JP2007106931A - 光学用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明の光学用フィルムは、炭化水素基および極性基を置換基として有する環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体と、常温で固体の特定分子量の炭化水素樹脂とを含有する熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴としている。また、本発明の光学用フィルムの製造方法は、前記熱可塑性樹脂組成物を、溶融成形法または溶液流延法によりフィルム化し、溶剤除去行程を経た後、得られたフィルムを加熱処理することを特徴としている。
【効果】本発明によれば、環状オレフィン系共重合体の有する耐熱性、耐湿熱性などの優れた特性を保持し、残留位相差が小さく、表面平滑性が高く、経時的安定性にも優れ、保護フィルムなどとして好適な光学用フィルムおよびその製造方法を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学用フィルムおよびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、特定の環状オレフィン系開環重合体および炭化水素樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物からなる、残留位相差の発生が抑制された、保護フィルムに好適な光学用フィルムおよびその製造方法に関する。
環状オレフィン系共重合体は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するために非晶性で光線透過率が高く、しかも屈折率の異方性が小さいことによる低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている。かかる環状オレフィン系共重合体としては、例えば特許文献1〜6に開示されているものが挙げられる。
近年、上記の特徴を利用して、例えば光学用フィルム、光ディスク、光学レンズ、光ファイバーなどの光学材料、光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状オレフィン系共重合体を応用することが検討されている。
また、従来から光学用フィルムとして使用されているポリカーボネート、ポリエステルあるいはトリアセチルアセテート等のフィルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力変化により位相差が発現したり変化する、あるいは耐熱性や吸水変形等の問題があるため、環状オレフィン系共重合体からなるフィルムが光学用の各種フィルムとして提案されており、たとえば、特許文献7〜10には、環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムからなる位相差板が提案されている。
また、特許文献11〜13には、環状オレフィン系共重合体のフィルムを偏光板の保護フィルムに使用することが開示されている。さらに、特許文献14には、環状オレフィン系共重合体のフィルムからなる液晶表示素子用基板が開示されている。
これらの環状オレフィン系共重合体のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、フィルム製造時に生じる残留位相差により偏光性能の低下を招くという問題が生じることがある。
本発明者は、このような状況に鑑みて鋭意研究した結果、炭化水素基および極性基を置換基として有する環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体と、常温で固体の特定分子量の炭化水素樹脂とを含有する熱可塑性樹脂組成物が、光学用フィルムの材料として好適であり、該熱可塑性樹脂組成物からなる光学用フィルムが、残留位相差が小さく、耐熱性、経時安定性にも優れ、偏光板の保護フィルムなどの用途に特に好適であることを見出して本発明を完成するに至った。
特開平1−132625号公報 特開平1−132626号公報 特開昭63−218726号公報 特開平2−133413号公報 特開昭61−120816号公報 特開昭61−115912号公報 特開平4−245202号公報 特開平4−36120号公報 特開平5−2108号公報 特開平5−64865号公報 特開平5−212828号公報 特開平6−51117号公報 特開平7−77608号公報 特開平5−61026号公報
本発明は、残留位相差が小さく優れた光学特性を有し、しかも、表面平滑性が高く、保護フィルムとして好適な光学用フィルムおよびその製造方法を提供することを課題としている。また本発明は、他の材料との密着性および接着性が良好で、透過光に与える位相差(本発明において、「位相差」とは、レターデーション(Retardation)を意味する。)の均一性が高く、またこの位相差の特性が環境の温度や湿度に影響されにくく、かつ、経時的安定性に優れながら、フィルム生産時に生じる残留位相差を低減した、液晶ディスプレイなどの光学部材として有用な光学用フィルムおよびその製造方法を提供することを課題としている。
本発明の光学用フィルムは、
(A)下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体、および、
(B)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が20,000以下であり、かつ、常温で固体の炭化水素樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴としている。
Figure 2007106931
(式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)
本発明の光学用フィルムにおいては、 前記熱可塑性樹脂組成物が、DSCの微分示差走査熱量曲線が単ピークを示し、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。
本発明の光学用フィルムにおいては、前記式(1)で表される構造単位中の極性基が、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
−(CH2pCOOR’ …(2)
(式(2)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
本発明の光学用フィルムにおいては、(B)炭化水素樹脂が、下記式(B−1)で表される構造単位および(B−2)で表される構造単位を有する共重合体であることが好ましい。
Figure 2007106931
(式中、R5は水素原子またはメチル基であり、aは0または1である。)
Figure 2007106931
(式中、bは0または1である。)
本発明の光学用フィルムは、偏光板保護フィルムであることが好ましい。
本発明の光学用フィルムの製造方法は、
(A)下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体、および、
(B)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が20,000以下であり、かつ、常温で固体の炭化水素樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を、溶融成形法または溶液流延法によりフィルム化し、溶剤除去行程を経た後、得られたフィルムを加熱処理することを特徴としている。
Figure 2007106931
(式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)
本発明の光学用フィルムの製造方法では、加熱処理を、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度の+5℃〜−10℃以下の温度で行うことが好ましい。
