JP2015083625A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物及びその成型物 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的物性及び接着性の改善されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物及びその成型物を提供する。【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部、及び、(B)下記一般式(I)で表される多官能性エポキシ樹脂0.1〜40質量部を含有してなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。但し、式中、nは0.1〜30の実数を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基であり、p及びqは、それぞれ独立に0又は1〜4の整数を表し、Xは、水素原子又はグリシジル基を表すが、Xの20%以上はグリシジル基である。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物及び該組成物からなる成型物に関し、詳しくは、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び特定の多官能性エポキシ樹脂を含有してなる、優れた物性を有し且つ接着性にも優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物及びその成型物に関する。
ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度に優れた樹脂であるため、各種の成型品用途に好適に使用される一方、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、各種接着剤に対する接合性及び他材料との密着性に劣るという欠点を有している。したがって、例えば、ガラス窓材とポリフェニレンスルフィド樹脂からなる成型容器とを、エポキシ樹脂系接着剤で接合するといったような、各種材料との二次加工が施される場合には、十分な接着強度を得ることができないという問題があった。
このような、ポリフェニレンスルフィド樹脂が有する問題を改善するために、ポリフェニレンスルフィド樹脂にエポキシ樹脂を配合する技術が提案されている(特許文献1〜5参照)。
更に、脱イオン処理が施されたポリフェニレンスルフィド樹脂とエポキシ樹脂とを組み合わせることによって接着性を向上させる技術(特許文献6)や、エポキシ樹脂とポリアミドアミンやポリエチレンイミン等の、特定のアミン類との硬化反応によって製造されるエポキシ樹脂硬化物をポリフェニレンスルフィド樹脂に添加することにより、各種接着剤に対する接合性及びポッティング材との密着性を向上させる技術(特許文献7)、更には、ポリフェニレンスルフィド樹脂の接着性を改善する目的で、モノエポキシ化合物をポリフェニレンスルフィド樹脂に配合する技術も提案されている(特許文献8)。
このように、ポリフェニレンスルフィド樹脂の接着性を改善する様々な技術が提案されているものの、未だ、満足することのできる機械的物性及び接着性を兼ね備えたポリフェニレンスルフィド樹脂は得られていない。
一方、二級の水酸基の一部又は全部がグリシジルエーテル化されてなるビスフェノール型エポキシ樹脂を含有してなる水性樹脂組成物が提案されている(特許文献9及び10)。しかしながら、これらの公報には、該水性樹脂組成物をガラス繊維集束剤や塗料として使用することについて記載されているだけである。
従って本発明の第一の目的は、機械的物性及び接着性の改善されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供することにある。
本発明第二の目的は、機械的物性、接着性、及び二次加工適正に優れた成型物を提供することにある。
本発明第二の目的は、機械的物性、接着性、及び二次加工適正に優れた成型物を提供することにある。
本発明者らは、上記の諸目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリフェニレンスルフィド樹脂と共に、特定の多官能性エポキシ樹脂を含有させた場合には、優れた物性を有すると共に、接着性にも優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部、及び、(B)下記一般式(I)で表される多官能性エポキシ樹脂(以下、本明細書においては単に「多官能性エポキシ樹脂」という)0.1〜40質量部を含有してなることを特徴とする、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、及び該組成物を成型してなる成型物である。
(I)式中、nは0.1〜30の実数を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基であり、p及びqは、それぞれ独立に0又は1〜4の整数を表し、Xは、水素原子又はグリシジル基を表す。なお、Xの20%以上はグリシジル基であることが必要である。
(I)式中、nは0.1〜30の実数を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基であり、p及びqは、それぞれ独立に0又は1〜4の整数を表し、Xは、水素原子又はグリシジル基を表す。なお、Xの20%以上はグリシジル基であることが必要である。
本発明においては、前記一般式(I)中のR1及びR2が、共に水素原子であるか又は共にメチル基であることが好ましく(請求項2)、p及びqが共に0であることが好ましく(請求項3)、nが1〜15の実数であることが好ましい(請求項4)。本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成型して得られる本発明の成型物(請求項5)は、自動車用途、電気・電子機器用途、機械用途、又は、医療用途に好適である(請求項6)。
本発明によれば、機械的物性のみならず接着性をも兼ね備えたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が得られる。接着性が優れているので、特に接着強度が要求される分野で使用される成型品に好適に使用することができ、例えば、自動車部品、電気・電子部品、機械部品、医療機器等として好適に使用することができる。
