JP2001072837A - 熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂製成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂製成形体

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JP2001072837A
JP2001072837A JP25033399A JP25033399A JP2001072837A JP 2001072837 A JP2001072837 A JP 2001072837A JP 25033399 A JP25033399 A JP 25033399A JP 25033399 A JP25033399 A JP 25033399A JP 2001072837 A JP2001072837 A JP 2001072837A
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resin composition
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copolymer
diene
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Yoshihisa Mizuno
善久 水野
Kazuo Kasai
和雄 河西
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JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い透明性を有すると共に、大きな耐衝撃性
および成形加工性をバランスよく具える熱可塑性樹脂組
成物および高い透明性と大きな耐衝撃性とを有する熱可
塑性樹脂製成形体を提供することにある。 【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定の
単量体よりなる環状ポリオレフィン系樹脂1〜99重量
%と、ジエン系ゴム質重合体99〜1重量%とを含有し
てなり、その厚さが3mmの平板状成形体についてAS
TM D1003に準拠して測定された全光線透過率の
値が80%以上であることを特徴とし、またジエン系ゴ
ム質重合体が、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物
との共重合体または共役ジエン化合物とα,β−不飽和
ニトリル化合物との共重合体よりなることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂製成形体は、上記の熱可塑性樹脂
組成物を成形加工して得られるものであることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物
および熱可塑性樹脂製成形体に関し、さらに詳しくは、
環状ポリオレフィン系樹脂およびジエン系ゴム質重合体
よりなり、特に高い透明性と大きな耐衝撃性とをバラン
スよく具える熱可塑性樹脂組成物およびそれよりなる熱
可塑性樹脂製成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透明性の樹脂は、自動車部品、照
明機器、電気部品など、通常の透明性が要求される成形
体の材料として用いられており、特に最近においては、
光学的性質が重視される光学材料としての応用が進みつ
つある。このような用途に好適な透明樹脂として、現
在、ポリカーボネート系樹脂やアクリル系樹脂が知られ
ている。しかし、アクリル系樹脂は、透明性に優れては
いるものの耐熱性や耐水性などが小さいという問題があ
る。一方、ポリカーボネート系樹脂は、耐熱性や耐水性
においてはアクリル系樹脂より優れているが、複屈折率
が高いなど、良好な光学特性が得られない、という問題
がある。そして、このような背景の下において、最近で
は、好適な透明性、耐水性、低複屈折性、耐熱性などを
兼ね備えている環状ポリオレフィン系樹脂が光学材料用
の透明樹脂として好適に用いられてきている。
【0003】然るに、従来公知の環状ポリオレフィン系
樹脂は、一般に耐衝撃性が低く、成形加工性に乏しいと
いう欠点を有しており、これらの欠点を改善するため
に、ゴム質重合体を環状ポリオレフィン系樹脂に混合す
る方法が例えば特願平1−240172号公報に提案さ
れている。しかしながら、環状ポリオレフィン系樹脂に
ゴム質重合体を混合することにより、十分な耐衝撃性お
よび成形加工性を有する熱可塑性樹脂組成物を得ること
は可能であるが、この組成物は、通常、透明性が低くて
光学特性が劣ったものとなる、という問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
高い透明性を有すると共に、大きな耐衝撃性および成形
加工性をバランスよく具える熱可塑性樹脂組成物を提供
することにある。本発明の他の目的は、高い透明性と大
きな耐衝撃性とを有する熱可塑性樹脂製成形体を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、(イ)下記一般式(I)で表される単量体より
なる環状ポリオレフィン系樹脂1〜99重量%と、
(ロ)ジエン系ゴム質重合体99〜1重量%とを含有し
てなり、その厚さが3mmの平板状成形体についてAS
TM D1003に準拠して測定された全光線透過率の
値が80%以上であることを特徴とする。
【0006】
【化2】
【0007】〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ、水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、また
はその他の1価の有機基であり、互いに同一であっても
異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR4 は結
合されて2価の炭化水素基を形成してもよく、R1 若し
くはR2 とR3 若しくはR4 とは互いに結合して単環構
造または多環構造を形成してもよい。mは0または正の
整数であり、pは0または正の整数である。〕
【0008】以上において、ジエン系ゴム質重合体が、
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体ま
たは共役ジエン化合物とα,β−不飽和ニトリル化合物
との共重合体よりなることが好ましい。また、環状ポリ
オレフィン系樹脂の含有割合が50〜99重量%であ
り、ジエン系ゴム質重合体の含有割合が1〜50重量%
であることが好ましい。
【0009】そして、ジエン系ゴム質重合体が、共役ジ
エン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である場
合には、当該共重合体の結合芳香族ビニル化合物量が1
5〜35重量%であり、このときには当該ジエン系ゴム
質重合体の割合が20〜50重量%であることか好まし
く、あるいは、当該共重合体の結合芳香族ビニル化合物
量が35〜60重量%であり、このときには当該ジエン
系ゴム質重合体の含有割合が10〜50重量%であるこ
とが好ましい。
【0010】一方、ジエン系ゴム質重合体が、共役ジエ
ン化合物とα,β−不飽和ニトリル化合物との共重合体
である場合には、当該共重合体の結合α,β−不飽和ニ
トリル化合物量が30重量%を超え、このときには当該
ジエン系ゴム質重合体の含有割合が20〜50重量%で
あることが好ましく、あるいは、当該共重合体の結合
α,β−不飽和ニトリル化合物量が30重量%以下であ
り、このときには当該ジエン系ゴム質重合体の含有割合
が1〜50重量%であることが好ましい。
【0011】そして、当該熱可塑性樹脂組成物は、その
厚さが3mmの平板状成形体についてASTM D10
03に準拠して測定された曇価が10以下であるものが
好ましい。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂製成形体は、上記の
熱可塑性樹脂組成物を成形加工して得られるものである
ことを特徴とする。
【0013】
【作用】以上のような熱可塑性樹脂組成物は、環状ポリ
オレフィン系樹脂とゴム質重合体とを含有してなるもの
であるが、ゴム質重合体がジエン系ゴム質重合体である
ために環状ポリオレフィン系樹脂に対して高い相溶性を
有するものとすることができ、その結果、高い透明性を
有するものとなると共に、ジエン系ゴム質重合体よりな
る(ロ)成分により、十分な耐衝撃性および成形加工性
を有するものとなる。また、本発明の熱可塑性樹脂製成
形体は、上記の熱可塑性樹脂組成物を成形材料として形
成されたものであるため、高い透明性と大きな耐衝撃性
とを有し、これを利用して、光学材料を始めとする各種
の材料または特定の用途に供される部材として好適に用
いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成
物について詳細に説明する。この熱可塑性樹脂組成物
は、環状ポリオレフィン系樹脂(以下「(イ)成分」と
もいう。)と、ジエン系ゴム質重合体(以下「(ロ)成
分」ともいう。)とを含有してなるものである。