本発明によれば、環状オレフィン系共重合体の有する耐熱性、耐湿熱性などの優れた特性を保持し、しかも残留位相差が小さくかつこの位相差特性が環境の温度や湿度に影響されにくく、表面平滑性が高く、経時的安定性にも優れ、保護フィルムなどとして好適な光学用フィルムおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の光学用フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、(A)環状オレフィン系重合体と、(B)炭化水素樹脂とを含有する。
(A)環状オレフィン系重合体
本発明に係る(A)環状オレフィン系重合体は、下記式(1)で表される構造単位を有する。
Figure 2007106931
(式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)
前記式(1)で表される構造単位は、開環(共)重合により、下記式(1’)で表される環状オレフィン系単量体(1)から誘導される。
Figure 2007106931
(式(1’)中、mおよびR1〜R4は、前記式(1)と同様であって、mは0、1または2であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)
式(1)あるいは(1’)において、極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば炭素原子数1〜
10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−N
HCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エ
チルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
環状オレフィン系単量体(1)としては、具体的には、例えば、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−メトキシカ
ルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデ
カ−3−エン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニル−テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−フェノキ
シカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等を挙げ
ることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
これらの中で特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセンの重合体は(B)成分との相溶性に優れ、さらに最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物が耐熱性に優れたものとなる点で好ましい。
本発明では、前記式(1)で表される構造単位における極性基が、下記式(2)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(1)で表される構造単位で表される環状オレフィン系単量体(1)は、R1〜R4の少なくとも一つが、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
−(CH2pCOOR’ …(2)
(式(2)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)
上記式(2)において、nの値が小さいものほど、また、R’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、nは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R’は通常炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
さらに、上記式(1)において、上記式(2)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合には、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図る上で好ましい。当該アルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
本発明に係る(A)環状オレフィン系重合体は、上記式(1)で表される1種以上の構造単位のみからなる重合体であってもよいが、上記式(1)で表される構造単位以外の構造単位を含有していてもよい。すなわち、本発明に係る(A)環状オレフィン系重合体は、上述した環状オレフィン系単量体(1)の1種以上と、共重合性単量体との共重合体であってもよい。
上記式(1)で表される構造単位以外の構造単位としては、例えば、下記式(3)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2007106931
(式(3)中、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基であり、R5〜R10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)、
上記式(3)で表される構造単位は、下記式(3’)で表される環状オレフィン系単量体を開環共重合することにより得ることができる。
Figure 2007106931
(式(3’)中、R5〜R10は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。)
上記式(3)あるいは(3’)において、ハロゲン原子、炭化水素基および極性基は、式(1)に関して述べたものと同様である。
このような式(3’)で表される環状オレフィン系単量体としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−イソプロピル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−8−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エ
ン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,7−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
等を挙げることができるが、これらの例示に限定されるものではない。
また、上記式(3)で表される構造単位は、下記式で表される環状オレフィン系単量体(3’’)(ただし、R5〜R7およびR9は式(3)と同様)を開環共重合し、その後に
五員環を水素添加することによっても得ることができる。
Figure 2007106931
このような環状オレフィン系単量体(3’’)としては、具体的には、たとえば、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(DCP)、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
8−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
9−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−フェノキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−メチル−7−メトキシカルボニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7
−ジエン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7,8−ジフルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン
などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものではない。本発明では、このうち、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエンが特に好ましく用いられる。
