JP2002105180A - 開環重合体水素化物の製造方法 - Google Patents

開環重合体水素化物の製造方法

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JP2002105180A
JP2002105180A JP2000300274A JP2000300274A JP2002105180A JP 2002105180 A JP2002105180 A JP 2002105180A JP 2000300274 A JP2000300274 A JP 2000300274A JP 2000300274 A JP2000300274 A JP 2000300274A JP 2002105180 A JP2002105180 A JP 2002105180A
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compound
ylidene
polymer
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Application number
JP2000300274A
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English (en)
Inventor
Seiji Okada
誠司 岡田
Kazunori Taguchi
和典 田口
Yasuo Tsunokai
靖男 角替
Florian J Kohl
フロリアン・ヨット・コール
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明によれば、有機溶媒に対する溶解性に優
れた環状オレフィン開環重合体水素化物を得る工業的方
法を提供すること。 【解決手段】第二級アルキル基または第三級アルキル基
を少なくとも1つ有するヘテロ原子を含有するカルベン
化合物が配位したルテニウム化合物を用いて、溶媒の存
在下に環状オレフィン類を開環メタセシス重合した後、
開環重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合の50%以上を
水素化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶媒に対する溶解
性に優れた環状オレフィン系開環重合体水素化物を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン類の開環重合体は従来か
らよく知られており、その重合(メタセシス開環重合)
に用いる触媒には、チタン、ジルコニウム、バナジウ
ム、タングステン、モリブデン、チタンなどの周期律表
第4属乃至第6族の遷移金属を含む化合物が用いられて
いる。最近では、周期律表第8族の遷移金属であるルテ
ニウムやオスミウムなどを含むものが、水やアルコール
などの影響を受けにくいために注目され、これらの化合
物からなるルテニウム系触媒の改良が行われている。特
表平9−512828号公報には、ホスフィンを配位子
とするルテニウム化合物が報告され、特開平10−19
5182号公報には、該ルテニウム化合物で環状オレフ
ィン類を重合したのち、得られた開環重合体を水素化し
た例も報告されている。しかしながら、本発明者らの検
討によると、上記ルテニウム化合物を用いてジシクロペ
ンタジエン類やテトラシクロドデセン類を重合すると、
重合が進行するにつれて生成した重合体が析出しやすく
なり、さらに該開環重合体の水素化物の溶媒への溶解性
も極めて悪くなり、ポリマー回収や触媒除去などが困難
であった。
【0003】また、国際公開WO99/51344号公
報、同WO00/15339号公報には、窒素を有する
複素環式カルベン化合物を配位子とするルテニウム化合
物が開示されているが、シクロオクタジエンなどを重合
した例が報告されているのみであった。
【0004】そこで、本発明者らは、下記一般式(1)
で示される[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフ
ェニル)イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘ
キシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、
【0005】
【化1】 (式中、Mesは2,4,6−トリメチルフェニル基
を、Cyはシクロヘキシル基を、Phはフェニル基を表
す。下記一般式(2)において同じ。)
【0006】又は下記一般式(2)で示される[1,3
−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリ
ジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド
【0007】
【化2】
【0008】などの窒素を有する複素環式カルベン化合
物を配位子とするルテニウム化合物を用いて、ジシクロ
ペンタジエンを開環重合した後、該重合体の炭素−炭素
二重結合を水素化したところ、得られた水素化物は、常
温ではシクロヘキサンへの溶解性が悪く、20重量%溶
解させるためには、80℃以上に加熱しなければならな
かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶媒
への溶解性に優れた環状オレフィン類の開環重合体水素
化物を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、上記のような
ルテニウム化合物に変えて、第二級炭素又は第三級炭素
がヘテロ原子に結合した特定構造の複素環式カルベン化
合物が配位子したルテニウム化合物を用いることによ
り、得られる水素化ポリマーの溶媒に対する溶解性が大
幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】かくして本発明によれば、第二級炭素また
は第三級炭素が結合しているヘテロ原子とメチレン遊離
基とを含有する化合物が、ルテニウム原子に配位してな
るルテニウム化合物を用いて、溶媒の存在下に環状オレ
フィン類を開環メタセシス重合した後、開環重合体主鎖
中の炭素−炭素二重結合の50%以上を水素化して開環
重合体水素化物を得る方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、ヘテロ原子とメチレン
遊離基とを含有する化合物がルテニウムに配位した、特