【0015】<環状ポリオレフィン系樹脂>(イ)成分
を構成する環状ポリオレフィン系樹脂としては、下記
〜に示す重合体を挙げることができる。 下記一般式(I)で表される単量体(以下「特定単
量体」ともいう。)の開環重合体 特定単量体と、当該特定単量体と共重合が可能な共
重合性単量体(以下「共重合性単量体」ともいう。)と
の開環共重合体 上記の開環重合体を更に水素添加して得られる水
素添加重合体、または上記の開環共重合体を更に水素
添加して得られる水素添加共重合体 上記の開環重合体または上記の開環共重合体を
フリーデルクラフト反応により環化して得られる化合物
を水素添加して得られる重合体または共重合体 特定単量体を不飽和二重結合含有化合物と共重合し
てなる飽和共重合体
【0016】
【化3】
【0017】〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ、水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、また
はその他の1価の有機基であり、互いに同一であっても
異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR4 は結
合されて2価の炭化水素基を形成してもよく、R1 若し
くはR2 とR3 若しくはR4 とは互いに結合して単環構
造または多環構造を形成してもよい。mは0または正の
整数であり、pは0または正の整数である。〕 (イ)成分として用いられる上記の特定単量体から得ら
れる環状ポリオレフィン系樹脂は、分子構造中に極性基
を含有していることが好ましく、これにより、(ロ)成
分との相溶性が向上する場合がある。
【0018】<特定単量体>好ましい特定単量体として
は、上記一般式(I)において、R1 およびR3 が水素
原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2
よびR4 が水素原子または一価の有機基であってR2
よびR4 の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基
以外の極性基であり、mが0〜3の整数、pが0〜3の
整数であり、m+pが0〜4、好ましくは0〜2、特に
好ましくは1であるものを挙げることができる。
【0019】また、特定単量体のうち、式−(CH2
n COOR5 で表されるカルボン酸エステル基よりなる
極性基を有する特定単量体は、得られる熱可塑性樹脂組
成物が高いガラス転移温度と低い吸湿性を有するものと
なる点、また(ロ)成分との相溶性が向上する点で好ま
しい。このカルボン酸エステル基を表す上記の式におい
て、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基、好ましく
はアルキル基であり、また、nは通常0〜5であるが、
nの値が小さいものほど、得られる熱可塑性樹脂組成物
のガラス転移温度が高くなるので好ましく、さらにnが
0である特定単量体は、その合成が容易である点で好ま
しい。
【0020】また、上記一般式(I)において、R1
たはR3 はアルキル基であることが好ましく、当該アル
キル基は炭素数が1〜4であることが好ましく、更に好
ましくは1〜2、特に好ましくは1である。そして、こ
のアルキル基は、上記の式−(CH2 n COOR5
表される極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に
結合されていることが好ましい。また、一般式(I)に
おいてmが1である特定単量体は、ガラス転移温度の高
い熱可塑性樹脂組成物が得られる点で好ましい。
【0021】上記一般式(I)で表わされる特定単量体
の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。ビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、ペン
タシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4
−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5
9,12.08,13]−3−ペンタデセン、トリシクロ
[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、5−メチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキ
シカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボ
ニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシ
カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ジメ
タノオクタヒドロナフタレン、エチルテトラシクロドデ
セン、6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン、ト
リメタノオクタヒドロナフタレン、ペンタシクロ[8.
4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセ
ン、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .1
12,15 .02,7 .011,16]−4−エイコセン、ヘプタ
シクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .0
3,8 .012,17]−5−ヘンエイコセン、5−エチリデ
ンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エチ
リデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−
3−ドデセン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、5−フルオロビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビ
ス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリス(フル
オロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラキ
ス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(ト
リフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフル
オロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フル
オロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリ
フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−is
o−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロ−5,6,6−
トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメ
チル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,
5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−ト
リフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フルオロテトラ
シクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ジフルオロメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ド
デセン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−ペンタ
フルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロテトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ビス(トリ
フルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8,9−ビス(トリフルオロ
メチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10
−3−ドデセン、8−メチル−8−トリフルオロメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ド
デセン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9
−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.
