JP2014038180A - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014038180A
JP2014038180A JP2012179989A JP2012179989A JP2014038180A JP 2014038180 A JP2014038180 A JP 2014038180A JP 2012179989 A JP2012179989 A JP 2012179989A JP 2012179989 A JP2012179989 A JP 2012179989A JP 2014038180 A JP2014038180 A JP 2014038180A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
optical film
range
component
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2012179989A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Tamagawa
美典 玉川
Yasutoshi Ito
康敏 伊藤
Yosuke Mizutani
洋介 水谷
Nobuo Kubo
伸夫 久保
Yuki Kaneko
由紀 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2012179989A priority Critical patent/JP2014038180A/ja
Publication of JP2014038180A publication Critical patent/JP2014038180A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】本発明の課題は、溶媒の乾燥性に起因するフィルム表裏面での貼り付き故障がなく、かつ透湿性に起因する液晶表示装置の色ムラや、表示パネルの変形(反り)がない光学フィルムを提供することである。
【解決手段】少なくとも共重合成分Aと共重合成分Bとのアクリル共重合体を含有する光学フィルムであって、前記共重合成分Aがメタクリル酸メチルであり、前記共重合成分Bが環状の部分構造を有する重合性単量体であり、当該共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜95質量%の範囲内にあり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が19.5(MPa)1/2以下であり、かつ当該共重合成分Bの下記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.4以上であることを特徴とする光学フィルム。
式(I) 嵩高さ指数=共重合成分Bの環構造部分の分子量/共重合成分Bの全体の分子量
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、透明電極、液晶層、カラーフィルター等をガラス板で挟み込んだ液晶セルと、その両側に設けられた2枚の偏光板で構成されており、それぞれの偏光板は、偏光子(偏光膜、偏光フィルムともいう。)が2枚の偏光板を保護する光学フィルム(偏光板保護フィルムともいう。)で挟まれた構成となっている。
この偏光板保護フィルムとしては、主には、セルロースエステルフィルムが使用されてきた。セルロースエステルフィルムは水蒸気透過率が高く、アルカリ水溶液に浸漬させて、その表面をケン化し、親水化することにより、偏光子との優れた密着性を実現することができる。しかしながら、セルロースエステルフィルムは、透湿性が高いため、温湿度変化によるフィルムの吸湿あるいは脱水に起因する寸法変化を起こしやすく、また、水分を内部まで透湿させてしまうことにより、位相差フィルムのリターデーション値(位相差値)の変動を起こしやすくなり、その結果、液晶表示装置の色ムラが生じるという問題や、薄膜の偏光子との組み合わせでは上記寸法変化によって、表示パネルの変形(反り)が生じるといった問題を有していた。
このように、偏光板保護フィルムとして適用する場合、セルロースエステルフィルムとしては耐湿性に限界があることから、低吸湿性を有するアクリル樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレートを用いたフィルム等を両面の偏光板保護フィルムとして使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、透湿性の低いフィルム材料を用いて、光学フィルムを製造するのに適した溶液流延製膜法によって製膜しようとすると、溶媒の乾燥性に劣り、長尺ロール状にフィルムを巻くと残留溶媒の揮発によってフィルムの表裏面で貼り付き故障を起こす問題が発生し、生産性を低下させていた。前記溶媒の乾燥を、乾燥温度の上昇や乾燥時間の延長で行うとフィルムとしての脆性が劣化し、光学フィルムとしての物性に問題が生じる。
特開2012−13850号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、透湿性の低いフィルム材料を用いる光学フィルムであって、溶媒の乾燥性に起因するフィルム表裏面での貼り付き故障がなく、かつ透湿性に起因する液晶表示装置の色ムラや、表示パネルの変形(反り)がない光学フィルムを提供することである。また、当該光学フィルムの製造方法の提供、及び当該光学フィルムを具備した偏光板、液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、メタクリル酸メチルと、25℃における溶解度パラメータ(SP値)と嵩高さ指数が特定の範囲の値を有する重合性単量体(モノマーともいう。)とのアクリル共重合体を含有する光学フィルムによって、透湿性の低いフィルム材料を用いる光学フィルムであって、溶媒の乾燥性に起因するフィルム表裏面での貼り付き故障がなく、かつ透湿性に起因する液晶表示装置の色ムラや、表示パネルの変形(反り)がない光学フィルムを提供できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも共重合成分Aと共重合成分Bとのアクリル共重合体を含有する光学フィルムであって、前記共重合成分Aがメタクリル酸メチルであり、前記共重合成分Bが環状の部分構造を有する重合性単量体であり、当該共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜95質量%の範囲内にあり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が19.5(MPa)1/2以下であり、かつ当該共重合成分Bの下記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.4以上であることを特徴とする光学フィルム。
式(I) 嵩高さ指数=共重合成分Bの環構造部分の分子量/共重合成分Bの全体の分子量
2.前記共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜50質量%の範囲内であり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が17.5(MPa)1/2以下であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
3.前記共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜50質量%の範囲内であり、当該共重合成分Bの前記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.6以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.前記アクリル重合体以外の第2成分として、分子量が500〜50万の範囲内である化合物を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを溶液流延製膜法で製造する光学フィルムの製造方法であって、当該光学フィルムを搬送方向又は幅手方向の延伸倍率の総和が2〜6倍の範囲内で延伸処理し、膜厚を20〜40μmの範囲内とし、かつ当該光学フィルムの下記式(II)で表される乾燥係数Dを0.11以上とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
式(II) D=(−1/t)×ln(Z/Zo)
(ただし、Zは残留溶媒量(%)、Zoは初期値50000ppm(5%)、tは乾燥時間[分]をそれぞれ表し、乾燥温度が120℃、乾燥時間が15分の時のフィルム試料の残留溶媒量Zを測定し、上記式に代入して乾燥係数Dを求める。)
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムと偏光子と下記条件1から条件3までの全てを満たす位相差フィルムが、この順に積層されていることを特徴とする偏光板。
条件1:温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長590nmで測定した下式(i)で表される面内リターデーション値Ro(590)が30〜150nmの範囲内である。
式(i):Ro(590)=(n−n)×d
条件2:温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長590nmで測定した下式(ii)で表される厚さ方向のリターデーション値Rt(590)が、70〜300nmの範囲内である。
式(ii):Rt(590)={(n+n)/2−n}×d
条件3:温度23℃の環境下で、湿度を20〜80%まで変化させたときの厚さ方向のリターデーション値Rt(590)の変化量が、1〜30nmの範囲内である。
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
7.前記光学フィルム及び位相差フィルムが、活性エネルギー線硬化性接着剤で偏光子と接着されていることを特徴とする第6項に記載の偏光板。
8.第6項又は第7項に記載の偏光板が、少なくとも液晶セルの一方に具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、透湿性の低いフィルム材料を用いる光学フィルムであって、溶媒の乾燥性に起因するフィルム表裏面での貼り付き故障がなく、かつ透湿性に起因する液晶表示装置の色ムラや、表示パネルの変形(反り)がない光学フィルムを提供できる。また、当該光学フィルムの製造方法の提供、及び当該光学フィルムを具備した偏光板、液晶表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来のセルロースエステルフィルムは、その透湿性の高さにより、外部環境の水分を、偏光板や液晶表示装置の内部まで浸透させてしまうため、偏光板を構成している位相差フィルムのリターデーション値(位相差値)の変動を起こしやすくなり、その結果、外部環境の水分よる液晶表示装置の色ムラや、偏光子の伸縮による表示パネルの平面性(反り)劣化が生じるという問題を抱えていた。
かかる問題に対して、液晶セルと接する面とは反対側の面側に、疎水性の度合いを示す指標である溶解度パラメータ(SP値)が、特定の値以下である共重合成分Bを用いたアクリル共重合体を含有する、透湿性の低いフィルムを配置することで、例えば、液晶セル側のフィルムが含水によるリターデーション値(位相差値)の変動が大きい位相差フィルムであっても、水分を位相差フィルム側に浸透させないようにできるため、高湿環境下における液晶表示装置の色ムラを抑制することができ、また含水による偏光子の伸縮を抑え、表示パネルの平面性(反り)も改善することができる。
更に、本発明に係るアクリル共重合体は、前記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.4以上である嵩高い構造を有する共重合成分B(重合性単量体)を用いることによって、樹脂における分子鎖、分子間の隙間を大きくすることが可能となり、溶液流延製膜法で製造する際の溶媒の抜け(乾燥性)を改善し、溶媒の乾燥性に起因するフィルム表裏面での貼り付き故障のない光学フィルムを提供できる。更に、上記樹脂における分子鎖、分子間の隙間を大きくする効果によって、樹脂自体の弾力性も増し、フィルムの脆性も改善される。
本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例の模式図 本発明の光学フィルムが具備された偏光板、及び当該偏光板が具備された液晶表示装置構成の一例を示す概略断面図
本発明の光学フィルムは、少なくとも共重合成分Aと共重合成分Bとのアクリル共重合体を含有する光学フィルムであって、前記共重合成分Aがメタクリル酸メチルであり、前記共重合成分Bが環状の部分構造を有する重合性単量体であり、当該共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜95質量%の範囲内にあり、かつ当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)、及び当該共重合成分Bの前記式(I)で定義される嵩高さ指数が特定の範囲の値であることを特徴とし、係る構成により優れた透湿性と優れた生産適性を両立することができる。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
更に、本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記アクリル共重合体の共重合成分Bの比率が5〜50質量%の範囲内であり、前記共重合成分BのSP値が17.5(MPa)1/2以下であることが透湿性の観点から好ましい態様である。
また、前記共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜50質量%の範囲内であり、当該共重合成分Bの前記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.6以上であることが溶媒の揮発性(乾燥性)の観点から好ましい態様である。
また、本発明の光学フィルムは、本発明に係るアクリル共重合体以外に、第2成分として、分子量が500〜50万の範囲内である化合物を含有することが、本発明の効果を発現しながら、フィルムの脆性を改善する効果が得られることから、好ましい。
本発明の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法としては、溶液流延製膜法で製造する製造方法であって、当該光学フィルムを搬送方向又は幅手方向の延伸倍率の総和が2〜6倍の範囲内で延伸処理し、膜厚を20〜40μmの範囲内とし、かつ当該光学フィルムの式(II)で表される乾燥係数Dを0.11以上とする実施態様であることが、フィルムの貼り付き故障を低減する観点から、好ましい製造方法である。
本発明の光学フィルムは、優れた透湿性を有することから、特定の位相差を有する位相差フィルムや、薄膜化された偏光子とを組み合わせた偏光板に好適に具備され得る。当該偏光板における偏光子と光学フィルムの貼合は、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて接着されることが好ましい。また、当該偏光板は液晶表示装置に好適に具備され、湿度変動による色ムラがなく、パネルの反りにも優れる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の光学フィルム、活性エネルギー線硬化性接着剤、偏光子、及び位相差フィルムその他の詳細について、順次説明する。
<アクリル共重合体を含有する光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、少なくとも共重合成分Aと共重合成分Bとのアクリル共重合体を含有する光学フィルムであって、前記共重合成分Aがメタクリル酸メチルであり、前記共重合成分Bが環状の部分構造を有する重合性単量体であり、当該共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜95質量%の範囲内にあり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が19.5(MPa)1/2以下であり、かつ当該共重合成分Bの下記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.4以上であることを特徴とする。
式(I) 嵩高さ指数=共重合成分Bの環構造部分の分子量/共重合成分Bの全体の分子量
本発明に係る当該共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率は、5〜95質量%の範囲内であるが、透湿性、乾燥性、及びフィルムの脆性のバランスをとる上で5〜50質量%の範囲内であることが、より好ましい。
(共重合成分B)
本発明に係る共重合成分Bは、環状の部分構造を有する重合性単量体(モノマー)であり、当該共重合成分Bの25℃におけるSP値が19.5(MPa)1/2以下であり、透湿性を高度に制御する観点から17.5(MPa)1/2以下であることが好ましく、17.5〜15.0(MPa)1/2の範囲内であることが、フィルムの透湿性と脆性に優れた光学フィルムが得られることから好ましい。
本願でいう「溶解度パラメータ(SP値)」とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、Polymer Hand Book (Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を用いる。ただし、本願では、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を示す。
なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。すなわち、基本的には、下記式に従って計算できる。
SP値=(△E/V)1/2
ここで、△Eは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表す。
例えば、本発明に係る共重合成分BのSP値は、上記R.F.Fedorsの考え方に基づいて、Scigress Explorer Ver.2.4(富士通(株)製)を用いて算出することができる。
更に、本発明に係る共重合成分Bの前記式(I)で定義される嵩高さ指数は、溶媒の揮発性(乾燥性)を高める観点から、0.4以上であることが必要であり、特に0.6以上であることが好ましく、0.6〜0.9の範囲内であることがフィルムの乾燥性と脆性に優れた光学フィルムが得られることから好ましい。
式(I)に係る嵩高さ指数は、当該共重合成分Bの環構造部分の分子量、及び当該共重合成分Bの全体の分子量を、当該共重合成分Bの構造から求め、その分子量比から算出する。
