JP2001226468A - フッ素含有重合体の製造方法及びフッ素含有重合体 - Google Patents

フッ素含有重合体の製造方法及びフッ素含有重合体

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JP2001226468A
JP2001226468A JP2000045160A JP2000045160A JP2001226468A JP 2001226468 A JP2001226468 A JP 2001226468A JP 2000045160 A JP2000045160 A JP 2000045160A JP 2000045160 A JP2000045160 A JP 2000045160A JP 2001226468 A JP2001226468 A JP 2001226468A
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fluorine
carbon atoms
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polymer
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JP2000045160A
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English (en)
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Shigeki Katogi
茂樹 加藤木
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性に優れ、低吸湿性のメタセシス重合触
媒による重合体の製造方法を提供する。 【解決手段】 一種以上のメタセシス重合性モノマをメ
タセシス重合触媒で重合させて得られた重合体に、さら
にフッ素ガスを接触させて得られる数平均分子量300
〜300,000のフッ素含有重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素含有重合体
の製造方法及びその製造方法により得られたフッ素含有
重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ノルボルネン型モノマーを開環重
合させて、重合体を得る方法は知られている。例えば、
特開昭52−126500号公報には複分解(メタセシ
ス)触媒系の触媒を使用してノルボルネン系モノマーを
開環重合させて重合体を得る方法が開示されている。
【0003】前記メタセシス重合により得られた重合体
は、主鎖中に二重結合が存在しているため、耐侯性に劣
ることが知られている。そこで耐侯性を向上させること
を目的に、重合体中の二重結合を水素化反応により単結
合にする方法が一般に用いられている。メタセシス重合
体の水素化反応は、例えば、特開平6−206985号
公報や特開平7−188396号公報に示されており、
Ni、Pd、Ruなどの担持型触媒、Ti、Co、Ni
などの遷移金属化合物とアルキルアルミニウムなどから
なるチーグラー型触媒、Ru錯体、Rh錯体などの金属
錯体触媒を用いて、加圧加温下で水素ガスと接触させて
前記重合体の水素化反応を行っている。
【0004】しかしながら、上記水素化反応は重合体中
の全ての二重結合を水素化するために少なくとも3時間
以上の反応時間が必要である。また、水素化反応終了
後、用いた水素化触媒の除去操作が必要となる。このた
め、重合体中の金属不純物残存量が高くなり、電気・電
子材料、半導体材料等の絶縁性が要求される分野や、光
学材料、液晶関連材料等の透明性が要求される分野には
適用できないという問題がある。また、金属不純物量を
低減するために、ろ過、吸着処理等が必要となり、生産
時間および生産コストが高くなるという問題がある。ま
た、接着性や機能性付与を目的にエステル基、水酸基、
カルボキシル基、アミド基、アミノ基等の極性基が置換
した上記重合体では、重合体の吸水率が上昇し、電気・
電子材料及び半導体材料で必要となる耐湿試験に悪影響
を及ぼす恐れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐候
性に優れ、かつ吸湿性の低いメタセシス重合体を提供す
ることにある。すなわち、メタセシス重合体の二重結合
部をフッ素化したフッ素含有重合体を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、一種以上のメ
タセシス重合性モノマをメタセシス重合触媒で重合させ
て得られた重合体に、さらにフッ素ガスを接触させて得
られる数平均分子量300〜300,000のフッ素含
有重合体の製造方法に関する。メタセシス重合性モノマ
が、置換または無置換のノルボルネン誘導体またはシク
ロアルケン誘導体であると好ましい。また、一般式
(A)または一般式(B)で示されるメタセシス重合触
媒を使用すると好ましい。メタセシス重合性モノマを重
合溶媒の存在下にメタセシス重合触媒で重合させ、その
重合液中にビニル化合物または吸収剤を添加して得られ
た重合体を用いることが好ましい。又、本発明は、上記
のフッ素含有重合体の製造方法により得られたフッ素含
有重合体に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のメタセシス重合性モノマ
としては、置換または無置換のノルボルネン誘導体及び
シクロアルケン誘導体が好適に用いられ、これらのモノ
マは単独あるいは複数を組合わせて用いることができ
る。
