JP2010090350A - レーザー焼結積層造形用樹脂粉末 - Google Patents

レーザー焼結積層造形用樹脂粉末 Download PDF

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直之 川島
Yasuaki Mutsuka
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Abstract

【課題】遠赤外線レーザーを用いた彫刻、切削、マーキング、立体物造形等に好適に使用できる環状オレフィン系(共)重合体と遠赤外線吸収剤を含有してなるレーザー焼結積層造形用樹脂粉末を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する環状オレフィン系単量体から誘導される環状オレフィン系(共)重合体(A)と遠赤外線吸収剤(B)とを含有する樹脂組成物であって、(共)重合体(A)と遠赤外線吸収剤(B)との重量比が(共)重合体A:赤外線吸収剤(B)=99.99:0.01〜70:30であるレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー焼結積層造形用樹脂粉末に関する。より詳しくは、他材料との密着性や接着性が良好で、高透明であり、さらに高耐熱性である環状オレフィン系(共)重合体と遠赤外線吸収剤を含有してなり、光拡散剤、粉体塗料、トナー用材料、潤滑剤成分、立体物造形用粉末等として有用なレーザー焼結積層造形用樹脂粉末に関する。
近年、遠赤外線レーザーを用いた彫刻、切削、マーキング、立体物造形等が盛んに検討されている。これらのレーザー加工法はレーザー照射部分を削って表面形状を変化させたり、レーザー照射により発色または退色する性質を利用したり、レーザー光吸収による発熱を利用して変形または融着させて印刷または加工するものであり各種材料が提案されている。
特に粉末焼結造形法による立体物造形は成型物開発の期間および費用短縮に効果的である事から近年ポリアミド樹脂粒子を中心としてその需要が拡大している。粉末焼結造形法はレーザーを任意の断面形状に走査照射してその熱源により樹脂を融着積層する技術であり、例えば特許文献1および2にその技術が開示されている。
一方、環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度、光線透過率が高く、しかも屈折率の異方性が小さいことによる従来の光学フィルムに比べ低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている(特許文献3〜8)。
このように優れた性質を有する環状オレフィン系樹脂からなる粒子を粉末焼結造形に応用すれば従来の光硬化反応を利用した光造形法では製造困難であった高耐熱、高透明、且つ高強度な造形物が得られることが期待される。しかしながら環状オレフィン系樹脂は非晶性であるため透明性に優れる反面、温度や時間に対する溶融粘度の低下度合いがナイロン等の結晶性材料と比べて小さいため粉末造形には不適であるとされてきた(特許文献2)。そのため遠赤外線レーザーに対する感度が高く、レーザー加工性が良好なレーザー焼結積層造形用樹脂粉末の開発が強く望まれていた。
WO/1997/029148号公報 WO/1996/006881号公報 特開平01−132625号公報 特開昭63−218726号公報 特開昭63−218726号公報 特開平02−133413号公報 特開昭61−120816号公報 特開昭61−115912号公報
本発明の課題は、遠赤外線レーザーを用いた彫刻、切削、マーキング、立体物造形等に好適に使用できる環状オレフィン系(共)重合体と遠赤外線吸収剤を含有してなるレーザー焼結積層造形用樹脂粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される下記(1)〜(6)の何れかの環状オレフィン系(共)重合体(A)と遠赤外線吸収剤(B)とを含有する樹脂組成物であって、(共)重合体(A)と遠赤外線吸収剤(B)との重量比が(共)重合体A:赤外線吸収剤(B)=99.99:0.01〜70:30であるレーザー焼結積層造形用樹脂粉末が遠赤外線レーザーを用いた彫刻、切削、マーキング、立体物造形等に好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2010090350
[式(I)中、aおよびbは独立に0または1を示し、cおよびdは独立に0〜2の整数を示し、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜40の炭化水素基;または極性基を示す。また、R10とR11、またはR12とR13とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R10またはR11とR12またはR13とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合した多環構造でもよい。)を形成してもよい。]
本発明のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末は100μmの厚みの板状成型物に加工した際に、下記a)〜c)を満たすことが好ましい。
a)波数945cm−1における吸光度が0.36以上
b)全光線透過率が85%以上
c)ヘーズが10%以下
本発明の環状オレフィン系(共)重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30,000〜200,000、対数粘度が0.30〜0.95dL/g、ガラス転移温度が110〜200℃、であることが好ましい。
本発明の遠赤外線吸収剤(B)が体積平均粒子径0.1〜30μmである無機粒子、またはリン原子を含有する有機化合物であることが好ましい。
本発明の遠赤外線吸収剤(B)をレーザー焼結積層造形用樹脂粉末の0.1〜20重量%含有することが好ましい。
本発明の遠赤外線吸収剤(B)が珪酸塩鉱物またはリン酸エステル類であることが好ましい。
本発明のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末は、体積平均粒子径が1〜200μmであることが好ましい。
本発明に用いられる環状オレフィン系(共)重合体(A)が下記式(II)で表される構造単位を有する環状オレフィン系開環(共)重合体であることが好ましい。
Figure 2010090350
[式(II)中、aおよびbは独立に0または1を示し、cおよびdは独立に0〜2の整数を示し、Xは−CH−CH−または−CH=CH−で表される基を表し、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜40の炭化水素基;または極性基を示す。また、R10とR11、またはR12とR13とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R10またはR11とR12またはR13とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合した多環構造でもよい。)を形成してもよい。]
