JP6911972B2 - 重縮合系樹脂及びそれよりなる光学フィルム - Google Patents
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Description
本発明の目的は、上記の課題を解決し、光学物性や耐熱性、機械物性、熱安定性等の種々の特性に優れた樹脂、並びにそれを用いて得られる光学フィルムを提供することにある。
前記繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量A[質量%]が5≦A≦14.7であり、
前記樹脂から作成された延伸フィルムの、450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比B(R450/R550)が0.75≦B≦0.89であり、
前記樹脂を構成する全ての繰り返し構造単位に対する前記式(3)で表される構造単位の含有量が5〜70質量%であり、
ガラス転移温度が110℃以上160℃以下である、樹脂。
[7]弾性率が1GPa以上2.5GPa以下である、[1]乃至[6]のいずれか1に記載の樹脂。
[9]前記繰り返し構造単位の含む芳香族構造が、フルオレンのみである、[1]乃至[8]のいずれか1に記載の樹脂。
該繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量が下記式(I)を満たし、
下記式(1)及び式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1つの構造単位を有する樹脂。
5 ≦ A ≦ −22.5×B+38.3 (I)
但し、0.75 ≦ B ≦ 0.93
A:樹脂を構成する繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量[質量%]
B:樹脂から作成された延伸フィルムの、450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比(R450/R550)
該繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量が下記式(III)を満たし、かつ、該樹脂のガラス転移温度が110℃以上、160℃以下である樹脂。
5 ≦ A ≦ −22.5×B+34.8 (III)
但し、0.75 ≦ B ≦ 0.93
A:樹脂を構成する繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量[質量%]
B:450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比(R450/R550)
[R4]弾性率が1GPa以上2.5GPa以下である、[R1]乃至[R3]のいずれか1つに記載の樹脂。
[R5]測定温度240℃、剪断速度91.2sec−1における溶融粘度が1000Pa・s以上、4000Pa・s以下である、[R1]乃至[R4]のいずれか1つに記載の樹脂。
[R6]前記樹脂が、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、[R1]乃至[R5]のいずれか1つに記載の樹脂。
[R7]前記繰り返し構造単位の含む芳香族構造が、フルオレンのみである、[R1]乃至[R6]のいずれか1つに記載の樹脂。
[R8]下記式(3)で表される構造単位を含有する、[R1]乃至[R7]のいずれか1つに記載の樹脂。
[R10][R9]に記載の透明フィルムを少なくとも一方向に延伸することで得られる位相差フィルム。
[R11]単一層からなり、膜厚が10μm以上、60μm以下である[R10]に記載の位相差フィルム。
尚、本発明において「繰り返し構造単位」とは、樹脂中で同じ構造が繰り返し現れる構造単位であって、それぞれが連結することで当該樹脂を構成するような構造単位のことである。より具体的には例えばポリカーボネート樹脂であれば、カルボニル基も含めて繰り返し構造単位と呼称する。
また、「構造単位」とは、樹脂を構成する部分構造であって、繰り返し構造単位に含まれる特定の部分構造のことをいう。例えば、樹脂中で隣り合う連結基に挟まれた部分構造や、重合体の末端部分に存在する重合反応性基と、該重合性反応基に隣り合う連結基とに挟まれた部分構造をいい、より具体的には例えばポリカーボネート樹脂であれば、カルボニル基が連結基であって、隣り合うカルボニル基に挟まれた部分構造のことを構造単位と呼称する。
5 ≦ A ≦ −22.5×B+38.3 (I)
但し、0.75 ≦ B ≦ 0.93
A:樹脂を構成する繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量[質量%]
B:450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比(R450/R550)
5 ≦ A ≦ −22.5×B+34.8 (III)
但し、0.75 ≦ B ≦ 0.93
A:樹脂を構成する繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量[質量%]
B:450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比(R450/R550)
本発明の樹脂は、重縮合系の樹脂である。重縮合系の樹脂とは、Glossary of basic terms in polymer science (IUPAC Recommendations 1996)において定義される、polycondensation により得られる樹脂のことを示し、ポリマー鎖の成長が分子間の縮合反応によって進行する重合により得られる樹脂のことである。本発明の重縮合系の樹脂は、好ましくはカーボネート結合及びエステル結合から選ばれる少なくとも1つの結合を有する樹脂であり、より具体的には、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリエステルカーボネートのいずれかの樹脂であることが好ましい。これらの樹脂は耐熱性、機械物性、溶融加工性に優れており、また、複数のモノマーを共重合することで、光学物性や耐熱性、機械物性等の諸物性を所望の範囲に制御しやすいことが利点に挙げられる。
本発明における芳香族構造の分子量には、芳香属性を有する環状構造中の炭素原子、水素原子、ヘテロ原子を含める。芳香属性を有する環状構造に結合する炭素原子やヘテロ原子は芳香族構造には含めない。また、芳香属性を有する環状構造にビニル基やエチニル基、カルボニル基等が結合する場合、芳香環の共役系がそれら官能基まで広がることになるが、芳香属性を有する環状構造に結合する置換基は芳香族構造には含めない。
繰り返し構造単位中の芳香族構造の分子量:C6H4=76.10
芳香族構造の含有量=76.10/192.17×100=39.6[質量%]
[計算例2]
繰り返し構造単位Aの分子量:C30H24O5=464.51
繰り返し構造単位A中の芳香族構造の分子量:C6H4×4=304.38
繰り返し構造単位Bの分子量:C16H14O3=254.28
繰り返し構造単位B中の芳香族構造の分子量=C6H4×2=152.19
芳香族構造の含有量:(304.38×0.3+152.19×0.7)/(464.51×0.3+254.28×0.7)×100=62.3[質量%]
5 ≦ A ≦ −22.5×B+38.3 (I)
7 ≦ A ≦ −22.5×B+37.5 (II)
8 ≦ A ≦ −22.5×B+34.8 (III)
但し、0.75 ≦ B ≦ 0.93 である。
A:樹脂を構成する繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量[質量%]