【0008】ノルボルネン誘導体としては、ノルボルネ
ン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチル
ノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボ
ルネン、ブチルノルボルネン、5−アセチル−2−ノル
ボルネン、ジメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボキシレート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2−
カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキシア
ルデヒド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸モ
ノメチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカル
ボン酸ジメチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸ジエチルエステル、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸ジ−n−ブチルエステル、5−ノ
ルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエ
ステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジベ
ンジルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ
ン酸無水物、3,6−エポキシ−1,2,3,6−テト
ラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2−メタノール、6
−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−ノルボ
ルネン−2−オールなどの二環ノルボルネン、ジシクロ
ペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチル
ジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエ
ン、ジシクロペンタジエンなどの三環ノルボルネン、テ
トラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジ
メチルシクロテトラドデセンなどの四環ノルボルネン、
トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの三量
体)、テトラシクロペンタジエン(シクロペンタジエン
の四量体)などの五環以上のノルボルネンが挙げられ
る。
【0009】2個以上のノルボルネン基を有する化合
物、例えばテトラシクロドデカジエン、対称型トリシク
ロペンタジエン等を用いることもできる。以上のノルボ
ルネン誘導体は、単独でまた複数のモノマーの混合物と
して用いることもできる。
【0010】シクロアルケン誘導体としては、シクロブ
テン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセ
ン、1,5−シクロオクタジエン、1,3,5,7−シ
クロオクタテトラエン、1,5,7−シクロドデカトリ
エン、5,6−エポキシ−1−シクロオクテン、3,4
−エポキシ−1−シクロオクテン、5−メトキシ−1−
シクロオクテン、5−ブロモ−1−シクロオクテン、5
−イソプロポキシ−1−シクロオクテン、5−ホルミル
−1−シクロオクテン、5−メトキシ−1−シクロオク
テン、エチルシクロオクト−1−エン−5−カルボキシ
レート、(トリメチルシリル)−シクロオクト−1−エ
ン−5−カルボキシレート、テトラヒドロインデン、メ
チルテトラヒドロインデンなどのシクロオレフィン類も
使用することができる。これらのモノマは、単独でまた
は複数のモノマーの混合物として用いることもできる。
【0011】前記メタセシス重合性モノマを重合させる
ためのメタセシス重合触媒としては、従来公知の重合方
法を用いることができ、例えばEncyclopedia of Polyme
r Science and Engineering、9巻、634〜668頁(H. F. M
ark、N. M. Bikales、C. G.Overberger、G. Menges編、
1987、JohnWiley&Sons社)に記載されているタングステ
ン、モリブデン、レニウム、チタン、ルテニウム、レニ
ウム、イリジウム等の遷移金属化合物が挙げられる。こ
れらの触媒を使用する際にはアルキルアルミニウム等の
助触媒を加えることで飛躍的に重合効率を上げることが
できる。また、前記以外にMacromolecules、23、3534頁
(1990)やOrganometallics、16、3867頁(1997)に記載さ
れているタングステン、モリブデン、オスミウム及びル
テニウムカルベン錯体を用いることができる。
【0012】特に、ルテニウムカルベン錯体及びオスミ
ウムカルベン錯体は、酸素や水分が存在しても十分な重
合活性を示すため好適に用いられる。このような錯体と
しては、下記一般式(A)又は下記一般式(B)で示される
ものが挙げられ、それぞれ単独で用いても、併用しても
良い。
【化3】
【化4】 (ここで、Mはルテニウム又はオスミウム;R及びR1
は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20の
アルキニル基、炭素数2〜20のアリール基、炭素数1
