JP2001253934A - 架橋樹脂フィルム - Google Patents

架橋樹脂フィルム

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JP2001253934A
JP2001253934A JP2000071020A JP2000071020A JP2001253934A JP 2001253934 A JP2001253934 A JP 2001253934A JP 2000071020 A JP2000071020 A JP 2000071020A JP 2000071020 A JP2000071020 A JP 2000071020A JP 2001253934 A JP2001253934 A JP 2001253934A
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Japan
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group
carbon atoms
film
crosslinked resin
alkyl
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Application number
JP2000071020A
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English (en)
Inventor
Hiromasa Kawai
宏政 河合
Chigusa Nitta
千草 新田
Yoshiki Inoue
芳樹 井上
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、強靱
性に優れるシクロオレフィン系架橋樹脂よりなるフィル
ムを提供する。 【解決手段】 メタセシス重合触媒とメタセシス重合可
能なシクロオレフィン類を含んでなる液状物を、キャリ
ヤー上で重合させて得られる架橋樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開環メタセシス重
合反応を伴うフィルム成形により得られ、優れた耐熱
性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、強靱性を有するシク
ロオレフィン系架橋樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネンやジシクロペンタジエンな
どのシクロオレフィン類の重合体は、低吸水率、低誘電
性、透明性及びその良好な機械的特性を有し、これらを
活かして工業材料分野、電気電子分野、光学分野などに
フィルムとして応用が期待されている。シクロオレフィ
ン類の重合体は、メタセシス重合触媒系を用いて重合可
能である。USP3627739号、特開昭58−12
9013号公報、特開昭59−51911号公報などに
はタングステンやモリブデン化合物と有機金属化合物を
組み合わせたメタセシス重合触媒系を用て開環重合体を
製造する方法が開示されている。これらの方法は、モノ
マ液と触媒液を密閉型内に混合注入して短時間で重合硬
化させる反応射出成形法として実用化されてきたが、フ
ィルムの成形には適用困難であった。そこで、溶剤に可
溶で、熱溶融成形も可能な非架橋のシクロオレフィン系
ポリマーを製造し、これを用いてフィルムを成形する試
みが検討されてきた。例えば、特開平6−298956
号公報には、熱可塑成形性に優れるシクロオレフィン系
線状ポリマーを製造し、これを延伸成形する方法が開示
されている。また、特開平5−70655号公報、特開
平5−148413号公報、特開平10−101907
号公報などには、シクロオレフィン系線状ポリマーを溶
媒に溶解してキャスト成形する方法が開示されている。
これらの方法は、既存のフィルム製造設備、技術をその
まま利用できる反面、フィルム化できるシクロオレフィ
ン系樹脂はフィルム成形性を有するものに限定されるた
め、耐熱性、耐薬品性、強靭性などの物性に制約が生じ
る。また、3次元架橋構造を有する樹脂には全く適用で
きないという欠点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような問題点を解消し、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、
電気特性、強靱性に優れるシクロオレフィン系架橋樹脂
よりなるフィルムを得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、メタ
セシス重合触媒とメタセシス重合可能なシクロオレフィ
ン類を含んでなる液状物を、キャリヤー上で重合させて
得られる架橋樹脂フィルムを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明において、用いることのできるメタセシ
ス重合触媒は、
【化4】
【化5】
【化6】 (式(a)、(b)、(c)で、Mはルテニウム又はオ
スミウム;R、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水
素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のア
ルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、アリール
基、炭素数1〜20のカルボキシレート基、炭素数1〜