4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,
9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テト
ラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフル
オロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチ
ル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフル
オロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−
9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフ
ルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス
(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−
8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオ
ロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8−クロロ−8,9,9−トリフルオ
ロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−
ドデセン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフル
オロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオ
ロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−
(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン。
【0022】これらの特定単量体のうち、8−メチル−
8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1
2,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチリデンテトラ
シクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン
およびペンタシクロ〔7.4.0.12,5 .19,12.0
8,13〕−3−ペンタデセンは、得られる熱可塑性樹脂組
成物が耐熱性に優れたものとなる点で好ましく、特に8
−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンは、(ロ)成
分との相溶性に優れた環状ポリオレフィン系樹脂が得ら
れることから好ましい。
【0023】<共重合性単量体>(イ)成分である環状
ポリオレフィン系樹脂は、上記の特定単量体を単独で開
環重合させて得られる単独重合体であってもよいが、当
該特定単量体と、共重合性単量体とを開環共重合させて
得られる共重合体であってもよい。ここに、共重合性単
量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、5−エチリデン
−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどのシク
ロオレフィンを挙げることができ、具体的には、炭素数
が4〜20であるシクロオレフィンが好ましく、特に炭
素数が5〜12であるものが好ましい。更に、ポリブタ
ジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネ
ンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭化
水素系ポリマーなどの存在下に、特定単量体を開環重合
させて得られる共重合体であってもよい。そして、この
場合に得られる特定開環共重合体の水素添加物は、耐衝
撃性の大きい熱可塑性樹脂組成物が得られる点で有用で
ある。
【0024】<開環重合触媒>特定単量体またはこれと
共重合性単量体との開環重合反応は、メタセシス触媒の
存在下に行われる。このメタセシス触媒は、(a)成
分:W、MoまたはReの化合物から選ばれた少なくと
も1種と、(b)成分:デミングの周期律表K IA族
元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例え
ばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、
Hgなど)、III B族元素(例えばB、Alなど)、IV
A族元素(例えばTi、Zrなど)またはIVB族元素
(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少
なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−
水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種と、
の組合せからなる触媒である。この触媒は、活性を高め
るために、後述の(c)成分:添加剤が添加されたもの
であってもよい。
【0025】(a)成分として適当なW、MoまたはR
eの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5
ReOCl3 などの特開平1−240517号公報に記
載の化合物を挙げることができる。(b)成分の具体例
としては、n−C4 9 Li、(C2 5 3 Al 、
(C 2 5 2 AlCl、(C2 5 1.5 AlCl
1.5 、(C2 5 )AlCl2、メチルアルモキサン、
LiHなどの特開平1−240517号公報に記載の化
合物を挙げることができる。(c)成分の添加剤の代表
例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、
アミン類などを好適に用いることができるが、更に特開
平1−240517号公報に記載の化合物を用いること
もできる。
【0026】メタセシス触媒の使用量は、上記(a)成
分と特定単量体との割合「(a)成分:特定単量体」
が、モル比で、通常1:500〜1:50000となる
範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる
範囲とされる。また(a)成分と(b)成分との割合
は、「(a)成分:(b)成分」が、金属原子比で、
1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30となる
範囲とされる。更に、(a)成分と(c)成分との割合
は、「(c)成分:(a)成分」が、モル比で、0.0
05:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1
となる範囲とされる。
【0027】<分子量調節剤>環状ポリオレフィン系樹
脂を得るための開環重合工程においては、得られる開環
重合体(共重合体を含む。以下、特記する場合以外にお
いて同じ。)の分子量の調節を、重合温度、触媒の種類
または溶媒の種類を選定することによっても行うことが
できるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによ
り、行うことが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤
としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテ
ン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類お
よびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−
ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量
調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いるこ
とができる。分子量調節剤の使用量は、上記の開環重合
反応に供される特定単量体1モルに対して、例えば0.
005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モル
とされる。
【0028】<開環重合反応用溶媒>環状ポリオレフィ
ン系樹脂を得るための開環重合反応においては、用いら
れる溶媒は、特定単量体および共重合性単量体、メタセ
シス触媒、並びに分子量調節剤を溶解する溶媒であるこ