本発明に係る共重合成分Aであるメタクリル酸メチルと共重合可能であって、本発明に係る環状の部分構造を有するモノマーであり、かつSP値及び嵩高さ指数の特定の範囲を満足する共重合成分Bとしては、エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが好ましく、その具体例としては、例えば、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸シアノノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸メンチル、アクリル酸フェンチル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジメチルアダマンチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−メチル、アクリル酸シクロデシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
好ましくは、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、及びメタクリル酸ジメチルアダマンチルなどが挙げられる。
更にスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物も好ましく適用することができる。スチレンや、スチレン誘導体としてはスチレンに他の基が結合した化合物であって、例えば、メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、などのアルキルスチレンや、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、ブトキシスチレン、エトキシエトキシスチレンなど、スチレンのベンゼン核にヒドロキシ基、アルコキシ基などが導入された置換スチレンなどがある。
これらの共重合成分Bは市販のものをそのまま使用することができる。
本発明の光学フィルムに含有されるアクリル共重合体は、フィルムとしての機械的強度、及びフィルムを生産する際の流動性の点から重量平均分子量(Mw)が100000〜1000000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、100000〜500000の範囲内である。
上記重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することができる。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。また、重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われるが、この温度又は重合反応時間を調整することで可能である。
本発明に係るアクリル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下のとおりである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明に係るアクリル共重合体の製造方法は、特に限定されないが、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が可能である。取り扱いの容易さから懸濁重合法が好ましい。
本発明に係るアクリル共重合体には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、各種酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、離型剤等を添加することができる。
(懸濁重合法による製造)
本発明に係るアクリル共重合体の製造方法の一態様である、懸濁重合法による製造方法ついて説明する。
この懸濁重合法においては、まず、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸エステル及び共重合可能な他の重合性単量体からなる単量体混合物に、重合開始剤、連鎖移動剤及び離型剤を溶解させる。
次いで、その得られた均一混合液を分散安定剤を存在させた水媒体に懸濁した後、所定の重合温度で一定時間保持して重合を完結させ、その得られた懸濁重合物を濾過し、水洗、乾燥することにより本発明に係るアクリル共重合体を得ることができる。
(重合開始剤)
懸濁重合の際に使用される重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン等の過酸化物系開始剤等を挙げることができる。これらの重合開始剤の使用量は、上記単量体混合物100質量部に対して0.001〜3質量部の範囲が好ましい。
(連鎖移動剤)
また、懸濁重合の際に使用される連鎖移動剤としては、例えばt−ブチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等を挙げることができる。これらの連鎖移動剤の使用量は、上記単量体混合物100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲が好ましい。
懸濁重合の際に使用される分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル酸の単独重合体あるいは共重合体のアルカリ金属塩、メタクリル酸メチルとメタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩の共重合体、カルボキシルセルロース、ゼラチン、デンプン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム等を挙げることができる。これらの分散剤の使用量は、水100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲が好ましい。また、必要に応じて、これら分散剤と共に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マンガン等の分散助剤を併用することもできる。
(反応条件)
懸濁重合の際に使用される水量としては、特に限定されないが、上記単量体混合物100質量部に対して100〜1000質量部の範囲が好ましく、より好ましくは150〜400質量部の範囲である。
更に、懸濁重合の重合温度としては、特に限定されないが、50〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは、50〜130℃の範囲である。
(アクリル共重合体以外の第2成分)
本発明の光学フィルムは、本発明に係るアクリル共重合体以外に、光学フィルムとしての物性を向上するために、第2成分として分子量が500〜50万の範囲内である化合物を含有することが好ましい。更に当該第2成分として、分子量が10万〜50万の範囲内である化合物を含有することが好ましい。特に、このような第2成分を本発明に係るアクリル共重合体と併用することにより、フィルムとしての脆性が向上する。
当該第2成分としては、特に限定されるものではないが、セルロースエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や可塑剤等であることが好ましい。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明の光学フィルムに第2成分として用いられるセルロースエステル樹脂(以降、簡単にセルロースエステルともいう。)は、好ましくは、セルロースエステルのアシル基総置換度が2.0〜2.95の範囲内であり、かつアシル基総炭素数が4.0〜10の範囲内であるセルロースエステルであるとアクリル共重合体との相溶性が高く好ましい。ただし、アシル基総炭素数は、セルロースエステルのグルコース単位に置換されている各アシル基の平均置換度と炭素数の積の総和である。またアシル基の炭素数とはカルボニル基を含めた炭素数をいい、アセチル基では2、プロピオニル基では3、ブチリル基では4である。すなわちアシル基総炭素数は、仮にアセチル基置換度:1、プロピオニル基置換度:0.5、ブチリル基置換度:0.5のセルロースエステルについて計算した場合には、「アセチル基置換度×アセチル基炭素数+プロピオニル基置換度×プロピオニル基炭素数+ブチリル基置換度×ブチリル基炭素数」の式によって求められ、5.5となる。
またセルロースエステルに置換される脂肪族アシル基の炭素数は、セルロース合成の生産性、コストの観点から、2以上6以下が好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。なお、アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基として存在している。
β−1,4−グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシ基を有している。本発明に用いられるセルロースエステルは、これらのヒドロキシ基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル基置換度とは、繰り返し単位の2位、3位及び6位について、セルロースがエステル化している割合の合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれのヒドロキシ基が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位及び6位の全てが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタネート基、ヘキサネート基等が挙げられ、セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースペンタネート等が挙げられる。また、上述の側鎖炭素数を満たせば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートペンタネート等のように混合脂肪酸エステルでもよい。この中でも、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネートが光学フィルム用途として好ましいセルロースエステルである。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとしたとき、下記式(1)及び(2)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(1) 2.0≦X+Y≦2.9
式(2) 0.5≦Y≦2.7
この内、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基として存在しているものである。アシル基置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
本発明に用いられるセルロースエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが50000〜500000の範囲内のものが好ましく、より好ましくは100000〜300000の範囲内であり、更に好ましくは150000〜250000の範囲内である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、前記高速液体クロマトグラフィー(GPC)を用い測定できるので、これを用いて重量平均分子量(Mw)、分子量分布を算出する。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよい。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明では重合度の高いセルロースが好ましく、例えば、リンターパルプが好ましく、セルロースは、少なくともリンターパルプで構成されたセルロースを使用することが好ましい。
本発明の光学フィルムにおいて、アクリル共重合体とセルロースエステル樹脂は、95:5〜50:50の質量比の範囲内で併用することが好ましく、90:10〜70:30であると相溶性と光学フィルムの物性の両者を満足することができ、より好ましい。
アクリル共重合体とセルロースエステル樹脂の質量比が50:50よりもアクリル樹脂が少なくなると、透湿度が大きくなる。
アクリル共重合体とセルロースエステル樹脂が相溶状態となっているかどうかは、例えば、ガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。
例えば、両者の樹脂のガラス転移温度が異なる場合、両者の樹脂を混合したときは、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ以上存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
同時に2者の樹脂の屈折率が異なるとき、2者の樹脂が相溶することで樹脂の相分離状態が解消され、透明な樹脂フィルムが得られ、光学フィルムとして好ましく用いることができる。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
(セルロース誘導体)
本発明の光学フィルムには、アクリル共重合体に対して、セルロース誘導体を第2成分として加えることも好ましい。例えば、フタル酸酢酸セルロース、ベンジルセルロース、及びセルロースベンゾエート等のセルロース誘導体を、前記セルロースエステル樹脂と同様に加えることで、光学フィルムの脆性が改善される。本発明に用いられるセルロース誘導体は、重量平均分子量Mwが100000〜300000の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは150000〜250000の範囲内である。
(その他の樹脂)
本発明の光学フィルムには、アクリル共重合体に対して、セルロースエステル樹脂以外の樹脂を本発明の効果を損なわない範囲で添加量を調整して併用することもできる。
好ましい樹脂としては、特開2010−32655号公報の段落番号(0072)〜(0123)に記載のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られた低分子アクリル樹脂(重量平均分子量Mwが500以上、30000以下である重合体)を挙げることができる。
特に好ましくは、Mwが2000〜30000の範囲内である。2000以下ではブリードアウトに問題が生じ、30000を超えると透明性が悪くなる。
また、特開2009−249588号公報の段落番号(0038)〜(0045)に記載のアミド結合を有するビニルポリマーも使用することができる。
本発明において当該樹脂の添加量は、低分子アクリル樹脂、アミド結合を有するビニルポリマーは、光学フィルムの全質量に対して0〜15質量%の範囲内であることが好ましく、0〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
(各種添加剤)
本発明の光学フィルムには、フィルムに加工性や脆性を付与する可塑剤、リターデーションを制御することを目的としたリターデーション(位相差)制御剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、靱性を向上させるアクリル微粒子等の各種添加剤を必要に応じて含有させることができる。
〈グリコールと二塩基酸のポリエステルポリオール〉
本発明において使用可能なポリエステルポリオールとしては、炭素数の平均が2〜3.5であるグリコールと炭素数の平均が4〜5.5である二塩基酸との脱水縮合反応、又は該グリコールと炭素数の平均が4〜5.5である無水二塩基酸の付加及び脱水縮合反応による常法により製造されるものであることが好ましい。
〈芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールのポリエステル〉
本発明において、下記一般式(P)で表される芳香族末端ポリエステルを用いることができる。
一般式(P)
B−(G−A)−G−B
上記一般式(P)において、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。
一般式(P)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基又はアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステルと同様の反応により得られる。
本発明において、芳香族末端ポリエステルの具体的な化合物としては、特開2010−32655号公報の段落番号(0183)〜(0186)に記載の化合物を挙げることができる。
芳香族末端ポリエステルの含有量は、本発明の光学フィルム中に0〜20質量%の範囲内で含有することが好ましく、特に1〜11質量%の範囲内で含有することが好ましい。
〈多価アルコールエステル系化合物〉
本発明の光学フィルムには、多価アルコールエステル系化合物を含有させることができる。
多価アルコールエステル系化合物としては、特開2010−32655号公報の段落番号(0218)〜(0170)に記載されている化合物を挙げることができる。
〈糖エステル化合物〉
本発明においては、セルロースエステル以外の糖エステル化合物を含有させることができる。本発明に係る糖エステル化合物しては、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の全て若しくは一部をエステル化した糖エステル化合物を使用することが好ましい。
本発明に用いられる糖エステル化合物としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースなどが挙げられるが、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
本発明に用いられる糖エステル化合物は、糖化合物の有するヒドロキシ基の一部又は全部がエステル化されているもの又はその混合物である。
本発明に適用可能な糖エステル化合物の具体的化合物としては、特開2010−32655号公報の段落(0060)〜(0070)に記載の化合物を挙げることができる。
〈リターデーション制御剤〉
リターデーション制御剤としては、公知のリターデーション制御剤が使用することができる。
具体例としては、例えば、分子内にビスフェノールAを含有しているものを挙げることができ、ビスフェノールAの両端にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した化合物などを用いることができる。
例えば、ニューポールBP−2P、BP−3P、BP−23P、BP−5PなどのBPシリーズ、BPE−20(F)、BPE−20NK、BPE−20T、BPE−40、BPE−60、BPE−100、BPE−180などのBPEシリーズ(以上、三洋化成(株)製)などやアデカポリエーテルBPX−11、BPX−33、BPX−55などのBPXシリーズ(以上、(株)アデカ製)がある。
ジアリルビスフェノールA、ジメタリルビスフェノールAや、ビスフェノールAを臭素などで置換したテトラブロモビスフェーノールAやこれを重合したオリゴマーやポリマー、ジフェニルフォスフェイトなどで置換したビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェイト)なども用いることができる。