20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキ
シ基、アリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ
カルボニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素
数1〜20のアルキルスルフォニル基、炭素数1〜20
のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキル
セレノ基、炭素数1〜20のアルキルセレニニル基又は
炭素数1〜20のアルキルセレノニル基から選ばれ、そ
れぞれは炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン、炭素数
1〜5のアルコキシ基又はフェニル類で置換されていて
も良く、前記フェニル類はハロゲン、炭素数1〜5のア
ルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されてい
ても良い。X及びX1はアニオン性配位子であり、中心
金属への配位を外したときに陰性電荷をもつ基のことで
あり、例えば、水素、ハロゲン、CF3CO2、CH3
2 、CFH2CO2、(CH33CO、(CF32(C
3)CO、(CF3)(CH32CO、炭素数1〜5の
アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、トシル基、メシル基、トリフルオロ
メタンスルホネート基等があり、特に好ましいものは両
方共にハロゲン(特に、塩素)である。L及びL1は中
性の電子供与基であり、中心金属への配位を外したとき
に中性電荷をもつ基のことであり、例えば、PR45
6(ここで、R4は2級のアルキル基又はシクロアルキル
基、R5及びR6はそれぞれ独立に、アリール基、炭素数
1〜10の1級アルキル基もしくは2級アルキル基、シ
クロアルキル基を示す。)で表されるホスフィン系電子
供与基や、1,3−ジ置換イミダゾール、p−置換ピリジ
ン等があり、特に好ましいものは、トリシクロペンチル
ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,3-ビ
ス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデ
ン、1,3-ジメシチル-4,5-ジヒドロ-2-イミダゾールなど
が好ましい。
【0006】上記の金属カルベン化合物は、公知の合成
法により得ることができる。例えば、Organometallics
第16巻、18号、3867ページ(1997年)に示されているプ
ロパギルクロライドを使用する方法が挙げられる。以下
に触媒の合成例を示す。 合成例 500mlのFisher−Porter bottleにシクロオクタジ
エンルテニウムジクロライド(21mモル)、トリシク
ロヘキシルホスフィン(42mモル)、水酸化ナトリウ
ム(7.2g)、酸素を除去したsec−ブタノール25
0mlを入れ、水素200kPa(2気圧)下で90℃
で加熱する。水素の吸収が終了するまで数回加圧を繰り
返し、一晩撹拌を続ける。水素の圧力をかけたままで室
温まで冷却し、淡黄色の沈殿物を得る。水30mlを加
え沈殿物を濾過し、水素気流中で乾燥して、Ru(H)
2(H22(PCh32を得る(収率約80%、Chは
シクロヘキシルを示す)。次に、このRu(H)
2(H22(PCh32(1.5mモル)をジクロロエ
タン溶液30mlに溶解し、−30℃に冷却する。3−
クロロ−3−メチル−1−ブチン(1.5mモル)を加
える。溶液は即座に赤紫に変わり、そのまま15分反応
させる。冷却浴をはずし、脱ガスしたメタノール(20
ml)を加えると紫色の結晶が沈殿する。メタノールで
洗浄し、乾燥させて前記式(c)のRuカルベン触媒
(Cl)2(PCh32Ru=CH−CH=C(CH3
2を得る(収率95%)。(参考文献:Organometallics
第16巻、18号、3867ページ(1997年))
【0007】これら触媒は、従来知られているような触
媒成分と活性化剤とを組み合わせた2液系の複分解触媒
系とは異なり、空気中の酸素や水分によって容易に触媒
活性を失わずにメタセシス重合性化合物を複分解(メタ
セシス)反応で開環重合させることができる。このよう
な化合物(触媒)の具体的なものは、たとえば(Cl)
2 (トリシクロヘキシルホスフィン)2Ru=CH−C
65、(Cl)2(トリシクロヘキシルホスフィン)2Ru=
CH−CH=C(CH3)2、(Cl)2(トリシクロペンチル
ホスフィン)2Ru=CH−CH=C(CH3)2、(Cl)
2(1,3-ジメシチル-4,5-ジヒドロ-2-イミダゾール)(トリ
シクロヘキシルホスフィン)Ru=CH−C65などが
挙げられる。その使用量は、メタセシス重合可能なシク
ロオレフィン類に対し通常1/100〜1/50,00
0モル、好ましくは1/500〜1/10,000モル
が、重合性、樹脂物性、フィルム成形性の点から好適な
範囲として挙げられる。また、本発明では、フィルムの
キャスト重合製膜工程での可使時間や製膜速度を制御す
るために、必要に応じて一般公知の重合調節剤を用いる
ことができる。
【0008】本発明で用いられるメタセシス重合可能な
シクロオレフィン類としては、二環体以上のノルボルネ
ン類、炭素数4以上の単環シクロオレフィン類から選ば
れる少なくとも一種が使用できる。中でも置換又は非置
換のノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジ
シクロペンタジエンなどのノルボルネンが好適に用いら
れる。
【0009】ノルボルネン類としては、ノルボルネン、
ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノル
ボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネ
ン、ブチルノルボルネン、5−アセチル−2−ノルボル
ネン、ジメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ
キシレート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,
3−ジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2−カル
ボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデ
ヒド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸モノメ
チルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン
酸ジメチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸ジエチルエステル、5−ノルボルネン−2,3
−ジカルボン酸ジ−n−ブチルエステル、5−ノルボル
ネン−2,3−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエステ
ル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジベンジ
ルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸
無水物、3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒ
ドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸、5−ノルボルネン−2−メタノール、6−ト
リエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネ
ン−2−オールなどの二環ノルボルネン、ジシクロペン
タジエン(シクロペンタジエンの二量体)、ジヒドロジ
シクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジ
メチルジシクロペンタジエン、などの三環ノルボルネ
ン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセ
ン、ジメチルシクロテトラドデセンなどの四環ノルボル
ネン、トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの
三量体)、テトラシクロペンタジエン(シクロペンタジ
エンの四量体)などの五環以上のノルボルネンが挙げら
れる。2個以上のノルボルネン基を有する化合物、例え
ばテトラシクロドデカジエン、対称型トリシクロペンタ
ジエン等を用いることもできる。
【0010】ノルボルネン系以外のシクロブテン、シク
ロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5
−シクロオクタジエン、1,3,5,7−シクロオクタ
テトラエン、1,5,7−シクロドデカトリエン、5,
6−エポキシ−1−シクロオクテン、3,4−エポキシ
−1−シクロオクテン、5−メトキシ−1−シクロオク
テン、5−ブロモ−1−シクロオクテン、5−イソプロ
ポキシ−1−シクロオクテン、5−ホルミル−1−シク
ロオクテン、5−メトキシ−1−シクロオクテン、エチ
ル・シクロオクト−1−エン−5−カルボキシレート、
(トリメチルシリル)シクロオクト−1−エン−5−カ
ルボキシレート、テトラヒドロインデン、メチルテトラ
ヒドロインデンなどのシクロオレフィン類も使用するこ
とができる。
【0011】以上の化合物は、単独でまた複数の混合物
として用いることもできる。5−ノルボルネン−2−カ
ルボキシアルデヒド、5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ
ン酸、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボ
ルネン−2−オール等の官能基を有する化合物を用いる
ことにより、製造した架橋樹脂フィルムは官能基を含有
し、他素材との親和性、密着性が高くなり、好ましい。
【0012】本発明の架橋樹脂フィルムは、シクロオレ
フィン類の開環メタセシス重合により得られる3次元架
橋構造を有する樹脂よりなる。架橋構造の導入は、耐熱
性(特に短時間の高温耐熱性)、耐溶剤性、フィルム剛
性を高めるために重要であり、そのような架橋構造は、
架橋性モノマの(共)重合による架橋や熱、光、電子線
による架橋など一般公知の方法により形成できる。これ
らの内、物性制御のし易さや経済性の点から、メタセシ
ス反応性官能基を2つ以上有するシクロオレフィン類、
例えばジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン
などを架橋性モノマとして共重合させ、これらの濃度や
ポストキュアー温度により架橋密度を制御する方法が好
ましい。この場合、架橋密度は用途に応じて適正値が様
々であり、特に限定されないが、通常、架橋性モノマ
