JP2008191392A - 位相差フィルム、偏光板および液晶パネル - Google Patents

位相差フィルム、偏光板および液晶パネル Download PDF

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Abstract

【課題】 薄膜においても耐熱性、耐久性に優れた位相差フィルム、ならびに、前記位相差フィルムを用いて得られる偏光板および液晶パネルを提供すること。
【解決手段】 膜厚30μm以下の環状オレフィン系重合体フィルムであり、かつ、JIS K7127およびK7161に準拠し、ダンベル2号形試験片を用いてフィルム面内の最大屈折率方向と面内で直交する方向に引っ張り試験を行ったときの降伏点における引張力が8N以上であることを特徴とする、位相差フィルムを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学特性に優れ、薄膜でも耐ヒートショック性に優れた位相差フィルムおよびそれを用いた偏光板と液晶パネルに関する。
環状オレフィン系開環(共)重合体は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するために非晶性で光線透過率が高く、しかも屈折の異方性が小さいことにより低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性重合体として注目されている。このような環状オレフィン系開環(共)重合体としては、例えば特許文献1〜6に記載のものなどが挙げられる。
近年、上記の特徴を利用して、多くの光学分野において、環状オレフィン系開環(共)重合体を応用することが検討されている。また、フィルムまたはシート(以下、シートも含めてフィルムという。)に応用し、従来の光学用フィルムの問題点を改良する試みもなされている。
すなわち、従来から光学用フィルムとして使用されているポリカーボネート、ポリエステルあるいはトリアセチルアセテート等のフィルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力変化により位相差が発現したり変化したりする問題や、耐熱性や吸水変形等の問題があるため、これらの問題を解決するものとして、環状オレフィン系開環(共)重合体からなるフィルムが光学用の各種フィルムとして提案されている。このような用途としては、位相差フィルム、偏光板の保護フィルム、液晶表示素子用基板などが挙げられる。
ところで、近年、モバイル用コンピュータや携帯電話等に用いられるLCDに、さらなる軽量化、薄型化が求められている。したがって、LCDに使用されている位相差フィルムに対しても、さらに薄膜で高機能性を有するものが求められており、耐熱性と光学特性に優れる環状オレフィン系重合体からなるフィルムは、さらに注目されることとなっている。しかしながら、単に薄膜化を進めるだけでは、偏光板に組み込んで耐久性試験を実施したときに割れを生じる等、耐久性の点で不具合を起こすことが分かっており、問題になっていた。
特開平1−132625号公報 特開平1−132626号公報 特開昭63−218726号公報 特開平2−133413号公報 特開昭61−120816号公報 特開昭61−115912号公報
本発明は、薄膜においても耐熱性、耐久性に優れた位相差フィルム、ならびに、前記位相差フィルムを用いて得られる偏光板および液晶パネルを提供することを課題としている。
本発明の位相差フィルムは、膜厚30μm以下の環状オレフィン系重合体フィルムであり、かつ、JIS K7127およびK7161に準拠し、ダンベル2号形試験片を用いてフィルム面内の最大屈折率方向と面内で直交する方向に引っ張り試験を行ったときの降伏点における引張力が8N以上であることを特徴とする。
本発明の位相差フィルムは、波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率をnx、フィルム面内でnxと直交する方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd〔nm〕としたとき、フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕=(nx−ny)×dが60nm以上300nm以下であり、かつフィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕={(nx+ny)/2−nz}×dが30nm以上300nm以下であることが好ましい。
本発明の位相差フィルムにおける環状オレフィン系重合体は、下記式(1)で表される構造単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2008191392
(式(1)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CHCH−で表される基であり、R〜Rは各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、本発明の位相差フィルムが積層されていることを特徴とする。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、本発明の位相差フィルムが偏光板保護フィルムを介して積層されていてもよい。
本発明の液晶パネルは、液晶表示素子の少なくとも片面に、本発明の偏光板が積層されてなることを特徴とする。
本発明者らは、位相差フィルムの降伏点における引張力に着目し、これを調整することで、薄膜でも耐久性に優れた位相差フィルムが得られることを見出した。本発明によれば、膜厚30μm以下の薄膜であっても、耐熱性、耐久性に優れ、光学特性にも優れた位相差フィルムを得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
環状オレフィン系重合体
本発明の位相差フィルムを構成する環状オレフィン系重合体は、上記式(1)で表される構造単位(1)を有することが好ましい。なお、本明細書において、重合体とは単独重合体および共重合体を表す。
このような構造単位(1)は、開環重合により下記式(1m)で表される環状オレフィン系単量体(1m)から誘導される。
Figure 2008191392
(式(1m)中において、R1〜R6は、前記式(1)で定義のとおり。)
式(1)あるいは(1m)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
なお、これらの基の例示は、後述する式(2)、(2A−m)および(2B−m)に関しても同様である。
このような環状オレフィン系単量体(1m)としては、具体的には、例えば
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−イソプロピル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−8−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
