JP6081244B2 - 偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
近年、液晶表示装置、特に中小型用途の液晶表示装置は薄型化が急激に進んでおり、例えばハードコート層を含めて偏光板全体の厚みとして100μm以下程度まで薄型化が求められており、使用される部材(フィルム、偏光板)の薄膜化が急務となっている。
ここで、セルロースアシレートフィルムなどにハードコート層を設けたフィルムの硬度を表す方法として、ハードコート層の鉛筆硬度の他、フィルムのKnoop硬度で表す方法が知られている。Knoop硬度は、材料の硬さを表す尺度の一つであり、押込み硬さの一種である。シクロオレフィンポリマー層を最外層に配置した偏光板はセルロースアシレートフィルムなどを最外層に用いた場合に比べKnoop硬度が低くなってしまい、ハードコート層を設けたときに鉛筆硬度を高く(硬く)することが難しいという問題があることがわかった。
[1] 偏光子と、
該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、
セルロースアシレートフィルムと、をこの順で有し、
厚みが100μm以下であって、
前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が240N/mm2以上であることを特徴とする偏光板。
[2] 偏光子と、
該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、
セルロースアシレートフィルムと、をこの順で有し、
厚みが100μm以下であって、
前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルム上にハードコート層を積層したときのKnoop硬度が265N/mm2以上であることを特徴とする偏光板。
[3] [1]または[2]に記載の偏光板は、前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムの厚みが35μm以下であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面Aとは反対側の面B側に、さらに第2のセルロースアシレートフィルムが配置されたことが好ましい。
[5] [4]に記載の偏光板は、前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらに第2のシクロオレフィンポリマー層が配置されたことが好ましい。
[6] [4]または[5]に記載の偏光板は、前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層が配置されたことが好ましい。
[7] [4]〜[6]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層および第2のシクロオレフィンポリマー層がこの順で配置されたことが好ましい。
[8] [5]〜[7]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面B側に配置された前記第2のシクロオレフィンポリマー層の厚みが15μm以下であることが好ましい。
[9] [4]〜[8]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面B側に配置された前記第2のセルロースアシレートフィルムのRthが−10〜10nmであることが好ましい(Rthは、フィルム膜厚方向のレターデーションを表す)。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層と前記偏光子の間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層が配置されたことが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層の厚みが15μm以下であることが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルム上に、さらにハードコート層が配置されたことが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれかに記載の偏光板は、前記偏光子の厚みが15μm以下であることが好ましい。
[14] [1]〜[13]のいずれかに記載の偏光板は、厚みが80μm未満であることが好ましい。
[15] 液晶セルと、[1]〜[14]のいずれかに記載の偏光板を少なくとも1枚以上含む液晶表示装置。
[16] [15]に記載の液晶表示装置は、前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層が、前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムよりも前記液晶セルから近くなるように、前記偏光板が配置されたことが好ましい。
本発明の偏光板の第1の態様は、偏光子と、該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、セルロースアシレートフィルムと、をこの順で有し、厚みが100μm以下であって、前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が240N/mm2以上であることを特徴とする偏光板である。
本発明の偏光板の第2の態様は、偏光子と、
該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、
セルロースアシレートフィルムと、をこの順で有し、
厚みが100μm以下であって、
前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルム上にハードコート層を積層したときのKnoop硬度が265N/mm2以上であることを特徴とする偏光板である。
このような構成により、薄膜であり、セルロースアシレートフィルム側の鉛筆硬度が高く、液晶表示装置に組み込んで湿熱経時したときのパネル角部の光漏れが少ない偏光板が得られる。
セルロースアシレートフィルムのKnoop硬度を高めると、セルロースアシレートフィルムまたはその上に積層したハードコート層を塗布した保護フィルムの鉛筆硬度も高められる。なお、『セルロースアシレートフィルムを薄膜化すると鉛筆硬度が低下する』のは、フィルムの硬さが同じでも膜の剛性(硬さ×膜厚)が低下するためと考えられる。よって薄膜フィルムはより高いKnoop硬度が求められる。
さらに、セルロースアシレートフィルムと偏光子の間にシクロオレフィンポリマー層を使用することでサーモ(湿熱)環境変化での寸度変化を抑制し、液晶表示装置に組み込んで湿熱経時したときのパネル角部の光漏れを改善することができる。
さらに、本発明の偏光板のより好ましい態様では、液晶表示装置に組み込んだときの視野角色味変化を、面B側の保護フィルムのRthを0に近づけることで抑制することができる。
以下、本発明の偏光板の好ましい態様について、説明する。
本発明の偏光板の全体の厚みは、100μm以下であり、95μm以下であることが好ましく、80μm未満であることがより好ましく、20〜75μmであることが特に好ましく、30〜75μmであることがより特に好ましい。
まず、本発明の偏光板のとり得る構成および好ましい構成について、図面を参照しながら説明する。
図1〜9は、本発明の偏光板の一例の構造の断面を示す概略図である。
このような態様の偏光板の具体例として、図2に、偏光子1と、前記偏光子1の前記面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層2Aと、前記偏光子1の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルム3Aと、前記セルロースアシレートフィルム3A上にさらにハードコート層10が配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図3に、偏光子1と、エチレン性不飽和モノマーを重合してなる層4Aと、前記シクロオレフィンポリマー層2Aと、前記セルロースアシレートフィルム3Aと、ハードコート層10とが、この順で配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図4に、偏光子1と、前記偏光子1の一方の面A側に前記シクロオレフィンポリマー層2Aと、前記セルロースアシレートフィルム3A、前記ハードコート層10とがこの順で配置され、前記偏光子1の前記面Aとは反対側の面B側にさらに第2のセルロースアシレートフィルム3Bが配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図5に、偏光子1と、前記偏光子1の一方の面A側に前記シクロオレフィンポリマー層2Aと、前記セルロースアシレートフィルム3Aと、前記ハードコート層10とがこの順で配置され、前記偏光子1の前記面B側に第2のシクロオレフィンポリマー層2Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルム3Bとがこの順で配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図6に、偏光子1と、前記偏光子1の一方の面A側に前記シクロオレフィンポリマー層2Aと、前記セルロースアシレートフィルム3Aと、ハードコート層10とがこの順で配置され、前記偏光子1の前記面B側に、エチレン性不飽和モノマーを重合してなる層4Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルム3Bとがこの順で配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図7に、偏光子1と、前記偏光子1の一方の面A側に前記シクロオレフィンポリマー層2Aと、前記セルロースアシレートフィルム3Aと、前記ハードコート層10とがこの順で配置され、前記偏光子1の前記面B側に、エチレン性不飽和モノマーを重合してなる層4Bと、第2のシクロオレフィンポリマー層2Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルム3Bとがこの順で配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図8に、前記偏光子1の前記面A側にエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層4A、前記シクロオレフィンポリマー層2A、前記セルロースアシレートフィルム3A、前記ハードコート層10が配置され、前記偏光子1の前記面B側に、エチレン性不飽和モノマーを重合してなる層4Bと、第2のシクロオレフィンポリマー層2Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルム3Bとがこの順で配置された態様の偏光板を示す。
