JP2008064951A - プロジェクター透過スクリーン用拡散板およびその製造方法ならびに用途 - Google Patents

プロジェクター透過スクリーン用拡散板およびその製造方法ならびに用途 Download PDF

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善久 水野
Koichi Washimi
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Abstract

【解決手段】本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、(A)環状オレフィン系樹脂:90〜99.9重量部、および、(B)有機架橋粒子:10〜0.1重量部を含有し、全光線透過率が70%以上であり、前記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nA
と、前記有機架橋粒子(B)の屈折率nBとの差の絶対値が0.04以上であり、かつ、
前記有機架橋粒子(B)の平均粒子径が2.0μm以上である樹脂組成物からなることを特徴とする。
【効果】本発明によれば、耐熱、湿熱など環境安定性に優れ、反りなどの変形を生じにくく、寸法安定性に優れると共に、明るさと像の鮮明性が向上したプロジェクター透過スクリーン用拡散板を提供することができる。本発明の拡散板は、特にリアプロジェクションテレビのスクリーンとして好適である。
【選択図】なし

Description

詳しくは、本発明は、拡散用粒子として有機架橋粒子を含む、環状オレフィン系樹脂組成物を成形してなるプロジェクター透過スクリーン用拡散板、その製造方法、ならびに該プロジェクター透過スクリーン用拡散板を用いたリアプロジェクションテレビに関する。
大型のテレビジョンとして、スクリーンの後方からプロジェクション方式で映像を投影する方式のリアプロジェクションテレビがある。映像を投影するスクリーンには、透明な熱可塑性樹脂中に有機あるいは無機の微粒子を分散させた光拡散性の熱可塑性樹脂を成形して得られる拡散板が用いられている。
従来、本用途に用いられる透明な熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が用いられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は環境下での寸法安定性と光学歪みに問題があり、アクリル樹脂は光学ひずみは小さいものの、寸法安定性が問題となっている。これらを改善する目的で、メタクリルスチレン樹脂を用いる場合があるが、寸法安定性は改善されるものの、光学歪が大きく画像の品質に劣るという問題が生じていた。
これらの問題に鑑み、耐熱性および光学特性に優れた熱可塑性ノルボルネン系樹脂に透明な高分子微粒子を分散させてなる光拡散成形品が開発されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、プロジェクター透過スクリーン用拡散板において、光源の十分な遮蔽性が十分であるとともに、輝度ムラ等が少なく、明るさと像の鮮明さが十分である拡散板は、いまだに得られていない。
特開2005−25219号公報
本発明は、耐熱、耐湿など環境安定性に優れると共に、十分な遮蔽性を有し、かつ、明るさと像の鮮明さが向上したプロジェクター透過スクリーン用拡散板、その製造方法、ならびに該拡散板を用いたプロジェクションテレビを提供することを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、環状オレフィン系樹脂に拡散性の粒子状物質を分散させた組成物を用いることにより、光拡散性能と明るさのバランスが向上した板状の成形品が得られることを見出した。そして、この板状の成形品がプロジェクター透過型のスクリーンとして有用であることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、
(A)環状オレフィン系樹脂:90〜99.9重量部、および、(B)有機架橋粒子:10〜0.1重量部(ただし、(A)と(B)の合計が100重量部)を含有し、
全光線透過率が70%以上であり、
前記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nAと、前記有機架橋粒子(B)の屈折率nBとの差の絶対値 |nB−nA| が0.04以上であり、かつ、
前記有機架橋粒子(B)の平均粒子径が2.0μm以上である樹脂組成物からなることを特徴とする。
このような本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、前記(A)環状オレフ
ィン系樹脂が、その構造中に極性基を含むことが好ましい。
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、前記(B)有機架橋粒子が、空孔率が0.01〜60体積%の中空粒子であることが好ましい。
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、リアプロジェクションテレビ用であることが好ましい。
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板の製造方法は、
(A)環状オレフィン系樹脂:90〜99.9重量部、および、(B)有機架橋粒子:10〜0.1重量部(ただし、(A)と(B)の合計が100重量部)を含有し、
全光線透過率が70%以上であり、
前記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nAと、前記有機架橋粒子(B)の屈折率nBとの差の絶対値 |nB−nA| が0.04以上であり、かつ、
前記有機架橋粒子(B)の平均粒子径が2.0μm以上である樹脂組成物を、溶融押出法により成形することを特徴とする。
本発明のリアプロジェクションテレビは、前記本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板を用いてなることを特徴とする。
本発明によれば、耐熱、湿熱など環境安定性に優れ、反りなどの変形を生じにくく、寸法安定性に優れると共に、明るさと像の鮮明性が向上したプロジェクター透過スクリーン用拡散板を得る事が可能である。本発明の拡散板はプロジェクターのスクリーン、特にリアプロジェクションテレビのスクリーンとして好適である。本発明によれば、寸法安定性に優れると共に画像投影性に優れたプロジェクター透過スクリーン、およびリアプロジェクションテレビを提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)有機架橋粒子とを含有する樹脂組成物からなる。
(A)環状オレフィン系樹脂
本発明に係る環状オレフィン系樹脂(A)は、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系化合物を重合あるいは共重合(以下、(共)重合ともいう)してなる樹脂である。係る環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、下記式(I)で表される環状オレフィン(以下、「環状オレフィン(I)」ともいう)の(共)重合体が挙げられる。
Figure 2008064951
(式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、R1とR2、またはR3とR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とは、互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。)
より具体的な環状オレフィン系樹脂(A)としては、
(1)環状オレフィン(I)の開環重合体(以下、「重合体(1)」ともいう)
(2)環状オレフィン(I)と共重合性単量体との開環共重合体(以下、「重合体(2)」ともいう)
(3)重合体(1)または重合体(2)の水素添加(共)重合体(以下、「重合体(3)」ともいう)
(4)重合体(1)または重合体(2)をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体(以下、「重合体(4)」ともいう)
(5)環状オレフィン(I)と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体(以下、「重合体(5)」ともいう)
(6)環状オレフィン(I)と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体との付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体(以下、「重合体(6)」ともいう)
