JP5387725B2 - 位相差フィルム - Google Patents

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本発明は、フルオレン環構造をもつ特定の芳香族ジオール化合物を含むジオール成分から誘導されたポリカーボネート樹脂と、このポリカーボネート樹脂を成形してなる位相差フィルム等の光学フィルムに関し、特に光弾性係数が小さく、ガラス転移温度が高く、可視光の全波長領域において、位相差が負の波長分散をもつ位相差フィルムの形成に適したポリカーボネート樹脂と、このポリカーボネート樹脂を成形してなる位相差フィルム等の光学フィルムに関するものである。
本発明はまた、このポリカーボネート樹脂から得られる位相差フィルムを用いた液晶パネルと画像表示装置に関する。
近年、家庭用TVの分野においても、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに代表される薄型の平面パネルディスプレイ(FPD)の普及が顕著である。
従来、液晶ディスプレイは、プラズマディスプレイと比較して大型化が難しく、40インチより小さいサイズまでが限度で、それより大型のものはプラズマディスプレイが優位と言われていたが、近年、40インチサイズを超えるような大型化が進んでいる。
一方、FPDは、2011年7月の現在の地上アナログテレビ放送の終了をにらみ、地上デジタルテレビ放送に対応した高画質、高精細化が求められている。
ところで、液晶ディスプレイは、画像の表示に偏光を用いた表示が利用されており、必ず偏光板が必要とされる。また、偏光板と併せて、視野角拡大や色つきや色むら抑制等の表示品質を向上させる目的で、各種の光学フィルムが開発され、利用されている。
この目的で種々の光学フィルムが開発、利用されているが、その中でも透明性、耐熱性、吸湿性に優れた脂環式ポリオレフィンを用いた光学フィルムが一般的に用いられている。しかし、脂環式ポリオレフィンからなる位相差フィルムは、位相差の波長依存性(波長分散特性)がフラットであるため、例えば脂環式ポリオレフィンで1/4波長板(入射した光と出射する光の位相が1/4波長ずれるフィルム)を作製した場合、入射した波長400nmと800nmの光では、400nmでは100nm、800nmでは200nmの位相ずれが起こる。この位相のずれは、色つきや色むら等の画像むらの原因となる。
そこで波長の広帯域において位相差が1/4波長となるような広帯域1/4波長板が求められている。これに相当するものとして、例えば、(1)複屈折の波長分散の異なる2種類の位相差フィルムを各々の遅相軸が直交するように積層することにより、広帯域の位相差フィルムが得られることが開示されている(特許文献1)。
また、(2)1/2波長板と1/4波長板をそれぞれの遅相軸がある特定の配置を取るように積層することによって得られる方法も開示されている(特許文献2)。さらに、特定のアセチル化度を有するセルロースアセテートからなる広帯域位相差フィルム(特許文献3)や、フルオレン環を側鎖に有するビスフェノール構造を含むポリカーボネート共重合体及び負の波長分散性を示す位相差フィルムが開示されている(特許文献4、5)。
しかしながら、(1)や(2)のような波長板を積層する方法は、表示機器の厚みを極力薄くしようとする動向に反するものであり、また遅相軸を特定の配置になるように組み付けなければならず、非常に煩雑な作業を要するという問題点がある。
また、(3)〜(5)においては一枚のフィルムで広帯域において位相差が負の波長分散特性を有するものの、(3)の特定のアセチル化度を有するセルロースアセテートは耐熱性が充分ではない。(4)及び(5)のフルオレン環を側鎖にもつビスフェノール構造を含むポリカーボネート共重合体を用いた場合、光弾性係数が高いため、大型TVでは貼付時の残留応力や吸湿による寸法変化により画像むらを発生させるという問題点があった。
一般に、樹脂の光弾性係数の値が高いと、溶融押出や溶液キャスト法等で製膜したフィルムの位相差の値が大きくなる。これを延伸した場合、張力のわずかな振れにより、フィルム面内の位相差のばらつきがさらに大きくなる。また、このような位相差フィルムを貼合する場合、貼合時の張力により所望する位相差がずれてしまうばかりでなく、貼合後の偏光板の収縮等により、位相差値が変化しやすく、このことが、画像むらの原因となることから、位相差フィルム等の光学フィルム用途の樹脂には、光弾性係数が小さいことが望まれる。
特開平2−285304号公報 特開平10−68816号公報 特開2000−137116号公報 WO00/26706号公報 特開2004−67990号公報
以上述べた点に鑑み、本発明は、画像むらを抑制するため、光弾性係数が小さく、かつ耐熱性に優れ、フィルム1枚で位相差の負の波長分散特性を発現し得るポリカーボネート樹脂及び位相差フィルム等の光学フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ジオール成分として特定の構造の芳香族ジオール化合物を用いて製造されたポリカーボネート樹脂を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 1枚の高分子配向フィルムからなる位相差フィルムであって、前記高分子配向フィルムが、下記条件(i)〜(iii)を満たし、波長450nmから630nmにおける位相差が長波長側ほど大きいこと特徴とする位相差フィルム。
(i) 正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、「第1のモノマー単位」という。)と負の屈折率異方性を有する高分子モノマー単位(以下、「第2のモノマー単位」という。)とを含む高分子から構成され、該高分子が酸素含有環状ジオール単位を有し、
(ii) 該第1のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550は、該第2のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550よりも小さく、(ただし、「Re450」は「波長450nmでの当該高分子の位相差」を示し、「Re550」は「波長550での当該高分子の位相差」を示す。)
(iii) 正の屈折率異方性を有し、
(iv) 光弾性係数の絶対値が20×10−12Pa−1以下である高分子から構成される。
[2] [1]において、高分子がポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とする位相差フィルム。
[3] [2]において、高分子がガラス転移温度110℃以上であるポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とする位相差フィルム。