ビスフェノールAを重合したポリカーボネートやビスフェノールAをテレフタル酸などの二塩基酸と重合したポリアリレート、エポキシを含有するモノマーと重合したエポキシオリゴマーやポリマーなども用いることができる。
ビスフェノールAとスチレンやスチレンアクリルなどをグラフト重合させたモディパーCL130DやL440−Gなども用いることができる。
また、トリアジン構造を有する化合物も好ましい。これらの化合物例としては、特開2001−166144号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
〈酸化防止剤〉
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系の各化合物を好ましく用いることができる。
例えば、BASFジャパン株式会社から市販されている「IrgafosXP40、IrgafosXP60(商品名)」等が挙げられる。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、BASFジャパン株式会社から市販されている「Irganox1076」、「Irganox1010」、(株)ADEKAから市販されている「アデカスタブAO−50」等を挙げることができる。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から市販されている「SumilizerGP」、株式会社ADEKAから市販されている「ADK STAB PEP−24G」、「ADK STAB PEP−36」及び「ADK STAB 3010」、BASFジャパン株式会社から市販されている「IRGAFOS P−EPQ」、堺化学工業株式会社から市販されている「GSY−P101」を挙げることができる。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から市販されている「Tinuvin144」及び「Tinuvin770」、株式会社ADEKAから市販されている「ADK STAB LA−52」を挙げることができる。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から市販されている「Sumilizer TPL−R」及び「Sumilizer TP−D」を挙げることができる。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から「Sumilizer GM」及び「Sumilizer GS」という商品名で市販されている。
〈酸補足剤〉
さらに、酸補足剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤等は、1種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系及び二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈着色剤〉
本発明の光学フィルムは、着色剤を使用することが好ましい。着色剤というのは染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果又はイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものを指す。
着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
〈紫外線吸収剤〉
本発明の光学フィルムは偏光板の視認側やバックライト側に用いられることが好ましいことから、紫外線吸収剤を含有することが好ましく、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、昇華しにくいか、あるいは高沸点で揮発しにくく、フィルムの高温乾燥時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる観点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、特に好ましい。
これら紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズ、あるいは2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては、株式会社ADEKA製のLA31)を好ましく使用できる。
〈水素結合性化合物〉
本発明の光学フィルムには、環境湿度の変化に対するリターデーション値Ro、及びRtの変動を低減するために、水素結合性化合物が含まれていることが好ましい。
水素結合性化合物としては、一分子中に少なくとも複数のヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、から選ばれる官能基を有することが好ましく、一分子内に複数の異なる官能基を有することがより好ましく、ヒドロキシ基とカルボン酸基を有することが特に好ましい。当該化合物は、母核として、1〜2個の芳香族環を含有することが好ましく、一分子中に含有する前記官能基の数を、添加剤の分子量で割った値が、0.01以上であることが好ましい。
これらの特徴は、前記アクリル共重合体やセルロースエステル樹脂と水分子とが相互作用(水素結合)する部位に上記化合物が結合(水素結合)し、水分子の脱着による電荷分布の変化を抑制するように作用するためと推定している。
具体的な化合物例としては、3−メチルサリチル酸が好ましく、特開2011−227508号公報段落〔0029〕に記載の化合物が挙げられる。
〈マット剤〉
本発明では、フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。
本発明で用いられるマット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物又は有機化合物どちらでもよい。これらのマット剤は、単独でも2種以上併用しても使用できる。
粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、前記アクリル共重合体や相溶させる樹脂として用いるセルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。
なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
〈アクリル粒子〉
本発明の光学フィルムは、フィルムの脆性を改善する目的で、国際公開第2010/001668号パンフレットに記載のアクリル粒子を、透明性を維持できる範囲内の量で含有してもよい。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製の「メタブレンW−341」、カネカ社製の「カネエース」、クレハ社製の「パラロイド」、ロームアンドハース社製の「アクリロイド」、ガンツ化成工業社製の「スタフィロイド」、ケミスノーMR−2G、MS−300X(以上、綜研化学(株)製)及びクラレ社製の「パラペットSA」などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
〈水素結合性溶媒〉
本発明において、溶液流延法でフィルムを用いる場合は、フィルムの構成材料を溶解するための溶媒に、溶液粘度を調整する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。
これらは、アクリル共重合体やセルロースエステル樹脂、あるいは、相溶化させるための他の樹脂の混合体自身の分子間水素結合よりも、当該樹脂と水素結合性溶媒間との強い水素結合を形成させることで、溶液粘度の変化に期待できる。
本発明で行う溶液流延法においては、用いる該樹脂溶液に対して、溶液粘度を調整することに加えて、製膜時の剥離力を低下させる目的で、溶解のための溶媒に、水素結合性溶媒を一部あるいは全量用いることもできる。
(光学フィルムの物性)
以下、本発明における光学フィルムの物性等についての特徴について説明する。
本発明の光学フィルムは、アクリル共重合体に第2成分を添加することで、脆性が改善されている。脆性に劣るフィルムは延性破壊を生じやすい。延性破壊については、23℃、55%RHの雰囲気下で、フィルムを2つに折り曲げるような大きな応力を作用させても破断等の破壊がみられないことにより評価するものとする。
本発明の光学フィルムとしては、偏光板保護フィルムとして用いるときの偏光板の変形を抑制する意味で、フィルムにかかる張力(例えば、0.7N/2mm)下の軟化点温度が、以下の範囲であることが、好ましい。
23℃、55%RHの雰囲気下での張力軟化点が、85℃〜135℃の範囲内であれば、十分な耐熱性を示すものと判断できる。特に100℃〜120℃の範囲内に制御することがより好ましい。
本発明の光学フィルムの透明性を判断する指標としては、ヘイズ値(濁度)を用いる。特に屋外で用いられる液晶表示装置においては、明るい場所でも十分な輝度や高いコントラストが得られることが求められるため、ヘイズ値は1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。散乱フィルムとして用いる場合は、ヘイズ値は上記の範囲を超えていてもよい。
本発明の光学フィルムの厚さは、10〜80μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは20〜40μmの範囲である。
本発明の光学フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
本発明の光学フィルムは、上記のような物性を満たしていれば、大型の液晶表示装置や屋外用途の液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして特に好ましく用いることができる。
(光学フィルムの製造方法)
次いで、本発明の光学フィルムの製造方法の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から製膜方法は、溶液流延製膜法と溶融流延製膜法が選択でき、特に溶液流延法であることが、均一な表面を得るために好ましい。
〈溶液流延製膜法〉
本発明の光学フィルムは平面性、筋等の故障耐性、及び膜厚の精度等の観点から、溶液流延製膜法で製造することが好ましく、当該製造過程において、当該光学フィルムを搬送方向又は幅手方向の延伸倍率の総和が2〜6倍の範囲内で延伸処理し、膜厚を20〜40μmの範囲内とし、かつ当該光学フィルムの前記式(II)で表される乾燥係数Dを0.11以上とすることが好ましい。
本発明の光学フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル共重合体及びその他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用することができる。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル共重合体及びその他の添加剤の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル共重合体及びその他の添加剤を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
以下、本発明の光学フィルムの好ましい製膜方法について説明する。
(1)溶解工程
アクリル共重合体及びその他の添加剤に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該アクリル共重合体及びその他の添加剤、場合によってアクリル粒子を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいは該アクリル共重合体及びその他の添加剤溶液に、場合によってアクリル粒子溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
アクリル共重合体及びその他の添加剤の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のアクリル共重合体及びその他の添加剤の濃度は、計15〜45質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmの範囲内で、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの範囲内の濾材を用いることが好ましい。
この方法では、粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmの範囲内で、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの範囲内の濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を模式的に示した図である。
仕込み釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック釜42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へ各種添加液を添加する。
その後主ドープは主濾過器3にて濾過され、これに紫外線吸収剤添加液が導管16よりインライン添加される。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%の範囲程度含まれることがある。
返材とは、光学フィルムを細かく粉砕した物で、光学フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトした光学フィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめアクリル共重合体などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
(2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属ベルト31、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
(3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の範囲内の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の範囲内の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
(4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、140℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したローラに交互に通して搬送する乾燥装置35、及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥はできあがりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥はおおむね40〜250℃の範囲内で行われる。特に40〜200℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。
乾燥にテンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが、特に好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。延伸倍率は、流延方向と幅手方向を足し合わせて、1.1〜9倍、好ましくは、2〜6倍の範囲内である。本発明の光学フィルムは、嵩高さ指数の高い共重合成分Bを用いたアクリル共重合体を含有することから、延伸倍率を大きくすると、更に分子鎖、分子間の隙間を大きくすることができ、残留溶媒の揮発性(乾燥性)が良くなる。
上記段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%の範囲であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になるまでテンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜160℃の範囲が好ましく、50〜150℃の範囲がさらに好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
(6)巻き取り工程
光学フィルムとして巻き取り機37により長尺ロール状に巻き取る工程である。
巻き取り時の光学フィルムは、下記式(II)で定義されるフィルムの乾燥係数Dを0.11以上とすることが、フィルムの貼り付き故障を改善する観点から好ましく、0.20〜0.50の範囲内にすることが更に好ましく、0.25〜0.50の範囲内にすることが特に好ましい。上記範囲の乾燥係数にするには、本発明に係るアクリル共重合体を用いること、上記延伸倍率の範囲で延伸処理を行うこと、及び光学フィルムの膜厚を調整することで達成できる。
フィルムの乾燥係数Dは、以下の式(II)によって求めることができ、値が大きいほど、溶液流延製膜法で製造する際の溶媒の抜け(乾燥性)がよいことを示す。
式(II) D=(−1/t)×ln(Z/Zo)
(ただし、Zは残留溶媒量(%)、Zoは初期値50000ppm(5%)、tは乾燥時間[分]をそれぞれ表す。)
具体的には、乾燥温度が120℃、乾燥時間が15分の時のフィルム試料の残留溶媒量Zを測定し、上記式に代入して乾燥係数Dを求める。
残留溶媒量Z(%)は、特定時間後の「残留溶媒量」であり、下記式で求める。
残留溶媒量Z(%)=(試料の乾燥処理前質量−試料の乾燥処理後質量)/(試料の乾燥処理後質量)×100
本発明のアクリル共重合体は、嵩高さ指数の高い共重合成分Bを使用することから、溶媒がフィルムから抜けやすく(揮発しやすく)、高温、長時間の乾燥をしなくても、所望の残留溶媒量に制御することが可能である。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
本発明の光学フィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜10000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1〜4mであることが好ましく、1.4〜3mであることがより好ましい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きや擦り傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
<機能性層>
本発明の光学フィルムには、帯電防止層、バックコート層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を設けることができる。
(ハードコート層)
