JP2006063141A - 重合体水素化物の製造方法 - Google Patents

重合体水素化物の製造方法 Download PDF

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誠司 岡田
Yasuo Tsunokai
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Abstract

【課題】 多環式ノルボルネン系重合体の水素化物を効率よく得る製造方法、特に、脂肪族性炭素−炭素二重結合と芳香族環とを有する多環式ノルボルネン系重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合が選択的に水素化された水素化物の製造に好適な製造方法を提供する。
【解決手段】 多環式ノルボルネン系重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、
一般式(1):RuHXL(H
(式中、Ruはルテニウム原子を、Hは水素原子を、Hは水素分子を表す。Xはハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基を、Lはホスフィンまたはヘテロ原子含有カルベン化合物を表す。aは2または3を、bは1または2を表す。2個または3個のLは同一でも異なっていてもよい。XとLとから選ばれる複数個が互いに結合してキレートを形成していてもよい。)
で表されるルテニウムヒドリド錯体を水素化触媒として用いて、水素化する重合体水素化物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合体水素化物の製造方法に関する。より詳しくは、3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を重合してなる重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、特定の水素化触媒を用いて水素化することを特徴とする重合体水素化物の製造方法に関する。
分子内にノルボルネン環構造を有する単量体、特にノルボルネン環構造以外にさらに1つ以上の環構造を有する3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を、重合して得られる重合体(以下、単に「多環式ノルボルネン系重合体」とも言う。)は、透明性、耐熱性、低複屈折、成形加工性等に優れるので、光ディスクや光学レンズ用の材料として好適に用いられている。多環式ノルボルネン系重合体には、開環メタセシス重合体と付加重合体があるが、開環メタセシス重合体は必ず主鎖に炭素−炭素二重結合が存在する。また付加重合体においても、多環式ノルボルネン系単量体としてジシクロペンタジエンなどの付加重合に関与しない二重結合を有する単量体を用いた場合は、得られる重合体の側鎖に炭素−炭素二重結合が含まれる。これらの炭素−炭素二重結合を水素化することにより、重合体の耐熱性、透明性、低吸水性が改良されることが知られている。
しかしながら、多環式ノルボルネン系重合体は主鎖および側鎖に嵩高い環構造を有するため、水素化反応の制御は容易ではなかった。例えば、水素化率を高くする方法としては、(i)水素化触媒の量を増やす、(ii)水素化反応の温度や水素圧力を上げる、(iii)水素化反応の時間を長くする、などの方法が一般的であるが、(i)の方法では、多量の水素化触媒を用いるために触媒除去工程が煩雑になったり、得られる水素化物中に水素化触媒が残留したりする場合があった。一方、(ii)や(iii)の方法では異性化反応などの副反応が起こることにより、得られる水素化物の耐熱性が低下したり、水素化物を成形した時に得られる成形体が着色したりする問題があった。
特に、脂肪族性炭素−炭素二重結合と芳香族環とを有する重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合を選択的に水素化することは困難であった。例えば、芳香族環構造を有するノルボルネン系開環(共)重合体を遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒を用いて水素化する方法が知られている(特許文献1参照)。また、ノルボルネン系開環重合体の水素化触媒として、特定のルテニウム化合物を用いる方法も知られている(特許文献2〜5参照)。しかしこれらの方法は、水素化反応の活性が十分ではなかった。
水素を配位子とするルテニウムヒドリド錯体を用いて、シクロオクテンや2環のノルボルネン系単量体の開環重合体を水素化する方法も知られている(非特許文献1参照)。しかしこの方法で得られる水素化物は、耐熱性が充分ではなかった。
特開平7−41550号公報 特開平7−2929号公報 特開平7−149823号公報 特開平9−31169号公報 特開平9−77853号公報 Organometallics,2001年,第20巻,p.5495−5497
本発明の目的は、多環式ノルボルネン系重合体の水素化物を効率よく得る製造方法を提供することにある。特に、脂肪族性炭素−炭素二重結合と芳香族環とを有する多環式ノルボルネン系重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合が選択的に水素化された水素化物の製造に好適な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定のルテニウムヒドリド錯体を水素化触媒として用いることで、多環式ノルボルネン系重合体の水素化物が得られることを見出した。また、この触媒を用いると、脂肪族性炭素−炭素二重結合と芳香族環とを有する多環式ノルボルネン系重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合を選択的に水素化できることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を重合してなる重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、水素の存在下に、
一般式(1):RuHXL(H
(式中、Ruはルテニウム原子を表す。Hは水素原子を表す。Hは水素分子を表す。Xはハロゲン原子または炭素数1〜20の一価の炭化水素基を表す。Lはホスフィンまたはヘテロ原子含有カルベン化合物を表す。aは2または3を表し、bは1または2を表す。2個または3個のLは同一でも異なっていてもよい。XとLとから選ばれる複数個が互いに結合してキレートを形成していてもよい。)
