JP4096487B2 - 開環メタセシス重合体水素化物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な開環メタセシス重合体水素化物の製造方法に関し、さらに詳しくは、環状オレフィンを開環メタセシス重合した後、水素化して開環メタセシス重合体水素化物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、触媒として遷移金属化合物を用いる環状オレフィンのメタセシス開環重合方法がよく知られている。かかるメタセシス触媒の中心金属としては、周期表第6族のWやMoのほか、Nb、Ta、Re、Zr、Ti、Ru、Os、Irなどが知られている。そのなかでもルテニウムを含む触媒系は、水やアルコールなどの触媒失活成分の影響を受けにくいという特長を有している。
【0003】
近年、このような特長を有するルテニウム系触媒の改良が行われており、ホスフィン配位子を有するルテニウムカルベン化合物が環状オレフィンの重合触媒として優れた活性を示すことが報告されている(特表平9−512828号公報)。さらに、N−ヘテロ環カルベン配位子を有するルテニウムカルベン化合物も環状オレフィンに高い重合活性を示すことが報告されている(WO99/51344号公報)。
【0004】
また、WやMo化合物を重合触媒として環状オレフィンをメタセシス重合した後、反応系内にルテニウム化合物を添加し、これを水素化触媒として水素雰囲気下において重合体中の炭素−炭素二重結合を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法が報告されている(特開平7−149823号公報、特開平11−158256号公報、特開平11−209460号公報など)。かかる環状オレフィンの重合工程と重合体の水素化工程を連続的に行う方法は、従来の開環メタセシス重合体水素化物の製造プロセスを簡略化する方法として注目されているが、重合工程と水素化工程では別種の金属触媒を用いる点で未だ改良の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平10−195182号公報には、重合触媒としてルテニウム化合物を用いて環状オレフィンを重合した後、あらたに水素化触媒を添加することなく、単一の触媒で炭素−炭素二重結合を水素化する方法が報告されている。該公報によれば、配位子としてトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンのような中性電子供与体が2つ配位したルテニウム−ベンジリデン化合物を重合および水素化の触媒として使用している。すなわち、2つのホスフィン類が配位したルテニウム−ベンジリデン化合物を用いて環状オレフィンを重合した後、エチルビニルエーテルに代表される改質剤を添加して重合停止し、次いで水素圧力下で重合体を水素化している。
【0006】
しかしながら、前記特開平10−195182号公報に開示されるルテニウム−ベンジリデン化合物は、重合中及び重合後の溶媒中において、特に高温条件下では不安定であるため、十分満足のいく水素化活性を示さなかったり、改質剤を添加するタイミングによっては水素化活性が大きく変動してしまうという問題点があった。また、比較的多量の触媒を使用するために、触媒コストの上昇を招き工業的に有利な方法とは言えなかった。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解決し、少量で高活性な単一触媒で、環状オレフィンの開環メタセシス重合および重合物の水素化を行い、工業的有利に開環メタセシス重合体水素化物を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を行った結果、特定な配位子を有するルテニウムカルベン化合物を重合触媒として使用すると、重合後も溶液中で安定なため、水素化触媒としても高い活性を保ったままで重合体を水素化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明によれば、環状オレフィンを開環メタセシス重合した後、生成した開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法において、重合段階の触媒として、下記式[1]または[2]で表されるルテニウムカルベン錯体
【化4】
(上記式中のR 1 及びR 2 は、互いに独立に、水素、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでいてもよいC 1 〜C 20 の炭化水素基を示す。X 1 及びX 2 は、互いに独立に任意のアニオン性配位子を示す。L 1 及びL 2 の少なくとも1つは、イミダゾリジン環またはイミダゾリン環を有するヘテロ原子含有カルベン化合物を示し、ヘテロ原子含有カルベン化合物でない場合は、中性の電子供与性化合物を示す。R 1 、R 2 、X 1 、X 2 、L 1 、及びL 2 の2個、3個、4個、5個、または6個は、互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。)
を用いて開環メタセシス重合を行い、次いで、新たに水素化触媒を反応系内に加えることなく、水素化することを特徴とする開環メタセシス重合体水素化物の製造方法が提供される。本発明の製造方法は、開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも98%を飽和させるのに好ましく適用される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態について、項目に分けて以下に説明する。
【0011】
(触媒)
本発明において使用される触媒は、ルテニウムに少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位してなる錯体であって、下記式[1]または[2]で表わされるルテニウムカルベン錯体である。
【化5】
【0012】
(上記式中のR 1 及びR 2 は、互いに独立に、水素、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでいてもよいC 1 〜C 20 の炭化水素基を示す。X 1 及びX 2 は、互いに独立に任意のアニオン性配位子を示す。L 1 及びL 2 の少なくとも1つは、イミダゾリジン環またはイミダゾリン環を有するヘテロ原子含有カルベン化合物を示し、ヘテロ原子含有カルベン化合物でない場合は、中性の電子供与性化合物を示す。R 1 、R 2 、X 1 、X 2 、L 1 、及びL 2 の2個、3個、4個、5個、または6個は、互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。)