定構造のルテニウム化合物を用いて、溶媒の存在下に環
状オレフィン類を開環メタセシス重合した後、開環重合
体主鎖中の炭素−炭素二重結合の50%以上を水素化す
ることを特徴とする。上記方法によれば、水素化された
開環重合体は有機溶媒に溶解した溶液として得られる。
本発明において使用される上記ルテニウム化合物は、ル
テニウムを中心金属として有し、ヘテロ原子とメチレン
遊離基とを含有する化合物(以降、カルベン化合物とい
う。)を該ルテニウムの配位子として有するものであ
る。また、カルベン化合物中のヘテロ原子には、第二級
炭素または第三級炭素が結合し、該カルベン化合物はメ
チレン遊離基によってルテニウムに配位している。カル
ベン化合物とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称
であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の
炭素原子を持つ化合物のことである。カルベンは、一般
的には反応中に生じる不安定な中間体として存在する
が、ヘテロ原子を有すると比較的安定なカルベン化合物
として単離することができる。上記において、ヘテロ原
子に結合する第二級炭素とは、ヘテロ原子以外に2個の
炭素と単結合で結合している炭素をいい、第三級炭素と
は同様にヘテロ原子以外に3個の炭素と単結合で結合し
ているものをいう。したがって、芳香環を形成する炭素
のように、第三級炭素とみなされるようなものは含まな
い。このような上記ルテニウム化合物は、具体的には、
下記一般式(3)で示されるものである。
【0013】
【化3】 (式中、X及びXは互いに独立に任意のアニオン性
配位子を示し、Lは第二級炭素又は第三級炭素が結合
しているヘテロ原子を含有するカルベン化合物を示し、
は任意の中性電子供与体を示す。RおよびR
は、お互いに独立に、水素、またはハロゲン原子、酸
素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子もしくはけい素
原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示
す。)
【0014】上記ヘテロ原子は、周期律表第15族およ
び第16族の原子のことで、具体的には、窒素原子
(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子
(S)、砒素原子(As)、セレン原子(Se)などを
挙げることができる。なかでも、N、O、P、Sが安定
なカルベン化合物を得るためには好ましく、N,Pが特
に好ましい。さらに、ヘテロ原子を含有するカルベン化
合物Lは、第二級炭素又は第三級炭素が、該ヘテロ原
子に結合しているものであれば特に限定されないが、ヘ
テロ原子がNである下記一般式(4)で示される化合物
がより好ましい。
【0015】
【化4】 (式中、Rは、第二級炭素又は第三級炭素を介してN
に結合する炭素数1〜20の炭化水素基である。R
は、ハロゲン原子、O、N、S、P又はけい素原子
(Si)を含んでもよい。R〜Rは、互いに独立に
水素原子またはハロゲン原子、O、N、S、P又はSi
を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R
と同じものであってもよい。さらに、RとRが互
いに結合し、環を形成してもよい。)
【0016】上記一般式(4)で示される化合物の中で
も、RとRが互いに結合し、環を形成する環状カル
ベン化合物が安定であるためより好ましく、下記一般式
(5)で示される置換イミダゾリン−2−イリデン、及
び下記一般式(6)で示される置換イミダゾリジン−2
−イリデンが最も好ましい。
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】(式5及び式6中、R、R、R13
びR14は互いに独立にハロゲン原子、O、N、S、P
又はSiを含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を
示し、R〜R12及びR15〜R18は互いに独立に
水素原子又はハロゲン原子、O、N、S、PもしくはS
iを含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
とR及びR13とR14は互いに結合して脂肪族
環を形成しても構わず、R11とR12、R17とR
18は互いに結合して環を形成しても構わない。)
【0020】一般式(5)で示される化合物の具体例と
しては、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−
2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダ
ゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1’−フェニルエ
チル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ
(ジフェニルメチル)−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン、1,3−ジ(1’−ナフチルエチル)−4−イミダ
ゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチル−4−
イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1’−シク
ロへキシルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジフェニル−4
−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジシクロへキ
シルベンズイミダゾリン−2−イリデンなどが挙げられ
る。一般式(6)で示される化合物の具体例としては、
1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデ
ン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イ
リデン、1,3−ジ(1’−フェニルエチル)イミダゾ
リジン−2−イリデン、1,3−ジ(ジフェニルメチ
ル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1’
−ナフチルエチル)イミダゾリジン−2−イリデン、