[4] [2]又は[3]において、高分子が、下記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物を含むジオール成分を用いて製造されたポリカーボネート樹脂であることを特徴とする位相差フィルム。
Figure 0005387725
(式中、A,Aは、各々独立して、芳香環構造を含まない任意の2価基を表し、Xは、メチレン基、カルボニル基、もしくは直接結合の何れかを表す。)
[5] [4]において、一般式(I)におけるXが直接結合であることを特徴とする位相差フィルム。
[6] [4]又は[5]において、ジオール成分が、前記芳香族ジオール化合物と脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物とを含むことを特徴とする位相差フィルム。
[7] [6]において、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物が、下記構造式(II)で表される化合物を含むことを特徴とする位相差フィルム。
Figure 0005387725
[8] [6]又は[7]において、ジオール成分が、前記芳香族ジオール化合物を全ジオール成分に対し、2〜30モル%含み、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物を全ジオール成分に対し、30〜98モル%含むことを特徴とする位相差フィルム。
[9] [7]又は[8]において、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物が前記構造式(II)で表される化合物を50モル%以上含むことを特徴とする位相差フィルム。
[10] [1]ないし[9]のいずれかに記載の位相差フィルムを用いたことを特徴とする液晶パネル。
[11] [10]に記載の液晶パネルを備えることを特徴とする画像表示装置。
本発明のポリカーボネート樹脂及び光学フィルムは、光弾性係数が小さいためにフィルム面内の位相差のばらつきを小さく抑えることができ、また、ガラス転移温度が高く耐熱性にも優れ、しかも波長450〜630nmにおける位相差が長波長側ほど大きいので位相差フィルム1枚で可視光領域において位相差が1/4λとなるような広帯域1/4波長板を得ることができ、各種表示装置向け、特にモバイル用液晶表示装置向けや大型TV向け1/4λ板等に有用である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物を含むジオール成分、好ましくは、下記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物と、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物とを含むジオール成分から誘導されたものである。
Figure 0005387725
(式中、A,Aは、各々独立して、芳香環構造を含まない任意の2価基を表し、Xは、メチレン基、カルボニル基、もしくは直接結合の何れかを表す。)
本発明のポリカーボネート樹脂は、特定の芳香族ジオール化合物を用いること以外は一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法のいずれの方法でも良い。しかし、環境面への配慮を考慮すると、重合触媒の存在下に、上記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物及び必要に応じて用いられる後掲の式(II)、(IV)、(V)で表される環状ジオール化合物とを、下記一般式(III)で表される炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
以下、溶融重合法による本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法について説明するが、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、何ら以下に記載する方法に限定されるものではない。
<炭酸ジエステル>
溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(III)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005387725
(式中、R,Rは、各々独立に、置換基を有していても良い炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していても良い芳香族基を表す。)
上記一般式(III)において、R,Rとしては、各々独立に、置換基を有していても良いメチル基、エチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、o−メチルフェニル基、ビス(p−(1,1,3,3−テトラエチル)ブチルフェニル等のアリール基等が好ましい。
上記一般式(III)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
炭酸ジエステルは、一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物を含むジオール成分に対して、0.96〜1.10のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.98〜1.04のモル比率である。このモル比が0.96より小さくなると、製造されたポリカーボネート共重合体の末端OH基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、また、モル比が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、又は成形品の臭気の原因となり好ましくない。
<芳香族ジオール化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂に使用する芳香族ジオール化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0005387725
(式中、A,Aは、各々独立して、芳香環構造を含まない任意の2価基を表し、Xは、メチレン基、カルボニル基、もしくは直接結合の何れかを表す。)
ここで、A,Aは、芳香環構造を含まないものであれば良く、特に制限はないが、特に、炭素数1〜8のアルキレン基又は置換構造を含む炭素数3〜12のアルキレン基であることが好ましい。