B:450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比(R450/R550)
本発明の樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群のうち1種以上の構造単位を有することが好ましい。以下、当該構造単位をオリゴフルオレン構造単位ということがある。
この要因としては、オリゴフルオレン構造単位の連結基であるカーボネート基やエステル基の立体障害によって、フルオレン環の配向が主鎖方向に対して垂直ではない方向に固定化されてしまうこと等が考えられる。一方、炭素数が多すぎる場合は、フルオレン環の配向の固定が弱くなることで、逆波長分散性が弱くなるおそれがある。また、樹脂の耐熱性も低下する。
また、製造を容易にする観点からは、R1及びR2に同一のアルキレン基を採用することが好ましい。
前記アルキル基の炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。前記アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
前記アリール基の炭素数は、8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
前記アシル基の炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
前記アルコキシ基及び前記アリールオキシ基の炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、アクリリルオキシ基、メタクリリルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基。
前記アシルオキシ基の炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
スルホ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基、p−トリルスルホニル基等のアリールスルホニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基、p−トリルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、p−トリルチオ基等のアリールチオ基;メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等のアルコキシスルホニル基;フェノキシスルホニル基等のアリールオキシスルホニル基;アミノスルホニル基;N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−tert−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基等のアルキルスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基、N,N−ジフェニルアミノスルホニル基等のアリールアミノスルホニル基。尚、スルホ基は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム等と塩を形成していてもよい。
また、R4〜R9において、「置換基を有するケイ素原子」としては、例えば以下のシリル基を採用することができる。トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基。これらの中でも安定に扱えるトリアルキルシリル基が好ましい。
[A]群
前記オリゴフルオレン構造単位に含まれるフルオレン環は、R4〜R9の全てが水素原子である構成、或いは、R4及び/又はR9がハロゲン原子、アシル基、ニトロ基、シアノ基、及びスルホ基からなる群から選ばれるいずれかであり、かつ、R5〜R8が水素原子である構成のいずれかであることが好ましい。前者の構成を有する場合には、前記オリゴフルオレン構造単位を含む化合物を、工業的にも安価なフルオレンから誘導できる。また、後者の構成を有する場合には、フルオレン9位の反応性が向上するため、前記オリゴフルオレン構造単位を含む化合物の合成過程において、様々な誘導反応が適応可能となる傾向がある。前記フルオレン環は、より好ましくは、R4〜R9の全てが水素原子である構成、或いは、R4及び/又はR9がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びニトロ基からなる群から選ばれるいずれかであり、かつ、R5〜R8が水素原子である構成のいずれかであることがより好ましく、R4〜R9の全てが水素原子である構成が特に好ましい。
前記の構成を採用することにより、フルオレン比率を高めることができ、かつ、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向もある。
[B]群
・従来、ポリマーの主鎖に組み込まれていたフェニル環等の芳香族成分がポリマーの主鎖に組み込まれなくなるため、光弾性係数を低減できる。
・主鎖に組み込まれた前記芳香族成分が、短波長ほど複屈折が大きくなる正の波長分散性を示すため、従来は、側鎖のフルオレン環に由来する逆波長分散性が相殺され、樹脂全体としての逆波長分散性が低下してしまっていた。これに対し、芳香族成分が主鎖に組み込まれなくなることにより、逆波長分散性をより強く発現させることができる。
・一分子中にフルオレン環を二つ導入することで、高い耐熱性を付与できる。
・主鎖が柔軟なアルキレン鎖で構成されるため、樹脂に柔軟性や溶融加工性を付与することができる。
本発明の樹脂は、光学特性、機械特性、耐熱性等の観点から、共重合成分として下記一般式(3)の構造単位を含有することが好ましい。
前記したその他の構造単位としては、芳香族成分を含有しない下記一般式(4)〜(8)で表される構造単位を有することが特に好ましい。
前記一般式(4)の構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、例えば、以下のジヒドロキシ化合物を採用することができる。エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等の分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物。
前記一般式(5)の構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、例えば、以下のジヒドロキシ化合物を採用することができる。1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−アダマンタンジオール、水添ビスフェノールA、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等に例示される、脂環式炭化水素の2級アルコール及び3級アルコールであるジヒドロキシ化合物。
前記一般式(6)の構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、例えば、以下のジヒドロキシ化合物を採用することができる。1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、リモネン等の、テルペン化合物から誘導されるジヒドロキシ化合物等に例示される、脂環式炭化水素の1級アルコールであるジヒドロキシ化合物。
前記一般式(7)の構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、例えば、以下のジヒドロキシ化合物を採用することができる。ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレングリコール類。