本発明によれば、遠赤外線の吸収性に優れたレーザー焼結積層造形用樹脂粉末が得られるため、赤外線レーザーを用いた加工に好適に使用でき、また、環状オレフィン系(共)重合体が有する耐熱性・透明性を保持したまま遠赤外線レーザーを用いた彫刻、切削、マーキング、立体物造形等に好適に使用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末は、環状オレフィン系(共)重合体(A)、遠赤外線吸収剤(B)を含有する樹脂組成物を用いて形成される。
本発明は下記一般式(I)で表されるノルボルネン系単量体から誘導される下記(1)〜(6)の何れかの環状オレフィン系(共)重合体Aと遠赤外線吸収剤(B)とを含有する樹脂組成物であって、(共)重合体(A)と遠赤外線吸収剤(B)との重量比が(共)重合体A:赤外線吸収剤(B)=99.99:0.01〜70:30であることを特徴とするレーザー焼結積層造形用樹脂粉末を提供するものである。以下詳細に説明する。
(1)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体
(2)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体を水素添加して得られる環状オレフィン系開環(共)重合水添体
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した環状オレフィン系開環(共)重合水添体。
(4)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体の環状オレフィン系付加(共)重合体
(5)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体とエチレンまたは1置換エチレンとの付加共重合体
(6)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
Figure 2010090350
[式(I)中、aおよびbは独立に0または1を示し、cおよびdは独立に0〜2の整数を示し、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜40の炭化水素基;または極性基を示す。また、R10とR11、またはR12とR13とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R10またはR11とR12またはR13とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合した多環構造でもよい。)を形成してもよい。]
前記ハロゲン原子としては、たとえばフッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
前記置換または非置換の炭素数1〜40の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;
メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10のアルキル基の少なくとも1つの水素が、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などで置換されている基;
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;
メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基で置換された、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアルキル基置換アリール基;などを挙げることができる。
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基を介して結合していてもよい。
前記連結基としては、たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)およびシロキサン結合(−OSi(R)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基)等が挙げられ、これらを複数含む基であってもよい。
前記極性基としては、たとえば、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基およびカルボキシル基など挙げられる。
さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等;
カルボニルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等;
アリーロキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等;
トリオルガノシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等;
トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等;
アミノ基としては、第1級アミノ基;
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等;
アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
上述のようにR10とR11、またはR12とR13とは一体化して2価の炭化水素基(環状構造のものなど)を形成してもよく、またR10またはR11とR12またはR13とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合した多環構造でもよい。)を形成してもよい。
前記式(I)で表される単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−5―メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−シクロヘキセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリn-プロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリn-ブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
スピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]
などを挙げることができる。
(I)で表される単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの(I)で表される単量体のうち、aおよびbはそれぞれ独立に0または1であるが好ましくはa=b=0である。また、cおよびdは独立に0〜2の整数を示すが、好ましくは0〜1、より好ましくはc=0且つd=0またはd=1である。a〜dがこの範囲であると単量体製造の原料の入手性および経済性、並びに単量体の生産性が優れるので好ましい。
上記式(I)中、R4〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示すが、好ましくは水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基、さらに好ましくは水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基、特に好ましくは水素原子である。R4〜Rが上記の基であると単量体製造時の収率が良好であるため好ましい。