このような態様の偏光板の具体例として、図9に、偏光子1と、前記偏光子1の一方の面A側に前記シクロオレフィンポリマー層2Aと、前記セルロースアシレートフィルム3Aと、前記ハードコート層10とがこの順で配置され、前記偏光子の前記面B側に、さらにセルロースアシレートフィルム以外の層5が配置された態様の偏光板を示す。
次に、これらの本発明の偏光板を構成する各部材の好ましい態様について説明する。
前記偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、セルロースアシレートフィルムと、をこの順で有する。
また、本発明の偏光板は、前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらに第2のシクロオレフィンポリマー層が配置されたことが好ましい。
このような前記偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層の好ましい態様と、前記偏光子の面B側に配置された第2のシクロオレフィンポリマー層の好ましい態様は同じであるため、以下にまとめてシクロオレフィンポリマー層として説明する。
ただし、本発明の偏光板は、前記偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、前記偏光子の面B側に配置された第2のシクロオレフィンポリマー層が互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
前記シクロオレフィンポリマー層としては、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層を挙げることができる。
本発明において、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層は、低透湿性を付与するために、環状脂肪族炭化水素基を有し、かつ分子内に不飽和二重結合基を有する化合物を含有し、必要に応じて更に、重合開始剤、透光性粒子、含フッ素又はシリコーン系化合物、溶剤を含有する組成物を、支持体上に直接又は他の層を介して塗布・乾燥・硬化することにより形成することが好ましい。以下各成分について説明する。なお、組成物または層の主成分とは、その組成物またはその層の50質量%以上を占める成分のことを言う。
分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物はバインダーとして機能する。また、環状脂肪族炭化水素基を有し、不飽和二重結合基を有する化合物は、硬化剤として機能することができ、塗膜の強度や耐擦傷性を向上させることが可能となると同時に低透湿性を付与することができる。
このような化合物を用いることによって、低透湿性と高い膜強度を実現できる。詳細は明らかではないが、分子内に環状脂肪族炭化水素基を有する化合物を用いることで、低透湿層に疎水的な環状脂肪族炭化水素基を導入し、疎水化することで、外部から分子の取り込みを防止し、透湿度を低下させる。また、分子内に不飽和二重結合基を有することで、架橋点密度を上げ、低透湿層中の水分子の拡散経路を制限する。架橋点密度を上げることは、環状脂肪族炭化水素基の密度を相対的に上昇させる効果も有り、低透湿層内をより疎水的にし、水分子の吸着を防止し、透湿度を低下させると考えられる。
架橋点密度を上げるために分子内に有する不飽和二重結合基の数は2以上であることがより好ましい。
環状脂肪族炭化水素基としては、特に好ましくは、二環式、三環式等の、多環式化合物から誘導される基である。
より好ましくは、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格、あるいは、アダマンタン誘導体の骨格等が挙げられる。
連結基としては、単結合、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基、N位が地置換されていてもよいアミド基、N位が置換されていてもよいカルバモイル基、エステル基、オキシカルボニル基、エーテル基等、及びこれらを組み合わせて得られる基が挙げられる。
好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの化合物や、WO2012/00316A号記載の化合物(例、1、1―ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアナート)を用いて、上記環状脂肪族炭化水素基を有するポリオールとの反応させることにより合成することができる。
本発明に好ましい前記シクロオレフィンポリマーは下記一般式(102)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン系樹脂及び必要に応じ、一般式(101)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィン系樹脂である。また、一般式(103)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
前記シクロオレフィンポリマー層として用いられる光学フィルムとしては、特開2009−237376号公報の段落[0029]以降に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、特許第4881827号公報、特開2008−063536号公報、特開2008−102475号公報、特開2007−256882号公報に記載のRthを低減する添加剤を含有する環状オレフィン樹脂フィルムを利用することができる。
前記シクロオレフィンポリマー層の製造方法としては特に制限は無く、公知の方法で製造することができる。一例としては、後述のセルロースアシレートフィルムの製造方法と同様の製造方法を挙げることができる。
本発明の偏光板は、前記シクロオレフィンポリマー層の厚さが15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5〜10μmであることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、前記偏光子の前記面Aと、前記偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムとの間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層を有することが好ましい。本発明の偏光板は、前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層を有することが好ましい。このような前記偏光子の一方の面A側に配置されたエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層の好ましい態様と、前記偏光子の面B側に配置されたエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層の好ましい態様は同じであるため、以下にまとめてエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層として説明する。
ただし、本発明の偏光板は、前記偏光子の一方の面A側に配置されたエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層と、前記偏光子の面B側に配置されたエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層が互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
従来、シクロオレフィンポリマー層またはアクリルポリマー層をインナーの保護フィルムとして使用した場合、パネル実装時のリワーク性能が悪化する傾向にあったが、前記偏光子と前記シクロオレフィンポリマー層またはアクリルポリマー層との間にエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層を密着層として形成することでリワーク性を付与することができる。
同一分子内に2個以上の不飽和二重結合を有し、脂環式構造を持たないモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基及び−C(=O)OCH=CH2が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
本発明の偏光板を液晶表示装置に利用する態様では、偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムを偏光子の内側(すなわち偏光子と液晶セルの間)、外側((すなわち液晶面とは反対側の面)の何れの配置でも好適に使用することができるが、ハードコート層を有する場合、表示面外側にして配置することが好ましい。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートを主成分として含有するのが好ましい。本発明で用いるセルロースアシレートは、特に制限はない。その中でも、アセチル置換度が2.70〜2.95のセルロースアシレートを用いることが好ましい。アセチル置換度が2.7以上であると、後述する条件を満たす芳香族エステルオリゴマーとの相溶性が良好であり、フィルムが白化しにくいため好ましい。さらに、透明性に加えて、透湿度や含水率が良好となるため好ましい。また、偏光板の偏光子耐久性やフィルム自体の湿熱耐久性も良好となるため好ましい。一方、置換度が2.95以下であることが光学性能の観点で好ましい。
なお、総アシル置換度の好ましい範囲も、前記アセチル置換度の好ましい範囲と同様である。
なお、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。
本発明に使用されるセルロースアシレートは、置換基がアセチル基またはプロピオニル基であるものが好ましく、アセチル基であるものが好ましい。
本発明において、セルロースアシレート等の平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、国際公開WO2008−126535号公報に記載の方法により、その比を計算することができる。
また、本発明の偏光板の好ましい態様では、添加剤を添加することで、偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムの薄膜化起因する透湿度の増加に伴うサーモ処理時の偏光性能の悪化の改善と、偏光子耐久性の改善の改善もすることができる。また、本発明の偏光板の好ましい態様では、その結果として、本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込んだときのワープムラも改善することもできる。