前記一般式(8)の構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、例えば、下記構造式(14)で表されるスピログリコールや下記構造式(15)で表されるジオキサングリコール等を採用することができる。
諸特性のバランスをとる観点から、前記樹脂における、芳香族基を含む構造単位(但し、前記一般式(1)で表される構造単位及び前記一般式(2)で表される構造単位を除く。)の含有量が5質量%以下であることが好ましい。
その他の構造単位を導入するためのジヒドロキシ化合物やジエステル化合物は、得られる樹脂の要求性能に応じて、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂中のその他の構造単位の含有量は、1質量%以上、60質量%以下が好ましく、5質量%以上、55質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上、50質量%以下が特に好ましい。その他の構造単位は特に樹脂の耐熱性の調整や、柔軟性や靱性の付与の役割を担うため、含有量が少なすぎると、樹脂の機械特性や溶融加工性が悪くなり、含有量が多すぎると、耐熱性や光学特性が悪化するおそれがある。
本発明の樹脂と好適に用いられる、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートは、一般に用いられる重合方法で製造することができる。即ち、前記樹脂は、例えば、ホスゲンやカルボン酸ハロゲン化物を用いた溶液重合法又は界面重合法や、溶媒を用いずに反応を行う溶融重合法を用いて製造することができる。これらの製造方法のうち、溶媒や毒性の高い化合物を使用しないことから環境負荷を低減することができ、また、生産性にも優れる溶融重合法によって製造することが好ましい。
溶融重合法によって得られる樹脂は溶媒を含有しないため、加工工程や製品品質の安定化にとっても有利である。
重縮合反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、前述した一般式(11)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、重縮合反応の重合速度は、ヒドロキシ基末端とエステル基末端あるいはカーボネート基末端とのバランスによって制御される。そのため、特に連続式で重合を行う場合は、未反応モノマーの留出によって末端基のバランスが変動すると、重合速度を一定に制御することが難しくなり、得られる樹脂の分子量の変動が大きくなるおそれがある。樹脂の分子量は溶融粘度と相関するため、得られた樹脂を溶融製膜する際に、溶融粘度が変動し、フィルムの膜厚等の品質を一定に保つことが難しくなり、フィルムの品質や生産性の低下を招く。
第2段目以降の反応は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力を5kPa以下、好ましくは3kPa以下、より好ましくは1kPa以下にする。また、内温の最高温度は、通常210℃以上、好ましくは220℃以上、かつ、通常270℃以下、好ましくは260℃以下の範囲で設定する。また、反応時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、かつ、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下の範囲で設定する。着色や熱劣化を抑制し、色相や熱安定性の良好な樹脂を得るには、全反応段階における内温の最高温度が270℃以下、好ましくは260℃以下、さらに好ましくは250℃以下であることが好ましい。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば以下の化合物を採用することができるが、これら以外の塩基性リン化合物を採用することも可能である。トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩。
前記重合触媒として、長周期型周期表第2族の金属およびリチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を用いる場合、特にマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を用いる場合には、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、通常、0.1μmol以上、好ましくは0.3μmol以上、特に好ましくは0.5μmol以上の前記重合触媒を使用する。また、前記重合触媒の使用量は、30μmol以下がよく、好ましくは20μmol以下であり、特に好ましくは10μmol以下である。
重合終盤の圧力を低下させる場合には、反応の圧力を下げすぎると分子量が急激に上昇して、反応の制御が困難になる場合があるため、樹脂の末端基濃度をヒドロキシ基末端過剰かエステル基末端過剰にして、末端基バランスを偏らせて製造することが好ましい。中でも熱安定性の観点から、ヒドロキシ基末端量を50mol/ton以下、特には40mol/ton以下にすることが好ましい。ヒドロキシ基末端量は1H−NMR等で定量することができる。ヒドロキシ基末端量は全ジヒドロキシ化合物と全ジエステル化合物の仕込みのモル比により調節することができる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、以下の化合物を採用することができる。2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。中でも、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン。
これらの熱安定剤の配合量は、本発明に用いられる樹脂を100質量部とした場合、0.0001質量部以上が好ましく、0.0005質量部以上がより好ましく、0.001質量部以上がさらに好ましく、また、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.2質量部以下がさらに好ましい。
また、本発明の樹脂は、樹脂の機械特性や耐溶剤性等の特性を改質する目的で、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、AS、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート等の合成樹脂やゴム等の1種又は2種以上と混練してなるポリマーアロイとしてもよい。
前記のとおり得られた樹脂は、複屈折が小さく、耐熱性および成形性にも優れ、さらに着色が少なく、高い透明性を兼ね備えているため、光学フィルムや光ディスク、光学プリズム、ピックアップレンズ等に用いることができるが、特に位相差フィルムとして好適に用いられる。
本発明の樹脂を用いて未延伸フィルムを製膜する方法としては、前記樹脂を溶媒に溶解させてキャストした後、溶媒を除去する流延法や、溶媒を用いずに前記樹脂を溶融させて製膜する溶融製膜法を採用することができる。溶融製膜法としては、具体的にはTダイを用いた溶融押出法、カレンダー成形法、熱プレス法、共押出法、共溶融法、多層押出、インフレーション成形法等がある。未延伸フィルムの製膜方法は特に限定されないが、流延法では残存溶媒による問題が生じるおそれがあるため、好ましくは溶融製膜法、中でも後の延伸処理のし易さから、Tダイを用いた溶融押出法が好ましい。
前記未延伸フィルムを延伸配向させることにより、位相差フィルムを得ることができる。延伸方法としては縦一軸延伸、テンター等を用いる横一軸延伸、あるいはそれらを組み合わせた同時二軸延伸、逐次二軸延伸等、公知の方法を用いることができる。延伸はバッチ式で行ってもよいが、連続で行うことが生産性において好ましい。さらにバッチ式に比べて、連続の方がフィルム面内の位相差のばらつきの少ない位相差フィルムが得られる。