また、R10〜R13はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または極性基を示すが、R10およびR11またはR12およびR13の何れかが水素原子であるか、R10またはR11とR12またはR13とが結合して環構造を形成していることが好ましい。R10〜R13が上記の構造であると単量体製造が容易で、当該単量体から得られる環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
このような好ましい単量体としては例えば下記のものを挙げることができる。ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン。
これらの中でも[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが特に好ましい。
(共重合性単量体)
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、などのシクロオレフィンを挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体/共重合性単量体の好ましい使用範囲は、重量比で100/0〜50/50であり、さらに好ましくは100/0〜60/40である。
(開環重合触媒)
本発明に用いられる開環(共)重合用の触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN,J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。
このような触媒としては、たとえば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pbなどの化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなるメタセシス重合触媒が挙げられる。この触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第4族〜8族遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体などからなるメタセシス触媒が挙げられる。
上記(a)成分として適当なW、Mo、Re、VおよびTiの化合物の代表例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4など特開平01−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(b)成分としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができ、さらに特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
上記触媒(d)の代表例としては、W(=N−2,6−C63 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Mo(=N−2,6−C63 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh)(PC611)2Cl2などが挙げられる。
(重合反応用溶媒)
開環重合反応において用いられる溶媒(分子量調節剤溶液を構成する溶媒、特定単量体および/またはメタセシス触媒の溶媒)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタン等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類などを挙げることができ、これらは1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量比)」が、通常、1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
(分子量調節剤)
得られる開環(共)重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節する。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。
これらの分子量調節剤は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
開環共重合体を得るには、開環重合工程において、特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させてもよいが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を開環重合させてもよい。
以上のようにして得られる開環(共)重合体は、そのままでも用いられるが、これをさらに水素添加して得られた水素添加(共)重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
(水素添加触媒)
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、公知の不均一系触媒および均一系触媒をいずれも用いることができる。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、(アセトキシ)カルボニル(ヒドリド)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、(4−ペンチルベンゾイロキシ)カルボニル(ヒドリド)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの水素添加触媒は、適宣その添加量を調整する必要があるが、通常は、「開環(共)重合体:水素添加触媒(重量比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用するのが望ましい。
(フリーデルクラフト反応による環化)
(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は特に限定されるものではないが、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。酸性化合物としては、具体的には、AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl、CH2ClCOOH、ゼオライト、活性白土などのルイス酸、ブレンステッド酸が用いられる。
環化された開環(共)重合体は、(2)の開環(共)重合体と同様に水素添加できる。
さらに、環状オレフィン系樹脂として、(4)上記特定単量体の付加(共)重合体も使用できる。(4)上記特定単量体の付加(共)重合体を得るためには例えば特開2008-115379号公報に記載の方法を用いることができる。
さらに、環状オレフィン系(共)重合体(A)として、(5)上記特定単量体とエチレンまたは1置換エチレンとの付加共重合体も使用できる。
(1置換エチレン)
1置換エチレンとしては、例えば、プロピレン、ブテンなど、好ましくは炭素原子数2〜12、さらに好ましくは炭素原子数2〜8のαオレフィン系化合物を挙げることができる。