以下、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物及びその成型物について詳細に説明する。
本発明に使用される(A)成分であるポリフェニレンスルフィド樹脂としては、下記(a)に示す繰り返し単位を有するポリフェニレンスルフィド樹脂が挙げられる。本発明においては、ポリフェニレンスルフィド樹脂の中でも、パラフェニレン基が70〜100モル%、特に80〜100モル%であるものが好ましく用いられる。
本発明に使用される(A)成分であるポリフェニレンスルフィド樹脂としては、下記(a)に示す繰り返し単位を有するポリフェニレンスルフィド樹脂が挙げられる。本発明においては、ポリフェニレンスルフィド樹脂の中でも、パラフェニレン基が70〜100モル%、特に80〜100モル%であるものが好ましく用いられる。
さらに、上記ポリフェニレンスルフィド樹脂は、下記(b)に示す繰り返し単位から選択される1種又は2種以上の繰り返し単位で、繰り返し単位(a)の一部を置き換えたものを使用してもよい。
(式中のRは炭素数1〜6のアルキル基、nは1〜4の整数を表す。)
(式中のRは炭素数1〜6のアルキル基、nは1〜4の整数を表す。)
これらのポリフェニレンスルフィド樹脂は、常法により製造することができる。例えば、ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリとの反応、チオフェノール類のアルカリ触媒又は銅塩等の共存下における縮合反応、芳香族化合物と硫化硫黄とのルイス酸触媒共存下における縮合反応等により合成することができる。これらの製造方法は、目的とするポリフェニレンスルフィド樹脂の構成等に応じて適宜選択することができる。
本発明に使用される(B)成分である多官能性エポキシ樹脂は、前記一般式(I)で表される。
前記一般式(I)中のR1〜R4で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられ、R1及びR2で表される炭素原子数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の基が挙げられる。
前記一般式(I)中のR1〜R4で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の基が挙げられ、R1及びR2で表される炭素原子数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の基が挙げられる。
前記一般式(I)中のnは0.1〜30の実数を表し、好ましくは1〜15の実数である。また、Xは水素原子又はグリシジル基を表すが、本発明においては、Xの20〜100%がグリシジル基でなければならず、特に25〜100%がグリシジル基であることが好ましい。ここで、nで表される実数及びXに占めるグリシジル基の比率(以下、再エポキシ化率という)は、いずれも平均値である。nが0.1未満である場合、又は、Xに占めるグリシジル基の比率が20%未満の場合には、三官能以上の多官能エポキシ化合物の含有量が少なくなるため、硬化性、塗膜物性及び成型品の物性が十分となるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることができない。
本発明において使用される多官能性エポキシ樹脂は、一般式(I)中のR1及びR2が共に水素原子であるか又は共にメチル基であることが好ましく、p及びqは共に0であることが好ましく、nは1〜15の実数であることが好ましい。
本発明で使用される多官能性エポキシ樹脂の製造方法は特に制限されるものではないが、例えば、下記一般式(II)で表される汎用のビスフェノール系エポキシ樹脂とエピクロロヒドリンとを重合して製造することができる。
式(II)中、nは0.1〜30の実数を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基、p及びqは、それぞれ独立に0又は1〜4の整数を表す。
式(II)中、nは0.1〜30の実数を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素原子数1〜5のアルキル基、p及びqは、それぞれ独立に0又は1〜4の整数を表す。
多官能性エポキシ樹脂を製造するために使用される上記したエピクロロヒドリンは、1,2−エポキシ−3−クロロプロパンとも呼ばれ、下記化学式(III)で表される構造を有する無色透明な液体である。このエピクロロヒドリンには、dl−体とl−体とが知られており、通常dl−体を指すが、本発明に係る多官能性エポキシ樹脂の製造においては、いずれを用いてもよい。
上記の反応式1に示されるように、ビスフェノール系エポキシ樹脂(一般式(II))を、触媒の存在下に、過剰量のエピクロロヒドリン(化学式(III))と反応させることにより、本発明において(B)成分として用いられる、多官能性エポキシ樹脂(一般式(I))を得ることができる。
この反応は、50〜80℃の温度範囲で、30〜250Torrの減圧条件下で行われる。また、この反応の反応時間は、2〜30時間である。
本発明においては、ビスフェノール系エポキシ樹脂の水酸基1当量に対して、エピクロルヒドリンを1当量以上、特に2〜10当量の範囲で使用することが好ましい。
この反応は、50〜80℃の温度範囲で、30〜250Torrの減圧条件下で行われる。また、この反応の反応時間は、2〜30時間である。
本発明においては、ビスフェノール系エポキシ樹脂の水酸基1当量に対して、エピクロルヒドリンを1当量以上、特に2〜10当量の範囲で使用することが好ましい。
上記の反応に使用される触媒としては、アルカリ及び層間移動触媒等が挙げられる。該アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、該層間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテート、N−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージド等が挙げられる。本発明においては特にテトラメチルアンモニウムクロリドを使用することが好ましい。