歪み速度(%/分)={延伸速度(mm/分)/原反フィルムの長さ(mm)}×100
本発明の樹脂を用いた位相差フィルムは、波長550nmにおける面内の複屈折(Δn)が0.002以上であると好ましく、0.0025以上がより好ましく、0.003以上が特に好ましい。位相差は、フィルムの厚み(d)と複屈折(Δn)に比例するため、複屈折を前記特定の範囲にすることにより、薄いフィルムで設計どおりの位相差を発現させることが可能となり、薄型の機器に適合するフィルムを容易に作製することができる。
高い複屈折を発現させるためには、延伸温度を低くする、延伸倍率を高くする等して、ポリマー分子の配向度を上げなければならないが、そのような延伸条件ではフィルムが破断しやすくなるため、用いる樹脂が靱性に優れているほど有利である。
前記位相差フィルムは、公知の偏光フィルムとを積層貼合し、所望の寸法に切断することにより円偏光板となる。かかる円偏光板は、例えば、各種ディスプレイ(液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED電界放出表示装置、SED表面電界表示装置)の視野角補償用、外光の反射防止用、色補償用、直線偏光の円偏光への変換用等に用いることができる。特に有機ELディスプレイの外光反射防止用の円偏光板に用いると、きれいな黒表示が可能となり、品質の信頼性にも優れている。さらに今後の機器の薄型化にも対応し得る性能を有している。
前記円偏光板は、前述のごとく、十分な光学特性を備えると共に、精密性・薄型・均質性を求められる機器に好適に用いることができるよう構成されている。そのため、前記円偏光板は、例えば液晶ディスプレイに用いる液晶パネルや、有機ELディスプレイに用いられる有機ELパネルなどに好適に用いることができる。特に有機ELパネルは外光を反射しやすい金属層を備えているため、外光反射や背景の映り込み等の問題を生じやすい。このような外光反射等を防止するためには、前記円偏光板を発光面に設けることが有効である。
(1)フルオレン系モノマー中のアルミニウム、ナトリウム含有率
フルオレン環を含むモノマー(以下、フルオレン系モノマーということがある。)中のアルミニウム、ナトリウム含有率は次の通り測定した。分析試料を湿式分解処理後、ICP−AES(HORIBA Jobin Yvon社製 ULTIMA 2C)を用いてアルミニウム含有率及びナトリウム含有率の定量を行った。また、ナトリウム含有率に関しては、分析試料によっては原子吸光法(VARIAN製SpectrAA−220P)による分析も併用した。
フルオレン系モノマー中の塩素含有率は次の通り測定した。三菱化学(株)製燃焼装置AQF−2100Mを用いて分析試料を燃焼させ、発生したガスを純水に吸収させた。その後、ガスを吸収させた純水を日本ダイオネクス(株)製イオンクロマトグラフDX−500に導入し、塩素含有率の定量を行った。
フルオレン系モノマーのガラス転移温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差熱重量同時分析装置TG−DTA6300を用いて測定した。約4mgのフルオレン系モノマーを同社製アルミパンに入れて密封し、200mL/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分で室温(20〜30℃)から600℃まで昇温した。得られたTGデータ(熱重量データ)より、試料重量が5wt%減少した温度を5wt%重量減少温度とした。溶媒を含有しているモノマーに関しては、測定開始時の重量から1H−NMRより見積もられた溶媒重量が減少した後、重量変化がなくなった時点での重量を初期重量とし、その初期重量が5wt%減少した温度を5wt%重量減少温度とした。また、得られたTGデータ(熱重量データ)より、重量の減少が認められず、かつ、急峻な吸熱ピークが観測された、そのピークトップを試料の融点とした。
フルオレン系モノマーの紫外可視領域(UV−Vis:280〜800nm)における吸収極大波長は、(株)島津製作所製紫外可視吸収分光光度計UV−1650PCを用いて測定した。測定溶液は、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、フルオレン環として濃度が10μMとなるように、精密に調製した。測定セルには1cm角の石英セルを用い温度23±5℃の環境で測定した。測定溶液の吸収スペクトルを280〜800nmの範囲で測定し、吸収の極大値を吸収極大波長(λmax)とした。
前記樹脂を塩化メチレンに溶解させ、0.6g/dLの濃度の樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0及び溶液の通過時間tを測定した。得られたt0及びtの値を用いて次式(I)により相対粘度ηrelを求め、更に、得られた相対粘度ηrelを用いて次式(ii)により比粘度ηspを求めた。
ηrel=t/t0 ・・・(I)
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 ・・・(ii)
その後、得られた比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
ペレット状の樹脂を90℃で5時間以上、真空乾燥させた。乾燥したペレットを用いて、東洋精機(株)製キャピラリーレオメーターで測定を行った。測定温度は240℃とし、剪断速度9.12〜1824sec−1間で溶融粘度を測定し、91.2sec−1における溶融粘度の値を用いた。なお、オリフィスには、ダイス径がφ1mm、長さが10mmのものを用いた。
前記樹脂のガラス転移温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差走査熱量計DSC6220を用いて測定した。約10mgの樹脂を同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られたDSCデータより、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、それをガラス転移温度とした。このガラス転移温度が125℃以上のものを、耐熱性に優れるものと評価した。
(8)フィルムの成形
未延伸フィルムは、以下の2通りの方法により作成した。
後述する参考例1、及び比較例1〜12においては、以下の手順によりプレス成形を行い、未延伸フィルムを作製した。90℃で5時間以上、真空乾燥をした樹脂のペレット約4gを、縦14cm、横14cm、厚さ0.1mmのスペーサーを用い、試料の上下にポリイミドフィルムを敷いて、温度200〜230℃で3分間予熱し、圧力40MPaの条件で5分間加圧後、スペーサーごと取り出し、冷却してフィルムを作製した。この方法では、フィルムの厚み精度を5%以下とすることはできなかった。尚、本明細書において、厚み精度は下記式で計算される。即ち、厚み精度は、フィルムの各位置の厚みを計測し、変動範囲の最大値又は最小値と設定値との差の、平均値に対する比率を示す。
厚み精度[%]=|厚みの最大値又は最小値−平均値|/平均値×100
前述の、熱プレス法又は溶融押出法により作製した未延伸フィルムから、長さ40mm、幅8mmの長方形の試験片を切り出して測定試料とした。589nm(D線)の干渉フィルターを用いて、(株)アタゴ製多波長アッベ屈折率計DR−M4/1550により屈折率nDを測定した。測定は界面液としてモノブロモナフタレンを用い、20℃で行った。
前述の溶融押出法により、膜厚約100μmの未延伸フィルムを作製し、日本電色工業(株)製濁度計COH400を用いて全光線透過率を測定した。
