JPWO2007058239A1 - ノルボルネン化合物付加重合体、それからなる成形品、及び用途 - Google Patents

ノルボルネン化合物付加重合体、それからなる成形品、及び用途 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性及び低吸水性を維持したまま、一般溶剤への溶解性に優れ、更に寸法安定性にも優れるノルボルネン化合物付加重合体、これからなる成形品、並びにこれらの用途を提供する。【解決手段】ノルボルネン化合物由来の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であって、一般式(1)〔式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。〕で表される繰返し単位を少なくとも含有し、極性基を有する繰返し単位の含有比率が40モル%以下であることを特徴とするノルボルネン化合物付加重合体。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、寸法安定性に優れたノルボルネン化合物付加重合体、それからなる成形品、及び用途に関する。より詳しくは、使用環境温度及び湿度が変動しても寸法変化の小さい、即ち、寸法安定性に優れた、ノルボルネン化合物付加重合体、それからなる成形品、及び用途に関する。
レンズ等の光学部品、液晶表示素子、カラーフィルターやEL表示素子基板等のディスプレイ基板、バックライト、導光板等の光学材料の分野では、従来、無機ガラスが一般的に用いられている。しかし、無機ガラスには、割れやすい、柔軟性に欠ける、比重が大きい、加工性が悪い等の欠点があり、近年の軽量化、小型・高密度化の要求に応えるには不充分であり、従って、透明樹脂による代替が強く求められている。
透明樹脂を光学材料用途に用いるに当っては、透明性以外にも耐熱性、耐薬品性、低吸水性等の面において非常に高い性能が求められている。例えば、表示素子基板の製造においては、金属又は金属酸化物薄膜を積層させる工程で高温での加工が必要であるが、基板の熱による変形や吸水による寸法変動等が大きな問題となる。ところが、従来、光学材料に用いられているアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂は、耐熱性が低く吸水性が大きいという欠点を有していて満足すべきものではなかった。
このため、透明性、耐熱性、耐薬品性、低吸水性及び光学特性を満足させる樹脂として環状オレフィン付加重合体が提案され、この重合体を用いた液晶表示基板材料が提案されている(特許文献1)。
環状オレフィン付加重合体、特に、ポリノルボルネンは、ガラス転移温度が250℃以上と高いので、高温加工時の耐熱変形性に優れた材料である。しかも、ポリノルボルネンは、吸湿性が極めて低いので使用環境での湿度変化に対する寸法安定性に優れ、更に、線膨張率が55ppm/℃程度と低いので熱変動に対する寸法安定性に優れるという特徴を有している。以下、「ppm/℃」を単に「ppm」と記載する。
しかしながら、ポリノルボルネンは、一般溶剤に対する溶解性が低いため、キャスト法によるフィルム成形ができないという問題点があった。
このためポリノルボルネンの改良策が種々検討されており、(1)エチレン等のα−オレフィンとの付加共重合体(特許文献2)、(2)直鎖状炭化水素基を有する置換ノルボルネンとの付加共重合体(特許文献3)、(3)特定の環状飽和炭化水素基を有するノルボルネン化合物との付加共重合体(特許文献4)、及び(4)極性基を有するノルボルネン化合物との付加重合体(特許文献5及び6)等が提案されている。
しかしながら、(1)のノルボルネン/エチレン共重合体については、ガラス転移温度が200℃以上の重合体を製造するのは困難で、しかも線膨張率が70〜100ppm程度に高くなるという問題点があった。(2)の直鎖状炭化水素基を有するノルボルネン化合物との付加共重合体も同様に、ガラス転移温度の低下と線膨張率の上昇という問題点があった。(3)の特定環状飽和炭化水素基を有するノルボルネン化合物との付加共重合体は、そのような特定のノルボルネン化合物の合成が面倒で実用的でない。(4)の極性基含有ノルボルネン共重合体は、極性基としてエステル基やシリル基を有するノルボルネン化合物との共重合体の例があるが、吸水性が高くなるという問題点があり、また線膨張率も大きく上昇するという課題があった。
特開平5−61026号公報 特開平6−202091号公報 特開平8−198919号公報 特開2004−51949号公報(国際公開第03/099887号パンフレット) 特表平11−505880号公報(国際公開第96/037526号パンフレット) 特開2002−114826号公報(米国特許出願公開第2002/042461号明細書)
従って、本発明の目的は、透明性、耐薬品性及び光学特性は勿論のこと、耐熱性及び寸法安定性にも優れる光学材料、これからなる成形品並びにこれらを得るための重合体を提供することにあり、更に詳しくは、ガラス転移温度が高く、吸水率が低く、線膨張率が低く、一般溶剤に溶解するノルボルネン化合物付加重合体、これからなる成形品、及びこれらの用途を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のテトラシクロドデセン化合物由来の繰返し単位を有するノルボルネン化合物付加重合体は、耐熱性及び低吸水性を維持したまま、一般溶剤への溶解性に優れ、更に寸法安定性にも優れることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、ノルボルネン化合物由来の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であって、一般式(1)で表される繰返し単位(a)を少なくとも含有し、一般式(2)で表される、極性基を有する繰返し単位(b)の含有比率が40モル%以下であることを特徴とするノルボルネン化合物付加重合体が提供される。
Figure 2007058239
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R〜Rは、任意の組合せで互いに結合して環を形成していても構わない。更に、RとRとが又はRとRとが共同して、アルキリデン基を形成していてもよい。)
Figure 2007058239
(一般式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、極性基、又は少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも一つは、極性基、又は少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基である。R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。mは0〜2の整数である。)
また、ノルボルネン化合物由来の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であって、一般式(1)で表される繰返し単位(a)を少なくとも含有し、一般式(2)で表される、極性基を有する繰返し単位(b)の含有比率が40モル%以下であることを特徴とする本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(3)で表される繰返し単位であって、繰返し単位(a)に該当しない、繰返し単位(c)を更に含有してもよい。
Figure 2007058239
(一般式(3)中、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R〜R12は、任意の組合せで互いに結合して環を形成していても構わない。更に、RとR10とが又はR11とR12とが共同して、アルキリデン基を形成していてもよい。)
そして、上記のノルボルネン化合物付加重合体においては、R〜Rが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。
更に、上記のノルボルネン化合物付加重合体においては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が60,000〜900,000であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品が提供される。
上記の成形品は、好適には、フィルム又はシートである。
上記の成形品は、好適には、全光線透過率が70%以上のフィルム又はシートである。