共重合性単量体としては、さらに、下記式(4)で表される環状オレフィン系単量体(4)を挙げることができる。
Figure 2007106931
(式(4)中、nは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基又は式:−CH2CH2−で表される基を表す。)。
このような環状オレフィン系単量体(4)としては、具体的には、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
ヘキサシクロ [6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプト−4−エン
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
よりなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、このうちビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましく用いられる。
・重合
本発明に係る(A)環状オレフィン系重合体は、上述した環状オレフィン系単量体(1)と、必要に応じて共重合性単量体とを、メタセシス触媒の存在下に開環(共)重合し、さらに必要に応じて水素添加して調製することができる。
このメタセシス触媒は、好ましくは、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、III B族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C49 Li、(C253 Al 、(C252 AlCl、(C251.5 AlCl1.5 、(C25 )AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に示さ
れる化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と単量体とのモル比で「(a)成分:単量体」が、通常1:500〜1:50000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる範囲であるのが望ましい。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲であるのが望ましい。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲であるのが望ましい。
重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。
好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
重合反応において用いられる溶媒(単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒)としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
重合溶媒の使用量としては、「溶媒:単量体(重量比)」が、通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
・水素添加
本発明に係る(A)環状オレフィン系重合体としては、上述のようにして単量体を重合あるいは共重合したものをそのまま使用することもできるが、水素添加された水素添加重合体を使用することが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触
媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、通常、「重合体:水素添加触媒(重量比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
このように、水素添加することにより得られる水素添加重合体は、優れた熱安定性を有するものとなり、成形加工時や製品としての使用時の加熱によってはその特性が劣化することはない。ここで、水素添加率は、通常50%以上、好ましく70%以上、更に好ましくは90%以上である。
本発明に係る(A)環状オレフィン系重合体は、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )が、好ましくは0.2〜5dl/g、さらに好ましくは0.3〜4dl/gであることが望ましい。また(A)環状オレフィン系重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲のものが好適である。
(B)炭化水素樹脂
本発明に係る(B)炭化水素樹脂は、常温で固体であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量が20,000以下、好ましくは100〜20,000、さらに好ましくは200〜10,000,特に好ましくは300〜5,000のものである。
これらの(B)炭化水素樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量が高すぎると、極性基を有する環状オレフィン系共重合体との相溶性が悪くなり透明性が低減するので好ましくない。また、常温で液状の炭化水素化合物を用いると、樹脂の強度を低下させやすく、しかも樹脂の表面にブリードしやすくなる。
また、(B)炭化水素樹脂は、水酸基価が200KOHmg/g以下であるものが好ましく、150KOHmg/g以下であるものが特に好ましい。ここでいう水酸基価とは、樹脂1gをJIS K 0070による方法でアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のことである。特に、(A)環状オレフィン系重合体における極性基を有する構造単位の割合が少ない重合体と混合して用いる場合、(B)炭化水素樹脂の水酸基価がより小さいものであると、相溶性に優れるという利点がある。
本発明に係る(B)炭化水素樹脂の具体例としては、C5樹脂、C9樹脂、C5系/C9系混合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ビニル置換芳香族系化合物の重合体系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族化合物の共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、あるいは前記樹脂の水素添加物などを挙げることができる。
これらの中では、 C5樹脂、C9樹脂、C5系/C9系混合樹脂、シクロペンタジエン系
樹脂、ビニル置換芳香族系化合物の重合体系樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でさらに好ましいのは、C9樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、およびこれ
らの共重合体および混合物が挙げられる。さらに好ましくは、上記式(B−1)で表され
る構造単位および(B−2)で表される構造単位を有する共重合体であり、中でも、上記式(B−1)で表されR5 が水素原子である構造単位と、上記式(B−1)で表されR5 がメチル基である構造単位と、上記式(B−2)で表される構造単位とを有する共重合体が特に好ましいものとして挙げられる。具体的には、荒川化学工業(株)製アルコン樹脂(Pタイプ、Mタイプ、KRタイプ)、出光興産(株)製アイマーブ樹脂(Pタイプ)等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂組成物
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上述した(A)環状オレフィン系重合体および(B)炭化水素樹脂を含有するものである。本発明に係る熱可塑性樹脂組成物における(B)炭化水素樹脂の配合割合は、(A)環状オレフィン系重合体100重量部に対して0.1〜90重量部、好ましくは1〜60重量部、さらに好ましくは2〜50重量部,特に好ましくは5〜45重量部である。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、(A)環状オレフィン系重合体および(B)炭化水素樹脂に加えて、さらに組成物の透明性・耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを含有してもよい。