とが必要である。このような溶媒の具体例としては、例
えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナ
ン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロ
ヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンな
どのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素化合
物類;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、
ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベ
ンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハ
ロゲン化アルカン類;アリールなどの化合物類;酢酸エ
チル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオ
ン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エ
ステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
メトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、
これらのうち、芳香族炭化水素化合物類が好ましい。こ
れらの溶媒は、単独であるいは2種以上を混合して用い
ることができる。溶媒の使用量は、「溶媒:特定単量
体」が、重量比で、通常1:1〜10:1となる量とさ
れ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
【0029】<水素添加重合体>以上の開環重合反応に
よって得られる開環重合体または開環共重合体は、その
まま(イ)成分として使用することもできるが、水素添
加されたものを(イ)成分として使用することが好まし
い。水素添加反応は、通常の方法、すなわち、開環重合
体または開環共重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、
これに、常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧
の水素ガスを、0〜200℃、好ましくは20〜180
℃で作用させることによって行われる。
【0030】水素添加触媒としては、通常のオレフィン
性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用するこ
とができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒
および均一系触媒が公知である。不均一系触媒として
は、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウ
ムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミ
ナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げる
ことができる。また均一系触媒としては、ナフテン酸ニ
ッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルア
セトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバ
ルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジ
エチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロ
ロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロ
ロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロ
ロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)
ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニル
ホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触
媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
【0031】これらの水素添加触媒は、「開環重合体:
水素添加触媒」の割合が、重量比で1:1×10-6
1:2となる量で使用される。このように、水素添加す
ることにより得られる水素添加重合体は優れた熱安定性
を有するものとなり、成形加工時や製品としての使用時
の加熱によってその特性が劣化することが抑制される。
ここに、水素添加率は、通常50%以上、好ましく70
%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0032】<特定単量体と不飽和二重結合含有化合物
とによる飽和共重合体>飽和共重合体よりなる環状ポリ
オレフィン系樹脂を得るために、特定単量体との共重合
反応に供される不飽和二重結合含有化合物としては、例
えばエチレン、プロピレン、ブテンなどの炭素数が2〜
12、好ましくは2〜8のオレフィン系化合物を挙げる
ことができる。
【0033】<飽和共重合体を得るための共重合反応の
触媒>特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重
合反応には、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合
物とからなる触媒が用いられる。バナジウム化合物とし
ては、一般式VO(OR)a b またはV(OR)c
d (ただし、Rは炭化水素基、0≦a≦3、0≦b≦
3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c
+d≦4)で表されるバナジウム化合物、あるいはこれ
らの電子供与体付加物が用いられる。電子供与体として
はアルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カ
ルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、
酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電
子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナ
ートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。有機ア
ルミニウム化合物触媒成分としては、少なくとも1つの
アルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−水素結
合を有するものから選ばれた少なくとも1種が用いられ
る。触媒成分の比率はバナジウム原子に対するアルミニ
ウム原子の比(Al/V)で2以上、好ましくは2〜5
0、特に好ましくは3〜20の範囲である。
【0034】<飽和共重合体を得るための共重合反応の
溶媒>特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重
合反応に使用される溶媒としては、例えばペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのア
ルカン類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど
のシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素化合物およびそのハロゲン誘導体を
挙げることができ、これらのうち、シクロヘキサンが好
ましい。
【0035】本発明において、(イ)成分として用いら
れる環状ポリオレフィン系樹脂は、30℃のクロロホル
ム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.2〜5.0d
l/gであることが好ましい。また、環状ポリオレフィ
ン系樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子
量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分
子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲で
あるものが好適である。