(7)環状オレフィン(I)とアクリレートとの交互共重合体(以下、「重合体(7)」ともいう)
が挙げられる。これらのうち、透明性等が優れる点で重合体(3)が特に好ましく用いられる。
<環状オレフィン(I)>
上記式(I)における1価の有機基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、炭化水素基以外の1価の極性基が挙げられる。上記1価の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基などの極性を有する2価の有機基からなる連結基を介して結合した炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの極性基のうち、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が特に好ましい。
上記式(I)で表される環状オレフィンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記式(I)で表される環状オレフィンとしては、たとえば、以下の化合物が例示できるが、これらの化合物に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン

8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
このような環状オレフィンのうち、上記式(I)において、R1およびR3がそれぞれ独立に、水素原子または炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1もしくは2の炭化水素基、好ましくはアルキル基、特に好ましくはメチル基であり;R2およびR4がそれぞれ独立に水素原子または1価の有機基であり、かつR2およびR4のうちの少なくとも1つが水素原子または上記1価の極性基であり;mは0〜3の整数が好ましく、pは0〜3の整数が好ましく、より好ましくはm+pが0〜4、特に好ましくはm+pが0〜2であり、最も好ましくはm=1、p=0である環状オレフィンが望ましい。m=1、p=0である環状オレフィンは、ガラス転移温度が高く、かつ機械的強度も優れた環状オレフィン系樹脂が得られる点で最も好ましい。
さらに、R2およびR4のうちの少なくとも1つが、下記式(II)で表される極性基である環状オレフィンは、高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有する環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
−(CH2nCOOR …(II)
上記式(II)中、Rは炭素数が好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1または2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは、通常0〜5であり、nの値が小さい環状オレフィンほど、ガラス転移温度が高い環状オレフィン系樹脂が得られるため好ましく、nが0である環状オレフィンは合成が容易である点で特に好ましい。
特に、上記式(II)で表される極性基は、アルキル基であるR1またはR3が結合している炭素原子に結合していることが、吸湿性の低い環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
重合体(1)および重合体(2):
上記重合体(1)および重合体(2)は、メタセシス触媒の存在下で、上記環状オレフィンを開環重合させる、または上記環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させることにより得ることができる。
<共重合性単量体>
重合体(2)に用いられる共重合性単量体としては、シクロオレフィンが挙げられ、炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは5〜12のシクロオレフィンが望ましい。より具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどを挙げることができる。これらのシクロオレフィンは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい
上記環状オレフィンと上記共重合性単量体との使用割合は、重量比(環状オレフィン/共重合性単量体)で100/0〜50/50が好ましく、100/0〜60/40が好ましい。なお、「環状オレフィン/共重合性単量体=100/0」は、環状オレフィンの単独重合における使用割合を意味する。
<開環重合用触媒>
開環(共)重合反応において用いられるメタセシス触媒は、下記の化合物(a)と化合物(b)との組合せからなる触媒である。
(a)W、MoおよびReから選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物。
(b)デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、Kなど)、IIA族元素(例えば、Mg、Caなど)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(例えば、B、Alなど)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pbなど)およびIVB族元素(例えば、Ti、Zrなど)から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物であって、前記元素と炭素との結合または前記元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物。
また、上記メタセシス触媒は、その活性を高めるために、後述の添加剤(c)を含んでいてもよい。
上記化合物(a)の具体例としては、WCl6、MoCl6、ReOCl3など、特開平
1−132626号公報の第8頁左上欄下から第6行〜第8頁右上欄第17行に記載の化合物を挙げることができる。
上記化合物(b)の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252
AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、L
iHなど、特開平1−132626号公報の第8頁右上欄第18行〜第8頁右下欄第3行に記載の化合物を挙げることができる。
上記添加剤(c)としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができ、さらに特開平1−132626号公報の第8頁右下欄第16行〜第9頁左上欄第17行に記載の化合物を使用することもできる。
上記化合物(a)と化合物(b)との割合は、金属原子比〔(a):(b)〕で、通常1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30である。
上記添加剤(c)と化合物(a)との割合は、モル比〔(c):(a)〕で、通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1である。
メタセシス触媒の使用量は、上記化合物(a)と環状オレフィンとのモル比〔(a):環状オレフィン〕が通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量である。
<重合反応用溶媒>
開環(共)重合反応において、溶媒は、後述する分子量調節剤溶液を構成する溶媒や、環状オレフィンおよび/またはメタセシス触媒の溶媒として使用される。このような溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;クロロベンゼンなどのハロゲン化アリール;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量は、溶媒と環状オレフィンとの重量比(溶媒:環状オレフィン)が、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
<分子量調節剤>
得られる開環(共)重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによっても調節することができる。
