JP2003105070A - 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品 - Google Patents

環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品

Info

Publication number
JP2003105070A
JP2003105070A JP2001296996A JP2001296996A JP2003105070A JP 2003105070 A JP2003105070 A JP 2003105070A JP 2001296996 A JP2001296996 A JP 2001296996A JP 2001296996 A JP2001296996 A JP 2001296996A JP 2003105070 A JP2003105070 A JP 2003105070A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
polymer
thermoplastic resin
cyclic olefin
opening polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001296996A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuhiro Ushino
卓浩 牛野
Nobuyuki Miyaki
伸行 宮木
Toshitaka Otsuki
敏敬 大月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2001296996A priority Critical patent/JP2003105070A/ja
Publication of JP2003105070A publication Critical patent/JP2003105070A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた透明性および耐熱性と共に、優れた色相
安定性を有し、しかも加工時のゲル発生が抑制される環
状オレフィン系熱可塑性樹脂を製造する方法および環状
オレフィン系熱可塑性樹脂、並びに優れた透明性および
耐熱性と共に、優れた色相安定性を有する環状オレフィ
ン系熱可塑性樹脂製品を提供する。 【解決手段】 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方
法は、開環重合工程に供する単量体を含有する溶液、開
環重合体において得られる開環重合体の前駆体を含有す
る溶液、開環重合工程を経ることによって得られた重合
体を含有する溶液および開環重合工程を経ることによっ
て得られた重合体の処理体を含有する溶液のいずれか
を、特定の性状を有する活性炭と接触させる接触処理を
行う工程を含む。環状オレフィン系熱可塑性樹脂は、上
記製造方法によって得られる。環状オレフィン系熱可塑
性樹脂製品は、上記製造方法によって得られる樹脂を原
料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は環状オレフィン系熱
可塑性樹脂の製造方法、およびその製造方法によって得
られる環状オレフィン系熱可塑性樹脂、並びに環状オレ
フィン系熱可塑性樹脂製品に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、環状オレフィン系熱可塑性樹脂
は、優れた透明性と耐熱性を有することから光学分野に
おいて盛んに使用されている。環状オレフィン系熱可塑
性樹脂を光学部品などに成形加工する場合には、当該樹
脂自体が高い耐熱性を有することから、通常、高温条件
下において成形加工されることとなり、また、その成形
品は高温環境下で使用されることが多い。このように高
温に晒される場合においては、特に樹脂の劣化などに起
因して、例えば樹脂が成形加工時に着色することによっ
て色相変化が生じたり、また、成形品が経時的に色相変
化が生じやすい、という問題がある。
【0003】従来、このような色相変化を抑制するため
には、環状オレフィン系熱可塑性樹脂中に残留する金属
の濃度を低減させることが重要な技術として認識されて
おり、その方法としては特定の物質に吸着させて除去す
る方法が一般的である(例えば特開平3−66725号
公報、特開平3−188110号公報、特開平5−43
663号公報、特開平8−208742号公報参照)。
しかしながら、吸着処理によって金属濃度を1ppm以
下にまで低下させた樹脂においても、高温条件下での成
形加工による色相の悪化や、成形品を連続使用すること
による色相変化を十分に抑制することができず、更なる
改良が要望されている。
【0004】また、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの老
化防止剤を添加することによって環状オレフィン系熱可
塑性樹脂の色相変化を防止する方法も検討されている
が、高温条件下での成形加工により高分子ゲル(以下、
単に「ゲル」という。)が発生するという問題があり、
また、得られる成形品においては、老化防止剤自体が光
を吸収することによって発色したり、環状オレフィン系
熱可塑性樹脂の屈折率における特性に影響を与える可能
性がある、という問題がある。従って、環状オレフィン
系熱可塑性樹脂が、本来的な特性である、高い透明性や
優れた光学特性を利用して光学分野で好適に使用される
ことを考慮するとき、単に酸化防止剤を添加することは
十分有効な手段であるとはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
優れた透明性および耐熱性と共に、優れた色相安定性を
有し、しかも加工時のゲル発生が抑制される環状オレフ
ィン系熱可塑性樹脂を製造する方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、優れた透明性および耐熱性と
共に、優れた色相安定性を有し、しかも加工時のゲル発
生が抑制される環状オレフィン系熱可塑性樹脂を提供す
ることにある。本発明の更に他の目的は、優れた透明性
および耐熱性と共に、優れた色相安定性を有する環状オ
レフィン系熱可塑性樹脂製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の環状オレフィン
系熱可塑性樹脂の製造方法は、開環重合工程を有する環
状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法であって、開環
重合工程に供する単量体を含有する溶液、開環重合体に
おいて得られる開環重合体の前駆体を含有する溶液、開
環重合工程を経ることによって得られた重合体を含有す
る溶液および開環重合工程を経ることによって得られた
重合体の処理体を含有する溶液のいずれかを、pH値が
7を超え14以下である性状を有する活性炭と接触させ
る接触処理を行う工程を含むことを特徴とする。
【0007】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の
製造方法においては、開環重合工程を経ることによって
得られた重合体を含有する溶液が、開環重合工程におい
て得られた重合体を含有する溶液であってもよい。
【0008】また、本発明の環状オレフィン系熱可塑性
樹脂の製造方法においては、開環重合工程を経ることに
よって得られた重合体を含有する溶液が、開環重合工程
において得られた重合体に対して水素添加処理を行う水
素添加工程において生成した水素添加重合体を含有する
溶液であってもよい。
【0009】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の
製造方法においては、開環重合工程を経ることによって
得られた重合体の処理体を含有する溶液が、開環重合工
程を経ることによって得られた重合体に対して造粒処理
を行う造粒工程において生成した造粒体を含有する溶液
であってもよい。
【0010】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の
製造方法は、開環重合工程に供する単量体が、その単位
構造に極性基を有していることが好ましい。
【0011】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂
は、上記の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法に
よって得られることを特徴とする。
【0012】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂製
品は、上記の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法
によって得られる環状オレフィン系熱可塑性樹脂を原料
とすることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方
法は、下記一般式(1)で示される1種以上の単量体
(以下、「特定単量体」ともいう。)を(共)重合(以
下、単に「重合」という。)する開環重合工程を含む製
造プロセスにおいて、活性炭による接触処理を行う活性
炭接触工程を設けることを特徴とする。
【0014】
【化1】
【0015】〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、また
はその他の1価の有機基であり、それぞれ同一であって
も異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR
4 は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
1 またはR2 とR3 またはR4 とは互いに結合して、
単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正
の整数であり、pは0または正の整数である。ただし、
mが0のときはpも0である。〕
【0016】活性炭接触工程としては、開環重合工程に
おいて生成した重合体(以下、「未処理重合体」とい