本発明に用いられるハードコート層は活性線硬化樹脂を含有し、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましい。
活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
ハードコート層には活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比率で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100の範囲内で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
ハードコート層には、無機化合物又は有機化合物の微粒子を含むことが好ましい。
無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、又はポリフッ化エチレン系樹脂粉末等を添加することができる。
これらの微粒子粉末の平均粒子径は特に制限されないが、防眩層を形成することも勘案すると、0.01〜5μmの範囲内が好ましく、更には、0.01〜1.0μmの範囲内であることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有しても良い。微粒子の平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、10〜400質量部の範囲内となるように配合することが望ましく、更に望ましくは、50〜200質量部の範囲内である。
これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、ハードコート層を形成する塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することで形成できる。
ハードコート層のドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μmの範囲内、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは6〜15μmの範囲内である。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cmの範囲内、好ましくは5〜200mJ/cmの範囲内である。
(バックコート層)
本発明の光学フィルムは、フィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面に、カールやくっつき防止のためにバックコート層を設けてもよい。
バックコート層に添加される粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
バックコート層に含まれる粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%の範囲内が好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1.5%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、特に0.1%以下であることが好ましい。
バインダーとしては、ジアセチルセルロース等のセルロースエステル樹脂が好ましい。
(反射防止層)
本発明の光学フィルムは、ハードコート層の上層に反射防止層を塗設して、外光反射防止機能を有する反射防止フィルムとして用いることができる。
反射防止層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層、若しくは支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と低屈折率層を組み合わせて構成されていることが好ましい。特に好ましくは、三層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる三層を、中屈折率層(支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。又は、二層以上の高屈折率層と二層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
反射防止フィルムの層構成としては下記のような構成が考えられるが、これに限定されるものではない。
光学フィルム/ハードコート層/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/中屈折率層/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/高屈折率層(導電性層)/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/防眩性層/低屈折率層
反射防止フィルムには必須である低屈折率層は、シリカ系微粒子を含有することが好ましく、その屈折率は、支持体であるセルロースフィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲内であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmの範囲内であることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmの範囲内であることが最も好ましい。
低屈折率層形成用組成物については、シリカ系微粒子として、特に外殻層を有し内部が多孔質又は空洞の粒子を少なくとも1種類以上含むことが好ましい。特に該外殻層を有し内部が多孔質又は空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子であることが好ましい。
なお、低屈折率層形成用組成物には、下記一般式(OSi−1)で表される有機珪素化合物若しくはその加水分解物、あるいは、その重縮合物を併せて含有させても良い。
一般式(OSi−1):Si(OR)
前記一般式で表される有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤、界面活性剤等を添加してもよい。
<活性エネルギー線硬化性接着剤>
本発明の光学フィルムと偏光子の接着に関しては、ポリビニルアルコール系接着剤や活性エネルギー線硬化性接着剤などを用いることができ、特に、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤には、カチオン重合型とラジカル重合型がある。
本発明に好適に用いることのできる活性エネルギー線硬化性接着剤の好ましい例には、以下の(α)〜(δ)の各成分を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が含まれる。
(α)カチオン重合性化合物
(β)光カチオン重合開始剤
(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤
(δ)ナフタレン系光増感助剤
(カチオン重合性化合物(α))
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の主成分で、重合硬化により接着力を与える成分となるカチオン重合性化合物(α)は、カチオン重合により硬化する化合物であればよいが、特に分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含むことが好ましい。エポキシ化合物には、分子内に芳香環を有する芳香族エポキシ化合物、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個が脂環式環に結合している脂環式エポキシ化合物、分子内に芳香環を有さず、エポキシ基とそれが結合する2個の炭素原子を含む環(通常はオキシラン環)の一方の炭素原子が別の脂肪族炭素原子に結合している脂肪族エポキシ化合物等がある。本発明に用いる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、カチオン重合性化合物(α)として、特に芳香環を含まないエポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物を主成分とするものが好ましい。脂環式エポキシ化合物を主成分とするカチオン重合性化合物を用いれば、貯蔵弾性率の高い硬化物を与え、その硬化物(接着剤層)を介して保護フィルムと偏光子が接着された偏光板において、偏光子が割れにくくなる。
脂環式エポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個が脂環式環に結合しているものである。ここで、脂環式環に結合しているエポキシ基とは、次式(ep)に示すように、エポキシ基(−O−)の2本の結合手が脂環式環を構成する2個の炭素原子(通常は隣り合う炭素原子)にそれぞれ直接結合していることを意味する。下記一般式(ep)において、mは2〜5の整数を表す。
Figure 2014038180
一般式(ep)における(CH中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が、他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。脂環式環を構成する水素は、メチル基やエチル基のように、直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。なかでも、エポキシシクロペンタン環(上記式(ep)においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上記式(ep)においてm=4のもの)を有する化合物が好ましい。
脂環式エポキシ化合物のなかでも、入手が容易で硬化物の貯蔵弾性率を高める効果が大きいことから、下記化合物(ep−1)〜(ep−11)のいずれかがさらに好ましい。
Figure 2014038180
上記式中、R〜R24は、各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R〜R24がアルキル基の場合、脂環式環に結合する位置は1位〜6位の任意の数である。炭素原子数1〜6のアルキル基は、直鎖でもよく、分岐を有していてもよく、脂環式環を有していてもよい。Yは、酸素原子又は炭素原子数1〜20のアルカンジイル基を表す。Y〜Yは、各々独立に直鎖でもよく、分岐を有していてもよく、脂環式環を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルカンジイル基を表す。n、p、q及びrは、各々独立に0〜20の数を表す。
上記式(ep−1)〜(ep−11)で表される化合物のうち、式(ep−2)で示される脂環式ジエポキシ化合物が、入手が容易なので好ましい。式(ep−2)の脂環式ジエポキシ化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい)と、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい)とのエステル化合物である。そのようなエステル化合物の具体例として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(式(ep−2)において、R=R=H、n=0である化合物)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(式(ep−2)において、R=6−メチル、R=6−メチル、n=0である化合物)等が挙げられる。
また、脂環式エポキシ化合物に、脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂を併用することが有効である。脂環式エポキシ化合物を主成分とし、これに脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂を併用したものを、カチオン重合性化合物とすれば、硬化物の高い貯蔵弾性率を保持しながら、偏光子と保護フィルムとの密着性を一層高めることができる。ここでいう脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂とは、分子内にエポキシ基とそれが結合する2個の炭素原子を含む環(通常はオキシラン環)の一方の炭素原子が別の脂肪族炭素原子に結合している化合物である。その例として、多価アルコール(フェノール)のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。なかでも、入手が容易で偏光子と保護フィルムとの密着性を高める効果が大きいことから、下記一般式(ge)で示されるジグリシジルエーテル化合物が好ましい。
Figure 2014038180
〔式中、Xは直接結合、メチレン基、炭素原子数1〜4のアルキリデン基、脂環式炭化水素基、O、S、SO、SS、SO、CO、OCO又は下記式(ge−1)〜(ge−3)で表される3種の置換基からなる群から選ばれる置換基を表し、アルキリデン基はハロゲン原子で置換されていてもよい。〕
Figure 2014038180
式(ge−1)において、R25及びR26は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基により置換されてもよいフェニル基あるいは炭素原子数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基により置換されてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表し、R25及びR26は互いに連結して環を形成してもよい。
式(ge−2)において、A及びDは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数2〜20の複素環基又はハロゲン原子を表し、当該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基中のメチレン基は、不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよい。aは0〜4の数を表し、dは0〜4の数を表す。
一般式(ge)で表されるジグリシジルエーテル化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ樹脂;脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル;アルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられ、なかでも、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルが好ましい。
上記の脂肪族多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜20の範囲内のものを例示できる。より具体的には、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の脂環式ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上のポリオールが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物と脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂を併用する場合、両者の配合割合は、カチオン重合性化合物全体の量を基準に、脂環式エポキシ化合物を50〜95質量%、そして脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂を5質量%以上とするのが好ましい。脂環式エポキシ化合物をカチオン重合性化合物全体中で50質量%以上配合することにより、硬化物の80℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上になり、このような硬化物(接着剤層)を介して偏光子と保護フィルムとが接着された偏光板において、偏光子が割れにくくなる。また、脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂を、カチオン重合性化合物全体に対して5質量%以上配合することにより、偏光子と保護フィルムとの密着性が向上する。脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂の量は、カチオン重合性化合物が脂環式エポキシ化合物との二成分系である場合には、カチオン重合性化合物全体の量を基準に50質量%まで許容されるが、その量が余りのも多くなると、硬化物の貯蔵弾性率が低下し、偏光子が割れやすくなるので、カチオン重合性化合物全体の量を基準に45質量%以下とするのが好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を構成するカチオン重合性化合物(α)として、以上説明したような脂環式エポキシ化合物及び脂環式エポキシ基を実質的に有さないエポキシ樹脂を併用する場合、それぞれが上述した量となる範囲において、これらに加えて、他のカチオン重合性化合物を含んでいてもよい。他のカチオン重合性化合物としては、式(ep−1)〜(ep−11)及び一般式(ge)以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
式(ep−1)〜(ep−11)及び式(ge)以外のエポキシ化合物には、式(ep−1)〜(ep−11)以外の分子内に少なくとも1個の脂環式環に結合するエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、式(ge)以外の脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を有する脂肪族エポキシ化合物、分子内に芳香環とエポキシ基を有する芳香族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物における芳香環が水素化されている水素化エポキシ化合物等がある。
式(ep−1)〜(ep−11)以外の分子内に少なくとも1個の脂環式環に結合するエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物の例として、4−ビニルシクロヘキセンジエポキシドや1,2:8,9−ジエポキシリモネンの如きビニルシクロヘキセン類のジエポキシド等がある。
一般式(ge)以外の脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を有する脂肪族エポキシ化合物の例として、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル等がある。