【0036】<(ロ)成分>上記の(イ)成分と共に樹
脂組成物を構成する(ロ)成分は、ジエン系ゴム質重合
体である。このジエン系ゴム質重合体は、共役ジエン化
合物の単独重合体であってもよいが、共役ジエン化合物
の共重合体、具体的には、(1)共役ジエン化合物と芳
香族ビニル化合物の少なくとも1種とによる共重合体
(以下「SB系共重合体」という。)および(2)共役
ジエン化合物とα,β−不飽和ニトリル化合物の少なく
とも1種とによる共重合体(以下「NB系共重合体」と
いう。)の少なくとも一方であることが好ましい。これ
らの共重合体は、ランダム共重合体またはブロック共重
合体であることが好ましい。
【0037】ジエン系ゴム質重合体を構成する共役ジエ
ン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、
2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペン
タジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3
−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジ
エン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレ
ンなどが挙げられ、これらは、1種のみだけでなく2種
以上を用いることもできる。これらのうち、ブタジエン
およびイソプレンが好ましく、特にブタジエンが好まし
い。
【0038】SB系共重合体を得るために共役ジエン化
合物と共重合される芳香族ビニル化合物としては、例え
ばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロス
チレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フル
オロスチレン、p−ターシャリーブチルスチレン、エチ
ルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、これら
は、1種のみだけでなく2種以上を用いることもでき
る。これらのうち、スチレンが好ましい。
【0039】ランダム共重合体よりなるSB系共重合体
は、通常の乳化重合法あるいは溶液重合法によって製造
することができる。また、ブロック共重合体よりなるS
B系共重合体は、通常の溶液重合法によって製造するこ
とができる。
【0040】(ロ)成分として用いられるSB系共重合
体においては、その結合芳香族ビニル化合物量は15〜
60重量%であることが好ましく、特に20〜50重量
%であることが好ましい。結合芳香族ビニル化合物量が
15重量%未満のSB系共重合体は、(イ)成分である
環状ポリオレフィン系樹脂との相溶性が劣るため、得ら
れる熱可塑性樹脂組成物は透明性が低いものとなり、一
方、結合芳香族ビニル化合物量が60重量%を超えるS
B系共重合体を用いると、得られる熱可塑性樹脂組成物
に十分な耐衝撃性が得られないおそれがある。
【0041】(ロ)成分としてのSB系共重合体は、特
にその分子量が制限を受けるものではないが、ムーニー
粘度(ML1+4 ,100℃)は、好ましくは20〜10
0、特に好ましくは30〜80の範囲とされる。ムーニ
ー粘度が20未満のSB系共重合体を用いると、熱可塑
性樹脂組成物に十分な耐衝撃性が得られないおそれがあ
り、一方、100以上のSB系共重合体を用いると、熱
可塑性樹脂組成物は、成形加工性が不十分なものとなる
おそれがある。
【0042】NB系共重合体を得るために共役ジエン化
合物と共重合されるα,β−不飽和ニトリル化合物とし
ては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル
などが挙げられる。また、これらは、1種のみだけでな
く2種以上を用いることもできる。
【0043】NB系共重合体は、連続式および回分式の
何れかの方式による通常の乳化重合法によって製造する
ことができ、各単量体、乳化剤、分子量調節剤およびそ
の他の重合用薬剤は、反応開始前に全量を添加してもよ
いが、任意に一部を分割して反応開始後に添加してもよ
く、また反応進行中に温度や撹拌などの操作条件を任意
に変更することもできる。
【0044】(ロ)成分として用いられるNB系共重合
体においては、その結合α,β−不飽和ニトリル化合物
量は、10〜50重量%であることが好ましく、特に1
0〜40重量%であることが好ましい。結合α,β−不
飽和ニトリル化合物量が当該範囲を外れたNB系共重合
体を用いると、(イ)成分である環状ポリオレフィン系
樹脂との相溶性が劣るため、得られる熱可塑性樹脂組成
物は透明性が低いものとなる。
【0045】(ロ)成分としてのNB系共重合体は、特
にその分子量が制限を受けるものではないが、ムーニー
粘度(ML1+4 ,100℃)は20〜100であること
が好ましく、ムーニー粘度が20未満のNB系共重合体
を用いると、得られる熱可塑性樹脂組成物に十分な耐衝
撃性が得られず、一方、ムーニー粘度が120を超える
NB系共重合体を用いると、得られる熱可塑性樹脂組成
物は、成形加工性が不十分なものとなるおそれがある。
【0046】(ロ)成分として用いられるジエン系ゴム
質重合体は、(イ)成分との相溶性を向上する目的で、
例えばカルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、
エポキシ基、ハロゲン基、アミノ基、イソシアネート
基、スルホニル基およびスルホネート基よりなる群から
選ばれる少なくとも1種の官能基により変性されたもの
であってもよい。変性されたジエン系ゴム質重合体を得
る方法としては、上記の官能基を有する不飽和化合物
を、上記ジエン系ゴム質重合体を与える単量体と共重合
する方法、上記ジエン系ゴム質重合体と上記の官能基を
有する不飽和化合物および必要に応じて有機過酸化物を
混合融解混練して変性する方法などがある。このジエン
系ゴム質重合体の変性のために使用される官能基を有す
る不飽和化合物の量は、変性されるジエン系ゴム質重合
体の0.01〜30重量%であることが好ましい。
【0047】上記の環状ポリオレフィン系樹脂よりなる
(イ)成分と、ジエン系ゴム質重合体よりなる(ロ)成
分が混合されることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成
物が調製される。ここに、両成分の割合は、(イ)成分
が1〜99重量%で(ロ)成分が99〜1重量%の範囲
であるが、(イ)成分が50〜90重量%で(ロ)成分
が10〜50重量%であることが好ましく、特に(イ)
成分が60〜80重量%で(ロ)成分が20〜40重量
%であることが好ましい。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
(ロ)成分として用いられるジエン系ゴム質重合体の種
類に応じて、好適な(イ)成分および(ロ)成分の含有
割合が異なる。具体的には、下記の条件を満たすことに
より、(イ)成分と(ロ)成分との相溶性を確実に高い
ものとすることができ、その結果、得られる熱可塑性樹
脂組成物に、高い透明性を得ながら、しかも実用上十分
な耐衝撃性および成形加工性を確実に得ることができ
る。
【0049】(1)SB系共重合体を用いる場合 当該SB系共重合体が、結合芳香族ビニル化合物量が1
5〜35重量%のものである場合には、(イ)成分が5
0〜80重量%で(ロ)成分が20〜50重量%、特に
(イ)成分50〜70重量%で(ロ)成分が30〜50
重量%であることが好ましい。この場合には、SB系共
重合体がゴム弾性の比較的小さいものであるため、当該
SB系共重合体の含有割合を比較的大きくすることが必
要であるが、環状ポリオレフィン系樹脂の割合が50重
量%以上であれば、熱可塑性樹脂組成物に良好な透明性
を得ることができる。
【0050】一方、当該SB系共重合体が、結合芳香族
ビニル化合物量が35〜60重量%のものである場合に
は、(イ)成分が50〜99重量%で(ロ)成分が1〜
50重量%、特に(イ)成分60〜95重量%で(ロ)
成分が5〜40重量%であることが好ましい。この場合
には、SB系共重合体がゴム弾性の大きいものであるた
め、当該SB系共重合体の含有割合が比較的小さい範囲
で、熱可塑性樹脂組成物に十分な耐衝撃性および成形加
工性が得られ、従って(イ)成分の割合を大きくするこ
とができるために、得られる熱可塑性樹脂組成物に高い
透明性を得ることができる。
【0051】(2)NB系共重合体を用いる場合 当該NB系共重合体が、結合α,β−不飽和ニトリル化
合物量が30重量%を超えるものである場合には、
(イ)成分が50〜80重量%で(ロ)成分が20〜5
0重量%、特に(イ)成分50〜70重量%で(ロ)成
分が30〜50重量%であることが好ましい。