上記の成形品は、好適には、線膨張率が200ppm以下のフィルム又はシートである。
上記の成形品は、好適には、吸水率が0.1重量%以下のフィルム又はシートである。
上記の成形品は、好適には、ガラス転移温度が200℃以上のフィルム又はシートである。
上記の成形品は、好適には、透明導電膜が積層されたものである。
また、上記の成形品は、光学用に好適に使用される。
また、上記の成形品は、表示素子用基板に好適に使用される。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、透明性及び光学特性のほか、耐熱性及び一般溶剤への溶解性に優れ、更に吸水率が低く、寸法安定性に優れるので、これを用いて得られる成形品は光学材料として有用である。
〔ノルボルネン化合物付加重合体〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(1)で表されるテトラシクロドデセン化合物由来の繰返し単位(a)(「テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)」ということがある。)を少なくとも含有する、ノルボルネン化合物由来の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体である。
Figure 2007058239
ここで、一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜20のシクロアルケニル基;及びフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基はその水素原子がハロゲン原子により置換されていてもよい。
更に、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して単環又は縮合環を形成していてもよく、また、これらの単環又は縮合環は二重結合を有してもよい。
〜Rの任意の組合せで形成される単環の具体例としては、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロへキセン環、ベンゼン環等を挙げることができる。また、R〜Rの任意の組合せで形成される縮合環としては、これらの単環に更に環構造が結合したものを挙げることができる。
また、RとRとが又はRとRとが共同して、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基を形成していてもよい。
テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)を含有してなるノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(4)で示されるテトラシクロドデセン化合物を付加重合することにより得られる。
Figure 2007058239
一般式(4)において、R〜Rは、一般式(1)におけると同様である。
一般式(4)で示されるテトラシクロドデセン化合物の具体例としては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン;9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ブロモテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のハロゲン原子を有するテトラシクロドデセン化合物;9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−デシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のアルキル基を有するテトラシクロドデセン化合物;9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のアルケニル基を有するテトラシクロドデセン化合物;9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のシクロアルキル基を有するテトラシクロドデセン化合物;9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のシクロアルケニル基を有するテトラシクロドデセン化合物;9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の芳香族炭化水素基を有するテトラシクロドデセン化合物;9−クロロメチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のハロゲン原子で置換された炭化水素基を有するテトラシクロドデセン化合物;等を挙げることができる。
更に、RとRとが又はRとRとがアルキリデン基を形成したものとしては、9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等を挙げることができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体を光学用成形材料として用いる場合には、耐熱性及び寸法安定性の観点から、上記のR〜Rは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。その具体例としては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ブロモテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−クロロメチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等を挙げることができる。
これらのうち、R〜Rが水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基であるものがより好ましく、R〜Rが水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基であるものが特に好ましい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン等の溶剤を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して得られるポリスチレン換算重量平均分子量が、通常、50,000〜1,000,000であり、好ましくは60,000〜900,000であり、より好ましくは70,000〜800,000である。この重量平均分子量が小さ過ぎると機械的特性に劣り、大き過ぎると溶液粘度が高くなり、取り扱いが困難となる恐れがある。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(1)で表されるテトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)に加えて、一般式(2)で表される極性基含有ノルボルネン化合物由来の繰返し単位(b)(以下、「極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)」ということがある。)を更に含有していてもよい。
Figure 2007058239
(一般式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、極性基、又は少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも一つは、極性基、又は少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基である。R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。mは0〜2の整数である。)
極性基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びケイ素原子からなる群から選ばれる少なくとも一つの原子を含有する原子団である。
極性基の具体例としては、水酸基、アルコキシ基、アリーロキシ基、カルボキシル基、アシル基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基)及びエポキシ基等の酸素原子を含有する極性基;アミノ基、ニトリル基及びアミド基等の窒素原子を含有する極性基;メルカプト基及びチオエポキシ基等の硫黄原子を含有する極性基;トリアリールホスフィン等のリン原子を含有する極性基;アルコキシシリル基等のケイ素原子を含有する極性基;等を挙げることができる。なお、上記極性基が炭素原子を有する場合、ヒドロキシエトキシカルボニル基のように、該炭素原子が極性基で更に置換されていてもよい。