【0013】
本明細書の文脈において、ヘテロ原子とは、周期律表第15族および第16族の原子のことで、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子などを挙げることができる。なかでもN、O,P,S原子が安定なカルベン化合物を得るためには好ましく、N原子が特に好ましい。
【0014】
また、カルベン化合物とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子を持つ化合物のことである。一般的にカルベンは、反応中に生じる不安定な中間体として存在するが、ヘテロ原子を有すると比較的安定なカルベン化合物として単離することができる。
【0015】
本発明で使用するヘテロ原子含有カルベン化合物は、イミダゾリジン環またはイミダゾリン環を有するヘテロ原子含有カルベン化合物であって、下記式[3]または[4]で示される化合物が挙げられる。
【0016】
【化6】
【0017】
(上記式中のR3 及びR4は、互いに独立に、水素、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでいてもよいC1〜C20の炭化水素基を示す。)
【0018】
前記式[3]の具体例としては、1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イリデンなどが挙げられる。
【0019】
式[4]の具体例としては、、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデンなどが挙げられる。
【0020】
また、前記式[3]および[4]で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も挙げることができる。
【0021】
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、カルベンに隣接するヘテロ原子が嵩高い置換基を有する飽和環状化合物、具体的には1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデンが特に好ましい。
【0022】
前記式[1]〜[2]中のアニオン(陰イオン)性配位子X1、X2は、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。例えば、F、Br、Cl、Iなどのハロゲン原子、水素、アセチルアセトナト基、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、置換アリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルまたはアリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基などを挙げることができる。好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0023】
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、すなわちルイス塩基であればいかなるものでもよい。その具体例としては、酸素、水、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エ−テル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビン類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳香族化合物、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネ−ト類などが挙げられる。
好ましくはホスフィン類であり、特にトリアルキルホスフィンであって、そのアルキル基の少なくとも一つが第2級アルキル基あるいはシクロアルキル基であるものが好ましい。
【0024】
前記式[1]〜[2]中のR1、R2としては、水素、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C1〜C20アルキル基、アリール基、カルボキシル基、C2〜C20アルケニルオキシ基、C2〜C20アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、C2〜C20アルコキシカルボニル基、C1〜C20アルキルチオ基、アリールチオ基、C1〜C20アルキルスルホニル基、C1〜C20アルキルスルフィニル基などが挙げられる。
【0025】
前記式[1]で表わされる錯体化合物としては、例えば、[1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン](トリフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどのヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が配位したルテニウム錯体化合物;
【0026】
ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位したルテニウム錯体化合物などが挙げられる。
【0027】
前記式[2]で表わされる錯体化合物としては、例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどのヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が配位したルテニウム錯体化合物;
【0028】
ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位したルテニウム錯体化合物などが挙げられる。
【0029】