【0052】一方、当該NB系共重合体が、結合α,β
−不飽和ニトリル化合物量が30重量%以下のものであ
る場合には、(イ)成分が50〜99重量%で(ロ)成
分が1〜50重量%、特に(イ)成分50〜95重量%
で(ロ)成分が5〜50重量%であることが好ましい。
【0053】以上において、(イ)成分の含有割合が過
大であると、それに応じて(ロ)成分の含有割合が過小
となることから、得られる熱可塑性樹脂組成物は、耐衝
撃性および成形加工性が十分に大きいものとならず、一
方、(ロ)成分の含有割合が過大であると、それに応じ
て(イ)成分の含有割合が過小となることから、得られ
る熱可塑性樹脂組成物は、透明性が低いものとなるおそ
れがある。
【0054】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(イ)成
分の環状ポリオレフィン系樹脂と、(ロ)成分のジエン
系ゴム質重合体とが混合されたものであるが、両成分は
緊密に混合されていることが重要であり、特に分子状態
で混合されていることが好ましい。このような混合状態
を得るためには種々の方法を用いることができるが、具
体的には、(イ)成分の固形物と(ロ)成分の固形物と
を溶融混練りすることにより混合樹脂を得る溶融混練
法、または(イ)成分と(ロ)成分とを溶液状態で混合
することにより混合樹脂を得る溶液混合法を好適に利用
することができる。
【0055】(1)溶融混練法 この溶融混練法では、それぞれ適宜の製造方法で得られ
た(イ)成分としての環状ポリオレフィン系樹脂の固形
物および(ロ)成分としてのジエン系ゴム質重合体の固
形物を、適宜の溶融混練り装置において溶融混練りする
ことにより、混合樹脂が得られる。ここに、(イ)成分
および(ロ)成分の固形物の形態は特に制限されるもの
ではない。環状ポリオレフィン系樹脂の固形物は、通
常、ペレット状として製造されるが、他の形態であって
もよい。また、ジエン系ゴム質重合体の固形物は、通
常、ベール状、クラム状あるいはペレット状として製造
されるが、それらのいずれでもよい。
【0056】溶融混練法を実施するための溶融混練り装
置も特に制限されるものではなく、例えばバッチ式混合
機、押出成形機などを用いることができる。溶融混練り
装置に対しては、(イ)成分および(ロ)成分を、個別
に供給してもよいが、(イ)成分および(ロ)成分を予
め予備混合しておき、この混合物を供給することが好ま
しい。この溶融混練法においては、(イ)成分と(ロ)
成分の混和性を向上させるために、例えば特定の官能
基、例えばエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、アミノ基、酸無水物基、オキサゾリン基などを有す
る不飽和化合物、更には必要に応じて有機過酸化物を添
加することが有効な場合がある。
【0057】(2)溶液混合法 この溶液混合法では、(イ)成分と(ロ)成分の両者が
共通に溶解する溶媒に両成分が溶解される。具体的に
は、共通の溶媒に(イ)成分および(ロ)成分を溶解す
る手段、(イ)成分の溶液およびこれと別個の(ロ)成
分の溶液を混合する手段、(イ)成分および(ロ)成分
の一方の溶液に他方を溶解する手段などにより、両成分
が共通に溶解された溶液を調製し、この両成分の溶液か
ら溶媒を除去することにより、混合樹脂が得られる。
【0058】この溶液混合法においては、(イ)成分の
溶液としては、適宜の製造方法で得られた環状ポリオレ
フィン系樹脂の固形物を適宜の溶媒に溶解して得られる
溶液を用いることができる。また、当該環状ポリオレフ
ィン系樹脂を合成するための反応で得られる反応生成
液、すなわち特定単量体の開環重合反応で得られる反応
生成液または特定単量体を不飽和二重結合含有化合物と
共重合させて飽和共重合体を生成させる重合反応で得ら
れる反応生成液は、生成した環状ポリオレフィン系樹脂
が溶解しているので、当該反応生成液を、そのまま、あ
るいは適宜の処理を加えた上で(イ)成分の溶液として
用いることができる。また、(ロ)成分の溶液として
も、上記と同様に、適宜の製造方法で得られた固形のジ
エン系ゴム質重合体を適宜の溶媒に溶解して得られる溶
液を用いることができ、また、当該ジエン系ゴム質重合
体を合成するための反応で得られる反応生成液を、
(ロ)成分の溶液として用いることができる。
【0059】以上のいずれの方法による場合にも、必要
に応じて、得られる混合樹脂を更に押出成形機などを用
いて処理することにより、例えばペレット状などの所望
の形態の固形物とすることができる。
【0060】以上の方法のうち、溶融混練法は、(イ)
成分および(ロ)成分の割合の制御が確実であり、操作
が容易である点で、実用上、好ましい方法である。一
方、溶液混合法は、(イ)成分と(ロ)成分とが分子状
態で混合された状態が確実に得られ、従って熱可塑性樹
脂組成物に高い透明性が得られる点で有利である。
【0061】以上のようにして得られる熱可塑性樹脂組
成物は、高い透明性を有すると共に十分な耐衝撃性およ
び成形加工性を有するものである。具体的に説明する
と、当該熱可塑性樹脂組成物によれば、これを成形して
厚さ3mmの平板状成形体としたときに、当該平板状成
形体についての全光線透過率が例えば80%以上でかつ
曇価が例えば10以下であるような、きわめて高い透明
性を有する成形体を提供することができる。ここに全光
線透過率および曇価は、いずれも、ASTM D100
3に準拠して測定される値である。なお、測定温度は2
3℃である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に、上
記の条件による平板状成形体における全光線透過率が8
5%以上となるものが好ましく、さらに好ましくは87
%以上、特に好ましくは90%以上である。また、曇価
は8以下となるものが好ましく、さらに好ましくは5以
下、特に好ましくは4以下である。
【0062】(イ)成分と(ロ)成分とよりなる熱可塑
性樹脂組成物には、必要に応じ、例えば酸化防止剤、帯
電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、滑剤、ブロッキング
防止剤、シール性改良剤、結晶核剤、難燃化剤、防菌
剤、防かび剤、粘着性付与剤、軟化剤、着色剤、ガラス
繊維などの補強材、透明亜鉛華などの充填剤、パラフィ
ン系鉱物油などの可塑剤などを適宜配合することが可能
である。
【0063】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工
することによって成形体とすることができる。この成形
体は、形状が特に制限されるものではなく、例えば平板
状、シート状、フィルム状、ファイバー状、円柱状、角
柱状などの、特定の用途とは直接的には無関係の適宜の
汎用的形態を有する材料として提供することもできる
が、例えばレンズ状、プリズム状、ボトル状、シリンダ
ー状などの種々の具体的用途に従った形状とすることも
できる。
【0064】熱可塑性樹脂組成物により成形体を製造す
るための方法は特に限定されるものではなく、例えば、
射出成形法、射出圧縮成形、圧縮成形法、異形押出成形
法、押出シート成形法、押出フィルム成形法、インフレ
ーション成形法、溶媒キャスト成形法などを利用するこ
とができる。また、このようにして得られる成形体に対
し、更に二次加工または後処理を施すことも可能であ
る。例えば、アニール加工、硬化性表面被覆膜形成剤の
塗布およびその熱、紫外線または電子線などによる硬化
処理、並びにコロナ放電などによる表面改質処理などを
行うことができる。
【0065】本発明の熱可塑性樹脂製成形体は、透明性
および耐衝撃性に優れていることを利用して、例えばレ
ンズ、液晶ディスプレイの導光板、光学シート、光学フ
ィルムなどの光学材料、光学ディスク、飲料用ボトル、
自動車の内装部品および外装部品、センサー類などに好
適に用いることができる。
【0066】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって制限されるものではない。
【0067】<(イ)成分>実施例および比較例におい
て、(イ)成分として、環状ポリオレフィン系樹脂「ア
ートンF」(ジェイエスアール(株)社製)を用いた。
この環状オレフィン系熱可塑性樹脂は、下記の構造式
(1)で表されるテトラシクロドデセン誘導体をメタセ
シス開環重合して得られる開環重合体を、更に水素添加
して得られる水素添加重合体よりなるものであって、そ
のガラス転移温度(Tg)が160℃、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリ
スチレン換算の数平均分子量(Mn)が25,000、
重量平均分子量(Mw)が102,000、温度30℃
のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が0.