〜20のカルボキシレート基、炭素数1〜20のアルコ
キシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数
1〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコ
キシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、
炭素数1〜20のアルキルスルフォニル基、炭素数1〜
20のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜20のアル
キルセレノ基、炭素数1〜20のアルキルセレニル基、
及び炭素数1〜20のアルキルセレノニル基から選ば
れ、それぞれは炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン、
炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数2〜20のアリ
ール基で置換されていても良く、前記アリール基はハロ
ゲン、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアル
コキシ基で置換されていても良い;X及びX1はアニオ
ン性配位子であり、アニオン配位子は、中心金属への配
位を外したときに陰性電荷をもつ基のことである。この
ような基としては、例えば、水素、ハロゲン、CF3
3、CH3CO2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF
3)2(CH3)CO、(CF3)(CH3)2CO、炭素数1〜5
のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、トシル基、メシル基、トルフルオロ
メタンスルホネート基等があり、特に好ましいものは両
方にハロゲン(特に、塩素)である。
【0013】LおよびL1はそれぞれ独立に中性の電子
供与基を示す。中性の電子供与基は、中心金属への配位
を外したときに中性電荷をもつ基のことである。このよ
うな基としては、例えば、PR234(ここで、R2
2級のアルキル基またはシクロアルキル基、R3および
4はそれぞれ独立に、アリール基、炭素数1〜10の
1級アルキル基もしくは2級アルキル基、シクロアルキ
ル基を示す。)で表されるホスフィン系電子供与基や、
ピリジン、p-フルオロピリジン、イミダゾリリデン化
合物等がある。好ましいLおよびL1は、両方共に−P
(シクロヘキシル)3、−P(シクロペンチル)3、また
は−P(イソプロピル)3であるが、LおよびL1互いに
異なる電子供与基であっても良い。
【0014】上記一般式(A)で示される触媒又は上記
一般式(B)で示される触媒は、従来知られているよう
な触媒成分と活性化剤とを組合わせた2成分系の触媒系
とは異なり、空気中の酸素や水分によって容易に触媒活
性を失わずにメタセシス重合性モノマを開環重合させる
ことができる。このような触媒の具体的なものは、例え
ば、下記一般式(C)〜(J)で示される化合物等が挙げ
られ、中でも式(C)、(D)、(E)及び(F)の化
合物が好ましい。
【0015】
【化5】
【0016】メタセシス重合触媒の配合量は、メタセシ
ス重合性モノマの総量100重量部に対して、0.00
1〜10重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部
である。
【0017】本発明のメタセシス重合は、通常、溶媒の
存在下で行われる。重合溶媒としては、触媒の活性を低
下させない溶媒であれば特に制限は無いが、例えばトル
エン、アセトン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、N−メ
チルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n−
ブチル、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロ
ロエタン、n−ペンタン、シクロペンタン、シクロペン
テン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセ
ン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シ
クロオクタン、ジエチルエーテル等が挙げられ、モノマ
濃度は1〜80重量%、好ましくは5〜30重量%であ
る。
【0018】メタセシス重合を行う際には、得られる重
合体の分子量調節を目的に、連鎖移動剤を使用すること
ができる。連鎖移動剤としては、例えば、1−ブテン、1
−ヘキセン、1−オクテン、アリルアルコール、アリル
イソシアナート、アリルグリシジルエーテル、アリルト
リエトキシシラン、アリルメタクリレート、2−(アリ
ルオキシ)エチルアルコール、マレイン酸ジアリル、o
−アリルフェノール等のアリル化合物、スチレン、p−
メトキシスチレン、4−ビニル−1−シクロヘキセン−
1,2−エポキサイド等のビニル化合物が挙げられる。
これらの連鎖移動剤の添加量は所望の分子量によって異
なるが、触媒に対して0.5〜100当量加えることで
分子量数百〜数十万のポリマを得ることができる。
【0019】メタセシス重合時の雰囲気は、空気中でも
反応は進行するが、窒素、アルゴン等で不活性雰囲気に
することが好ましい。
【0020】メタセシス重合時の反応温度は、0〜10
0℃であり、好ましくは室温(20℃)〜60℃である。
本反応は、開環重合であり、メタセシス重合性モノマの
分子内の歪みエネルギーが放出されるため、発熱反応で