さらに、前記式[1]または[2]で表わされる錯体化合物を、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロロルテニウム]、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロロオスミウム]、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウムダイマーなどの複核金属錯体と反応させて得られる複核ルテニウム−カルベン錯体化合物を用いてもよい。
【0030】
(環状オレフィン類)
本発明の製造方法において開環メタセシス重合に供されるモノマーは、環状オレフィン類である。かかる環状オレフィン類としては、(1)ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類等のノルボルネン環を有する多環の環状オレフィン類、(2)単環の環状オレフィン類、などを使用することができ、これらの環状オレフィン類は、アルキル基やアルケニル基、アルキリデン基などの置換基を有していてもよく、極性基を有していてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合をさらに有していてもよい。
【0031】
これらの環状オレフィン類の中でも、耐熱性や溶解性に優れる開環メタセシス重合体の水素化物を得るためには、ノルボルネン環を有する3環体〜6環体の環状オレフィン類を使用するのが好ましく、ジシクロペンタジエン類などの3環体の環状オレフィン類、またはテトラシクロドデセン類などの4環体の環状オレフィン類が特に好ましい。環状オレフィン類は単独でもニ種以上を使用してもよい。
【0032】
ジシクロペンタジエン類
ジシクロペンタジエン類とは、ノルボルネン環を有する3環体の環状オレフィン類のことをいい、アルキル基やアルケニル基、アルキリデン基などの置換基を有していてもよい。
このようなジシクロペンタジエン類の具体例としては、例えばジシクロペンタジエンやメチル−ジシクロペンタジエン等が挙げられ、ジシクロペンタジエンの5員環部分の二重結合を飽和させたトリシクロ[4.3.12,5.0]−デカ−3−エン等も挙げることができる。
【0033】
テトラシクロドデセン類
テトラシクロドデセン類は、下記一般式[5]で示される。
【0034】
【化7】
【0035】
(式中、R5〜R12は水素原子、炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲン原子を示し、R13〜R16は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を示し、R13とR16が結合して環を形成してもよい。)
【0036】
テトラシクロドデセン類の具体例としては、(a)ノルボルネン環以外に二重結合を有しないものとして、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセンなどのテトラシクロドデセンおよび、これらのテトラシクドデセン類に置換基を有するものなどが挙げられ;
【0037】
(b)ノルボルネン環以外に二重結合を有するものとして、8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセンなどの環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類などが挙げられ;
(c)芳香環を有するものとして、8−フェニルテトラシクロドデセンなどが挙げられ;
【0038】
(d)極性基を有するものとしては、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセンなどのハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセンなどのけい素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセンが挙げられる。
【0039】
その他のノルボルネン環を有する環状オレフィン類
本発明においては、上記の環状オレフィン類以外に、その他のノルボルネン環を有する環状オレフィン類を用いることもできる。
【0040】
その他のノルボルネン環を有する環状オレフィン類の具体例としては、ノルボルネン環を一つ有する2環体のものとしては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−n−ブチルノルボルネン、5−n−ヘキシルノルボルネン、5−n−デシルノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネンなどのノルボルネン類、およびこれらに対応するオキサノルボルネン類;
5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボルネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネンなどの環外に二重結合を有するノルボルネン類、およびこれらに対応するオキサノルボルネン類が挙げられ;
【0041】
ノルボルネン環と6員環とを一つずつ有するものとして、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−n−ブチルヘキサシクロヘプタデセン、12−n−ヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−n−デシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロへキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセンなどのヘキサシクロヘプタデセン類などが挙げられる。
【0042】
ノルボルネン環と芳香環とを有するものとして、5−フェニルノルボルネン、5−フェニルオキサノルボルネン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどが挙げられる。
【0043】
極性基を有するものの具体例としては、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシ−イソプロピルノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボルネンなどの酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;
【0044】