で表されるルテニウムヒドリド錯体を水素化触媒として用いて、水素化することを特徴とする重合体水素化物の製造方法が提供される。
前記重合は、開環メタセシス重合であることが好ましい。
前記水素化触媒は、さらにルイス塩基を含有することが好ましい。
また前記重合体は、芳香族環を有する重合体であることが好ましい。
前記芳香族環を有する重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率は80%以上であり、芳香族環の水素化率が1%以下であることが好ましい。
本発明によれば、多環式ノルボルネン系重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を効率よく水素化することができる。特に脂肪族性炭素−炭素二重結合と芳香族環とを有する多環式ノルボルネン系重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合を選択的に水素化することができる。本発明の製造方法で得られる水素化物は、低複屈折かつ高屈折率であり、透明性、耐熱性、成形加工性等に優れるので、光ディスクや光学レンズ用の材料として好適に用いることができる。
本発明の重合体水素化物の製造方法は、3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を重合してなる重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、水素の存在下に、
一般式(1):RuHXL(H
(式中、Ruはルテニウム原子を表す。Hは水素原子を表す。Hは水素分子を表す。Xはハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Lはホスフィンまたはヘテロ原子含有カルベン化合物を表す。aは2または3を表し、bは1または2を表す。2個または3個のLは同一でも異なっていてもよい。XとLとから選ばれる複数個が互いに結合してキレートを形成していてもよい。)
で表されるルテニウムヒドリド錯体を水素化触媒として用いて、水素化することを特徴とする。
1.多環式ノルボルネン系重合体
本発明に用いる3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を重合してなる重合体(多環式ノルボルネン系重合体)は、主鎖、主鎖末端または側鎖に脂肪族性炭素−炭素二重結合を有するものであれば、いずれのものも含まれる。具体的には、3環以上の多環式ノルボルネン系単量体の開環メタセシス重合体および付加重合体を挙げることができる。
3環以上の多環式ノルボルネン系単量体とは、分子内にノルボルネン環構造を有し、かつノルボルネン環以外に1つ以上の環を有する単量体(以下、単に「多環式ノルボルネン系単量体」とも言う。)である。多環式ノルボルネン系単量体としては、例えば、ノルボルネン環と縮合している1つ以上の炭化水素環を有する単量体が挙げられる。ノルボルネン環と縮合している1つ以上の炭化水素環を有する単量体としては、下記一般式(2)で表される単量体(a)および下記一般式(3)で表される単量体(b)が挙げられる。
Figure 2006063141
式中、RとRは水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;またはケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の炭化水素基である。
単量体(a)の具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンなどが挙げられる。また、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、などの芳香環を有するノルボルネン誘導体も挙げられる。
Figure 2006063141
式中、R〜Rは水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;またはケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基;を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。mは1または2である。
一般式(3)で表される単量体としては、mが1であってテトラシクロドデセン環を有する化合物であるテトラシクロドデセン類、およびmが2であってヘキサシクロヘプタデセン環を有する化合物であるヘキサシクロヘプタデセン類が挙げられる。
テトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロペンチルテトラシクロドデセンなどの無置換または置換基としてアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロドデセンなどの環外に二重結合を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセンなどの芳香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸などの酸素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセンなどの窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセンなどのハロゲン原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシシリルテトラシクロドデセンなどのケイ素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