少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基は、特に限定されないが、好ましくは、下記一般式(5)又は(6)で表される基を挙げることができる。
−R13−X (5)
(ここで、R13は炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。Xは極性基である。)
極性基Xの具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
−R14−X−R15 (6)
(ここで、R14は炭素数が1〜20の二価の炭化水素基であり、R15は水素又は炭素数が1〜20の一価の炭化水素基であり、但し両者の炭素数の合計が1〜21である。また、R15は、それに含まれる水素原子が極性基で置換されたものであってもよく、ポリオキシアルキレン構造を有していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びケイ素原子からなる群から選ばれる少なくとも一つの原子を含有する二価の基である。)
の具体例としては、オキシ基(−O−)、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルオキシカルボニル基;チオ基(−S−)、チオカルボニル基;イミノ基;イミド基;等を挙げることができる。
また、少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基において、炭素数は、1〜3であることが好ましい。炭素数がこの範囲内にあるとき、ノルボルネン付加重合体の寸法安定性が向上するので好ましい。
テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)及び極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)を含有してなるノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(4)で示されるテトラシクロドデセン化合物と一般式(7)で示される極性基含有ノルボルネン化合物とを、付加共重合することにより得られる。
Figure 2007058239
一般式(7)中、R〜R及びmは、一般式(2)におけると同様である。
一般式(7)で示されるノルボルネン化合物の具体例としては、m=0であるものの例として、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基を有するノルボルネン化合物;5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等のカルボン酸無水物基を有するノルボルネン化合物;5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン等の水酸基を有するノルボルネン化合物;5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、酢酸2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル等のエステル基を有するノルボルネン化合物;3−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等のエステル基とカルボキシル基とを有するノルボルネン化合物;5−ノルボルネン−2−カルボニトリル等のニトリル基を有するノルボルネン化合物;5−メトキシ−2−ノルボルネン、5−エトキシ−2−ノルボルネン、5−フェノキシ−2−ノルボルネン等のオキシ基を有するノルボルネン化合物;5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン等のアルコキシシリル基を有するノルボルネン化合物;5−エチレンオキシ−2−ノルボルネン、5−(2,3−プロピレンオキシ)−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸グリシジル等のエポキシ基を有するノルボルネン化合物;5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸(N−フェニル)イミド等のイミド基を有するノルボルネン化合物;等を挙げることができる。
m=1であるものの例として、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸等のカルボキシル基を有するノルボルネン化合物;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物等のカルボン酸無水物基を有するノルボルネン化合物;9−ヒドロキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ヒドロキシメチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9,10−ジ(ヒドロキシメチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9,9−ジ(ヒドロキシメチル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の水酸基を有するノルボルネン化合物;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル、酢酸テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−イル、酢酸4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−イル、アクリル酸テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−イル、メタクリル酸テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−イル等のエステル基を有するノルボルネン化合物;5−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸等のエステル基とカルボキシル基とを有するノルボルネン化合物;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボニトリル等のニトリル基を有するノルボルネン化合物;9−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のアルコキシシリル基を有するノルボルネン化合物;9−エチレンオキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2,3−プロピレンオキシ)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸グリシジル等のエポキシ基を有するノルボルネン化合物;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸イミド、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸(N−フェニル)イミド等のイミド基を有するノルボルネン化合物;等を挙げることができる。
なお、極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)は、テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)を含有してなるノルボルネン化合物付加重合体、又はテトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)及び後述する狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)を含有してなるノルボルネン化合物付加重合体を極性基で変性することによって導入したものであっても構わない。例えば、テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)又は後述する狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)を構成する不飽和炭化水素基をエポキシ化する方法、極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)中のエステル基を加水分解して、水酸基やカルボキシル基に変換する方法によって得られるものも本発明のノルボルネン化合物付加重合体に含まれる。