特定単量体/エチレンまたは1置換エチレンの好ましい使用範囲は、重量比で90/10〜40/60であり、さらに好ましくは85/15〜50/50である。
本発明において、(5)特定単量体とエチレンまたは1置換エチレンとの飽和共重合体を得るには、通常の付加重合法を使用できる。
(付加重合触媒)
上記(5)の(共)重合体を合成するための触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれた少なくとも1種と、助触媒としての有機アルミニウム化合物とが用いられる。
ここで、チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを、またジルコニウム化合物としてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができる。
さらに、バナジウム化合物としては、式:
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。)
で表されるバナジウム化合物、またはこれらの電子供与付加物が用いられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体;アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
さらに、助触媒としての有機アルミニウム化合物としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合またはアルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種が用いられる。
上記において、例えば、バナジウム化合物を用いる場合におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との比率は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)が2以上であり、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
付加重合に使用される重合反応用溶媒は、開環重合反応に用いられる溶媒と同じものを使用することができる。また、得られる(5)飽和共重合体の分子量の調節は、通常、水素を用いて行われる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂として、(6)上記特定単量体、およびビニル系環状炭化水素系単量体またはシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型共重合体およびその水素添加共重合体も使用できる。
(ビニル系環状炭化水素系単量体)
ビニル系環状炭化水素系単量体としては、例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体;4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタン等のビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン等のビニルシクロヘキセン系単量体;4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサン等のビニルシクロヘキサン系単量体;スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン等のスチレン系単量体;d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテン等のテルペン系単量体;4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテン等のビニルシクロヘプテン系単量体;4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタン等のビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。
好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
(シクロペンタジエン系単量体)
(6)付加型共重合体の単量体に使用されるシクロペンタジエン系単量体としては、例えば、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。好ましくはシクロペンタジエンである。これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
上記特定単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体は、例えば特許3277568号に記載の方法と同様の付加重合法で得ることができる。
また、上記付加型(共)重合体の水素添加(共)重合体は、上記(2)開環(共)重合体の水素添加(共)重合体と同様の水添法で得ることができる。
これらの環状オレフィン系樹脂(1)〜(6)のうち、好ましくは(2)〜(5)、特に好ましくは(2)である。(2)の環状オレフィン系単量体の開環重合体を水素添加して得られる開環(共)重合水添体は耐熱性、機械的強度、加工性、透明性、および生産性等に優れるため好ましい。
本発明に用いられる環状オレフィン系(共)重合体としては、上記(1)〜(6)の環状オレフィン系(共)重合体の中でも、下記式(II)で表される構造単位を有する上記(1)〜(3)の環状オレフィン系開環(共)重合体であると透明性、耐熱性、機械的な強度に優れる点で好ましい。
Figure 2010090350
上記式(II)中のX、R4〜R13、a〜dは前述と同様である。
(特性)
本発明で用いられる環状オレフィン系(共)重合体(A)の好ましい分子量は、ウベローデ粘度計で測定した対数粘度〔η〕inhで0.30〜0.95dL/g、さらに好ましくは0.32〜0.8dL/g、特に好ましくは0.35〜0.75dL/gであり、テトラヒドロフランに溶解してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量〔Mw〕は30,000〜200,000、さらに好ましくは31,000〜180,000、特に好ましくは32,000〜160,000の範囲のものが好適である。また、分子量分布〔Mw/Mn〕は、好ましくは1.5〜10.0、さらに好ましくは1.7〜8.0であり、さらに好ましくは2.0〜6.0である。
対数粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあることによって、環状オレフィン系(共)重合体(A)の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性が良好となる。
本発明に用いられる環状オレフィン系(共)重合体(A)のDSCを用いて測定したガラス転移温度〔Tg〕としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは115〜250℃、特に好ましくは115〜200℃である。Tgが110℃未満の場合は、高温条件下での使用時に変形するので好ましくない。一方、Tgが350℃を超えると、成形加工が困難になり、また成形加工時の加熱温度を高くする必要が生じるため、熱によって樹脂が劣化する可能性が高くなる。
