JP2001240729A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2001240729A
JP2001240729A JP2000050061A JP2000050061A JP2001240729A JP 2001240729 A JP2001240729 A JP 2001240729A JP 2000050061 A JP2000050061 A JP 2000050061A JP 2000050061 A JP2000050061 A JP 2000050061A JP 2001240729 A JP2001240729 A JP 2001240729A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性、耐熱性が優れ、低複屈折性である環状
オレフィン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】(イ)環状オレフィン系樹脂および(ロ)
無水マレイン酸の結合含有量が20重量%以下である芳
香族ビニル−無水マレイン酸共重合体を含有してなる熱
可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関し、環状オレフィン系樹脂および芳香族ビニル−
極性基を有するビニル系共重合体からなるもので、さら
に詳しくは透明性と低複屈折性等に優れた熱可塑性樹脂
組成物に関する。
【従来の技術】従来、透明樹脂は自動車部品、照明機
器、電気部品など通常の透明性が要求される成形品の材
料として用いられ、特に最近においては、光学的性質が
重視される光学材料としての応用が進みつつある。かか
る用途に好適に用いられる透明樹脂として、ポリカーボ
ネート系樹脂やアクリル系樹脂が知られている。しか
し、アクリル系樹脂は透明性に優れているが、耐熱性や
耐水性等の点で問題がある。一方、ポリカーボネート系
樹脂は、耐熱性や耐水性においてはアクリル系樹脂より
優れているが、複屈折率が高いなどの問題がある。最近
では、透明性、耐水性(低吸水性)、低複屈折性、耐熱
性などを兼ね備えている環状ポリオレフィン系樹脂が光
学材料用の透明樹脂として用いられてきている。従来公
知の環状ポリオレフィン系樹脂は、十分に低い複屈折率
を有するものでない。複屈折を低くさせる方法としてポ
リマーブレンドがあり、いくつか検討されている。例え
ば、特開平11−323098では極性基含有ポリスチ
レンと環状ポリオレフィン系樹脂とのポリマーブレンド
により従来に比べて低複屈折性を有するブレンド体を得
ている。しかし、ブレンド物の着色などの問題があり、
また複屈折率も十分満足できるものではなかった。ま
た、相分離などの要因により透明性が損なわれたり、耐
熱性が大きく低下する欠点もあった。このような状況か
ら、さらに優れた低複屈折性を有する透明樹脂(熱可塑
性樹脂組成物)の開発が望まれている。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、従来公知の環状オレ
フィン系樹脂が有する諸特性(低吸水性、耐熱性)を保
持しながら、さらに優れた透明性、低複屈折性を有する
熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0002】
【課題を解決するための手段】本発明は、(イ)環状オ
レフィン系樹脂および(ロ)無水マレイン酸の結合含有
量が20%以下である芳香族ビニル−無水マレイン酸共
重合体を含有してなる熱可塑性樹脂組成物を提供するも
のである。また本発明は、上記(イ)成分の含有量と
(ロ)成分の含有量の比が、(イ)成分100重量部に
対し(ロ)成分0.01〜1000重量部である熱可塑
性樹脂組成物を提供するものである。さらに本発明は、
(イ)環状ポリオレフィン系樹脂および(ロ)無水マレ
イン酸の結合含有量が20%以下である芳香族ビニル−
無水マレイン酸共重合体を含有してなり、(イ)成分の
含有量と(ロ)成分の含有量の比が、(イ)成分100
重量部に対し(ロ)成分0.01〜1000重量部であ
る熱可塑性樹脂組成物の成型品を提供するものである。
【0003】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成
物について詳細に説明する。 <(イ)成分>本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する
(イ)成分としては、下記〜に示す重合体を挙げる
ことができる。 下記一般式(I)で表される単量体(以下、「特定
単量体」という。)の開環重合体 特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体 前記開環(共)重合体の水素添加重合体 前記開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応に
より環化した後、水素添加した(共)重合体 特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共
重合体
【0004】
【化1】
【0005】〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、また
はその他の1価の有機基であり、それぞれ同一であって
も異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR4
は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R
1 またはR2 とR3 またはR4 とは互いに結合して、単
環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の
整数であり、pは0または正の整数である。〕 上記の特定単量体から得られる環状オレフィン系樹脂
〔(イ)成分〕は、(ロ)成分との相溶性を向上させる
観点から、分子構造中に極性基を含有していることが好
ましい。
【0006】<特定単量体>好ましい特定単量体として
は、上記一般式(I)中、R1 およびR3 が水素原子ま
たは炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2 およびR
4 が水素原子または一価の有機基であって、R2 および
4 の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外
の極性基を示し、mが0〜3の整数、pが0〜3の整数
であり、m+pが0〜4(更に0〜2、特に1)である
ものを挙げることができる。また、特定単量体のうち、
式−(CH2nCOOR5 で表される極性基を有する特
定単量体は、得られる熱可塑性樹脂組成物が高いガラス
転移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好まし
い。極性基にかかる上記の式において、R5 は炭素原子
数1〜12の炭化水素基、好ましくはアルキル基であ
る。また、nは通常0〜5であるが、nの値が小さいも
のほど、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度
が高くなるので好ましく、さらにnが0である特定単量
体は、その合成が容易である点で好ましい。さらに、上
記一般式(I)においてR1 またはR3 がアルキル基で
あることが好ましく、当該アルキル基の炭素数は1〜4
であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好
ましくは1である。特に、このアルキル基が上記の式−
(CH2nCOOR5 で表される極性基が結合した炭素
原子と同一の炭素原子に結合されていることが好まし
い。また、一般式(I)においてmが1である特定単量
体は、ガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂組成物が得ら
れる点で好ましい。
【0007】上記一般式(I)で表わされる特定単量体
の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。ビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、ペン
タシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4
−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5
9,12.08,13]−3−ペンタデセン、トリシクロ
[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、5−メチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキ
シカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボ
ニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシ
カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジメ
タノオクタヒドロナフタレン、エチルテトラシクロドデ
セン、6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン、ト
リメタノオクタヒドロナフタレン、ペンタシクロ[8.
4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセ
ン、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .1
12,15 .02,7 .011,16]−4−エイコセン、ヘプタ
シクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .0
3,8 .012,17]−5−ヘンエイコセン、5−エチリデ
ンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エチ
リデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−