,Aの採用可能な具体的な構造としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状の2価のアルキレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含む2価のアルキレン基(置換位置の数値は、芳香族側の炭素から水酸基側の炭素へつけるものとする)、下記[A]群に示されるような脂環構造を持つ2価のアルキレン基が挙げられる。
Figure 0005387725
(上記[A]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置、即ち、水酸基と芳香族基への置換位置については任意である。)
,Aは、好ましくは、得られる樹脂の物性が良好であることから、各々独立にメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基などの炭素数4以下のアルキレン基、及び下記[B]群に示されるような脂環構造を持つ2価の基である。
Figure 0005387725
(上記[B]群に示される環構造における2つの結合手の置換位置、即ち、水酸基と芳香族基への置換位置については任意である。)
より好ましくは、さらに合成が容易な点から、A,Aは、各々独立に、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基及び下記[C]群で示されるような脂環構造を持つ2価の基である。
Figure 0005387725
(上記[C]群に示される環構造における2つの結合手の置換位置、即ち、水酸基と芳香族基への置換位置については任意である。)
一般式(I)において、Xは、メチレン基、カルボニル基、又は直接結合であるが、3つの芳香環が固定されて光学的な特性が良好となることから、好ましくは、カルボニル基又は直接結合である。
一般式(I)において、A,A,Xの最も好ましい組み合わせは、A,Aが、各々独立に、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基及び前記[C]群に示す構造のいずれかであり、かつ、Xがカルボニル基又は直接結合である。
特に、一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物は、9,9−ビス(ヒドロキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(1−メチル−2−ヒドロキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシクロヘキシル)フルオレンであることが好ましい。
これらの芳香族ジオール化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<脂環式ジオール化合物、ヘテロ原子を含む環状ジオール化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂の合成には、ジオール成分として上記芳香族ジオール化合物のみを用いても良いが、この芳香族ジオール化合物と脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物(以下、これらを「環状ジオール化合物」と称す場合がある。)とを併用することが好ましい。
ヘテロ原子を含む環状ジオール化合物は、3員環から10員環までの複素環式化合物からなるジオール化合物であって、ヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄原子を含むジオール化合物である。好ましいヘテロ原子としては、酸素、窒素、および硫黄原子であり、より好ましくは酸素原子である。
本発明に係る酸素含有環状ジオール化合物としては、例えばイソソルバイト等の縮合多環式エーテルジオール、2,5−ビスヒドロキシメチルフルフラン、1,4−アンヒドロエリスリトール等の環状エーテルジオール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のヘテロ環スピロ化合物、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンー2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール等の環状アセタールジオールが挙げられる。
また、本発明に係る窒素含有環状ジオール化合物としては、例えば3,4−ピロリジンジオール、3,4−ジメチルピペリジンジオール、N−エチル−3,4−ピペリジンジオール、N−エチル−3,5−ピペリジンジオール等のN−ヘテロ環状ジオールが挙げられる。
また、本発明に係る硫黄含有環状ジオール化合物としては、デオキシチオフルクトース等のS−ヘテロ環状ジオールが挙げられる。
特に、脂状ジオール化合物としては、下記構造式(II)、或いは下記一般式(IV)又は(V)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005387725
HOCH−R−CHOH (IV)
HO−R−OH (V)
(式(IV),(V)中、R,Rは、炭素数4〜20のシクロアルキル基、又は炭素数6〜20のシクロアルコキシル基を表す。)
上記一般式(IV)で表される環状ジオール化合物であるシクロヘキサンジメタノールとしては、一般式(IV)において、Rが下記一般式(IVa)(式中、R11は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
Figure 0005387725
上記一般式(IV)で表される環状ジオール化合物であるトリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールとしては、一般式(IV)において、Rが下記一般式(IVb)(式中、nは0又は1で表す。)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 0005387725
上記一般式(IV)で表される環状ジオール化合物であるデカリンジメタノールとしては、一般式(IV)において、Rが下記一般式(IVc)(式中、mは0、又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノールなどが挙げられる。
Figure 0005387725
また、上記一般式(IV)で表される環状ジオール化合物であるノルボルナンジメタノールとしては、一般式(IV)において、Rが下記一般式(IVd)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノールなどが挙げられる。
Figure 0005387725