極性基による変性反応は、公知の方法を採用すればよく、例えば、エポキシ基等の極性基の導入反応は、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、過酸化水素等の過酸化物や酸素等のエポキシ化剤等を接触させて行なえばよい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体において、極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)の全繰返し単位に対するモル比は、40モル%以下であることが必須であるが、30モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることが特に好ましい。極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)の割合が40モル%よりも大きいと、吸水性が増大し、寸法安定性が低下する恐れがある。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(3)で表される繰返し単位であって、テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)に該当しない、ノルボルネン由来の繰返し単位(c)(「狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)」ということがある。)を更に含有していてもよい。
Figure 2007058239
ここで、一般式(3)中、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R〜R12は、任意の組合せで互いに結合して環を形成していても構わない。更に、RとR10とが又はR11とR12とが共同して、アルキリデン基を形成していてもよい。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜20のシクロアルケニル基;及びフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基はその水素原子がハロゲン原子により置換されていてもよい。
更に、R〜R12は任意の組合せで互いに結合して単環又は縮合環を形成していてもよく、また、これらの単環又は縮合環は二重結合を有してもよい。
〜R12の任意の組合せで形成される単環の具体例としては、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロへキセン環、ベンゼン環等を挙げることができる、また、R〜Rの任意の組合せで形成される縮合環としては、これらの単環に更に環構造が結合したものを挙げることができる。
テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)と狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)とを含有してなるノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(4)で示されるテトラシクロドデセン化合物と、一般式(8)で示されるノルボルネン化合物であって、一般式(4)で示されるテトラシクロドデセン化合物に該当しないノルボルネン化合物(「狭義のノルボルネン化合物」ということがある。)とを、所望により極性基含有ノルボルネン化合物(7)と共に、付加共重合することにより得られる。
Figure 2007058239
一般式(8)において、R〜R12は、一般式(3)におけるものと同様である。
一般式(8)で示される狭義のノルボルネン化合物の具体例としては、2−ノルボルネン;5−クロロ−2−ノルボルネン、5−ブロモ−2−ノルボルネン等のハロゲン原子を有するノルボルネン化合物;5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン等のアルキル基を有するノルボルネン化合物;5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン等のアルケニル基を有するノルボルネン化合物;5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン等のシクロアルキル基を有するノルボルネン化合物;5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン等のシクロアルケニル基を有するノルボルネン化合物;5−フェニル−2−ノルボルネン、p−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネン、o−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネン、m−メチル−5−フェニル−2−ノルボルネン等の芳香族炭化水素基を有するノルボルネン化合物;5−クロロメチル−2−ノルボルネン、p−クロロ−5−フェニル−2−ノルボルネン等のハロゲン原子で置換された炭化水素基を有するノルボルネン化合物;等を挙げることができる。
更に、R〜R12が任意の組合せで互いに結合して単環又は縮合環を形成したものとしては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(「トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン」ともいう。)、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン」ともいう。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン」ともいう。)等が挙げられる。
また、RとR10とが又はR11とR12とが共同して、アルキリデン基を形成したものとしては、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
一般式(1)で表されるテトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)のほかに、一般式(3)で表される狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)を含有してなる本発明のノルボルネン化合物付加重合体を光学用成形材料として用いる場合には、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、上記のR〜R12は、水素原子、ハロゲン原子若しくは炭素数1〜6の炭化水素基であるか、又はR〜R12が任意の組合せで互いに結合して単環又は縮合環を形成したものであることが好ましく、水素原子若しくは炭素数1〜4の炭化水素基であるか、又はR〜R12が任意の組合せで互いに結合して単環又は縮合環を形成したものであることがより好ましい。
一般式(8)で示される狭義のノルボルネン化合物の好ましい例としては、2−ノルボルネン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5−ブロモ−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(「トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン」ともいう。)、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン」ともいう。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン」ともいう。)、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体において、狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)は、テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a)と狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)との合計に対して95モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下である。狭義のノルボルナン構造繰返し単位(c)の割合が多すぎると、重合体が一般溶剤に不溶となったり、寸法安定性が悪化したりする恐れがある。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体においては、本発明の効果がより一層顕著になることから、前記繰返し単位(a)/前記繰返し単位(b)/前記繰返し単位(c)のモル比は、好ましくは(5〜60)/(0〜40)/(40〜95)、特に好ましくは(10〜60)/(0〜20)/(60〜90)である。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、全光線透過率が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。