(環状オレフィン系(共)重合体(A)以外の樹脂成分)
環状オレフィン系(共)重合体(A)以外の樹脂成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、または公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを、好ましくは樹脂成分100重量%とするとき0〜60重量%で配合することができる。
〔添加剤〕
本発明に用いられる環状オレフィン系(共)重合体(A)は公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、染料、蛍光増白剤等の樹脂添加剤を含むことができる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
上記酸化防止剤としては、下記の商品をあげることができる。チバ・ジャパン株式会社製;Irganox1010、Irganox1035、Irganox1076、Irganox1330、Irganox245、Irgafos168、Irgafos38、株式会社ADEKA製;アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−330、アデカスタブ2112。
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ペンチルフェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル4,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,2'-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-[(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]〕などが挙げられる。
さらに、加工性を向上させる目的で滑剤、離型剤などの添加剤を添加することもできる。また、色相を調整するために染料や蛍光剤を添加することもできる。
〔赤外線吸収剤(B)〕
遠赤外線吸収剤(B)は遠赤外線の波長領域に吸収を有するものであればその種類に限定は無く、有機染料、有機顔料、無機染料、無機顔料、その他の有機物または無機物等の何れをも使用することが出来る。また、これらの遠赤外線吸収剤は本発明の効果を損なわない範囲で着色した物でもよく、無色の物でも良い。遠赤外線吸収剤(B)は使用目的により色や吸収特性を適宜選択するが好ましい。この様な遠赤外線吸収剤(B)としては無機粒子または含リン化合物を挙げることができる。
特に好ましい遠赤外線吸収剤(B)としては珪酸塩鉱物またはリン酸エステル化合物を挙げることができる。
無機粒子の多くは熱的に安定であり、また環状オレフィン系(共)重合体(A)のガラス転移温度等の耐熱特性を損なわず、さらに、その粒径・形状等が多様であり各種目的を満足し得るため好ましい。具体的には炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、等の炭酸塩類、珪酸塩白土、雲母、カオリン鉱物、雲母粘土鉱物、スメクタイト、蛇紋石鉱物、タルク、緑泥石、バーミキュライト、等の粘度鉱物・珪酸塩鉱物を挙げることができる。
これらのうち珪酸塩鉱物が好ましく、特に好ましくは雲母類である。無機粒子の形状は特に限定されず、球形、針状、その他の不定形であっても良い。粒径は一次体積平均粒径として通常0.1〜30μm、好ましくは0.3〜28μm、特に好ましくは0.5〜25μmである。平均粒子系が30μmよりも大きいと環状オレフィン系(共)重合体(A)が有する透明性を著しく損なうため好ましくない。
リン原子含有化合物としてはリン酸、リン酸エステル類、ポリリン酸、亜リン酸、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル類を挙げることができる。これらのうち、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類、ホスホン酸エステルが腐食性が低く、環状オレフィン系(共)重合体(A)への相溶性に優れるため好ましいく、リン酸エステル類が特に好ましい。
具体例としては、(RO−)3P、(RO−)3P=O、またはR(RO−)2P=O構造(但し、同一分子内に存在する複数のRは同一でも異なっても良い)を有する化合物であればよく、例えば、トリフェニルホスファイト、フェニルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、クレジルビス(ジ-2,6-キシレニル)ホスフェート、ジー2−エチルヘキシルホスフェート、レゾルシノールビス(ジー2,6−キシレニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、4,4‘−ビフェノールビス(ジフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
これらの中でもクレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、クレジルビス(ジ-2,6-キシレニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジー2,6−キシレニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、4,4‘−ビフェノールビス(ジフェニル)ホスフェートが低揮発性であるため好ましく、レゾルシノールビス(ジー2,6−キシレニル)ホスフェート、4,4‘−ビフェノールビス(ジフェニル)ホスフェートは固形でありドライブレンドプロセスに適していることから特に好ましい。
無機化合物とリン酸エステル化合物とは耐熱性や透明性等の要求される品質レベルに応じて選択することができ、それぞれについて単独または複数種用いても良く、更に無機化合物とリン酸エステル化合物を複合的に用いても良い。
本発明に用いられる樹脂組成物は赤外線吸収剤(B)を必須の成分として含有するが、その添加量は環状オレフィン系(共)重合体(A)と赤外線吸収剤(B)との重量比として環状オレフィン系(共)重合体(A):赤外線吸収剤(B)=99.99:0.01〜70:30の範囲であり、好ましくは99.95:0.05〜75:25、特に好ましくは99.9:0.1〜80:20である。赤外線吸収剤(B)添加量がこの範囲よりも多いと環状オレフィン系(共)重合体(A)が本来有する透明性や耐熱性性を損ない、また、この範囲よりも少ないと遠赤外線エネルギーの利用効率が低下するため好ましくない。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本発明に用いられる樹脂組成物を製造する方法としては例えば下記のような方法を採用することが出来る。
(X)環状オレフィン系(共)重合体(A)の粉末またはペレットと赤外吸収剤とを二軸押出し機等で混練する方法。
(Y)環状オレフィン系(共)重合体(A)の有機溶媒溶液と、遠赤外吸収剤(B)、遠赤外吸収剤(B)の溶液、または遠赤外吸収剤(B)の分散液とを混合し、公知の脱溶装置にて脱溶する方法。
このようにして得られる樹脂組成物の形状はペレット状にした後、射出成型、押出し成型、溶剤に溶解してキャスト成型する等して更に他の形状に加工しても良い。