ヘキサシクロヘプタデセン類の具体例としては、ヘキサシクロヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシクロヘプタデセンなどの無置換または置換基としてアルキル基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプタデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、12−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロペンテニルヘキサシクロヘプタデセンなどの環外に二重結合を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェニルヘキサシクロヘプタデセンなどの芳香環を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘキサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシクロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13−ジカルボン酸などの酸素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘキサシクロヘプタデセンなどの窒素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−クロロヘキサシクロヘプタデセンなどのハロゲン原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−トリメトキシシリルヘキサシクロヘプタデセンなどのケイ素原子を含む置換基を有するヘキサシクロヘプタデセン類などが挙げられる。
また、単量体(b)として、後述するノルボルネン環と縮合していない1つ以上の炭化水素環を有する単量体(c)またはノルボルネン環以外にヘテロ環を有する単量体(d)と、シクロペンタジエンとのディールズ・アルダー付加体も挙げることができる。
多環式ノルボルネン系単量体としては、5−フェニルノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、および5−シクロペンテニルノルボルネンなどの、ノルボルネン環と縮合していない1つ以上の炭化水素環を有する単量体(c)も挙げることができる。
さらに、多環式ノルボルネン系単量体として、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−(N−フェニル)カルボジイミドなどの、ノルボルネン環以外にヘテロ環を有する単量体(d)も挙げられる。
本発明に用いる多環式ノルボルネン系重合体は、多環式ノルボルネン系単量体以外の単量体を共重合したものであってもよい。多環式ノルボルネン系単量体以外の単量体としては、2環のノルボルネン系単量体、または単環の環状オレフィン類が挙げられる。また、重合体を付加重合で得る場合は、非環状のオレフィン類も単量体として用いることができる。
2環のノルボルネン系単量体の具体例としては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシルノルボルネン、5−デシルノルボルネンなどの無置換または置換基としてアルキル基を有するノルボルネン類;5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−プロペニルノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エトキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオクタネイト、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシ−i−プロピルノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボルネン、などの酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;5−シアノノルボルネンなどの窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;などが挙げられる。
単環の環状オレフィン類は、炭素数4〜20の環状オレフィン又はジオレフィンとこれらの置換体であり、好ましくは炭素数4〜10の環状オレフィン又はジオレフィンとこれらの誘導体である。
単環の環状オレフィン類又はジオレフィン類の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体;シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエンなどの環状ジオレフィン系単量体;などが挙げられる。
非環状のオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン;スチレンなどの芳香族ビニル化合物;などが挙げられる。
全単量体中の多環式ノルボルネン系単量体の量は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モル%以上である。
上記の単量体を、公知の方法により開環メタセシス重合または付加重合して多環式ノルボルネン系重合体が得られる。
例えば、開環メタセシス重合は、チタン、モリブデン、タングステンなどのハロゲン化物と有機アルミニウムや有機スズなどの助触媒とからなるチーグラー系触媒や、三塩化ルテニウムなどの貴金属触媒を用いて行うことができる。また、シュロック触媒と呼ばれるモリブデンイミド錯体やグラブス触媒と呼ばれるルテニウムカルベン錯体を触媒として用いることもできる。
付加重合は、多環式ノルボルネン系単量体とエチレンとの共重合には、バナジウムオキシトリクロリド/エチルアルミニウムセスキクロリドなどのバナジウム系のチーグラー・ナッタ触媒;チタノセン、ジルコノセンなどのメタロセン触媒;ニッケル、パラジウム、コバルト、鉄、チタン、ジルコニウムなどの化合物からなるいわゆるポスト・メタロセン触媒;を用いることができる。また、多環式ノルボルネン系単量体のビニル付加重合には、ニッケル化合物と有機アルミニウムからなる触媒系やアリルパラジウム錯体が用いられる。
本発明の重合体水素化物の製造方法は、多環式ノルボルネン系重合体が、芳香族環を有する単量体を重合してなる場合に好適である。本発明の製造方法によれば、多環式ノルボルネン系重合体が芳香族環を有する単量体を重合してなる場合、芳香族環構造を保存したまま、重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を選択的に水素化することができる。重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を選択的に水素化することで、芳香族環を有する重合体の高い屈折率を維持しつつ、耐熱性、透明性および低吸水性等を高めることができる。