ある。従って、適宜冷却を行って反応温度を制御するこ
とが好ましい。
【0021】反応時間は、メタセシス重合性モノマの種
類、メタセシス重合触媒の種類および添加量、溶媒量、
反応温度によって変化するが、通常10分〜24時間で
あり、ノルボルネン誘導体が反応によって消費するまで
反応を行うことが好ましい。
【0022】メタセシス重合性モノマが反応して全て消
費されてしまうと、重合反応は自然に停止するが、メタ
セシス重合触媒が触媒活性を保持したまま存在する。こ
のため、重合体同士がカップリングしたり、触媒成分が
酸化されて重合体が着色する可能性がある。これを防ぐ
ため、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、酢酸ビニル等のビニル化合物を添加して触媒を不活
性化させる。さらに、触媒成分を取り除くために、アル
ミナ、セライト、活性炭等の吸着剤を用いて、吸着処理
を行っても良い。
【0023】本発明のフッ素含有重合体は、前記メタセ
シス重合で得られた重合体をフッ素ガス(F2)と接触す
ることで容易に合成することができる。フッ素ガスとの
接触は、固体の重合体を直接フッ素ガスと接触させても
良いが、フッ素ガスは高い反応性を有しているために反
応の制御が難しく、一般には前記ポリマを溶媒に溶かし
た溶液にフッ素ガスを接触させる方法が好ましい。溶媒
としては、フッ素ガスと反応せず、かつポリマが溶解で
きる溶媒であれば特に制限は無いが、特に塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭
素、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等のハ
ロゲン系溶媒、水、アセトニトリル、ジグライムが好ま
しい。これらの溶媒に対して溶解させる重合体の濃度は
0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜30重量%で
ある。
【0024】前記フッ素ガスは、純度100%のフッ素
ガスの他に、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガス
で適宜希釈して用いることができる。
【0025】本発明のフッ素ガスと重合体の反応におい
て、フッ素ガスの接触量は、反応する重合体中に存在す
る二重結合量により決定することができ、二重結合量と
当量〜10当量であり、副反応を考慮すると重合体の二
重結合量に対して1.2〜5当量が好ましい。
【0026】本発明のフッ素ガスと重合体の反応は、特
に制限を受けるものではないが、一般的には、−150
℃〜25℃の温度で行うことができる。−150℃以下
でも反応は進行するが、反応時間が長くなる恐れがあ
る。一方、25℃以上では、重合体の二重結合部以外と
も反応し、フッ素の含有量を高めることができる。
【0027】本発明のフッ素ガスと重合体の反応時間
は、少なくとも使用するフッ素ガス全てを重合体中に接
触することができれば良い。反応が終了した後は、窒
素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを添加して、未
反応のフッ素ガスを反応液中から取り除くことが好まし
い。この後、溶媒を除去してフッ素含有重合体を得るこ
とができる。また、高純度なフッ素含有重合体を得るた
めには、不活性ガスを添加した反応液を水あるいは炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム水溶液等のアルカリ水
溶液で洗浄した後、過剰の貧溶媒であるn−ヘキサン、
メタノール、水等に注入して重合体を再沈させ、乾燥さ
せて高純度のフッ素含有重合体を得ることができる。貧
溶媒による再沈の他に、ロータリーエバポレーター等を
使用して反応溶媒を除去して、高純度のフッ素含有重合
体を得ることもできる。
【0028】本発明のフッ素含有重合体には必要に応じ
て安定化剤を配合することができる。本発明に用いられ
る安定化剤としては、紫外線吸収剤、光安定化剤および
酸化防止剤が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例え
ばフェニルサリシレート、パラ−t−ブチルフェニルサ
リシレートなどのサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,
4'ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系
紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ
−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ
−3,3'−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シア
ノ−3,3'−ジフェニルアクリレートなどのシアノアク
リレート系紫外線吸収剤が挙げられる。これらは単独ま
たは2種類以上併用しても良い。これら紫外線吸収剤の
添加量は、通常フッ素含有重合体100重量部に対し、
0.05〜20重量部が好ましい。
【0029】また光安定化剤としてはビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)
セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシ
エチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン重縮合物などのヒンダードアミン系光安定