He−Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製DVE−3)を組み合わせた装置を用いて測定した。(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93−97(1991)を参照。)
C=O’/E’
この光弾性係数が20以下のものを、光弾性特性が優れるものと評価した。
前述の方法で取得したフィルムから幅5mm、長さ50mmの長方形の試験片を切り出し、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E’’)を測定した。測定には、TA Instruments社製レオメーターRSA−IIIを用いて、引っ張りモードにて、チャック間距離20mm、昇温速度3℃/min、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、温度は0℃から各サンプルのガラス転移温度以上まで昇温し、サンプルが切れて停止するまで測定を行った。本発明における弾性率には、30℃における貯蔵弾性率を用いた。
前述のいずれかの方法により、厚さ100〜300μmの未延伸フィルムを作製し、縦100mm、横100mmの正方形に切り出して試料を作製した。この試料を用いてJIS K 7209に記載の「プラスティックの吸水率及び沸騰吸水率試験方法」に準拠して吸水率を測定した。
前述のいずれかの方法により、厚み100〜200μmの未延伸フィルムを作製し、このフィルムから長さ40mm、幅10mmの長方形の試験片を作製した。万力の左右の接合面の間隔を40mmに開き、試験片の両端を接合面内に固定した。次に左右の接合面の間隔を2mm/秒以下の速度で狭めていき、フィルムが万力の接合面の外にはみ出さないようにしながら、略U字状に折れ曲がったフィルム全体を該接合面内で圧縮していった。接合面間が完全に密着するに試験片が折れ曲がり部で2片(又は3片以上の破片)に割れた場合を「割れあり」、接合面間が完全に密着してもなお試験片が割れずに折り曲げられた場合「割れなし」とした。同一の種類のフィルムについて5回繰り返して試験を実施し、そのうち4回以上「割れあり」となったものを「×:脆性破壊する」、3回以下「割れあり」となったものを「○:脆性破壊しない」とし、脆性破壊しないものを、靭性に優れるものと評価した。
(15)フィルムの延伸
前述した未延伸フィルムの作製方法に応じて、以下の2通りの方法により位相差フィルムを作製した。
熱プレス法によって作製した未延伸フィルムについては、次の方法により延伸を行った。未延伸フィルムから幅50mm、長さ125mmのフィルム片を切り出し、バッチ式二軸延伸装置(アイランド工業社製二軸延伸装置BIX−277−AL)を用いて、樹脂のガラス転移温度+15℃の延伸温度、300%/分の延伸速度及び1.5倍の延伸倍率で前記フィルム片の自由端一軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。
上記の方法で得られた延伸フィルムの中央部を幅4cm、長さ4cmに切り出し、王子計測機器(株)製位相差測定装置KOBRA−WPRを用いて、測定波長450、500、550、590、630nmで位相差を測定し、波長分散性を測定した。波長分散性は450nmと550nmで測定した位相差R450とR550の比(R450/R550)で示した。R450/R550が1より大きいと波長分散は正であり、1未満では逆波長分散となる。1/4波長板として用いる場合、R450/R550の理想値は0.818である(450/550=0.818)。
1からR450/R550の値を引いた値を、フルオレン系モノマーのモル比率で割った値を逆波長分散の発現性とした際に、この値が0.01以上のものを、逆波長分散の発現性に優れるものと評価した。
なお、本発明の式(1)〜(3)のB(R450/R550)の値としては、前記の熱プレス法によって作製した未延伸フィルムから得られる延伸フィルムを用いた評価で測定される波長分散の値が用いられる。
複屈折=R550[nm]/(フィルム厚み[mm]×106)複屈折の値が大きいほど、ポリマーの配向度が高いことを示す。また、複屈折の値が大きいほど、所望の位相差値を得るためのフィルムの厚みを薄くすることができる。
<総合評価>
上記種々の評価のうち、劣るものと評価される項目がないものを、諸特性のバランスに優れたものと評価した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.83(d,J=7.6Hz,4H),7.56(dd,J1=7.6Hz,J2=0.8Hz,4H),7.41(t,J=7.3Hz,4H),7.29(dt,J1=7.3Hz,J2=1.3Hz,4H),4.42(t,J=7.6Hz,2H),2.24(d,J=7.6Hz,2H).
また、化合物2の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は295℃であり、融点は141℃であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.23−7.28(m,4H),7.07−7.16(m,6H),7.03(dt,J1=6.9Hz,J2=2.0,4H),6.78−6.90(m,12H),3.20(s,2H),2.37(t,J=8.3Hz,4H),1.40(t,J=8.3Hz,4H).
また、化合物3の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は336℃であり、融点は176℃であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.75(d,J=7.6Hz,4H),7.37(dt,J1=7.6Hz,J2=0.5Hz,4H),7.27−7.34(m,8H),3.85(s,2H),1.74(t,J=2.3Hz,4H).
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.72(d,J=7.6Hz,4H),7.36(t,J=7.6Hz,4H),7.27(t,J=7.3Hz,4H),6.97(d,J=7.3Hz,4H),3.80(q,J=7.1Hz,4H),1.93(t,J=8.6Hz,4H),1.33(t,J=8.6Hz,4H),1.23(s,4H),1.01(t,J=7.1Hz,6H).
また、化合物5の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は306℃であり、融点は150℃であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.76(d,J=7.6,4H),7,41(dt,J1=7.3,J2=1.0,4H),7.32(dt,J1=7.3,J2=1.0,4H),7.22(t,J=8.3,4H),7.11(t,J=7.6,2H),7.03(d,J=7.6,4H),6.78(d,J=8.6,4H),2.06(t,J=8.1,4H),1.60(t,J=8.1,4H),1.29(s,4H).
また、化合物6の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は337℃であり、融点は232℃であった。
また、化合物7の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は301℃であり、融点は214℃であった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.81(d,J=7.3Hz,4H),7.35(t,J=7.3Hz,4H),7.29(t,J=7.3Hz,4H),7.02(d,J=7.3Hz,4H),4.02(t,J=5.0Hz,2H),2.93(m,4H),1.59(m,4H),1.19(s,4H),0.45(m,4H).
