JP3985354B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、透明性、耐熱性、帯電防止性に優れ、成形加工時における発塵性の低い熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状ポリオレフィン系樹脂は、主鎖構造の剛直性に起因してガラス転移温度が高く、主鎖構造に嵩高い基が存在するために非晶性で光線透過率が高く、しかも分極率の異方性が小さいことによる低複屈折性を示すなどの特長を有しており、耐熱性、透明性、光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されている。
かかる環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば特開平1−132625号公報、特開平1−132626号公報、特開昭63−218726号公報、特開平2−133413号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報等に開示されている。
【0003】
近年、例えば光ディスク、光学レンズ、光ファイバーなどの光学材料、光半導体封止材などの封止材料などの分野において、環状ポリオレフィン系樹脂を応用することについて検討されている。
しかしながら、環状ポリオレフィン系樹脂は帯電されやすいという問題があり、このため、当該環状ポリオレフィン系樹脂からなる製品の表面に埃などが静電付着したり、当該製品同士が静電付着したりすることにより、当該製品の操作性や二次加工性が著しく阻害されてしまうことがある。
また、環状ポリオレフィン系樹脂を成形加工する際に塵が発生しやすい(発塵性が高い)という問題点があり、このため、作業環境の低下、成形金型の汚染を招来し、最終製品の性能へ悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、環状ポリオレフィン樹脂の有する良好な特性(透明性、耐熱性、機械的特性)を保持しながら、帯電防止性に優れ、かつ、成形加工時における発塵性の低い(塵を発生させにくい)熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、環状ポリオレフィン系樹脂(A)〔以下、「(A)成分」ともいう。〕と、縮合度3〜10のグリセリン縮合物の飽和脂肪酸(部分)エステル(B)〔以下、「(B)成分」ともいう。〕とを含有し、
(A)成分と(B)成分との割合が、(A)成分/(B)成分(重量比)が99/1〜99.9/0.1であることを特徴とする。
【0006】
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、以下の形態が好ましい。
〔1〕飽和脂肪酸がステアリン酸であること。
〔2〕(B)成分のエステル化度が50〜95%であること。
〔3〕(B)成分の分子量が200〜10,000であること。
〔4〕(B)成分の5%重量減少温度(後述)が230℃以上であること。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について詳細に説明する。
<(A)成分>
本発明の樹脂組成物を構成する(A)成分としては、下記▲1▼〜▲5▼に示す重合体を挙げることができる。
▲1▼ 下記一般式(I)で表される単量体(以下、「特定単量体」という。)の開環重合体
▲2▼ 特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体
▲3▼ 前記開環(共)重合体の水素添加重合体
▲4▼ 前記開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
▲5▼ 特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
【0008】
【化1】
Figure 0003985354
【0009】
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR4 は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。〕
【0010】
<特定単量体>
好ましい特定単量体としては、上記一般式(I)中、R1 およびR3 が水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2 およびR4 が水素原子または一価の有機基であって、R2 およびR4 の少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性基を示し、mが0〜3の整数、pが0〜3の整数であり、m+pが0〜4(更に0〜2、特に1)であるものを挙げることができる。
また、特定単量体のうち、式−(CH2 n COOR5 で表される極性基を有する特定単量体は、得られる熱可塑性樹脂組成物が高いガラス転移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好ましい。極性基にかかる上記の式において、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは通常0〜5であるが、nの値が小さいものほど、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が高くなるので好ましく、更にnが0である特定単量体は、その合成が容易である点で好ましい。更に、上記一般式(I)においてR1 またはR3 がアルキル基であることが好ましく、当該アルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。特に、このアルキル基が上記の式−(CH2 n COOR5 で表される極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが好ましい。また、一般式(I)においてmが1である特定単量体は、ガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂組成物が得られる点で好ましい。
【0011】
上記一般式(I)で表わされる特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ジメタノオクタヒドロナフタレン、
エチルテトラシクロドデセン、
6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン、
トリメタノオクタヒドロナフタレン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。
【0012】
これらの特定単量体のうち、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ〔7.4.0.12,5 .19,12.08,13〕−3−ペンタデセンは、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物が耐熱性に優れたものとなる点で好ましい。
【0013】
<共重合性単量体>
(A)成分を得るための開環重合工程においては、上記の特定単量体を単独で開環重合させてもよいが、当該特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させてもよい。