好適な分子量調節剤としては、たとえば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。また、これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環重合反応に供される環状オレフィン1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
上記開環共重合体は、環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させて得ることができるが、さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下で環状
オレフィンを開環共重合させてもよい。
(3)水素添加(共)重合体:
上記開環(共)重合体は、そのままでも用いることができるが、さらにこれを水素添加して得られる水素添加(共)重合体(3)は、耐衝撃性に優れた樹脂として有用である。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環(共)重合体を含む溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
<水素添加触媒>
上記水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられる触媒を使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。これらの触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環(共)重合体と水素添加触媒との重量比(開環(共)重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用することが好ましい。
上記水素添加(共)重合体(3)は、優れた熱安定性を有し、成形加工時や製品として使用する際の加熱によっても、その特性が劣化することはない。
水素添加(共)重合体(3)の水素添加率は、500MHzの条件で1H−NMRによ
り測定した値が、通常50%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れ、長期にわたって安定した特性を有する導光体などの成形品を得ることができる。
また、上記水素添加(共)重合体(3)は、ゲル含有量が5重量%以下であることが好ましく、特に1重量%以下であることが好ましい。
(4)水素添加(共)重合体:
上記水素添加(共)重合体(4)は、上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加することにより得ることができる。
上記開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化する方法は、特に限定されず、たとえば、特開昭50−154399号公報に記載の酸性化合物を用いた公知の方法が採用できる。
上記酸性化合物として具体的には、AlCl3、BF3、FeCl3、Al23、HCl
、CH3ClCOOH、ゼオライト、活性白土などのルイス酸、ブレンステッド酸が挙げ
られる。
環化された開環(共)重合体は、上記開環(共)重合体の水素添加反応と同様にして、水素添加することができる。
(5)飽和共重合体:
上記飽和共重合体(5)は、付加重合触媒の存在下で、上記環状オレフィンに不飽和二重結合含有化合物を付加重合させることにより得ることができる。付加重合法は従来公知の方法を適用できる。
<不飽和二重結合含有化合物>
不飽和二重結合含有化合物としては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン系化合物を挙げることができ、これらのうち、炭素数が好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8のオレフィン系化合物が望ましい。
不飽和二重結合含有化合物の使用量は、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との重量比(環状オレフィン/不飽和二重結合含有化合物)で、90/10〜40/60が好ましく、85/15〜50/50がより好ましい。ただし、環状オレフィンと不飽和二重結合含有化合物との合計重量を100とする。
<付加重合触媒>
付加重合触媒としては、チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物と、助触媒として有機アルミニウム化合物との組み合わせが挙げられる。
上記チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタンなどを挙げることができ、ジルコニウム化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどを挙げることができ、バナジウム化合物としては、下記式
VO(OR)ab、またはV(OR)cd
〔ただし、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子であって、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦(a+b)≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦(c+d)≦4である。〕
で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与付加物が挙げられる。
上記電子供与体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体などが挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム−炭素結合またはアルミニウム−水素結合を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。この有機アルミニウム化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
チタン化合物、ジルコニウム化合物およびバナジウム化合物から選ばれる化合物の使用量(2種以上を併用する場合はそれらの合計量)と有機アルミニウム化合物の使用量との割合は、チタン原子等に対するアルミニウム原子の比(Al/Ti等)で、通常2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20である。
上記付加重合反応において用いられる溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒を挙げることができる。
また、飽和共重合体(5)の分子量の調節は、通常、水素を用いて行うことができる。
(6)付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体:
上記付加型(共)重合体(6)は、上記環状オレフィンに、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体を付加重合させることにより得ることができる。
<ビニル系環状炭化水素系単量体>
上記ビニル系環状炭化水素系単量体としては、たとえば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテンなどのテルペン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。これらの単量体のうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<シクロペンタジエン系単量体>
上記シクロペンタジエン系単量体としては、たとえば、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらの単量体のうち、シクロペンタジエンが好ましい。また、これらの単量体は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記付加重合反応は、飽和共重合体(5)における付加重合反応と同様にして実施することができる。
上記付加型(共)重合体(6)の水素添加(共)重合体は、上記付加型(共)重合体(6)を、上記水素添加(共)重合体(3)と同様の方法により水素添加することにより得ることができる。
(7)交互共重合体:
上記交互共重合体(7)は、ルイス酸等の存在下で上記環状オレフィンとアクリレートとをラジカル重合させることにより得ることができる。
<アクリレート>
