JP4797865B2 - 光学フィルムの製造方法および光学フィルム - Google Patents
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Description
ドロジシクロペンタジエン)と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの極性基を有さない環状オレフィンとから得られる環状オレフィン系開環共重合体が、Tg付近の温度条件で延伸しても白濁等の問題を生じず、フィルムまたはシート、および位相差板の用途に好適であることを見出し、既に提案している(特願2005−213011号)。
ら導かれた構造単位を含む環状オレフィン系開環(共)重合体からなり、表面平滑性に優れた光学フィルム、ならびに、前記開環(共)重合体を溶液流延法で製膜する場合にも、ゲルの影響なく表面平滑性に優れたフィルムが得られるフィルムの製造方法を提供することを課題としている。
下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体を、1気圧における沸点が30℃以上50℃以下である溶媒に溶解し、当該溶媒の沸点−30℃以上沸点以下の温度条件で0.1μm〜100μmのフィルターを用いて濾過する工程と、
得られた濾液を用いて、35℃未満でありかつ濾過温度よりも5℃以上低い温度条件で製膜する工程と
を有することを特徴としている。
本発明の光学フィルムの製造方法では、製膜を溶液流延法により行うことが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、さらに延伸する工程を有することが好ましい。
極性基であり、かつその他のR7〜R10の少なくとも一つが炭素原子数1〜10の炭化水
素基である構造単位(2A)および/または下記式(2)で表され、R7〜R10がいずれ
も極性基ではない構造単位(2B)を有することが好ましい。
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)
造単位を含む環状オレフィン系開環(共)重合体を用いて、優れた表面性状を有する光学
フィルムおよびその製造方法を提供することができる。従来、溶液流延法で製膜するために用いられる重合体の濾過処理は、用いる溶媒の沸点が低いため、例えば溶媒の沸点−35℃以下のような低温で行われていた。本発明は、濾過処理温度を従来の温度よりも高温で行って濾過性能を改良し、かつ、製膜処理を低温で行うことにより溶媒の蒸発速度を抑え、優れた表面性状を有するフィルムが得られるという効果を有するものである。本発明に係る光学フィルムは、表面平滑性に優れており、透明性などの光学特性に優れるとともに、耐熱性、耐薬品性等に優れ、ガラス転移温度付近の比較的低温でも、白濁などの不具合を生じることなく延伸することができ、位相差フィルムを形成した場合には均一な位相差を示し光軸ブレが少ない。
環状オレフィン系重合体
本発明に係る光学フィルムを構成する環状オレフィン系重合体は、下記式(1)で表される構造単位(1)を有する。なお、本明細書において、重合体とは単独重合体および共重合体を表す。
このような構造単位(1)は、開環重合により下記式(1m)で表される環状オレフィン系単量体(1m)から誘導される。
式(1)あるいは(1m)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−N
HCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エ
チルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
このような環状オレフィン系単量体(1m)としては、具体的には、例えば
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−イソプロピル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−8−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
このような環状オレフィン系単量体(1m’)としては、具体的には、例えば
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(DCP)、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
9−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7
−ジエン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。本発明では、このうち、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンが特に好ましく用いられる。
単量体を開環共重合して導かれる構造単位、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどを共重合して導かれる構造単位が挙げられる。本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、好ましくは、構造単位(1)と、環状オレフィン系単量体を開環共重合して導かれる構造単位のみを有する共重合体であることが望ましい。
一つが極性基であり、かつその他のR7〜R10の少なくとも一つが炭素原子数1〜10の
炭化水素基である構造単位(2A)および/または下記式(2)で表され、R7〜R10が
いずれも極性基ではない構造単位(2B)を有することが望ましい。さらに、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、構造単位(1)と、構造単位(2A)と、構造単位(2B)とを有することが特に好ましい。
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)。
も一つが極性基であり、かつその他のR7〜R10の少なくとも一つが炭素原子数1〜10
の炭化水素基である環状オレフィン系単量体(2A−m)から、構造単位(2B)は、下記式(2m)で表され、R7〜R10がいずれも極性基ではない構造単位(2B−m)から
、それぞれ開環共重合により誘導される。
このような環状オレフィン系単量体(2A−m)としては、具体的には、例えば、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
ドデカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
。
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(3)において、pの値が小さいものほど、また、R’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、pは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R’は通常炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプト−4−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。これらのうちビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましく用いられる。