以下、偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムに好ましく用いられる添加剤について説明する。
本発明で用いられる芳香族エステルオリゴマーについて説明する。
前記芳香族エステルオリゴマーは、特に制限はない。その中でも、ジカルボン酸由来の繰り返し単位とジオール由来の繰り返し単位を有し、前記ジカルボン酸由来の繰り返し単位中、脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をm、芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をnとしたときm:nが0:10〜3:7であることが好ましい。セルロースの自由体積部分にエステルオリゴマーが侵入した際に、フタル酸比率を上げることで素材由来の硬さが増大し、フィルムのKnoop硬度が上がると推定している。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、芳香族エステルオリゴマーを用いることでセルロースアシレートフィルムのKnoop硬度を高めることができ、さらに芳香族エステルオリゴマーの脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をm、芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比nの比率を制御することで偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムのKnoop硬度をさらに高めることができる。
薄膜フィルム同士で『同じKnoop硬度にも関わらず鉛筆硬度に違いが出る』のは可塑剤の性質によりハードコート層の偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムへの染込みが変化するためと考えられる。偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムへ染込みやすいほど、鉛筆硬度が低くなると考えられる。
芳香族エステルオリゴマーを用い、さらに芳香族エステルオリゴマーの脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をm、芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比nの比率を制御することで、光学フィルムのKnoop硬度を高めると同時にハードコート層の偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムへの染み込みを抑制することができ、ハードコート層を設けたときの鉛筆硬度を上げることができる。
また、芳香族エステルオリゴマーを用いることにより、偏光子の内側に配置された光学フィルムとして液晶表示装置に組み込んだときに表示ムラがない光学フィルムを提供することができる。
本発明における芳香族エステルオリゴマーの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。
以下、本発明における芳香族エステルオリゴマーの合成に好ましく用いることができるジカルボン酸及びジオールについて説明する。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のいずれも用いることができる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。なかでも、フタル酸及びテレフタル酸が好ましく、ハードコート層を設けたときの鉛筆硬度を改善し、液晶表示装置に組み込んだときに表示ムラを改善し、かつ、偏光子耐久性を改善する観点からフタル酸が特に好ましい。二種以上の芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。具体的には、フタル酸とテレフタル酸との併用を挙げることができる。芳香族エステルオリゴマー中、ハードコート層を設けたときの鉛筆硬度を改善し、液晶表示装置に組み込んだときに表示ムラを改善し、かつ、偏光子耐久性を改善する観点から芳香族ジカルボン酸の中でもフタル酸の比率を高めることが好ましく、芳香族エステルオリゴマーに含まれるジカルボン酸由来の繰り返し単位中、フタル酸由来の繰り返し単位の比率は70モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。なお、フタル酸とテレフタル酸の比率(モル比)は、セルロースアシレートフィルムのRthを低減する観点から、5:5〜10:0であることが好ましく、7:3〜10:0であることがより好ましく、10:0であることが特に好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸等が挙げられる。なかでも、コハク酸及びアジピン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
本発明に用いるジカルボン酸の炭素数は、4〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。本発明では2種以上のジカルボン酸の混合物を用いてもよく、この場合、2種以上のジカルボン酸の平均炭素数が上記範囲となることが好ましい。ジカルボン酸の炭素数が上記範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。
脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを併用してもよい。具体的には、アジピン酸とフタル酸との併用、アジピン酸とテレフタル酸との併用、コハク酸とフタル酸との併用、コハク酸とテレフタル酸との併用を挙げることができる。
脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを併用する場合、両者の比率(モル比)は脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をm、芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をnとしたときm:nが0:10〜3:7であり、0:10〜2:8であることがより好ましい。
ジオールとしては、脂肪族ジオール及び芳香族ジオールが挙げられ、脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールまたは脂環式ジオール類を挙げることができ、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくは、エチレングリコール及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種であり、より特に好ましくはセルロースとの相溶性の観点からエチレングリコールである。2種用いる場合は、エチレングリコール及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。
グリコールの炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることが特に好ましい。2種以上のグリコールを用いる場合には、該2種以上の平均炭素数が上記範囲となることが好ましい。グリコールの炭素数が上記範囲であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいため好ましい。
本発明に用いられる前記芳香族エステルオリゴマーの両末端は封止、未封止を問わないが、前記芳香族エステルオリゴマーが特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止されたことが好ましい。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、偏光板の偏光子耐久性の改善に有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが要因となっている。
前記芳香族エステルオリゴマーの両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。前記芳香族エステルオリゴマーの水酸基価が10mgKOH/g以下であることが偏光子耐久性を改善する観点から好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましく、0mgKOH/gであることが特に好ましい。
前記芳香族エステルオリゴマーの両末端が封止されている場合、モノカルボン酸と反応させて封止することが好ましい。このとき、前記芳香族エステルオリゴマーの両末端はモノカルボン酸残基となっている。ここで、残基とは、前記芳香族エステルオリゴマーの部分構造で、前記芳香族エステルオリゴマーを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばモノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。好ましくは脂肪族モノカルボン酸残基であり、モノカルボン酸残基が炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸残基であることがより好ましく、炭素数2〜3の脂肪族モノカルボン酸残基であることがさらに好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることが特に好ましい。
前記芳香族エステルオリゴマーの両末端のモノカルボン酸残基の炭素数が3以下であると、揮発性が低下し、該前記芳香族エステルオリゴマーの加熱による減量が大きくならず、工程汚染の発生や面状故障の発生を低減することができる。即ち、封止に用いるモノカルボン酸類としては製造適性および面状品質の観点から芳香族ものカルボン酸よりも脂肪族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸が炭素数2〜22の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましく、炭素数2〜3の脂肪族モノカルボン酸であることがさらに好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることが特に好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸及びその誘導体等が好ましく、酢酸またはプロピオン酸がより好ましく、酢酸(末端がアセチル基となる)が最も好ましい。封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。
両末端を封止した場合は常温での状態が固体形状となりにくく、ハンドリングが良好となり、また湿度安定性、偏光板の偏光子耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを得ることができる。