0.1〜100モル%の使用が好ましい。一般的に架橋
密度が高い程、フィルムの耐熱性、耐薬品性、剛性が向
上するが、フィルムの伸びと平坦性は低下する関係にあ
る。
【0013】本発明の架橋樹脂フィルムの製造は、メタ
セシス重合触媒とメタセシス重合可能なシクロオレフィ
ン類からなる液状物をキャリヤー上に注ぐか又は塗布
し、液状物を重合硬化せしめた後、キャリヤーから剥離
させるキャスト重合製膜プロセスによりフィルムを製造
する。液状物については、メタセシス重合触媒とメタセ
シス重合可能なシクロオレフィン類の他、重合調節剤、
各種添加剤、充填材、改質材など一般公知の添加剤や溶
媒を含めることができ、メタセシス重合に致命的な障害
をもたらすことなく、かつ最終的に混合物が液状を呈す
るものであればよい。液状物の粘度は、フィルムの厚み
にもよるが、通常3〜30,000Pa・s、好ましく
は5〜500Pa・sが挙げられる。
【0014】本発明におけるキャリヤーについては、シ
クロオレフィン類のメタセシス重合により得られるポリ
マーが一般に他素材との接着性に劣る点が長所となり、
プラスチック、ガラス、金属など一般公知の素材を幅広
く選択できる。例えば、金属ドラム、スチールベルト、
ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンな
どのフッ素系ベルトなどのキャリヤー上に、スプレー、
刷毛、ロール、スピンコート、ディッピングなどで液状
物を塗布し、温度と時間を任意に調節して重合硬化さ
せ、均一厚みのフィルムを製造できる。本発明のフィル
ムの厚さは、用途に応じて適正値が様々であり、特に限
定されないが、通常、0.5〜5,000μm、特にハ
ンドリング性などの点からは5〜500μmが好ましい
範囲として挙げられる。
【0015】キャスト重合製膜プロセスにおける温度と
時間は、シクロオレフィン類に触媒を溶かし、キャリヤ
ー上に塗布する工程の温度が、通常0〜80℃、好まし
くは室温〜50℃、その後、完全な重合硬化フィルムを
得るための加熱工程は1段加熱でも2段加熱あるいは多
段加熱でもよい。1段加熱とする場合は、その温度は、
通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃であり、
2段加熱とする場合は、1段階目の温度は、通常は0〜
150℃、好ましくは20〜100℃であり、2段階目
の温度は、通常は20〜250℃、好ましくは80〜2
00℃である。各工程の時間は触媒の量および重合温度
により適宜決めることができるが、通常1分〜24時間
である。また、多段加熱による場合は、2段階目以降の
加熱を、キャリヤーから剥離した後に実施することもで
きる。
【0016】本発明の液状物に用いることができる重合
調節剤としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ
シクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,
1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,4-ビス(ジ
フェニルホスフィノ)ブタン、1,5-ビス(ジフェニルホ
スフィノ)ペンタンなどのリン化合物、スチレン、α−
メチルスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、酢酸ビニルなどのビニル化合物などが好適に挙
げられる。これらの使用量はメタセシス重合触媒に対し
通常0.01〜50モル、好ましくは0.05〜10モ
ルが挙げられ、可使時間が短くても製膜速度を早めたい
時にはその使用量を少なくし、逆の場合は多くする。
【0017】本発明の液状物には、各種の用途、目的に
応じたフィルムの特性改質や機能付与、成形作業性の改
善などを目的として各種の添加物を用いることができ
る。そのような添加物の例としては、充填材、改質材、
消泡剤、発泡剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、
酸化防止剤、接着性付与剤、難燃剤、湿潤剤及び分散
剤、離型滑剤、可塑剤などが挙げられる。
【0018】本発明の液状物に用いることができる充填
材とは、得られるポリマーの収縮率、弾性率や熱伝導率
などの物性向上を目的とした一般公知の粉粒体の無機・
有機充填材と、ポリマの機械的特性の向上を目的とした
繊維補強材のことである。粉粒体充填材としては、例え
ばシリカ、珪砂、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、クレーなどの無機系充填材が
挙げられ、木粉、ポリエステルやポリスチレンビーズな
どの有機系充填材も挙げられる。その使用量および粒
径、形状、品位などのグレードは硬化物の用途、物性な
どにより、適宜決めることができる。また繊維補強材と
しては、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの
無機系補強材やアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリ
エチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系繊維が挙
げられる。また、繊維以外の形態の補強材としてはミル
ドガラス、カットファイバー、マイクロファイバー、マ
イクロバルーン、鱗片状ガラス粉なども挙げられ、これ
らを併用することもできる。目的に応じ、適宜、アスペ
クト比や形状を選ぶ。これら充填材の使用量はシクロオ