剤が挙げられる。この光安定剤は通常フッ素含有重合体
100重量部に対し0.05〜20重量部の添加が好ま
しい。
【0030】さらに本発明に用いられる酸化防止剤とし
ては、パラベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノンな
どのキノン類、ハイドロキノン、パラ-t-ブチルカテコ
ール、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノンなどのハイド
ロキノン類、ジ-t-ブチル・パラクレゾール、ハイドロ
キノンモノメチルエーテル、ピロガロールなどのフェノ
ール類、ナフテン酸銅やオクテン酸銅などの銅塩、トリ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベ
ンジルアンモニウムマレエート、フェニルトリメチルア
ンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩類、
キノンジオキシムやメチルエチルケトオキシムなどのオ
キシム類、トリエチルアミン塩酸塩やジブチルアミン塩
酸塩などのアミン塩酸塩類、鉱油、精油、脂肪油などの
油類などが挙げられる。これら酸化防止剤の添加量はフ
ッ素含有重合体100重量部に対し10〜10,000
ppmが好ましい。
【0031】本発明のフッ素含有重合体は、一般に用い
られる熱及び、又は光により硬化する硬化剤を配合する
ことができる。熱によって硬化する硬化剤としては、加
熱によって3次元硬化物を与えるものであれば特に限定
されないが、例えば硬化触媒とエポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアナート樹脂、オキセ
タン誘導体等の組合せが挙げられる。これらはフッ素含
有重合体100重量部に対して1〜100重量部、好ま
しくは5〜70重量部である。
【0032】光によって硬化する硬化剤としては、活性
エネルギー光線の照射によって3次元硬化物を与えるも
のであれば特に限定されないが、化合物自身が光照射に
より硬化する化合物、例えばアジド化合物、カルコン化
合物、けい皮酸化合物に代表される光硬化性化合物が挙
げられる。また、光ラジカル発生剤の存在下に単官能及
び2官能以上の(メタ)アクリレート化合物、不飽和ポリ
エステル、マレイミド化合物、スチレンやN−ビニル−
2−ピロリドンに代表されるビニル化合物、アリル化合
物等が挙げられる。また、光酸発生剤の存在下、エポキ
シ、オキセタン、ビニルエーテル基等の官能基を分子内
に一つ以上有する化合物と組合わせて用いることができ
る。これらはフッ素含有重合体100重量部に対して1
〜100重量部、好ましくは5〜70重量部である。
【0033】上記以外に本発明のフッ素含有重合体は、
必要に応じて充填材、ガラス繊維、ガラスマット、着色
剤、難燃剤等を添加することができる。
【0034】本発明のフッ素含有重合体は、光硬化性組
成物あるいは熱硬化性組成物のバインダポリマ、表面処
理剤、グラフトポリマ用の成分として応用することがで
きる。また、塗料、接着剤、各種自動車部品、電気・電
子材料、半導体材料、光学材料、光ファイバー、光ファ
イバー用接着剤、光導波路材等、多種多様な用途に応用
することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0036】(実施例1)攪拌機、リービッヒ冷却管、
窒素ガス導入管を取り付けた50mlの4つ口フラスコ
に5−ノルボルネン−2,3−ジメチルエステル5.0
0g(23.8mmol)、トルエン45.60gを仕込
み、窒素ガスを200ml/min流通させながら60
℃で10分間攪拌した。この後、メタセシス重合触媒で
あるビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデ
ンルテニウムジクロライド0.065g(0.079m
mol)を加えた。触媒を添加してから2時間後に加熱
を停止し、反応液の温度が室温まで下がったことを確認
し、酢酸ビニル0.91g(10.6mmol)を添加
し、15分間攪拌を続けた。反応終了後、500mlの
n−ヘキサンに反応液をゆっくり添加したところ、白色
ポリマが析出した。析出物を吸引ろ過により取り出した
後、真空乾燥機(温度30℃)で10時間乾燥し、白色の
メタセシス重合体4.80g(収率96%)を得た。この
重合体をテトラヒドロフランに溶解してGPC分析を行
ったところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は11
7,000、分子量分散(数平均分子量/重量平均分子
量)は1.29であった。
【0037】攪拌機、ガス導入管、ガス排出管を取り付
けた1000mlの4つ口フラスコに前記メタセシス重
合体3.00g(重合体中の二重結合量:14.3mm
ol)およびクロロホルム297gを加え室温下で溶解
させた。完全に重合体が溶解したのを確認し、窒素ガス
を200ml/min流通させながら−40℃に冷却し
た。液温が−40℃になったのを確認して、窒素とフッ
素の混合ガス(窒素/フッ素:90/10vol %)をフ
ッ素ガス換算35.75mmolとなるように流速20
ml/minで接触させた。この後、15分間攪拌し、
窒素を200ml/minの流速で30分間流した。こ
の後、反応液を室温に戻し、300mlの飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液で2度洗浄した。得られた反応液をエ
バポレーターを用いて100gになるまで濃縮し、50
0mlのn−ヘキサン中に添加した。添加と共に白色ポ
リマが析出した。この析出物をろ過、乾燥してフッ素含