また、前記反応に用いられる触媒の使用量は、アルカリを使用する場合には、グリシジル化される水酸基1当量に対して0.1〜2.0モル、特に0.3〜1.5モル使用することが好ましく、層間移動触媒を使用する場合には、反応にあずかるビスフェノール系エポキシ樹脂(一般式(II))及びエピクロルヒドリンの全質量に対して、0.01〜10質量%、特に0.2〜2質量%使用することが好ましい。
また本発明においては、前記の反応を、炭化水素、エーテル又はケトン等の溶媒下で行なうこともできる。上記の反応が終結した後、未反応のエピクロロヒドリンを濾過、除去し、ケトン類等の溶剤及び精製水を用いて脱塩及び水洗過程を行なうことができる。また、過剰のエピクロルヒドリンを溶媒として使用することもできる。
上記した多官能性エポキシ樹脂の製造方法に関しては、例えば、H. BATZER AND S. A. ZAHIR, JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE, VOL 19, PP.609-617 (1975)に、記載されている。
また、特開平5−239181号公報において提案されている、第二アルコールを用いたグリシジルエーテルの製造方法も、本発明で使用する多官能性エポキシ樹脂の製造に適用することもできる。また、特開平1−168722号公報及び特開平5−5020号公報において提案されている、ジメチルスルホキシドを使用してエポキシ樹脂を製造する方法によっても、本発明で使用する多官能性エポキシ樹脂を製造することができる。
また、本発明で用いられる多官能性エポキシ樹脂は、一般式(I)におけるXの20〜100%がグリシジル基であるが、エピクロルヒドリンの使用量、反応温度、反応圧力、反応時間、触媒の種類及び触媒の使用量等の反応条件を調整することにより、エポキシ樹脂の再エポキシ化率を適宜調整することができる。
前記の反応で得られた多官能性エポキシ樹脂は、nが0.1〜30の値を有することが必要であり、エポキシ当量が200〜600であることが好ましい。
また、前記の反応において出発物質として使用されるビスフェノール系エポキシ樹脂(一般式(II))は、エポキシ当量が400〜2000であるものが好ましく、400〜1000であるものがさらに好ましい。
ビスフェノール系エポキシ樹脂(一般式(II))は、製造方法によって特に制限されるものではなく、市販の製品を購入して使用することもできる。その他、下記に示す反応式2に従って製造することも可能である。
≪反応式2≫
≪反応式2≫
上記の反応式2に示されるように、通常のビスフェノール系化合物とエピクロロヒドリン(化学式(III))とを反応させることにより、本発明で使用する多官能性エポキシ樹脂のための出発物質である、ビスフェノール系エポキシ樹脂(一般式(II))を製造することができる。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に使用する、(B)成分である多官能性エポキシ樹脂の使用量は、(A)成分であるポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部に対し、0.1〜40質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満の使用量では、接着性を十分に改善することができず、40質量部を超えて使用した場合には、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本来有する特性を阻害するおそれがある。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、(B)成分である多官能性エポキシ樹脂以外に、その他のエポキシ樹脂を併用することもできる。その他のエポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペンジフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;上記単核多価フェノール化合物あるいは多核多価フェノール化合物のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル化合物;上記単核多価フェノール化合物の水添物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたものであってもよい。
上記したその他のエポキシ樹脂を使用する場合、その使用量は、(A)成分であるポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えた場合には、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本来有する特性を阻害するおそれがあるため好ましくない。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、エポキシ樹脂に通常用いられているエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。該エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類等が挙げられる。また、これらのポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類又はカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを、常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;これらのポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;これらのポリアミン類と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、及びフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に、少なくとも一個のアルデヒド化反応性箇所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物等が挙げられる。さらに、ジシアンジアミド、酸無水物、イミダゾール類等の潜在性硬化剤も使用できる。