5−メトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−エトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルオキサノルボルネン、オキサノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、オキサノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルオキサノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5−ヒドロキシ−イソプロピルオキサノルボルネン、5,6−ジカルボキシオキサノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシオキサノルボルネンなどの酸素含有極性基を有するオキサノルボルネン類;5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸イミドなどの窒素含有極性基を有するノルボルネン類;5−シアノオキサノルボルネン、オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸イミドなどの窒素含有極性基を有するオキサノルボルネン類などが挙げられる。
【0045】
上記その他のノルボルネン環を有する環状オレフィン類を用いる場合は、中でも、耐熱性、溶解性の観点から、ノルボルネン環と芳香環を有するものが好ましく、前述のシクロペンタジエンやテトラシクロドデセンなどに共重合させてもよい。
【0046】
単環の環状オレフィン類又はジオレフィン類
単環の環状オレフィン類又はジオレフィン類としては、C4〜C20、好ましくはC4〜C10の環状オレフィンまたはジオレフィンとこれらの誘導体が挙げられ、それらの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの特開昭64−66216号公報などに記載されている単環の環状オレフィン系単量体;シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエンなどの特開平7−258318号公報などに記載されている環状ジオレフィン系単量体を挙げることができる。
【0047】
上記環状オレフィン類は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ジシクロペンタジエン類またはテトラシクロドデセン類と、これらと共重合可能な環状オレフィンを共重合することが好ましく、この場合ジシクロペンタジエン類またはテトラシクロドデセン類を、全単量体重量に基づき、通常1〜100重量%用いればよいが、重合体水素化物の耐熱性と、単量体の入手し易さの点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%用いられる。
【0048】
(溶媒)
本発明で用いる溶媒は、重合体および重合体水素化物が所定の条件で溶解し、重合反応および水素化反応に影響しないものであれば、特に限定されない。本発明においては、重合反応を無溶媒で行うこともできるが、重合後、連続して水素化反応を行うので、溶媒を使用するのが好ましい。
【0049】
かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テルなどの溶媒を使用することができる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。重合および水素化反応時に不活性であること、重合体の溶解性に優れることなどの観点からは、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶媒を使用することが推奨される。
【0050】
(重合方法)
本発明の方法において、環状オレフィンに対する重合触媒の割合は、重合触媒中の金属ルテニウム/環状オレフィンのモル比として、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000である。触媒量が多すぎると触媒除去が困難となり、少なすぎると十分な重合活性が得られない。
【0051】
環状オレフィンと溶媒の混合割合は特に限定されないが、反応溶液中の環状オレフィンの濃度は、通常1〜50重量%である。好ましくは2〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%である。環状オレフィンの濃度が1重量%以下の場合は生産性が悪く、50重量%以上の場合は重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難となる。
【0052】
重合反応は、上記反応溶液と前記重合触媒を混合することにより開始される。重合温度は特に制限はないが、一般には、−30℃〜200℃、好ましくは0℃〜180℃である。重合時間は、通常1分間〜100時間であり、特に制限はない。
【0053】
重合反応においては、重合体の分子量を調節するために、ビニル基を有する化合物などの分子量調節剤を反応溶液に予め添加する方法を採用することができる。分子量調節に用いるビニル基を有する化合物は、特に限定されないが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのエーテル類;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなど酸素含有ビニル化合物、アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物などが挙げられる。
ビニル化合物の使用量は、目的とする重合体の分子量に応じて適宜選択することができる。通常の使用量は、環状オレフィン類に対して0.1〜10モル%の範囲である。
【0054】
また、重合反応終了時においては、所望により上記のビニル化合物を再度添加して、ルテニウムカルベン錯体を重合体末端からを遊離させることで、重合停止させることができる。この重合停止法は、水素化工程の触媒活性を向上させるために有用である。
【0055】
本発明の重合工程で得られる重合体の分子量は、水素化工程を考慮すると、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーによる測定(ポリスチレン換算)で得られる数平均分子量(Mn)が、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは5,000〜200,000である。
【0056】