上記アクリレートとしては、たとえば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状アルキルアクリレート;グリシジルアクリレート、2−テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの炭素原子数2〜20の複素環基含有アクリレート;ベンジルアクリレートなどの炭素原子数6〜20の芳香族環基含有アクリレート;イソボロニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの炭素数7〜30の多環構造を有するアクリレートが挙げられる。
上記環状オレフィンとアクリレートとの割合は、これらの合計を100モルとして、通
常、環状オレフィンが30〜70モル、アクリレートが70〜30モルであり、好ましくは、環状オレフィンが40〜60モル、アクリレートが60〜40モルであり、特に好ましくは、環状オレフィンが45〜55モル、アクリレートが55〜45モルである。
上記ルイス酸の使用量は、アクリレート100モルに対して0.001〜1モルが好ましい。
また、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることもできる。
重合反応温度は、通常−20℃〜80℃、好ましくは5℃〜60℃である。また、重合反応用溶媒としては、上記開環(共)重合反応において例示した溶媒を挙げることができる。
なお、本発明における「交互共重合体」とは、環状オレフィンに由来する構造単位同士が隣接しない共重合体、すなわち、環状オレフィンに由来する構造単位の隣には必ずアクリレートに由来する構造単位が結合している共重合体を意味する。ただし、アクリレート由来の構造単位同士は隣接して存在していてもよい。
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の固有粘度〔ηinh〕は、0.2〜5dl/
gが好ましく、0.3〜3dl/gがさらに好ましく、0.4〜1.5dl/gが特に好ましい。また、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgel G7000HXL×1、TSKgel GMHXL×2およびTSKgel G2000HXL×1の4本直列)で測定したポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量(Mn)が好ましくは8,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜80,000、特に好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜250,000、特に好ましくは40,000〜200,000である。
固有粘度〔ηinh〕、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)が上記範囲
にある環状オレフィン系樹脂は、成形加工性に優れ、かつ耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性に優れた成形品を得ることができる。
また、上記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常130℃以上、好ましくは130〜350℃、さらに好ましくは130〜250℃、特に好ましくは140〜200℃である。Tgが上記範囲にある樹脂は、高温条件下での使用やコーティングおよび印刷などの加熱を伴う二次加工においても変形しにくく、また、成形加工性に優れ、成形加工時の熱による樹脂の劣化も起こりにくい。
樹脂の屈折率nAは、使用する単量体の種類、重合比によって適宜調整できるが、たと
えば、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]−3−ドデセンの開環単独重合体の水素付加物では1.51、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンとビシクロ[
2.2.1]ヘプト−2−エンとの開環共重合体(組成重量比=9:1)の水素添加物では1.51、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ンの開環単独重合体の水素付加物では25℃で1.52である。
(B)有機架橋粒子
本発明に係る有機架橋粒子(B)は、樹脂組成物あるいは拡散板などのその成型体に光拡散性を与える拡散用粒子として作用する。本発明では、有機架橋粒子(B)を拡散用粒
子として用いるため、環状オレフィン系樹脂(A)との親和性に優れ、得られる樹脂組成物が成形性に優れたものとなる。本発明において、有機架橋粒子(B)としては、アクリル系、スチレン系などの公知の有機架橋粒子を用いることができる。
本発明で用いる有機架橋粒子(B)は、例えば、コアとシェルとの2成分以上のポリマー成分を有する複合粒子(以下、単に「複合粒子」ともいう)や、架橋ポリマーからなる外殻部を有し、内部に中空を有する殻構造の粒子(以下、「中空粒子」ともいう)を好ましく用いることができ、中でも中空粒子が特に好ましく用いられる。
有機架橋粒子(B)の屈折率nは、上記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nとの間で、屈折率差の絶対値 |n−n| が0.04以上、好ましくは0.04〜0.90、さらに好ましくは0.05〜0.85、特に好ましくは0.06〜0.80の関係を満たす。ここで、有機架橋粒子(B)が中空粒子またはコアとシェルからなる複合粒子である場合、屈折率nBは、外殻部またはシェル部を構成する物質の屈折率を意味する。な
お、屈折率nおよびnはd線28℃で測定した値である。|n−n|が上記範囲にあると、光拡散性に優れ、拡散板の輝度むらの小さな拡散板が得られるため好ましい。
また、有機架橋粒子(B)の平均粒子径は、2.0μm以上、好ましくは2.0〜10.0μm、より好ましくは3.0〜8.0μm、特に好ましくは3.0〜6.5μmである。平均粒子径が上記範囲にあると、光拡散性に優れ、スクリーンとしたときに投影される画像が鮮やかなものとなるため好ましい。
有機架橋粒子(B)として、中空粒子を用いた場合には、透過率が高く、拡散性の良い拡散板を得る事ができるため好ましい。係る中空粒子は、内部に空洞を有し、外殻が有機ポリマー成分からなる粒子である。粒子の外形状は特に限定されないが、実質的に表面に角部を有しない球状の中空粒子であることが、得られる光拡散性成形品の光拡散性と明るさとのバランスが優れる点で好ましい。また、中空粒子の内部は、1つの空洞であってもよいし、複数の空洞を有していてもよい。すなわち中空粒子内の孔は一つの空洞であってもよいし、多数の空孔の集まりである多孔性の粒子であってもかまわない。
また、上記中空粒子の空孔率は、0.01〜60体積%であることが好ましく、0.015〜55体積%がさらに好ましく、0.02〜50体積%が特に好ましい。空孔率が0.01%未満では、拡散性能に劣り、一方、60%を超えると環状オレフィン系樹脂中で
の分散が困難となる場合がある。
本発明において、有機架橋粒子(B)としては、公知のものを使用する事が可能であり、中空粒子を使用する場合、たとえば、特開昭62-127336号公報、特開平01-315454号公報、特開平04-126771号公報、特開2002-241448号公報で開示されている中空粒子を使用することができる。
有機架橋粒子(B)は、架橋ポリマーから構成され、係る架橋ポリマーは架橋性モノマーから導かれる。架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼンに代表される非共役ジビニル化合物あるいはトリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどに代表される多価アクリレート化合物などの、2個以上、好ましくは2個の共重合性二重結合を有する化合物を好ましく用いることができる。
ここで、多価アクリレート化合物の具体例としては、次の化合物を挙げることができる。
ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートなどのトリアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物が挙げられる。
以上の架橋性モノマーのうちでは、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いることが好ましく、特にジビニルベンゼンが好ましい。また、これらの架橋性モノマーは、単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、架橋性モノマーとともに用いられる重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和脂肪酸;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系モノマーなどを挙げることができる。