う。)を溶媒に溶解した状態とした接触処理用溶液を処
理対象とし、この接触処理用溶液と活性炭とを接触させ
ることが好ましい。
【0017】接触処理用溶液に用いる溶媒としては、例
えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナ
ン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロ
ヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンな
どのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類;
クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロ
ロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼ
ン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲ
ン化アルカン類;アリールなどの化合物;酢酸エチル、
酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メ
チル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル
類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキ
シエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これら
は単独であるいは混合して用いることができる。これら
のうち、特に芳香族炭化水素類が好ましい。これらの溶
媒は、「溶媒:未処理重合体(質量比)」が、「1:
1」〜「700:1」となる割合で使用されることが好
ましい。
【0018】活性炭としては、JIS K 1474に
規定される、当該活性炭と水とよりなる懸濁液のpH値
を測定することによって求められるpH値が7を超え1
4以下の範囲にある性状を有するものが用いられ、好ま
しくはpH値が8を超え14以下の範囲にある性状を有
するもの、さらに好ましくはpH値が9を超え14以下
の範囲にある性状を有するものが用いられる。
【0019】活性炭が特定の範囲のpH値を示す性状を
有するものであることにより、得られる環状オレフィン
系熱可塑性樹脂が色相安定性に優れ、かつ成形加工時に
ゲル発生が抑制されるものとなる。
【0020】具体的に、活性炭に係るpH値が過小であ
る場合には、環状オレフィン系熱可塑性樹脂に十分な色
相安定性が得られず、また、成形加工時にゲル発生が十
分に抑制されないおそれがある。
【0021】活性炭としては、市販品をそのまま用いる
ことができるが、木材、石炭、ヤシ殻などを原料とす
る、粉末状、フレーク状、粒状のものが好ましく、例え
ばその平均粒子径は0.01〜20mmであることが好
ましい。
【0022】活性炭による接触処理の方法としては、用
いる活性炭の形状などによって異なるが、通常、例えば
(1)活性炭と、処理対象である溶液とを混合して適宜
の時間撹拌した後、この混合溶液を濾過する手法、ある
いは、遠心分離する手法によって活性炭を取り除く方
法、(2)活性炭を充填させた槽に処理対象である溶液
を、適宜の時間をかけて流通させる方法、などが用いら
れる。また、活性炭の使用量としては、用いる活性炭の
形状、接触処理用溶液に用いる溶媒、接触処理の方法な
どによって異なるが、通常、「未処理重合体:活性炭
(質量比)」が、「1:0.1」〜「1:250」とな
る割合で使用される。
【0023】このような活性炭による接触処理を行う工
程を含む製造プロセスによって得られる環状オレフィン
系熱可塑性樹脂は、活性炭接触工程により未処理重合体
を含有する溶液が精製されることから、高温条件下で行
われる成形加工時にも着色が抑制されると共に、得られ
る成形品の経時的な色相変化が抑制されるという優れた
色相安定性を有し、しかも、成形加工時にゲル発生が抑
制される。また、この環状オレフィン系熱可塑性樹脂
は、活性炭接触工程を経ることにより、当該活性炭接触
工程を経ることなく得られる環状オレフィン系熱可塑性
樹脂が有する本来的な特性が損なわれることがないた
め、優れた透明性および耐熱性を有する。
【0024】本発明において活性炭による接触処理とし
ては、未処理重合体を含有する溶液を接触処理用溶液と
し、この溶液と活性炭とを接触させる処理に限定される
ものではなく、例えば(1)開環重合工程において得ら
れる生成した重合体(未処理重合体)と、後述する開環
重合反応用溶媒とを含有する重合体溶液、あるいは水素
添加工程において得られる生成した水素添加重合体(未
処理重合体)と、当該開環重合反応溶媒とを含有する水
素添加重合体溶液を処理対象とし、これらの溶液と活性
炭とを接触させる処理、(2)開環重合工程に供する単
量体と、当該開環重合工程に用いられる溶媒とを混合し
て得られる溶液を処理対象とし、この開環重合工程に供
する単量体を含有する溶液と活性炭とを接触させる処
理、(3)開環重合工程における反応途中の前駆体を含
む溶液を処理対象とし、この開環重合工程において得ら
れる前駆体を含有する溶液と活性炭とを接触させる処
理、(4)開環重合工程を経ることによって得られた、
例えば 開環重合工程における重合体、水素添加工程に
おける水素添加重合体などの重合体に対して造粒処理を
行うことによって生成した造粒体を含む溶液を処理対象
とし、この造粒体を含有する溶液と活性炭とを接触させ
る処理、などが挙げられる。
【0025】このような製造方法によって得られる環状
オレフィン系熱可塑性樹脂としては、具体的に下記の
〜の重合体を挙げることができる。 特定単量体の開環重合体 特定単量体と共重合性単量体との開環重合体 前記開環重合体の水素添加重合体 前記開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化
した後、水素添加した重合体 特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和重合
【0026】<特定単量体>好ましい特定単量体として
は、上記一般式(1)中、R1 およびR3 が水素原子ま
たは炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2 およびR
4 が水素原子または一価の有機基であって、R2 および
4 の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外
の極性基を示し、mが0〜3の整数、pが0〜3の整数
であり、m+pが0〜4、好ましくは0〜2、特に好ま
しくは1であるものを挙げることができる。
【0027】特に、特定単量体のうち、式−(CH2
n COOR5 で表される極性基を有する特定単量体は、
得られる環状オレフィン系熱可塑性樹脂が高いガラス転
移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好ましい。
極性基にかかる上記の式において、R5 は炭素原子数1
〜12の炭化水素基である。また、nは通常0〜5であ
るが、nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィ
ン系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高くなるので好ま
しく、さらにnが0である特定単量体は、その合成が容
易である点で好ましい。
【0028】さらに、上記一般式(1)においてR1
たはR3 がアルキル基であることが好ましく、当該アル
キル基の炭素数は1〜4であることが好ましく、更に好
ましくは1〜2、特に好ましくは1である。特に、この
アルキル基が上記の式−(CH2 n COOR5 で表さ
れる極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合
されていることが好ましい。また、一般式(1)におい
てmが1である特定単量体は、ガラス転移温度の高い環
状オレフィン系熱可塑性樹脂が得られる点で好ましい。
【0029】上記一般式(1)で表わされる特定単量体
の具体例を以下に示すが、本発明は必ずしもこれらの例
に限定されるものではない。ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−
8−デセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシ
クロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペ
ンタデセン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−
ウンデセン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシ
カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−
ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−
イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカ
ルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、
【0030】8−メチル−8−メトキシカルボニルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセ
ン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル
−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル
−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12, 5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル
−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.