3−ドデセン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、5−フルオロビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビ
ス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリス(フル
オロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラキ
ス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(ト
リフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフル
オロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フル
オロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリ
フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−is
o−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロ−5,6,6−
トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメ
チル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,
5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−ト
リフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フルオロテトラ
シクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ジフルオロメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ペンタ
フルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロテトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ビス(トリフ
ルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,9−ビス(トリフルオロメ
チル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−
3−ドデセン、8−メチル−8−トリフルオロメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデ
セン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9
−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.
4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,
9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テト
ラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフル
オロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチ
ル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフル
オロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−
9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフ
ルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス
(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−
8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオ
ロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8−クロロ−8,9,9−トリフルオ
ロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−
ドデセン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフル
オロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオ
ロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−
(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ンなどを挙げることができる。
【0008】これらの特定単量体のうち、8−メチル−
8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1
2,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチリデンテトラ
シクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセ
ン、8−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .1
7,10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ〔7.4.0.1
2,5 .19,12.08,13〕−3−ペンタデセンは、最終的
に得られる熱可塑性樹脂組成物が耐熱性に優れたものと
なる点で好ましく、特に、8−メチル−8−メトキシカ
ルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセンは、(ロ)成分との相溶性に優れた環状
オレフィン系樹脂が得られることから好ましい。
【0009】<共重合性単量体> (イ)成分を得るための開環重合工程においては、上記
の特定単量体を単独で開環重合させてもよいが、当該特
定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させてもよ
い。この場合に使用される共重合性単量体の具体例とし
ては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテ
ン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.0
2, 6 ]−3−デセン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙
げることができる。シクロオレフィンの炭素数として
は、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12で
ある。
【0010】<開環重合触媒>本発明において、開環重
合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。このメタ
セシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から
選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表
IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素
(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、
Cd、Hgなど)、III B族元素(例えばB、Alな
ど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIV
B族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であ
って、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当
該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも
1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触
媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加さ
れたものであってもよい。
【0011】(a)成分として適当なW、Moあるいは
Reの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl
5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報に
記載の化合物を挙げることができる。 (b)成分の具体例としては、n−C49Li、(C2
53Al、(C25 2AlCl、(C251.5Al
Cl1.5、(C25)AlCl2 、メチルアルモキサ
ン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の
化物を挙げることができる。 添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール
類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用
いることができるが、更に特開平1−240517号公
報に示される化合物を使用することができる。
【0012】メタセシス触媒の使用量としては、上記
(a)成分と特定単量体とのモル比で「(a)成分:特
定単量体」が、通常1:500〜1:50000となる
範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる
範囲とされる。(a)成分と(b)成分との割合は、金