分子内に芳香環とエポキシ基を有する芳香族エポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のフェノール性ヒドロキシ基(水酸基)を有する芳香族ポリヒドロキシ化合物のグリシジルエーテルであることができ、その具体例として、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル等がある。
芳香族エポキシ化合物における芳香環が水素化されている水素化エポキシ化合物は、上記の芳香族エポキシ化合物の原料である分子内に少なくとも2個のフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族ポリヒドロキシ化合物を、触媒の存在下、加圧下で選択的に水素化反応を行って、得られた水素化ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化して得ることができる。具体例として、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら式(ep−1)〜(ep−11)及び一般式(ge)以外のエポキシ化合物のうち、脂環式環に結合するエポキシ基を有し、先に定義した脂環式エポキシ化合物に分類される化合物を配合する場合は、式(ep−1)〜(ep−11)で示される脂環式エポキシ化合物との和が、カチオン重合性化合物の合計量を基準に95質量%を超えない範囲で用いられる。
また、任意のカチオン重合性化合物となりうるオキセタン化合物は、分子内に4員環エーテル(オキセタニル基)を有する化合物である。その具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシルオキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート等が挙げられる。
カチオン重合性化合物全体の量を基準に、オキセタン化合物を30質量%以下の割合で配合することにより、エポキシ化合物だけをカチオン重合性化合物として用いた場合に比べ、硬化性が向上するといった効果が期待できることがある。
(光カチオン重合開始剤(β))
本発明では、以上のようなカチオン重合性化合物を、活性エネルギー線の照射によってカチオン重合させて硬化させ、接着剤層を形成することから、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、光カチオン重合開始剤(β)を配合することが好ましい。
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生させ、カチオン重合性化合物(α)の重合反応を開始するものである。光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、カチオン重合性化合物(α)に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4′−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
鉄−アレン錯体としては、例えば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも特に芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができ、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤(β)の配合量は、カチオン重合性化合物(α)全体100質量部に対して1〜10質量部の範囲内とする。カチオン重合性化合物(α)100質量部あたり光カチオン重合開始剤を1質量部以上配合することにより、カチオン重合性化合物(α)を十分に硬化させることができ、得られる偏光板に高い機械強度と接着強度を与える。一方、その量が多くなると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、偏光板の耐久性能を低下させる可能性があるため、光カチオン重合開始剤(β)の量は、カチオン重合性化合物(α)100質量部あたり10質量部以下とする。
光カチオン重合開始剤(β)の配合量は、カチオン重合性化合物(α)100質量部あたり2質量部以上とするのが好ましく、また6質量部以下とするのが好ましい。
(光増感剤(γ))
本発明に係る活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、以上のようなエポキシ化合物を含むカチオン重合性化合物(α)及び光カチオン重合開始剤(β)に加えて、380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤(γ)を含有する。上記光カチオン重合開始剤(β)は、300nm付近又はそれより短い波長に極大吸収を示し、その付近の波長の光に感応して、カチオン種又はルイス酸を発生させ、カチオン重合性化合物(α)のカチオン重合を開始させるが、それよりも長い波長の光にも感応するように、380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤(γ)が配合される。
このような光増感剤(γ)としては、下記一般式(at)で示されるアントラセン系化合物が有利に用いられる。
Figure 2014038180
〔式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。〕
一般式(at)で示されるアントラセン系化合物の具体例としては、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジイソプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンチルオキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、2−メチル又は2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に上記のような光増感剤(γ)を配合することにより、それを配合しない場合に比べて、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の硬化性が向上する。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を構成するカチオン重合性化合物(α)の100質量部に対する光増感剤(γ)の配合量を、0.1質量部以上とすることにより、硬化性が向上する効果が発現する。一方、光増感剤(γ)の配合量が多くなると、低温保管時に析出する等の問題が生じることから、カチオン重合性化合物(α)100質量部に対して2質量部以下の配合量とする。偏光板のニュートラルグレーを維持する観点から、偏光子と保護フィルムとの接着性が適度に保たれる範囲で、光増感剤(γ)の配合量を少なくするほうが有利である。例えば、カチオン重合性化合物(α)100質量部に対し、光増感剤(γ)の量を0.1〜0.5質量部、さらには0.1〜0.3質量部の範囲とするのが好ましい。
(光増感助剤(δ))
本発明に係る活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、上述したエポキシ化合物を含むカチオン重合性化合物(α)、光カチオン重合開始剤(β)及び光増感剤(γ)に加えて、下記一般式(nf)で示されるナフタレン系光増感助剤(δ)を含有することができる。
Figure 2014038180
〔式中、R及びRはそれぞれ、炭素数1〜6のアルキル基である。〕
ナフタレン系光増感助剤(δ)の具体例としては、1,4−ジメトキシナフタレン、1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジプロポキシナフタレン、1,4−ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性接着剤組成物において、ナフタレン系光増感助剤(δ)を配合することにより、それを配合しない場合に比べて、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の硬化性が向上する。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を構成するカチオン重合性化合物(α)の100質量部に対するナフタレン系光増感助剤(δ)の配合量を0.1質量部以上とすることにより、硬化性が向上する効果が発現する。一方、ナフタレン系光増感助剤(δ)の配合量が多くなると、低温保管時に析出する等の問題を生じることから、カチオン重合性化合物(α)100質量部に対して10質量部以下の配合量とする。好ましくは、カチオン重合性化合物(α)100質量部に対して5質量部以下の配合量である。
さらに、本発明に係る活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない限り、任意成分である他の成分として、添加剤成分を含有させることができる。添加剤成分としては、前述の光カチオン重合開始剤及び光増感剤(γ)の他、光増感剤(γ)以外の光増感剤、熱カチオン重合開始剤、ポリオール類、イオントラップ剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、色素、有機溶剤等を配合することができる。
添加剤成分を含有させる場合、添加剤成分の使用量は、前述のカチオン重合性化合物(α)の100質量部に対して1000質量部以下であることが好ましい。使用量が1000質量部以下である場合、本発明に用いられ得る活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の必須成分であるカチオン重合性化合物(α)、光カチオン重合開始剤(β)、光増感剤(γ)及び光増感助剤(δ)の組合せによる、保存安定性の向上、変色防止、硬化速度の向上、良好な接着性の確保という効果を良好に発揮させることができる。
本発明に好適に用いることのできる活性エネルギー線硬化性接着剤の好ましい一例としては、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化性成分として、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーを含有する。ヒドロキシ基は、アミド基を形成する窒素原子(N)に結合する置換基が、少なくとも1つを有していればよく、2つ以上を有していてもよい。ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーは、単官能又は二官能以上のいずれも用いることができる。また、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーは、1種を選択し、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーは、低水分率の偏光子や、透湿度の低い材料を用いた透明保護フィルムに対しても、良好な接着性を示す。特に下記モノマーは、良好な接着性を示す。例えば、N−置換アミド系モノマーとしては、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)−(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N,N′−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのなかでもN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。なお、(メタ)アクリアミドは、アクリアミド基及び/又はメタクリアミド基を意味する。
硬化性成分としては、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーに加えて他のモノマーを含有することができる。硬化性成分として用いることができる他のモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、などが挙げられる。これら硬化性成分として用いられる他のモノマーは、単官能又は二官能以上のいずれも用いることができる。これら硬化性成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記硬化性成分として用いられる他のモノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマー以外のN−置換アミド系モノマーが好適に用いられる。当該N−置換アミド系モノマーは、下記一般式(N)で表される。
一般式(N)
CH=C(R)−CONR(R
上記一般式(N)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又はメルカプト基、アミノ基若しくは第4級アンモニウム基を有してもよい炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。ただし、R、Rが同時に水素原子の場合を除く。また、R、Rは、結合して、酸素原子を含んでもよい5員環又は6員環を形成したものである。
上記一般式(N)において、R又はRにおける炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等が挙げられ、アミノ基を有するアルキル基としてはアミノメチル基、アミノエチル基等が挙げられる。また、R及びRが、結合して、酸素原子を含んでもよい5員環又は6員環を形成する場合には、窒素を有する複素環を有する。当該複素環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等が挙げられる。
前記N−置換アミド系モノマーの具体例としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカアプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。また、複素環を有する複素環含有モノマーとしては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等が挙げられる。これらN−置換アミド系モノマーは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性成分として、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーと、前記一般式(N)で表される、N−置換アミド系モノマーを組み合わせて用いる場合には、耐久性、塗工性、接着性の点から、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド及びN−アクリロイルモルホリンの組み合わせが好適である。また、当該組み合わせの場合、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド及びN−アクリロイルモルホリンの合計量に対するN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの割合は、40質量%以上であることが、良好な接着性を得るうえで好ましい。前記割合は、40〜95質量%がより好ましく、さらには、60〜90質量%であるのが好ましい。
また、硬化性成分として、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーに併用できるモノマーとしては、上記の他に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、例えば、各種のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。これらのなかでも、エポキシ(メタ)アクリレート、特に、芳香環及びヒドロキ基を有する単官能の(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
芳香環及びヒドロキ基を有する単官能の(メタ)アクリレートは、芳香環及びヒドロキシ基を有する、各種の単官能の(メタ)アクリレートを用いることができる。ヒドロキシ基は、芳香環の置換基として存在してもよいが、芳香環と(メタ)アクリレートとを結合する有機基(炭化水素基、特に、アルキレン基に結合したもの)として存在するものが好ましい。
前記芳香環及びヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、芳香環を有する単官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。芳香環を有する単官能のエポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルポリエチレングリコールグリシジルエーテル等が挙げられる。芳香環及びヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートの、具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルポリエチレングリコールプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、カルボキシ基モノマーが挙げられる。カルボキシ基モノマーも接着性の点で好ましい。カルボキシ基モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらのなかでもアクリル酸が好ましい。
上記の他、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素数は1〜12のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。また、(メタ)アクリルアミド;マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマーなどの窒素含有モノマーが挙げられる。
上記硬化性成分の他、二官能以上の硬化性成分を用いることができる。二官能以上の硬化性成分としては、二官能以上の(メタ)アクリレート、特に、二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートは、多官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる。多官能のエポキシ化合物は、各種のものを例示できる。多官能のエポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ樹脂などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、前記芳香族エポキシ樹脂の水添物、シクロヘキサン系、シクロヘキシルメチルエステル系、シシクロヘキシルメチルエーテル系、スピロ系、トリシクロデカン系等のエポキシ樹脂が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。これらの例としては、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常30〜3000g/当量、好ましくは50〜1500g/当量の範囲である。