0.12.5.17.10]−3−ドデセン、ジメタノオクタ
ヒドロナフタレン、 エチルテトラシクロドデセン、
【0031】6−エチリデン−2−テトラシクロドデセ
ン、トリメタノオクタヒドロナフタレン、ペンタシクロ
[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサ
デセン、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110
17.112,15 .02,7 .011,16]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .1
13,16 .03,8 .012,17]−5−ヘンエイコセン、5
−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.
2,5 .17,10]−3−ドデセン、5−フェニルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−トリフルオロメチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンタフルオロエチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0032】5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビス(トリ
フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ト
リフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリス(フルオロ
メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラキス
(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、
【0033】5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリ
フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオ
ロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ
−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフル
オロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso
−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、
【0034】5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5,6−ジ
クロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフ
ルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6
−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フルオロメ
チルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−トリフ
ルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8−ペンタフルオロエチルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロテ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデ
セン、
【0035】8,8−ビス(トリフルオロメチル)テト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセ
ン、8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8−
メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセン、8,8,9
−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリス(トリフル
オロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12, 5 .1
7,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テトラフルオ
ロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−
ドデセン、8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロ
メチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8,8−ジフルオロ−9,9−ビス
(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,
8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセ
ン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメト
キシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフ
ルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−フルオロ−8−ペンタフ
ルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデ
セン、8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso
−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
【0036】8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデ
セン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロ
メチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオロエト
キシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2,2,
2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンなどを
挙げることができる。これら特定単量体は、1種単独で
若しくは2種以上組み合わせて使用される。
【0037】これらの特定単量体のうち、8−メチル−
8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1
2,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−エト
キシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .1
7,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−フェノキシカ
ルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10
−3−ドデセンは、最終的に得られる環状オレフィン系
熱可塑性樹脂が耐熱性に優れたものとなる点で好まし
く、特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラ
シクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン
は、耐熱性と吸水性のバランスに優れた環状オレフィン
系熱可塑性樹脂が得られることから好ましい。
【0038】<共重合性単量体>環状オレフィン系熱可
塑性樹脂を得るための開環重合工程においては、上記の
特定単量体を単独で開環重合させてもよいが、当該特定
単量体と共重合性単量体とを開環重合させてもよい。こ
の場合に使用される共重合性単量体の具体例としては、
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シク
ロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフ
ィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数
としては、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜
12である。更にポリブタジエン、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン
共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間
二重結合を含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下
に特定単量体を開環重合させてもよい。そして、この場
合に得られる開環重合体の水素添加物は、耐衝撃性の大
きい樹脂の原料として有用である。
【0039】<開環重合触媒>本発明において、開環重
合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。このメタ
セシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から
選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表
IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元
素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZ
n、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例えばB、A
lなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)ある
いはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化
合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あ
るいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少
なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの
場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)