また、化合物8の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は312℃であり、融点は253℃であった。
5℃以下に冷却後、ナトリウムエトシキド(0.698g、13mmol)を加え、10℃を越えないように撹拌した。1時間半後、1N塩酸(32ml)を25℃を超えないように添加し、反応を停止した。さらに水(300ml)を加えて攪拌し、得られた懸濁溶液を吸引ろ過し、脱塩水(100ml)でふりかけ洗浄した。得られた粗生成物をテトラヒドロフラン(400ml)に分散させた後、1時間加熱還流を行った。室温(20℃)に戻し、吸引ろ過後80℃で恒量になるまで減圧乾燥を行ない、白色固体108g(収率:91%、HPLC純度:99.1%)。得られた白色固体中のナトリウム含有率は620ppmであった。その後、白色固体を、トルエン(800ml)および水(200ml)混合液中へ分散させ、1時間加熱還流を行い、ろ別、乾燥後、得られた固体中のナトリウム含有率を測定したところ、390ppmであった。さらに、得られた白色固体をN,N−ジメチルホルムアミド(500ml)に分散させ、加温して均一な溶液とした後、40℃以下まで冷却し、0.03Nの塩酸(1500ml)中へゆっくりと滴下した。得られた懸濁溶液を吸引ろ過し、脱塩水(200ml)に分散させ、1時間撹拌した。この懸濁液を吸引ろ過後、脱塩水(100ml)でふりかけ洗浄を行なった。得られた生成物をトルエン(800ml)に分散させた後、加熱還流下で共沸脱水を行った。室温(20℃)に戻し、吸引ろ過後、100℃で恒量になるまで減圧乾燥することで白色固体としてビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)メタン(化合物9)を104g(収率87%、HPLC純度:99.8%)得た。固体中のナトリウム、塩素の含有率はそれぞれ10ppm未満であった。化合物9の1H−NMRスペクトルにおけるケミカルシフトは以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.12(d,J=7.3Hz,4H),7.01−6.93(m,8H),6.77(dt,J1=7.3Hz,J2=1.0Hz,4H),4.97(t,J=4.6Hz,2H),3.31(s,2H),3.23(d,J=4.3Hz,4H).
また、化合物9のUV−Visスペクトル(溶媒:THF)における吸収極大波長λmaxは、263nm、292nm及び304nmに存在した。また化合物9の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は289℃であり、融点は226℃であった。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.91(d,J=7.3Hz,4H),7.44(dt,J1=7.6Hz,J2=1.0Hz,4H),7.35(dt,J1=7.6Hz,J2=1.0Hz,4H),7.18(d,J=7.3Hz,4H),4.79(t,J=5.3Hz,2H),3.18(d,J=5.3Hz,2H),1.40(s,4H).
また、化合物10のUV−Visスペクトル(溶媒:THF)における吸収極大波長λmaxは、264nm、291nm及び302nmに存在した。また、化合物10の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は301℃であり、融点は278℃であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.72(d,J=7.6Hz,4H),7.42(m,4H),7.25−7.36(m,8H),3.89(t,J=5.8Hz,2H),1.96−1.86(m,4H),1.15−1.05(m,4H).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.71−7.66(m,4H),7.38−7.24(m,4H),3.71(d,J=6.3Hz,4H),1.89−1.81(m,4H),1.22(t,J=6.3Hz,2H),0.51−0.44(m,4H).
また、化合物12のUV−Visスペクトル(溶媒:THF)における吸収極大波長λmaxは、291nm及び302nmに存在した。また、化合物12の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は314℃であり、融点は212℃であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.62(d,J=7.6Hz,4H),7.33(t,J=8.0Hz,4H),7.25(t,J=6.0Hz,4H),7.19(br,4H),6.45(s,4H),3.80(d,J=6.4Hz,4H),3.12(s,4H),1.42(t,J=6.4Hz,2H).
また、化合物13の5wt%重量減少温度(窒素雰囲気下)は327℃であり、融点は198℃であった。
1N塩酸(200ml)を加えて、反応を停止し、酢酸エチル(400ml)を加えて、分液操作を行った。さらに、飽和食塩水(100ml)で有機層を3回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、有機溶媒を減圧留去した。得られた懸濁溶液にトルエン(100ml)、ヘキサン(200ml)を添加し、30分攪拌した後、吸引ろ過し、80℃で恒量になるまで減圧乾燥することで、白色固体として1,2−ビス(9−ヒドロキシフルオレン−9−イル)エタン(化合物14)を13.9g(収率:63.8%、HPLC純度:92.5%)得た。化合物14の1H−NMRスペクトルにおけるケミカルシフトは以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.73(d,J=7.3Hz,4H),7.35(dt,J1=7.6Hz,J2=1.0,6H),7.26(dt,J1=7.6Hz,J2=1.0,4H),7.11(d,J=7.3Hz,4H),5.35(s,2H),1.40(s,4H).