り、本発明で用いる環状オレフィン系重合体が芳香族基を有する場合、係る芳香族基は屈折率など光学的な特性や耐熱性において有利に作用することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体は、23℃における飽和吸水率が、通常0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であるのが望ましい。本発明で用いる環状オレフィン系重合体の飽和吸水率が上記の範囲内にあれは、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および位相差の均一性、あるいは寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、他の材料との密着性・接着性に優れるため、使用中に剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常110〜250℃であり、好ましくは115〜220℃、さらに好ましくは120〜200℃である。Tgが110℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが110℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが250℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化する場合がある。
点を起点とする接線との交点として求められる。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、耐熱劣化性や耐光性の改良のために公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加して用いることができる。例えば、下記フェノール系化合物、チオール系化合物、スルフィド系化合物、ジスルフィド系化合物、リン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、本発明で用いる重合体100重量部に対して0.01〜10重量部添加することで、耐熱劣化性を向上させることができる。
フェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ―t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)―6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕―1,1−ジメチルエチル]―2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、などを挙げることができる。好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられ、特に好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを挙げることができる。
チオール系化合物としては、t−ドデシルメルカプタン、ヘキシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−4−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、2−メルカプト−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、1−メチル−2−(メチルメルカプト)ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1,3−ジメチルベンズイミダゾール、メルカプト酢酸などを挙げることができる。
スルフィド系化合物としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテ
トラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3'−チオジプロピオ
ネートなどを挙げることができる。
ジスルフィド系化合物としては、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド 、ビス(
2−クロロフェニル)ジスルフィド 、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド 、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド 、ビス(2−ニトロフェニル
)ジスルフィド 、2,2'−ジチオジ安息香酸エチル、ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド 、ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド、1,1'−ジナフチルジスルフィド 、2,2'−ジナフチルジスルフィド 、1,2'−ジナフチルジスルフィド
、2,2'−ビス(1 −クロロジナフチル)ジスルフィド 、1,1'−ビス(2 −クロ
ロナフチル)ジスルフィド 、2,2'−ビス(1 −シアノナフチル)ジスルフィド 、2
,2'−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステルなどを挙げることができる。
リン系化合物としては、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどを挙げることができる。
また、本発明で用いる環状オレフィン系重合体には、目的とする光学フィルムの特性に応じて、その他の添加剤を添加してもよい。たとえば、着色されたフィルムを得ることを目的として、染料、顔料等の着色剤を添加してもよく、得られるフィルムの平滑性を向上させることを特徴としてレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
フィルムの製造
<濾液の調製>
・溶媒
本発明では、上述のような環状オレフィン系重合体を、溶媒に溶解して用いる。溶媒としては、本発明で用いる環状オレフィン系重合体を溶解しうる溶媒であって、比較的高温の条件で溶液流延法での製膜が可能であるという観点から、1気圧における沸点が30℃以上50℃以下のものが用いられる。また、本発明で用いられる溶媒は、20℃での誘電率が2.0〜12のものが好ましく、特に好ましくは2.3〜9.1のものが用いられる。
チレン(沸点=39.8℃、誘電率=9.08)等のハロゲン含有溶媒、エチルエーテル(沸点=34.4℃、誘電率=4.34)等のエーテル系溶媒などを挙げることができる。
これらの溶媒は単独で用いても組み合わせて混合溶媒として用いてもよい。
また、本発明で用いる溶媒は、SP値(溶解度パラメーター)が、通常10〜30(MPa1/2)、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲であることが望ましい。溶媒が混合溶媒である場合には、混合溶媒のSP値がこのような範囲を満たせばよく、個々の溶媒成分がこのような範囲を満たさないものであっても混合溶媒の成分として用いることができる。
・濾過
本発明では、溶媒に溶解した環状オレフィン系重合体を、濾過する工程により、部分的にゲルを含有することのない均一な濾液を調製する。
<製膜>
本発明では、上述の濾過工程で得られた濾液を用いて、35℃未満であり、かつ、濾過温度よりも5℃以上低い温度(「濾過温度−5℃」以下の温度)で製膜を行う。
製膜に用いるキャリヤーとしては、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等よりなるポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどが挙げられる。
<乾燥>
上述のようにして製膜されたフィルムは、通常乾燥する工程を経て光学フィルムとなる。
±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動率は、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
なお、本発明において、輪郭曲線は、JIS−B0601:2001に記載されているとおり移動ボックス関数を用いて求めており、該移動ボックス関数のサンプリング数nはサンプリング長10cmを基にし、任意段数mは10段として計算している。移動ボックス関数による輪郭曲線の求め方は、「精密工学会誌,Vol.63,No.3(1997)pp.378-382」に準じ算出し、数値微分(ラグランジェ多項式微分)は3点公式を使用した。