これらのエポキシ樹脂用硬化剤の使用量は、(A)成分であるポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部に対し、20質量部以下、特に10質量部以下であることが好ましい。20質量部を超えた場合には、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本来有する特性を阻害するおそれがあるため好ましくない。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、繊維状あるいは粒状の強化剤を使用することができる。繊維状強化剤としては、例えば、ガラス繊維、シラスガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム、アスベスト、炭化ケイ素、セラミック繊維、石こう繊維、金属繊維、窒化ケイ素等が挙げられ、粒状強化剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、ネフェンリンシナイト、タルク、アタルパルジャイト、ウオラストナイト、PMF(加工鉱物繊維)、フェライト、塩化ケイ素、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、黒鉛、石こう、ガラスビーズ、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サロヤン等の無機充填剤、アラミド繊維等の有機系強化充填剤等が挙げられる。
これらの繊維状あるいは粒状の強化剤の使用量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)多官能性エポキシ樹脂、及び、適宜使用されるその他のエポキシ樹脂の合計100質量部に対し、400質量部以下の範囲で、適宜任意の量を用途に応じて選択することが好ましい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、更に、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤又は硫黄系酸化防止剤を添加することができる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4'−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4'−n―ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4'−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
また、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、紫外線吸収剤又はヒンダードアミン系光安定剤を使用することができる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−第三ブチル−4'−(2−メタクリロイルオキシエトキシエトキシ)ベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−C7〜9混合アルコキシカルボニルエチルフェニル)トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)ウンデカン等が挙げられる。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、添加剤として、上述したリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の他に、必要に応じて、ポリフェニレンスルフィド樹脂に使用される添加剤、例えば、充填剤、着色剤、架橋剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防曇剤、防霧剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性化剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤等も配合することができる。これらの添加剤の使用量は、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の用途等に応じて適宜決定することができるが、好ましくはポリフェニレンスルフィド樹脂100質量部に対して合計で100質量部以下である。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、公知の方法によって成型することができる。本発明の成型品は、金属、ガラス、プラスチック等の各種材料と接着剤を介して強力に接合させることができるので、十分な接着強度が要求される分野等で好適に用いることができる。また、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、特に、自動車部品、電気・電子部品、機械部品、医療機器等に好適に使用される。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
尚、下記製造例は、(B)成分である多官能性エポキシ樹脂の製造例を示すものであり、下記製造例において、Gは再エポキシ化率を表す。
尚、下記製造例は、(B)成分である多官能性エポキシ樹脂の製造例を示すものであり、下記製造例において、Gは再エポキシ化率を表す。
〔製造例1〕多官能性エポキシ樹脂EP−1の製造
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールA系エポキシ樹脂1(エポキシ当量475、n=2.1)47.5質量部、エピクロルヒドリン95質量部及びテトラメチルアンモニウムクロリド0.2質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム9.5質量部を48質量%水溶液として上記滴下装置中に入れ、この水酸化ナトリウム水溶液を、還流下50〜60℃の内部温度、80torrで、2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後さらに2時間反応させ、冷却、ろ過し、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−1(エポキシ当量275、G=87%)を得た。