また、構造単位(1)は、開環重合および五員環の水素添加により、下記式(1m’)で表される環状オレフィン系単量体(1m’)から誘導されてもよい。
Figure 2008191392
(式(1m’)中、R1、R2、R3およびR5は、前記式(1)において定義のとおり。) このような環状オレフィン系単量体(1m’)としては、具体的には、例えば
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(DCP)、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
9−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。本発明では、このうち、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンが特に好ましく用いられる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、構造単位(1)とともにその他の構造単位を有することがより好ましい。その他の構造単位としては、他のノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系単量体を開環共重合して導かれる構造単位が好ましいものとして挙げられ、また、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン系単量体を開環共重合して導かれる構造単位、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどを共重合して導かれる構造単位が挙げられる。本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、特に好ましくは、構造単位(1)と、環状オレフィン系単量体を開環共重合して導かれる構造単位のみを有する共重合体であることが望ましい。また、構造単位(1)を含まず、他のノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系単量体を開環重合して得られる重合体も、本発明で用いる環状オレフィン系重合体として用いることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、さらに好ましくは、前記式(1)で表される構造単位(1)とともに、下記式(2)で表され、式(2)中のR7〜R10の少なくとも一つが極性基であり、かつその他のR7〜R10の少なくとも一つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である構造単位(2A)および/または下記式(2)で表され、R7〜R10がいずれも極性基ではない構造単位(2B)を有することが望ましい。さらに、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、構造単位(1)と、構造単位(2A)と、構造単位(2B)とを有することが特に好ましい。
Figure 2008191392
(式(2)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R7〜R10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)。
構造単位(2A)は、下記式(2m)で表され、式(2m)中のR7〜R10の少なくとも一つが極性基であり、かつその他のR7〜R10の少なくとも一つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である環状オレフィン系単量体(2A−m)から、構造単位(2B)は、下記式(2m)で表され、R7〜R10がいずれも極性基ではない構造単位(2B−m)から、それぞれ開環共重合により誘導される。
Figure 2008191392
(式(2m)中、R7〜R9は前記式(2)で定義のとおり。)
このような環状オレフィン系単量体(2A−m)としては、具体的には、例えば、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
ここで、構造単位(2A)および環状オレフィン系単量体(2A−m)は、その極性基が下記式(3)で表される基であることが好ましい。すなわち、式(2)あるいは(2m)中のR7〜R10の少なくとも一つが、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
−(CH2pCOOR’ (3)
(式(3)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(3)において、pの値が小さいものほど、また、R’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、pは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R’は通常炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
さらに、上記式(2)において、上記一般式(3)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している構造単位(2A)を有する場合には、共重合体の耐熱性と吸水(湿)性がバランスに優れるため好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、環状オレフィン系単量体(2B−m)としては、具体的には、例えば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプト−4−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。これらのうちビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましく用いられる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、構造単位(1)を全構造単位中好ましくは5モル%以上、より好ましくは5〜50モル%、特に好ましくは10〜40モル%の量で含有することが望ましい。また、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、構造単位(1)の含有量により適宜調節することができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体が、構造単位(1)と、構造単位(2A)と、構造単位(2B)とを有する場合には、その含有割合は、全構造単位100モル%中において、構造単位(1)が5〜50モル%、構造単位(2A)が30〜90モル%、構造単位(2B)が1〜30モル%であるのが好ましく、構造単位(1)が10〜40モル%、構造単位(2A)が40〜80モル%、構造単位(2B)が1〜20モル%であるのがより好ましい。ここで構造単位(1)、(2A)、(2B)の合計が100モル%であることが望ましい。