芳香族環を有する多環式ノルボルネン系単量体の具体例は、前記単量体(a)としてはテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンや、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエンなどが挙げられる。前記単量体(b)としては8−フェニルテトラシクロドデセンや、12−フェニルヘキサシクロヘプタデセンなどが挙げられる。前記単量体(c)としては5−フェニルノルボルネンなどが挙げられる。前記単量体(d)としては5−ノルボルネン−2,3−(N−フェニル)カルボジイミドなどが挙げられる。また、多環式ノルボルネン系単量体以外の芳香族環を有する単量体としては、スチレンや、フェニルシクロオクタジエンなどが挙げられる。
本発明に用いられる多環式ノルボルネン系重合体の重合平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算値で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000である。
2.水素化触媒
本発明の製造方法では、一般式(1):RuHXL(Hで表されるルテニウムヒドリド錯体を水素化触媒として用いる。
式中、Xは、ハロゲン原子または炭素数1〜20の一価の炭化水素基を表す。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、エチル基、イソプロピル基などのアルキル基;プロペニル基、ブテニル基などのアルケニル基;およびフェニル基、クロロフェニル基などのアリール基;が挙げられる。
Lは、ホスフィンまたはヘテロ原子含有カルベン化合物を表す。ホスフィンは、一般式(4):PR10、または一般式(5):R1112P−R15−PR1314で表される化合物である。
一般式(4)および一般式(5)において、R〜R14は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはを表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、また、置換基を有していてもよい。R15はアルキレン基を表す。
一般式(4)で表されるホスフィンの具体例としては、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリス−4−メトキシフェニルホスフィン、およびトリス−4−クロロフェニルホスフィンなどを挙げることができる。一般式(5)で表されるホスフィンの具体例としては、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、および1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタンなどを挙げることができる。
カルベン化合物とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物のことである。一般にカルベンは、反応中に生じる不安定な中間体として存在するが、ヘテロ原子を有すると比較的安定なカルベン化合物として単離できる。ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子等を挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子等が好ましく、N原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含むヘテロ環が構成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子には嵩高い置換基を有していることが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物の例としては、下記の一般式(6)で示されるN,N−ジ置換イミダゾリン−2−イリデン、および一般式(7)で示されるN,N−ジ置換イミダゾリジン−2−イリデンを挙げることができる。
Figure 2006063141
式中、R16〜R19は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはケイ素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。また、R16〜R19は、互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2006063141
式中、R20〜R25は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはケイ素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。また、R20〜R25は、互いに結合して環を形成していてもよい。
好ましいヘテロ原子含有カルベン化合物の具体例としては、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4,5−ジクロロ−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、および1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデンなどの一般式(6)で表される化合物;
1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、および1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イリデンなどの一般式(7)で表される化合物;が挙げられる。
また、前記式(6)及び式(7)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン等のヘテロ原子含有カルベン化合物も好適に用いることができる。
本発明に使用される水素化触媒の具体例としては、
{ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)}ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)、{ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)}ルテニウム{ビス(水素)}(ヒドリド)(クロリド)、{ビス(トリイソプロピルホスフィン)}ルテニウム(水素)(ヒドリド)(ヨード)などの2つまたは3つのホスフィンが配位したルテニウムヒドリド錯体;
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)、および(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)などのヘテロ原子含有カルベン化合物とホスフィンが配位したルテニウムヒドリド錯体;
