JP4056586B2 - 環状オレフィンの開環メタセシス重合方法 - Google Patents
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- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)からなる開環メタセシス重合触媒を用いて特定の環状オレフィンをオレフィンまたはジエンを共存させることによって高い触媒効率で、かつ、広い分子量分布の共重合体を製造する開環メタセシス重合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
環状オレフィンを開環メタセシス重合する触媒は Olefin Metathesis ( Kenneth J. Ivin ; 1983 Academic Press, London )に記載されている塩化タングステン、酸化塩化タングステン、塩化モリブデン、塩化チタンまたは塩化バナジウム等の周期表4〜8族の遷移金属の化合物と有機アルミニウムや有機スズ等のようなルイス酸等の助(または共)触媒の組合せからなる触媒系などが知られている。一方、これら従来のメタセシス触媒系とは異なり、環状オレフィンを上述のルイス酸を必要せずに開環メタセシス重合するタングステンまたはモリブデンのアルキリデン錯体触媒についてRichard R. Schrockら( Acc. Chem. Res. 1990, 23(5), 158 : Organometallics 1990, 9, 2262 ; J. Am. Chem Soc., 1990, 112,3875 )が報告している。これらの錯体触媒は従来のメタセシス触媒系では困難であった極性官能基を有する環状オレフィンの重合を可能にし、リビング反応でブロック共重合体の合成も可能にした。しかしながら、リビング反応である為、1分子のポリマーを得るためには、1分子の錯体を必要とし、触媒コストの観点から経済性が非常に低いという問題を有している。さらに、リビング反応で重合したポリマーは分子量分布が単分散(Mw/Mn=1)であるために分子量分布が広いポリマーに比べて高せん断応力下での粘度が高いなどの成形加工性が不良であるという問題がある。
【0003】
一方、四塩化チタン、五塩化モリブデン、六塩化タングステン等の金属塩化物とアルキルアルミ等の助触媒とからなる従来のメタセシス触媒系での開環メタセシス重合において、得られるポリマーの分子量をコントロールするために、重合反応系にオレフィン類を添加する方法が既に知られている(特開平3−220230、特開平3−121122、特開平5−132546、特開平5−105743)。
【0004】
これに対してアルキリデン錯体触媒系については、Macromolecules 1990, 23,3534に記載されているように、モリブデンのアルキリデン錯体を用いるノルボルネンの開環メタセシス重合に対してスチレンが非常に良い連鎖移動を起こすことが知られている。一方、1,3−ペンタジエンも連鎖移動性を有するが分子量分布から考察して、その効果は低く、さらに1−ペンテンのようなオレフィンは連鎖移動効果が見られないことが示されており、これは、ノルボルネンに比べてα−オレフィンの反応性が乏しいことが原因であると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
アルキリデン錯体触媒系は極性基を有する環状オレフィンを重合することが可能な触媒系であるが、その触媒効率は悪く、得られるポリマーの成形性が不良であるという問題があり、経済性に優れた高い触媒効率で成形性が良好なポリマーを製造することが望まれる。
【0006】
本発明の目的は開環メタセシス触媒を用い、環状オレフィンをメタセシス重合して高い触媒効率で広い分子量分布の共重合体を製造することができるメタセシス重合方法を提供することにある。
【0007】
本発明のいま一つの目的は製品中の触媒残渣の低減を図ることができるメタセシス重合方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し本発明を完成した。
【0009】
即ち本発明は、周期表第4〜8族の遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)からなる開環メタセシス重合触媒を用いて、一般式〔1〕
【0010】
【化3】
〔1〕
(式中R1〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはハロゲン化アルキルから選ばれ、xは1〜3の整数を表す。)と一般式〔2〕
【0011】
【化4】
(式中R5〜R8のうち少なくとも1つはニトリル、カルボキシル、またはアルコキシカルボニルから選ばれ、その他は水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはハロゲン化アルキルから選ばれ、xは1〜3の整数を表す。)で表される環状オレフィンを、該環状オレフィン1モルに対して0.01〜0.5モルの割合の1,5−ヘキサジエン共存下で共重合することを特徴とする開環メタセシス重合方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において周期表第4〜8族の遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)の遷移金属としてはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウムである。
【0013】
また、遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)としては、一般式〔3〕で示されるような遷移金属錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)である。
【0014】
【化5】
XhYiQjZkM=C(R9)(R10) 〔3〕
(Mは周期表第4〜8族から選ばれる遷移金属(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)、CはMと二重結合で結合する炭素、R9、R10は水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルコキシ、アルキルシリルを表し、X、Yは、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルシリルを表し、QはMと窒素が二重結合で結合したイミドからなる配位子またはMと炭素が三重結合で結合したアルキリデンからなる配位子であり、Zは、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンなどのホスフィン類、エーテル類またはアミン類である。h、i、j、kは0または1〜2の整数である。)
一般式〔3〕の遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)として、例えば、遷移金属をMとして表すと、M(N−2,6−C6H3−i−Pr2)(CH−t−Bu)(O−t−Bu)2、M(N−2,6−C6H3−i−Pr2)(CHCMe2Ph)(OCMe(CF3)2)2、M(N−2,6−C6H3Me2)(CHCHCMePh)(O−t−Bu)2(PMe3)、M(N−2,6−C6H3Me2)(CHCHCMePh)(OCMe2CF3)2(PMe3)、M(N−2,6−C6H3Me2)(CHCHCPh2)(OCMe(CF3)2)2(thf)、M(N−2,6−C6H3−i−Pr2)(CHCHCMePh)(OPh)2(PMe3)、MCl2(P(C6H5)3)2(CHCHC(C6H5)2)、MCl2(P(C6H11)3)2(CHCHC(C6H5)2)、M(O−t−Bu)2(P(C6H5)3)2(CHCHC(C6H5)2)、M[C(Me)C(Me)CHMe3](O−2,6−C6H3−i−Pr2)3Py、M[C(Ph)C(Ph)CHMe3](O−2,6−C6H3−i−Pr2)3Py、M(C−t−Bu)(CH−t−Bu)(O−2,6−C6H3−i−Pr2)2、M(C−t−Bu)(CH−t−Bu)(OCMe(CF3)2)2(式中のi−Prはイソプロピル、t−Buはtert−ブチル、Meはメチル、Phはフェニル、thfはテトラヒドロフラン、Pyはピリジンを示す。)等が挙げられる。また、これらの開環メタセシス触媒は単独または複数併用のどちらでも使用可能である。