属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好
ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。(a)成分
と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」
が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1
〜7:1の範囲とされる。
【0013】<分子量調節剤>開環重合体の分子量の調
節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行う
ことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反
応系に共存させることにより調節することが好ましい。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチレ
ン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デ
センなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げるこ
とができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが
特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるい
は2種以上を混合して用いることができる。分子量調節
剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量
体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは
0.02〜0.5モルとされる。
【0014】<開環重合反応用溶媒>開環重合反応にお
いて用いられる溶媒(特定単量体、メタセシス触媒およ
び分子量調節剤を溶解する溶媒)としては、例えばペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン
などのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、
シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロ
アルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、
ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキ
サメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホル
ム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;
アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、
酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシ
エタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエ
ーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは
混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭
化水素が好ましい。溶媒の使用量としては、「溶媒:特
定単量体(重量比)」が、通常1:1〜10:1となる
量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされ
る。
【0015】<水素添加触媒>以上のようにして得られ
る開環(共)重合体は、そのまま(イ)成分として使用
することもできるが、水素添加された水素添加(共)重
合体を(イ)成分として使用することが好ましい。水素
添加反応は、通常の方法、すなわち、開環(共)重合体
の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気
圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200
℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによっ
て行われる。水素添加触媒としては、通常のオレフィン
性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用するこ
とができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒
および均一系触媒が公知である。不均一系触媒として
は、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウ
ムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミ
ナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げる
ことができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸
ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチル
アセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コ
バルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/
ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、ク
ロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジク
ロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ク
ロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィ
ン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェ
ニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができ
る。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。これらの水素
添加触媒は、「開環(共)重合体:水素添加触媒(重量
比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用さ
れる。このように、水素添加することにより得られる水
素添加(共)重合体は優れた熱安定性を有するものとな
り、成形加工時や製品としての使用時の加熱によっては
その特性が劣化することはない。ここに、水素添加率
は、通常50%以上、好ましくは70%以上、更に好ま
しくは90%以上、特に好ましくは97%以上、就中9
9%以上である。
【0016】<飽和共重合体を構成する不飽和二重結合
含有化合物>飽和共重合体よりなる(イ)成分を得るた
めに、特定単量体との共重合反応に供される不飽和二重
結合含有化合物としては、例えばエチレン、プロピレ
ン、ブテンなど炭素数2〜12のものが好ましく、さら
に好ましくは2〜8のオレフィン系化合物を挙げること
ができる。
【0017】<飽和共重合体を得る際に使用する触媒>
特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応
に使用される触媒としては、バナジウム化合物と有機ア
ルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる。バナジ
ウム化合物としては、一般式VO(OR)abまたはV
(OR)cd(ただし、Rは炭化水素基、0≦a≦3、
0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦
4、3≦c+d≦4)で表されるバナジウム化合物、あ
るいはこれらの電子供与体付加物が用いられる。電子供
与体としてはアルコール、フェノール類、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、
エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の
含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イ
ソシアナート等の含窒素電子供与体などが挙げられる。
有機アルミニウム化合物触媒成分としては、少なくとも
1つのアルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−
水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種が用
いられる。触媒成分の比率はバナジウム原子に対するア
ルミニウム原子の比(Al/V)で2以上、好ましくは
2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
【0018】<飽和共重合体を得る際に使用する溶媒>
特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応
に使用される溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン
類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のシクロ
アルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素およびそのハロゲン誘導体を挙げることがで
き、これらのうち、シクロヘキサンが好ましい。
【0019】本発明で用いられる(イ)成分の30℃の
クロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は、0.