を挙げることができる。
一般式(1)で示されるルテニウムヒドリド錯体は、公知の方法、例えば、Organometallics,1994年,第13巻,p.3800−3804;Inorganic Chemistry,1995年,第34巻,p.2470−2472;およびWO02/079208号公報に記載されている方法と同様にして、製造することができる。
上記のルテニウムヒドリド錯体は、単独で水素化触媒として用いることもできるが、添加剤としてルイス塩基を併用することが好ましい。ルイス塩基を併用することにより、水素化反応を促進することができる。ルイス塩基としては、トリエチルアミンなどのアミン類;ピリジン、ルチジンなどのピリジン類;N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;酢酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;メチルスルフィドなどのスルフィド類;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;などを用いることができる。
用いるルイス塩基の量は、ルテニウム金属に対して、通常0.1モル等量〜1,000モル等量、好ましくは、0.5モル等量〜200モル等、より好ましくは、1モル等量〜100モル等量である。
ルイス塩基を添加する方法は特に限定されず、多環式ノルボルネン系重合体溶液にルテニウムヒドリド錯体を加え、次いでルイス塩基を加える方法;多環式ノルボルネン系重合体溶液にルイス塩基を加え、次いでルテニウムヒドリド錯体を加える方法;および、ルテニウムヒドリド錯体とルイス塩基とを溶媒中で混合したものをノルボルネン系重合体中に添加する方法;などが挙げられる。
3.水素化
本発明の製造方法では、多環式ノルボルネン系重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、水素の存在下に、上記の水素化触媒を用いて水素化する。
水素化は、通常、溶媒中で行う。使用する溶媒は多環式ノルボルネン系重合体の溶解性により適宜選択できるが、上記のルテニウムヒドリド錯体は極性溶媒中でも安定であるので、非極性溶媒のみならず極性溶媒も用いることができる。
非極性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素;等を用いることができる。また極性溶媒としては、例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;水等を用いることができる。これらの中でも、工業的に汎用される鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル類、アルコール類、水の使用が好ましい。
水素化反応において、多環式ノルボルネン系重合体と溶媒との混合割合は特に限定されないが、反応溶液中の重合体濃度は、通常1〜70重量%、好ましくは2〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%の範囲である。重合体濃度が1重量%未満の場合は生産性が低く、70重量%を超えると粘度が高くて取り扱いが困難になる場合がある。
水素化反応は多環式ノルボルネン系重合体と水素化触媒とを水素の存在下で混合することにより開始させることができる。多環式ノルボルネン系重合体に対するルテニウムヒドリド錯体の使用量は特に限定されないが、(触媒中の金属ルテニウム):(ノルボルネン系重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合の数)のモル比で表すと、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。使用する触媒量が多すぎると触媒除去が困難となる一方で、触媒量が少なすぎる場合には十分な反応活性が得られなくなる。
水素化反応における水素の圧力は、通常10MPa以下、好ましくは0.01〜8MPa、より好ましくは0.05〜6MPaである。水素化反応の反応温度は通常0℃〜250℃の範囲、好ましくは、50〜200℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなる一方で、反応温度が高すぎる場合にはルテニウムヒドリド錯体が分解するおそれがある。反応時間は通常1分間〜1週間の範囲、好ましくは、10分〜20時間である。
本発明の製造方法によれば、多環式ノルボルネン系重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を効率的に水素化することができる。脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。また、本発明の製造方法によれば、前記重合体が、芳香族環を有する単量体を重合してなる繰り返し単位を有する重合体である場合は、芳香族環を保存したまま、脂肪族性炭素−炭素二重結合を選択的に水素化することができる。芳香族環の水素化率は、好ましくは1%以下である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
(1)重合体および重合体水素化物の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、東ソー(株)製、HLC−8020)によるポリスチレン換算値として測定した。
(2)重合体の炭素−炭素二重結合の水素化率は、H−NMR測定により求めた。
(3)重合体の共重合比は、H−NMR測定により求めた。
(4)重合体水素化物のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計を用いて、10℃/分で昇温して測定した。
製造例1:開環メタセシス重合体の合成
窒素で置換した1リットルのフラスコに、多環式ノルボルネン系単量体である1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン50部とトルエン100部を加え、分子量調整剤として1−ヘキセンの25%トルエン溶液2.1部を添加した。この溶液に重合触媒としてテトラブチルスズの10%トルエン溶液1.3部、ジブチルエーテルの30%トルエン溶液0.16部および六塩化タングステンの0.75%トルエン溶液10部を添加し、70℃で1時間撹拌して重合を行った。この重合反応液を多量のメタノール中に注いで重合体を析出させて回収し、減圧乾燥した。得られた開環メタセシス重合体のMnは16,900、Mwは39,100であった。
実施例1:開環メタセシス重合体の水素化