一般式(IV)で表される環状ジオール化合物であるアダマンタンジメタノールとしては、一般式(IV)において、Rが下記一般式(IVe)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,3−アダマンタンジメタノールなどが挙げられる。
Figure 0005387725
また、上記一般式(V)で表される環状ジオール化合物であるシクロヘキサンジオールは、一般式(V)において、Rが下記一般式(Va)(式中、R12は炭素数1〜12のアルキル基で表される。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
Figure 0005387725
上記一般式(V)で表される環状ジオール化合物であるトリシクロデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジオールとしては、一般式(V)において、Rが下記一般式(Vb)(式中、nは0又は1で表す。)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 0005387725
上記一般式(V)で表される環状ジオール化合物であるデカリンジオールとしては、一般式(V)において、Rが下記一般式(Vc)(式中、mは0、又は1を表す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,6−デカリンジオール、1,5−デカリンジオール、2,3−デカリンジオールなどが用いられる。
Figure 0005387725
上記一般式(V)で表される環状ジオール化合物であるノルボルナンジオールとしては、一般式(V)において、Rが下記一般式(Vd)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジオールなどが用いられる。
Figure 0005387725
上記一般式(V)で表される環状ジオール化合物であるアダマンタンジオールとしては、一般式(V)において、Rが下記一般式(Ve)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては具体的には、1,3−アダマンタンジオールなどが用いられる。
Figure 0005387725
なお、上記例示化合物は、本発明に使用し得る環状ジオール化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂環式ジオール化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
これらの環状ジオール化合物のうち、耐熱性、光学特性及び機械的性質の点より、前記構造式(II)で表される化合物が好ましい。
<芳香族ジオール化合物と環状ジオール化合物との使用割合>
ジオール成分として前記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物と環状ジオール化合物(脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物)とを併用する場合、全ジオール成分中の芳香族ジオール化合物の割合を2〜30モル%とし、環状ジオール化合物の割合を30〜98モル%とすることが好ましい。
また、環状ジオール化合物中、前記構造式(II)で表される化合物は50モル%以上、特に50〜85モル%であることが好ましい。
特に好ましくは、全ジオール成分中に芳香族ジオール化合物を5〜25モル%、とりわけ10〜20モル%、前記構造式(II)で表される環状ジオール化合物を60〜80モル%、とりわけ65〜75モル%用いることが好ましい。
上記範囲よりも芳香族ジオール化合物が多いと位相差が発現しづらく、少ないと位相差の負の波長分散性が発現しづらい。また、環状ジオール化合物が多いと位相差の負の波長分散性が発現しづらく、少ないと位相差が発現しづらい。環状ジオール化合物中の前記構造式(II)で表される化合物の割合が少ないと耐熱性が低下傾向にある。
<ジオール成分の供給形態>
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に当たり、前記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物は、固体として供給しても良いし、加熱して溶融状態として供給しても良いし、水溶液として供給しても良い。
一方、環状ジオール化合物も、固体として供給しても良いし、加熱して溶融状態として供給しても良いし、水に可溶なものであれば、水溶液として供給しても良い。
これらの原料ジオール化合物を溶融状態や、水溶液で供給すると、工業的に製造する際、計量や搬送がしやすいという利点がある。
<重合触媒>
溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
重合触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と併用される塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
これらの塩基性化合物も1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、全ジオール成分1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1〜100μモルの範囲内で用い、好ましくは0.5〜50μモルの範囲内であり、さらに好ましくは1〜25μモルの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂の製造が困難になる。
<リン化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂を溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、全ジオール成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
亜リン酸化合物を添加する場合は、下記に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、全ジオール成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
リン酸化合物と亜リン酸化合物は併用して添加することができるが、その場合の添加量はリン酸化合物と亜リン酸化合物の総量で、先に記載した、全ジオール成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下である。この添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