前記芳香族エステルオリゴマーの合成は、常法により上記芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、ジオールと、必要に応じて末端封止用のモノカルボン酸またはモノアルコール、とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、前記芳香族エステルオリゴマーの含有量が、前記セルロースアシレートに対して5質量%〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、さらに、分子量/芳香族数の比が300以下であり、かつ、後述の一般式(1)または(2)で表される化合物を含むことが、偏光子耐久性を改善する観点から、好ましい。また、これらの化合物は、ハードコート層を設けたときに鉛筆硬度3Hを実現する観点からも好ましく用いられる。なお、以下において、前記一般式(1)または(2)で表される化合物のことを、偏光子耐久性改良剤ということもある。
偏光子耐久性改良剤は、水素結合性水素供与性基を有することが好ましい。
本発明における偏光子耐久性改良剤中の水素結合性水素供与性基としては、セルロースアシレート中のカルボニル基との相互作用の観点から、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、が好ましく、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ基、水酸基がより好ましく、アミノ基、水酸基が更に好ましい。
また、偏光子耐久性改良剤中の分子量/芳香環数の比は、セルロースアシレートとの相溶性向上の観点からは、90以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。
以下、偏光子耐久性改良剤について、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物の順に説明する。
Aは、ベンゼン環が好ましい。
Aが有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基、ヒドロキシル基などが挙げられ、アルキル基又はヒドロキシル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基又はヒドロキシル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基又はヒドロキシル基が更に好ましい。
R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。R3及びR4は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
一般式(1−2’’)のn3の好ましい範囲は、一般式(1−2)中のn3の好ましい範囲と同様である。
一般式(1)で表される化合物の市販品としては、三光株式会社製のスチレン化フェノールである「TSP」、日塗料化学株式会社製の「PH−25」、精工化学株式会社製の「ノンフレックスWS」などが挙げられる。
一般式(2)中、R11が、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数6〜20の芳香族基でありであり、かつR13が水素原子または炭素数6〜20の芳香族基であることが好ましい。R11が、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族基であり、かつR13が水素原子または炭素数6〜12の芳香族基であることがより好ましい。R11が、炭素数1〜3のアルキル基またはシクロヘキシル基であり、かつR13が水素原子またはフェニル基であることが特に好ましい。R11が、メチル基であり、かつR13が水素原子またはフェニル基であることがより特に好ましい。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、前記分子量/芳香族数の比が300以下であり、かつ、前記一般式(1)または(2)で表される化合物の含有量が、前記セルロースアシレートに対して0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートに対して1質量%以上であれば、弾性率の向上効果が得られやすく、またセルロースアシレートに対して20質量%以下であれば、セルロースアシレートフィルムを製膜した場合にブリードアウトや染み出しも発生しにくい。
前記分子量/芳香族数の比が300以下であり、かつ、前記一般式(1)または(2)で表される化合物の含有量は、セルロースアシレートに対して1〜15質量%であることが特に好ましく、1〜10質量%であることがより特に好ましい。
本発明に用いられる偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムは、主成分セルロースアシレートとともに、UV吸収剤を含有しているのが好ましい。UV吸収剤は、偏光子耐久性の改善に寄与する。特に、本発明の偏光板の前記セルロースアシレートフィルムを画像表示装置の視認側に配置した偏光板の表面保護フィルムとして利用する態様において、UV吸収剤の添加は有効である。
例として以下の構造の紫外線吸収剤を挙げるが、添加する紫外線吸収剤はこれらに限定されない。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤の少なくとも1種をさらに含有していてもよい。他の添加剤の例には、芳香族エステルオリゴマー以外の可塑剤(例えば、リン酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、重縮合オリゴマー系可塑剤等)、レタデーション湿度耐久性改善剤、酸化防止剤等が含まれる。
レタデーション湿度耐久性を改善させる化合物としては、例えば下記のような化合物を具体例として挙げることができる。
本発明で好ましく用いられるヒドロキシル基を含む化合物であって、より好ましくはフェノール性水酸基を含む化合物としては、例えば、特開2008−89860号の13〜19ページに記載のある化合物Aや、特開2008−233530号の7〜9ページに記載のある一般式(I)で表される化合物を好ましく用いることができる。
本発明で好ましく用いられるアミノ基を含む化合物としては、特に限定されることはないが、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物であることが好ましい。
前記、X1〜X6は、単結合又は2価の連結基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、2価の連結基としては、下記一般式(5)で表される群の中から選ばれることが好ましい。
本発明においてはセルロースアシレート溶液に公知の酸化防止剤、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加することが好ましい。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムを製造する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いて製膜することができる。例えば、溶液流延製膜法及び溶融製膜法のいずれを利用して製膜してもよい。フィルムの面状を改善する観点から、前記セルロースアシレートフィルムは、溶液流延製膜法を利用して製造するのが好ましい。以下、溶液流延製膜法を用いる場合を例に説明するが、本発明は溶液流延製膜法に限定されるものではない。なお、溶融製膜法を用いる場合については、公知の方法を用いることができる。
溶液流延製膜方法では、前記セルロースアシレート、芳香族エステルオリゴマー、及び必要に応じて各種添加剤を含有するポリマー溶液(セルロースアシレート溶液)を用いてウェブを形成する。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができるポリマー溶液(以下、適宜セルロースアシレート溶液と称する場合もある)について説明する。
本発明で用いられるセルロースアシレートは溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させる。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。
更に、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、かつ流延用基材を溶解しないものである。又、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
また、セルロースアシレートと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合してもよい。
ここで、上記セルロースアシレートに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロースアシレートのドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースアシレートの溶解を促進したりする役割もあり、反応性金属化合物のゲル化、析出、粘度上昇を抑える役割もある。
これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からメタノール、エタノールが好ましい。エタノールがもっとも好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロースアシレートに対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めたりするのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させてもよく、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。
前記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
セルロースアシレートに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該セルロースアシレート、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロースアシレート溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
セルロースアシレートの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロースアシレートの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送ることが好ましい。