有重合体を得た。本ポリマのGPC分析を行ったとこ
ろ、ポリスチレン換算の数平均分子量は15,100、
分子量分散(数平均分子量/重量平均分子量)は1.8
7であった。
【0038】また、この重合体のプロトン核磁気共鳴
(1H‐NMR)スペクトルを図1に示す。2.22p
pmに下記式Hdに基づくピーク、2.75ppmにH
cに基づくピーク、3.35ppmにHeに基づくピー
ク、3.67ppmにHfに基づくピーク、4.67p
pmにHa、Hbに基づくピークが観測される。フッ素
ガス接触前のプロトン核磁気共鳴スペクトル測定で、ポ
リマ主鎖の二重結合に由来する5.53ppm付近のピ
ークが消失したことから、フッ素が置換されたことが推
定される。図2にフッ素核磁気共鳴(19F‐NMR)
スペクトルを示した。−190〜−210ppmに−C
HF−に基づくピークが観測される。また、存在比では
少ないが−100〜−120ppm付近に−CF2−に
基づくピークが観測される。これらの結果から、重合体
の主鎖にフッ素を含有したフッ素含有重合体であること
が確認される。
【化6】
【0039】
【発明の効果】本発明のフッ素含有重合体は、メタセシ
ス重合体の二重結合部をフッ素化したので耐候性や透明
性に優れ、吸湿性が低下する。また、従来の水素化反応
による場合に比べ反応時間が少なく、水素化触媒の除去
操作が不要であるので、生産性に優れ、生産コストが低
くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフッ素含有重合体のプロトン核磁気
共鳴スペクトル。
【図2】 本発明のフッ素含有系重合体のフッ素核磁気
共鳴スペクトル。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一種以上のメタセシス重合性モノマをメ
    タセシス重合触媒で重合させて得られた重合体に、さら
    にフッ素ガスを接触させて得られる数平均分子量300
    〜300,000のフッ素含有重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 メタセシス重合性モノマが、置換または
    無置換のノルボルネン誘導体またはシクロアルケン誘導
    体である請求項1に記載のフッ素含有重合体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 一般式(A)または一般式(B)で示さ
    れるメタセシス重合触媒を使用することを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載のフッ素含有重合体の製造
    方法。 【化1】 【化2】 (ここで、Mはルテニウム又はオスミウム;R及びR1
    は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20の
    アルキニル基、炭素数2〜20のアリール基、炭素数1
    〜20のカルボキシレート基、炭素数1〜20のアルコ
    キシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数
    1〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコ
    キシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、
    炭素数1〜20のアルキルスルフォニル基、炭素数1〜
    20のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜20のアル
    キルセレノ基、炭素数1〜20のアルキルセレニル基、
    及び炭素数1〜20のアルキルセレノニル基から選ば
    れ、それぞれは炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン、
    炭素数1〜5のアルコキシ基又は炭素数2〜20のアリ
    ール基で置換されていても良く、前記アリール基はハロ
    ゲン、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアル
    コキシ基で置換されていても良い;X及びX1はアニオ
    ン性配位子;L及びL1は中性の電子供与基を示す。)
  4. 【請求項4】 メタセシス重合性モノマを重合溶媒の存
    在下にメタセシス重合触媒で重合させ、その重合液中に
    ビニル化合物または吸収剤を添加して得られた重合体
    に、フッ素ガスを接触させることを特徴とする請求項1
    ないし請求項3のいずれかに記載のフッ素含有重合体の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載のフッ素含有重合体の製造方法により得られたフッ素
    含有重合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105070A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Jsr Corp 環状オレフィン系熱可塑性樹脂の製造方法および環状オレフィン系熱可塑性樹脂並びに環状オレフィン系熱可塑性樹脂製品
JP2004083650A (ja) * 2002-08-23 2004-03-18 Konica Minolta Holdings Inc 有機半導体材料及びそれを用いる薄膜トランジスタ素子

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