2〜5dl/gであることが好ましい。また(イ)成分
の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平
均分子量(Mn)が通常5,000〜1,000,00
0であり、好ましくは6,000〜500,000、さ
らに好ましくは7,000〜300,000、特に好ま
しくは8,000〜100,000である。また重量平
均分子量(Mw)は通常7,000〜2,000,00
0であり、好ましくは10,000〜1,000,00
0、さらに好ましくは15,000〜500,000、
特に好ましくは20,000〜300,000である。
【0020】<(ロ)成分>次に(ロ)芳香族ビニル−
無水マレイン酸共重合体は、芳香族ビニル化合物を主成
分とするランダムあるいはブロック共重合体である。
【0021】<芳香族ビニル化合物>芳香族ビニル化合
物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルス
チレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フル
オロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレ
ン、ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシ
スチレン、2-メチル−4-ヒドロキシスチレン、ビニルベ
ンジルアルコール、p−メトキシスチレン、p−t−ブ
トキシスチレン、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香
酸、2−フェニルアクリル酸、メチル−4−ビニルベンゾ
エ−ト、エチル−4−ビニルベンゾエ−ト、4−ビニルベ
ンジルアセート、4−アセトキシスチレン、p−ブテニ
ルアセトフェノン、m−イソプロピルアセトフェノン、
2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、
p−スルホンアミドスチレン、3−アミノスチレン、4−
アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニル
ベンジルジメチルアミン、3−ニトロスチレン、4−ニト
ロスチレン、3−シアノスチレン、4−シアノスチレン、
ビニルフェニルアセトニトリル、ビニルナフタレン、ビ
ニルアントラセン、1,1-ジフェニルエチレン、どがあげ
られる。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン
が好ましく、なかでもスチレンが好ましい。これらの芳
香族ビニル単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。(ロ)成分には、上記芳香
族ビニル化合物および無水マレイン酸の他に、これらと
共重合可能な化合物を共重合してもよい。かかる化合物
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ
アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等の(メタ)
アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、N−アルキ
ルマレイミド、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシ
ルマレイミドなどが挙げられる。
【0022】<(ロ)成分の調整>(ロ)成分として特
に好適な芳香族ビニル共重合体としては、無水マレイン
酸−スチレン共重合体があげられる。
【0023】(ロ)成分中、無水マレイン酸の結合含有
量は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜1
8重量%であり、さらに好ましくは1〜15重量%であ
り、特に好ましくは2〜10重量%である。0.1重量
%以下ではポリスチレンと同様に相分離を起こしやす
く、組成物が白濁しやすくなる。また、20重量%以上
においてもポリマーが白濁しやすい。
【0024】優れた透明性および低複屈折性を兼ね備え
た熱可塑性樹脂組成物を得るためには、(イ)成分と
(ロ)成分とは完全相溶系であることが好ましい。その
ため、(イ)成分の種類に応じて、(ロ)成分の種類、
分子量および含有量を選ぶことが好ましい。なお、
(イ)成分と(ロ)成分とを完全相溶系にするために、
さらに相溶化剤を配合してもよい。ここに(ロ)成分の
分子量としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分
子量(Mw)が500〜1,000,000であることが
好ましく、さらに好ましくは2,000〜800,00
0、より好ましくは5,000〜500,000、特に
好ましくは10,000〜300,000である。50
0未満では複屈折低減の効果が乏しく、また、1,00
0,000以上では相溶性が悪く、ポリマーが白濁しや
すい。
【0025】(ロ)成分を構成する芳香族ビニル化合物
と無水マレイン酸とのランダム重合体は塊状重合、溶液
重合、沈殿重合、乳化重合、縣濁重合、塊状−縣濁重合
法などの方法で製造することができる。(ロ)成分を得