また本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、公知の酸化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン;紫外線吸収剤、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどを添加してもよく、これにより安定化することができる。また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
本発明に係る熱可塑性組成物は、各成分を、熱可塑性樹脂の加工に用いる公知の装置、たとえば、二軸押出機、単軸押出機、連続ニーダー、ロール混練機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて配合して調製することができる。また、(A)環状オレフィン系重合体の溶液に、(B)炭化水素系樹脂をブレンドしてペレット化するなどによっても調製することができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃以上、より好ましくは120〜170℃であるのが望ましい。また、熱可塑性樹脂組成物のDSCの微分示差走査熱量曲線が、単ピークを示すことが好ましい。
<光学用フィルム>
フィルム化
本発明の光学用フィルムは、上記の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルムもしくはシートに成形することにより製造することができる。このうち、膜厚の均一性および表面平滑性が良好になる点から溶剤キャスト法が好ましい。
溶液流延法としては例えば、本発明の熱可塑性樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させて適度の濃度の液にし、適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%にする。該樹脂の濃度を上記未満にすると、フィルムの厚みを確保することが困難になる場合があり、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなる等
の問題が生じる場合がある。一方、上記を超えた濃度にすると溶液粘度が高くなりすぎて得られる光学用フィルムの厚みや表面が均一になりにくくなるために好ましくない。
また、室温での上記溶液の粘度は、通常は1〜1,000,000mP.s、好ましくは10〜100,000mP.s、さらに好ましくは100〜50,000mP.s、特に好ましくは1,000〜40,000mP.sである。
溶液流延法で使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のシクロオレフィン系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が通常10〜30(MPa1/2
、好ましくは10〜25(MPa1/2)、さらに好ましくは15〜25(MPa1/2)、特に好ましくは15〜20(MPa1/2)の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特
性の良好な光学用フィルムを得ることができる。
上述した溶液流延法で用いる溶媒は、単独で若しくは複数を混合して使用することができる。複数を混合して使用する場合には、混合系としたときのSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合系でのSP値の値は、重量比で予測することができ、例えば二種の混合ではそれぞれの重量分率をW1,W2、SP値をSP1,SP2とすると混合系のSP値は下記式:
SP値=W1・SP1+W2・SP2
により計算した値として求めることができる。
熱可塑性樹脂組成物を溶媒で溶解する場合、室温でも高温でもよい。十分に撹拌することにより均一な溶液が得られる。なお、必要に応じて着色する場合には、溶液に色素系や顔料系のカラーを任意量添加することもできる。
また、光学用フィルムの表面平滑性を向上させるためにレベリング剤を添加してもよい。一般的なレベリング剤であれば何れも使用できるが、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが使用できる。
本発明において、光学用フィルムを溶剤キャスト法により製造する方法としては、上記溶液をダイスやコーターを使用して金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、テフロン(登録商標)ベルトなどの基材の上に塗布し、その後溶剤を乾燥して基材よりフィルムを剥離する方法が一般に挙げられる。また、スプレー、ハケ、ロールスピンコート、デッピングなどで溶液を基材に塗布し、その後溶剤を乾燥して基材よりフィルムを剥離することにより製造することもできる。なお、繰り返し塗布することで厚みや表面平滑性等を制御してもよい。
また、基材としてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーテイングやラミネートにより積層す
る方法、あるいは、プラズマ処理、コロナ処理等によりフィルム表面の親水性を上げる方法等が挙げられる。
上記溶液流延法の溶剤除去工程(乾燥工程)については、特に制限はなく一般的に用いられる方法、例えば多数のローラーを介して乾燥炉中を通過させる方法等で実施できるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴い気泡が発生すると、得られる光学用フィルムの特性を著しく低下させるので、これを避けるために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程での温度あるいは風量を制御することが好ましい。
また、光学用フィルム中の残留溶媒量は、通常は10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、残留溶媒量が10重量%以上であると、実際に該光学用フィルムを使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりガラス転移温度が低くなり、耐熱性も低下することから好ましくない。
本発明の光学用フィルムの厚さは、通常は0.1〜3000μm、好ましくは0.1〜
1000μm、さらに好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜300μmである。
0.1μm未満の厚みの場合実質的にハンドリングが困難となる。一方、3000μm以上の場合、ロール状に巻き取ることが困難になる。
本発明の光学用フィルムの厚み分布は、通常は平均値に対して±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。
加熱処理(アニール処理)
乾燥を終了したフィルムは、そのまま本発明に係る光学用フィルムとして用いることもできるが、加熱処理(以下「アニール処理」と呼ぶ)を施して、本発明に係る光学用フィルムとして用いることが好ましい。アニール処理は、フィルムのガラス転移温度+5℃以下の温度、好ましくはガラス転移温度の+5℃〜−10℃以下の温度で、1分〜10時間の範囲で行うことができる。
本発明に係る光学フィルムでは、アニール処理により、フィルム製膜時に生じた残留位相差を低減させることができる。アニール処理が不十分であった場合、得られた本発明による光学フィルムは、期待どおり位相差を低減させることができない場合がある。
一方、アニール処理の温度が高すぎると、フィルムが軟化し成型時の形状を保つ事ができない場合がある。また、アニール処理の温度が低すぎても期待どおり位相差を低減させることができない場合がある。
さらに、アニール処理時間が1分未満ではフィルム温度が十分に上昇せず位相差低減効果が得られず、一方、10時間を超えても、位相差低減効果の向上はあまりない。