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールA系エポキシ樹脂1(エポキシ当量475、n=2.1)47.5質量部、エピクロルヒドリン95質量部及びテトラメチルアンモニウムクロリド0.2質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム9.5質量部を48質量%水溶液として上記滴下装置中に入れ、この水酸化ナトリウム水溶液を、還流下50〜60℃の内部温度、80torrで、2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後さらに2時間反応させ、冷却、ろ過し、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−1(エポキシ当量275、G=87%)を得た。
〔製造例2〕多官能性エポキシ樹脂EP−2の製造
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールA系エポキシ樹脂2(エポキシ当量650、n=3.4)65質量部、エピクロルヒドリン130質量部及びジメチルスルホキシド81.0質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム15質量部を70℃で撹拌しながら徐々に添加し、添加後さらに3時間反応させた。次に、未反応のエピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大部分を減圧下で留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物を、メチルイソブチルケトン150質量部に溶解した。さらに30質量%の水酸化ナトリウム水溶液2質量部を加え、70℃で2時間反応させた。水洗、油水分離後、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−2(エポキシ当量295、G=90%)を得た。
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールA系エポキシ樹脂2(エポキシ当量650、n=3.4)65質量部、エピクロルヒドリン130質量部及びジメチルスルホキシド81.0質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム15質量部を70℃で撹拌しながら徐々に添加し、添加後さらに3時間反応させた。次に、未反応のエピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大部分を減圧下で留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物を、メチルイソブチルケトン150質量部に溶解した。さらに30質量%の水酸化ナトリウム水溶液2質量部を加え、70℃で2時間反応させた。水洗、油水分離後、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−2(エポキシ当量295、G=90%)を得た。
〔製造例3〕多官能性エポキシ樹脂EP−3の製造
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールA系エポキシ樹脂3(エポキシ当量900、n=5.1)90質量部、エピクロルヒドリン180質量部及びテトラメチルアンモニウムクロリド0.2質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム20質量部を48質量%水溶液として上記滴下装置中に入れ、この水酸化ナトリウム水溶液を、還流下50〜60℃の内部温度、80torrで、2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後さらに2時間反応させ、冷却、ろ過し、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−3(エポキシ当量340、G=75%)を得た。
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールA系エポキシ樹脂3(エポキシ当量900、n=5.1)90質量部、エピクロルヒドリン180質量部及びテトラメチルアンモニウムクロリド0.2質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム20質量部を48質量%水溶液として上記滴下装置中に入れ、この水酸化ナトリウム水溶液を、還流下50〜60℃の内部温度、80torrで、2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後さらに2時間反応させ、冷却、ろ過し、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−3(エポキシ当量340、G=75%)を得た。
〔製造例4〕多官能性エポキシ樹脂EP−4の製造
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールF系エポキシ樹脂(エポキシ当量:500、n=2.7)50質量部、エピクロルヒドリン100質量部及びテトラメチルアンモニウムクロリド0.4質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム12質量部を48質量%の水溶液として上記滴下装置中に入れ、この水酸化ナトリウム水溶液を、還流下50〜60℃の内部温度、80torrで、2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後さらに2時間反応させ、冷却、ろ過し、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−4(エポキシ当量270、G=84%)を得た。