〔レーザー焼結積層造形用樹脂粉末の製造方法〕
本発明に用いられる樹脂組成物を樹脂粉末状に加工する方法としては、下記(1)〜(5)が好ましい。
(1)上記方法(X)で得られる環状オレフィン系(共)重合体(A)と遠赤外吸収剤 (B)とを含有するペレットをハンマーミル、ジェットミル、等の公知の粉砕機 を用いて常温または低温で粉砕する方法。
(2)上記方法(X)で得られる環状オレフィン系(共)重合体(A)と遠赤外吸収剤 (B)とを含有するペレットを、本発明の樹脂組成物と非相溶性の異種高分子材 料とを混練して分散させた後に、特開2007-217651号公報に記載の方法で本発明 の樹脂組成物のみが溶解しない溶剤で溶解し回収する。
(3)上記方法(Y)で得られる環状オレフィン系(共)重合体(A)の有機溶媒溶液 と、遠赤外吸収剤(B)の溶液、または遠赤外吸収剤(B)の分散液との混合溶 液または乳濁液を特表2000-504642号公報に記載の方法で噴霧乾燥する方法。
(4)上記方法(Y)で得られる環状オレフィン系(共)重合体(A)の有機溶媒溶液 と、遠赤外吸収剤(B)、遠赤外吸収剤(B)の溶液、または遠赤外吸収剤 (B)の分散液との混合物溶液または乳濁液を適当な界面活性剤を含有する水中 に乳化分散させた後、樹脂組成物が溶解しないアルコール等の溶媒中に樹脂組成 物粒子を凝固させてフィルター等で回収する方法。
(5)上記方法(Y)で得られる環状オレフィン系(共)重合体(A)の有機溶媒溶液 と、遠赤外吸収剤(B)、遠赤外吸収剤(B)の溶液、または遠赤外吸収剤 (B)の分散液との混合物溶液または乳濁液を特許3260684号公報に記載 の方法で再沈殿させて回収・乾燥する方法。
このようなレーザー焼結積層造形用樹脂粉末は、公知のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末の用途として使用することができるが、例えば特許第3621703号公報に記載の炭酸ガスレーザーを用いた粉末造形用途として特に好ましく用いることができる。
レーザー焼結積層造形用樹脂粉末の体積平均粒径は1〜200μmであることが好ましく、5〜180μmがより好ましく、10〜150μmが特に好ましい。粒子径がこの範囲よりも小さいと粒子を加工する際に粒子が舞いやすく作業性が悪化することがあり、またこの範囲よりも大きいと粉末造形用途等に使用する際に加工物の寸法精度が悪化するので好ましくない。
〔樹脂組成物〕
環状オレフィン系(共)重合体(A)と遠赤外吸収剤(B)を含有してなる本発明に用いられる樹脂組成物は、100μm厚みのフィルムに加工した時、波数945cm−1における吸光度が0.36以上である事が好ましく、0.37以上がより好ましく、0.4以上が特に好ましい。吸光度が0.36未満であると赤外線の吸収性が低いため赤外線を用いた加工の際に熱効率が低下する等の問題を生じることがある。
また本発明の樹脂組成物は100μm厚みに加工したフィルムの全光線透過率が通常85%以上、好ましくは88%以上、特に好ましくは90%以上であり、また、ヘーズは通常10%以下、好ましくは9%以下、好ましくは8%以下である。透過率が85%未満またはヘーズが10以上であると本発明の樹脂組成物を加工して得られる成形体を作成した際に、その内部の視認性が低下するため好ましくない。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
GPC:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC-8220GPC、カラム;東ソー(株)製ガードカラムHXL-H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒;テトラヒドロフラン、流速;1mL/min、サンプル濃度0.7〜0.8wt%、注入量;70μL、測定温度;40℃、検出器;RI(40℃)、標準物質;東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
<NMR>:超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中でH−NMRを測定し、共重合組成比および水素添加率を算出した。
<対数粘度>:ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した。
<ガラス転移温度>:示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製、商品名:DSC6220)を用いて、日本工業規格K7121に従って補外ガラス転移開始温度を求めた。以下、単にガラス転移温度(Tg)という。
<粒度分布>:日機装(株)製マイクロトラックMT3300を用いて測定した。
<ヘーズ・全光線透過率>:(株)村上色彩技術研究所製HM-150型ヘーズメーターを用いJIS K 7105に準じて一定厚みのフィルムの任意の3箇所の全光線透過率・ヘーズを測定してその平均値を採用した。
<遠赤外線吸収強度>:
(株)堀場製作所製赤外分光光度計FT−720を用いて945cm-1の吸光度を測定した。
[合成例1]
単量体として下記式(1a)に示す8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン100g、分子量調節剤として1−へキ
セン7.2g、およびトルエン200gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱
した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液0.21mL
、およびメタノール変性WCl6トルエン溶液(0.025モル/L)0.86mLを加
え、80℃で1時間反応させることにより開環重合体を得た。次いで、得られた開環重合
体溶液に水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(C6533を0.04g添
加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた
。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物
を得た[ガラス転移温度(Tg)=163℃、重量平均分子量(Mw)=6.7×10、分子量分布(Mw/Mn)=5.0、対数粘度0.45dL/g、収量90g(収率
90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であ
った。以後、得られた開環重合体水素添加物を環状オレフィン系(共)重合体(1A)とする。
Figure 2010090350
[合成例2]
前記式(1a)で表される単量体144g、下記式(2a)で表される単量体6g、分
子量調節剤として1−へキセン14.4g、およびトルエン225gを窒素置換した反応
容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)
のトルエン溶液0.34mL、およびメタノール変性WCl6トルエン溶液(0.025
モル/L)1.37mLを加え、80℃で1時間反応させることにより開環重合体を得た
。次いで、得られた開環重合体溶液に水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(