アニール処理に用いる装置については特に制限はなく、ホットプレス、ランプアニール装置、オーブン、縦型焼成炉、コンベア炉、ロール式加熱炉など公知のアニール処理装置やフィルム乾燥装置を用いることができる。
アニール処理は、異なる温度条件を複数回行うステップ処理を行っても良い。例えば、100℃、1分間の加熱を行ったのち、さらに、120℃、3分間の加熱を行うなどの方法でアニール処理を行うことができる。
光学用フィルムの用途
本発明の光学用フィルムは、例えば、携帯電話、ディジタル情報端末、ナビゲーション
、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。
本発明の光学用フィルムは、残留位相差が小さく、しかも表面平滑性が高く、耐熱性、経時安定性にも優れるため、各種光学表示素子用のフィルムとして用いることができ、特に、偏光板の保護フィルムなどの、各種光学表示素子の保護フィルムとして好適に用いることができる。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「重量部」を示す。
なお、各種物性は、次のようにして測定あるいは評価した。
(1)固有粘度(η):
濃度0.5g/100mlのクロロベンゼン溶液を調製し、30℃の条件で測定した(dl/g)。
(2)分子量:
東ソー(株)製HLC−8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgelGMXXL、TSKgelG7000HXL)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg):
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定した。ガラス転移温度(Tg)は、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)および最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
(4)フィルムの位相差:
フィルムについて、550nmにおける位相差(レターデーション)を自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて測定した。
実施例および比較例において、環状オレフィン系重合体成分(A成分)および炭化水素樹脂成分(B成分)としては、以下のものを用いた。
A成分
(A−1)成分
下記式で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)41部と、トルエン(重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。
Figure 2007106931
次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/
l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた重合体溶液4000部をオートクレーブに仕込み、この重合体溶液に、 RuHCl(CO)[P(C6533 0.48部を添加し、水素ガス圧
100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応させた。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧し、水素添加重合体(A−1)を得た。水素添加重合体(A−1)の水素添加率を1H−NMRを用い
て測定したところ99.9%であった。また、DSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ167℃であった。また、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は116,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.97であった。また、30℃のクロロホルム中で固有粘度(η)を測定したところ0.67dl/gであった。
(A−2)成分
重合で8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン187部と、ジシクロペンタジエン63部を用いた以外は(A−1)の調製と同様にして、重合体(A−2)を得た。該重合体のTgは144℃で、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は19,000、重量平均分子量(Mw)は86,000、分子量分布(Mw/Mn)は4.53であった。また、30℃のクロロホルム中で固有粘度(η)を測定したところ0.65dl/gであった。
B成分
(B−1)成分
荒川化学工業(株)製 極性水素化オリゴマー樹脂 KR−1842
分子量650、軟化点120℃、水酸基価140KOHmg/g
なお、(B−1)成分であるKR−1842は、以下の構造単位を有する共重合体である。
Figure 2007106931
(B−2)成分
荒川化学工業(株)製 アルコン樹脂 SM−10
分子量1590、軟化点100℃、水酸基価0KOHmg/g
なお、(B−2)成分であるSM−10は、以下の構造単位を有する共重合体である。
Figure 2007106931
(B−3)成分
出光興産(株)製 アイマーブ樹脂 P−125
分子量880、軟化点125℃、水酸基価0KOHmg/g
なお、(B−3)成分であるP−125は、以下の構造単位を有する共重合体である。
Figure 2007106931
上記(A−1)95重量部と、(B−1)5重量部とからなる樹脂組成物を、トルエンに23%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(株
)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを25℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がし、80℃で二次乾燥を行った。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.2%であった。ガラス転移温度(Tg)は154℃であった。得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.3nm、Rth=43nmであった。
このフィルムをIUCHI製熱風乾燥機DO−450FP内で、150℃で4時間処理した後、取り出し、室温で冷却した。
こうして得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.1nm、Rth=5nmであった。また、DSCの微分示差走査熱量曲線は単ピークを示した。
上記(A−1)80重量部と、(B−2)20重量部とからなる樹脂組成物を、トルエンに23%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(
株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを25℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がし、80℃で二次乾燥を行った。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.2%であった。ガラス転移温度(Tg)は133℃であった。得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.3nm、Rth=15nmであった。
このフィルムをIUCHI製熱風乾燥機DO−450FP内で、130℃で3時間処理した後、取り出し、室温で冷却した。
こうして得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.1nm、Rth=5nmであった。また、DSCの微分示差走査熱量曲線は単ピークを示した。
上記(A−1)90重量部と、(B−3)10重量部とからなる樹脂組成物を、トルエンに23%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(