1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデ
ン、1,3−ジ(1’−シクロへキシルエチル)イミダ
ゾリジン−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−
4,5−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、
1,3−ジシクロへキシル−ヘキサヒドロベンズイミダ
ゾリン−2−イリデンなどが挙げられる。また、一般式
(5)及び一般式(6)で示される化合物以外にも、3
−(ジフェニルメチル)−2,3,4,5−テトラヒド
ロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシ
ルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,
N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン
などを挙げることができる。
【0021】上記の化合物の中でも、ヘテロ原子に嵩高
い第二級炭化水素基又は嵩高い第三級炭化水素基が結合
しているものがより好ましく、具体的には1,3−ジ
(1’−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イ
リデン、1,3−ジ(ジフェニルメチル)−4−イミダ
ゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1’−ナフチルエ
チル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ
(1’−シクロへキシルエチル)−4−イミダゾリン−
2−イリデン、1,3−ジ(1’−フェニルエチル)イ
ミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(ジフェニル
メチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ
(1’−ナフチルエチル)イミダゾリジン−2−イリデ
ン、1,3−ジ(1’−シクロへキシルエチル)イミダ
ゾリジン−2−イリデンなどが挙げられる。
【0022】一般式(3)で示される化合物中の、アニ
オン性配位子(X及びX)は、中心金属(Ru)か
ら引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であればい
かなるものでもよく、また中性の電子供与性化合物(L
)は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を
持つ配位子、すなわちルイス塩基であればいかなるもの
でもよい。
【0023】このようなアニオン性配位子(X及びX
)の具体例としては、フッ素(F)、臭素(Br)、
塩素(Cl)及びヨウ素(I)などのハロゲン原子、水
素、アセチルアセトン、ジケトネート基、置換シクロペ
ンタジエニル基、置換アリル基、アルケニル基、アルキ
ル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルま
たはアリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アル
ケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル
基、アルキルスルフィニル基を挙げることができる。
【0024】また、中性配位子(L)の具体例として
は、酸素原子、水、カルボニル、アミン類、ピリジン
類、エ−テル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン
類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スルホキシド
類、チオエーテル類、アミド類、芳香族化合物、環状ジ
オレフィン類、オレフィン類、イソシアニド類、チオシ
アネ−ト類、カルベン化合物などが挙げられる。
【0025】R、Rの具体例としては、水素、アル
ケニル基、アルキニル基、アルキル基、アリール基、カ
ルボキシル基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ
基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、
アルキルスルフィニル基を挙げることができる。
【0026】以上の一般式(3)で示されるルテニウム
化合物の具体例としては、ビス(1,3−ジイソプロピ
ルイミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニ
ウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミ
ダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジ
クロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダ
ゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾ
リン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ドなどの2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が配位し
たルテニウム化合物など;(1,3−ジシクロヘキシル
イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシル
ホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−
イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリ
デンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(1’−フェ
ニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](ト
リシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、[1,3−ジ(1’−フェニルエチル)−
4−イミダゾリジン−2−イリデン](ペンタメチルシ