本発明に係る環状オレフィン系重合体は、前記単量体(1m)または(1m’)と、前記単量体(2A−m)および/または前記単量体(2B−m)のみを単量体として用いて開環共重合し、水素添加して得られた重合体であることがより好ましい。
このような単量体の共重合に際しては、用いる各単量体の反応性に留意して重合条件を適宜選択して行うことができる。共重合に際しては、重合系中の単量体組成比が重合初期と後期とで大幅に変化しないことが好ましく、単量体濃度が経時的に変化する場合には、重合を早い段階でストップさせるか、重合系中に濃度の減少した単量体を連続的あるいは間欠的に重合系内に供給して、単量体組成比を一定に保つことが好ましい。このように単量体組成比を制御しながら共重合を行うと、透明性に優れた光学フィルムを形成可能な共重合体を得ることができる。
各環状オレフィン系単量体を開環共重合しただけの開環共重合体は、その分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題を有しているため、係るオレフィン性不飽和結合は水素添加されることが好ましいが、係る水素添加反応も公知の方法を適用できる。例えば、特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された触媒や溶媒および温度条件などを適用することで、開環重合反応および水素添加反応を実施することができる。
オレフィン性不飽和結合の水素添加率としては、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であることが望ましい。なお、本発明における水素添加反応とは、上記の通り、分子内のオレフィン性不飽和結合に対するものであり、本発明で用いる環状オレフィン系重合体が芳香族基を有する場合、係る芳香族基は屈折率など光学的な特性や耐熱性において有利に作用することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常8000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜100,000であり、また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常10,000〜3,000,000、好ましくは20,000〜1,000,000、さらに好ましくは30,000〜500,000の範囲であるのが望ましい。分子量が過小である場合には、得られるフィルムの強度が低いものとなることがある。一方、分子量が過大である場合には、溶液粘度が高くなりすぎて本発明の共重合体の生産性や加工性が悪化することがある。
また、本発明で用いる環状オレフィン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2.2〜5であるのが望ましい。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体は、23℃における飽和吸水率が、通常0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であるのが望ましい。本発明で用いる環状オレフィン系重合体の飽和吸水率が上記の範囲内にあれは、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および位相差の均一性、あるいは寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、他の材料との密着性・接着性に優れるため、使用中に剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
この飽和吸水率が0.01重量%未満である場合には、得られるフィルムは、他材料との密着性や接着性が低いものとなり、使用中に剥離を生じやすくなり、また、酸化防止剤等の添加剤の添加量が制約されることがある。一方、この飽和吸水率が1重量%を超える場合には、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなる。
ここで、飽和吸水率は、ASTM D570に準拠し、23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる値である。
本発明で用いる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常110〜250℃であり、好ましくは115〜220℃、さらに好ましくは120〜200℃である。Tgが110℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが110℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが250℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化する場合がある。
<添加剤>
本発明で用いる環状オレフィン系重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、耐熱劣化性や耐光性の改良のために公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加して用いることができる。例えば、下記フェノール系化合物、チオール系化合物、スルフィド系化合物、ジスルフィド系化合物、リン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、本発明で用いる重合体100重量部に対して0.01〜10重量部添加することで、耐熱劣化性を向上させることができる。
また、本発明で用いる環状オレフィン系重合体には、目的とする光学フィルムの特性に応じて、その他の添加剤を添加してもよい。たとえば、着色されたフィルムを得ることを目的として、染料、顔料等の着色剤を添加してもよく、得られるフィルムの平滑性を向上させることを特徴としてレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル重合体系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
なお本発明において、環状オレフィン系重合体に添加剤を添加して用いる場合、係る添加剤は、溶媒に溶解する前に添加してもよく、溶媒に溶解する段階または溶解した後で、濾過する前に添加してもよく、また、濾過後製膜前に添加してもよい。
フィルムの成形
環状オレフィン系重合体フィルムの成形方法としては、溶液流延法(溶剤キャスト法)や溶融押出法などが挙げられる。
溶液流延法は、環状オレフィン系重合体溶液を必要に応じて濾過した上で、キャリヤー上に塗布し、乾燥させて溶媒を除去する方法である。