上記有機架橋粒子(B)を構成する有機架橋ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、100℃以上であることが、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の耐熱性を大きく損ねないため望ましい。特に、本発明の樹脂組成物が、射出成形や押出成形など、環状オレフィン系樹脂が加熱溶融される温度で成形される場合は、該架橋ポリマー粒子が該加熱温度で溶融しないことが望ましく、溶液状態でブレンドされる場合には該有機溶媒に溶解しないことが好ましい。
該有機架橋ポリマーから中空粒子を形成する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば
(1)ポリマー粒子中に発泡剤を含有させておき、のちにこの発泡剤を発泡させる方法
(2)ポリマーにブタンなどの揮発性物質を封入しておき、のちにこの揮発性物質をガス化膨張させる方法
(3)ポリマーを溶解させこれに空気などの気体ジェットを吹き付け気泡を封入する方法
(4)ポリマー粒子の内部にアルカリ膨張性の物質を含有させておき、このポリマー粒子にアルカリ性液体を浸透させてアルカリ膨張性の物質を膨張させる方法
(5)ポリメタクリレートの微粒子を種粒子と用い、この種粒子の存在下においてスチレンを乳化重合する方法
(6)重合性モノマー成分を水中に微分散させて水中油滴エマルジョンを作成し、重合を行う方法
(7)架橋ポリマー粒子をシードとして、相溶性の異なるポリマーをそのシード上に重合、架橋する二段階架橋方法
(8)ポリマーの重合収縮により製造する方法
(9)架橋ポリマー粒子を噴霧乾燥する方法
などが挙げられ、好適に用いられる。
樹脂組成物
本発明に係る樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂(A)と有機架橋粒子(B)とを含有する。環状オレフィン系樹脂(A)と有機架橋粒子(B)との割合は、(A)と(B)の合計100重量部中において、環状オレフィン系樹脂(A)が90〜99.9重量部、好ましくは92〜99重量部であり、有機架橋粒子(B)が10〜0.1重量部、好ましくは8〜1重量部である。有機架橋粒子(B)の配合量が0.1重量部未満である場合には、光の拡散性が十分でなく、また、10重量部を超えると、拡散板としたときに光透過性に劣るため好ましくない。
本発明において、樹脂組成物は、有機架橋粒子(B)が環状オレフィン系樹脂(A)中に分散された組成物であるが、有機架橋粒子(B)が中空粒子である場合、樹脂組成物中において、有機架橋粒子(B)は内部に中空を有したままの状態であってもよく、粒子(B)の内部に環状オレフィン系樹脂(A)が浸入した状態であってもよく、特に限定はされない。
本発明に係る樹脂脂組成物は、環状オレフィン系樹脂(A)および有機架橋粒子(B)を含む各成分を、公知の方法でブレンドして得ることが可能であり、その調製方法は特に限定されるものではない。
例えば、可溶な溶媒に溶解した状態(溶液状態)の環状オレフィン系樹脂(A)中に、有機架橋粒子(B)を分散し公知の方法で溶媒を除去して組成物を得る方法、溶融した状態の環状オレフィン系樹脂(A)中に、有機架橋粒子(B)を分散させる方法などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂(A)を溶液状態で有機架橋粒子(B)とブレンドする場合、その溶液は重合溶液、水素添加後の溶液、触媒を除去した溶液、濃縮された溶液、一度ペレットとしたものを溶解したものなどを用いることが可能である。ブレンドは公知の攪拌機を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。
さらには、溶液状態の環状オレフィン系樹脂(A)溶液を公知の押出し機へフィードするのと同時に有機架橋粒子(B)をフィードし、脱溶媒と分散とを同時にする方法も用いることができる。
環状オレフィン系樹脂(A)が溶融した状態で有機架橋粒子(B)を分散させる方法としては、公知の単軸、二軸の押出し機を用いることが可能である。押出機のシリンダー径は、通常、10〜100mmである。スクリューは公知のものが用いられ、例えば単軸の場合、フルフライト、サブフライトを組み合わせたもの、ダルメージを組み込んだもの、スクリューピッチあるいは溝深さが同一スクリュー中で変わるものが挙げられる。二軸の場合、2条あるいは3条のスクリュー、異方向あるいは同方向回転、スクリューパーツが自由に組み合わされる方式の場合、スクリューパーツの形状を、スクリュー式、逆送りスクリュー、パドル式スクリュー、ヘリカルパドル式スクリューなどより自由に選択し組み込むことが可能である。
押出機は1台で運転することも可能であるが、押出機を2台以上連結させたもの、連続式およびバッチ式のニーダーと組み合わせたものを使用しても構わない。
環状オレフィン系樹脂(A)と有機架橋粒子(B)は、公知のタンブラー式、回転式などのブレンダーや、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサーなどの混合機を用いてあらかじめ固体の状態で混合することも可能であり、複数のフィーダーを用いて共有するこ
とも可能である。また粒子は押出し機の途中からフィードすることも可能である。
環状オレフィン系樹脂(A)と有機架橋粒子(B)のブレンドにおいては、樹脂あるいは樹脂と粒子の双方をあらかじめ公知の方法で乾燥することも好ましいものである。乾燥方法としては、熱風乾燥、除湿乾燥、真空乾燥、窒素乾燥など公知の方法を用いることが可能である。
また、押出し機のホッパー、投入口、ベント口、ダイス面などを窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスでシールすることも好ましい方法である。
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板に用いる光拡散性を有する樹脂組成物は、拡散板としたときに目視で判別できる異物が可能な限り存在しないことが好ましい。
かかる異物の含有量は、少なくとも50μm以上の異物が5個/10g以下、好ましくは3個/10g以下、さらに好ましくは0個/10gである。
異物の量の測定は、樹脂組成物をトルエン、シクロヘキサンなど本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂の溶解性がある溶媒に溶解し、フィルターでろ過後、顕微鏡で観察することにより、大きさと個数とを計数することにより行われる。また、同様に環状オレフィン系樹脂の溶解性がある溶媒に該樹脂を溶解させた試料を用いて光散乱を原理とする市販の微粒子カウンターを使用して計数することも可能である。
拡散板
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板の形状は、特に限定されるものではないが、通常、厚みが均一である平板のシートあるいはフィルム状のものである。
通常その厚みは目的に応じて決定されるものであり、特に限定されないが、フィルムとして用いる場合、通常0.02mm〜0.2mm、好ましくは0.05mm〜0.12mm、シートとして用いる場合、通常0.2mm〜5.0mm、好ましくは0.8mm〜3.0mmである。その大きさは特に限定されず、公知のプロジェクター透過スクリーンで採用されている大きさ、例えば1インチから100インチ程度まで広範な範囲のスクリーンとして任意に適用する事ができる。
また拡散板の表面には、反射防止、集光、入射光の効率化などを目的とした公知の、プリズム、溝、シボなどのパターンなどを形成しても良い。これらパターンの形成は、成形加工時に転写させる方法、成形後ホットスタンプなどにより熱転写する方法、成形後に表面を切削する方法、あるいは成形品表面に熱硬化あるいは紫外線硬化性樹脂などを印刷する方法など公知の方法を用いることが可能である。
本発明の拡散板は、公知の方法で成形して製造することができ、好ましくは押出し成形により成形することができる。
本発明における押出し成形方法としては、通常の押出機で原料を溶融させて、これをギアポンプで定量的に計量し、これをスリット状の出口を持ったダイを用いて押出し、膜状に引き伸ばされた樹脂原料を、鏡面に研磨、あるいは意匠性の模様を刻んだロールあるいはベルトなどを用いて、その面に接触させることにより、鏡面あるいは特定の意匠の形状を転写しこれを冷却後、裁断機で裁断する/または、巻き取り機で巻き取りを行い、定尺で所定の寸法のシートまたはフィルムを得るものである。