が添加されたものであってもよい。
【0040】(a)成分として適当なW、Moあるいは
Reの化合物の代表例としては、WCl6 、MoC
5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報
に記載の化合物を挙げることができる。(b)成分の具
体例としては、n−C4 9 Li、(C2 5 3
l、(C 2 5 2 AlCl、(C2 5 1.5 AlC
1.5 、(C2 5 )AlCl2、メチルアルモキサ
ン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の
化合物を挙げることができる。添加剤である(c)成分
の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケト
ン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更
に特開平1−240517号公報に示される化合物を使
用することができる。
【0041】メタセシス触媒の使用量としては、上記
(a)成分と特定単量体とのモル比で「(a)成分:特
定単量体」が、通常「1:500」〜「1:5000
0」となる範囲、好ましくは「1:1000」〜「1:
10000」となる範囲とされる。(a)成分と(b)
成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が
「1:1」〜「1:50」、好ましくは「1:2」〜
「1:30」の範囲とされる。(a)成分と(c)成分
との割合は、モル比で「(c):(a)」が「0.00
5:1」〜「15:1」、好ましくは「0.05:1」
〜「7:1」の範囲とされる。
【0042】<分子量調節剤>開環重合体の分子量の調
節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行う
ことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反
応系に共存させることにより調節することが好ましい。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチレ
ン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デ
センなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げるこ
とができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが
特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるい
は2種以上を混合して用いることができる。分子量調節
剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量
体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは
0.02〜0.5モルとされる。
【0043】<開環重合反応用溶媒>開環重合反応にお
いて用いられる溶媒(特定単量体、メタセシス触媒およ
び分子量調節剤を溶解する溶媒)としては、例えばペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン
などのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、
シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロ
アルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類;クロロブタ
ン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、
ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホ
ルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン
類;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチ
ル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメト
キシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなど
のエーテル類を挙げることができ、これらは単独である
いは混合して用いることができる。これらのうち、特に
芳香族炭化水素類が好ましい。溶媒の使用量としては、
「溶媒:特定単量体(質量比)」が、通常「1:1」〜
「10:1」となる量とされ、好ましくは「1:1」〜
「5:1」となる量とされる。
【0044】<水素添加触媒>以上のようにして得られ
る開環重合体は、そのまま、例えば成形加工などの材料
として使用することもできるが、この開環重合体に水素
添加処理を施す水素添加工程を経て得られる水素添加重
合体を、例えば成形加工などの材料として使用すること
が加工後の製品の耐久性の点で好ましい。水素添加工程
における水素添加反応は、通常の方法、すなわち、開環
重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜3
00kg/cm2 、好ましくは3〜200kg/cm2
の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃
で作用させることによって行われる。水素添加触媒とし
ては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用い
られるものを使用することができる。この水素添加触媒
としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知であ
る。
【0045】不均一系触媒としては、パラジウム、白
金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒
物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの
担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。ま
た、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエ
チルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/ト
リエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチ
ルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニ
ウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリ
フェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリ
フェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボ
ニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジ
クロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ル
テニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末
でも粒状でもよい。これらの水素添加触媒は、「開環重
合体:水素添加触媒(質量比)」が、「1:1×1
-6」〜「1:2」となる割合で使用される。
【0046】水素添加することにより得られる水素添加
重合体は優れた熱安定性を有するものとなり、成形加工
時や製品としての使用時の加熱によってはその特性が一
層劣化しにくいものとなる。ここに、水素添加率は、通
常50%以上、好ましく70%以上、更に好ましくは9
0%以上である。
【0047】<飽和共重合体を構成する不飽和二重結合
含有化合物>飽和共重合体よりなる環状オレフィン系熱
可塑性樹脂を得るために、特定単量体との共重合反応に
供される不飽和二重結合含有化合物としては、例えばエ
チレン、プロピレン、ブテンなど炭素数2〜12、好ま
しくは2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができ
る。
【0048】<飽和共重合体を得る際に使用する触媒>
特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応
に使用される触媒としては、バナジウム化合物と有機ア
ルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる。バナジ
ウム化合物としては、一般式VO(OR6 a b また
はV(OR7 c d (ただし、R6 は炭化水素基、0
≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、
0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表されるバナジウム化
合物、あるいはこれらの電子供与体付加物が用いられ
る。電子供与体としてはアルコール、フェノール類、ケ
トン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸の
エステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシ
シランなどの含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、
ニトリル、イソシアナートなどの含窒素電子供与体など
が挙げられる。有機アルミニウム化合物触媒成分として
は、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合あるいは
アルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少な
くとも1種が用いられる。触媒成分の比率はバナジウム
原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で2以
上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範
囲である。
【0049】<飽和共重合体を得る際に使用する溶媒>
特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応
に使用される溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカ
ン類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどのシ
クロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族炭化水素類およびそのハロゲン誘導体を挙げるこ
とができ、これらのうち、特にシクロヘキサンが好まし
い。
【0050】本発明により製造される環状オレフィン系
熱可塑性樹脂は、30℃のクロロホルム中で測定した固
有粘度(ηinh )が0.2〜5dl/gであることが好
ましく、さらに好ましくは0.3〜4である。
【0051】本発明により製造される環状オレフィン系
熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、80〜300℃であ
ることが好ましく、さらに好ましくは95〜200℃で
ある。
【0052】また、環状オレフィン系熱可塑性樹脂の分
子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分
子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均
分子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲
のものが好適である。
【0053】本発明により製造される環状オレフィン系
熱可塑性樹脂は、光学部品としたときに性能上の欠陥と
なる異物が少なく、可能な限り存在しないことが好まし
い。このような異物の含有量は、環状オレフィン系熱可
塑性樹脂500g当たり、少なくとも50μm以上の異
物が0個/10g、好ましくは30μm以上の異物が0
個/10g、特に好ましくは20μm以上の異物が0個
/10gであることが好ましい。異物の量の測定は、例
えば環状オレフィン系熱可塑性樹脂を芳香族炭化水素な
どの溶媒に溶解し、この溶液をフィルターで濾過した
後、顕微鏡で観察することにより、大きさと個数とを計
数することにより行われる。
【0054】本発明により製造される環状オレフィン系
熱可塑性樹脂は、特定単量体に係る重合体よりなる環状
オレフィン系熱可塑性樹脂の透明性・耐熱性を損なわな
い範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、
ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子、染料、顔料な
どを配合してもよい。
【0055】公知の熱可塑性樹脂としては、C9留分を
主成分とし重合された樹脂(以下、「C9系石油樹脂」
という。)、あるいはこのC9系石油樹脂の水素添加物
などの特定の炭化水素系樹脂を挙げることができる。
【0056】特定の炭化水素樹脂としては、ポリスチレ
ン換算重量平均分子量が20,000以下であり、好ま
しくは100〜20,000のものであり、さらに好ま
しくは200〜10,000、特に好ましくは300〜
5,000のものが用いられる。ポリスチレン換算重量
平均分子量が過大である場合には、特定単量体に係る重
合体との相溶性が悪くなり透明性が低減するので好まし
くない。また、特定の炭化水素樹脂は、常温で液状の炭
化水素化合物を用いた場合には、得られる樹脂の強度を
低下させやすく、しかも樹脂の表面にブリードしやすく
なることから、常温で固体のものが用いられる。特定の
炭化水素樹脂の配合割合は、特定単量体に係る重合体1
00質量部に対して0.1〜100質量部、好ましくは
1〜60質量部、さらに好ましくは2〜50質量部、特
に好ましくは5〜45質量部である。特定の炭化水素樹
脂の配合方法は、熱可塑性樹脂の加工に用いられる公知
の装置、例えば二軸押出機、単軸押出機、連続ニーダ
ー、ロール混練機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー
を使用する方法や、特定単量体に係る重合体の溶液に炭
化水素系樹脂をブレンドする方法などが挙げられる。
【0057】本発明により製造される環状オレフィン系
熱可塑性樹脂には、公知の酸化防止剤、例えば2,6−
ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジ
オキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチ
ルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]メタン;紫外線吸収剤、例えば2,4
−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、[(4−メトキシフェニル)
メチレン]プロパンジオイックアシッド ジメチルエス
テルなどを添加することによって安定化することができ
る。また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤
を添加することもできる。
【0058】本発明により製造される環状オレフィン系
熱可塑性樹脂を加工することによって得られる環状オレ
フィン系熱可塑性樹脂製品は、当該環状オレフィン系熱
可塑性樹脂が優れた透明性および耐熱性を有すると共
に、優れた色相安定性を有し、しかも、例えば成形加工
などによる加工時のゲル発生が抑制されることから、例
えば画像表示装置、情報記録再生装置、情報記録媒体、
画像撮影装置、画像再生装置などの光学部品として特に
好適に使用することができる。
【0059】画像表示装置の光学部品としては、例えば
液晶セル、偏光板、位相差板、導光板、ライトガイド、
表面保護板、透明電極板、タッチパネル、拡散板、保護
板などが挙げられる。情報記録再生装置の光学部品とし
ては、例えばピックアップレンズ、回折格子、コリメー
トレンズなどが挙げられる。情報記録媒体の光学部品と
しては、例えばCD、MD、MO、DVDなどの記録メ
ディアおよびそれらに用いる保護膜が挙げられる。画像
撮影装置の光学部品としては、例えば撮像系レンズ、フ
ァインダープリズム、CCD素子の保護キャップおよび
保護フィルム、感光素子の封止材などが挙げられる。画
像再生装置の部品としては、例えばfθレンズ、ピック
アップレンズなどが挙げられる。
【0060】本発明の製造法で得られた環状オレフィン
系熱可塑性樹脂は、例えば射出成形法、異形押出法、フ
ァイバー紡糸、ブロー成形法、インフレーション成形
法、回転成形法、溶融流延法、溶液流延法などの公知の
方法で成形加工することが可能である。
【0061】ここで、射出成形法においては、射出成形
に使用される射出成形機は特に規定されないが、例えば
シリンダーの方式ではインライン方式、プリプラ方式、
駆動方式では油圧式、電動式、ハイブリッド式、型締め
方式としては直圧式、トグル式、射出方向では横型、縦
型などが使用できる。また、型締めに関しては、射出圧
縮が使用できるものであってもよい。シリンダー径およ
び型締め力は目的の成形品の形状により決まるが、一般
に成形品の投影面積が大きいほど型締め力を大きく、成
形品の容量が大きい場合はシリンダー径の大きなものを
選ぶことが好ましい。なお、成形条件は成形品の形状に
より最適なものを選ぶべきであり、特に限定されるもの
ではない。
【0062】このような射出成形などによって得られた
成形品は公知の方法で2次加工を施すことができる。例
えば、公知の有機あるいは無機材料を用いた反射防止処
理、公知の有機あるいは無機材料によるコーティングあ
るいは電子線、放射線などを用いた表面硬化処理、フィ
ルムあるいはシートなどとの複合化、メタライジング、
特定波長を吸収する有機あるいは無機材料によるコーテ
ィング、切削処理、異形材料との公知の方法による接
着、融着などが挙げられる。
【0063】そして、溶融流延法あるいは溶液流延法に
おいては、フィルムおよびシート状の成形品を得ること
も可能である。ここで、溶融流延法とは、押出機の先端
に取り付けたフィルムまたはシート用のダイスより薄肉
の溶融体を押出し、各種ロールやベルトなどにより冷却
・固化させることによりフィルムまたはシートを得る方
法である。
【0064】溶融流延法に用いる押出機は特に限定され
ず公知のものが使用可能であり、通常単軸あるいは二軸
の押出機が使用され、好ましくは単軸の押出機が使用さ
れる。押出機のシリンダー径は通常10〜100mmであ
る。スクリューは公知のものが用いられ、例えば単軸の
場合、フルフライト、サブフライトを組み合わせたも
の、ダルメージを組み込んだもの、スクリューピッチあ
るいは溝深さが同一スクリュー中で変わるものが挙げら
れる。二軸の場合、2条あるいは3条のスクリュー、異
方向あるいは同方向回転、スクリューパーツが自由に組
み合わされる方式の場合、スクリューパーツの形状を、
スクリュー式、逆送りスクリュー、パドル式スクリュ
ー、ヘリカルパドル式スクリューなどより自由に選択し
組み込むことが可能である。押出機は1台で運転するこ
とも可能であるが、押出機を2台以上連結させたもの、
連続式およびバッチ式のニーダーと組み合わせたものを
使用しすることができる。
【0065】また、溶液流延法とは、樹脂を溶媒に溶解
た溶液をフィルムまたはシート状に伸展させ、公知の方
法で溶媒を分離せしめる方法であり、例えば特開平5−
148413号公報などで開示されている方法で製造す
ることができる。
【0066】溶液流延法に用いる溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸ブチ
ル、テトラヒドロフランジメトキシエタン、クロロホル
ム、二塩化メチレン、メチルエチルケトンなど一般に溶
媒として用いられるものが挙げられる。溶液流延を行う
方法としては、上記溶液を一定幅のダイスより金属ドラ
ム、スチールベルト、ポリエステルフィルム、テフロン
(登録商標)ベルトなどの上に押しだし、温度、時間を
かけて乾燥する。また、スプレー、ハケ、ロール、スピ
ンコート、ディッピングなどで溶液を塗布し、温度、時
間を任意にかけることにより均一厚みのフィルムを製造
することも可能である。
【0067】このような溶融流延法および溶液流延法な
どによって得られたフィルムおよびシート状の成形品に
は、公知の方法で2次加工を施すことができる。例え
ば、公知の有機あるいは無機材料をコーティングするこ
とによる反射防止処理、公知の有機あるいは無機材料を
コーティング、あるいは電子線、放射線照射による表面
硬化処理、メタライジング、公知の方法で成形された異
形状体との公知の方法による接着、融着処理、1軸ある
いは2軸以上多方向への延伸処理、各種電極の印刷、特
定の波長を吸収する有機あるいは無機材料のコーティン
グ、公知の塗料を用いた印刷などが挙げられる。
【0068】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって制限されるものではない。な
お、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0069】<水素添加重合体の調製> (調製例1)8−メチル−8−メトキシカルボニルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .1 7,10]−3−ドデセ
ン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調
節剤)41部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)75
