィルム(1)を得た。
実施例1において、単量体として、DNM86部とノルボルネン(NB)11部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして共重合および水素添加を行い、共重合体(2)を得た。
(Mw/Mn)=3.5、固有粘度(ηinh)=0.64、ガラス転移温度(Tg)=1
35℃であった。また、Tg分布は45℃であった。なお、1H−NMR測定により共重
合体(2)の水素添加率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は、99.9%以上水素添加されていた。
0387、ヘイズ値=4.3であり、透明性の悪いフィルムであった。また延伸後の位相差±3nmと光軸±0.5度以下を満たす面積は24cm2で均一な位相差と光軸ムラのない面積が非常に小さかった。
[比較例2]
比較例1において、ドデシルスルホン酸ナトリウムを共重合体(2)100重量部に対して0.5部添加した以外は、実施例1同様に評価を行った。延伸フィルムの動摩擦係数は0.50であり、延伸フィルム表面の傷つきは120往復後に発生した。
いることができ、レンズや延伸加工を必要とする用途、例えば、位相差板等の光学フィルムに最適である。本発明に係るフィルムまたはシート、および特に位相差板は、より具体的には、携帯電話、ディジタル情報端末機、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子や、エレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
Claims (9)
- 下記式(1)で表される構造単位、および、下記式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする環状オレフィン系開環共重合体;
ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)、
- 前記式(2)で表わされる構造単位が、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンから導かれる構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系開環共重合体。
- 前記式(1)および(2)で表される構造単位以外の構造単位を有さないことを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系開環共重合体。
- 前記式(1)で表される構造単位中の極性基が、下記式(3)で表される基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体;
−(CH2)pCOOR' …(3)
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R'は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴とする射出成形品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴とするフィルムまたはシート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を含むことを特徴とする位相差板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を、フィルム状に成形し、延伸配向して得られることを特徴とする請求項7に記載の位相差板。
- 延伸配向が、環状オレフィン系共重合体のTg〜(Tg+10)℃の温度条件で行われたものであることを特徴とする請求項8に記載の位相差板。
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