押出し成形に用いる好ましい押出機としては、L/Dが28以上40以下であり、スクリュウ径は、押出量により決定するが、30mm〜125mmである。L/Dが28未満では滞留時間が短く、用いられる環状オレフィン系樹脂の溶融が不十分となり、一方、L/Dが40を越えると、滞留時間が長くなりすぎるので好ましくない。また、スクリュウ
径が30mm未満であると、計量が安定せず、また生産性が低いため好ましくない。一方、125mmを超えると、計量後、原料が滞留しやすくなるため、好ましくない。
シートまたはフィルムの膜厚安定性などを図るために、ギアポンプを用いることも好ましいものである。ギアポンプとしては公知のものを用いることができるが、特に潤滑に使用した樹脂を排出する方式である外潤式が好ましく用いられる。
原料を膜状に引き伸ばすためのダイとしては、Tダイが好ましく用いられ、特にその形状として、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイなどが挙げられるが、特に好ましくは、コートハンガーダイである。マニホールドの形状には、特に制限は無いが、滞留が小さいものが、好ましい。また、Tダイの先端は、シャープエッジであることが好ましく、エッジに欠損があると、ダイラインの原因となりうるので、好ましくない。特に好ましいエッジの処理としては、溶射などの手法により、タングステン−カーバイドのような超硬コーティングを施すのが、ダイラインの防止に好都合である。
Tダイから転写するロールは、できるだけ距離を近づけて転写することが好ましく、50mm以下の距離が好ましい。
転写に使用するロールあるいはベルトは、平滑なシートあるいはフィルムを作成する場合には、鏡面に研磨されたものが好ましく、表面研磨状態は、表面粗さで、最大粗さ0.1μm(0.1s)以下であることが好ましい。最大粗さが0.3s以上であると、表面の粗さが、フィルムまたはシートの表面に転写されるため、外観上の欠点となる可能性があるため、好ましくない。使用されるロールの材質は、鉄、ステンレス、ハードクロームメッキを施した鉄、鉄やステンレスに、離型性を改良するために、溶射その他の方法により、酸化アルミニウムや酸化クロムなどの金属酸化物や、タングステンやタングステンカーバイドなどの超硬金属などをコーティングする処理を施すことも好ましい方法である。
本発明においては、ベルトあるいはロールに立体模様を形成して、それをフィルムあるいはシートの少なくとも片面に転写させることも可能である。
本発明の立体模様は、特に限定されるものではない。例えば、プリズム形状、半円状、楕円形状、矩形形状、V字型形状の溝あるいは山形状、半球状、半楕円、円錐、多角錐、
円錐台、多角錐台などの凸あるいは凹形状、ランダムな凸凹形状、格子形状、分岐溝形状、任意のパターン形状などが挙げられ、それらの機能も限定されるものではないが、集光、散乱、回折、偏光などの光学的機能を与えるものが好ましく用いられる。
転写ベルトあるいは転写ロールへ立体模様を形成する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法によることが可能である。たとえば、切削する方法、放電加工による方法、レーザーによる加工、電鋳による方法、エッチングによる方法、硬化性樹脂を印刷する方法、サンドブラストによる方法、などが挙げられる。また、これらの加工は、基材へ直接することも可能であり、公知のニッケルあるいは銅といった金属あるいはその化合物をメッキした後、光や熱などの硬化性のある有機化合物を塗布した後に加工することも可能である。また、スタンパーとして作製し、金属無端ベルトあるいは金属ロールと複層することも可能である。
さらに得られたフィルムまたはシートをロールから剥離する際に、テンションメーターなどで、剥離力をコントロールしながら、フィルムを引き取る方法も好ましいものである。剥離力は、フィルムが撓んだり、切れたりしない程度に弱いことが好ましい方法である。
転写の方法は、ロールを片面に使用し、ロールと反対側の面から、エア、窒素などの気圧でフィルムをロールに圧着するエアナイフ方式、静電気などの印加して電気的な力で、
ロールに付着させる方法、押えロールに機械的に接触させる方法などがあり、押えロールによる方法は、ロールとフィルムの間に空気が入るのを防止し、しわなどの発生の危険性を除去できるのが好ましい。
本発明において、成形に供する樹脂組成物は、公知の方法で溶存する水分や酸素の成分を除去することが好ましい。原料が粒子あるいはペレットなどの固体形状の場合、公知の方法で乾燥を行うことにより達成される。公知の乾燥装置としては、熱風乾燥機、除湿乾燥機、窒素循環式乾燥機、除湿窒素循環式乾燥機、真空乾燥機などを用いることができる。
乾燥温度や乾燥時間は特に限定されるものではないが、通常、Tg−100℃〜Tg−20℃の範囲で任意に設定することが可能であり、乾燥時間は、通常、2〜6時間の範囲で設定される。
また、押出し装置で空気に触れる部分を窒素で封止することも有効である。すなわち、ホッパー、ベント、ダイなどの各部をシールする方法も可能である。
また、押出し成形時に使用される樹脂組成物は、予め乾燥して用いることが好ましい。通常の熱風乾燥あるいは除湿乾燥機を用いることもできるが、光拡散性成形板の色相の観点から、減圧乾燥機あるいは窒素などの不活性ガスの循環による乾燥機を使用することが好ましい。
本発明に係るスクリーンは、本発明の拡散板を有していることにより、光源ランプの隠蔽性に優れると共に、拡散性に優れる。光線の拡散透過率分布に関しては、通常ゴニオフォトメータを用い、垂直入射光に対する角度毎の拡散透過光を測定することにより得られる。拡散度および隠蔽度は、このように得られた拡散光分布の特定の角度での値に基づいて下記「式−1」および「式−2」でそれぞれ定義される。
式−1:
隠蔽度=(±5°の透過度の平均)/(0°の透過度の平均)×100
式−2:
拡散度=(±20°の透過度の平均+±70°の透過度の平均)/(±5°の透過度の平均)×100
本発明のスクリーンでは隠蔽度が98%以上となる。隠蔽度が98%未満では光源ランプのイメージがスクリーンを透過し画質が低下するので好ましくない。また本発明のスクリーンでは拡散度は30%以上となる。拡散度が30%未満ではスクリーン上の輝度むらが生じるのでそれぞれ好ましくない。
本発明のスクリーンにおいては、可視光領域において、その光線透過率が波長依存性が可能な限り小さい事が求められる。この波長依存性を400nmと700nmの波長に対する光線透過率を用いて下記の「式−3」で定義する。
式−3:
光透過率の波長依存性=(400nmの光透過率)/(700nmの光透過率)
上記「式−3」においては、値が1に近いほど光透過率の波長依存性が小さいことを示す。
本発明の拡散板においては光透過率の波長依存性が0.9以上、好ましくは0.94以上である。光透過率の波長依存性が0.9未満では、スクリーンにおいて色にじみが生じるため好ましくない。
本発明の拡散板は、出来る限り位相差が小さい事が好ましい。拡散板がフィルム形状の場合、残留位相差は10nm以下、好ましくは8nm以下、特に好ましくは5nmである
ことが好ましく、シート形状の場合、残留位相差は50nm以下、好ましくは30nm以下、特に好ましくは20nm以下であることが好ましい。
また位相差はその分布も小さいことが好ましく、そお位相差分布は、拡散板がフィルム形状の場合、好ましくは±3nm、さらに好ましくは±2nm、拡散板がシート形状の場合、好ましくは±5nm、さらに好ましくは±3nmの範囲内に入る事が好ましい。
また本発明の拡散板は、出来る限り膜厚分布が小さい事が好ましく、拡散板がフィルム形状の場合、膜厚分布は通常±5μm以下、好ましくは±4μm以下、特に好ましくは±2μm以下であり、拡散板がシートの場合、膜厚分布は通常±50μm、好ましくは±30μm、特に好ましくは±20μmである。
また本発明の拡散板のそりは出来る限りそりが無い事が好ましい。そり量はシートやフィルムのサイズで異なるが、15インチサイズの拡散板の場合、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下であり、40インチサイズの拡散板の場合、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは40μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
本発明の拡散板はそりや寸法の変化量が小さい事が好ましい。寸法変化量は60℃90RH%の条件下に1000時間放置した場合、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下である。またそりの変化量は、平均で好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