<重合反応>
本発明において、ジオール成分、即ち、前記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物及び場合によっては用いられる式(II)、(IV)及び(V)等で表される環状ジオール化合物を重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は140〜220℃、好ましくは150〜200℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
この重縮合反応における減圧において、温度と反応系内の圧力のバランスを制御することが重要である。特に、温度、圧力のどちらか一方でも速く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジオール化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合度が低下することがある。
反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
<付加成分>
本発明のポリカーボネート樹脂には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤、酸化防止剤を、溶融成形時の離型性をより向上させるために離型剤を、耐候性を向上させるために光安定剤や紫外線吸収剤を、樹脂や紫外線吸収剤に基づく製品の黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート共重合体を得た後に、後に記載する配合方法で、さらに亜リン酸化合物を配合すると、重合時のヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を回避して、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。
これら酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.0001〜0.5重量部が好ましい。
離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.01〜5重量部が好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂には、本願発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤や紫外線吸収剤を配合することができる。
光安定剤や紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。
これらの光安定剤や紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
かかる光安定剤や紫外線吸収剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.01〜2重量部が好ましい。
ブルーイング剤としては、ポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Viol et31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725;、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]及び一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらブルーイング剤は、通常、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.1×10−4〜2×10−4重量部の割合で配合される。
本発明のポリカーボネート樹脂と上述のような各種の添加剤との配合は、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を例えば塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などがあるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
<物性>
本発明のポリカーボネート樹脂の固有粘度は、通常0.2〜1.0dl/g、好ましくは0.3〜0.8dl/gである。固有粘度が0.2dl/g未満の場合はこれを原料として溶融成形してフィルムを得るときその機械的強度が十分でなく、1.0dl/gより大きい場合は溶融時の流動性が低下して成形性に劣る。
また、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は110℃が好ましい。ガラス転移温度が110℃未満であるとこれを原料とするフィルムの耐熱性が劣る傾向となる。ただし、ガラス転移温度が過度に高いと、フィルムに延伸するとき延伸むらが起きやすいため、ガラス転移温度は200℃以下であることが好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂の光弾性係数の絶対値は25×10−12Pa−1以下であることが好ましく、より好ましくは20×10−12Pa−1以下である。光弾性係数の絶対値が25×10−12Pa−1を超過するとこれを原料としてフィルムにしたときフィルム面内での位相差のばらつきが大きくなる。
なお、ポリカーボネート樹脂の固有粘度、ガラス転移温度、光弾性係数は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
[光学フィルム及び位相差フィルム]
本発明の光学フィルムは上述のようなポリカーボネート樹脂を原料として、フィルムを製膜することにより得ることができる。また、本発明の位相差フィルムは、本発明のポリカーボネート樹脂を原料として、フィルム又はシートを製膜し、製膜後に延伸することにより製造することができる。製膜方法としては、従来公知の溶融押出法、溶液キャスト法等を用いることができる。
なお、本発明の目的にかなえば、本発明の光学フィルム又は位相差フィルムの原料は、本発明のポリカーボネート樹脂と、ビスフェノールAやビスフェノールZ等の他のポリカーボネート樹脂、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどにより変性されたポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンジメチレンシクロヘキサンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂などの他の樹脂の1種又は2種以上との組成物であってもよい。