クロペンタジエニル)ベンジリデンルテニウムジクロリ
ド、[1,3−ジ(ジフェニルメチル)−4−イミダゾ
リジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ
(ジフェニルメチル)−4−イミダゾリン−2−イリデ
ン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンル
テニウムジクロリド、[1,3−ジ(1’−シクロへキ
シルエチル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシ
クロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジク
ロリド、[1,3−ジ(1’−シクロへキシルエチル)
イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホ
スフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどのヘ
テロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物
が配位したルテニウム化合物などを挙げることができ
る。
【0027】本発明においては、上記ルテニウム化合物
を用いた重合反応を無溶媒で行うこともできるが、重合
後に水素化反応を溶媒中で行うために、溶媒中で重合す
るのが好ましい。本発明で用いる溶媒は、重合体及び重
合体水素化物が所定の条件で溶解し、重合及び水素化に
影響しないものであれば、特に限定されないが、工業的
に汎用なものが好ましい。
【0028】このような溶媒としては、具体的には、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶
媒; シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロ
ヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキ
サン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリ
シクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、
シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系溶媒; ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;
ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなど
の含窒素炭化水素系溶媒; ジエチルエ−テル、テトラ
ヒドロフランなどのエ−テル系溶媒などを使用すること
ができるが、これらの中でも、工業的に汎用な芳香族炭
化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒及び脂環族炭化水
素系溶媒が好ましく、重合反応及び水素化反応時に不活
性であること、重合体の溶解性に優れることなどの観点
から、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶媒を使
用するのが最も好ましい。
【0029】(環状オレフィン類)本発明に用いる環状
オレフィン類は、(1)ノルボルネン類、ジシクロペン
タジエン類、テトラシクロドデセン類等のノルボルネン
環を有する多環の環状オレフィン類、(2)単環の環状
オレフィン類、等を使用することができ、これらの環状
オレフィン類は、アルキル基やアルケニル基、アルキリ
デン基などの置換基を有していてもよく、極性基を有し
ていてもよく、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重
結合をさらに有していてもよい。これらの環状オレフィ
ン類の中でも、耐熱性、溶解性に優れる開環重合体水素
化物を得るためには、ノルボルネン環を有する3環体〜
6環体の環状オレフィン類を使用するのが好ましく、中
でも、ジシクロペンタジエン類等の3環体の環状オレフ
ィン類、又はテトラシクロドデセン類等の4環体の環状
オレフィン類が特に好ましい。
【0030】ジシクロペンタジエン類 ジシクロペンタジエン類とは、ノルボルネン環を有する
3環体の環状オレフィン類のことをいい、アルキル基や
アルケニル基、アルキリデン基などの置換基を有してい
てもよい。このようなジシクロペンタジエン類の具体例
としては、例えばジシクロペンタジエンやメチル−ジシ
クロペンタジエン等が挙げられ、ジシクロペンタジエン
の5員環部分の二重結合を飽和させたトリシクロ[4.
3.12,5.0]−デカ−3−エン等も挙げることが
できる。
【0031】テトラシクロドデセン類 テトラシクロドデセン類は、下記一般式(7)で示され
る。
【0032】
【化7】
【0033】(式中、R19〜R26は水素原子、炭素
数1〜3の炭化水素基又はハロゲン原子を示し、R27
〜R30は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は
ハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子
を含む基を示し、R27とR が結合して環を形成し
てもよい。)
【0034】テトラシクロドデセン類は、(a)ノルボ
ルネン環以外に二重結合を有しないもの、(b)ノルボ
ルネン環以外に二重結合を有するもの、(c)芳香環を
有するもの、(d)極性基を有するもの、等に分類する
ことができるが、いずれの単量体も使用することができ
る。
【0035】(a) ノルボルネン環以外に二重結合を
有しないものの具体例としては、例えば、テトラシクロ
ドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチ
ルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシ
クロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセ
ンなどのテトラシクロドデセン及び、上記のテトラシク
ドデセン類に置換基を有するもの等が挙げられる。
【0036】(b) ノルボルネン環以外に二重結合を
有するものの具体例としては、例えば、8−メチリデン
テトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロド
デセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペ
ニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテト
ラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロ
ドデセンなどの環外に二重結合を有するテトラシクロド
デセン類などが挙げられる。
【0037】(c) 芳香環を有するものの具体例とし
ては、例えば、8−フェニルテトラシクロドデセンなど
が挙げられる。
【0038】(d) 極性基を有するもの具体例として
は、例えば、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデ
セン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシク
ロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセ
ン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシク
ロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデ
セン−8,9−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含
む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノ
テトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9
−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む置換基を有
するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロ
ドデセンなどのハロゲンを原子を含む置換基を有するテ
トラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラ
シクロドデセンなどのけい素原子を含む置換基を有する
テトラシクロドデセンが挙げられる。
【0039】その他のノルボルネン環を有する環状オレ
フィン類 本発明においては、上記の環状オレフィン類以外に、そ
の他のノルボルネン環を有する環状オレフィン類を用い
ることもできる。
【0040】その他のノルボルネン環を有する環状オレ
フィン類の具体例としては、例えばノルボルネン環を一
つ有する2環体のものとしては、ノルボルネン、5−メ
チルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチ
ルノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−デシ
ルノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5
−シクロペンチルノルボルネンなどのノルボルネン類;
オキサノルボルネン、5−メチルオキサノルボルネン、
5−エチルオキサノルボルネン、5−ブチルオキサノル
ボルネン、5−ヘキシルオキサノルボルネン、5−デシ
ルオキサノルボルネン、5−シクロヘキシルオキサノル
ボルネン、5−シクロペンチルオキサノルボルネンなど
のオキサノルボルネン類;5−エチリデンノルボルネ
ン、5−ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボル
ネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロ
ペンテニルノルボルネンなどの環外に二重結合を有する
ノルボルネン類;5−エチリデンオキサノルボルネン、
5−ビニルオキサノルボルネン、5−プロペニルオキサ
ノルボルネン、5−シクロヘキセニルオキサノルボルネ
ン、5−シクロペンテニルオキサノルボルネンなどの二
重結合を有するオキサノルボルネン類が挙げられる。
【0041】ノルボルネン環と6員環とを一つずつ有す
るものとして、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチ
ルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシク
ロヘプタデセン、12−ブチルヘキサシクロヘプタデセ
ン、12−ヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−
デシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシ
ルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘ
キサシクロヘプタデセンなどのヘキサシクロヘプタデセ
ン類;12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、1
2−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニ
ルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロへキセニル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘ
キサシクロヘプタデセンなどのヘキサシクロヘプタデセ
ン類などが挙げられる。
【0042】ノルボルネン環と芳香環とを有するものと
しては、5−フェニルノルボルネン、5−フェニルオキ
サノルボルネン、テトラシクロ[6.5.12,5.0
1, .08,13]トリデカ−3,8,10,12−
テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テ
トラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[6.
6.12,5.01,6.08,13]テトラデカ−
3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−
1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアント
ラセンともいう)、などが挙げられる。
【0043】極性基を有するものとしては、5−メトキ
シカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノ
ルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノル
ボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルノルボ
ルネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、
ノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、ノルボルネ
ン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチ
ルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノル
ボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネ
ン、5−ヒドロキシ−i−プロピルノルボルネン、5,
6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニ
ル−6−カルボキシノルボルネン、などの酸素原子を含
む極性基を有するノルボルネン類;
【0044】5−メトキシカルボニルオキサノルボルネ
ン、5−エトキシカルボニルオキサノルボルネン、5−
メチル−5−メトキシカルボニルオキサノルボルネン、
5−メチル−5−エトキシカルボニルオキサノルボルネ
ン、オキサノルボルネニル−2−メチルプロピオネイ
ト、オキサノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、
オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5
−ヒドロキシメチルオキサノルボルネン、5,6−ジ
(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5,5−ジ
(ヒドロキシメチル)オキサノルボルネン、5−ヒドロ
キシ−i−プロピルオキサノルボルネン、5,6−ジカ
ルボキシオキサノルボルネン、5−メトキシカルボニル
−6−カルボキシオキサノルボルネンなどの酸素原子を
含む極性基を有するオキサノルボルネン類; 5−シア
ノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸
イミドなどの窒素原子を含む極性基を有するノルボルネ
ン類;5−シアノオキサノルボルネン、オキサノルボル
ネン−5,6−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含
む極性基を有するオキサノルボルネン類などが挙げられ
る。
【0045】上記これらのその他のノルボルネン環を有
する環状オレフィン類を用いる場合は、なかでも、耐熱
性、溶解性の観点から、ノルボルネン環と芳香環を有す
るものを用いるのが好ましく、前述のシクロペンタジエ
ンやテトラシクロドデセンなどに共重合させてもよい。
具体的には、4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラ
ヒドロフルオレンなどのテトラヒドロフルオレン類を、
前述のシクロペンタジエンやテトラシクロドデセンなど
に共重合させることができる。
【0046】単環の環状オレフィン類 単環の環状オレフィン類は、炭素数が4〜20、好まし
くは4〜10の環状モノオレフィン又は環状ジオレフィ
ンである。環状モノオレフィンの具体例としては、シク
ロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シ
クロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテ
ン、シクロオクテンなどの特開昭64−66216など
に記載されているものが挙げられ、環状ジオレフィンの
具体例としては、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘ
キサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタ
ジエン、フェニルシクロオクタジエンなどの特開平7−
258318などに記載されているものが挙げられる。
【0047】これらの環状オレフィン類は、それぞれ独
立で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。また、ジシクロペンタジエン類あるいはテトラシ
クロドデセン類と、これらと共重合可能な環状オレフィ
ンとの共重合する場合の組成は、ジシクロペンタジエン
類あるいはテトラシクロドデセン類が、全単量体重量中
に1重量%以上含まれていれば特に限定されないが、重
合体の耐熱性などの点から、10〜100重量%含まれ
ているのが好ましく、20〜100重量%含まれている
のがより好ましい。
【0048】(重合反応)本発明の方法において、環状
オレフィン類に対するルテニウム化合物の割合は、(化
合物中の金属ルテニウム:環状オレフィン類)のモル比
で、通常1:100〜1:2,000,000、好まし
くは1:500〜1:1,000,000、より好まし
くは1:1,000〜1:500,000である。ルテ
ニウム化合物が多すぎると触媒除去が困難となり、少な
すぎると十分な重合活性が得られない。重合を溶媒中で
行う場合には、環状オレフィン類の濃度は、溶液中1〜
60重量%が好ましく、2〜50重量%がより好まし
く、5〜45重量%が特に好ましい。単量体の濃度が1
重量%以下の場合は生産性が悪く、60重量%以上の場
合は重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応
が困難となる。
【0049】重合反応は、上記環状オレフィン類とルテ
ニウム化合物を混合することにより開始される。重合温
度は特に制限はないが、一般には、−30℃〜200
℃、好ましくは0℃〜180℃である。重合時間は、1
分間〜100時間である。
【0050】さらに、得られる環状オレフィン系重合体
の分子量を調整するために、ビニル化合物を適当量添加
するのが好ましい。添加するビニル化合物は、ビニル基
を有する有機化合物であれば特に限定されないが、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンな
どのα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエンなど
のスチレン類;エチルビニルエーテル、i−ブチルビニ
ルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのエーテル
類などの他、アリルクロライド、酢酸アリル、アリルア
ルコール、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド
などを挙げることができる。添加するビニル化合物の量
は、重合体の分子量により、環状オレフィン類に対し
て、0.1〜10モル%の範囲で任意に選択することが
できる。さらに、重合終了時に上記のビニル化合物を添
加して、重合体末端からルテニウム化合物を遊離させる
ことで、重合体を溶液中で動きやすくさせて水素化反応
の活性を向上させることもできる。
【0051】上記重合反応で得られる重合体の分子量
は、水素化反応での変化を考慮すると、ゲルパーミエー
ション・クロマトグラフィー(GPC)による測定(ポ
リスチレン換算)で得られる数平均分子量(Mn)で、
好ましくは1,000〜500,000、より好ましく
は5,000〜200,000である。
【0052】(水素化反応)上記重合反応で得られる開
環重合体は、主鎖に炭素−炭素二重結合を有しているの
で、耐熱性、耐候性等を向上させるために炭素−炭素二
重結合を水素化する。水素化反応では、重合反応の触媒
として利用した上記ルテニウム化合物をそのまま水素化
触媒として使用しても構わないし、その他の化合物を新
たに添加してもよい。反応はこれらの触媒の存在下で、
水素を吹き込みながら行う。
【0053】重合触媒として使用したルテニウム化合物
を水素化触媒として用いる場合は、重合後、新たに水素
化触媒を添加することなく、水素を供給して水素化反応
を行うことができるが、水素添加率を高めるために、水
素化触媒を新たに添加しても構わない。新たに添加する
水素化触媒は、オレフィン化合物の水素化に際して一般
に使用されているものであればよく、具体的には次のよ
うなものが挙げられる。
【0054】均一系触媒としては、遷移金属化合物とア
ルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒が挙げられ
る。例えば(遷移金属化合物/アルカリ金属化合物)の
表記で、(酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム)、
(ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアル
ミニウム)、(チタノセンジクロリド/n−ブチルリチ
ウム)、(ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリ
チウム)、(テトラブトキシチタネート/ジメチルマグ
ネシウム)などが挙げられる。不均一触媒としては、ニ
ッケル、パラジウム、白金、ロジウム、及びルテニウム
などの金属触媒;又はこれらの金属をカーボン、シリ
カ、ケイソウ土、アルミナ、及び酸化チタンなどの担体
に担持させた金属担持型触媒が挙げられる。例えば、
(金属/担体)の表記で、(ニッケル/シリカ)、(ニ
ッケル/ケイソウ土)、(ニッケル/アルミナ)、(パ
ラジウム/カーボン)、(パラジウム/シリカ)、(パ
ラジウム/ケイソウ土)、(パラジウム/アルミナ)な
どが挙げられる。
【0055】水素化反応は不活性溶媒中で実施する。溶
媒としては、任意に選択することができ、前述の重合反
応で使用するものと同様のものを用いることができる
が、芳香族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒及び
エーテル系溶媒が、重合体水素化物の溶解性に優れるの
で好ましく、脂環族炭化水素系溶媒がより好ましい。脂
環族炭化水素系溶媒の中では、シクロヘキサンやデカリ
ンが最も好ましく、エーテル系溶媒の中ではテトラヒド
ロフランやエチレングリコールジメチルエーテルなどが
最も好ましい。溶媒は、通常は、重合反応溶媒と同じで
よく、重合反応液にそのまま水素添加触媒を添加して反
応させればよい。
【0056】水素化反応の条件は、使用する水素化触媒
の種類により異なるが、水素化温度は通常は−20℃〜
250℃、好ましくは−10〜+220℃、より好まし
くは0〜+200℃であり、水素圧力は通常は0.01
〜10MPa、好ましくは0.05〜8MPa、より好
ましくは0.1〜5MPaである。水素化温度が低すぎ
ると反応速度が遅く、高すぎると副反応が起こる。ま
た、水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高す
ぎると高耐圧反応装置が必要となる。
【0057】本発明の方法によれば、水素化反応時間が
0.1〜10時間で、重合体中の主鎖の炭素−炭素二重
結合のうち50%以上、好ましくは80%以上、より好
ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特
に好ましくは99%以上を水素化することができる。
【0058】本発明の方法によれば、水素化物は溶媒に
溶解した溶液状態で得られるため、用いた水素化触媒を
容易に分離除去することができる。具体的には、水素化
反応後の溶液中の水素化触媒を遠心分離、濾過、抽出、
及び吸着などにより分離除去することができる。この
際、水素化触媒にルテニウム化合物をそのまま用いた場
合には、金属塩などにして不溶化させたのちに濾過や遠
心分離により分離除去するか、吸着剤に吸着させる方
法、塩酸などの酸性水溶液中に抽出する方法などによる
分離除去する。
【0059】
【実施例】以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発
明をさらに具体的に説明する。 (1)分子量は、開環重合体の場合はテトラヒドロフラ
ンを溶媒とするGPCによるポリスチレン換算値として
測定し、開環重合体水素化物の場合はシクロヘキサンを
溶媒とするGPCによるポリイソプレン換算値として測
定した。 (2)水素化率は、H−NMRスペクトルにより測定
した。
【0060】[実施例1]1リットルの攪拌機付きオー
トクレーブに、シクロヘキサン300mlとジシクロペ
ンタジエン59.5g(0.45mol)、及び8−エ
チルテトラシクロドデセン10.5g(0.056mo
l)を加え、さらに連鎖移動剤として1−ヘキセン0.