前記二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレートは、脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい、特に、二官能の脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤における、硬化性成分としては、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーを用いるが、これと併用するモノマーとしては前記一般式(1)で表されるN−置換アミド系モノマーが好ましい。なお、硬化性成分として、芳香環及びヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートを併用する場合には、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーの割合に対し、0〜50質量%、1〜40質量%さらには5〜30質量%の範囲内にするのが好ましい。
併用するモノマーにエポキシ系化合物を用いる場合は、ヒドロキシ基を有するN−置換アミド系モノマーに対し、0〜50質量%、1〜30質量%、5〜15質量%の範囲内にすることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、硬化性成分を含むが、前記成分に加えて、必要であれば適宜添加剤を添加してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。前記接着剤を電子線硬化型で用いる場合には、前記接着剤には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型で用いる場合には、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤の使用量は硬化性成分100質量部あたり、通常0.1〜10質量部程度、好ましくは、0.5〜3質量部の範囲である。
添加剤の例としては、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や硬化感度が上がる増感剤、シランカップリング剤やエチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明保護フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラー以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割などが挙げられる。また、オキセタン類やポリオール類などを含有してもよい。
なお、活性エネルギー線硬化性接着剤の塗布方法及び硬化方法については、後述する。
<偏光板及び液晶表示装置の構成>
本発明の光学フィルムが具備される偏光板及び液晶表示装置の構成について、図をまじえて説明する。
図2は、本発明の光学フィルムが具備された偏光板及び当該偏光板が具備された液晶表示装置構成の一例を示す概略断面図である。
本発明に係る偏光板101Aは、少なくとも、本発明の光学フィルム102と、活性エネルギー線硬化性接着剤103Aと、偏光子104とがこの順序で積層されていることが好ましく、更には、当該光学フィルムが配置されている面とは反対側の偏光子面に、更に活性エネルギー線硬化性接着剤103Bと、特定のリターデーション値を備えた位相差フィルム105を積層した構成であることが好ましい態様である。
また、本発明の光学フィルム102の更に外側(最表面部)には、必要に応じて、例えば、防眩層、反射防止層、防汚層、及びハードコート層等の機能性層106を設けても良い。
上記偏光板101Aの位相差フィルム105は液晶セル107と粘着剤等を介して貼合され、偏光板101Aと液晶セル107の貼合された面の反対側の液晶セル面(バックライト側:図ではBLと記載。)には、偏光板101Aと同じ構成の偏光板101Bの位相差フィルム105が貼合されて、液晶表示装置108を構成することが好ましい。
<偏光子>
偏光板の主たる構成要素である偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子としては、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行った偏光子が用いられ得る。偏光子の膜厚は5〜30μmの範囲内が好ましく、特に5〜15μmの範囲内であることが好ましい。
また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。なかでも、熱水切断温度が66〜73℃の範囲内であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能及び耐久性能に優れているうえに、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
〈位相差フィルム〉
本発明の偏光板においては、図2に示すように、本発明の光学フィルムが配置されている面とは反対側の偏光子面に、更に活性エネルギー線硬化性接着剤を介して位相差フィルムが積層されていることが好ましい。
更に、本発明に係る位相差フィルムは、下記条件1〜3の全てを満たしていることが好ましい。
条件1:下式(i)で表される温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長590nmで測定した面内リターデーション値Ro(590)が30〜150nmの範囲である。
式(i):Ro(590)=(n−n)×d
条件2:下式(ii)で表される温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長590nmで測定した厚さ方向のリターデーション値Rt(590)が、70〜300nmの範囲である。
式(ii):Rt(590)={(n+n)/2−n}×d
条件3:温度23℃の環境下で、湿度を20〜80%まで変化させたときの厚さ方向のリターデーション値Rt(590)の変化量が、1〜30nmの範囲である。
上記式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
上記の各リターデーション値は、自動複屈折計を用いて測定することができる。自動複屈折計としては、例えば、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)やAxometric社製のAxoScanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、590nmでの複屈折を測定し、該波長の平均屈折率とフィルムの厚さを入力することで、上記波長に対するリターデーション値を算出する。
本発明に係る位相差フィルムは、上記光学フィルムの作製で用いたセルロースエステル樹脂を、単独で使用し、同様の製膜方法により得ることができる。
また、本発明に係る位相差フィルムは、市販品として入手することができ、例えば、VA用位相差フィルムとしては、コニカミノルタタック KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC4FR、KC4KR、KC4DR、KC4SR(以上、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製)等が挙げられる。その他、VA用位相差フィルム以外で使用できるフィルムとしては、KC4UE、KC8UE、KC8UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC4CZ、KC6UA、KC4UA、KC2UA(以上、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製)等が挙げられる。
本発明に係る位相差フィルムの膜厚は、特に限定はないが、10〜250μmの範囲であることが好ましく、更には、10〜100μmの範囲であることが好ましい。特に好ましくは30〜60μmの範囲内である。
本発明に係る位相差フィルムは、幅1〜4mの範囲で用いられる。特に、幅1.4〜4mの範囲のものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mの範囲である。
<偏光板の製造方法>
偏光板は、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて、偏光子の一方の面に、上述した光学フィルムを貼り合せることにより製造することができる。光学フィルムの両面で接着性が異なる場合は、接着性の良いほうに貼り合わせるのが好ましい。
以下、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いた偏光板の製造方法の一例を説明する。
偏光板は、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち、少なくとも一方に、下記の活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布して接着剤層を形成する接着剤塗布工程と、当該接着剤層を介して偏光子と光学フィルムとを接着し、貼り合せる貼合工程と、当該接着剤層を介して偏光子と光学フィルムとが接着された状態で接着剤層を硬化させる硬化工程とを含む製造方法によって製造することができる。また、光学フィルムの偏光子を接着する面を易接着処理する前処理工程があってもよい。
(前処理工程)
前処理工程では、偏光子と接着する光学フィルムの表面が易接着処理される。偏光子の両面にそれぞれ光学フィルム及び位相差フィルムが接着される場合は、それぞれの光学フィルム及び位相差フィルムに対し易接着処理が行われる。次の接着剤塗布工程では、易接着処理された表面が偏光子との貼合面として扱われるので、光学フィルムの両表面のうち、活性エネルギー線硬化性接着剤と貼合する面に、易接着処理を施す。易接着処理としては。コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(接着剤塗布工程)
接着剤塗布工程では、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記活性エネルギー線硬化性接着剤が塗布される。偏光子又は光学フィルムの表面に直接、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特別な限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させたのち、ローラ等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(貼合工程)
上記の方法により活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。先の塗布工程で光学フィルムの表面に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した場合は、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間に活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。偏光子の両面に光学フィルム及び位相差フィルムを接着する場合であって、両面とも活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合は、偏光子の両面にそれぞれ、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して光学フィルム及び位相差フィルムが重ね合わされる。そして通常は、この状態で両面(偏光子の片面に光学フィルムを重ね合わせた場合は、偏光子側と光学フィルム側、また偏光子の両面に光学フィルム及び位相差フィルムを重ね合わせた場合は、その両面の光学フィルム及び位相差フィルム側)からローラ等で挟んで加圧することになる。ローラの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置されるローラは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(硬化工程)
硬化工程では、未硬化の活性エネルギー線硬化性接着剤に活性エネルギー線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む活性エネルギー線硬化性接着剤を硬化させ、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルム、あるいは偏光子と位相差フィルムとを接着させる。偏光子の片面に光学フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は光学フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に光学フィルム及び位相差フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ活性エネルギー線硬化性接着剤を介して光学フィルム及び位相差フィルムを重ね合わせた状態で、活性エネルギー線を照射し、両面の活性エネルギー線硬化性接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
硬化に適用される活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができるが、取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般には電子線や紫外線が好ましく用いられる。
電子線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。例えば、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5〜300kVの範囲内であり、さらに好ましくは10〜250kVの範囲内である。加速電圧が5kV未満の場合、電子線が接着剤まで届かず硬化不足となるおそれがあり、加速電圧が300kVを超えると、試料を通る浸透力が強すぎて電子線が跳ね返り、透明光学フィルムや偏光子にダメージを与えるおそれがある。照射線量としては、5〜100kGyの範囲内、さらに好ましくは10〜75kGyの範囲内である。照射線量が5kGy未満の場合は、接着剤が硬化不足となり、100kGyを超えると、透明光学フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じ、所定の光学特性を得ることができない。
紫外線の照射条件は、前記接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲内であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲内であるのがさらに好ましい。
前記製造方法を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲内であり、より好ましくは5〜300m/min、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲内である。ライン速度が遅すぎる場合は、生産性が乏しい、又は透明光学フィルムへのダメージが大きすぎ、耐久性試験などに耐えうる偏光板が作製できない。ライン速度が速やすぎる場合は、接着剤の硬化が不十分となり、目的とする接着性が得られない場合がある。
以上のようにして得られた偏光板において、接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常0.01〜10の範囲内であり、好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板は、液晶表示装置に好適に用いることができる。本発明の偏光板が用いられた液晶表示装置は、透湿度の低い光学フィルムが用いられていることから、含水による液晶表示装置のムラが発生しづらく、表示パネルの変形(反り)も少ない。
液晶表示装置のパネルに使用されるガラスは0.3〜0.7mmの厚さの範囲が好ましく、さらに、0.3〜0.5mmの範囲が好ましい。本発明の偏光板は変形しづらいため、特に、ガラスの厚さが小さいときに、好ましく用いられる。
偏光板の位相差フィルム側の表面と、液晶セルの少なくとも一方の表面との貼合は、公知の手法により行われ得る。場合によっては、接着層を介して貼合されてもよい。
液晶表示装置のモード(駆動方式)についても特に制限はなく、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCB等の各種駆動モードの液晶表示装置が用いられ得る。特に、好ましくは、VA(MVA,PVA)型の液晶表示装置である。これらの液晶表示装置に、本発明に係る偏光板を用いることで、30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、液晶表示装置のムラ等の視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。本発明の偏光板は、一方の偏光板保護フィルムに斜め延伸された、λ/4板を用いて、有機EL用偏光板としても、好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《光学フィルムの作製》
〔アクリル共重合体の準備〕
表2及び表3に記載の構成からなるアクリル共重合体を下記合成法を参考にして調製した。
なお、表2及び表3に略称で記載した各構成材料の詳細は以下のとおりである。
〈共重合成分A〉
MMA:メタクリル酸メチル
〈共重合成分B〉
1:メタクリル酸イソボルニル
2:メタクリル酸ジシクロペンタニル
3:メタクリル酸3,5−ジメチルアダマンチル
4:ジエチルヘキシルイタコネート
5:α−メチルスチレン
6:スチレン
MA:アクリル酸メチル
ACMO:アクリロイルモルホリン
VP:ビニルピロリドン
〔アクリル共重合体の合成法の一例〕
攪拌機を備えた内容積40リットルのSUS製重合反応装置に、脱イオン水24リットルを入れ、分散安定剤としてアニオン系高分子化合物水溶液30g、分散安定助剤として硫酸ナトリウム36gを加え攪拌・溶解させた。また、別の攪拌機を備えた容器に、メタクリル酸メチル9600g、メタクリル酸イソボルニル2400gの単量体混合物に、重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル12g、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン24g、離型剤としてステアリルアルコール24gを加え攪拌・溶解させた。このようにして得られた重合開始剤、連鎖移動剤及び離形剤を溶解した単量体混合物を、上述した攪拌機を備えた内容積40リットルのSUS製重合反応装置(脱イオン水、分散安定剤及び分散安定助剤を収容する)に投入し、窒素置換しながら175rpmで15分間攪拌した。その後、80℃に加温して重合を開始させ、重合発熱ピーク終了後、115℃で10分間の熱処理を行い、重合を完結させた。得られたビーズ状重合体を濾過、水洗し、80℃で24hr乾燥し、メタクリル酸メチルとメタクリル酸イソボルニルのアクリル共重合体を得た。