本発明の位相差フィルムは、また、1枚の高分子配向フィルムからなる位相差フィルムであって、前記高分子配向フィルムが、下記条件(i)〜(iii)を満たし、波長450nmから630nmにおける位相差が長波長側ほど大きいこと特徴とする。
(i) 正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、「第1のモノマー単位」という。)と負の屈折率異方性を有する高分子モノマー単位(以下、「第2のモノマー単位」という。)とを含む高分子から構成され、
(ii) 該第1のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550は、該第2のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550よりも小さく、(ただし、「Re450」は「波長450nmでの当該高分子の位相差」を示し、「Re550」は「波長550での当該高分子の位相差」を示す。)
(iii) 正の屈折率異方性を有し、
(iv) 光弾性係数の絶対値が20×10−12Pa−1以下である高分子から構成される。
ここで、上記条件(i)を満たさないものは、他の条件(ii)〜(iv)を満たしても、必ずしも波長450〜630nmにおける位相差が長波長側ほど大きくなるとは限らない。
また、上記条件(ii)を満たさないものは、他の条件(i),(iii),(iv)を満たしても、必ずしも波長450〜630nmにおける位相差が長波長側ほど大きくなるとは限らない。
また、上記条件(iii)を満たさないものは、他の条件(i),(ii),(iv)を満たしても、必ずしも波長450〜630nmにおける位相差が長波長側ほど大きくなるとは限らない。
また、上記条件(iv)を満たさないものは、他の条件(i)〜(iii)を満たしても、大型液晶テレビ用の位相差フィルムとしては、色つきや色むらが発生し、実用上利用できない。
このような本発明の位相差フィルムは、ポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂、特に、ガラス転移温度110℃以上のポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂、とりわけ、前述の本発明のポリカーボネート樹脂を用いて容易に実現することができる。
また本発明の目的にかなえば、本発明の位相差フィルム等の光学フィルムに用いられるポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂に、可塑剤や前述の紫外線吸収剤、酸化防止剤を添加することもできる。
製膜されたフィルム厚みは、通常、30μmから200μmであり、好ましくは50μmから150μmである。また、製膜されたフィルムの位相差値は、20nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以下である。フィルムの位相差値がこれ以上大きいと、延伸して位相差フィルムとした際に位相差値のフィルム面内バラツキが大きくなるので好ましくない。
一方、延伸方法も公知の縦、横どちらか一方の一軸延伸、縦横にそれぞれ延伸する二軸延伸等の延伸方法を用いることができる。また、特開平5−157911号公報に示されるような特殊な二軸延伸を施し、フィルムの三次元での屈折率を制御することも可能である。
位相差フィルム作製の延伸条件としては、フィルム原料のガラス転移温度の−20℃から+40℃の範囲で行うことが好ましい。より好ましくは、フィルム原料のガラス転移温度の−10℃から+20℃の範囲である。この延伸温度がフィルム原料のガラス転移温度−20℃より低いと、延伸フィルムの位相差が大きくなり易く、所望の位相差を得るためには延伸倍率を低くしなければならず、フィルム面内の位相差のばらつきが大きくなりやすい。一方、ガラス転移温度+40℃以上では、得られるフィルムの位相差が小さくなり、所望の位相差を得るための延伸倍率を大きくしなければならず適正な延伸条件幅が狭くなってしまう。
本発明の位相差フィルムは、各種液晶表示装置用の位相差板として用いることができる。
本発明の位相差フィルムをSTN液晶表示装置の色補償用に用いる場合には、その位相差値は、一般的には、400nmから2000nmまでの範囲で選択される。
また、本発明の位相差フィルムを1/2波長板として用いる場合は、その位相差値は、200nmから400nmの範囲で選択される。
本発明の位相差フィルムを1/4波長板として用いる場合は、その位相差値は、90nmから200nmまでの範囲で選択される。1/4波長板としてのより好ましい位相差値は、100nmから180nmまでである。
前記位相差板として用いる場合は、本発明の位相差フィルムを単独で用いることもできるし、2枚以上を組合わせて用いることもでき、他のフィルム等と組合わせて用いることもできる。
本発明の位相差フィルムは、公知のヨウ素系あるいは染料系の偏光板と粘着剤を介して積層貼合することができる。積層する際、用途によって偏光板の偏光軸と位相差フィルムの遅相軸とを、特定の角度に保って積層することが必要である。
本発明の位相差フィルムを1/4波長板とし、これを偏光板と積層貼合して円偏光板として用いることができる。その場合、一般には、偏光板の偏光軸と位相差フィルムの遅相軸は実質的に45°の相対角度を保ち積層される。
また、本発明の位相差フィルムを、偏光板を構成する偏光保護フィルムとして用いて積層してもかまわない。さらに、本発明の位相差フィルムをSTN液晶表示装置の色補償板とし、これを偏光板と積層貼合することにより楕円偏光板として用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネート樹脂及び光学フィルムの物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
<ガラス転移温度Tg>
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121に従い、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、DSC220)を用いて測定した。ポリエステル樹脂約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、昇温速度20℃/分で室温から300℃まで昇温した。得られたDSCデータより、補外ガラス転移開始温度を採用した。
<固有粘度(IV)の測定方法>