るための(共)重合反応に使用される重合開始剤として
は、特に限定されるものではなく、公知のラジカル重合
開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤、配
位重合触媒などを例示することができる。
【0026】また、(ロ)成分含有量としては、(イ)
成分100部あたり、通常0.01〜1000重量部と
され、好ましくは、0.1〜100重量部、さらに好ま
しくは、0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜30
重量部とされる。(ロ)成分の配合量が0.01重量部
未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の複屈折率が十
分に低いものとはなり難い。一方、配合量が1000重
量部を超える場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の
耐熱性および透明性が低い。本発明の熱可塑性樹脂組成
物は、透明性を有するものが好ましい。かかる透明性と
しては、試験片(厚さ3mm)を作製し、ASTM D
1003に準じて全光線透過率を測定した値が、通常70%
以上であるものがよく、好ましくは80%以上、さらに
好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上のも
のである。
【0027】本発明の樹脂組成物には、(イ)成分およ
び(ロ)成分以外の樹脂成分として炭化水素樹脂を含有
させてもよい。かかる炭化水素樹脂としてはC5系樹脂
(炭素数5の不飽和化合物を主構成成分とする重合
体)、C9系樹脂、C5系/C3系混合樹脂、シクロペンタ
ジエン系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族系化合物
共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル
置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、前記樹脂の水素
添加物およびビニル置換芳香族系樹脂の水素添加物など
があげることができる。
【0028】本発明の樹脂組成物には、公知の酸化防止
剤、たとえば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール、2,2−ジオキシ−3,3−ジ−t−ブチル−
5,5−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス{メチ
レン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフ
ェニル)プロピオネート}メタン;紫外線吸収剤、例え
ば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加することに
よって安定化することができる。また、加工性を向上さ
せる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
【0029】本発明の樹脂組成生物を製造する方法とし
ては、例えば、(イ)成分と(ロ)成分と任意成分と
を、単軸押出機、ニ軸押出機などの連続式、ロール混練
機、バンバリーミキサーなどのバッチ式の装置などを用
いて混合することによりペレット状の樹脂組成物を得る
方法。該当(イ)と(ロ)成分を適当の溶媒に溶解して
溶液を調整し、(イ)と(ロ)成分を溶液状でブレンド
することによりペッレット状の樹脂組成物を得る方法が
挙げられる。
【0030】本発明の樹脂組成物によれば、公知の成形
手段、例えば射出成形法、圧縮成形法、押し出し成形
法、溶液キャスト成形などを用いて成形品を作成するこ
とができる。ここの成形品の形状としても限定されるも
のではない。また、キャスト成形法によってフィルム状
の成形品を得ることができる。
【0031】また、本発明の樹脂組成物により作製され
た成形品の表面に、無機化合物、シランカップリング剤
などの有機シリコン化合物、アクリル系樹脂、ビニル系
樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シ
リコーン樹脂などからなるハードコート層を形成するこ
とができる。ハードコート層の形成手段としては、熱硬
化法、紫外線硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法などの公知の方法をあげること
ができる。これによって、成形品の耐熱性、光学特性、
耐薬品性、耐磨耗性および耐水性などを向上させること
ができる。
【0032】本発明の樹脂組成物の用途は特に限定され
るものではなく、広い範囲にわたって使用することがで
き、例えば、一般カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レン
ズ、望遠鏡用レンズ、眼鏡用レンズ、レーザービーム用
レンズなどのレンズ類、プリズム、回折格子、液晶表示
用照明装置、光学式ビデオディスク、オーディオディス
ク、文書ファイルディスク、CD、MD、DVD用ピッ
クアップレンズ、メモリディスクなどの光ディスク類、
光ファイバーなどの光学材料、導光板、受像転写シート