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
ウェブ(セルロースアシレートフィルムの完成品となる前の状態であって、まだ溶媒を多く含むものをこう呼ぶ)を金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が、乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることができる)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロースアシレートに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることができる。
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)=[(M−N)/N]×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
前記剥離工程後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、および/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥することが好ましい。
また、熱処理温度は、30分以下であることが好ましく、20分以下であることがより好ましく、10分程度であることが特に好ましい。
なお、ここでいう「延伸倍率(%)」とは、以下の式により求められるものを意味する。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
なお、本発明においては、フィルム搬送方向に直交する方向TDに延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。
以上のようにして得られた、フィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。フィルムの幅は、0.5〜5.0mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mであり、さらに好ましくは1.0〜2.5mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
本発明で使用する偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムは単層フィルムであっても、2層以上の積層構造を有していてもよい。例えば、コア層と外層(表層、スキン層と呼ばれることもある)の2層からなる積層構造であることや、外層、コア層、外層の3層からなる積層構造であることも好ましく、これらの積層構造を共流延によって製膜された態様であることも好ましい。
本発明で使用する偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムが2層以上の積層構造を有している場合、外層には、さらにマット剤を添加することが好ましい。マット剤としては、例えば特開2011−127045号公報に記載のものなどを用いることができ、例えば平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子などを用いることができる。
本発明の偏光板の第1の態様では、偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムはKnoop硬度が240N/mm2以上であり、本発明の偏光板の第2の態様では前記セルロースアシレートフィルムはKnoop硬度が240N/mm2以上であることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が240〜290N/mm2であることがより好ましく、250〜290N/mm2であることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルム上にハードコート層を積層したときのKnoop硬度が270N/mm2以上であることがより好ましく、270〜330N/mm2であることが特に好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムの厚みは、35μm以下であることが好ましく、15〜35μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがより特に好ましい。
前記偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムは、下記式(1)を満たすことが、液晶表示装置に組み込んだときに表示ムラを抑制する観点から好ましい。
式(1) |Rth(590)|≦50nm
(式(1)中、Rth(590)は波長590nmにおける膜厚方向のレターデーションを表す。)
|Rth(590)|は、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、10nm以下であること、すなわちRthが−10〜10nmであることが特に好ましい。
式(2) |Re(590)|≦5nm
(式(2)中、Re(590)は波長590nmにおけるフィルム面内方向のレターデーションを表す。)
|Re(590)|は、3nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがより好ましく、1nm以下であることが特に好ましい。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d 式(B)
なおこの際、パラメータとして平均屈折率nが必要になるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製の「アッベ屈折計2−T」)により測定した値を用いた。
本発明の偏光板は、前記偏光子の面A側に配置されたセルロースアシレートフィルムの少なくとも一方の表面上に、機能層を有することが好ましい。機能層としては3D映像表示用のパターン位相差層、ハードコート層、反射防止層、防眩層、帯電防止層、光学異方性層などがあげられる。各機能層は単独、または併用しても良い。特に3D映像表示用のパターン位相差層上にハードコート層を設ける態様は好ましい。
特許4887436号に記載された光学異方性層を用いることができる。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、互いに複屈折率が異なる第1位相差領域(以下、単に第一領域とも言う)と第2位相差領域(以下、単に第二領域とも言う)を有し、前記第一位相差領域と前記第二位相差領域が1ラインごとに交互にパターン化された光学異方性層(以下、パターン位相差とも言う)とを有する。前記第一領域と前記第二領域が、互いの短辺の長さがほぼ等しい帯状であり、かつ交互に繰り返しパターニングされていることが、3D立体映像表示システム用に用いる観点から好ましい。
また、偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムでは、前記第一領域の遅相軸と前記第二領域の遅相軸が直交することが、3D映像表示をするときに前記第一領域と前記第二領域を通過した光の偏光状態を、楕円偏光させずに、直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変えることができる観点から、より好ましい。
前記のように直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変換する機能を有するパターン位相差層は波長の1/4のレターデーションを持つことが好ましい。一般に4分の1波長板と呼ばれ、可視光の波長550nmにおいてはRe=137.5nmが理想値となる。
また、直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変換するパターン位相差層は波長の1/4のレターデーションを有するものだけではない。例えば、波長の−1/4や3/4のレターデーションでもよく、一般式で表すと波長の1/4±n/2(nは整数)のレターデーションを有すればよい。
前記第一領域の遅相軸と前記第二領域の遅相軸が直交するパターニングは、波長の−1/4や1/4のレターデーションを有する領域を交互に形成すればよい。この時、互いの領域の遅相軸はほぼ直交する。また、波長の1/4と3/4のレターデーションをパターニングしてもよく、この時の互いの領域の遅相軸はほぼ平行になる。ただし、互いの領域の円偏光の回転方向は逆になる。
更に、波長の1/4と3/4のレターデーションのパターニングは、波長の1/4を全面に形成後、波長の1/2又は−1/2のレターデーションを形成してもよい。
偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムは、波長の1/4のレターデーションを持たせる場合、光学フィルム中に含まれる前記第一領域のRe(550)値と、光学フィルム中に含まれる前記第二領域のRe(550)値が30〜250nmであることが好ましく、50〜230nmであることがより好ましく、100〜200nmであることが特に好ましく、105〜180nmであることがより特に好ましく、115〜160nmであることが更に好ましく、130〜150nmであることがより特に好ましい。
本発明の偏光板は、前記偏光子の前記面Aとは反対側の面B側に、さらに第2のセルロースアシレートフィルムが配置されたことが好ましい。
前記第2のセルロースアシレートフィルムとしては特に制限は無く、公知のセルロースアシレートフィルムを用いることができる。なお、前記第2のセルロースアシレートフィルムのKnoop硬度についても、当然ながら特に制限はない。
前記第2のセルロースアシレートフィルムに含まれるセルロースアシレートは、特に制限はないが、アシル基置換度が2.0〜3.0であることが好ましく、
2.2〜2.95であることがより好ましく、2.30〜2.92であることが特に好ましい。
前記第2のセルロースアシレートフィルムに用いることができる前記脂肪族エステルオリゴマーは前記セルロースアシレートに対して可塑剤を10〜40質量%含むことが好ましく、10〜30質量%含むことがより好ましく、10〜25質量%含むことが更に好ましい。
前記第2のセルロースアシレートフィルムの製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記偏光子の面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムの製造方法と同様の方法を挙げることができる。
前記第2のセルロースアシレートフィルムの厚さは、40μm以下であることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましく、15〜25μmであることが特に好ましい。