本発明の拡散板は、他の光学部材と貼り合わせて使用する事も可能である。かかる光学部材としては、偏光板、プリズムシート、拡散板、保護板、指示板など特に限定されない。本発明の拡散板とこれらの光学部材の張り合わせ方法は特に限定されず公知の方法、例えば、熱融着、熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤、超音波融着などの方法を用いる事が可能である。またこれらの接着を行うにあたり公知の方法で前処理を行うことも可能であり、例えば、プライマー処理、コロナ処理などを行う事も可能である。
本発明の拡散板はプロジェクター透過スクリーン用拡散板として好適に使用する事が可能であり、リアプロジェクションテレビモニター用として好適に使用する事が可能である。
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は寸法安定性に優れると共に画像投影性に優れたスクリーンおよびリアプロジェクションテレビを作成する事が可能である。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は、特に断らない限り、「重量部」および「重量%」である。
また、各種物性は以下の方法により測定した。
<固有粘度:ηinh
クロロホルムを溶媒として、重合体濃度0.5g/dlの試料を調製し、30℃の条件下でウベローデ粘度計にて測定した。
<分子量>
東ソー株式会社製HLC−8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgel G7000HXL×1、TSKgel GMHXL×2およびTSKgel G2000HXL×1の4本直列)を用い、テトラヒドロ
フラン(THF)溶媒で測定し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、Mnはポリスチレン換算の数平均分子量を表す。
<ガラス転移温度:Tg>
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度20℃/分、窒素気流下で測定した。
<屈折率>
環状オレフィン系樹脂の屈折率:
40×60×3.2mmの平板を射出成形にて作製し、(Tg+5)℃×30minの条件でアニールを行った。さらに25℃×50RH%の環境下に1週間放置した後に屈折率を測定した。
装置:カールツァイスイエナ社製 PR-2
測定条件:温度25℃、湿度50%
架橋粒子の屈折率:
粒子を60メッシュ金網でろ過し、その粉体に屈折率標準液(Cargille社製)を垂らし混合後、光学顕微鏡で粉体の輪郭が見えなくなる標準液を屈折率の値とした。測定温度は20℃とした。
<平均粒子径>
粒度分布を光散乱法(日機装社製 マイクロトラックUAP150)で測定した。粒度分布を対数確立紙にプロットし、累積が50%となった粒径を平均粒径とした。
<空孔率>
空孔率は粒子の断面をSEMで観察し、その画像を処理することにより算出した。
(A)単一の空孔よりなる中空粒子の場合
粒子の外径をd1、中空部の外径をd2とすると空孔率は次式で定義される
空孔率=(d2/d1)3×100
(B)複数の空孔よりなる中空粒子の場合
粒子の断面の画像解析を行い、中空部の占める面積Aを算出する。複数の空孔を単一
の空孔とみなしたときの相当径d3は次式で算出される
d3=(4A/π)1/2
みなし相当径d3と外径d1より空孔率は次式で算出される
空孔率=(d3/d1)3×100
<光透過率の波長依存性>
成形体について、分光光度計(日立製作所製U−3310)を使用して、波長別に光透過率を測定した。次式により、波長700nmの光透過率に対する波長400nmの光透過率の割合を算出し、光透過率の波長依存性を評価した。この値が1.00に近いほど光透過率の波長依存性が低いことを示す。
環状オレフィン系樹脂の合成
[合成例1]
環状オレフィンとして8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン250部と、分子量調節剤として1−ヘキセン41部
と、開環重合反応用溶媒としてトルエン750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度1.5モル/L)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/L)3.7部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体を含む溶液を得た。
この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.48部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水
素添加反応させた。得られた反応溶液(水素添加重合体を含む溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。
次いで、この反応溶液を多量のメタノール中に注いで水素添加重合体を凝固させ、回収した。
その後、回収した水素添加重合体をトルエンに溶解して濃度20%の溶液を調製し、孔径1μmのフィルターでろ過した後、再度、多量のメタノール中に注いで水素添加重合体を凝固させ、回収した。この再溶解/析出・回収操作を3回繰り返し、最後に得られた水素添加重合体を、減圧下、100℃で12時間乾燥した後、溶融押出機を用いて造粒してペレットを調製した。
このようにして得られた水素添加重合体(以下、「環状オレフィン系樹脂A」という)の水素添加率を400MHzの条件で1H−NMRにより測定したところ、実質的に10
0%であった。
また、環状オレフィン系樹脂Aの28℃における屈折率は1.51、ηinhは0.52
、Mwは75,000、Mw/Mnは3.5、Tgは164℃であった。
[合成例2]
環状オレフィンとして8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン225部とビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
25部とを使用し、分子量調節剤として1−ヘキセンを43部使用した以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体(以下、「環状オレフィン系樹脂B」という)の水素添加率は、実質的に100%であった。
環状オレフィン系樹脂Bの28℃における屈折率は1.51、ηinhは0.50、Mw
は62,000、Mw/Mnは3.5、Tgは141℃であった。
[合成例3]
環状オレフィンとして8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン250部、開環重合反応用溶媒としてシクロヘキサン750部を使用した以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体(以下、「環状オレフィン系樹脂C」という)の水素添加率は、実質的に100%であった。
環状オレフィン系樹脂Cの28℃における屈折率は1.52、ηinhは0.50、Mw
は65,000、Mw/Mnは3.0、Tgは145℃であった。
架橋粒子の調製
[調製例1]
スチレン98部、メタクリル酸2部、t−ドデシルカプタン10部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05部、過酸化カリウム0.4部、および水200部を2リットルのフラスコに入れ、攪拌しながら窒素ガス中にて70℃に昇温して6時間重合を行った。これにより重合収率98%で平均粒子径0.31μmのシードポリマー粒子を得た。
次いで、得られたシードポリマー粒子3部、ポリビニルアルコール10部、ハイドロキノン0.05部、水500部、ベンゾイルパーオキサイド1部、ジビニルベンゼン(純度55%)50部、およびシクロヘキサノール50部を反応器に入れて30分間攪拌した後70℃に昇温して4時間重合を行い、架橋粒子を得た。その後、この架橋粒子の分散体に
1%の硫酸アルミニウム水溶液を加えてろ過し、十分に水洗してシクロヘキサノールを除去した後、減圧乾燥して粉体状の架橋粒子Aを得た。
この架橋粒子Aは、平均粒子径3.3μm、空孔率48%の中空粒子であった。また、この架橋粒子Aの28℃における屈折率1.59であった。
[調製例2]
シードポリマー粒子の添加量を7部に変更した以外は、調製例1と同様にして粉体状の架橋粒子Bを得た。この架橋粒子Bは、平均粒子径0.8μm、空孔率47%の中空粒子であった。また、この架橋粒子Bの28℃における屈折率1.59であった。
[調製例3]