この場合に使用される共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、更に好ましくは5〜12である。
更にポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を開環重合させてもよい。
これらの共重合性単量体は、「特定単量体/共重合性単量体(重量比)」が、100/0〜50/50であることが好ましく、更に好ましくは100/0〜60/40となる割合で用いられる。
そして、この場合に得られる開環重合体の水素添加物は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
【0014】
<開環重合触媒>
本発明において、開環重合反応はメタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、III B族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
【0015】
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C4 9 Li、(C2 5 3 Al 、(C2 5 2 AlCl、(C2 5 1.5 AlCl1.5 、(C2 5 )AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
【0016】
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定単量体とのモル比で「(a)成分:特定単量体」が、通常1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる範囲とされる。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲とされる。
【0017】
<分子量調節剤>
開環重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。
ここに、好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
【0018】
<開環重合反応用溶媒>
開環重合反応において用いられる溶媒(特定単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒)としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量としては、「溶媒:特定単量体(重量比)」が、通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
【0019】
<水素添加触媒>
以上のようにして得られる開環(共)重合体は、そのまま(A)成分として使用することもできるが、水素添加された水素添加(共)重合体を(A)成分として使用することが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち、開環(共)重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、「開環(共)重合体:水素添加触媒(重量比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
このように、水素添加することにより得られる水素添加(共)重合体は優れた熱安定性を有するものとなり、成形加工時や製品としての使用時の加熱によってはその特性が劣化することはない。ここに、水素添加率は、通常50重量%以上、好ましく70重量%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。
【0020】
<飽和共重合体を構成する不飽和二重結合含有化合物>
飽和共重合体よりなる(A)成分を得るために、特定単量体との共重合反応に供される不飽和二重結合含有化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなど炭素数2〜12、好ましくは2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
これらの不飽和二重結合含有化合物は、「特定単量体/不飽和二重結合含有化合物(重量比)」が、90/10〜40/60であり、更に好ましくは85/15〜50/50となる割合で用いられる。
【0021】
<飽和共重合体を得る際に使用する触媒>
特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応に使用される触媒としては、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる。バナジウム化合物としては、一般式VO(OR)a b またはV(OR)c d (ただし、Rは炭化水素基、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物が用いられる。電子供与体としてはアルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナート等の含窒素電子供与体などが挙げられる。有機アルミニウム化合物触媒成分としては、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合あるいはアルミニウム−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種が用いられる。
触媒成分の比率はバナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲である。
【0022】
<飽和共重合体を得る際に使用する溶媒>
特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応に使用される溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のシクロアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素およびそのハロゲン誘導体を挙げることができ、これらのうち、シクロヘキサンが好ましい。
【0023】
本発明で用いられる(A)成分の30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は、0.2〜5.0dl/gであることが好ましい。また(A)成分の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が8,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)が20,000〜300,000の範囲のものが好適である。
【0024】
<(B)成分>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、多価アルコール縮合物の飽和脂肪酸(部分)エステルである(B)成分が含有されている点に特徴を有するものである。
ここで、多価アルコール縮合物の飽和脂肪酸(部分)エステルには、
▲1▼ 多価アルコール縮合物におけるアルコール性水酸基の全部がエステル化されている飽和脂肪酸エステル、および
▲2▼ 多価アルコール縮合物におけるアルコール性水酸基の一部がエステル化されている飽和脂肪酸部分エステルが含まれる。
【0025】
<多価アルコール縮合物>