本発明の偏光板は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、前記偏光子の前記面B側に、前記第2のセルロースアシレートフィルム以外の層を有していてもよい。
前記偏光子の前記面B側に配置される、前記第2のセルロースアシレートフィルム以外の層としては、前記シクロオレフィンポリマー層以外の層であり、かつ、前記エチレン性不飽和モノマーを重合してなる層以外の層として、アクリルポリマー層が好ましい。
前記アクリルポリマー層としては、(メタ)アクリル酸系樹脂を主成分とする組成物から形成されてなる層を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル酸系樹脂の繰り返し構造単位は、特に限定されない。前記(メタ)アクリル酸系樹脂は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
CH2=C(X)R201
前記(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%である。
前記水酸基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
前記不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
前記一般式(201)で表される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
前記単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
たとえば、下記の公報に記載の環状構造を導入したものも好ましい、特開2007−316366号公報、特開2005−189623号公報、WO2007/032304号公報、WO2006/025445号公報に記載のラクトン環構造である。
ラクトン環含有重合体は、ラクトン環を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは下記一般式(401)で示されるラクトン環構造を有する。
また、(メタ)アクリル系樹脂を有機溶媒に溶解させて溶液流延を行って形成する場合、(メタ)アクリル系樹脂の合成時における有機溶媒は、溶融製膜を行う場合よりも限定されず、沸点が高い有機溶媒を用いて合成してもよい。
重合開始剤の量の調整により、重合体の重量平均分子量を調整することができる。
前記アクリルポリマー層として用いられる光学フィルムとしては、特許第4570042号公報に記載のスチレン系樹脂を含有する(メタ)アクリル樹脂からなる光学フィルム、特許第5041532号公報に記載のグルタルイミド環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂からなる光学フィルム、特開2009−122664号公報に記載のラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂からなる光学フィルム、特開2009−139754号公報に記載のグルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系樹脂からなる光学フィルムを利用することができる。
前記ハードコート層としては本発明の趣旨に反しない限り特に制限は無く、公知のハードコート層などを用いることができる。
本発明に用いられるハードコート層はフィルムに硬度や耐傷性を付与するための層である。前記ハードコート層は、例えば、塗布組成物を基材フィルム(セルロースアシレートフィルム)上に塗布し、硬化させることによって形成することができる。また、他の機能を付加することを目的として、ハードコート層上に、他の機能層を積層してもよい。またハードコート層にフィラーや添加剤を加えることで、機械的、電気的、光学的な物理的な性能や撥水・撥油性などの化学的な性能をハードコート層自体に付与することもできる。
利用可能なマトリックス形成バインダー用モノマー又はオリゴマーの例には、電離放射線硬化性の多官能モノマー及び多官能オリゴマーが含まれる。多官能モノマーや多官能オリゴマーは架橋反応、又は、重合反応可能なモノマーであるのが好ましい。前記電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等が挙げられる。
具体的には、(ジ)ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリル酸又はメタクリル酸」、「アクリロイル又はメタクリロイル」を表す。
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、特開2007−256844の[0096]等を参考にすることができる。
具体的な化合物の具体例としては特開2007−256844号公報の[0017]等の記載を参考にすることができる。
前記ハードコート層は、高分子化合物を含有していてもよい。高分子化合物の説明および好ましい具体例としては、特開2012−215812号公報に記載の内容と同様であり、この公報に記載の内容は本明細書中に組み込まれる。
前記ハードコート層の形成に利用可能な硬化性組成物の説明および好ましい具体例としては、特開2012−215812号公報に記載の内容と同様であり、この公報に記載の内容は本明細書中に組み込まれる。
前記ハードコート層は、耐擦傷性に優れるのが好ましい。具体的には、耐擦傷性の指標となる鉛筆硬度試験を実施した場合に、3H以上を達成するのが好ましい。
耐指紋付性層、防汚性層については、例えば、特許第4517590号公報、特許第4638954号公報、国際公開WO2010/090116号公報、国際公開WO2011/105594号公報を参考にすることができる。
また、偏光板の作製時には、前記セルロースアシレートフィルムが面内遅相軸を有する場合は、該面内遅相軸と偏光子との透過軸が平行もしくは直交するように貼合することが好ましい。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤において、ポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。
この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキシル酸塩等が架橋剤として添加されていてもよい。水系接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、1μm以下である。
硬化性接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、0.5〜5μm程度である。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、本発明の偏光板を少なくとも1枚以上含む。
前記セルロースアシレートフィルムの配置方法の一例は、ハードコート層を有さない状態で偏光子の内側(すなわち偏光子と液晶セルの間)に配置した偏光板の表面保護フィルムである。前記セルロースアシレートフィルムの配置方法の他の一例は、ハードコート層を有する状態で表示面側の偏光板中、偏光子の内側(すなわち偏光子と液晶セルとの間に)に配置される表面保護フィルムである。本発明の偏光板は、表示面側に配置される偏光板であるのが好ましく、前記セルロースアシレートフィルムを表示面側外側にして配置されるのが好ましい。本発明の液晶表示装置は、前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層が、前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムよりも前記液晶セルから近くなるように、前記偏光板が配置されたことが好ましい。
その他の構成については、公知の液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。そのモードについても特に制限はなく、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の様々な表示モードの液晶表示装置として構成することができる。
前記の液晶セルは、液晶層と該液晶層の両側に設けられた2枚のガラス基板を有する。
液晶表示装置用のガラス基板としては、珪酸塩ガラスが用いられ、好ましくはシリカガラス、ホウ珪酸ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリホウ珪酸ガラスが用いられる。液晶表示装置用のガラス基板にアルカリ成分が含有されていると、アルカリ成分が溶出し、TFTが損傷するおそれがある。尚、ここで無アルカリホウ珪酸ガラスとは、アルカリ成分が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分が1000ppm以下のガラスのことである。本発明でのアルカリ成分の含有量は、好ましくはアルカリ成分が500ppm以下であり、より好ましくはアルカリ成分が300ppm以下である。
(コア層セルロースアシレートドープの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
コア層セルロースアシレートドープの組成:
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アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
エステルオリゴマー(下記可塑剤1) 10質量部
偏光子耐久性改良剤(下記化合物2−10) 4質量部
紫外線吸収剤(下記UV剤A) 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 438質量部
メタノール(第2溶剤) 65質量部
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上記のコア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアセテート溶液を調製した。
マット剤溶液の組成:
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平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ 1質量部
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前記コア層セルロースアシレートドープとその両側に外層セルロースアシレートドープとを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した。溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、残留溶剤が3〜15質量%の状態で、横方向に1.1倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、厚さ25μmのセルロースアシレートフィルムを作製し、セルロースアシレート001とした。