レフィン類に対し5〜400重量%であり、好ましくは
10〜300重量%である。
【0019】本発明の液状物に用いることができる改質
材としては、例えばエラストマー、天然ゴム、ブタジエ
ン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S
BS)、スチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸
ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂が挙げられ
る。また、これらの熱可塑性樹脂ではエステル化されて
いても良く、極性基がグラフトされていてもよい。さら
にエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコン
系プレポリマを共重合あるいは分散させることでポリマ
の物性を改良することもできる。共重合プレポリマとし
ては例えば、エポキシとノルボルネンモノカルボキシリ
ックアシッドを反応させて得られる化合物、イソシアネ
ート化合物とノルボルネン−オールを反応させて得られ
る化合物、ハイミック酸変性ポリエステルなどが挙げら
れる。分散による改質を目的とするポリマとしてはエポ
キシ樹脂、エポキシアクリレートなどの誘導体、同様に
ウレタン樹脂およびウレタンアクリレートなどの誘導
体、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂、ポリエーテル樹脂など公知の熱硬
化性樹脂が挙げられる。さらに基材樹脂との相容性の点
から、石油樹脂が挙げられる。石油樹脂としてはエチレ
ンプラントから精製される公知のC5またはC9留分を
原料に製造されるものが挙げられる。例えば、日本ゼオ
ン株式会社製商品名クイントンや同社製熱可塑性ポリノ
ルボルネン商品名ノルソレックスなどが好適に挙げられ
る。これら石油樹脂は、フィルム物性の点から数平均分
子量が2,000以上であることが好ましく、更に、フ
ィルムに極性を付与できる点から樹脂骨格中に水酸基や
エステル基などの官能基を有していることがより望まし
い。これら改質材の使用量は目的とするポリマーの物性
にもよるが、通常シクロオレフィン類に対し0.5〜9
0重量%の範囲で用いることができる。より好ましくは
2〜60重量%の範囲である。0.5重量%未満では改
質剤の効果が発現し難く、90重量%以上ではシクロオ
レフィン化合物の成分割合が低くなってしまうため硬化
性が低下してしまう。
【0020】本発明の液状物に用いることができる消泡
剤としては、例えば、シリコン系オイル、フッ素オイ
ル、ポリカルボン酸系ポリマー等の消泡剤が挙げられ、
これらの使用量(含有量)はシクロオレフィン類100
重量部に対し、通常、0.001〜5重量部である。
【0021】本発明の液状物に用いることができる発泡
剤としては、例えば、ペンタン、プロパン、ヘキサン等
の低沸点炭化水素系化合物、炭酸ガス、水蒸気等の公知
の物理発泡剤、アゾビスイソブチロニトリルやN’,N
−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のアゾ系化合
物やニトロソ化合物等の分解により窒素ガスを発生する
化合物等の公知の化学発泡剤が挙げられる。これらの使
用量(含有量)はシクロオレフィン類100重量部に対
し、通常、1〜20重量部である。
【0022】本発明の液状物に用いることができる着色
剤としては、二酸化チタン、コバルトブルー、カドミウ
ムエロー等の無機顔料、カーボンブラック、アニリンブ
ラック、β−ナフトール、フタロシアニン、キナクリド
ン、アゾ系、キノフタロン、インダンスレンブルー等の
有機系顔料が挙げられ、所望する色調に応じてそれぞれ
を配合する。これらは、2種以上組み合わせて使用して
もよい。通常、これら顔料の使用量(含有量)はシクロ
オレフィン類100重量部に対し、通常、0.1〜50
重量部である。
【0023】本発明の液状物に用いることができる紫外
線吸収剤としては、例えばフェニルサリシレート、パラ
−t−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫
外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’
−ジヒドロキシ−4,4'ジメトキシベンゾフェノン等の
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキ
シ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−
3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチル
ヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレー
ト、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレ
ート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられ
る。これらは単独又は2種類以上併用してもよい。これ
ら紫外線吸収剤の使用量(含有量)は硬化物の使用環
境、要求特性により適宜決めればよいが、シクロオレフ
ィン類100重量部に対し、通常、0.05〜5重量部
である。
【0024】本発明の液状物に用いることができる光安
定化剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケー
ト、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)
−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン重縮合物等のヒンダードアミン系光安定剤が挙げ
られる。この光安定剤の使用量(含有量)は、シクロオ
レフィン類100重量部に対し、通常、0.05〜5重
量部である。
【0025】本発明の液状物に用いることができる酸化
防止剤としては、パラベンゾキノン、トルキノン、ナフ
トキノン等のキノン類、ハイドロキノン、パラ−t−ブ
チルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノ
ン等のハイドロキノン類、ジ−t−ブチル・パラクレゾ
ール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロー
ル等のフェノール類、ナフテン酸銅やオクテン酸銅等の
銅塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ト
リメチルベンジルアンモニウムマレエート、フェニルト
リメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウ
ム塩類、キノンジオキシムやメチルエチルケトオキシム
等のオキシム類、トリエチルアミン塩酸塩やジブチルア
ミン塩酸塩等のアミン塩酸塩類が挙げられる。これら酸
化防止剤は充填材との相性や目的とする成形作業性及び
樹脂保存安定性等の条件により適宜、種類及び量を選
ぶ。使用量(含有量)は、シクロオレフィン類100重
量部に対し、通常、0.001〜5重量部である。
【0026】本発明の液状物に用いることができる接着
性付与剤としては、シラン系カップリング剤が挙げられ
る。ここで、シランカップリング剤は、通常、式Yn
iX( 4-n)(Yは官能基を有し、Siに結合する1価の
基、Xは加水分解性を有しSiに結合する1価の基、n
は1〜3の整数)で表される。上記Y中の官能基として
は、例えばビニル、アミノ、エポキシ、クロロ、メルカ
プト、メタクリルオキシ、シアノ、カルバメート、ピリ
ジン、スルホニルアジド、尿素、スチリル、クロロメチ
ル、アンモニウム塩、アルコール等の基がある。Xとし
ては、例えばクロル、メトキシ、エトキシ、メトキシエ
トキシ等がある。具体例としては、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラ
ン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、
N,N−ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、
メルカプトエチルトリエトキシシラン、メタクリルオキ
シエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)
アンモニウムクロライド、3−(N−スチリルメチル−
2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
塩酸塩等が挙げられ、これらを混合して使用することも
可能である。シラン系カップリング剤の使用量(含有
量)は、シクロオレフィン類100重量部に対し、通
常、0.001〜5重量部である。
【0027】本発明の液状物に用いることができる難燃
剤としては、ヘキサブロムベンゼン、テトラブロムビス
フェノールA、デカブロムジフェニルオキサイド、トリ
ブロムフェノール、ジブロモフェニルグリシジルエーテ
ル、パークロロペンタシクロデカン、ヘット酸誘導体等
のハロゲン系化合物が単独又は2種以上併用される。ま
た、リン酸トリス(ジクロロプロピル)、リン酸トリス
(ジブロモプロピル)等のリン酸化合物、ホウ酸化合物
等も併用できる。更に、助難燃剤としては三酸化アンチ
モン、酸化鉄、水素化アルミ等が挙げられ、これらを難
燃剤と併用するとより難燃効果が高められる。ハロゲン
系難燃剤の使用量(含有量)は、シクロオレフィン類1
00重量部に対し通常、1〜50重量部であり、三酸化
アンチモン等の助難燃剤は通常、1〜15重量部であ
る。また、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等
の水和物も難燃を目的として使用できる。これらの使用
量(含有量)は、シクロオレフィン類100重量部に対
し、通常、10〜200重量部である。
【0028】本発明の液状物には、シクロオレフィン類
と充填材との濡れ性を改良するため、湿潤剤や分散剤
(例えば、ビックケミー社製BYKシリーズ等)を含有
させることができる。これらの使用量(含有量)は、シ
クロオレフィン類100重量部に対し、通常、0.01
〜10重量部である。
【0029】また、本発明の液状物には、成形性、離型
性、表面平滑性などの改良やフィルム自身に潤滑剤特性
などの機能を付与するためにシリコン系オイルやステア
リン酸亜鉛等の離型滑剤、流動パラフィン、鉱物油、ジ
オクチルアジペート、ジオクチルフタレートなどの可塑
剤などを含有させることができる。特に、流動パラフィ
ンや鉱物油は、基材樹脂の酸化防止効果も有するため好
ましい。これらの使用量(含有量)は、シクロオレフィ
ン類100重量部に対し、通常、0.1〜200重量部
である。
【0030】本発明の架橋樹脂フィルムでは、開環メタ
セシス重合反応により、化学構造中に3級炭素を含む不
飽和二重結合を有する架橋樹脂フィルムを得ることがで