用いられるキャリヤーとしては、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等よりなるポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどが挙げられる。キャリヤーとしてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。ここで、表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系重合体やスルホン酸塩基含有重合体をコーティングまたはラミネートすることにより、これらの重合体よりなる層を形成する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
キャリヤーにフィルム形成液である溶液を塗布する方法としては、ダイスやコーターを使用する方法、スプレー法、刷毛塗り法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法などを利用することができる。また、濾液を繰り返し塗布することにより、得られるフィルムの厚みを制御することもできる。
上述のようにして製膜されたフィルムは、通常乾燥する工程を経てフィルムとなる。本発明において、乾燥方法は特に限定されず、例えば多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法を利用することができるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、得られるフィルムの特性を著しく低下させるので、これを回避するために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程における温度あるいは風量を制御することが好ましい。
このようにして得られるフィルム中の残留溶媒量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、フィルム中の残留溶媒量が10重量%を超える場合には、当該フィルムを実際に使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりガラス転移温度が低くなり、耐熱性も低下することため好ましくない。
なお、後述する延伸工程を好適に行うためには、フィルム中の残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節することが必要となる場合がある。具体的には、延伸配向処理によってフィルムに位相差を安定して均一に発現させるために、フィルム中の残留溶媒量を通常10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。フィルム中に微量の溶媒を残留させることにより、延伸配向処理が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
溶融押出法により環状オレフィン系重合体フィルムを得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適用すればよい。例えば、押出機に取り付けられたダイから溶融状態の環状オレフィン系重合体を押し出し、当該重合体を鏡面ロール表面に圧着し、その後、冷却して剥離し、シート化する方法が挙げられる。
環状オレフィン系重合体を溶融する方法としては、押出機により重合体を溶融する方法が好ましく、当該溶融重合体をギアポンプにより定量供給し、これを金属フィルターなどでろ過して不純物を除去した後、ダイにてフィルム形状に賦型しつつ押し出す方法が好ましい。
ダイから押出されたフィルムを冷却してシート化する方法としては、ニップロール方式、静電印加方式、エアナイフ方式、カレンダー方式、片面ベルト方式、両面ベルト方式、3本ロール方式などが挙げられるが、光学歪の少ないシートを製造するには、片面ベルト式、中でもスリーブ式と呼ばれるシート製造装置、静電印加方式などが好ましく用いられる。例えば、ダイの吐出口下方に鏡面ロールと金属ベルトが配置され、当該鏡面ロールと並行に並ぶように剥離ロールが配置されているフィルム製造装置が挙げられる。上記金属ベルトは、その内面に接するように設けられた2つの保持ロールによって張力が作用された状態で保持されている。吐出口より吐出された重合体は、上記鏡面ロールと金属ベルトの間を通って挟圧され、鏡面ロールに転写されて冷却された後、剥離ロールにより剥離されフィルム化される。また、吐出されるフィルムの両端の位置で、ダイの吐出口下方の鏡面ロールに相対するように配置した、帯電電極から、フィルムを鏡面ロール側にはり付かせることで、光学歪を与えずにフィルムの表面性を良好にする方法なども好ましい方法である。
押出機としては、単軸、二軸、遊星式、コニーダーなどいずれを用いても良いが、好ましくは、単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュー形状としては、ベント型、サブフライト型、先端ダルメージ型、フルフライト型など、圧縮比の大きなもの、小さなもの、圧縮部の長さが長い緩圧縮、長さが短い急圧縮タイプなどが挙げられるが、酸素の混入と押出機内部におけるせん断発熱により、重合体中にゲルが発生しやすくなる。このゲルがフィルム中のフィッシュアイと呼ばれる点状欠陥や焼けの原因となるため、酸素の溶解を抑制でき、せん断発熱を抑制できるフライト形状・圧縮タイプのものが好ましく、好ましい圧縮比は、1.5〜4.5、特に好ましくは1.8〜3.6である。重合体の計量に使用されるギアポンプは、内部潤滑式、外部潤滑式いずれを使用しても良いが、中でも外部潤滑方式が好ましい。
異物のろ過に使用するフィルターに関しては、リーフディスクタイプ、キャンドルフィルタータイプ、リーフタイプ、スクリーンメッシュなどが挙げられる。なかでも、重合体の滞留時間分布を小さくする目的では、リーフディスクタイプが最も好ましく、フィルターの目の開きを意味する公称目開きは、20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることである。最も好ましくは3μm以下である。公称目開きが、20μmよりも大きい場合には、目に見える異物のほかに、ゲルなどを除去することが難しいために、光学フィルムを作るためのフィルターとしては、好ましくない。