ジビニルベンゼン50部の代わりに、ジビニルベンゼン5部とスチレン45部とを使用した以外は、調製例1と同様にして架橋粒子Cを得た。この架橋粒子Cは、平均粒子径が3.3μmであったが、空孔は認められなかった(空孔率0%)。また、この架橋粒子Cの28℃における屈折率は1.59であった。
[調製例4]
ジビニルベンゼン50部の代わりに、ジビニルベンゼン5部とスチレン45部とを使用した以外は、調製例2と同様にして架橋粒子Dを得た。この架橋粒子Dは、平均粒子径が0.8μmであったが、空孔は認められなかった(空孔率0%)。また、この架橋粒子Dの28℃における屈折率は1.59であった。
その他の架橋粒子
架橋粒子E:ロームアンドハース社製粒子。架橋粒子Eの平均粒子系は6.0μm、28℃における屈折率は1.46であった。
<その他の樹脂>
PMMA:デルペット80N(旭化成社製)
PC:ユーピロンE200R(三菱エンジニアリングプラスチック社製)
[実施例1〜5、比較例1〜6]
樹脂組成物の製造
表1に示す組成で各成分を用いて樹脂組成物を製造した。ここで、環状オレフィン系樹脂はあらかじめ100℃×4時間の条件で真空乾燥を行った。その後、タンブラー型ブレンダーで所定量の架橋粒子と予備混合を行った。二軸押出し機(TEM-37BS、東芝機械製)を所定温度(290℃〜300℃)に加熱し、ホッパーとシリンダー内を窒素で充満させた。温度が安定した後、スクリューを100rpmで回転させ、ホッパー部へ窒素を流しながら、20kg/hrの速度で溶融混合を行い光拡散性の樹脂組成物を得た。
さらに、得られた樹脂組成物は、100℃×4時間の条件で真空乾燥を行い、窒素でシールしたアルミ袋中に使用まで保管した。
拡散シートの成形
十分に清掃された、650mm幅のTダイを50mmφ押出し機に取り付けた。ダイスおよび押出し機の昇温を始める前に、ダイスリップ部にとりつけたアルミニウム製のカバーから、純度99.9%の窒素を0.6m3/hrの流速で流すことにより封止し、Tダ
イと押出し機の昇温を始めた。
昇温開始から5時間かけ十分に昇温した後、樹脂組成物を窒素循環式除湿乾燥機(日水加工株式会社製、SD−200)を用いて、100℃で3時間除湿乾燥を行ったものを押出機のホッパーに移送した
押出機として、ジーエムエンジニアリング株式会社製90mm押出機(GM−90)を
用いて、押出温度280〜300℃で、吐出量100kg/hrで樹脂組成物を溶融し、ギアポンプで定量供給し、コートハンガー型マニホールドを有する700mm幅のTダイを用いて、樹脂を膜状に引き伸ばし、ステンレスベルト(表面粗さ0.1s)とつや付き
ロール(表面粗さ0.1s)を用いて、3.2m/minの速度で、シートを引き取り、樹脂シートの両面に鏡面の状態を転写・剥離して、500mm幅、厚さ0.8mmのシートを作製した。冷却キャストドラムの温度設定はTg−5〜20℃に設定して成形を行った。
得られたシートから450×600mmにサンプルを超音波カッターで切り出し評価を行った。結果を表1に示す。サンプルの評価方法は次のとおりである。
また、得られたシートを拡散板として用いて、厚み1mmのアクリル板に上記方法で得られた拡散板と偏光板を張り合わせて、スクリーンを作製し、このスクリーンへプロジェクターに投影し、投影機イメージの隠蔽製、コントラストおよび画像のにじみを、5が最高、1が最低として、5人の評価を行い平均化したものを評価値として採用した。得られたスクリーンの評価結果を表1に併せて示す。
・サンプルの評価方法
<光学特性の評価>
上記押出し成形で得られたシートおよびフィルムを格子状に12分割し、その中心部から60mm×60mmの測定用サンプルを切り出し、下記の方法により評価した。
(全光線透過率およびヘイズ)
射出成形品について、村上色彩技術研究所製ヘーズ・透過率計HM−150を使用して、全光線透過率をJIS K7361−1に準拠して、ヘイズをJIS K7136に準拠して測定した。
(光拡散性)
射出成形品について、村上色彩技術研究所製自動変角光度計GP−200を用いて、−90°から+90°までの拡散透過率分布を測定して、下記の式で定義される隠蔽度および拡散度を測定した
隠蔽度=(±5°の透過度の平均)/(0°の透過度の平均)×100
拡散度=(±20°の透過度の平均+±70°の透過度の平均)/(±5°の透過度の平均)×100
<耐久性の評価>
(湿熱)
温度を60℃、湿度を90RH%に調整した恒温恒湿槽中へシートを放置して寸法の変化およびそり量の変化を測定した。
(温度)
温度を80℃に設定したギアオーブン中へシートを放置し寸法の変化およびそり量の変化を測定した。
[実施例6、7]
樹脂組成物の製造
表1に示す組成で各成分を用いたことの他は、実施例1と同様にして樹脂組成物を製造した。
拡散フィルムの成形
十分に清掃された、650mm幅のTダイを50mmφ押出し機に取り付けた。ダイスおよび押出し機の昇温を始める前に、ダイスリップ部にとりつけたアルミニウム製のカバーから、純度99.9%の窒素を0.6m3/hrの流速で流すことにより封止し、Tダイと押出し機の昇温を始めた。
昇温開始から5時間かけ十分に昇温した後、樹脂組成物を窒素循環式除湿乾燥機(日水加工株式会社製、SD−200)を用いて、100℃で3時間除湿乾燥を行ったものを押出機のホッパーに移送した
押出機として、ジーエムエンジニアリング株式会社製90mm押出機(GM−90)を用いて、押出温度280〜300℃で、吐出量30kg/hrで樹脂組成物を溶融し、ギアポンプで定量供給し、コートハンガー型マニホールドを有する750mm幅のTダイを用いて、樹脂を膜状に引き伸ばし、ステンレスベルト(表面粗さ0.1s)とつや付きロール(表面粗さ0.1s)を用いて、10m/minの速度で、シートを引き取り、樹脂シートの両面に鏡面の状態を転写・剥離して、500mm幅、厚さ0.1mmのシートを作製した。冷却キャストドラムの温度設定はTg−5〜20℃に設定して成形を行った。
得られたフィルムから450×600mmにサンプルを超音波カッターで切り出し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。また、得られたフィルムを拡散板として用いて、実施例1と同様にしてスクリーンを製造した。評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2008064951
本発明のプロジェクター透過スクリーン用拡散板は、プロジェクター透過スクリーンの製造に好適に使用でき、該プロジェクター透過スクリーンは、リアプロジェクションテレビモニター用として好適に使用できる。

Claims (6)

  1. (A)環状オレフィン系樹脂:90〜99.9重量部、および、(B)有機架橋粒子:10〜0.1重量部(ただし、(A)と(B)の合計が100重量部)を含有し、
    全光線透過率が70%以上であり、
    前記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nAと、前記有機架橋粒子(B)の屈折率nBとの差の絶対値 |nB−nA|が0.04以上であり、かつ、
    前記有機架橋粒子(B)の平均粒子径が2.0μm以上である樹脂組成物からなることを特徴とするプロジェクター透過スクリーン用拡散板。
  2. 前記(A)環状オレフィン系樹脂が、その構造中に極性基を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター透過スクリーン用拡散板。
  3. 前記(B)有機架橋粒子が、空孔率が0.01〜60体積%の中空粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター透過スクリーン用拡散板。
  4. リアプロジェクションテレビ用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロジェクター透過スクリーン用拡散板。
  5. (A)環状オレフィン系樹脂:90〜99.9重量部、および、(B)有機架橋粒子:10〜0.1重量部(ただし、(A)と(B)の合計が100重量部)を含有し、
    全光線透過率が70%以上であり、
    前記環状オレフィン系樹脂(A)の屈折率nAと、前記有機架橋粒子(B)の屈折率nBとの差の絶対値 |nB−nA|が0.04以上であり、かつ、
    前記有機架橋粒子(B)の平均粒子径が2.0μm以上である樹脂組成物を、溶融押出法により成形することを特徴とするプロジェクター透過スクリーン用拡散板の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のプロジェクター透過スクリーン用拡散板を用いてなることを特徴とするリアプロジェクションテレビ。
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