〔共重合成分BのSP値及び嵩高さ指数〕
(1)SP値
共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)は、Polymer Hand Book (Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載がある場合は、その値を用いる。ただし、本願では、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を示す。
なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載の方法で計算することができる。すなわち、基本的には、下記式に従って計算できる。
SP値=(△E/V)1/2
ここで、△Eは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表す。
本発明に係る共重合成分BのSP値は、上記R.F.Fedorsの考え方に基づいて、Scigress Explorer Ver.2.4(富士通(株)製)を用いて算出することができる。
(2)嵩高さ指数
共重合成分Bの嵩高さ指数は、当該共重合成分Bの環構造部分の分子量、及び当該共重合成分Bの全体の分子量を、当該共重合成分Bの構造から計算し、下記式(I)によって求めた。
式(I) 嵩高さ指数=共重合成分Bの環構造部分の分子量/共重合成分Bの全体の分子量
〔セルロースエステル樹脂及びセルロース誘導体の準備〕
表1に記載のアセチル基置換度、プロピオニル基置換度及びブチリル基置換度のセルロースエステル樹脂CE−1、CE−2及びフタル酸酢酸セルロースCE−3、ベンジルセルロースCE−4、セルロースベンゾエートCE−5のセルロース誘導体を準備した。
Figure 2014038180
<光学フィルム1の作製>
(ドープ1の調製)
アクリル共重合体(MMA80質量%とイソボルニルメタクリレート20質量%の共重合体) 100質量部
紫外線吸収剤:Ti928:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(チヌビン928、BASFジャパン社製) 3.0質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル社製、シリカ粒子、平均粒径=16nm)
0.30質量部
剥離助剤:エレカットS412(竹本油脂社製) 0.50質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記各組成物を、攪拌及び加熱しながら十分に溶解し、ドープ1を調製した。
(光学フィルム1の製膜)
上記調製したドープ1を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
次いで、剥離したドープ1のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1m幅にスリットし、その後、ゾーン延伸で搬送方向(MD方向)に2.0倍、テンター延伸で幅手方向(TD方向)に2.0倍延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。この時、テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は、8%であった。
テンターで延伸した後、130℃で5分間の緩和処理を施した後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻き取り、本発明に係る光学フィルム1を作製した。膜厚は30μm、巻長は4000mであった。
〔光学フィルム2〜44の作製〕
上記光学フィルム1の作製において、ドープの調製に用いるアクリル共重合体の種類及び第2成分であるセルロースエステル樹脂の種類と組成比、同じく第2成分である添加剤の種類と組成比、紫外線吸収剤の種類、及び膜厚を、表2及び表3に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、光学フィルム2〜44を作製した。
なお、表2及び表3に略称で記載した添加剤及び紫外線吸収剤の詳細は、以下のとおりである。
添加剤a:ペンタエリスリトールテトラベンゾエート 分子量550
添加剤b:下記化合物 分子量720
Figure 2014038180
添加剤c:3−メチルサリチル酸 分子量150
添加剤d:特開2011−52205号公報に記載のエステル化合物1を、下記の合成方法に従って調製した。
〈エステル化合物1の合成〉
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物1を得た。酸価0.10mg/g、分子量440であった。
〈紫外線吸収剤〉
(e)Ti928:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(チヌビン928、BASFジャパン社製)
(f)LA31:2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659、株式会社ADEKA製のLA31)
《光学フィルムの評価》
上記作製した各光学フィルムについて、下記の各特性値の測定及び評価を行った。
〔透湿度の測定〕
JIS Z−0208に準拠して、各保護フィルムを、40℃、90%RHの環境下で24時間調湿した後、透湿試験装置を用いて、調湿前後での単位面積あたりの水分量を算出(g/m)した。そして、透湿度を調湿後水分量−調湿前の水分量により求めた。
〔乾燥係数の測定〕
乾燥係数Dを以下の式(II)、及び条件から求めた。値が大きいほど、溶液流延製膜法で製造する際の溶媒の抜け(乾燥性)がよいことを示す。
式(II) D=(−1/t)×ln(Z/Zo)
(ただし、Zは残留溶媒量(%)、Zoは初期値50000ppm(5%)、tは乾燥時間[分]をそれぞれ表す。)
乾燥温度が120℃、乾燥時間が15分の時のフィルム試料の残留溶媒量Zを測定し、上記式に代入して乾燥係数Dを求めた。
残留溶媒量Z(%)は、下記式によって求めた。
残留溶媒量Z(%)=(試料の乾燥処理前質量−試料の乾燥処理後質量)/(試料の乾燥処理後質量)×100
〔フィルムの貼り付き〕
フィルムの貼り付き発生の有無を、巻き取り後のフィルムの巻き状態を目視観察により下記のランク分けで評価した。
◎:フィルムの貼り付き発生なし
○:フィルムの貼り付き発生ほとんどなし
△:フィルムの貼り付き発生あり
×:フィルムの貼り付き発生が著しい
〔延性破壊の評価:脆性評価〕
23℃、55%RHの環境下で、各光学フィルムを24時間調湿した、同条件下、100mm(縦)×10mm(幅)のサイズに切り出し、縦方向の中央部で、曲率半径0mm、折り曲げ角が180°でフィルムがぴったりと重なるように山折り、谷折りと2つにそれぞれ1回ずつ折りまげ、この評価を3回測定して、以下の基準に従って延性破壊の評価を行った。なお、ここの評価で「折れる」は、割れて2つ以上のピースに分離したことを表す。
◎:3回とも、折れの発生が認められない
○:3回とも、折れの発生が認められないが折った箇所の筋がやや強い
×:3回のうち少なくとも1回で、折れが発生している
光学フィルムの構成内容及び上記評価の結果を、表2及び表3にまとめて示す。
《偏光板の作製》
〔偏光板1の作製〕
(偏光子の調製)
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ10μmの偏光子を得た。
(活性エネルギー線硬化性接着剤液の調製:カチオン重合型、表中カチオンと記載)
下記の各成分を混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化性接着剤液を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 45質量部
エポリードGT−301(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂) 40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
(偏光板1の作製)
下記の方法に従って、図2 偏光板101Aの構成からなる偏光板1を作製した。カッコ内の数値は、図2に記載した各構成要素の番号を示す。
まず、位相差フィルム(105)として、KC4DRフィルム(コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製、詳細は後述する。)を準備し、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤液Kを、マイクログラビアコーター(グラビアローラ:#300,回転速度140%/ライン速)を用いて、厚さ5μmになるように塗工して活性エネルギー線硬化性接着剤(103B)を形成した。
次いで、光学フィルム1(102)に、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤液Kを、上記と同様に、厚さ5μmとなるように塗工して活性エネルギー線硬化性接着剤(103A)を形成した。
この活性エネルギー線硬化性接着剤(103A)と(103B)の間に、上記作製したポリビニルアルコール−ヨウ素系の偏光子(104)を配置し、ローラ機で貼合し、光学フィルム1(102)/活性エネルギー線硬化性接着剤(103A)/偏光子(104)/活性エネルギー線硬化性接着剤(103B)/位相差フィルム(105)が積層された積層物を得た。その際に、位相差フィルム(105)の遅相軸と偏光子(104)の吸収軸が互いに直交になるようにローラ機で貼合した。
この積層物の両面側から、電子線を照射して、偏光板(101A)を作製した。
ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
〔偏光板2〜44の作製〕
偏光板1の作製と同様にして、表4記載の偏光子の種類、活性エネルギー線硬化性接着剤の種類(ラジカル型又はカチオン型)、接着剤としてPVA水糊、及び位相差フィルムの種類をそれぞれ組み合わせて、偏光板2〜44を作製した。
(偏光子(25μm)の調製)
厚さ70μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ25μmの偏光子を得た。
なお、表4に略称で記載した位相差フィルムの詳細は、以下のとおりである。
4DR:コニカミノルタアドバンストレイヤー社製セルロースアシレートフィルム
リターデーション値Ro(590):52nm
リターデーション値Rt(590):125nm
リターデーション値Rt(590)の変化量:15nm
4SR:コニカミノルタアドバンストレイヤー社製セルロースアシレートフィルム
リターデーション値Ro(590):52nm
リターデーション値Rt(590):125m
リターデーション値Rt(590)の変化量:22nm
F1:特開2006−235085号公報の実施例1に記載のフィルムを参考に作製
リターデーション値Ro(590):55nm
リターデーション値Rt(590):125nm
リターデーション値Rt(590)の変化量:1nm
F2:特開2011−12186号公報の実施例34に記載のフィルム
リターデーション値Ro(590):52nm
リターデーション値Rt(590):118nm
リターデーション値Rt(590)の変化量:20nm
<液晶表示装置の作製>
市販のVA型液晶表示装置(SONY製40型ディスプレイKLV−40J3000)を用い、液晶セルの両面に貼合されていた偏光板を剥離し、上記作製した偏光板1〜44を、図2で示すように液晶セルの両面に貼合して液晶表示装置1〜44を作製した。
《偏光板及び液晶表示装置の評価》
上記作製した各液晶表示装置及びその作製に用いた各偏光板について、下記の各評価を行った。
(耐湿性の評価:含水変動による色ムラの評価)
上記作製した液晶表示装置表面に水を浸したベンコット(旭化成せんい社製)を乗せ、水分が蒸発しない状態で30時間保持した。次いで、各液晶表示装置を点灯し、表示画面の均一性を目視評価し、下記の基準に従って耐湿性の評価を行った。
◎:色ムラの発生が全く認められない
○:僅かに弱い色ムラの発生が認められるが、実用上問題のない品質である
△:色ムラの発生が認められる
×:強い色ムラが発生し、耐湿性に問題のある品質である
(パネルの反り耐性の評価)
上記作製した液晶表示装置(パネルともいう。)を、40℃、90%RHの環境下で24時間保存した後、40℃、10%RHの環境下で24時間保存する耐久試験を行ったのち、液晶表示装置を23℃、55%RHの環境下で24時間放置した。次いで、パネルを平面石英板上に置き、4隅の石英板表面からの浮き上がり高さの平均値を測定して、下記の基準に従って、パネルの反り耐性を評価した。
◎:4隅の平均浮き上がり高さが、1mm未満である
○:4隅の平均浮き上がり高さが、1mm以上、3mm未満である
△:4隅の平均浮き上がり高さが、3mm以上であり実用上問題がある
以上により得られた結果を、表4に示す。
Figure 2014038180
Figure 2014038180
Figure 2014038180
表2及び表3に記載の結果から明らかなように、比較例の光学フィルムに対して、共重合成分Bのアクリル共重合体に対する構成比率が5〜95質量%の範囲内にあり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が19.5(MPa)1/2以下であり、かつ当該共重合成分Bの前記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.4以上である本発明の光学フィルムは、透湿性、乾燥性、フィルムの貼り付き性及び延性破壊(脆性)の各性能において、優れた性能を有していることが分かる。
本発明に係るアクリル共重合体にそれ以外の分子量が500〜50万の範囲内である化合物を第2成分として加えた光学フィルムNo.18〜41は、フィルムの脆性が更に改善されることが分かる。
比較例である、共重合成分A単独、又は共重合成分B単独のアクリル重合体を用いた光学フィルムNo.14、15及び17はフィルムの脆性が著しく劣っており、実用上の使用は困難である。
また、共重合成分Bとして、環状の部分構造を有しないMAを用いた光学フィルムNo.42はフィルムの貼り付き性及び脆性が劣っている。
また、共重合成分BとしてACMOやVPを使用した光学フィルムNo.43、44は、表3の結果から透湿度が高く、そのため表4の結果から液晶表示装置の含水変動による色ムラや湿度変動によるパネルの反り耐性の評価が劣っていた。
それに対して、表4の結果から明らかなように、本発明の光学フィルムを具備した偏光板を用いた液晶表示装置は、含水変動による色ムラ及び湿度変動によるパネルの反り耐性のいずれにおいても、優れた特性を有していることが分かる。
また、液晶表示装置No.1〜6及び34、35、38、及び39の結果から、膜厚10μmの偏光子を用いることによって、含水変動による色ムラ及び湿度変動によるパネルの反りに対する改善効果がより大きいことが分かった。
以上の結果から、本発明の光学フィルムは、溶媒の乾燥性に起因するフィルム表裏面での貼り付き故障がなく、フィルムの脆性に優れ、かつ透湿性に起因する液晶表示装置の色ムラや、表示パネルの変形(反り)がない総合的に優れた光学フィルムであることが確認された。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストックタンク
5、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 紫外線吸収剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 テンター装置
35 ローラ乾燥装置
41 仕込釜
42 ストックタンク
43 ポンプ
44 濾過器
101A、101B 偏光板
102 光学フィルム
103A、103B 活性エネルギー線硬化性接着剤
104 偏光子
105 位相差フィルム
106 機能性層
107 液晶セル
108 液晶表示装置

Claims (8)

  1. 少なくとも共重合成分Aと共重合成分Bとのアクリル共重合体を含有する光学フィルムであって、前記共重合成分Aがメタクリル酸メチルであり、前記共重合成分Bが環状の部分構造を有する重合性単量体であり、当該共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜95質量%の範囲内にあり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が19.5(MPa)1/2以下であり、かつ当該共重合成分Bの下記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.4以上であることを特徴とする光学フィルム。
    式(I) 嵩高さ指数=共重合成分Bの環構造部分の分子量/共重合成分Bの全体の分子量
  2. 前記共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜50質量%の範囲内であり、当該共重合成分Bの25℃における溶解度パラメータ(SP値)が17.5(MPa)1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記共重合成分Bの前記アクリル共重合体に対する構成比率が5〜50質量%の範囲内であり、当該共重合成分Bの前記式(I)で定義される嵩高さ指数が0.6以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 前記アクリル重合体以外の第2成分として、分子量が500〜50万の範囲内である化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムを溶液流延製膜法で製造する光学フィルムの製造方法であって、当該光学フィルムを搬送方向又は幅手方向の延伸倍率の総和が2〜6倍の範囲内で延伸処理し、膜厚を20〜40μmの範囲内とし、かつ当該光学フィルムの下記式(II)で表される乾燥係数Dを0.11以上とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    式(II) D=(−1/t)×ln(Z/Zo)
    (ただし、Zは残留溶媒量(%)、Zoは初期値50000ppm(5%)、tは乾燥時間[分]をそれぞれ表し、乾燥温度が120℃、乾燥時間が15分の時のフィルム試料の残留溶媒量Zを測定し、上記式に代入して乾燥係数Dを求める。)
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムと偏光子と下記条件1から条件3までの全てを満たす位相差フィルムが、この順に積層されていることを特徴とする偏光板。