やタッチパネル、位相差フィルムなどの各種フィルム、
液晶セルなどのシート、封止剤、無機または有機化合物
のバインダーとして特に好適に使用することができる。
【0033】実施例 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこ
れらによって制限されるものではない。なお、以下にお
いて「部」は「重量部」を示す。
【0034】調整例(A-1) 8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン250部、
1−ヘキセン41部、トルエン750部を窒素置換した
反応容器に仕込み、80度に加熱した。この反応溶液
に、トリエチルアルミニウムへキサン溶液(1.5モル
/l)0.62部、t−ブタノ−ル/メタノール変性し
た6塩化タングステントルエン溶液(0.05モル/l)
3.7部を添加し、80度で3時間反応させることによ
り開環重合体を得た。重合転化率は97%であった。こ
こで得られた重合溶液4000部をオートクレーブに仕
込み、RuHCl(CO)[P(C653]3を0.48部添
加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165度で3
時間水素添加反応を行った。得られた反応溶液を冷却し
た後、水素ガスを放圧し、大量のメタノールにより反応
溶液を凝固させた。得られたポリマーの水添率は100
%であり、数平均分子量は19800、重量平均分子量
は62000(GPC測定、ポリスチレン換算)であっ
た。
【0035】調整例(A-2) 8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]
−3−ドデセン200部を用いたこと以外前記の生成法
と同様にして開環重合体、水添付加反応および凝固回収
を行って水素付加重合体を得た。水添率は100%であ
り、数平均分子量は19200、重量平均分子量は58
000(GPC測定、ポリスチレン換算)であった。
【0036】調整例(A-3) 窒素置換した反応容器にモレキュラーシーブ(4A)に
より脱水乾燥させたシクロヘキサン2000部を入れ、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン75部とエチルアルミニウムセスキクロライドのノル
マルヘキサン溶液(1mol/L)6.6部とを添加した。
反応温度を10度に保ち反応容器内に、エチレンと窒素
の混合ガス(エチレン流量:10L/H、窒素流量:40L
/)を10分間供給した。その後、この溶液にVO(O
25)Cl2のノルマルヘキサン溶液(0.07mol/
L)23部を滴下ロートより滴下して共重合反応を開始
し、前記の混合ガスを通しながら反応させた。30分後
に少量のメタノールを加え、重合反応を停止させた。こ
の反応混合液を大量のメタノール中に注いで凝固させ
た。得られた重合体の数平均分子量は21000、重量
平均分子量は63000(GPC測定、ポリスチレン換
算)であった。
【0037】<調整例B1>窒素置換した反応容器にスチ
レン92部、無水マレイン酸8部、AIBNを0.1
部、トルエン200部を加え、90℃で3時間反応さ
せ、スチレン−無水マレイン酸共重合体(共重合体モル
比95/5)を得た。得られた共重合体の重量平均分子
量(Mw)は70000(GPC測定、ポリスチレン換算)
であった。
【0038】<調整例B2>窒素置換した反応容器に4−
メチルスチレン92部、無水マレイン酸8部、AIBN
を0.1部、トルエン200部を加え、90℃で3時間
反応させ、4−メチルスチレン−無水マレイン酸共重合
体(共重合体モル比92/8)を得た。得られた共重合
体の重量平均分子量(Mw)は65000(GPC測定、
ポリスチレン換算)であった。
【0039】<調整例B3>窒素置換した反応容器に4
−メチルスチレン92部、4−アセトキシスチレン4
部、無水マレイン酸4部、AIBNを0.1部、トルエ
ン200部を加え、90℃で3時間反応させ、4−メチ
ルスチレン−4−アセトキシスチレン−無水マレイン酸
共重合体(共重合体モル比92/4/4)を得た。得られ
た共重合体の重量平均分子量(Mw)は63000(GP
C測定、ポリスチレン換算)であった。
【0040】表1に従い調整例(A1)で得られた環状ポ
リオレフィン系樹脂100部と調整例(B1)で得られた
芳香族ビニル−極性基含有ビニル共重合体5部とを混合
し、混合物を260℃にてペッレト化することにより、
本発明の熱可塑性樹脂組成物{以下「樹脂組成物(C
1)」}を得た。
【0041】表1に従い調整例(A1)で得られた環状ポ
リオレフィン系樹脂100部と調整例(B2)で得られた
芳香族ビニル−無水マレイン酸5部とを混合し、混合物
を260℃にてペッレト化することにより、本発明の熱
可塑性樹脂組成物{以下「樹脂組成物(C2)」}を得
た。
【0042】表1に従い調整例(A1)で得られた環状ポ
リオレフィン系樹脂100部と調整例(B3)で得られた
芳香族ビニル−無水マレイン酸共重合体5部とを混合
し、混合物を260℃にてペッレト化することにより、
本発明の熱可塑性樹脂組成物{以下「樹脂組成物(C
3)」}を得た。
【0043】表1に従い調整例(A2)で得られた環状
ポリオレフィン系樹脂100部と調整例(B1)で得られ