製造例1で得た開環メタセシス重合体10部をトルエン35部に溶解し、攪拌機付きオートクレーブに供給した。この溶液に、Organometallics,1994年,第13巻,p.3800−3804に記載の方法で合成した{ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)}ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)0.003部をトルエン5部に溶解した触媒溶液を添加して、水素圧力4MPa、150℃で6時間水素化反応を行った。得られた開環メタセシス重合体水素化物において、芳香族性炭素−炭素二重結合は100%保存され、重合体主鎖中の脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率は95%であった。開環メタセシス重合体水素化物のMnは17,200、Mwは41,200で、Tgは138℃であった。
比較例1:開環メタセシス重合体の水素化
{ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)}ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)0.003部に代えて、{トリス(トリフェニルホスフィン)}ルテニウム(カルボニル)ジヒドリド0.004部を用いた以外は、実施例1と同様にして水素化反応を行った。得られた開環メタセシス重合体水素化物において、芳香族性炭素−炭素二重結合は100%保存されていたが、重合体主鎖中の脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率は35%であった。
実施例2:開環メタセシス重合体の水素化
触媒溶液にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)}ルテニウム(水素)(ヒドリド)(クロリド)に対して10モル等量のピリジンを加えた以外は実施例1と同様にして水素化反応を行った。得られた開環メタセシス重合体水素化物において、芳香族性炭素−炭素二重結合は100%保存され、重合体主鎖中の脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率は99%であった。開環メタセシス重合体水素化物のMnは17,300、Mwは41,500で、Tgは139℃であった。
製造例2:開環メタセシス重合体の合成
多環式ノルボルネン系単量体である1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンを2環のノルボルネン系単量体である5−エチリデン−2−ノルボルネンに代えた以外は、製造例1と同様にして重合した。得られた開環メタセシス重合体のMnは12,700、Mwは28,600であった。
比較例2:開環メタセシス重合体の水素化
製造例2の開環メタセシス重合体を用いた以外は、実施例2と同様にして水素化反応を行った。得られた開環メタセシス重合体水素化物の水素化率は99%以上であった。開環メタセシス重合体水素化物のMnは13,100、Mwは28,900で、Tgが−40℃であった。
製造例3:付加重合体の合成
攪拌機付きガラス反応器に、Pd(Ph)(I)(PPh0.1部を加え、続いてジクロロメタン50部及びシクロヘキサン200部を加え溶解した。ここに、多環式ノルボルネン系単量体であるジシクロペンタジエン(DCP)9.2部と、2−ヘキシル−5−ノルボルネン(HNB)15.8部とを加え、−10℃に冷却した。続いて、アルミニウム分が9.1%であるメチルアルミノキサン/トルエン溶液22.4部を添加して−10℃から0℃の温度範囲で20分攪拌した後、室温に上げて3時間重合反応を行った。反応終了後、重合反応液を多量の塩酸酸性イソプロパノールに注いで重合体を完全に析出させ、濾別洗浄後、80℃で20時間減圧乾燥した。得られた付加重合体の収量は22.9部で、Mnは63,900、Mwは182,300であった。重合体中のDCP/HNB組成比は、モル比で68/32であった。
実施例3:付加重合体の水素化
製造例1で得た開環メタセシス重合体10部に代えて製造例2で得た付加重合体10部を用いた以外は、実施例1と同様にして水素化反応を行った。得られた付加重合体水素化物において、DCP由来の側鎖の脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率は99%以上であった。付加重合体水素化物のMnは68,400、Mwは184,200であった。
上記実施例より明らかなように、本発明の製造方法によれば、多環式ノルボルネン系単量体の開環メタセシス重合体および付加重合体の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、高効率で水素化することができる(実施例1〜3)。特に脂肪族性炭素−炭素二重結合と芳香族性炭素−炭素二重結合とを有する重合体の、脂肪族性炭素−炭素二重結合のみを選択的に水素化でき、耐熱性の高い重合体水素化物を得ることができる(実施例1,2)。

Claims (5)

  1. 3環以上の多環式ノルボルネン系単量体を重合してなる重合体中の脂肪族性炭素−炭素二重結合を、水素の存在下に、
    一般式(1):RuHXL(H
    (式中、Ruはルテニウム原子を表す。Hは水素原子を表す。Hは水素分子を表す。Xはハロゲン原子または炭素数1〜20の一価の炭化水素基を表す。Lはホスフィンまたはヘテロ原子含有カルベン化合物を表す。aは2または3を表し、bは1または2を表す。2個または3個のLは同一でも異なっていてもよい。XとLとから選ばれる複数個が互いに結合してキレートを形成していてもよい。)
    で表されるルテニウムヒドリド錯体を水素化触媒として用いて、水素化することを特徴とする重合体水素化物の製造方法。
  2. 前記重合が、開環メタセシス重合である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記水素化触媒が、さらにルイス塩基を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記重合体が、芳香族環を有する重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 脂肪族性炭素−炭素二重結合の水素化率が80%以上であり、芳香族環の水素化率が1%以下である請求項4に記載の製造方法。
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