    条件1:温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長590nmで測定した下式(i)で表される面内リターデーション値Ro(590)が30〜150nmの範囲内である。
    式(i):Ro(590)=(n−n)×d
    条件2:温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長590nmで測定した下式(ii)で表される厚さ方向のリターデーション値Rt(590)が、70〜300nmの範囲内である。
    式(ii):Rt(590)={(n+n)/2−n}×d
    条件3:温度23℃の環境下で、湿度を20〜80%まで変化させたときの厚さ方向のリターデーション値Rt(590)の変化量が、1〜30nmの範囲内である。
    〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
  7. 前記光学フィルム及び位相差フィルムが、活性エネルギー線硬化性接着剤で偏光子と接着されていることを特徴とする請求項6に記載の偏光板。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の偏光板が、少なくとも液晶セルの一方に具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
JP2012179989A 2012-08-15 2012-08-15 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Ceased JP2014038180A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012179989A JP2014038180A (ja) 2012-08-15 2012-08-15 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012179989A JP2014038180A (ja) 2012-08-15 2012-08-15 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014038180A true JP2014038180A (ja) 2014-02-27

Family

ID=50286374

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012179989A Ceased JP2014038180A (ja) 2012-08-15 2012-08-15 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014038180A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014234478A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 シーメット株式会社 硬化性樹脂組成物及び立体造形物
WO2015133160A1 (ja) * 2014-03-03 2015-09-11 コニカミノルタ株式会社 機能性フィルム、偏光板および表示装置
KR20160022246A (ko) 2014-08-19 2016-02-29 후지필름 가부시키가이샤 광학 필름의 제조 방법, 및 광학 필름
JP2016048363A (ja) * 2014-06-03 2016-04-07 株式会社クラレ 樹脂フィルム
JP2016516113A (ja) * 2013-03-25 2016-06-02 ローム アンド ハース カンパニーRohm And Haas Company 光起電アレイ用の反射防止フィルム
JP2016126070A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 住友化学株式会社 偏光板
JP2016224407A (ja) * 2015-05-27 2016-12-28 キヤノン株式会社 紫外線硬化型液体現像剤
KR20170069818A (ko) * 2015-12-11 2017-06-21 삼성에스디아이 주식회사 편광판용 점착 필름, 이를 포함하는 편광판 및 이를 포함하는 광학표시장치
KR20180056700A (ko) * 2015-11-05 2018-05-29 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름, 편광판 및 화상 표시 장치
WO2019167471A1 (ja) * 2018-02-27 2019-09-06 株式会社カネカ 溶液流延法によるフィルム製造用樹脂組成物及びドープ
US20210047542A1 (en) * 2018-05-15 2021-02-18 Fujifilm Corporation Polarizing plate and method for manufacturing the same
KR20210110689A (ko) 2019-02-15 2021-09-08 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름, 편광판, 광학 필름의 제조 방법

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009003445A (ja) * 2007-05-24 2009-01-08 Asahi Kasei Chemicals Corp 光弾性係数の温度依存性が小さい光学フィルム
JP2009126911A (ja) * 2007-11-21 2009-06-11 Nitto Denko Corp 共重合体および該共重合体を用いる位相差フィルム
JP2009139660A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Nitto Denko Corp 偏光板、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2009179731A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Konica Minolta Opto Inc アクリル樹脂含有フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置
JP2009269944A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルムおよび偏光板
US20100221511A1 (en) * 2005-12-23 2010-09-02 3M Innovative Properties Company Multilayer films including thermoplastic silicone block copolymers
JP2010197978A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Lintec Corp 光学用保護フィルム及びその製造方法並びに偏光板及びその製造方法
JP2012053078A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法
WO2012073437A1 (ja) * 2010-11-29 2012-06-07 コニカミノルタオプト株式会社 光学フィルム、画像表示装置及びタッチパネルを含む画像表示装置
JP2012140579A (ja) * 2010-12-13 2012-07-26 Nitto Denko Corp 光学フィルム用粘着剤組成物、光学フィルム用粘着剤層、粘着型光学フィルム、および画像表示装置
JP2012140610A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Toagosei Co Ltd 光硬化性接着剤組成物、偏光板とその製造法、光学部材及び液晶表示装置
JP2012518052A (ja) * 2009-02-18 2012-08-09 エルジー・ケム・リミテッド アクリル系樹脂組成物及びそれを含む光学フィルム

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100221511A1 (en) * 2005-12-23 2010-09-02 3M Innovative Properties Company Multilayer films including thermoplastic silicone block copolymers
JP2009003445A (ja) * 2007-05-24 2009-01-08 Asahi Kasei Chemicals Corp 光弾性係数の温度依存性が小さい光学フィルム
JP2009126911A (ja) * 2007-11-21 2009-06-11 Nitto Denko Corp 共重合体および該共重合体を用いる位相差フィルム
JP2009139660A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Nitto Denko Corp 偏光板、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2009179731A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Konica Minolta Opto Inc アクリル樹脂含有フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置
JP2009269944A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルムおよび偏光板
JP2012518052A (ja) * 2009-02-18 2012-08-09 エルジー・ケム・リミテッド アクリル系樹脂組成物及びそれを含む光学フィルム
JP2010197978A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Lintec Corp 光学用保護フィルム及びその製造方法並びに偏光板及びその製造方法
JP2012053078A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法
WO2012073437A1 (ja) * 2010-11-29 2012-06-07 コニカミノルタオプト株式会社 光学フィルム、画像表示装置及びタッチパネルを含む画像表示装置
JP2012140579A (ja) * 2010-12-13 2012-07-26 Nitto Denko Corp 光学フィルム用粘着剤組成物、光学フィルム用粘着剤層、粘着型光学フィルム、および画像表示装置
JP2012140610A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Toagosei Co Ltd 光硬化性接着剤組成物、偏光板とその製造法、光学部材及び液晶表示装置

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016516113A (ja) * 2013-03-25 2016-06-02 ローム アンド ハース カンパニーRohm And Haas Company 光起電アレイ用の反射防止フィルム
JP2014234478A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 シーメット株式会社 硬化性樹脂組成物及び立体造形物
WO2015133160A1 (ja) * 2014-03-03 2015-09-11 コニカミノルタ株式会社 機能性フィルム、偏光板および表示装置
CN106104322A (zh) * 2014-03-03 2016-11-09 柯尼卡美能达株式会社 功能性膜、偏振片和显示装置
JP2016048363A (ja) * 2014-06-03 2016-04-07 株式会社クラレ 樹脂フィルム
KR20160022246A (ko) 2014-08-19 2016-02-29 후지필름 가부시키가이샤 광학 필름의 제조 방법, 및 광학 필름
JP2016043494A (ja) * 2014-08-19 2016-04-04 富士フイルム株式会社 光学フィルムの製造方法、及び光学フィルム
JP2016126070A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 住友化学株式会社 偏光板
JP2016224407A (ja) * 2015-05-27 2016-12-28 キヤノン株式会社 紫外線硬化型液体現像剤
KR20180056700A (ko) * 2015-11-05 2018-05-29 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름, 편광판 및 화상 표시 장치
KR102041740B1 (ko) 2015-11-05 2019-11-06 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름, 편광판 및 화상 표시 장치
KR20170069818A (ko) * 2015-12-11 2017-06-21 삼성에스디아이 주식회사 편광판용 점착 필름, 이를 포함하는 편광판 및 이를 포함하는 광학표시장치
WO2019167471A1 (ja) * 2018-02-27 2019-09-06 株式会社カネカ 溶液流延法によるフィルム製造用樹脂組成物及びドープ
CN111788264A (zh) * 2018-02-27 2020-10-16 株式会社钟化 基于溶液流延法的膜制造用树脂组合物和液体
JPWO2019167471A1 (ja) * 2018-02-27 2021-02-04 株式会社カネカ 溶液流延法によるフィルム製造用樹脂組成物及びドープ
JP7124050B2 (ja) 2018-02-27 2022-08-23 株式会社カネカ 溶液流延法によるフィルム製造用樹脂組成物及びドープ
US11845820B2 (en) 2018-02-27 2023-12-19 Kaneka Corporation Resin composition and dope for use in film production by solution casting
US20210047542A1 (en) * 2018-05-15 2021-02-18 Fujifilm Corporation Polarizing plate and method for manufacturing the same
KR20210110689A (ko) 2019-02-15 2021-09-08 코니카 미놀타 가부시키가이샤 광학 필름, 편광판, 광학 필름의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2014038180A (ja) 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP5557281B2 (ja) 偏光板及びそれを用いた積層光学部材
KR101806875B1 (ko) 광경화성 접착제 조성물, 편광판과 그 제조법, 광학 부재, 및 액정 표시 장치
JP5040688B2 (ja) アクリル樹脂含有フィルム、それを用いた偏光板及び表示装置
JP2017122936A (ja) 偏光板保護フィルム、偏光板、液晶表示装置および偏光板保護フィルムの製造方法
JP6079008B2 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
WO2014058042A1 (ja) 光硬化性接着剤組成物、偏光板とその製造法、光学部材及び液晶表示装置
JP2014206702A (ja) 偏光板及び画像表示装置
JPWO2015076101A1 (ja) 偏光板およびこれを用いた液晶表示装置
WO2009139284A1 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
WO2014203637A1 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
WO2014188935A1 (ja) 位相差フィルム、該位相差フィルムを用いた円偏光板および画像表示装置
JP6277960B2 (ja) 位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2014238602A (ja) 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、液晶表示装置及び一体型偏光板
JPWO2014068802A1 (ja) 光学フィルムおよび光学フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP5949280B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP5888333B2 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2010060879A (ja) 液晶表示装置
JP5942710B2 (ja) 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2014228760A (ja) 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2014066955A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP5962660B2 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP7176829B2 (ja) 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
JP7179802B2 (ja) 偏光フィルム、光学フィルム、および画像表示装置
WO2015104940A1 (ja) セルロースエステルフィルム及びセルロースエステルフィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151028

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160727

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170404

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170411

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20171128