ダイとしては、ダイ内部の重合体流動を均一にすることが必須であり、フィルムの厚みの均一性を保つには、ダイ出口近傍でのダイ内部の圧力分布が幅方向で一定であることが必須である。このような条件を満たすものとしては、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどを用いることができ、これらの中では、コートハンガーダイが好ましい。またダイの流量調整には、ベンディングリップタイプが好ましい。また、ヒートボルト方式による自動制御により厚薄調整を行う機能がついているダイが特に好ましい。流量調整のためにチョークバーを取り付けることや、厚み調整のためのリップブロックを取り付けることは、取り付け部分に段差を生じたり、取り付け部分の隙間などに、空気などをかみこんだりして、焼けの発生原因になったり、ダイラインの原因になりうるので好ましくない。ダイの吐出口は、タングステンカーバイドなどの超硬コーティングなどのコーティングがなされていることが好ましい。また、ダイの材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、表面にクロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Physical Vapor Deposition)法などにより、TiN、TiAlN、TiC、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、その他のセラミックスが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることができる。このようなダイは、表面硬度が高く、重合体との摩擦が小さいため、得られる透明重合体シートに、焼けゴミなどが混入することを防止することができると共に、ダイラインが発生することを防止することができる点で、好ましい。
鏡面ロールは、内部に加熱手段および冷却手段を有するものが好ましく、その表面粗さは0.5μm以下、特に、0.3μm以下であることが好ましい。そうすることで、得られる光学フィルムの透明性を一段と上げることができ、特に延伸して使用する場合に効果をより発揮できる。このとき、鏡面ロールとしては、金属ロールにメッキが施されたものを用いることが好ましく、クロムメッキ、無電解ニッケルメッキなどが施されたものが特に好ましい。
鏡面ロールの加熱方法は、ジャケット式オイル温調方式や、誘電加熱方式などが好ましい方法として用いられる。ロールの加熱方法は特に限定されないが、ロールの温度がフィルム製膜範囲で、温度差が無いことが好ましく、許容されるロールの幅方向の温度差は好ましくは2℃以内、さらに好ましくは1℃以内である。
片面ベルト式装置や、スリーブ式引き取り装置に使用する、金属ベルトとしては、継ぎ目のない無端ベルトを用いることが好ましい。金属ベルトを構成する材料としては、ステンレス、ニッケルなどを用いることができる。また、金属ベルトを保持する保持ロールは、その表面がシリコーンゴムまたその他の耐熱性を有するエラストマーなどによって被覆されていることが好ましい。金属ベルトの厚みは、0.1〜0.4mmが好ましく、0.1mm未満であると、たわみが大きくベルトにすぐに傷がつくことがあり好ましくない。一方、0.4mmよりも厚みがあると、加工時にフィルムに追従して変形しないため、好ましくない。
上記の装置により、例えば次のようにしてフィルムが製造される。
通常、押出機に環状オレフィン系重合体を投入する前に、当該重合体に含まれている水分、気体(酸素など)、残溶剤などを予め除去することを目的として、当該重合体のTg以下の適切な温度で重合体の乾燥を行う。
乾燥に用いる乾燥機は、好ましくは、不活性ガス循環式乾燥機、真空乾燥機が用いられる。また、ホッパー内で吸湿したり、酸素の吸収を抑制するため、ホッパーを窒素やアルゴンなどの不活性ガスでシールしたり、減圧状態に保持できる真空ホッパーを使用することも好ましい方法である。
押出機シリンダーは、溶融押出中に重合体が酸化されてゲルなどが発生することを防止するために、窒素やアルゴンなどの不活性ガスによりシールすることが好ましい。
押出機により溶融された環状オレフィン系重合体は、ダイ吐出口から垂直方向である下方に向かってシート状に押し出される。ダイ出口の温度分布は、重合体の溶融粘度差を少なくするため、好ましくは±1℃以下に制御される。
その後、押し出された重合体が、鏡面ロールと金属ベルトとによって挟圧され、冷却される。そして、鏡面ロール表面に転写された重合体が、剥離用ロールによって鏡面ロールの表面から剥離されることにより、シート状のフィルムが製造される。
<フィルム延伸加工>
上述のようにして得られたフィルムは、延伸加工(延伸配向処理)を施すことにより、フィルムを形成する本発明の共重合体の分子鎖が一定の方向に規則的に配向し、透過光に位相差を与える機能を有する光学フィルム(位相差フィルム)とすることができる。
ここで、「規則的に配向」とは、未延伸のフィルムではフィルム中の高分子化合物(重合体)の分子鎖は特定な方向を向かずにランダムな状態であるのに対し、高分子化合物の分子鎖がフィルムの平面の一軸方向または二軸方向あるいは厚み方向に規則的に配向していることを意味する。高分子化合物の配向の規則性の程度はさまざまであり、延伸条件により制御することができる。
延伸加工法としては、具体的には、公知の一軸延伸法または二軸延伸法を挙げることができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の異なる二組のロールを利用する縦一軸延伸法、あるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
一軸延伸法を利用する場合には、延伸速度は通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法としては、同時に互いに交わる2方向に延伸を行う方法や一軸延伸した後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸を行う方法を利用することができる。これらの方法において、2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性に応じて決定されるため特に限定はされないが、通常120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであっても、異なっていてもよく、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工における加工温度は、特に限定されるものではないが、フィルムを構成する環状オレフィン系重合体のガラス転移温度をTgとしたとき、通常Tg−5℃〜Tg+20℃、好ましくはTg〜Tg+10℃の範囲であるのが望ましい。処理温度を上記の範囲内とすることにより、高い位相差と位相差ムラの発生を抑制することが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は、所望する位相差などの特性に応じて決定されるため特に限定はされないが、通常1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。
延伸したフィルムは、そのまま室温で冷却してもよいが、Tg−100℃〜Tg程度の温度雰囲気下に少なくとも10秒間以上、好ましくは30秒間〜60分間、さらに好ましくは1分間〜60分間保持してヒートセットし、その後、室温まで冷却することも好ましく、これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