ポリカーボネート樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を用いて、濃度が約1.00g/dLとなるように溶解させ、濃度C(g/dL)を算出する。この試料溶液を、30℃まで冷却して保持し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、試料溶液の落下秒数(t)および溶媒のみの落下秒数(t)を測定し、下式により算出した。
固有粘度(IV)=((1+4Kηsp0.5−1)/(2KC)
ここで、 ηsp=t/t−1 であり、tは試料溶液の落下秒数、tは溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。
<光弾性係数C>
He−Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製DVE−3)を組み合わせた装置を用いて測定した。(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93−97(1991)を参照。)
80℃で5時間真空乾燥をしたポリエステル樹脂サンプル4.0gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度250℃で、予熱1分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスで、圧力20MPaで3分間加圧冷却しシートを作製した。シートから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、粘弾性測定装置に固定し、25℃の室温で貯蔵弾性率E’を周波数96Hzにて測定した。同時に、出射されたレーザー光を偏光子、試料、補償板、検光子の順に通し、光検出器(フォトダイオード)で拾い、ロックインアンプを通して角周波数ω又は2ωの波形について、その振幅とひずみに対する位相差を求め、ひずみ光学係数O’を求めた。このとき、偏光子と検光子の方向は直交し、またそれぞれ、試料の伸長方向に対してπ/4の角度をなすように調整した。
光弾性係数Cは、貯蔵弾性率E’とひずみ光学係数O’を用いて次式より求めた。
C=O’/E’
<位相差及び位相差の波長分散性>
80℃で5時間真空乾燥をしたポリエステル樹脂サンプル2.4gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.3mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度250℃で、予熱1分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスで圧力20MPaで3分間加圧冷却しシートを作製した。このシートから幅6cm、長さ6cmの試料を切り出した。この試料を、同時二軸延伸装置(T.M.Long社製)に装着し、所定の延伸温度で5分間加熱し、所定の倍率に一軸延伸し、1分間保持した後、試料を取り外した。このとき延伸方向に対して垂直方向は、保持した状態(延伸倍率1.0)で延伸を行った。
延伸された試料より幅4cm、長さ4cmに切り出し、位相差測定装置(王子計測機器社製KOBRA−WPR)を用いて測定波長450,500,550,590,630nmで位相差を測定し、波長分散性を測定した。波長分散性は、450nmと550nmで測定した位相差Re450とRe550の比(Re450/Re550)及び450nmと630nmの位相差Re450とRe630の比(Re450/Re630)を計算した。それぞれ1より大きいと波長分散は正であり、1未満では負となる。それぞれの位相差の比が、1未満で小さい程、負の波長分散性が強いことを示している。
<複屈折率>
前述の位相差測定装置より得られる測定波長590nmで測定した位相差を試料の厚みtで除したものを用いた。
複屈折率Δn=Re590/t
[ジオール成分]
ジオール成分としては、下記のものを用いた。
Figure 0005387725
BisA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
ISOB:イソソルバイド
BCF:9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン
[実施例1]
イソソルバイド(以下、「ISOB」と略記する)10.81質量部(74×10-3モル)に対して、フルオレン−9,9−ジエタノール(以下「DEF」と略記する。)2.09質量部(8×10-3モル)、ジフェニルカーボネート(以下「DPC」と略記する。)17.98質量部(83.9×10-3モル)、および触媒として、炭酸セシウム0.6×10−4質量部(0.205×10−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、温度を190℃まで40分間かけて上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器全体を35分間、13.3kPaに保持しながら、その後240℃まで50分間で昇温した。そして10分間で6.7kPaにし、更に20分間かけて0.13kPaまで減圧し、その状態で90分間反応させた。その後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
得られたポリカーボネート共重合体の固有粘度は0.529dl/g、ガラス転移温度は140℃であった。これらの結果を表1に示す。
また、このポリカーボネート共重合体について、前述の光弾性係数、位相差、位相差の波長分散性及び複屈折の測定方法に従って測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
ISOB 9.06質量部(62×10-3モル)に対して、DEF 3.94質量部(16×10-3モル)、DPC 16.85質量部(79×10-3モル)、および触媒として、炭酸セシウム2.0×10−4質量部(0.62×10−6モル)で仕込み、実施例1と同様に原料を溶解させた。
次いで温度を180℃まで30分間で昇温し、さらに圧力を常圧から20kPa、温度200℃へ20分間かけて到達させた。
その後、温度は200℃で20分間保持し、225℃まで20分間かけて昇温し、225℃で30分間保持、240℃まで15分間かけて昇温した。その後重合終了まで240℃を保持した。一方、圧力は20kPaで50分間保持、さらに133Paまで60分間かけて減圧し、その後重合終了まで133Paを保持した。
得られたポリカーボネート共重合体の固有粘度、ガラス転移温度等の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