0部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を
60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリ
エチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/リッ
トル)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変
性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノー
ル:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モ
ル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/リットル)
3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌
することにより開環重合反応させて開環重合体溶液(以
下、「開環重合溶液(1)」という。)を得た。この重
合反応における重合転化率は97%であった。
【0070】得られた開環重合体溶液(1)4000部
をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液(1)
に、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホス
フィン)ルテニウム(RuHCl(CO)[P(C6
5 3 3 :水素添加触媒)0.48部を添加し、水素
ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下
で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応させ、得
られた反応溶液(「以下、「水素添加重合体液(1)」
という。)を冷却した後、水素ガスを放圧することによ
って水素添加重合体(以下、「重合体(A−1)」とい
う。)を得た。このようにして得られた重合体(A−
1)の水素化率は実質上100%であった。また、重合
体(A−1)の30℃のクロロホルム中で測定した固有
粘度およびガラス転移温度を表1に示す。
【0071】(調製例2)1−ヘキセン(分子量調節
剤)を25部用いたこと以外は調製例1と同様の方法に
よって開環重合反応を行い開環重合体溶液(以下、「開
環重合溶液(2)」という。)を得た。この重合反応に
おける重合転化率は97%であった。そして、得られた
開環重合体溶液(2)を用いたこと以外は調製例1と同
様の方法により水素添加反応を行い反応溶液(以下、
「水素添加重合体溶液(2)」という。)を得、この水
素添加重合体溶液(2)を冷却した後、水素ガスを放圧
することによって水素添加重合体(以下、「重合体(A
−2)」という。)を得た。なお、重合体(A−2)の
水素化率は実質上100%であった。また、重合体(A
−2)の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度お
よびガラス転移温度を表1に示す。
【0072】(調製例3)特定単量体として8−エチリ
デンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3
−ドデセン200部を用い、1−ヘキセン(分子量調節
剤)を46部用いたこと以外は調製例1と同様の方法に
よって開環重合反応を行い開環重合体溶液(以下、「開
環重合溶液(3)」という。)を得た。この重合反応に
おける重合転化率は97%であった。そして、得られた
開環重合体溶液(3)を用いたこと以外は調製例1と同
様の方法により水素添加反応を行い反応溶液(以下、
「水素添加重合体溶液(3)」という。)を得、この水
素添加重合体溶液(3)を冷却した後、水素ガスを放圧
することによって水素添加重合体(以下、「重合体(A
−3)」という。)を得た。なお、重合体(A−3)の
水素化率は実質上100%であった。また、重合体(A
−3)の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度お
よびガラス転移温度を表1に示す。
【0073】(調製例4)1−ヘキセン(分子量調節
剤)を31部用いたこと以外は調製例3と同様の方法に
よって開環重合反応を行い開環重合体溶液(以下、「開
環重合溶液(4)」という。)を得た。この重合反応に
おける重合転化率は97%であった。そして、得られた
開環重合体溶液(4)を用いたこと以外は調製例3と同
様の方法により水素添加反応を行い反応溶液(以下、
「水素添加重合体溶液(4)」という。)を得、この水
素添加重合体溶液(4)を冷却した後、水素ガスを放圧
することによって水素添加重合体(以下、「重合体(A
−4)」という。)を得た。なお、重合体(A−4)の
水素化率は実質上100%であった。また、重合体(A
−4)の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度お
よびガラス転移温度を表1に示す。
【0074】(調製例5)特定単量体として8−メチル
−8メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン225部と共に、ビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン25部を用い、1−
ヘキセン(分子量調節剤)を52部用いたこと以外は調
製例1と同様の方法によって開環重合反応を行い開環重
合体溶液(以下、「開環重合溶液(5)」という。)を
得た。この重合反応における重合転化率は98%であっ
た。そして、得られた開環重合体溶液(5)を用いたこ
と以外は調製例1と同様の方法により水素添加反応を行
い反応溶液(以下、「水素添加重合体溶液(5)」とい
う。)を得、この水素添加重合体溶液(5)を冷却した
後、水素ガスを放圧することによって水素添加重合体
(以下、重合体「(A−5)」という。)を得た。な
お、重合体(A−5)の水素化率は実質上100%であ
った。また、重合体(A−5)の30℃のクロロホルム
中で測定した固有粘度およびガラス転移温度を表1に示
す。
【0075】(調製例6)1−ヘキセン(分子量調節
剤)を43部用いたこと以外は調製例5と同様の方法に
よって開環重合反応を行い開環重合体溶液(以下、「開
環重合溶液(6)」という。)を得た。この重合反応に
おける重合転化率は97%であった。そして、得られた
開環重合体溶液(6)を用いたこと以外は調製例5と同
様の方法により水素添加反応を行い反応溶液(以下、
「水素添加重合体溶液(6)」という。)を得、この水
素添加重合体溶液(6)を冷却した後、水素ガスを放圧
することによって水素添加重合体(以下、「重合体(A
−6)」という。)を得た。なお、重合体(A−6)の
水素化率は実質上100%であった。また、重合体(A
−6)の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度お
よびガラス転移温度を表1に示す。
【0076】(調製例7)特定単量体として8−メチル
−8メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−3−ドデセン217部と共に、5−フ
ェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン33部
を用い、1−ヘキセン(分子量調節剤)を45部用いた
こと以外は調製例1と同様の方法によって開環重合反応
を行い開環重合体溶液(以下、「開環重合溶液(7)」
という。)を得た。この重合反応における重合転化率は
98%であった。そして、得られた開環重合体溶液
(7)を用いたこと以外は調製例1と同様の方法により
水素添加反応を行い反応溶液(以下、「水素添加重合体
溶液(7)」という。)を得、この水素添加重合体溶液
(7)を冷却した後、水素ガスを放圧することによって
水素添加重合体(以下、「重合体(A−7)」とい
う。)を得た。なお、重合体(A−7)の水素化率は実
質上100%であった。また、重合体(A−7)の30
℃のクロロホルム中で測定した固有粘度およびガラス転
移温度を表1に示す。
【0077】(調製例8)1−ヘキセン(分子量調節
剤)を36部用いたこと以外は調製例7と同様の方法に
よって開環重合反応を行い開環重合体溶液(以下、「開
環重合溶液(8)」という。)を得た。この重合反応に
おける重合転化率は97%であった。そして、得られた
開環重合体溶液(8)を用いたこと以外は調製例7と同
様の方法により水素添加反応を行い反応溶液(以下、
「水素添加重合体溶液(8)」という。)を得、この水
素添加重合体溶液(8)を冷却した後、水素ガスを放圧
することによって水素添加重合体(以下、「重合体(A
−8)」という。)を得た。なお、重合体(A−8)の
水素化率は実質上100%であった。また、重合体(A
−8)の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度お
よびガラス転移温度を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】(実施例1〜7)表2に示すように、各
々、重合体(A−1)〜(A−7)100部が存在する
水素添加重合体溶液(1)〜(7)に、紫外線吸収剤と
して[(4−メトキシフェニル)メチレン]プロパンジ
オイックアシッドジメチルエステルを溶解することによ
って得られる混合溶液を処理対象とし、この混合溶液と
活性炭とを混合して3時間撹拌した後、活性炭を濾過し
て取り除く方法によって重合体(A−1)〜(A−7)
を活性炭に接触させた。その後、接触処理に係る溶液を
大量のメタノールで凝固してポリマーを単離し、そのポ
リマーを造粒することにより環状オレフィン系熱可塑性
樹脂のペレットを得た。
【0080】この接触処理には、下記に示す方法により
測定されるpH値が10.2、JIS K 1474に
規定される方法により測定されるヨウ素吸着性能が12
50mg/g、充填密度が0.5g/ml、平均粒径が
1.2mmの粉末状の活性炭を、処理対象である溶液に
含まれる重合体100部に対して50部用いた。
【0081】活性炭のpH値は、粉末状の活性炭1gを
乾燥させた後200ミリリットルの水に加えた混合液を
5分間沸騰加熱した後、室温まで冷却し、沸騰加熱によ
って水が蒸発した状態の混合液を、水を加えることによ
って100ミリリットルとして十分に撹拌した懸濁液の
pH値を測定することによって求めた。
【0082】得られたペレットを用いて厚さ3mmの板
状試験片を射出成形(住友重機社製SG75M−S、樹
脂温度260〜300℃、金型温度80〜140℃)に
より作成した。作成した試験片を100℃に設定したギ
ャーオーブン(スガ試験機社製)中に入れておき、分光
光度計(スガ試験機社製)にて黄色度(YI)を測定し
て所定時間ごとの色相の変化を追跡した。結果を表2に
示す。
【0083】また、直径50mmの単軸押出機の先に幅
600mmのTダイをとりつけ、上記ペレットを押出、
ロールおよびベルト上にて冷却することにより厚み0.