上記のようにして得られる本発明の位相差フィルムは、延伸により分子が配向していることにより、透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率あるいは延伸前のフィルムの厚み等を調整することにより制御することができる。例えば、延伸倍率については、延伸前の厚みが同じフィルムであっても、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与えるフィルムを得ることができる。また、延伸前のフィルムの厚みについては、延伸倍率が同じであっても、延伸前のフィルムの厚みが大きいほど透過光に与える位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚みを変更することによって所望の位相差を透過光に与える光学フィルムを得ることができる。
<フィルム特性>
本発明の位相差フィルムは、JIS K7127およびK7161に準拠し、ダンベル2号形試験片を用いてフィルム面内の最大屈折率方向と面内で直交する方向に引っ張り試験を行ったときの降伏点における引張力が、8N以上、好ましくは10N以上である。上記値の降伏点における引張力を有するフィルムは、膜厚30μm以下の薄膜フィルムであっても、耐ヒートショック性に優れ、耐久性試験において割れを生じない。なお、上述したフィルム面内の最大屈折率方向は、通常、延伸方向と一致するものである。従って、例えば縦一軸延伸を行ったフィルムであれば、フィルム幅方向に張力がかかるように試験片を作製して引っ張り試験を行い、横一軸延伸を行ったフィルムであれば、フィルム長手方向に張力がかかるように試験片を作製して引っ張り試験を行うものである。
また、本発明の位相差フィルムにおいて、透過光に与える位相差の値は、光線波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率をnx、フィルム面内でnxに対して直交する方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd〔nm〕としたとき、フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕=(nx−ny)×dが60nm以上300nm以下、好ましくは90nm以上270nm以下であり、フィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕={(nx+ny)/2−nz}×dが30nm以上300nm以下、好ましくは45nm以上300nm以下であることが望ましい。当該R0およびRthの値は、用いられる液晶パネルに用いられる液晶やパネルの種類により異なる。
また、フィルムを透過した光の位相差は、その均一性が高いことが好ましく、具体的には、光線波長550nmにおけるバラツキが通常±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下であるのが望ましい。位相差のバラツキが±20%の範囲を超える場合には、液晶表示素子等に使用したときに、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が低下するという問題が生じることがある。同様に、光軸のバラツキは、通常±2.0度以下であり、好ましくは±1.0度以下、さらに好ましくは±0.5度以下であることが望ましい。
本発明の位相差フィルムの膜厚は、30μm以下、好ましくは30〜20μm、さらに好ましくは30〜25μmである。膜厚を薄くすることで位相差フィルムが使われる分野の製品に求める小型化、薄膜化に大きく応えることができる。ここで、位相差フィルムの膜厚をコントロールするためには、延伸前のフィルムの膜厚をコントロールしたり、延伸倍率をコントロールしたりすることによりなし得る。ただし、膜厚を薄くしすぎると、フィルムの取り扱いが困難になり、製造時の生産性が低下するために好ましくない。
偏光板
本発明の偏光板は、PVA系フィルムなどからなる偏光子の少なくとも片面に、本発明の位相差フィルムが積層されていることを特徴とする。位相差フィルムは偏光子に直接積層されていてもよいし、偏光板保護フィルムを介して積層されていてもよい。偏光板保護フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムや、延伸されていない環状オレフィン系重合体フィルム等が特に好ましく用いられる。偏光子または偏光板保護フィルムに本発明の位相差フィルムを積層する方法としては、PVA重合体を主体とした水溶液からなる水系接着剤、極性基含有粘接着剤、光硬化性接着剤などを使用して貼り合わせ、必要に応じてこれを加熱または露光し、圧着する方法が挙げられる。
液晶パネル
本発明の液晶パネルは、2枚のガラス基板間に液晶が挟持されてなる液晶表示素子の少なくとも片面に、本発明の偏光板を貼り合わせ、液晶表示素子と偏光板とを接着(積層)させることにより製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、特に断りがない限り、部または%は重量基準である。
なお、各種物性は、次のようにして測定あるいは評価した。
ガラス転移温度(Tg
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
水素添加率
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムで1H−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
重量平均分子量
東ソー株式会社製HLC−8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。Mnは数平均分子量を表す。
フィルム膜厚
(株)ミツトヨ製の「デジマチックインジケータ」を用いてフィルム厚みを測定した。
位相差R0およびRth
王子計測機器(株)製の「KOBRA−21ADH」を用い、波長550nmにおいて測定した。
降伏点における引張力
フィルム面内の最大屈折率方向と面内で直交する方向に張力がかかるように、ダンベル2号形試験片を作製した。具体的には、縦一軸延伸を行ったフィルムはフィルム幅方向に、横一軸延伸を行ったフィルムはフィルム長手方向に張力がかかるように試験片を作製した。得られた試験片について、引っ張り試験機(インストロンジャパン(株)社製、万能材料試験機5564型)を用い、JIS K7127およびK7161に準拠して、引張り速度5mm/minの条件で引張り試験を行い、降伏点における引張力を求めた。なお、本実施例のフィルムでは降伏点を有する場合について記述しているが、厚みや延伸条件によっては降伏点を示さずに破断に至る場合もある。そのような場合には、破断点における引張力を降伏点における引張力に読み替えて試験を実施する。
耐ヒートショック性(耐久性)
10cm×10cmの位相差フィルムを、粘着フィルムを用いてフィルムより大きいサイズで厚さ1mmの無歪ガラスに貼合することでサンプルを作製し、−40℃と85℃でそれぞれ30分ずつ保持するサイクルを500サイクル繰り返した後のサンプル表面を目視で観察し、割れの無いものを○、割れのあるものを×として評価した。