(B)成分を得るために用いられる多価アルコール縮合物は、アルコール性水酸基を分子中に2個以上有する多価アルコールであるグリセリンの縮合物である。
【0026】
グリセリン縮合物(ポリグリセリン)の縮合度(重合度)は、3〜10とされる。
ここで、縮合物でない多価アルコールを用いる場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物が透明性および帯電防止性に劣るものとなるとともに、これを成形加工する際に塵を発生しやすいものとなる。
【0027】
<飽和脂肪酸>
多価アルコール縮合物とのエステル化反応に供される飽和脂肪酸としては特に限定されるものではないが、炭素数が2〜50である一価の飽和脂肪酸を用いることが好ましく、更に炭素数が10〜50、特に好ましくは炭素数が16〜25である一価の飽和脂肪酸を用いることが好ましい。
かかる飽和脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カブリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などを挙げることができ、これらの飽和脂肪酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、ステアリン酸が好ましく、2種以上の飽和脂肪酸を用いる場合であっても、ステアリン酸の割合を10重量%以上とすることが好ましい。ステアリン酸の割合は30重量%以上であることが更に好ましく、特に好ましくは50重量%以上とされる。
また、飽和脂肪酸を構成する炭素原子(炭素鎖を構成する炭素原子)に結合された水素原子が置換基により置換されてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、カルボキシル基、水酸基などを挙げることができる。なお、置換基が水酸基である場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性、透明性、帯電防止性に悪影響を及ぼすことがある。
【0028】
上記の多価アルコール縮合物と、上記の飽和脂肪酸とのエステル化反応により、(B)成分である多価アルコール縮合物の飽和脂肪酸(部分)エステルが得られる。
ここに、エステル化度(前記多価アルコール縮合物におけるアルコール性水酸基の数に対する、(B)成分中におけるエステル結合の数の比)は、通常1〜100%とされ、好ましくは10〜99%、更に好ましくは30〜98%、特に好ましくは50〜95%とされる。
エステル化度が1%未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が劣るものとなるとともに、成形加工時における発塵性を十分に低くすることができない。
また、(B)成分である飽和脂肪酸部分エステル1分子中に残存するアルコール性水酸基の数は1個以上であることが好ましく、更に好ましくは2〜100個、特に好ましくは3〜50個、最も好ましくは3〜30個とされる。
【0029】
(B)成分の分子量は、通常200〜10,000とされ、好ましくは400〜8,000、更に好ましくは600〜6,000、特に好ましくは800〜4,000とされる。分子量が200以下である場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が劣るものとなるとともに、成形加工時における発塵性を十分に低くすることができない。一方、分子量が10,000を超える場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性が損なわれることがある。
【0030】
得られる熱可塑性樹脂組成物(本発明の熱可塑性樹脂組成物)の成形加工時における発塵性を十分に低くする観点から、(B)成分は、下記に定義される「5%重量減少温度」が230℃以上のものであることが好ましく、更に好ましくは260℃以上、特に好ましくは290℃以上、最も好ましくは320℃以上とされる。
【0031】
〔5%重量減少温度〕
窒素雰囲気下において、1分間に10℃の昇温速度で加熱を行って重量を減少させたときに、(B)成分の5重量%が減少したときの加熱温度。
【0032】
本発明の樹脂組成物中における(A)成分と(B)成分との含有割合としては、「(A)成分/(B)成分(重量比)」が99/1〜99.9/0.1とされる。
(A)成分の割合が過大である場合には、帯電防止性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができない。一方、(B)成分の割合が過大である場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物が耐熱性および透明性に劣るものとなるとともに、成形加工する際の発塵性を十分に低くすることができない。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、(A)成分および(B)成分以外の樹脂成分として炭化水素樹脂、ポリスチレンオリゴマー、ロジン樹脂が含有されていてもよく、これらの樹脂成分によって得られる樹脂組成物の流動性を改良することができる。
上記の樹脂成分の含有量としては、(A)成分100重量部あたり、通常0.01〜60重量部とされ、好ましくは0.1〜30重量部とされる。
【0034】
これらの樹脂成分は、常温で固体のものであって、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が20,000以下、好ましくは200〜20,000ものであることが好ましい。
ここで、これらのポリスチレン換算重量平均分子量が過大であると、(A)成分との相溶性が悪くなり透明性が低減するので好ましくない。また、常温で液状の炭化水素樹脂を用いると、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が低下し、しかも熱可塑性樹脂組成物の表面がブリードするので好ましくない。
【0035】
かかる炭化水素樹脂としては、C5 系樹脂、C9 系樹脂、C5 系/C9 系混合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ビニル置換芳香族系化合物の重合体系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、前記樹脂の水素添加物水素添加物などを挙げることができる。
【0036】
ロジン樹脂としては、例えばアピエチン酸、ピマル酸などと、その誘導体としての水添体、不均化体、重合体、エステル化体などが挙げられる。
【0037】
本発明の樹脂組成物には、機械的性質を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、金属フレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの充填材を、単独で用いても、あるいは2種以上を混合しても用いることもできる。
【0038】
また、本発明の樹脂組成物には、公知の難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、滑剤、シリコンオイル、発泡剤などの添加剤を配合することもできる。
【0039】
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、