きる。この不飽和二重結合を有する架橋樹脂フィルムを
そのまま用いてもかまわないが、基材樹脂が3次元架橋
構造を有するため、フィルム形状を保持しつつ、表面層
の不飽和二重結合を他の官能基へ置換または付加するこ
とにより、フィルムと他素材との密着性を向上させるこ
とが比較的容易にできる。
【0031】例えば、この不飽和二重結合は室温、空気
中で容易に酸化され、カルボニル基または水酸基が生成
する。そのため、未酸化の架橋樹脂フィルムに比べて、
酸化されたフィルムの表面はエポキシ、フェノール、ポ
リエステル樹脂等の極性樹脂との親和性、密着性が高く
なり、好ましい。また、この不飽和二重結合を有する架
橋樹脂フィルム表面に、付加反応により水素、ハロゲ
ン、ハロゲン化水素等を付加でき、耐光性、耐薬品性等
の点で好ましい。また、不飽和二重結合を含有する架橋
樹脂フィルム表面に、ディールスアルダー反応やグラフ
ト反応により各種の化合物を付加でき、他の樹脂との親
和性、密着性等の制御が可能となる。
【0032】また、本発明の架橋樹脂フィルムには、コ
ーティング、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッ
タリング、無電解メッキなど公知の表面処理技術を用い
て、フィルム表面に有機物、無機物、金属などの異種素
材よりなる層を容易に形成できる。例えば、SiO2
MgF2、フッ素系ポリマーなどの低屈折率素材よりな
る薄膜を表面層に設けることにより、反射防止フィルム
や導光体などの光学部品に応用できる。また、銅、アル
ミニウムなどの導電素材よりなる膜を表面層に設けるこ
とにより、フィルムコンデンサーや配線回路基板などの
電気電子部品に応用できる。
【0033】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明がこれらによって限定されるものではない。
なお実施例中、部とは特に限定しない限り重量部を意味
し、各特性の測定、評価は下記の条件に従って行った。 (1)外観 フィルムの外観を目視観察した。 (2)ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱良計(DSC)法により測定した。 (3)高温耐熱性 試料を275℃ホットプレート上に20秒間置き、変形
の有無を目視観察した。 (4)耐溶剤性 試料をシクロヘキサノン中に10分間浸漬した後、膨潤
溶解の有無を目視観察した。 (5)機械特性 JIS K 6871に準拠して引張強さ、伸び及び弾
性率を測定した。 (6)電気特性 JIS K 6911に準拠して、周波数1MHzにお
ける誘電率及び誘電正接を測定した。 (7)接触角 接触角計(協和界面科学社製CA−Z)を用いて、水に
対する接触角を測定した。 (8)製膜性及び密着性 ビスフェノールA型エポキシ樹脂100部(東都化成株
式会社製YD−128)、硬化剤としてメチルテトラヒ
ドロ無水フタル酸(日立化成工業株式会社製HN−22
00)87部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチ
ルイミダゾール2部、希釈溶媒としてメチルエチルケト
ン200部よりなる混合液を試料フィルム上に塗布し、
35℃から125℃まで3時間かけて昇温し、厚さ25
μmのエポキシ樹脂オーバーコート層を形成した後、こ
のオーバーコート膜の製膜性を目視観察した。また、こ
のエポキシ樹脂膜と基材フィルムとの密着性を引っ掻き
法で目視観察した。
【0034】(実施例1)メタセシス重合可能なシクロ
オレフィン類として純度約98%のジシクロペンタジエ
ン(以下DCPDと略す)100部に重合調節剤として
トリフェニルホスフィン0.125部、酸化防止剤とし
てチバスペシャリティーケミカル社製イルガノックス1
010 0.500部、メタセシス重合触媒として(C
l)2(トリシクロヘキシルホスフィン)2Ru=CH−CH
=C(CH3)20.085部を配合し、撹拌混合して液状
物を調製した。キャリヤーとして厚さ75μmのポリエ
ステルフィルムを用い、この液状物を35℃下でキャリ
ヤー上に塗布し、窒素雰囲気下、40℃で2時間、さら
に140℃で1時間重合硬化させてた後、冷却してキャ
リヤーから剥離して厚さ25μmの架橋樹脂フィルムを
得た。得られた架橋樹脂フィルムの特性を評価した結果
を表1に示した。
【0035】(実施例2)実施例1と同様の条件で得ら
れた架橋樹脂フィルムを、更に空気雰囲気下で80℃、
10分間暴露してフィルム表面を酸化させた後、、実施
例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
【0036】(実施例3)メタセシス重合可能なシクロ
オレフィン類をDCPD 80部とし、改質材としてエ
ステル基を含有するジシクロペンタジエン系石油樹脂
(日本ゼオン株式会社製クイントン1500)20部を
追加した以外は実施例1と同様の条件で行い、厚さ30
μmの架橋樹脂フィルムを得た。得られた架橋樹脂フィ
ルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0037】(比較例1) [樹脂の合成]窒素で置換した4Lフラスコに、DCP
D 20gとトルエン240gを加え、重合触媒として
トリイソブチルアルミニウム1.15mモルとイソブチ
ルアルコール1.15mモル、分子量抑制剤として1−
ヘキセン 9.2mモルを添加した。ここに、六塩化タ
ングステン0.23mモルを添加して、40℃で10分
間撹拌した。その後、DCPD 200g及び六塩化タ
ングステン0.34mモルを約1時間で連続的に系内に