<合成例1>
下記式で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(DNM)71部、ジシクロペンタジエン(DCP)15部、および、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)1部を単量体として用い、分子量調節剤の1−へキセン 18部、およびトルエン 200部とともに、窒素置換した反応容器に仕込んで100℃に加熱した。
Figure 2008191392
これにトリエチルアルミニウム0.005部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2:WCl6=103:630:427 重量比)0.005部を加えて1分反応させ、次いで、DCP 10部とNB3部を5分で追加添加して、さらに45分反応させることにより、DNM/DCP/NB=69.77/26.01/4.23(wt%)の共重合体を得た。
次いで、得られた共重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、反応調整剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを1部と水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C65)]3を0.006部添加し、155℃まで過熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。反応終了後、トルエン100重量部、蒸留水3重量部、乳酸0.72重量部、過酸化水素0.00214重量部を加え60℃で30分加熱した。その後、メタノール200重量部を加え60℃で30分加熱し、これを25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液500重量部を除去し、再びトルエン350重量部、水3重量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240重量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。上澄み液500重量部を除去し、さらにトルエン350重量部、水3重量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240重量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。最後に上澄み液500重量部を除去後、残ったポリマー溶液を、2.0μm、1.0μm、0.2μmのそれぞれのフィルターを用いて濾過した。その後、ポリマー固形分量を55%まで濃縮し、250℃、4torr、滞留時間1時間で脱溶媒処理を行い、10μmのポリマーフィルターを通過させて、共重合体(1)を得た。得られた共重合体(1)は、重量平均分子量(Mw)=6.1×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.8、固有粘度(ηinh)=0.52、ガラス転移温度(Tg)=131℃であった。また、水素添加率は99.9%以上であった。
<合成例2>
窒素置換した反応容器に、DNM225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン25部と、分子量調節剤として1−ヘキセン27部と、溶媒としてトルエン750部とを仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム1.5モル/lを含有するトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)を含有する濃度0.05モル/lのトルエン溶液3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。
この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環共重合体溶液を構成する開環共重合体の30℃のクロロホルム中における固有粘度(ηinh )を測定したところ、0.51dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液4000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(Cを0.48部添加して、水素ガスを10MPa、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行って共重合体(2)を得た。得られた共重合体(2)は、重量平均分子量(Mw)=6.2×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.0、固有粘度(ηinh)=0.51、ガラス転移温度(Tg)=130℃であった。また、水素添加率は99.9%以上であった。
<実施例1>
共重合体(1)をトルエンに濃度が30%となるように溶解した。この溶液に、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、共重合体100部に対して0.3部添加し、得られた溶液を日本精線(株)製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過させた後、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製の「INVEXラボコーター」を用い、アクリル酸系表面処理剤によって親水化(易接着化)処理された、厚みが100μmのPETフィルム(東レ(株)製の「ルミラーU94」)に塗布した。次いで、得られた液層に対して、25℃で10分間乾燥処理を行い、更に101℃(Tg−30℃)で10分間乾燥処理を行った後、PETフィルムから剥離させることにより、厚さ50μmのフィルム(1)を形成した。また上記と同様の方法で厚さ35μmのフィルム(2)を形成した。
得られたフィルム(1)を用い、テンター内で138℃(Tg+7℃)に加熱し、延伸速度300%/minで縦方向に2.8倍に、横方向の幅を固定しない縦一軸延伸をして厚さ28μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの降伏点における引張力は9.4Nであった。当該位相差フィルムを評価したところ、フィルム面内の位相差(R0)が280nm、厚み方向の位相差(Rth)が140nmであった。また、耐ヒートショック性は良好であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1で得られたフィルム(2)を用い、延伸条件をテンター内温度136℃(Tg+5℃)、延伸倍率1.4倍に変更した以外は実施例1と同様に縦一軸延伸して厚さ29μm、降伏点における引張力10.8Nの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの評価結果を表1に併せて示す。