上記で作製したセルロースアシレート001に下記表のように混合した組成物をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて80℃で約5分間乾燥して膜厚10μmのシクロオレフィンポリマー層(シクロオレフィン101)を得た。このようにして、セルロースアシレート001とシクロオレフィン101との積層体を得た。
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ゼオノア1020R:環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製)
100質量部
シクロヘキサン 510質量部
シクロヘキサノン 57質量部
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上記組成物を塗布するときの膜厚を変更した以外は上記シクロオレフィン101の作製と同様の条件で膜厚5μmのシクロオレフィンポリマー層102を得た。このようにして、セルロースアシレート001とシクロオレフィン102との積層体を得た。
ハードコート層形成用の塗布液として、下記ハードコート用硬化性組成物ハードコート1を調製した。
このようにして、ハードコート層、セルロースアシレート001〜005のいずれかおよびシクロオレフィン101との積層体である外側保護膜、ならびに、ハードコート層、セルロースアシレート001およびシクロオレフィン102との積層体である外側保護膜を作製した。
(コア層セルロースアシレートドープの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調整した。
コア層セルロースアシレートドープの組成:
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アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
可塑剤2(下記構造) 15質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 426質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
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上記のコア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアセテート溶液を調整した。
マット剤溶液の組成:
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平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ 1質量部
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前記コア層セルロースアシレートドープとその両側に外層セルロースアシレートドープとを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した。溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、残留溶剤が3〜15%の状態で、横方向に1.1倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、厚さ20μmのセルロースアシレートフィルムを作製し、セルロースアシレート301とした。なお、セルロースアシレート301〜305の各外層はいずれも2μmずつとし、コア層の厚みを調整して、全体の厚みを調整した。
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アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルフォスフェート 12質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 426質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
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上記で作製したセルロースアシレート301に下記表のように混合した組成物をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて80℃で約5分間乾燥して膜厚10μmのシクロオレフィンポリマー層(シクロオレフィン201)を得た。このようにして、セルロースアシレート301とシクロオレフィン201との積層体を得た。
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ゼオノア1020R:環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製)
100質量部
シクロヘキサン 510質量部
シクロヘキサノン 57質量部
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100℃で5時間乾燥したノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1060」)のペレットを用いて、押し出し成形により、膜厚20μmのシクロオレフィンポリマー層(シクロオレフィン202)を得た。
(偏光板の作製)
1)セルロースアシレート301のケン化
セル側保護膜として用いるセルロースアシレートフィルム(セルロースアシレート301)を37℃に調温した4.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(ケン化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴に通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、ケン化処理したフィルムを作製した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み15μmの偏光膜を調製した。
前記セルロースアシレート301と、セルロースアシレート001およびシクロオレフィン101との積層体のシクロオレフィン101側を公知の方法でコロナ処理した外側保護膜のシクロオレフィン101で前記偏光膜を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼りあわせて偏光板を作製した。
得られた偏光板を実施例1の偏光板とした。
セル側保護膜および外側保護膜を下記表4に記載のセル側保護膜および外側保護膜に変更した以外は前記の実施例1と同様の方法で実施例2、4、10、比較例2、3、4の偏光板を作製した。
公知の方法でシクロオレフィン101側を公知の方法でコロナ処理した外側保護膜のシクロオレフィン101と、セルロースアシレート301とシクロオレフィン201との積層体のシクロオレフィン201側を公知の方法でコロナ処理したセル側保護膜のシクロオレフィン201で上記偏光膜を挟んだ後、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼りあわせた以外は実施例1と同様にして実施例5の偏光板を作製した。
セル側保護膜としてアクリル203(表面を公知の方法でコロナ処理したもの)を使用した以外は実施例5の偏光板の作製と同様の方法で実施例6の偏光板を作製した。
上記実施例1の偏光板の作製と同じ方法で外側保護膜と偏光膜は前記と同様のPVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として貼り合せた。セル側保護膜は、下記組成の接着液(エチレン性不飽和モノマー重合層用溶液)を偏光子とセルロースアシレート301の間の接着液とし、エチレン性不飽和モノマー重合層の乾燥膜厚が10μmとなるようにエチレン性不飽和モノマー重合層用溶液を塗工した後、窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量60mJ/cm2の紫外線を照射し、偏光軸とフィルムの長手方向とが直交するようにロールツーロールで貼りあわせて偏光板を作製した。
得られた偏光板を実施例7の偏光板とした。
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トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(100%)
[新中村化学工業(株)製] 53質量部
イルガキュア907(100%)
[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製] 2質量部
SP−13(下記構造) 0.02質量部
MEK 45質量部
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特許第4691205号の実施例1に従い、非晶性PET基材上に製膜された3μm厚のPVA層の表面に接着層を介して、セルロースアシレート001およびシクロオレフィン101との積層体のシクロオレフィン101側を公知の方法でコロナ処理した外側保護膜のシクロオレフィン101を貼り合わせ、実施例8の偏光板を作製した。
セルロースアシレート001およびシクロオレフィン101との積層体である外側保護膜のPVAへの貼り合わせ面をセルロースアシレート001側(セルロースアシレート001はケン化による表面処理をしPVAに貼合したもの)にした以外は実施例1の偏光板の作製と同様の方法で比較例1の偏光板を作製した。
セル側保護膜としてシクロオレフィン202(表面を公知の方法でコロナ処理したもの)を使用した以外は実施例5の偏光板の作製と同様の方法で実施例9の偏光板を作製した。
セル側保護膜を実施例7と同様にしてエチレン性不飽和モノマー重合層用溶液を用いて貼り合わせた以外は実施例5と同様にして、実施例11の偏光板を作製した。
外側保護膜を実施例7と同様にしてエチレン性不飽和モノマー重合層用溶液を用いて貼り合わせた以外は実施例1と同様にして、実施例12の偏光板を作製した。
外側保護膜およびセル側保護膜を実施例7と同様にしてエチレン性不飽和モノマー重合層用溶液を用いて貼り合わせた以外は実施例1と同様にして、実施例13の偏光板を作製した。
外側保護膜を実施例7と同様にしてエチレン性不飽和モノマー重合層用溶液を用いて貼り合わせた以外は実施例11と同様にして、比較例5の偏光板を作製した。
(Knoop硬度)
フィッシャーインスツルメンツ社製HM2000型硬度計を用いて、セルロースアシレートフィルムの主面、あるいはハードコート表面に、最大押し込み荷重20mN、押し込み速度10秒、クリープ5秒の条件でダイヤモンド製圧子を押し込み、得られた最大押し込み深さと荷重の関係よりKnoop硬度を求めた。得られた結果を上記表3および下記表4に示した。