49dl/g、温度260℃におけるメルトフローレー
トが5.0g/10minのものである。
【0068】
【化4】
【0069】<(ロ)成分>実施例において、(ロ)成
分として、下記の5種のジエン系ゴム質重合体を用い
た。 (1)「SBR−1」:乳化重合法によるスチレン−ブ
タジエンランダム共重合体「SBR0202」(ジェイ
エスアール(株)社製、結合スチレン量46重量%、ム
ーニー粘度(ML1+4 ,100℃)45) (2)「SBR−2」:溶液重合法によるスチレン−ブ
タジエンランダム共重合体「SL557」(ジェイエス
アール(株)社製、結合スチレン量29%、ムーニー粘
度(ML1+4 ,100℃)44) (3)「SBR−3」:乳化重合法によるスチレン−ブ
タジエンランダム共重合体「SBR1502」(ジェイ
エスアール(株)社製、結合スチレン量23.5%、ム
ーニー粘度(ML1+4 ,100℃)52) (4)「NBR−1 」:アクリロニトリル−ブタジエ
ンランダム共重合体「NBR250S」(ジェイエスア
ール(株)社製、結合アクリロニトリル量20%、ムー
ニー粘度(ML1+4 ,100℃)63) (5)「NBR−2」:アクリロニトリル−ブタジエン
ランダム共重合ゴム「NBR230S」(ジェイエスア
ール(株)社製、結合アクリロニトリル量35%、ムー
ニー粘度(ML1+4 ,100℃)56)
【0070】実施例1 表1に示す処方に従い、環状ポリオレフィン系樹脂のペ
レット80重量%と、SBR−1をゴム用粉砕機で粉砕
したもの20重量%とを混合し、この混合物を押出機
「TEM37BS」(東芝機械社製)により連続的に溶
融混練することにより、ペレット状の熱可塑性樹脂組成
物を調製した。なお、この溶融混練法による樹脂組成物
の調製方法を「調製法1」という。得られた熱可塑性樹
脂組成物組成物を用い、射出成形機「SG75M」(住
友重機社製)により、ASTM1号ダンベル試料を作成
して引張強度および引張伸度を測定し、また、縦40m
m、横50mm、厚さ3mmの平板状の透明性試験用試
料を作成して全光線透過率および曇価を測定した。ここ
に、引張強度および引張伸度の測定は、いずれもAST
M D638に準拠して行い、全光線透過率および曇価
の測定は、いずれもASTM D1003に準拠して行
った。結果を表1に示す。
【0071】また、得られた熱可塑性樹脂組成物を用い
て、下記の条件により、薄板、シート、フィルムおよび
レンズの4種の形態の成形体を作成すると共に、(ロ)
成分を含有しない(イ)成分の環状ポリオレフィン系樹
脂のみにより、同様の4種の形態の基準成形体を作成
し、当該熱可塑性樹脂組成物による成形体の各々につい
ての透明性を、対応する基準成形体の透明性と目視によ
り対比し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表
1に示す。
【0072】(成形体の形状) 薄板:射出成形により作成した、縦80mm、横80m
m、厚み1mmの薄板 シート:Tダイ押出法により作成した、厚さ700μm
のシート フィルム:溶媒キャスト法により作成した、厚さ200
μmのフィルム レンズ:射出成形により作成した、直径4mm、最大肉
厚2.5mmのピックアップレンズ
【0073】(評価基準) 「」:基準成形体と同等の透明性を有する状態 「×」:曇などがあり、透明性は基準成形体より明らか
に劣る状態
【0074】実施例2〜実施例9 表1に示す処方に従い、(イ)成分である環状ポリオレ
フィン系樹脂の割合、(ロ)成分であるジエン系ゴム質
重合体の種類およびその割合を種々変更した条件で、実
施例1と同様にして、合計8種のペレット状の熱可塑性
樹脂組成物を調製した。そして、これらの熱可塑性樹脂
組成物の各々を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て試料および成形体を作成して同様の特性について評価
した。これらの結果を、併せて表1に示す。
【0075】実施例10 表1に示す処方に従い、環状ポリオレフィン系樹脂のペ
レット80重量%と、SBR−1をゴム用粉砕機で粉砕
したもの20重量%とを混合し、得られた混合物を、当
該混合物の5倍重量の共通の溶媒であるトルエンに溶解
攪拌して両成分の溶液を調製し、この溶液にメタノール
を加えることにより凝固した固形分を分離して混合樹脂
を得、更にこの混合樹脂を押出機「TEM37BS」
(東芝機械社製)により造粒処理することにより、ペレ
ット状の熱可塑性樹脂組成物を調製した。なお、この溶
液混合法による樹脂組成物の調製方法を「調製法2」と
いう。そして、ここに得られた熱可塑性樹脂組成物を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして試料および成形
体を作成して同様の特性について評価した。これらの結
果を、併せて表1に示す。
【0076】比較例1 熱可塑性樹脂組成物の代わりに、(ロ)成分が混合され
ない(イ)成分の環状ポリオレフィン系樹脂のみを用い
たこと以外は、実施例1と同様にして試料および成形体
を作成して同様の特性について評価した。これらの結果
を、併せて表1に示す。
【0077】比較例2 表1に示す処方に従い、実施例1の(ロ)成分の代わり
に、ポリスチレン樹脂「HF−77」(三菱化学社製)
(表で「PS」と記す。)を用いたこと以外は実施例1
と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を調製
した。そして、この熱可塑性樹脂組成物を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして試料および成形体を作成し
て同様の特性について評価した。これらの結果を、併せ
て表1に示す。
【0078】比較例3 比較例2において、ポリスチレン樹脂「HF−77」の
代わりに、エチレン−プロピレンランダム共重合ゴム
「EP07P」(ジェイエスアール(株)社製)(表で
は「EPM」と記す。)を用いたこと以外は実施例1と
同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を調製し
た。そして、この熱可塑性樹脂組成物を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして試料および成形体を作成して
同様の特性について評価した。これらの結果を、併せて