ビスフェノールA(以下「BisA」と略記する) 39.64質量部(0.174モル)に対して、9,9−ビス(4−ヒドロキシメチルフェニル)フルオレン(以下「BCF」と略記する) 80.33質量部(0.212モル)、DPC 90.93質量部(0.424モル)、および触媒として、水酸化ナトリウム1.2×10−4質量部(3.08×10−6モル)で仕込んだ以外は、実施例1と原料を溶解させた。
次いで、温度を190℃まで40分間で昇温し、さらに、190℃で15分間保持し、220℃まで30分間かけて昇温し、その後重合終了まで220℃を保持した。一方、圧力は13.3kPaで30分間かけて減圧し、その後13.3kPaで35分間保持した後6.65kPaまで10分間、133Paまで20分間かけて減圧した。その後重合終了まで133Paを保持した。
得られたポリカーボネート共重合体の固有粘度、ガラス転移温度等の測定結果を表1に示す。
[比較例2]
BisA 83.5質量部(0.366モル)に対して、BCF 34.61質量部(0.091モル)、DPC 141.01質量部(0.658モル)、および触媒として、炭酸セシウム1.5×10−4質量部(3.66×10−6モル)で仕込んだ以外は、比較例1と同様に行った。測定した結果を表1に示す。
得られたポリカーボネート共重合体の固有粘度、ガラス転移温度等の測定結果を表1に示す。
[比較例3]
ISOB 84.91質量部(0.581モル)に対して、BCF 24.44質量部(0.065モル)、DPC 141.06質量部(0.658モル)、および触媒として、炭酸セシウム5.1×10−4質量部(1.61×10−6モル)で仕込んだ以外は、比較例1と同様に行った。
得られたポリカーボネート共重合体の固有粘度、ガラス転移温度等の測定結果を表1に示す。
[比較例4]
ISOB 84.91質量部(0.581モル)に対して、BCF 24.44質量部(0.065モル)、DPC 141.06質量部(0.658モル)、および触媒として、炭酸セシウム5.1×10−4質量部(1.61×10−6モル)で仕込んだ以外は、比較例1と同様に行った。
得られたポリカーボネート共重合体の固有粘度、ガラス転移温度等の測定結果を表1に示す。
Figure 0005387725
なお、用いたモノマー単位に基づく高分子(ポリカーボネート)の屈折率異方性及びRe450/Re550は、下記表2に示す通りである。なお、ISOB,DEF,BCF単位に基づくポリカーボネートはフィルム化が困難なため、ISOB単位に基づくポリカーボネートについては、Bis−Aを共重合させて、共重合量を変化させて外挿して求めた。また、同様にBis−Aを共重合させて、DEF,BCF単位に基づくポリカーボネートの値を外挿して求めた。
Figure 0005387725
表1より、本発明によれば、光弾性係数が小さく、従って、フィルム面内の位相差のばらつきを小さく抑えることができ、また、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れ、可視光の全波長領域において、位相差が負の波長分散をもつ位相差フィルムが提供されることが明らかである。

Claims (11)

  1. 1枚の高分子配向フィルムからなる位相差フィルムであって、前記高分子配向フィルムが、下記条件(i)〜(iii)を満たし、波長450nmから630nmにおける位相差が長波長側ほど大きいこと特徴とする位相差フィルム。
    (i) 正の屈折率異方性を有する高分子のモノマー単位(以下、「第1のモノマー単位」という。)と負の屈折率異方性を有する高分子モノマー単位(以下、「第2のモノマー単位」という。)とを含む高分子から構成され、該高分子が酸素含有環状ジオール単位を有し、
    (ii) 該第1のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550は、該第2のモノマー単位に基づく高分子のRe450/Re550よりも小さく、(ただし、「Re450」は「波長450nmでの当該高分子の位相差」を示し、「Re550」は「波長550での当該高分子の位相差」を示す。)
    (iii) 正の屈折率異方性を有し、
    (iv) 光弾性係数の絶対値が20×10−12Pa−1以下である高分子から構成される。
  2. 請求項1において、高分子がポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とする位相差フィルム。
  3. 請求項2において、高分子がガラス転移温度110℃以上であるポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂であることを特徴とする位相差フィルム。
  4. 請求項2又は3において、高分子が、下記一般式(I)で表される芳香族ジオール化合物を含むジオール成分を用いて製造されたポリカーボネート樹脂であることを特徴とする位相差フィルム。
    Figure 0005387725
    (式中、A,Aは、各々独立して、芳香環構造を含まない任意の2価基を表し、Xは、メチレン基、カルボニル基、もしくは直接結合の何れかを表す。)
  5. 請求項4において、一般式(I)におけるXが直接結合であることを特徴とする位相差フィルム。
  6. 請求項4又は5において、ジオール成分が、前記芳香族ジオール化合物と脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物とを含むことを特徴とする位相差フィルム。
  7. 請求項6において、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物が、下記構造式(II)で表される化合物を含むことを特徴とする位相差フィルム。
    Figure 0005387725
  8. 請求項6又は7において、ジオール成分が、前記芳香族ジオール化合物を全ジオール成分に対し、2〜30モル%含み、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物を全ジオール成分に対し、30〜98モル%含むことを特徴とする位相差フィルム。
  9. 請求項7又は8において、脂環式ジオール化合物及び/又はヘテロ原子を含む環状ジオール化合物が前記構造式(II)で表される化合物を50モル%以上含むことを特徴とする位相差フィルム。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の位相差フィルムを用いたことを特徴とする液晶パネル。
  11. 請求項10に記載の液晶パネルを備えることを特徴とする画像表示装置。
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