6533を0.06g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃
の温度で、3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿
させることにより水素添加物を得た[ガラス転移温度(Tg)=154℃、重量平均分子
量(Mw)=7.4×104、分子量分布(Mw/Mn)=4.2、対数粘度0.55d
L/g、収量90g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添
加率は99.0%以上であった。以後、得られた開環重合体水素添加物を環状オレフィン系(共)重合体(2A)とする。
Figure 2010090350
〔実施例1〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を47.52g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として商品名:Laserfrair800(Merck株式会社製、15μm以下に分級された雲母) を0.48g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(1)を得た。
樹脂組成物(1)の外観は透明であり、ガラス転移温度は163℃であった。また、100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.49、全光線透過率は91.7%、ヘーズは4.1%であった。
〔実施例2〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を46.56g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として商品名:Laserfrair800(Merck株式会社製、15μm以下に分級された雲母) を1.44g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(2)を得た。
樹脂組成物(2)の外観は透明であり、ガラス転移温度は163℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.85、全光線透過率は91%、ヘーズは5.2%であった。
〔実施例3〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を45.6gg、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および赤外吸収剤として商品名:Laserfrair800(Merck株式会社製、15μm以下に分級された雲母) を2.4g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(3)を得た。
樹脂組成物(3)の外観は透明であり、ガラス転移温度は163℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は1.05、全光線透過率は91%、ヘーズは5.7%であった。
〔実施例4〕
合成例2で得た環状オレフィン系(共)重合体(2A)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(4)を作成した。
樹脂組成物(4)の外観は透明であり、ガラス転移温度は154℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.54、全光線透過率は92.5%、ヘーズは2.3%であった。
〔実施例5〕
合成例2で得た環状オレフィン系(共)重合体(2A)を用いたこと以外は実施例2と同様にして樹脂組成物(5)を作成した。
樹脂組成物(5)の外観は透明であり、ガラス転移温度は154℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.97、全光線透過率は92.3%、ヘーズは2.8%であった。
〔実施例6〕
合成例2で得た環状オレフィン系(共)重合体(2A)を用いたこと以外は実施例3と同様にして樹脂組成物(6)を作成した。
樹脂組成物(6)の外観は透明であり、ガラス転移温度は154って℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は1.13、全光線透過率は92%、ヘーズは3.4%であった。
〔実施例7〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を46.56g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として大八化学工業(株)製PX-200を1.44g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(7)を得た。
樹脂組成物(7)の外観は透明であり、ガラス転移温度は153℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.76、全光線透過率は93%、ヘーズは2%であった。
〔実施例8〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を45.6g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として大八化学工業(株)製PX−200(燐酸エステル化合)を2.4g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(8)を得た。
樹脂組成物(8)の外観は透明であり、ガラス転移温度は144℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.98、全光線透過率は93%、ヘーズは2%であった。
〔実施例9〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を46.56g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として下記式(1b)で表される4,4‘−ビフェノールビス(ジフェニル)ホスフェートを1.44g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(9)を得た。
樹脂組成物(9)の外観は透明であり、ガラス転移温度は154℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.88、全光線透過率は93%、ヘーズは2%であった。
Figure 2010090350

〔実施例10〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を45.6g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として下記式で表される4,4‘−ビフェノールビス(ジフェニル)ホスフェートを2.4g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(10)を得た。