還流装置、攪拌装置、減圧装置及び滴下装置を備えたフラスコ中に、ビスフェノールF系エポキシ樹脂(エポキシ当量:500、n=2.7)50質量部、エピクロルヒドリン100質量部及びテトラメチルアンモニウムクロリド0.4質量部を仕込んだ。水酸化ナトリウム12質量部を48質量%の水溶液として上記滴下装置中に入れ、この水酸化ナトリウム水溶液を、還流下50〜60℃の内部温度、80torrで、2時間かけて滴下し、同時に水を共沸蒸留により除去した。その後さらに2時間反応させ、冷却、ろ過し、溶媒をエバポレーターで蒸発除去して、目的の多官能性エポキシ樹脂EP−4(エポキシ当量270、G=84%)を得た。
〔実施例1〜4及び比較例1〜2〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチックス社製;W214A)、上記製造例により得られた多官能性エポキシ樹脂(EP−1、EP−2、EP−3及びEP−4)、及び、ガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製;256S)を使用して、下記表1に記載した配合により、二軸押出機を用いて、300℃、150rpmでペレットを作製した。このペレットを用い、射出成型機により、樹脂温度330℃、金型温度120℃で実施例1−4の試験片を作製した。
同様にして、上記多官能性エポキシ樹脂の代わりに上記ポリフェニレンスルフィド樹脂を配合した比較例1、ビスフェノール型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製;EP5400)を配合した比較例2を作製した。
得られた実施例1〜4及び比較例1〜2について、以下の試験を実施した。試験結果を下記表1に示す。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(ポリプラスチックス社製;W214A)、上記製造例により得られた多官能性エポキシ樹脂(EP−1、EP−2、EP−3及びEP−4)、及び、ガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製;256S)を使用して、下記表1に記載した配合により、二軸押出機を用いて、300℃、150rpmでペレットを作製した。このペレットを用い、射出成型機により、樹脂温度330℃、金型温度120℃で実施例1−4の試験片を作製した。
同様にして、上記多官能性エポキシ樹脂の代わりに上記ポリフェニレンスルフィド樹脂を配合した比較例1、ビスフェノール型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製;EP5400)を配合した比較例2を作製した。
得られた実施例1〜4及び比較例1〜2について、以下の試験を実施した。試験結果を下記表1に示す。
(接着力)
3mm厚の試験片と鋼板(G−3141)とを、エポキシ系2液型接着剤(主剤;アデカレジン EPU−78−20S:株式会社ADEKA製、硬化剤;アデカハードナー
EH−205S:株式会社ADEKA製)を用いて、12.5mm×25mmの接着面積で接着し、室温で30分間養生させた後、80℃で1時間硬化させ、JIS K 6850に従って、引っ張り剪断接着力(MPa)を測定した。
3mm厚の試験片と鋼板(G−3141)とを、エポキシ系2液型接着剤(主剤;アデカレジン EPU−78−20S:株式会社ADEKA製、硬化剤;アデカハードナー
EH−205S:株式会社ADEKA製)を用いて、12.5mm×25mmの接着面積で接着し、室温で30分間養生させた後、80℃で1時間硬化させ、JIS K 6850に従って、引っ張り剪断接着力(MPa)を測定した。
(IZOD)
JIS K 7110に従って、1/4ノッチ付きアイゾット衝撃強度(kgfcm/cm)を測定した。
JIS K 7110に従って、1/4ノッチ付きアイゾット衝撃強度(kgfcm/cm)を測定した。
(HDT)
JIS K 7207に従って、荷重たわみ温度(℃)を測定した。
JIS K 7207に従って、荷重たわみ温度(℃)を測定した。
(曲げ試験)
JIS K 7171に従って、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を測定した。
JIS K 7171に従って、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を測定した。
(引張試験)
JIS K 7113に従って、引張強度(MPa)及び引張伸度(%)を測定した。
JIS K 7113に従って、引張強度(MPa)及び引張伸度(%)を測定した。
(硬度)
JIS K 7202−2に従って、ロックウェル硬さ(HRR)を測定した。
JIS K 7202−2に従って、ロックウェル硬さ(HRR)を測定した。
表1から明らかなように、ポリフェニレンスルフィド樹脂を単独で使用した場合には、接着剤との接合性が劣り(比較例1)、これに汎用のビスフェノールA型エポキシ樹脂を組み合わせても接着性の向上効果は十分でない(比較例2)ことが確認された。
これに対し、ポリフェニレンスルフィド樹脂と多官能性エポキシ樹脂とを組み合わせて使用した場合(実施例1〜4)には、機械的物性に優れ且つ接着性にも優れた成型品が得られることが確認された。
本発明によれば、優れた機械的物性と接着性を兼ね備えたポリフェニルスルフィド樹脂組成物が得られる。本発明のポリフェニルスルフィド樹脂組成物から成型された成型物は、優れた接着性を有するため、優れた接着強度が要求される分野、特に、自動車部品、電気・電子部品、機械部品、医療機器の分野における部材として極めて有用である。
Claims (6)
- 前記一般式(I)中のR1及びR2が、共に水素原子であるか又は共にメチル基である、請求項1に記載されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記一般式(I)中のp及びqが共に0である、請求項1に記載されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 前記一般式(I)中のnが1〜15の実数である、請求項1に記載されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れかに記載されたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成型してなる成型物。
- 自動車用途、電気・電子機器用途、機械用途、又は、医療用途に用いられる、請求項5に記載された成型物。
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