▲1▼(A)成分と(B)成分と任意成分とを、二軸押出機、ロール混練機などを用いて混合することによりペレット状の樹脂組成物を得る方法、
▲2▼当該(A)成分の溶液と(B)成分の溶液とを混合し、溶媒を除去することにより樹脂組成物を得る方法を挙げることができる。
【0040】
前記▲1▼の製造方法においては、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダーなどの溶融混練機を用いることができる。
混練り温度は、好ましくは100〜350℃、更に好ましくは150〜300℃である。また、各成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練りしても数回に分けて添加しながら混練りしてもよい。
【0041】
本発明の樹脂組成物によれば、公知の成形手段、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法などを用いて成形品を作製することができる。ここに、成形品の形状としても特に限定されるものではない。
また、当該(A)成分の溶液に(B)成分を混合する場合には、キャスト成形法によってフィルム状の成形品を得ることができる。
【0042】
また、本発明の樹脂組成物により作製された成形品の表面に、無機化合物、シランカップリング剤などの有機シリコン化合物、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などからなるハードコート層を形成することができる。ハードコート層の形成手段としては、熱硬化法、紫外線硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法を挙げることができる。これによって、成形品の耐熱性、光学特性、耐薬品性、耐摩耗性および耐水性などを向上させることができる。
【0043】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途は特に限定されるものではなく、広い範囲にわたって使用することができ、例えば、メガネレンズ、一般カメラ用レンズ、ピックアップレンズ、ビデオカメラ用レンズ、望遠鏡レンズ、レーザビーム用レンズなどのレンズ類、光学式ビデオディスク、コンパクトディスク(CD)やミニディスク(MD)、DVDディスク等のオーディオディスク、相変化型ディスク、光磁気ディスク(MO)、CD−ROMディスク、CD−Rディスク、DVD−RAMディスクなどのメモリディスクとしての光ディスク類、位相差フィルム、偏光フィルム、透明導電性フィルム、OHPフィルムなどの光学フィルムや光拡散板、導光板、液晶表示基板などの光学材料、フォトインタラプター、フォトカプラー、LEDランプなどの光半導体封止材、ICカードなどのICメモリーの封止材、光ファイバーなどとして特に好適に使用することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらによって制限されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0045】
〔調製例(A−1)〕
下記式(1)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)41部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングズテン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体の30℃、クロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は0.45dl/gであった。
【0046】
【化2】
Figure 0003985354
【0047】
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6 5 3 3 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応させた。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧し、当該反応溶液を大量のメタノール中に注いで水素添加重合体を凝固させて分離回収した。このようにして得られた水素添加重合体(以下、「樹脂(A−1)」という。)の水素化率は実質上100%であり、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は19,800、重量平均分子量(Mw)は62,000であった。
【0048】
〔調製例(A−2)〕
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンに代えて、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン200部を用いたこと以外は調製例(A−1)と同様にして開環重合反応、水素添加反応および凝固回収処理を行って水素添加重合体を得た。このようにして得られた水素添加重合体(以下、「樹脂(A−2)」という。)の水素化率は実質上100%であり、GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は19,200、重量平均分子量(Mw)は58,000であった。
【0049】
〔調製例(A−3)〕
攪拌翼、ガス導入管、温度計および滴下ロートを備えた反応容器を窒素ガスで十分に置換し、この反応容器内に、モレキュラーシーブにより脱水乾燥させたシクロヘキサン2,000部を入れ、窒素雰囲気下、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン75部と、エチルアルミニウムセスキクロリドのn−ヘキサン溶液(1mol/l)6.6部とを添加した。
次いで、反応容器内の温度を10℃に保った状態で、ガス導入管から反応器内に、エチレンと窒素の混合ガス(エチレン流量:10リットル/Hr、窒素流量:40リットル/Hr)を10分間供給した。その後、この溶液に、VO(OC2 5 )Cl2 のn−ヘキサン溶液(0.07mol/l)23部を滴下ロートより滴下して共重合反応を開始し、前記混合ガスを通しながら反応を継続させた。反応を開始してから30分経過後、反応溶液に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、この重合体溶液を大量のメタノール中に注いで重合体(飽和共重合体)を凝固させた。このようにして得られた重合体(以下、「樹脂(A−3)」という。)のGPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は21,000、重量平均分子量(Mw)は63,000であった。
【0050】
〔(B)成分、エステル(b−1)、縮合物(b−2)の調製〕
下記表1に示す処方に従って、多価アルコール縮合物(グリセリン縮合物)と飽和脂肪酸とをエステル化反応させることにより(B)成分〔エステル(B−1)〜エステル(B−3)〕を調製した。
また、下記表1に示す処方に従って、グリセリンとステアリン酸とをエステル化反応させることにより、比較用のエステル(b−1)を調製した。
また、比較用の縮合物(b−2)として、グリセリン縮合物(縮合度=3)を用意した。
上記のエステル(B−1)〜(B−3)、比較用のエステル(b−1)および比較用の縮合物(b−2)の各々について、エステル化度、5%重量減少温度を表1に併せて示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003985354