表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】以上の結果から、実施例1〜実施例10に
係る熱可塑性樹脂組成物によれば、いずれも、成形体の
全光線透過率が大きくて曇価が小さく、従って高い透明
性を有し、しかも十分に大きな引張強度および引張伸度
が得られており、高い透明性と大きな耐衝撃性とをバラ
ンスよく具えることが明らかである。一方、比較例1か
ら明らかなように、(イ)成分のみよりなる樹脂では、
透明性は十分であっても、引張伸度がきわめて小さく、
従って耐衝撃性が非常に小さいものである。また、比較
例2または比較例3に係る樹脂組成物においては、
(イ)成分に配合されている樹脂成分が、ジエン系ゴム
質重合体以外のものであるため、全光線透過率が小さく
て曇価が相当に大きくて透明性が低いものとなることが
明らかである。
【0081】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、環状ポ
リオレフィン系樹脂とゴム質重合体とを含有してなるも
のであり、ゴム質重合体がジエン系ゴム質重合体である
ために環状ポリオレフィン系樹脂に対して高い相溶性を
有するものとすることができ、その結果、当該ジエン系
ゴム質重合体よりなる成分によって十分な耐衝撃性およ
び成形加工性が得られると共に、当該環状ポリオレフィ
ン系樹脂単独の場合と同等の透明性が得られる。
【0082】本発明の熱可塑性樹脂製成形体は、上記の
熱可塑性樹脂組成物を成形材料として形成されたもので
あるため、十分な透明性と耐衝撃性とを有し、これをを
利用して、光学材料を始めとする各種の材料または特定
の用途に供される部材として好適に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA12X AA22X AA34X AA69 AA69X AA75X AF23 AF30 BA01 BB06 BC01 BC03 BC07 4J002 AC072 AC082 BC052 BG102 BK001 CE001

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)下記一般式(I)で表される単量
    体よりなる環状ポリオレフィン系樹脂1〜99重量%
    と、 (ロ)ジエン系ゴム質重合体99〜1重量%とを含有し
    てなり、その厚さが3mmの平板状成形体についてAS
    TM D1003に準拠して測定された全光線透過率の
    値が80%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組
    成物。 【化1】 〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはその他の1
    価の有機基であり、互いに同一であっても異なっていて
    もよい。R1 とR2 またはR3 とR4 は結合されて2価
    の炭化水素基を形成してもよく、R1 若しくはR2 とR
    3 若しくはR4 とは互いに結合して単環構造または多環
    構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、
    pは0または正の整数である。〕
  2. 【請求項2】 ジエン系ゴム質重合体が、共役ジエン化
    合物と芳香族ビニル化合物との共重合体または共役ジエ
    ン化合物とα,β−不飽和ニトリル化合物との共重合体
    よりなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 環状ポリオレフィン系樹脂の含有割合が
    50〜99重量%であり、ジエン系ゴム質重合体の含有
    割合が1〜50重量%であることを特徴とする請求項2
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ジエン系ゴム質重合体が、共役ジエン化
    合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である場合にお
    いて、当該共重合体の結合芳香族ビニル化合物量が15
    〜35重量%であり、当該ジエン系ゴム質重合体の割合
    が20〜50重量%であることを特徴とする請求項2に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ジエン系ゴム質重合体が、共役ジエン化
    合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である場合にお
    いて、当該共重合体の結合芳香族ビニル化合物量が35
    〜60重量%であり、当該ジエン系ゴム質重合体の含有
    割合が1〜50重量%であることを特徴とする請求項2
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ジエン系ゴム質重合体が、共役ジエン化
    合物とα,β−不飽和ニトリル化合物との共重合体であ
    る場合において、当該共重合体の結合α,β−不飽和ニ
    トリル化合物量が30重量%を超え、当該ジエン系ゴム
    質重合体の含有割合が20〜50重量%であることを特
    徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ジエン系ゴム質重合体が、共役ジエン化
    合物とα,β−不飽和ニトリル化合物との共重合体であ
    る場合において、当該共重合体の結合α,β−不飽和ニ
    トリル化合物量30重量%以下であり、当該ジエン系ゴ
    ム質重合体の含有割合が1〜50重量%であることを特
    徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 その厚さが3mmの平板状成形体につい
    てASTM D1003に準拠して測定された曇価が1
    0以下であることを特徴とする請求項1〜請求項7のい
    ずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂組成物を成形加工して得られるものである
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂製成形体。
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