また、本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、特に好ましくは70ppm以下の線膨張率を有するので、熱変動に対する安定性に優れている。
更に、本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、好ましくは200℃、より好ましくは250℃以上、特に好ましくは290℃以上のガラス転移温度を有する。なお、ガラス転移点の上限は、好ましくは500℃以下、特に好ましくは400℃以下である。
更に、本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、重量基準で、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.02%以下の吸水率を有する。
〔ノルボルネン化合物付加重合体の製造〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体を得るためには、一般式(4)で表されるテトラシクロドデセン化合物を必須成分とし、所望により一般式(8)で示される狭義のノルボルネン化合物及び/又は一般式(7)で示される極性基含有ノルボルネン化合物を含有するノルボルネン化合物単量体を、重合触媒の存在下に重合させればよい。
重合触媒は、特に限定されない。具体例としては、特表平11−505880号公報記載の[6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム(シクロオクタジエン)]ヘキサフルオロホスフェート等の重合触媒;国際公開第2000/20472号パンフレット記載の(アリル)パラジウムクロリドダイマー/トリシクロヘキシルホスフィン/リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート・2.5エーテル等の重合触媒;特開2001−098035号公報記載の(フェニル)パラジウムビス(トリフェニルホスフィン)イオダイド/メチルアルミノキサン等の重合触媒;等の第10族遷移金属触媒からなる重合触媒を好適なものとして挙げることができる。
上記の方法で得られたノルボルネン化合物付加重合体にオレフィン性不飽和結合が存在することがあるが、このオレフィン性不飽和結合を水素化したものも、本発明のノルボルネン化合物付加重合体に含まれる。
水素化反応は、一般的に知られている方法、即ち、水素化触媒存在下で水素と接触させて行なえばよい。水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ルテニウム、ロジウム等の第8〜10族遷移金属又はその化合物をカーボン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土等の多孔性担体に担持した固体触媒;コバルト、ニッケル、パラジウム等の第4〜10族の金属の有機カルボン酸塩、β−ジケトン化合物と有機アルミニウム又は有機リチウムとの組合せ;ルテニウム、ロジウム、イリジウム等の錯体等の均一触媒;等が用いられる。
付加重合反応の後、触媒を除去することが好ましい。触媒の除去方法としては、シリカ、アルミナ、活性炭等の吸着剤により吸着除去する方法;イオン交換樹脂により除去する方法;キレート剤を加えて触媒残渣を不溶化させてろ過する方法;重合体溶液を多量のメタノール、アセトン等に添加して凝固する方法;等を挙げることができる。
付加重合反応後のノルボルネン化合物付加重合体の回収は、重合体溶液から直接溶剤を除去する方法;上記メタノール等の貧溶媒で凝固・分離する方法;等の公知の方法により行なうことができる。また、重合反応後の溶液や触媒除去後の溶液をそのままキャスト成形に用いて成形品を製造してもかまわない。
〔成形品〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、これを成形して、光学部品、電気絶縁部品、電気・電子部品、電子部品封止剤、医療用器材、包装材料等の成形品とすることができる。
本発明の成形品の形態は、特に限定されないが、シート及びフィルムが好ましい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、単独で成形品としてもよく、他の透明樹脂、例えば、環状オレフィン付加重合体、水素化された環状オレフィン開環重合体、α−オレフィンと環状オレフィンとの付加共重合体、結晶性のα−オレフィン重合体、更にゴム状のエチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体、水素化されたブタジエン重合体、水素化されたブタジエン・スチレンブロック共重合体、水素化されたイソプレン重合体等と、任意の割合で、併用してもよい。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体から成形品を成形するに際し、必要に応じて各種の添加剤を配合しても構わない。
このような添加剤としては、充填材、酸化防止剤、蛍光体、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤等が挙げられる。
充填材としては、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の金属の酸化物等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を挙げることができる。
蛍光体は、光を受けて励起し、励起波長よりも長い波長の光を発光するものであり、例えば、光学素子を封止する場合に、光学素子が発光する青色領域から紫外線領域の波長を受けて、可視領域の波長を発光させるのに用いられる。
これらの添加剤の配合方法は、特に限定されない。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品を得るには、公知の成形方法によればよい。
〔フィルム又はシート〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、有機溶媒に容易に溶解する。従って、その有機溶媒溶液を、スチールベルトやキャリアーフィルム等の上に塗工又は流延し、その後、乾燥工程を経て成形品を得る溶液キャスト法により、フィルム又はシートとすることができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体の有機溶媒溶液をガラスクロス等の織布又は不織布に含浸後、乾燥して、織布又は不織布を含むフィルム又はシートとすることもできる。
また、有機溶媒で本発明のノルボルネン化合物付加重合体を膨潤させた後、押出機で溶媒を蒸発させながら、該重合体をフィルム又はシートに成形・加工することもできる。
また、本発明のノルボルネン化合物付加重合体の有機溶媒溶液を型内に流し込んだ後、溶媒を蒸発させて成形することもできる。更に、有機溶媒溶液を特定の部品や基材に付着させた後、溶媒を蒸発させて成形することもできる。
更に、本発明のノルボルネン化合物付加重合体を他の熱可塑性樹脂と配合した重合体ブレンド組成物とし、これから、溶融押出機等を使用する溶融押出法により、フィルム又はシートとすることもできる。
フィルム又はシートの厚さは、使用目的によって選択できるが、通常、1〜1,000μm、好ましくは2〜500μmである。フィルム又はシートの厚さがこの範囲内であるとき、フィルム又はシートの形成に要する時間が短く、得られるフィルム又はシートは強度に優れている。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるシート又はフィルムは、全光線透過率が、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であるので、カラーフィルター基板として好適に使用することができる。