【0052】
〔実施例1〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−1)99.0部と、エステル(B−1)1.0部とを、ニーダー(設定温度:260℃)を用いて溶融混練し、次いで、フィーダールーダーを用いてペレット化することにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0053】
〔実施例2〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−2)99.0部と、エステル(B−2)1.0部とを混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0054】
〔実施例3〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−3)99.0部と、エステル(B−2)1.0部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0055】
〔実施例4〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−1)99.0部と、エステル(B−2)1.0部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0056】
〔実施例5〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−1)99.9部と、エステル(B−2)0.1部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0057】
〔比較例1〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−1)をペレット化することにより、比較用の熱可塑性樹脂を得た。
【0058】
〔比較例2〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−1)99.0部と、比較用のエステル(b−1)1.0部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0059】
〔比較例3〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−1)90.0部と、比較用の縮合物(b−2)10.0部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0060】
〔参考例1〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−2)80.0部と、エステル(B−1)20.0部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0061】
〔参考例2〕
下記表2に示す処方に従って、樹脂(A−3)95.0部と、エステル(B−3)5.0部とを溶融混練したこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0063】
<樹脂組成物の評価>
実施例1〜5、比較例1〜3および参考例1〜2により得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物(樹脂)の各々について、耐熱性、透明性、帯電防止性および発塵性について評価した。これらの結果を併せて表2に示す。評価方法(測定方法)は下記のとおりである。
【0064】
(1)耐熱性(荷重たわみ温度の測定):
射出成形機(成形温度:280℃)により、125mm×12.5mm×6.4mmの試験片を作製し、当該試験片を用いて、JIS K 7207に準じて荷重たわみ温度を測定した。ここに、荷重は1820kPaとした。
【0065】
(2)透明性(全光線透過率の測定):
射出成形機(成形温度:280℃)により平板状の試験片(厚さ3.2mm)を作製し、当該試験片を用いて、JIS K 7105に準じて全光線透過率(%)を測定した。
【0066】
(3)帯電防止性(静電気帯電圧の測定):
射出成形機(成形温度:280℃)により平板状の試験片(厚さ1.2mm)を作製し、当該試験片の静電気帯電圧(V)を「ディジタル式静電気測定器」(ヒューグルエレクトロニクス(株)製)を用いて測定した。ここに、測定条件は温度25±5℃、相対湿度50±10%とした。
【0067】
(4)発塵性(塵の数の測定):
樹脂組成物の成形工程において、射出成形機の近傍(50cm以内)で採取した空気1m3 中に存在する塵(1μm以上)の数をパーティクルカウンタ「モデル227」(トランステック(株)製)を用いて測定した。
【0068】
【表2】
Figure 0003985354
【0069】
表2に示す結果から、実施例1〜5に係る熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、透明性および帯電防止性に優れているとともに、当該熱可塑性樹脂組成物の成形工程において、塵を発生させにくい(発塵性が低い)ものであることが理解される。
これに対して、(B)成分を含有しない比較例1に係る熱可塑性樹脂は帯電防止性に劣るものであった。
また、比較用のエステル(b−1)(非縮合物のエステル)を含有する比較例2に係る熱可塑性樹脂組成物は透明性および帯電防止性に劣るものであり、比較用の縮合物(b−2)(非エステル)を含有する比較例3に係る熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性および透明性に劣るものであった。しかも、比較例2に係る樹脂組成物および比較例3に係る樹脂組成物は、成形工程において、塵を発生させやすいものであることが理解される。
【0070】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、環状ポリオレフィン系樹脂の有する良好な特性(透明性,耐熱性,機械的特性)を保持しながら、優れた帯電防止性を有する組成物である。従って、当該熱可塑性樹脂組成物からなる製品の表面に埃などが静電付着したり、当該製品同士が静電付着したりすることを確実に防止することができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工時における発塵性がきわめて低いことから、成形工程などにおける作業環境を低下させることはなく、また、成形金型を汚染したり、最終製品の性能に悪影響を与えたりすることもない。
これによって、光学材料や封止剤などの分野における環状オレフィン系樹脂の応用の拡大に貢献することができ、このことによる工業的価値は極めて高い。

Claims (1)

  1. 環状ポリオレフィン系樹脂(A)〔(A)成分〕と、
    縮合度3〜10のグリセリン縮合物の飽和脂肪酸(部分)エステル(B)〔(B)成分〕とを含有し、
    (A)成分と(B)成分との割合が、(A)成分/(B)成分(重量比)が99/1〜99.9/0.1であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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