<延伸>
上述のようにして得られた本発明に係る未延伸の光学フィルムは、延伸加工(延伸配向処理)を施すことにより、フィルムを形成する本発明の共重合体の分子鎖が一定の方向に規則的に配向し、透過光に位相差を与える機能を有する光学フィルム(位相差フィルム)とすることができる。
を変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、特に断りがない限り、部または%は重量基準である。
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点と
するベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3
.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
東ソー株式会社製HLC―8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。Mnは数平均分子量を表す。
サンプルをトルエンに溶解し、島津製作所製GC−14Bガスクロマトグラフィーを用いて測定した。
ADVANTEC社製コンパクトカートリッジフィルター:MCP−HX−E10S(平均孔径2.0μm、濾過面積2000cm2)、MCP−JX−E10S(平均孔径1
.0μm、濾過面積2000cm2)、MCS―020−E10SR(平均孔径0.2μ
m、濾過面積1800cm2)各1つをこの順に直列に繋いで、水添後のポリマー溶液を
室温、窒素加圧3.0kgf/cm2で連続的に濾過し、濾過速度の経時変化を測定した
。なお、これらのフィルターは、コンパクトカートリッジ用ハウジング:MTA−2000Tを用いて使用した。
下記式で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(DNM)71部、ジシクロペンタジエン(DCP)15部、および、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)1部を単量体として用い、分子量調節剤の1−へキセン 18部、およびトルエン 200部とともに、窒素置換した反応容器に仕込んで100℃に加熱した。
1分反応させ、次いで、DCP 10部とNB3部を5分で追加添加して、さらに45分
反応させることにより共重合体を得た。
来のビニレンプロトン(Hc)、3.65ppmにDNM由来のメトキシプロトン(He)に、共重合体主鎖の2重結合が5.2〜5.6ppmに観察された。共重合体中のNB含有量は、DCP構造単位(Hbの3倍のプロトン)、DNM構造単位(Heの2/3倍のプロトン)を差し引くことで共重合体中の単量体構造単位を算出した結果、DNM/D
CP/NB=69.77/26.01/4.23(wt%)であった。
圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。反応終了後、トルエン100重量部、蒸留水3重量部、乳酸0.72重量部、過酸化水素0.00214重量部を加え60℃で30分加熱した。その後、メタノール200重量部を加え60℃で30分加熱し、これを25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液500重量部を除去し、再びトルエン350重量部、水3重量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240重量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。上澄み液500重量部を除去し、さらにトルエン350重量部、水3重量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240重量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。最後に上澄み液500重量部を除去後、ポリマー溶液を50℃に加温し2.0μm、1.0μm、0.2μmのそれぞれのフィルターを用いて循環濾過をした。1000h後もフィルターの差圧は一定でフィルター目詰まりは発生しなかった。溶液のメタノールとトルエンとの比率をガスクロにて確認した所、メタノール/トルエン=20/80wt%、混合溶媒の誘電率は8.429(メタノールの誘電率=32.63、トルエンの誘電率=2.379より算出)であった。その後、ポリマー固形分量を55%まで濃縮し、250℃、4torr、滞留時間1時間で脱溶媒処理を行い、10μmのポリマーフィルターを通過させて、共重合体(1)を得た。 得られた共重合体(1)は、重量平均分子量(Mw)=6.10×104、分子
量分布
(Mw/Mn)=3.8、固有粘度(ηinh)=0.52、ガラス転移温度(Tg)=1
31℃であった。また、Tg分布は25℃であった。水素添加された共重合体である、共重合体(1)の1H−NMRチャートを図2に示す。これより共重合体(1)の水素添加
率を求めたところ、オレフィン性不飽和結合は99.9%以上水素添加されていた。
調製例1で得たペレットを用い、28%−塩化メチレン(沸点39.8℃、誘電率=9.08)溶液を作製した。ポリマー溶液を20℃に加温し2.0μmフィルター単独で循環濾過をした。循環濾過後3h後の2μm以上の異物量はゼロであった。循環濾過1000h後もフィルターの差圧は一定でフィルター目詰まりは発生しなかった。その後、ドープ温度を10℃まで冷却し、フィルターをバイパス後、ペットフィルム上に塗布・乾燥し、40±0.1μmのフィルムを作製した。外観の指標となる原反のRq値は0.09であった。またフィルムの異物は全く観察されなかった。乾燥風と垂直方向に150℃、2.0倍延伸を行った。延伸後フィルムの膜厚27±0.1μm、位相差=275nm±2nm、Rq=0.090であった。延伸後のフィルムの異物は全く観察されなかった。
実施例1において、濾過温度=10℃で濾過した所、2h後フィルター目詰まりが発生した。フィルター目詰まりが発生したため、フィルターをバイパスさせ、2μm以上の異物量は1200個/gであった。異物が多く、光学フィルムとして使用するには難がある
ものであった。
実施例1において、塗布温度20℃で塗膜した。外観の指標となる原反のRq値は0.32であった。またフィルムの異物は全く観察されなかった。乾燥風と垂直方向に150℃、2.0倍延伸を行った。延伸後フィルムの膜厚27±0.1μm、位相差=275nm
±2nm、Rq=0.320であった。延伸後のフィルムの異物は全く観察されなかった。延伸後のRq=0.150であった。外観が悪く光学フィルムとして使用するには難があるものであった。
Claims (4)
- 下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体を、1気圧における沸点が30℃以上50℃以下である溶媒に溶解し、当該溶媒の沸点−25℃以上溶媒の沸点−10℃以下の温度条件で0.1μm〜100μmのフィルターを用いて濾過する工程と、
得られた濾液を用いて、35℃未満でありかつ濾過温度よりも5℃以上低い温度条件で製膜する工程と
を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法;
- 製膜を溶液流延法により行うことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- JIS-B0601:2001の記載に準拠して求められるフィルムの二乗平均平方根粗さRqの値が2以下であるフィルムを得ることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの
製造方法。 - さらに延伸する工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
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