上記で作製した偏光板について、セル側の面を粘着剤(SK−2057:綜研化学(製))でガラス板に貼り合わせたサンプル(約5cm×5cm)を2組作製した。これをクロスニコル配置して、UV3100PC(島津製作所社製)を用いて直交透過率を410nmで測定した。その後、60℃、相対湿度90%の環境下で1000時間保存した後の直交透過率を前記方法で測定した。偏光板耐久性の評価値を以下のように定義し、以下のとおりの判定で評価した。A評価またはB評価であることが好ましく、A評価であることがより好ましい。
偏光板耐久性の評価値=[経時後の直交透過率(%)−経時前の直交透過率(%)]/ 経時前の直交透過率(%)
A:0〜4
B:4を超え、8以下
C:8を超える
得られた結果を下記表5に示した。
上記で作製した偏光板についてセル側の面を粘着剤(SK−2057:綜研化学(製))でガラス板に貼り合わせたサンプル(約24cm×16cm)を作製した。貼合した偏光板をガラスから剥がしたときにガラス上に残存する透明支持体の面積から以下のとおりの判定で評価した。A評価またはB評価であることが好ましく、A評価であることがより好ましい。
A:残面積なし
B:残面積が5cm2以下
C:残面積が5cm2を超える
得られた結果を下記表5に示した。
JIS K5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。実施例及び比較例の偏光板を温度25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、JIS S6006に規定するF〜5Hの試験用鉛筆を用いて、4.9Nの荷重にて、以下の通りの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。以下のとおりの判定で評価した。A評価またはB評価であることが実用上必要であり、A評価であることが好ましい。
OK:n=5の評価において傷なし〜傷2つ
NG:n=5の評価において傷が3つ以上
A:2H以上
B:H以上
C:F以下
得られた結果を下記表5に示した。
(1)液晶表示装置への実装
市販の液晶テレビ(IPSモードのスリム型42型液晶テレビ、Δnd=320nm)から、液晶セルを挟んでいる偏光板を剥がし取り、前記作製した偏光板を、粘着剤を介して液晶セルに再貼合した。
(2)視野角色味変化の測定と評価
作製した各液晶表示装置を黒表示させて、表示面の法線方向から極角60°方向における色味を、色彩輝度計((株)トプコン製BM−5)を用いて測定し、黒色味変化量Δu’v’を算出した。法線方向からの極角60°方向で方位角方向を0〜360°、15°刻みで変化させたときにそれぞれ算出されるΔu’v’で以下の基準で評価した。A評価であることが好ましい。
A:0.15以下
B:0.15より大
得られた結果を下記表5に示した。
前記と同様に作製した液晶表示装置について、60℃相対湿度90%で48時間サーモ後、25℃相対湿度60%で2時間放置した後で液晶表示装置のバックライトを点灯し、点灯から5〜10時間後にパネルの四隅の光漏れを評価しワープムラの評価とした。
光漏れ評価は、輝度計測用カメラ「ProMetric」(Radiant Imaging社製)で画面正面から黒表示画面を撮影し、全画面の平均輝度と、4角の光漏れが大きい箇所の輝度差をもとにして、以下の基準で評価した。A評価、B評価またはC評価であることが実用上必要であり、A評価またはB評価であることが好ましく、A評価であることがより好ましい。
A:パネル4角の光漏れが視認されない(パネルの光漏れがサーモ投入前と同程度)。
B:パネル4角のうち、1〜2角でわずかな光漏れが視認されるが許容できる。
C:パネル4角のうち、3〜4角でわずかな光漏れが視認されるが許容できる。
D:パネル4角の光漏れが強い。
得られた結果を下記表5に示した。
一方、偏光子上にセルロースアシレートフィルム、シクロオレフィンポリマー層の順で積層した比較例1の偏光板は、外側偏光板の外側にハードコート層を設けたときのKnoop硬度が低く、外側偏光板の鉛筆硬度が低いことがわかった。
偏光子上に設けたセルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が低い比較例2の偏光板は、外側偏光板の外側にハードコート層を設けたときのKnoop硬度が低く、外側偏光板の鉛筆硬度が低いことがわかった。
偏光子上に設けたセルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が低く、偏光板全体の厚みが本発明で規定する上限値を超える比較例3の偏光板は、外側偏光板の鉛筆硬度が低く、また湿熱経時したときにパネル角部の光漏れ(ワープムラ)が多く生じることがわかった。
偏光板全体の厚みが本発明で規定する上限値を大きく超える比較例4の偏光板は、液晶表示装置に組み込んで湿熱経時したときにパネル角部の光漏れ(ワープムラ)が多く生じることがわかった。
A 偏光子の一方の面A
B 偏光子の他の一方の面B
2A 面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層
2B 面B側に配置された第2のシクロオレフィンポリマー層
3A 面A側に配置されたセルロースアシレートフィルム
3B 面B側に配置された第2のセルロースアシレートフィルム
4A 面A側に配置されたエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層
4B 面B側に配置されたエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層
5 面B側に配置されたセルロースアシレートフィルム以外の他の層
10 ハードコート層
Claims (20)
- 偏光子と、
該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、
セルロースアシレートフィルムと、をこの順で有する偏光板であって、
前記偏光板の全体の厚みが100μm以下であり、
前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が240N/mm2以上であることを特徴とする偏光板。 - 前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルム上に、さらにハードコート層が配置された請求項1に記載の偏光板。
- 偏光子と、
該偏光子の一方の面A側に配置されたシクロオレフィンポリマー層と、
セルロースアシレートフィルムと、
ハードコート層とをこの順で有する偏光板であって、
前記偏光板の全体の厚みが100μm以下であり、
前記偏光子の前記面A側に配置された前記ハードコート層付きセルロースアシレートフィルムのKnoop硬度が265N/mm2以上であることを特徴とする偏光板。 - 前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムの厚みが35μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面Aとは反対側の面B側に、さらに第2のセルロースアシレートフィルムが配置された請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらに第2のシクロオレフィンポリマー層が配置された請求項5に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層が配置された請求項5または6に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面Bと、前記第2のセルロースアシレートフィルムとの間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層および第2のシクロオレフィンポリマー層がこの順で配置された請求項5〜7のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面B側に配置された前記第2のシクロオレフィンポリマー層の厚みが15μm以下である請求項6〜8のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面B側に配置された前記第2のセルロースアシレートフィルムのRthが−10〜10nmである請求項5〜9のいずれか一項に記載の偏光板(Rthは、フィルム膜厚方向のレターデーションを表す)。
- 前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層と前記偏光子の間に、さらにエチレン性不飽和モノマーを重合してなる層が配置された請求項1〜10のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層の厚みが15μm以下である請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記セルロースアシレートフィルムが芳香族エステルオリゴマーを含有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記芳香族エステルオリゴマーが、炭素数2〜10のジオールと炭素数4〜10のジカルボン酸とから合成される請求項13に記載の偏光板。
- 前記芳香族エステルオリゴマーが、ジカルボン酸由来の繰り返し単位とジオール由来の繰り返し単位を有し、前記ジカルボン酸由来の繰り返し単位中、脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をm、芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位のモル比をnとしたときm:nが0:10〜3:7である請求項13または14に記載の偏光板。
- 前記セルロースアシレートフィルムが、分子量/芳香族数の比が300以下であり、かつ、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を含有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光子の厚みが15μm以下である請求項1〜16のいずれか一項に記載の偏光板。
- 前記偏光板の全体の厚みが80μm未満である請求項1〜17のいずれか一項に記載の偏光板。
- 液晶セルと、請求項1〜18のいずれか一項に記載の偏光板を少なくとも1枚以上含む液晶表示装置。
- 前記偏光子の前記面A側に配置された前記シクロオレフィンポリマー層が、前記偏光子の前記面A側に配置された前記セルロースアシレートフィルムよりも前記液晶セルから近くなるように、前記偏光板が配置された請求項19に記載の液晶表示装置。
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