以下の実施例、参考例及び比較例で用いた化合物の略号等は以下の通りである。
・BHEPF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
・BCF:9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
・ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス、トランス混合物、SKケミカル社製)
・TCDDM:トリシクロデカンジメタノール(オクセア社製)
・SPG:スピログリコール(三菱ガス化学(株)製)
・BPA:2,2−ビス[4−ヒドロキシフェニル]プロパン(三菱化学(株)製)
・PEG:ポリエチレングリコール 数平均分子量:1000(三洋化成(株)製)
・CHDA:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス、トランス混合物、イーストマンケミカル社製)
・DMT:テレフタル酸ジメチル(東京化成工業(株)製)
ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)38.06質量部(0.059mol)、ISB 53.73質量部(0.368mol)、CHDM 9.64質量部(0.067mol)、DPC 81.28質量部(0.379mol)、及び触媒として酢酸カルシウム1水和物3.83×10−4質量部(2.17×10−6mol)を反応容器に投入し、反応装置内を減圧窒素置換した。窒素雰囲気下、150℃で約10分間、攪拌しながら原料を溶解させた。反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、60分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで90分かけて減圧し、13.3kPaで30分間保持し発生するフェノールを反応系外へ抜き出した。次いで反応2段目の工程として熱媒温度を15分かけて240℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで15分かけて減圧し、発生するフェノールを反応系外へ抜き出した。所定の撹拌トルクに到達後、窒素で常圧まで復圧して反応を停止し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
1,2−ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]エタン(化合物6)45.69質量部(0.070mol)、ISB 43.13質量部(0.295mol)、CHDM 15.64質量部(0.108mol)、DPC 72.36質量部(0.338mol)、酢酸カルシウム1水和物3.55×10−4質量部(2.02×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリエステルカーボネートのペレットを得た。得られたポリエステルカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1のポリエステルカーボネートも逆波長分散の発現性が高く、優れた機械物性も有していたが、光弾性特性が劣っていた。
ビス[9−(3−ヒドロキシプロピル)−フルオレン−9−イル]メタン(化合物7)35.02質量部(0.076mol)、ISB 40.75質量部(0.279mol)、CHDM 12.71質量部(0.088mol)、DPC 95.85質量部(0.447mol)、酢酸カルシウム1水和物3.90×10−4質量部(2.22×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例2のポリカーボネートも比較的優れた特性を有していたが、逆波長分散の発現性が劣っていた。
1,2−ビス[9−(3−ヒドロキシプロピル)−フルオレン−9−イル]エタン(化合物8)37.92質量部(0.080mol)、ISB 42.45質量部(0.290mol)、CHDM 8.47質量部(0.059mol)、DPC 92.84質量部(0.433mol)、酢酸カルシウム1水和物3.78×10−4質量部(2.15×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例3のポリカーボネートは、逆波長分散の発現性や光弾性特性が劣っていた。
ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)メタン(化合物9)28.19質量部(0.070mol)、ISB 42.45質量部(0.290mol)、CHDM 16.95質量部(0.118mol)、DPC 103.35質量部(0.482mol)、酢酸カルシウム1水和物1.68×10−3質量部(9.55×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
1,2−ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)エタン(化合物10)47.08質量部(0.112mol)、ISB 29.71質量部(0.203mol)、CHDM 12.71質量部(0.088mol)、DPC 87.40質量部(0.408mol)、酢酸カルシウム1水和物7.12×10−4質量部(4.04×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
本例の樹脂は、比較例4と同様に逆波長分散性を示さなかった。
1,2−ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)ブタン(化合物12)32.13質量部(0.072mol)、ISB 43.30質量部(0.296mol)、CHDM 12.71質量部(0.088mol)、DPC 98.74質量部(0.461mol)、酢酸カルシウム1水和物8.04×10−4質量部(4.56×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
本例の樹脂は、比較例4と同様に逆波長分散性を示さなかった。
ビス(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)メタン(化合物9)33.85質量部(0.084mol)、CHDM 28.97質量部(0.201mol)、CHDA 48.03質量部(0.279mol)、及び触媒としてテトラ―n―ブチルチタネート9.49×10−3質量部(2.79×10−5mol)を用いた以外は実施例3と同様に合成を行い、ポリエステルのペレットを得た。得られたポリエステルのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
本例では、比較例4のポリカーボネートで用いた化合物9からポリエステルを合成したが、ポリエステルでも逆波長分散性を示さなかった。
α,α’−ビス−(9−ヒドロキシメチルフルオレン−9−イル)−1,4−キシレン(化合物13)38.00質量部(0.077mol)、ISB 33.96質量部(0.232mol)、CHDM 16.95質量部(0.118mol)、DPC 92.32質量部(0.431mol)、酢酸カルシウム1水和物7.52×10−4質量部(4.27×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
ビス−{[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン−9−イル}エタン(化合物15)37.46質量部(0.059mol)、ISB 39.05質量部(0.267mol)、CHDM 12.71質量部(0.088mol)、DPC 89.73質量部(0.419mol)、酢酸カルシウム1水和物7.31×10−4質量部(4.15×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
本例の樹脂は、波長分散(R450/R550)の値が1に近く、フラットな波長分散性を有していた。本例の樹脂において、化合物15に由来する構造単位の量を増やせば逆波長分散性を示すと推測されるが、逆波長分散の発現性は低いと判断される。
フルオレン―9,9−ジエタノール(化合物16)32.66質量部(0.128mol)、ISB 54.34質量部(0.372mol)、DPC 109.30質量部(0.510mol)、酢酸カルシウム1水和物1.32×10−3質量部(7.50×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
本例の樹脂は逆波長分散性を示したが、逆波長分散性の発現性が劣り、光弾性係数も高くなった。また、本例においては、重合時や溶融製膜時の樹脂の発泡がやや多く、熱安定性に劣る様子であった。
BHEPF 68.07質量部(0.155mol)、ISB 22.84質量部(0.156mol)、PEG 0.97質量部(9.75×10−4mol)、DPC 67.60質量部(0.316mol)、酢酸マグネシウム4水和物5.36×10−4質量部(2.50×10−6mol)を用いた以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
本例の樹脂はBHEPFに由来する構造単位の含有量が67.8質量%と非常に多く、この構造単位の逆波長分散の発現性が劣ることが理解できる。また、光弾性係数も高い値となった。