滴下し、滴下終了後、更に30分間撹拌して重合を終了
した。次いで、20gの水とポーラスな構造を有する活
性アルミナ微粒子10gを加え、80℃にて1時間撹拌
した後、固形分を濾過して除去した反応液を、10Lの
イソプロピルアルコール中に撹拌下、徐々に注いで析出
させ、濾別して回収した。回収した樹脂を窒素雰囲気
下、100℃、500Pa以下で48時間乾燥させて可
溶性ポリマー(熱可塑性樹脂)を得た。 [フィルムの成形]上記合成により得られたポリマーの
シクロヘキサン溶液(濃度4重量%)をキャリヤー(厚
さ75μmのポリエステルフィルム)上に塗布し、60
℃で15分乾燥し、次いで90℃で乾燥して厚み25μ
mのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を評価し
た結果を表1に示した。
【0038】(比較例2)比較例1と同様の条件で合成
されたポリマーを、30m/m押出機とTダイを用い
て、シリンダー温度300℃で厚さ250μmのフィル
ムに成形した。得られたフィルムの特性を評価した結果
を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】実施例及び比較例の評価結果から、本発明
の架橋樹脂フィルムはシクロオレフィン類のメタセシス
重合による高分子量の架橋構造を有することにより、耐
熱性(特に短時間高温耐熱性)、耐溶剤性、弾性率(フ
ィルム剛性)、低誘電性に優れ、さらに、空気酸化や改
質材ブレンド等の方法によりフィルム表面に極性基を導
入することにより、エポキシ樹脂など極性基を有する他
素材との複合加工性も付与される。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、高温耐熱性、耐溶剤
性、弾性率(フィルム剛性)、低誘電性、極性基を有す
る他素材との複合加工性などに優れるフィルムを提供す
ることができる。このため耐熱性、耐溶剤性、強靭な機
械的特性、優れた低誘電特性、接着加工性などが要求さ
れる用途、例えばコイル、配線板、半導体等の電子・電
気用の絶縁材料、封止材料又は層間材料、接着基材、離
型用フィルムなどや光学部品用の透明フィルム、保護フ
ィルム、反射防止フィルムなどとして利用されうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 芳樹 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA69 AH12 AH13 AH19 BA02 BB02 BC01 BC02 BC12 4J032 CA23 CA24 CA25 CA27 CA28 CA34 CA35 CA36 CA38 CA43 CA45 CB01 CB04 CD02 CE03 CE06 CG08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタセシス重合触媒とメタセシス重合可
    能なシクロオレフィン類を含んでなる液状物を、キャリ
    ヤー上で重合させて得られる架橋樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 メタセシス重合触媒が、式(a)、式
    (b)及び式(c)で示されるメタセシス重合触媒の少
    なくとも一種以上よりなる請求項1に記載の架橋樹脂フ
    ィルム。 【化1】 【化2】 【化3】 (式(a)、(b)、(c)で、 Mはルテニウム又はオスミウム;R、R1、R2及びR3
    は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20の
    アルキニル基、アリール基、炭素数1〜20のカルボキ
    シレート基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2
    〜20のアルケニルオキシ基、アリールオキシ基、炭素
    数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20
    のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルスルフォ
    ニル基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭
    素数1〜20のアルキルセレノ基、炭素数1〜20のア
    ルキルセレニニル基又は炭素数1〜20のアルキルセレ
    ノニル基から選ばれ、それぞれは炭素数1〜5のアルキ
    ル基、ハロゲン、炭素数1〜5のアルコキシ基又はフェ
    ニル類で置換されていても良く、前記フェニル類はハロ
    ゲン、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアル
    コキシ基で置換されていても良い;X及びX1はアニオ
    ン性配位子;L及びL1は中性の電子供与基を示す)
  3. 【請求項3】 極性基が形成された表面を有する請求項
    1または請求項2に記載の架橋樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 酸化により極性基が形成された表面を有
    する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の架橋樹
    脂フィルム。
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