【0015】
本発明において用いられる一般式〔1〕及び一般式〔2〕の環状オレフィンとしてはxが0であるビシクロヘプトエンの誘導体、xが1であるテトラシクロドデセンの誘導体、xが2であるヘキサシクロヘプタデセンの誘導体、xが3であるオクタシクロドコセンの誘導体である。また、一般式〔1〕のR1〜R4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはハロゲン化アルキルから選ばれる。さらに、一般式〔2〕のR5〜R8は、それらの少なくとも1つはニトリル、カルボキシル、またはアルコキシカルボニルから選ばれ、その他は水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、またはハロゲン化アルキルから選ばる。ここで、R1〜R8のアルキルは炭素数1〜20のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ターシャルブチルまたはシクロヘキシル等が挙げられ、アリールは炭素数6〜20アリールであり、例えば、フェニルまたはナフチル等が挙げられ、アラルキルは炭素数7〜20のアラルキルであり、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナフチルメチル、2−ナフチルエチル、2−ナフチルイソプロピル等が挙げられ、アルコキシは炭素数1から20のアルコキシであり、例えば、メトキシ、エトキシ、メントキシ等が挙げられる。また、ハロゲンとしては塩素、ヨウ素、臭素、フッ素であり、ハロゲン化アルキルは炭素数1〜20のハロゲン化アルキルであり、例えば、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル等が挙げられる。また、R5〜R8のニトリル、カルボキシル、アルコキシカルボニルのうちアルコキシカルボニルは炭素数1〜20のアルコキシカルボニルであり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メントキシカルボニル等が挙げられる。
【0016】
一般式〔1〕及び〔2〕の具体例としては、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジシアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等の、シアノビシクロヘプトエン類、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ジシアノテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3ドデセン、8−シアノ−9−メトキシテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−シアノテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−フルオロテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−フェニルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−ベンジルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン等のシアノテトラシクロドデセン類、11−シアノヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−ジシアノヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−メトキシヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−カルボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−カルボキシヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−シアノヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−トリフルオロメチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.1 4]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−フルオロヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−ジフルオロヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−フェニルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−ベンジルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−シクロヘキシルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン等のシアノヘキサシクロヘプタデセン類、14−シアノオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−14−メチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−ジシアノオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]‐5−ドコセン、14−シアノ−15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−メトキシオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−カルボキシオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15.シアノオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−トリフルオロメチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−フルオロオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノー15−ジフルオロオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノー15−フェニルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5.ドコセン、14−シアノ−15−ベンジルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−シクロヘキシルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン等のシアノオクタシクロドコセン類を挙げることができる。
【0017】
更にはビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブロモビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロヘプトエン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8.カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ベンジルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メトキシテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エトキシテトラシクロ[4.4.0.l.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチル−9−メチルトキシテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチル−9−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.1.12.5.17.10]−3−ドデセン等のテトラシクロドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−カルボキシヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−ベンジルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−カルボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−メトキシヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−エトキシヘキサシクロ[6.6.1,13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン、11−メチル−12−カルボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン等のヘキサシクロヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−メチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−エチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−カルボキシオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.l6.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−ベンジルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.l8.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−メトキシオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−エトキシオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン、14−メチル−15−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.0.12.9.14.7.111.18.113.16.03.8.012.17]−5−ドコセン等のオクタシクロドコセン誘導体、または、モノ環状オレフィンとして、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロオレフィン類、ジシクロペンタジエン類等も挙げられる。
【0018】
さらに、本発明において上述の一般式〔1〕と〔2〕で表される環状オレフィンの共重合の比率としては、一般式〔1〕の環状オレフィンに対して一般式〔2〕の環状オレフィンが99:1〜1:99である。
【0019】
本発明においては、1、5−ヘキサジエンを用いる。
【0020】
本発明において共存させる1、5−ヘキサジエンの使用量は、1、5−ヘキサジエンと一般式〔1〕及び一般式〔2〕で表される環状オレフィンのモル比が環状オレフィンに対して0.01〜0.5の範囲であり、1、5−ヘキサジエンと一般式〔3〕で表される遷移金属アルキリデン錯体のモル比は、遷移金属アルキリデン錯体のアルキリデンの1当量に対して0.1〜1000、好ましくは1〜500の範囲である。
【0021】
本発明の開環メタセシス重合において一般式〔1〕及び一般式〔2〕で表される環状オレフィンの使用量は、一般式〔3〕で表される遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)に対してモル比で10〜10000であり、好ましくは50〜5000である。また、この重合には無溶媒でも溶媒を使用して良いが、特に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロライド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらの2種類以上を混合使用しても良い。
【0022】
本発明における開環メタセシス重合で溶媒を使用する場合の環状オレフィンの濃度は、0.01〜100mol/Lの範囲であり、重合温度は、−30〜150℃で、好ましくは常温〜100℃である。また、重合時間は10分〜15時間の範囲で行う。さらに、重合反応を停止するためにアルデヒド類、ケトン類、アルコール類等を使用しても良い。
【0023】
溶液重合の場合、重合反応を停止した後、アルコール等の貧溶媒に加えてポリマーを沈殿させ、濾過または遠心分離等よってポリマーを回収、乾燥の後、開環メタセシスポリマーを得ることができる。また、懸濁重合の場合は貧溶媒に加えても、そのまま、濾過または遠心分離等によってポリマーを回収、乾燥の後、開環メタセシスポリマーを得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下の実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれによって限定されるものではない。
【0025】
実施例において示されたポリマーの平均分子量については、得られた開環メタセシスポリマーをクロロホルム中に溶解し、GPC検出器として日本分光社製830−RI、カラムとしてShodex k−805,804,803,802.5を使用し、室温にて流速1.0ml/minの条件下で測定した。尚、測定値はポリスチレンスタンダードにて較正した値である。
【0026】
実施例1 窒素下で100mlフラスコ中にて8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン(697mg,4.0mmol)と8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン(370mg,2.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(30ml)に溶解し、更に1,5−ヘキサジエン(40mg,0.48mmol)を混合し、撹件下でW(N−2,6−C6H3−Me2)(CHCHCMePh)(O−t−Bu)2P(Me)3(10mg,0.015mmol)を加えて、室温で4時間反応行った。ベンズアルデヒド(20mg,0.18mmol)を加え、30分間撹件した後、ポリマー溶液を撹件下で200mlのメタノールに加え、沈澱させた。濾過、乾燥し、1.06gのポリマーを得た。得られたポリマーのGPC分析を行ったところクロマトグラフは単一のピークであり、その数平均分子量(Mn)は17,800で、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.7であった。
【0027】
参照例
実施例1の1,5−ヘキサジエンに代わって1−ペンテンを80mg(1.14mmol)使用したこと以外は実施例1と同様に行った。ポリマー収量は1.06gであり、GPCは単一のピークであり、Mnは16,600、Mw/Mnは3.1であった。
【0028】
比較例1 実施例1において1,5−ヘキサジエンを加えなかったこと以外は実施例1と同様に行った。ポリマー収量は0.78gであり、GPCは単一のピークであり、Mnは59,000、Mw/Mnは1.13であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)からなる開環メタセシス重合触蝶を用いて環状オレフィンをメタセシス重合して高い触媒効率で、かつ、高せん断応力下での成形加工性を改善する広い分子量分布の共重合体を製造することができ、同時に製品中の触媒残渣の低減を図ることができる。
Claims (1)
- 周期表第4〜8族の遷移金属アルキリデン錯体(但し、ルテニウムアルキリデン錯体を除く。)からなる開環メタセシス重合触媒を用いて、一般式〔1〕
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