株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを25℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がし、80℃で二次乾燥を行った。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.2%であった。ガラス転移温度(Tg)は152℃であった。得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.6nm、Rth=51nmであった。
このフィルムをIUCHI製熱風乾燥機DO−450FP内で、145℃で2時間処理した後、取り出し、室温で冷却した。
こうして得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.2nm、Rth=6nmであった。また、DSCの微分示差走査熱量曲線は単ピークを示した。
上記(A−2)80重量部と、(B−3)20重量部とからなる樹脂組成物を、トルエンに23%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μmのPETフィルム(東レ(
株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを25℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がし、80℃で二次乾燥を行った。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.2%であった。ガラス転移温度(Tg)は122℃であった。得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.5nm、Rth=54nmであった。
このフィルムをIUCHI製熱風乾燥機DO−450FP内で、120℃で3時間処理した後、取り出し、室温で冷却した。
こうして得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.2nm、Rth=6nmであった。また、DSCの微分示差走査熱量曲線は単ピークを示した。
比較例1
上記(A−1)をトルエンに23%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μm
のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを25℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がし、80℃で二次乾燥を行った。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.2%であった。ガラス転移温度(Tg)は167℃であった。得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.6nm、Rth=170nmであった。
このフィルムをIUCHI製熱風乾燥機DO−450FP内で、165℃で2時間処理した後、取り出し、室温で冷却した。
こうして得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.2nm、Rth=100nmであった。また、DSCの微分示差走査熱量曲線は単ピークを示した。
比較例2
上記(A−2)をトルエンに23%濃度になるように溶解し、井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着)の表面処理した厚さ100μm
のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmになるように塗布し、これを25℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がし、80℃で二次乾燥を行った。得られたフィルムの残留溶媒量は、0.2%であった。ガラス転移温度(Tg)は144℃であった。得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.6nm、Rth=123nmであった。
このフィルムをIUCHI製熱風乾燥機DO−450FP内で、140℃で3時間処理した後、取り出し、室温で冷却した。
こうして得た光学用フィルムについて、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて位相差測定を行ったところ波長550nmで0.3nm、Rth=65nmであった。また、DSCの微分示差走査熱量曲線は単ピークを示した。

Claims (7)

  1. (A)下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体、および、
    (B)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が20,000以下であり、かつ、常温で固体の炭化水素樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする光学用フィルム;
    Figure 2007106931
    (式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物が、DSCの微分示差走査熱量曲線が単ピークを示し、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学用フィルム。
  3. 前記式(1)で表される構造単位中の極性基が、下記式(2)で表される基であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる光学用フィルム;
    −(CH2pCOOR’ …(2)
    (式(2)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素数1〜15の炭化水素基である。)。
  4. (B)炭化水素樹脂が、下記式(B−1)で表される構造単位および(B−2)で表される構造単位を有する共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光学用フィルム;
    Figure 2007106931
    (式中、R5は水素原子またはメチル基であり、aは0または1である。)、
    Figure 2007106931
    (式中、bは0または1である。)。
  5. 偏光板保護フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学用フィルム。
  6. (A)下記式(1)で表される構造単位(1)を有する環状オレフィン系重合体、および、
    (B)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が20,000以下であり、かつ、常温で固体の炭化水素樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を、溶融成形法または溶液流延法によりフィルム化し、溶剤除去行程を経た後、得られたフィルムを加熱処理することを特徴とする光学用フィルムの製造方法;
    Figure 2007106931
    (式(1)中、mは0、1または2であり、Xは独立に式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ若しくはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基;または極性基を表す。ただし、R1〜R4の少なくとも1つが極性基であり、かつその他のR1〜R4の少なくとも1つが炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)。
  7. 加熱処理を、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度の+5℃〜−10℃以下の温度で行うことを特徴とする、請求項6に記載の光学用フィルムの製造方法。
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