8mmのシート状成形品を得た。作成した成形品から1
2×10cmの面積部分をサンプリングしてトルエンに
溶解させ、孔径0.1μmのテフロン(登録商標)製メ
ンブランフィルターで加圧濾過を行った。フィルター上
に認められた透明ゲル状物の個数をカウントして、ゲル
発生抑制性能の判定を行った。判定基準はゲルの個数が
少ないほどゲル発生抑制性能が良好として、ゲルの個数
が0個のものを「A」、1〜2個を「B」、3〜9個を
「C」、10個以上を「D」とした。結果を表2に示
す。
【0084】(実施例8〜14)表2に示すように、各
々、重合体(A−8)〜(A−14)100部を、溶媒
であるトルエンに溶解した溶液に、特定の炭化水素系樹
脂として水添C9系石油樹脂を添加し、紫外線吸収剤と
して[(4−メトキシフェニル)メチレン]プロパンジ
オイックアシッドジメチルエステルを溶解することによ
って得られる混合溶液を処理対象としたこと以外は実施
例1〜7と同様の方法によって重合体(A−8)〜(A
−14)を活性炭に接触させた。その後、接触処理に係
る溶液を大量のメタノールで凝固してポリマーを単離
し、そのポリマーを造粒することにより環状オレフィン
系熱可塑性樹脂のペレットを得た。
【0085】水添C9系石油樹脂は、分子量が159
0、軟化点が100℃のものである。
【0086】得られたペレットを用いたこと以外は実施
例1〜7と同様の方法によって板状試験片を作成し、こ
の板状試験片を用いたこと以外は実施例1〜7と同様の
方法によって黄色度(YI)測定した。結果を表3に示
す。また、得られたペレットを用いたこと以外は実施例
1〜7と同様の方法によってシート状成形品を作成し、
このシート状成形品を用いたこと以外は実施例1〜7と
同様の方法によってゲル発生抑制性能の判定を行った。
結果を表3に示す。
【0087】(実施例15)表2に示すように、A成分
として重合体(A−15)100部が存在する水素添加
重合体溶液(15)を処理対象としたこと以外は実施例
1〜7と同様の方法によって重合体(A−15)を活性
炭に接触させた。その後、接触処理に係る溶液を大量の
メタノールで凝固してポリマーを単離し、そのポリマー
を造粒することにより環状オレフィン系熱可塑性樹脂の
ペレットを得た。
【0088】得られたペレットを用いたこと以外は実施
例1〜7と同様の方法によって板状試験片を作成し、こ
の板状試験片を用いたこと以外は実施例1〜7と同様の
方法によって黄色度(YI)測定した。結果を表2に示
す。また、得られたペレットを用いたこと以外は実施例
1〜7と同様の方法によってシート状成形品を作成し、
このシート状成形品を用いたこと以外は実施例1〜7と
同様の方法によってゲル発生抑制性能の判定を行った。
結果を表3に示す。
【0089】(実施例16)表2に示すように、重合体
(A−16)100部を、溶媒であるトルエンに溶解し
た溶液に、特定の炭化水素系樹脂として水添C9系石油
樹脂35部を添加した溶液を処理対象としたこと以外は
実施例1〜7と同様の方法によって重合体(A−16)
を活性炭に接触させた。その後、接触処理に係る溶液を
大量のメタノールで凝固してポリマーを単離し、そのポ
リマーを造粒することにより環状オレフィン系熱可塑性
樹脂のペレットを得た。
【0090】得られたペレットを用いたこと以外は実施
例1〜7と同様の方法によって板状試験片を作成し、こ
の板状試験片を用いたこと以外は実施例1〜7と同様の
方法によって黄色度(YI)測定した。結果を表2に示
す。また、得られたペレットを用いたこと以外は実施例
1〜7と同様の方法によってシート状成形品を作成し、
このシート状成形品を用いたこと以外は実施例1〜7と
同様の方法によってゲル発生抑制性能の判定を行った。
結果を表3に示す。
【0091】
【表2】
【0092】(比較例1〜16)表3に示すように、p
H値が6.5である活性炭を用いて接触処理を行ったこ
と以外は、各々、実施例1〜16と同様の方法によって
ペレットを得、そのペレットを用いたこと以外は実施例
1〜16と同様の方法によって板状試験片を作成し、そ
の板状試験片を用いたこと以外は実施例1〜16と同様
の方法によって黄色度(YI)測定した。結果を表3に
示す。また、得られたペレットを用いたこと以外は実施
例1〜16と同様の方法によってシート状成形品を作成
し、このシート状成形品を用いたこと以外は実施例1〜
16と同様の方法によってゲル発生抑制性能の判定を行
った。結果を表3に示す。
【0093】
【表3】
【0094】(比較例17〜32)表4に示すように、
活性炭による接触処理を行わなかったこと以外は、各
々、実施例1〜16と同様の方法によって比較用ペレッ
トを得、比較用ペレットを用いたこと以外は実施例1〜
16と同様の方法によって比較用板状試験片を作成し、
比較用板状試験片を用いたこと以外は実施例1〜16と
同様の方法によって黄色度(YI)測定した。結果を表
4に示す。また、比較用ペレットを用いたこと以外は実
施例1〜16と同様の方法によって比較用シート状成形
品を作成し、この比較用シート状成形品を用いたこと以
外は実施例1と同様の方法によってゲル発生抑制性能の
判定を行った。結果を表4に示す。
【0095】
【表4】
【0096】以上の結果から、各々、実施例1〜16に
係る製造方法によれば、pH値が7以下の性状を有する
活性炭を用いたこと以外は同様の製造プロセスを有す
る、比較例1〜16に係る製造方法によって得られる環
状オレフィン系熱可塑性樹脂に比して、優れた色相安定
性を有し、しかも、成形加工時にゲル発生が抑制される
環状オレフィン系熱可塑性樹脂が得られることが確認さ
れた。また、活性炭による接触処理を行わないこと以外
は同様の製造プロセスを有する、比較例17〜32に係
る製造方法によって得られる環状オレフィン系熱可塑性
樹脂に比して、優れた色相安定性を有し、しかも、成形
加工時にゲル発生が抑制される環状オレフィン系熱可塑
性樹脂が得られることが確認された。さらに、実施例1
〜16に係る環状オレフィン系熱可塑性樹脂の透明性お
よび耐熱性を調べたところ、比較例1〜16に係る環状
オレフィン系熱可塑性樹脂と同程度であることが確認さ
れた。
【0097】
【発明の効果】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂
の製造方法によれば、(1)開環重合工程に供する単量
体を含有する溶液、(2)開環重合工程において得られ
る重合体の前駆体を含有する溶液、(3)開環重合工程
において生成した重合体を含有する溶液、水素添加工程
において生成した水素添加重合体を含有する溶液などの
開環重合工程を経ることによって得られた重合体を含有
する溶液、(4)造粒工程において生成した造粒体を含
有する溶液などの開環重合工程を経ることによって得ら
れた重合体の処理体を含有する溶液のいずれかを、活性
炭と接触させる接触処理を行う活性炭接触工程により活
性炭と接触した溶液が精製されることから、得られる本
発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂が優れた透明性お
よび耐熱性を有すると共に、優れた色相安定性を有し、
しかも、成形加工時にゲル発生が抑制される。
【0098】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂
は、上記の製造方法によって得られる環状オレフィン系
熱可塑性樹脂であるため、優れた透明性および耐熱性を
有すると共に、優れた色相安定性を有し、しかも加工時
のゲル発生が抑制される。
【0099】本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂製
品によれば、上記の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製
造方法によって得られる環状オレフィン系熱可塑性樹脂
を原料とするため、優れた透明性および耐熱性と共に、
優れた色相安定性が得られる。従って、光学部品として
特に好適に使用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 大月 敏敬 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4J032 CA62 CA68 CB01 CB03 CC05 CD01 CD03 CD04 CE03 CF01 CF06 CG02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開環重合工程を有する環状オレフィン系
    熱可塑性樹脂の製造方法であって、 開環重合工程に供する単量体を含有する溶液、開環重合
    体において得られる開環重合体の前駆体を含有する溶
    液、開環重合工程を経ることによって得られた重合体を
    含有する溶液および開環重合工程を経ることによって得
    られた重合体の処理体を含有する溶液のいずれかを、p
    H値が7を超え14以下である性状を有する活性炭と接
    触させる接触処理を行う工程を含むことを特徴とする環