<実施例3>
実施例1で得られたフィルム(1)を用い、テンター内で132℃(Tg+1℃)に加熱し、延伸速度300%/minで横方向に1.8倍に、縦方向の幅を固定した横一軸延伸をして厚さ28μm、降伏点における引張力10.8Nの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの評価結果を表1に併せて示す。
<実施例4>
共重合体(1)をトルエンに濃度が30%となるように溶解した。この溶液に、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、共重合体100部に対して0.3部を添加し、得られた溶液を日本精線製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過させた後、二軸押出機(東芝機械(株)製;TEM−48)を用いて、3段ベントにより、トルエンを脱気しながら、ギアポンプを用いて下流に押出を行い、ストランドダイより流出させた樹脂を冷却水槽で冷却の後にストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、造粒樹脂を得た。
この造粒樹脂を窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(65mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながら、ギアポンプで定量押出を実施し、公称の目開きを10μmとした日本精線製の金属繊維焼結フィルターを用いて、溶融ろ過を行い、コートハンガー型のダイ(650mm幅)を用い、ダイ出口の間隙を0.5mmとして260℃で、吐出量13kg/hr、巻き取り速度8m/minにて膜状に押出した。押出したフィルムを、表面粗さが0.1Sの250mmΦの鏡面ロールと、0.3mm厚の金属ベルトの間に挟んで、フィルムの表面を光沢面に転写した。その後、鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムを冷却ロールに圧着した後にフィルムを剥離し、片面にマスキングフィルムを貼合して、巻き取り機で巻き取り、厚さ50μmのフィルム(3)を形成した。
得られたフィルム(3)を用い、テンター内で139℃(Tg+8℃)に加熱し、延伸速度300%/minで2.8倍に縦一軸延伸をして厚さ28μm、降伏点における引張力9.5Nの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの評価結果を表1に併せて示す。
<実施例5>
共重合体(2)を用いた以外は実施例4と同様にして、溶融押出により厚さ50μmのフィルム(4)を形成した。また吐出量を11kg/hr、9kg/hrとした以外は上記と同様にして、それぞれ厚さ40μmのフィルム(5)、厚さ35μmのフィルム(6)を形成した。
得られたフィルム(4)を用い、テンター内で139℃(Tg+9℃)に加熱し、延伸速度300%/minで2.5倍に縦一軸延伸して厚さ30μm、降伏点における引張力9.8Nの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの評価結果を表1に併せて示す。
<比較例1>
実施例5で得られたフィルム(5)を用い、テンター内で135℃(Tg+5℃)に加熱し、延伸速度300%/minで2.5倍に縦一軸延伸して厚さ25μm、降伏点における引張力7.2Nの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムは、耐ヒートショック性に劣るものであった。評価結果を表1に併せて示す。
<比較例2>
実施例5で得られたフィルム(6)を用い、テンター内で146℃(Tg+13℃)に加熱し、延伸速度300%/minで1.8倍に縦一軸延伸して厚さ26μm、降伏点における引張力7.8Nの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムは、耐ヒートショック性に劣るものであった。評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2008191392
本発明の位相差フィルムは、薄膜でも光学特性および耐ヒートショック性(耐久性)に優れるため、光学用途全般に好適に用いることができるが、特に軽量化と耐熱性を要求される用途に好適に用いられ、携帯電話、ディジタル情報端末機、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、モバイル用液晶ディスプレイ、電子辞書用液晶ディスプレイ等に好適に用いられる他、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子や、エレクトロルミネッセンス表示素子などに用いることができる。

Claims (6)

  1. 膜厚30μm以下の環状オレフィン系重合体フィルムであり、かつ、JIS K7127およびK7161に準拠し、ダンベル2号形試験片を用いてフィルム面内の最大屈折率方向と面内で直交する方向に引っ張り試験を行ったときの降伏点における引張力が8N以上であることを特徴とする、位相差フィルム。
  2. 波長550nmにおけるフィルム面内の最大屈折率をnx、フィルム面内でnxと直交する方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd〔nm〕としたとき、フィルム面内の位相差R0(550)〔nm〕=(nx−ny)×dが60nm以上300nm以下であり、かつフィルム厚み方向の位相差Rth(550)〔nm〕={(nx+ny)/2−nz}×dが30nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1記載の位相差フィルム。
  3. 環状オレフィン系重合体が、下記式(1)で表される構造単位を有する重合体であることを特徴とする、請求項1記載の位相差フィルム。
    Figure 2008191392
    (式(1)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CHCH−で表される基であり、R〜Rは各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)。
  4. 偏光子の少なくとも片面に、請求項1に記載の位相差フィルムが積層されていることを特徴とする、偏光板。
  5. 偏光子の少なくとも片面に、請求項1に記載の位相差フィルムが偏光板保護フィルムを介して積層されていることを特徴とする、請求項4に記載の偏光板。
  6. 液晶表示素子の少なくとも片面に、請求項4または5に記載の偏光板が積層されてなることを特徴とする、液晶パネル。
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