また、本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるシート又はフィルムは、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、特に好ましくは70ppm以下の線膨張率を有するので、熱変動に対する寸法安定性に優れており、従って、特に、光学用途に好適に使用することができる。
更に、本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるシート又はフィルムは、好ましくは200℃、より好ましくは250℃以上、特に好ましくは290℃以上のガラス転移温度を有する。なお、ガラス転移点の上限は、好ましくは500℃以下、特に好ましくは400℃以下である。
更に、本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるシート又はフィルムは、重量基準で、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.02%以下の吸水率を有する。
〔透明導電膜積層フィルム又はシート〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるフィルム又はシートは、透明導電膜を積層したもの(「透明導電膜積層フィルム又はシート」ということがある。)であってもよい。
具体的には、無機酸化物、無機窒化物又は無機硫化物等の無機物、例えば、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、硫化カドミウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛等を用いて、真空製膜法、例えば、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の製膜法により、透明導電膜を積層する。
透明導電膜の膜厚は、50〜4,000Åの範囲内で適宜選択することが可能である。
本発明の透明導電膜積層フィルム又はシートは、全光線透過率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であるので、カラーフィルター基板として好適に使用することができる。
本発明の透明導電膜積層フィルム又はシートにおいて、ノルボルネン化合物付加重合体からなるフィルム又はシートと透明導電膜との間に、フィルムの平滑性や透明導電膜との密着性向上を目的として、接着層を設けてもよい。接着層は、樹脂ワニスを塗布し乾燥により溶剤を除去することで得られる。この際、溶剤除去後に成膜性を有する樹脂、即ち固形の樹脂を添加したワニスが均一塗布という観点から好ましい。このための樹脂の具体例としては、エポキシジアクリレート、ウレタンジアクリレート、ポリエステルジアクリレート等のいわゆるアクリルプレポリマー等の光硬化性樹脂;o−クレゾールノボラック型、ビスフェノール型のエポキシ系や、ウレタン系、アクリル系、尿素系、メラミン系、不飽和ポリエステル系等の熱硬化性樹脂;電子線硬化性樹脂;等が挙げられる。これらのうち、生産性及びコストの点から光硬化性樹脂が好ましい。
上記硬化樹脂被膜を形成させる方法としてはグラビアコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法等があるが、いずれの方法を用いてもよい。
本発明の透明導電膜積層フィルム又はシートは、透明導電膜とは反対側にガスバリア層を有していてもよい。ガスバリア層は、無機材料で形成しても有機材料で形成してもよい。使用可能な無機材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化インジウム等を、有機材料としてはポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド等を挙げることができる。
ガスバリア層の膜厚は、無機材料の場合100〜2,000Å、有機材料の場合は500〜10,000Åにすることが望ましい。
これらの無機材料は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱法、CVD法等の公知の手段により製膜することができる。また、有機材料の場合は、これを溶剤に溶解し、前記のようなコーティング法によって塗布して乾燥することにより製膜することができる。
また、フィルム又はシートとガスバリア層との間に接着層を設けてもよい。
更に、ガスバリア層上に、これを保護するための保護コート層を積層してもよい。保護コート層は、前記接着層と同様の方法によって製膜することが好ましい。
〔カラーフィルター〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるシートもしくはフィルム又は本発明の透明導電膜積層フィルムもしくはシートからなるカラーフィルター用基板の上にカラーフィルター層を積層することにより、カラーフィルターを得ることができる。積層方法としては、公知の顔料分散法、染色法、電着法、印刷法、転写法等を用いることができる。
例えば、顔料分散法では、本発明のカラーフィルター用基板上に、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、ニッケルとタングステン合金等の金属遮光膜によりブラックマトリックスを形成し、次いで、赤色の顔料を分散させた感光性樹脂組成物(カラーレジスト)をスピンコート法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等により全面に塗布し、マスクを介して露光し、露光後に現像を行い、赤色画素を形成する。同様の手順で、青色及び緑色の画素についても塗布、露光及び現像を行い、3色の画素を形成させる。なお、3色の画素を形成する順番には、特に決まりはなく、任意に選択される。各画素間のブラックマトリックス部が凹(へこ)みとなる場合は、平滑化のために表面をエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の透明樹脂で被覆して保護膜を形成してもよい。また、ブラックマトリックスを形成する際にも、上記した顔料分散法を採用してもよい。具体的には、黒色顔料を分散させた感光性樹脂(ブラックレジスト)を塗布、露光及び現像してもよい。
カラーレジスト及びブラックレジストの組成物の構成成分並びに塗布、露光及び現像の方法には、例えば、特開2004−56151号公報、特開2004−347831号公報等に記載されている構成成分及び方法を用いることができる。また、印刷法についても公知の方法を用いることができ、例えば、特開平6−347637号公報、特開平11−326622号公報及び特開2004−333971号公報に記載のインク及び印刷方法を用いることができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、レジスト、インク、現像液等の薬品に対して高い耐性を有するので、カラーフィルター積層工程で、基板が変形したり、クラックが発生したりすることがない。
透明基板及びブラックマトリックス形成基板には、接着性等の表面物性改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタン系樹脂等の各種樹脂の薄膜形成処理等を行なってもよい。各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
上記のカラーフィルターは、液晶表示装置のカラーフィルターとして使用することができ、更に、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用することもできる。
〔光学部品〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなるフィルム又はシートは、カラーフィルター用基板のほか、導光板、保護フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、CD、MD、DVD等の光学記録基板、TFT用基板、液晶表示基板、有機EL表示基板等や光伝送用導波路、光学レンズ類、封止材等の光学部品として、好適に使用することができる。