(水素化反応)
重合工程で得られる開環メタセシス重合体は、主鎖に炭素−炭素二重結合を有しているので、耐熱性、耐候性の観点から炭素−炭素二重結合を水素化して飽和させる。この水素化反応では、重合触媒として利用したルテニウムカルベン化合物をそのまま水素化触媒とし、新たに触媒を添加する必要はない。また、反応溶媒も重合反応溶媒と同じで良く、重合反応液を水素雰囲気にして反応させればよい。
【0057】
水素化反応は、使用するルテニウムカルベン化合物によって適する条件範囲が異なるが、反応温度は通常−20℃〜250℃、好ましくは−10〜220℃、より好ましくは0〜200℃である。水素圧力は、通常0.1〜50kg/cm2、好ましくは0.5〜40kg/cm2、より好ましくは1.0〜30kg/cm2である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、高すぎると副反応が起こる。また、水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる。反応時間は特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。
【0058】
炭素−炭素二重結合の水素化率は特に限定されないが、重合体中の主鎖の炭素−炭素二重結合の60%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上を水素化することができる。
【0059】
本発明において、使用する触媒量は極めて微量であるため、水素化反応後に触媒を除去する工程は必要としないが、反応溶液を多量の貧溶媒に開けて固形分を回収する方法、有機酸または無機酸の水溶液で洗浄する方法、またはシリカゲル、アルミナ、活性炭などの固体吸着剤に反応溶液を接触させる方法等の一般によく知られている方法で、触媒残さを除去してもよい。
【0060】
本発明の方法で得られる開環メタセシス重合体水素化物は、優れた光学特性、電気特性、機械特性、耐熱特性および耐光性を有する樹脂として注目されている。
【0061】
【実施例】
以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例中の分子量は、開環重合体の場合はテトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。開環重合体水素化物の場合はシクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリイソプレン換算値として測定した。水素化率は、1H−NMRスペクトルにより測定した。
【0062】
実施例1
攪拌機付きオートクレーブに、ジシクロペンタジエン21.0重量部、エチルテトラシクロドデセン9.0重量部、1−ヘキセン0.26重量部およびシクロヘキサン90.0重量部を加えた。続いて、テトラヒドロフラン30.0重量部に溶解したビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.012重量部を添加して、80℃で重合を行った。1時間後、エチルビニルエーテル1.0重量部を添加して、15分間攪拌後、1.0MPaの水素圧下、150℃で5時間水素化反応を行った。反応液を室温に戻した後、多量のイソプロパノールに滴下してポリマーを析出させた。濾別洗浄後、40℃で40時間減圧乾燥した。得られた開環重合体水素化物の収量は29.5重量部で、分子量(ポリイソプレン換算)は、数平均分子量(Mn)=11,500、重量平均分子量(Mw)=25,500で、NMRにより測定した水素化率は92%であった。
【0063】
比較例1
ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.012重量部に代えてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.017重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合した。得られた開環重合体水素化物の収量は29.0重量部で、分子量(ポリイソプレン換算)は、数平均分子量(Mn)=12,300、重量平均分子量(Mw)=36,800で、水素化率は43%であった。
【0064】
実施例2
ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.012重量部に代えて(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.0012重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合した。得られた開環重合体水素化物の収量は29.6重量部で、分子量(ポリイソプレン換算)は、数平均分子量(Mn)=10,300、重量平均分子量(Mw)=27,200で、水素化率は99%以上であった。
【0065】
【発明の効果】
ルテニウム配位子として少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位した錯体からなる触媒を用いて、環状オレフィンの開環メタセシス重合および重合体の水素化を連続的に行うと、従来のルテニウム錯体触媒と比較して、一段と高い水素化触媒活性が得られ、しかも水素化物は高い水素化率を示すという効果を奏する。
Claims (3)
- 環状オレフィンを開環メタセシス重合した後、生成した開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化する開環メタセシス重合体水素化物の製造方法において、重合段階の触媒として、下記式[1]または[2]で表されるルテニウムカルベン錯体
を用いて開環メタセシス重合を行い、次いで、新たに水素化触媒を反応系内に加えることなく、水素化することを特徴とする開環メタセシス重合体水素化物の製造方法。 - 該イミダゾリジン環またはイミダゾリン環を有するヘテロ原子含有カルベン化合物が、下記式[3]
で表されるイミダゾリジン環を有するヘテロ原子含有カルベン化合物であるか、または下記式[4]
で表されるイミダゾリン環を有するヘテロ原子含有カルベン化合物である請求項1記載の製造方法。 - 水素化により、開環メタセシス重合体の炭素−炭素二重結合の少なくとも98%を飽和させる請求項1または2記載の製造方法。
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