樹脂組成物(10)の外観は透明であり、ガラス転移温度は145℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は1.16、全光線透過率は93%、ヘーズは2%であった。
〔比較例1〕
遠赤外吸収剤(B)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(11)を得た。樹脂組成物(11)の外観は透明であり、ガラス転移温度は163℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.36、全光線透過率は93%、ヘーズは2.3%であった。
〔比較例2〕
遠赤外吸収剤(B)を用いなかったこと以外は実施例4と同様にして樹脂組成物(12)を得た。樹脂組成物(12)の外観は透明であり、ガラス転移温度は153℃であった。100μm厚みにプレス成型したフィルムの波数945cm-1における吸光度は0.36、全光線透過率は93%、ヘーズは2.0%であった。
〔比較例3〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を32g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として商品名:Laserfrair800(Merck株式会社製、15μm以下に分級された雲母) を16g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(13)を得た。
樹脂組成物(13)の外観は不透明であり、プレス成型を実施したところ強度不足により評価用フィルムを得ることができなかった。
〔比較例4〕
合成例1で得た環状オレフィン系(共)重合体(1A)を32g、チバ・ジャパン(株)製Irganox1010 を0.14g、および遠赤外吸収剤(B)として大八化学工業(株)製PX−200を16g計量してラボプラストミルにて280℃で25分間混錬して樹脂組成物(14)を得た。
樹脂組成物(14)の外観は透明であったが、ガラス転移温度は80℃と低く環状オレフィン系樹脂の特徴である耐熱性を発揮できるものではなかった。
本発明のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末は遠赤外線吸収性に優れるため、耐熱性および透明性にも優れた立体造形物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される下記(1)〜(6)の何れかの環状オレフィン系(共)重合体Aと遠赤外線吸収剤(B)とを含有する樹脂組成物であって、(共)重合体(A)と遠赤外線吸収剤(B)との重量比が(共)重合体A:赤外線吸収剤(B)=99.99:0.01〜70:30であることを特徴とするレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
    (1)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体
    (2)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体を水素添加して得られる環状オレフィン系開環(共)重合水添体
    (3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した環状オレフィン系開環(共)重合水添体。
    (4)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体の環状オレフィン系付加(共)重合体
    (5)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体とエチレンまたは1置換エチレンとの付加共重合体
    (6)下記一般式(I)で表される環状オレフィン系単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
    Figure 2010090350
    [式(I)中、aおよびbは独立に0または1を示し、cおよびdは独立に0〜2の整数を示し、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜40の炭化水素基;または極性基を示す。また、R10とR11、またはR12とR13とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R10またはR11とR12またはR13とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合した多環構造でもよい。)を形成してもよい。]
  2. 100μmの厚みの板状成型物に加工した際に、下記a)〜c)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
    a)波数945cm−1における吸光度が0.36以上
    b)全光線透過率が85%以上
    c)ヘーズが10%以下
  3. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30,000〜200,000、対数粘度が0.30〜0.95dL/g、ガラス転移温度が110〜200℃、である前記環状オレフィン系(共)重合体(A)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
  4. 前記遠赤外線吸収剤(B)が体積平均粒子径0.1〜30μmである無機粒子、またはリン原子を含有する有機化合物であることを特徴とする請求項1〜3に記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
  5. 前記遠赤外線吸収剤(B)をレーザー焼結積層造形用樹脂粉末の0.1〜20重量%含有することを特徴とする請求項1〜4に記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
  6. 前記遠赤外線吸収剤(B)が珪酸塩鉱物またはリン酸エステル類であることを特徴とする請求項1〜5に記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
  7. 体積平均粒子径が1〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
  8. 環状オレフィン系(共)重合体(A)が下記式(II)で表される構造単位を有する環状オレフィン系開環(共)重合体であることを特徴とする請求項1〜7何れかに記載のレーザー焼結積層造形用樹脂粉末。
    Figure 2010090350
    [式中Xは−CH−CH−または−CH=CH−で表される基を表し、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜40の炭化水素基;または極性基を示す。また、R10とR11、またはR12とR13とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R10またはR11とR12またはR13とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合した多環構造でもよい。)を形成してもよい。]
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