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品は、光学部品のほか、電気絶縁部品、電気・電子部品、電子部品封止剤、医療用器材、及び包装材料にも使用することができる。
〔電気絶縁部品〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品は、耐熱性に優れ、第10族遷移金属原子、ハロゲン原子及びリン原子の含有量が少ないため、半田付け工程によって、熱変形することがなく、熱劣化による機械的特性の低下がないので、電気絶縁部品として最適である。
電気絶縁部品としては、電線・ケーブルの被覆材料、コンピューター、プリンター、複写機等のOA機器の絶縁材料、フレキシブルプリント基板の絶縁部品等を挙げることができる。特に、フィルム又はシートの形態の電気絶縁部品はフレキシブルプリント基板として好適に用いられる。
〔電気・電子部品〕
電気・電子部品としては、容器、トレイ、キャリアテープ、セパレーション・フィルム、洗浄容器、パイプ、チューブ等や、半導体素子、光学素子(発光ダイオード等)の封止材、集積回路の封止材、オーバーコート材等に用いられる。
〔電子部品封止材〕
本発明のノルボルネン化合物付加重合体は、吸水率が低く、耐熱性、透明性及び電気特性に優れるので、電子部品の封止材として有用である。電子部品としては、CPU、DRAM等の半導体チップを含む集積回路部品;ダイオード、トランジスタ、発光素子(LED等)等の半導体部品;抵抗器、コンデンサ、インダクタ、セラミックフィルター、サーミスタ等の一般電子部品を挙げることができる。中でも、青色LED素子、紫外発光LED素子や白色LED素子等のLED素子封止材、特にこれらの面実装型LEDの封止材として好ましい。
電子部品の封止方法は、本発明のノルボルネン化合物付加重合体の有機溶媒溶液を封止したい電子部品に付着させて溶媒を蒸発除去することによって行なうことができる。この際、従来の封止方法である、トランスファー成形法、ポッティング法又はコーティング法等を用いることができる。トランスファー成形法の場合には、少量の有機溶媒を含有するノルボルネン化合物付加重合体固形分を加熱軟化後、電子部品が装着された金型に注入して成形し、少量の溶剤を蒸発除去する。ポッティング法の場合は、封止したい電子部品に高粘度のノルボルネン化合物付加重合体溶液を充填して乾燥させる。コーティング法においては、封止したい電子部品、特に電子基板等にノルボルネン化合物付加重合体溶液を、ロールコート法、カーテンコート法、スクリーン印刷法、スピンコート法、ディッピング法等の方法でコートし、溶媒を蒸発除去する。
〔医療用器材〕
医療用器材としては、薬品容器、アンプル、シリンジ、輸液用バッグ、サンプル容器、試験管、採血管、滅菌容器、パイプ、チューブ等に用いられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。実施例中の部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例中の試験及び評価は以下の方法で行った。
(1)重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
テトラヒドロフラン又はクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定する。
(2)重合体の共重合比
H−NMR測定により求める。
(3)吸水率
フィルム片を23℃の水中に24時間浸漬させた後の重量増加量の浸漬前のフィルム片の重量に対する比率(重量%)を求める。
(4)ガラス転移温度
動的粘弾性で測定される貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度で測定する。動的粘弾性の測定はDMS6100(セイコーインスツルメント社製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が5℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が5.0μmのものを用いて貯蔵弾性率E’の屈曲点の温度を測定する。
(5)線膨張率
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SDTA840(メトラー・トレド社製)を用い、試験形状として膜厚約70μm、縦15.4mm、横5.95mmにしたフィルム片を直立、固定し、プローブにより、1g重の荷重をかける。フィルムの熱履歴を除去するため、室温から300℃まで5℃/minで一旦昇温した後、室温まで降温し、再度、室温から5℃/minで昇温して、30℃〜250℃間のフィルム片の伸びの傾きから線膨張率を求める。単位は(ppm/℃)である。
(実施例1)
(ノルボルネン化合物付加重合体(A)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(分子量=94)1,650部、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(分子量=186)1,400部、分子量調整剤としてスチレン521部及び重合溶媒としてトルエン7,200部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で1.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(A)2,000部を得た。得られた共重合体(A)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(A)の数平均分子量(以下、「Mn」と略称することがある。)は171,000、重量平均分子量(以下、「Mw」と略称することがある。)は659,000、共重合体(A)中のビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン単位/9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン単位組成比は、76/24(モル/モル)であった。共重合体(A)の特性の評価結果を表1に示す。
Figure 2007058239
(実施例2)
(ノルボルネン化合物付加重合体(B)の合成)
窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、上記の共重合体(A)300部をトルエン9,000部に溶解した溶液を入れ、55℃に加熱した。次いで、この溶液にm−クロロ過安息香酸5部を加え、55℃、3時間反応させて、共重合体(A)中の9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン構造単位中のエチリデン基をエポキシ化した。反応後、反応溶液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(B)278部を得た。得られた共重合体(B)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(B)のMnは154,000、Mwは692,000、共重合体(B)中のビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン/9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン単位/9−エチレンオキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン単位組成比は、76/13/11(モル/モル/モル)であった。共重合体(B)の特性の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
(ノルボルネン化合物付加重合体(C)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(分子量=120)2,100部、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(分子量=160)1,200部、分子量調整剤としてスチレン521部及び重合溶媒としてトルエン7,700部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で2時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(C)2,014部を得た。得られた共重合体(C)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(C)のMnは158,000、Mwは355,000、共重合体(C)中の5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン単位/テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン単位組成比は、73/27(モル/モル)であった。共重合体(C)の特性の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