BCF 41.17質量部(0.109mol)、SPG 51.59質量部(0.170mol)、DPC 63.19質量部(0.295mol)、酢酸カルシウム1水和物4.90×10−3質量部(2.78×10−5mol)を用い、最終重合温度を260℃とした以外は参考例1と同様に合成を行い、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートのペレットを用いて、前述の各種評価を行った。評価結果を表1に示す。
以下の参考例2〜3、実施例1〜3、及び比較例13〜17では、より大型の重合設備を使用して樹脂を合成し、溶融押出法によって長尺のフィルムを作製して諸特性の評価を行った。ここでは特に、破断限界付近の条件で延伸を行い、延伸フィルムの複屈折(配向性)を評価した。
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)36.94質量部(0.058mol)、ISB 64.02質量部(0.438mol)、DPC 82.43質量部(0.385mol)、及び触媒として酢酸カルシウム1水和物3.86×10−4質量部(2.19×10−6mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
本例の位相差フィルムは逆波長分散性を示し、さらに配向度、光弾性係数、耐熱性、靱性等あらゆる特性に優れていた。
ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)38.06質量部(0.059mol)、ISB 43.06質量部(0.295mol)、CHDM 20.28質量部(0.141mol)、DPC 81.46質量部(0.380mol)、酢酸カルシウム1水和物3.83×10−4質量部(2.18×10−6mol)を用いたこと、未延伸フィルムの厚みを66μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、参考例2よりも複屈折の値が大きいことから、ポリマーの配向度が高いことが理解できる。
ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)31.02質量部(0.048mol)、ISB 43.08質量部(0.295mol)、TCDDM 25.26質量部(0.129mol)、DPC 81.26質量部(0.379mol)、酢酸カルシウム1水和物3.73×10−4質量部(2.12×10−6mol)を用いたこと、未延伸フィルムの厚みを73μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、比較的高い配向性を有し、かつ光弾性係数が低くなった。
ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)、酢酸カルシウム1水和物1.19×10−2質量部(6.78×10−5mol)を用いたこと、未延伸フィルムの厚みを62μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、参考例2よりも複屈折と光弾性係数が優れていた。
ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)29.18質量部(0.046mol)、ISB 30.38質量部(0.208mol)、SPG 41.27質量部(0.136mol)、DPC 64.55質量部(0.298mol)、酢酸カルシウム1水和物1.21×10−2質量部(6.86×10−5mol)を用いたこと、未延伸フィルムの厚みを58μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
BHEPF 63.72質量部(0.145mol)、ISB 26.74質量部(0.183mol)、PEG 0.97質量部(9.75×10−4mol)、DPC 71.24質量部(0.333mol)、酢酸マグネシウム4水和物7.06×10−4質量部(3.29×10−6mol)を用いたこと、未延伸フィルムの厚みを76μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、実施例と比較して、配向性、逆波長分散の発現性と光弾性係数が劣っていることが理解できる。
BHEPF 68.07質量部(0.155mol)、ISB 22.84質量部(0.156mol)、PEG 0.97質量部(9.75×10−4mol)、DPC 67.60質量部(0.316mol)、酢酸マグネシウム4水和物5.36×10−4質量部(2.50×10−6mol)を用いたこと、未延伸フィルムの厚みを87μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、比較例13の波長分散性をR450/R550の理想値に近づけたが、逆波長分散を強くすることで、配向性が低下し、逆波長分散の発現性も劣るものとなった。
BCF 32.20質量部(0.085mol)、SPG 60.43質量部(0.199mol)、DPC 64.40質量部(0.301mol)、酢酸カルシウム1水和物5.00×10−3質量部(2.84×10−5mol)を用い、最終重合温度を260℃としたこと、未延伸フィルムの厚みを76μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、配向性と逆波長分散の発現性に劣り、また、フィルムが脆いという欠点を有していた。
BHEPF 80.49質量部(0.184mol)、BPA 13.23質量部(0.058mol)、DPC 53.29質量部(0.249mol)、酢酸カルシウム1水和物2.13×10−3質量部(1.21×10−5mol)を用い、最終重合温度を260℃としたこと、未延伸フィルムの厚みを98μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムは、実施例と比較して複屈折が大きく低下した。また、光弾性係数も大きくなった。主鎖上の芳香族構造の量が多いために、逆分散性を発現するための芳香族成分の量も多く必要になったために、光学特性の低下を招いたことが考えられる。
BHEPF 86.84質量部(0.198mol)、DMT 14.95質量部(0.077mol)、DPC 28.90質量部(0.135mol)、テトラ―n―ブチルチタネート 1.35×10−2質量部(3.96×10−5mol)を用い、最終重合温度を260℃としたこと、未延伸フィルムの厚みを148μmとしたこと以外は参考例2と同様にして位相差フィルムを作製した。各種評価の結果を表2に示す。
本例の位相差フィルムも、実施例と比較して複屈折が大きく低下し、光弾性係数も大きくなった。
Claims (9)
- 芳香族構造を含む繰り返し構造単位と、下記式(3)で表される構造単位と、カーボネート結合及びエステル結合のうち少なくとも1種の結合基と、
下記式(1)及び式(2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1つの構造単位と、を有する重縮合系の樹脂であって、
前記繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量A[質量%]が5≦A≦14.7であり、
前記樹脂から作成された延伸フィルムの、450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比B(R450/R550)が0.75≦B≦0.89であり、
前記樹脂を構成する全ての繰り返し構造単位に対する前記式(3)で表される構造単位の含有量が5〜70質量%であり、
ガラス転移温度が110℃以上160℃以下である、樹脂。
- 前記繰り返し構造単位中の芳香族構造の含有量A[質量%]が13.9≦A≦14.7である、請求項1に記載の樹脂。
- 前記樹脂から作成された延伸フィルムの、450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比B(R450/R550)が0.80≦B≦0.89である、請求項1又は2に記載の樹脂。
- 前記樹脂から作成された延伸フィルムの、450nmにおける位相差(R450)と550nmにおける位相差(R550)の比B(R450/R550)が0.81≦B≦0.87である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂。
- ナトリウムd線(波長589nm)における屈折率が、1.49〜1.56である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂。
- 弾性率が1GPa以上2.5GPa以下である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂。
- 測定温度240℃、剪断速度91.2sec−1における溶融粘度が1000Pa・s以上、4000Pa・s以下である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂。
- 前記繰り返し構造単位の含む芳香族構造が、フルオレンのみである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂。
- 前記式(1)で表される構造単位及び前記式(2)で表される構造単位の含有量が、前記樹脂全体に対して10質量%以上35質量%以下である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の樹脂。
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