た芳香族ビニル−無水マレイン酸共重合体5部とを混合
し、混合物を260℃にてペッレト化することにより、
本発明の熱可塑性樹脂組成物{以下「樹脂組成物(C
4)」}を得た。
【0044】表1に従い調整例(A3)で得られた環状ポ
リオレフィン系樹脂100部と調整例(B1)で得られた
芳香族ビニル−無水マレイン酸共重合体5部とを混合
し、混合物を260℃にてペッレト化することにより、
本発明の熱可塑性樹脂組成物{以下「樹脂組成物(C
5)」}を得た。
【0045】<比較例1〜3>調整例(A1)〜(A3)で
得られた環状ポリオレフィン系樹脂(A1)〜(A3)をペ
レット化した。
【0046】<比較例4>表1に示す処方に従い、調整
例1で得れらた環状ポリオレフィン系樹脂(A1)100
部とポリスチレン(Mw=70000)5部とを混合し、
この混合物をにニ軸押出機で260℃にてペッレト化す
ることにより、比較用の熱可塑性樹脂組成物{以下「樹
脂組成物(D1)」という。}を得た。
【0047】<比較例5>表1に示す処方に従い、調整
例1で得れらた環状ポリオレフィン系樹脂(A1)100
部とスチレン−無水マレイン酸共重合体(75重量%:
25重量%)(Mw=70000)5部とを混合し、こ
の混合物をにニ軸押出機で260℃にてペッレト化する
ことにより、比較用の熱可塑性樹脂組成物{以下「樹脂
組成物(D2)」という。}を得た。
【0048】樹脂組成物の評価 複屈折性(レターデーションの測定) 実施例の1〜5で得られた樹脂組成物(C1〜C5)のペレ
ット、比較例1〜3で得られた環状ポリオレフィン系樹
脂(A1〜A3)、比較例5で得られた樹脂組成物(D1)の
ペレットを用い、射出成形機によって直径5mm、最大肉
厚2mmのピックアップレンズを作製した。これらをひず
み検査計「LSM-501」{(株)ルケオ社製}を用いセナ
ルモン法によるレターデーションを測定した。結果を表
1に示す。
【0049】透明性(全透過率の測定) 樹脂組成物(C1〜C5)のペレット、環状ポリオレフィン
系樹脂(A1〜A3)、樹脂組成物(D1)のペレットを用
い、射出成形機によって、透明性を評価するための試験
片(厚さ3mm)を作製し、ASTM D1003に準じて
全光線透過率を測定した。結果を併せて表1に示す。
【0050】耐熱性(熱変形温度の測定) 樹脂組成物(C1〜C5)のペレット、環状ポリオレフィン
系樹脂(A1〜A3)、樹脂組成物(D1)のペレットを用
い、射出成形機によって、耐熱性を評価するための試験
片(厚さ0.64mm×1.27mm×127mm)を
作製し、 ASTMD648(18.6Kg/cm2、1/4")
に準じて熱変形温度を測定した。結果を併せて表1に示
す。
【0051】耐水性(吸水率の測定) 樹脂組成物(C1〜C5)のペレット、環状ポリオレフィン
系樹脂(A1〜A3)、樹脂組成物(D1)のペレットを用
い、射出成形機によって、耐水性を評価するための試験
片(厚さ3mm×40mm×80mm)を作製た。この
試験片の重量W0を測定し23℃の水中に24時間浸漬し
た後の重量W1を測定し、下記の数式により吸水率を算出
した。結果を併せて表1に示す。
【0052】
【数1】吸水率(%)=((W1-W0)/W0)×100
【0053】
【表1】
【0054】[発明の効果]本発明の共重合体ブレンドは
従来の環状脂肪族ポリマーの透明性かつ低複屈折を付与
しこれらの特性を生かして、レンズ、液晶ディスプレイ
の導光板、光学シート、光学フィルムなどの光学材料、
光ディスク、センサー類などに用いることができる。
フロントページの続き (72)発明者 水野 善久 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA22 AA22X AA36X AA69 AF30Y AF31 BB05 BC01 4J002 BC04X CE00W FD070

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)環状オレフィン系樹脂および(ロ)
    無水マレイン酸の結合含有量が20重量%以下である芳
    香族ビニル−無水マレイン酸共重合体を含有してなる熱
    可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(イ)成分の含有量と(ロ)成分の含有量
    の比が、(イ)成分100重量部に対し(ロ)成分0.
    01〜1000重量部である請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】ASTM D1003に準じて測定した厚さ3
    mmのシートの全光線透過率が70%以上である請求項
    1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(イ)環状オレフィン系樹脂および(ロ)
    無水マレイン酸の結合含有量が20%以下である芳香族
    ビニル−無水マレイン酸共重合体を含有してなり、
    (イ)成分の含有量と(ロ)成分の含有量の比が、
    (イ)成分100重量部に対し(ロ)成分0.01〜1
    000重量部である透明性熱可塑性樹脂組成物の成型
    品。
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