(ノルボルネン化合物付加重合体(D)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、N,N’−ビス−(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド8.2部及びアルミニウム分が9.0%であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液825部を入れ、続けてトルエン500部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン1,175部、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(分子量=178)2,230部、重合溶媒としてトルエン4,000部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で2.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(D)2,834部を得た。得られた共重合体(D)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(D)のMnは134,000、Mwは314,000、共重合体(D)中のビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン単位/5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン単位組成比は、51/49(モル/モル)であった。共重合体(D)の特性の評価結果を表1に示す
(比較例2)
(ノルボルネン化合物付加重合体(E)の合成)
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(分子量=120)2,400部、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(分子量=256)1,280部、分子量調整剤としてスチレン521部及び重合溶媒としてトルエン8,600部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で3時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(E)2,905部を得た。得られた共重合体(E)はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。共重合体(E)のMnは195,000、Mwは475,000、共重合体(E)中の5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン単位/5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン単位組成比は、88/12(モル/モル)であった。共重合体(E)の特性の評価結果を表1に示す。
(実施例4〜6、比較例3〜4)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたそれぞれの重合体の10%トルエン溶液を、平坦なポリテトラフルオロエチレンシート上に流延し、室温で24時間、空気気流下において、トルエンを蒸発除去した後、80℃で24時間、真空乾燥して、膜厚100μmのフィルムを得た。
得られたフィルム片の光線透過率、ガラス転移温度、吸水率及び線膨張率を測定した結果を表1に示す。
表1の結果から、テトラシクロドデセン化合物単量体から誘導される繰返し構造単位(テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a))を有しないノルボルネン化合物付加重合体は、極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)を有しない場合は吸水率が低いもののガラス転移温度が低く(比較例3)、極性基含有ノルボルナン構造繰返し単位(b)を有する場合はガラス転移温度が高いものの吸水率が高く(比較例4)、いずれの場合も、線膨張率が大きいことが分かる。
これに対して、テトラシクロドデセン化合物単量体から誘導される繰返し構造単位(テトラシクロドデカン構造繰返し単位(a))を必須成分として有するノルボルネン化合物付加重合体は、ガラス転移温度が高く、線膨張率が小さいことが分かる(実施例4及び5)。特に、極性基含有ノルボルナン構造繰返し構造単位(b)の割合が少ない場合は、吸水率も低いことが分かる(実施例4及び6)。

Claims (13)

  1. ノルボルネン化合物由来の繰返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加重合体であって、一般式(1)で表される繰返し単位(a)を少なくとも含有し、一般式(2)で表される、極性基を有する繰返し単位(b)の含有比率が40モル%以下であることを特徴とするノルボルネン化合物付加重合体。
    Figure 2007058239
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R〜Rは、任意の組合せで互いに結合して環を形成していても構わない。更に、RとRとが又はRとRとが共同して、アルキリデン基を形成していてもよい。)
    Figure 2007058239
    (一般式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、極性基、又は少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも一つは、極性基、又は少なくとも一つの極性基を有する炭素数1〜20の有機基である。R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。mは0〜2の整数である。)
  2. 一般式(3)で表される繰返し単位であって、繰返し単位(a)に該当しない、繰返し単位(c)を更に含有する請求の範囲第1項に記載のノルボルネン化合物付加重合体。
    Figure 2007058239
    (一般式(3)中、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R〜R12は、任意の組合せで互いに結合して環を形成していても構わない。更に、RとR10とが又はR11とR12とが共同して、アルキリデン基を形成していてもよい。)
  3. 〜Rが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基である請求の範囲第1項又は第2項に記載のノルボルネン化合物付加重合体。
  4. ノルボルネン化合物付加重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が60,000〜900,000である請求の範囲第1項又は第2項に記載のノルボルネン化合物付加重合体。
  5. 請求の範囲第1項又は第2項に記載のノルボルネン化合物付加重合体からなる成形品。
  6. フィルム又はシートである請求の範囲第5項に記載の成形品。
  7. 全光線透過率が70%以上のフィルム又はシートである請求の範囲第6項に記載の成形品。
  8. 線膨張率が200ppm以下のフィルム又はシートである請求の範囲第6項に記載の成形品。
  9. 吸水率が0.1重量%以下のフィルム又はシートである請求の範囲第6項に記載の成形品。
  10. ガラス転移温度が200℃以上のフィルム又はシートである請求の範囲第6項に記載の成形品。
  11. 透明導電膜が積層されたフィルム又はシートである請求の範囲第6項に記載の成形品。
  12. 光学用である請求の範囲第5項に記載の成形品。
  13. 請求の範囲第5項に記載の成形品からなる表示素子用基板。
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