    状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 開環重合工程を経ることによって得られ
    た重合体を含有する溶液が、開環重合工程において得ら
    れた重合体を含有する溶液であることを特徴とする請求
    項1に記載の環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 開環重合工程を経ることによって得られ
    た重合体を含有する溶液が、開環重合工程において得ら
    れた重合体に対して水素添加処理を行う水素添加工程に
    おいて生成した水素添加重合体を含有する溶液であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系熱可
    塑性樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 開環重合工程を経ることによって得られ
    た重合体の処理体を含有する溶液が、開環重合工程を経
    ることによって得られた重合体に対して造粒処理を行う
    造粒工程において生成した造粒体を含有する溶液である
    ことを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系熱
    可塑性樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 開環重合工程に供する単量体が、その単
    位構造に極性基を有していることを特徴とする請求項1
    〜請求項4のいずれかに記載の環状オレフィン系熱可塑
    性樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法によって得ら
    れることを特徴とする環状オレフィン系熱可塑性樹脂。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法によって得ら
    れる環状オレフィン系熱可塑性樹脂を原料とすることを
    特徴とする環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品。
JP2001296996A 2001-09-27 2001-09-27 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品 Pending JP2003105070A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001296996A JP2003105070A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001296996A JP2003105070A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003105070A true JP2003105070A (ja) 2003-04-09

Family

ID=19118144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001296996A Pending JP2003105070A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003105070A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160345430A1 (en) * 2015-05-22 2016-11-24 Versitech Limited Transparent conductive films with embedded metal grids
JP2017061591A (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 日本ゼオン株式会社 環状オレフィン開環重合体の製造方法
CN112105972A (zh) * 2018-05-14 2020-12-18 柯尼卡美能达株式会社 光学膜、相位差膜、偏振片以及液晶显示装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001163958A (ja) * 1999-12-10 2001-06-19 Hitachi Chem Co Ltd メタセシス重合体の精製方法
JP2001226468A (ja) * 2000-02-17 2001-08-21 Hitachi Chem Co Ltd フッ素含有重合体の製造方法及びフッ素含有重合体

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001163958A (ja) * 1999-12-10 2001-06-19 Hitachi Chem Co Ltd メタセシス重合体の精製方法
JP2001226468A (ja) * 2000-02-17 2001-08-21 Hitachi Chem Co Ltd フッ素含有重合体の製造方法及びフッ素含有重合体

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160345430A1 (en) * 2015-05-22 2016-11-24 Versitech Limited Transparent conductive films with embedded metal grids
CN107851484A (zh) * 2015-05-22 2018-03-27 港大科桥有限公司 具有包埋的金属网格的透明导电薄膜
US10550490B2 (en) * 2015-05-22 2020-02-04 Versitech Limited Transparent conductive films with embedded metal grids
JP2017061591A (ja) * 2015-09-24 2017-03-30 日本ゼオン株式会社 環状オレフィン開環重合体の製造方法
CN112105972A (zh) * 2018-05-14 2020-12-18 柯尼卡美能达株式会社 光学膜、相位差膜、偏振片以及液晶显示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100380916B1 (ko) 광학용 성형 재료, 및 광 디스크 기판과 그의 제조 방법
JP3570455B2 (ja) 光学材料用樹脂組成物
JP2001072839A (ja) 耐候性樹脂組成物
JP4729802B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその用途
JP3775052B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3106811B2 (ja) 環状オレフィン系開環重合体の精製方法
JP2003105070A (ja) 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品
JP4691844B2 (ja) 成形材料およびこれによる成形品
JPH10193396A (ja) 射出成形用金型および射出成形方法
JP3680885B2 (ja) 射出成形方法
JP3747862B2 (ja) フィルムまたはシート
JP3289571B2 (ja) ノルボルネン系重合体組成物の製造方法
JP2005239740A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH08217860A (ja) ノルボルネン系重合体の製造方法
JP4411728B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2001323074A (ja) 微細なパターンが高転写された射出成形体
JP2001074940A (ja) 導光板
JP2006077257A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3985354B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0673168A (ja) 開環重合体の製造法
JPH06256477A (ja) 重合体の製造法
JP2001072837A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂製成形体
JP2001261943A (ja) 樹脂組成物および樹脂成形品
JPH061831A (ja) 重合体の製造法
JP2000086870A (ja) 樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080620

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100928

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110329