64gを添加した。この溶液に、THF10mlに溶解
した[1,3−ジ(ジフェニルメチル)−4−イミダゾ
リン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリド8.0mg
(8.4×10−6mol)を添加した。溶液を60℃
で1時間撹拌して重合反応を後、重合反応液を室温に戻
し、水素化触媒としてケイソウ土担持ニッケル触媒2.
8gを加えた。この溶液を160℃、水素圧力4MPa
で6時間撹拌して水素化反応を行った。得られた水素化
物の水素化率は99.5%、数平均分子量(Mn)は1
4,600、重量平均分子量(Mw)は32,100で
あった。水素化反応後の溶液は、密閉容器中で1週間放
置した後も粘度が変化しなかった。
【0061】[比較例1] [1,3−ジ(ジフェニルメチル)−4−イミダゾリン
−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベ
ンジリデンルテニウムジクロリドに代えて[1,3−ビ
ス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリン−
2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベン
ジリデンルテニウムジクロリドを用いた以外は、実施例
1と同様にして重合反応及び水素化反応を行った。得ら
れた水素化物の水素化率は99.8%、Mnは12,1
00、Mwは28,300であった。水素化反応後の溶
液は、密閉容器中で1時間後、固化して流動性がなくな
った。
【0062】[実施例2]1リットルの攪拌機付きオー
トクレーブに、シクロヘキサン300mlとジシクロペ
ンタジエン59.5g(0.45mol)、及び8−エ
チルテトラシクロドデセン10.5g(0.056mo
l)を加えた。さらに連鎖移動剤として1−ヘキセン
0.64gを添加した。この溶液に、THF10mlに
溶解した[1,3−ジ(1’−フェニルエチル)−4−
イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホ
スフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド6.9m
g(8.4×10−6mol)を添加して、60℃で1
時間撹拌して重合反応を行った。次いで、この反応溶液
に、エチルビニルエーテル1.5mlをシクロヘキサン
20mlに溶解して加えた後、150℃、水素圧力5.
0MPaで6時間撹拌して水素化反応を行った。得られ
た水素化物の水素化率は99.9%、Mnは14,20
0、Mwは29,300であった。水素化反応後の溶液
は、密閉容器中で1週間放置した後も粘度が変化しなか
った。
【0063】[比較例2] [1,3−ジ(1’−フェニルエチル)−4−イミダゾ
リン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリドに代えて[1,
3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ
リジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを用いた以外
は、実施例2と同様にして重合反応及び水素化反応を行
った。水素化率は99.8%、Mnは19,700、M
wは51,700であった。水素化反応後の溶液は、密
閉容器中で1時間後に固化して流動性がなくなった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、有機溶媒に対する溶解
性に優れた環状オレフィン開環重合体水素化物を得るこ
とができる。本発明の方法は、該環状オレフィン開環重
合体水素化物の原料モノマーとして有用なジシクロペン
タジエンやテトラシクロドデセンを用いても、シクロヘ
キサン等の汎用溶媒に対する溶解性に優れた環状オレフ
ィン開環重合体水素化物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フロリアン・ヨット・コール ドイツ連邦共和国80798ミュンヘン、ヒル テンシュペルガーシュトラーセ4 Fターム(参考) 4J032 CA68 CB01 CD01 CE03 CF01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第二級炭素または第三級炭素が結合して
    いるヘテロ原子とメチレン遊離基とを含有する化合物
    が、ルテニウム原子に配位してなるルテニウム化合物を
    用いて、溶媒の存在下に環状オレフィン類を開環メタセ
    シス重合した後、開環重合体主鎖中の炭素−炭素二重結
    合の50%以上を水素化して開環重合体水素化物を得る
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005000579A1 (ja) * 2003-06-27 2006-08-03 日本ゼオン株式会社 積層体およびその製造方法
JP2008184530A (ja) * 2007-01-30 2008-08-14 Mitsui Chemicals Inc 開環メタセシス重合触媒および開環メタセシス重合体の製造方法
DE112007000524T5 (de) 2006-03-03 2009-01-15 Tokyo Seimitsu Co., Ltd. Wafer-Bearbeitungsverfahren

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